7月

第39回 7月4日

吾郎「結婚し、新しい家庭を築くことの難しさ
   まして再婚である場合、夫婦の間だけではなく
   それまで、共に歴史を刻んできた家族との関係をも
   築かなければなりません
   ここには、再婚によって新しい家庭を築く
   困難に直面した夫の奮闘と喜びの記憶が綴られています」

再婚によって新しい家庭を築く難しさ

困難に直面した夫の奮闘と喜びの記憶

吾郎「忘文
   それを読むと日頃の憂いを忘れさせてくれる文。
   中国の故事、忘草に由来しています。」

手紙 「妻 光子への忘文  夫 敦より」
吾郎「佐藤敦さんから、妻、光子さんへの忘文」
ご夫婦の紹介、敦さん50歳、光子さん49歳

40歳まで独身を貫いた男と
20歳で結婚し、離婚を経験した女が…
出逢い、恋に落ちた…

夫から初めての手紙…

吾郎「ようこそ
   えー、敦さんからの忘文が届いておりますので
   お掛けになってください」

手紙の朗読
口ベタ夫が綴る! 再婚10年目のラブレター

吾郎「はい
   忘文は届きましたか」
光子「はい、ありがとうございました」
吾郎「では、お届け料として何か一言いただけますか」
光子「結婚して(はい)
   初めて、こういう文書でいただいの、初めてなので(ええ)
   もう、びっくりしてます
   ちょうど、1年目にあたるので(ええ)
   記念にもなって(ああ)
   とてもうれしいです(そうですね)
   私も返事を書こうと思って」
吾郎「あ、そうですか」
光子「はい」
吾郎「返事を書いてみようと言ってくれた方は
   実は、初めてかもしれません」
光子「あ、そうなんですか」
吾郎「ええ
   娘さん、急に2人でね、敦さんも最初はとまどい
   とまどったって、本人もおっしゃってますけど」
光子「そうですね
   もう、孫も生まれてますので」
吾郎「あ、そうですか」
光子「はい
   もう、じいじになって(ええ)
   じいじと、呼ばれてます」
吾郎「そうですか」
光子「はい」
吾郎「想像つきますね
   その幸せな家庭の光景が
   これからも、ね
   幸せな家族を、家庭を築き上げてください」
光子「はい
   ありがとうございます」
吾郎「ありがとうございました
   こちら」
光子「はい
   どうもありがとうございました」
吾郎「はい、ありがとうございました」

吾郎「新しく出逢った家族
   彼らとよき関係を作ろうとする敦さんの奮闘
   そして、苦難を乗り越えたあとの幸せ光景が伝わってくる
   手紙だったと思います
   敦さん、光子さん
   これからも、お体に気をつけて、ステキな夫婦の関係を
   築き上げてください」

吾郎「代表作『破戒』などで知られる作家、島崎藤村は
   新たな家族を築き上げようとする時の心境を
   このように記しています」

朗読 「再婚について」島崎藤村

吾郎「子どもたちに語りかけるスタイルをとりながら
   自身の葛藤や気持ちの変化を丹念に描いた名文  
   家族という関係の、奥の深さについて考えさせられる作品です
   あなたも、家族の関係について思いをめぐらせてみては
   いかがでしょうか」

吾郎「なんだ、これ
   快音を立てて大空に舞い上がるジェット風船
   指を離すときに指で風船を押し上げるようにして放せば
   思ったより高く大空へ、快音を立てて飛びます
   (ふくらましてあった風船を出す)
   へー、思ったより高くって、どのくらいなんだろうな
   指で風船を押し上げるようにして放す
   へー、初めてだな
   こんなこと、やったことないからな
   どれどれ(試す)
   おー
   いや、思ったより低かったような気もするんですけど」   


第40回 7月11日

吾郎「大切な家族を失うということ
   それは、つらく悲しいことであるとともに
   残されたものの絆の強さが試される時でもあります
   ここには、そんな試練をくぐり抜けてきた家族がいだいた
   切実な思いが綴られています」   

母を亡くした息子に、遠く離れて暮らす父からの忘文

吾郎「忘文
   それを読むと日頃の憂いを忘れさせてくれる文。
   中国の故事、忘草に由来しています。」

手紙 「息子 健太への忘文  父 卓より」
吾郎「杉浦卓さんから、息子、健太さんへの忘文」
父子の紹介、卓さん56歳、健太さん20歳

父から初めての手紙…

吾郎「えー、ようこそ」
健太「はい、ありがとうございます」
吾郎「えー、卓さんからの忘文が届いておりますので」
健太「はい」
吾郎「お掛けになってください」
健太「はい」

手紙の朗読
母を亡くした息子に、遠く離れて暮らす父からの忘文

健太「ありがとうございます」
吾郎「えー、忘文は届きましたか」
健太「はい」
吾郎「では、お届け料として、何か一言いただけますか」
健太「そうですね(はい)
   もう大学入ってから、もう1年以上札幌に帰っていなくて(はい)
   で、まあ、帰ったりとか電話したりしても、こういう、何ていうか
   まじめな話っていうことは、ほとんどする(ええ)
   ことがなかったので(はい)
   むしろ初めてぐらいだったので、なんかこう(そうですね)
   慣れないというか」
吾郎「さびしくないと言ったらウソになるって
   お父さんおっしゃってましたね、やっぱり」
健太「そうですね、おやじも一人で」
吾郎「普段そんなことは、きっと口にしないですよね」
健太「そうですね、結構明るく電話とかもしてる感じだったんで」
吾郎「うん
   まあ、たまに、帰ってあげて」
健太「そうですね」
吾郎「またね、野球談義でもね、お話に花を咲かしてもいいし」
健太「はい」
吾郎「ね」
健太「そうですね」
吾郎「では、こちら
   ありがとうございました」
健太「はい」
吾郎「お持ち帰りください」
健太「はい、ありがとうございます」

吾郎「最愛の家族を失ったさびしさ
   言葉では言い表せない思いをいだく息子に
   父はかけられずにいた言葉を一つ一つ誠実に綴りました
   そして、そんな父の言葉を静かに受け止めていた
   健太さんの表情が、とても印象的でした」

吾郎「ちなみに、母の不在のもとにある父と子の関係を綴った小説に
   灰谷健次郎の海の物語があります」

朗読 「海の物語」灰谷健次郎

吾郎「お互いを気づかいながら、やがて相手への深い理解に達する
   父と息子の様子が、健太さんと卓さんに重なるような
   名文だと思います
   庶民の生活を書き続けながら
   いまなお多くの読者の支持を集める作家、灰谷健次郎
   あなたも、彼の作品世界に触れてみてはいかがでしょうか」

吾郎「どれどれ
   えー、今週は珍味三昧豚骨ボリボリ
   人間も時に珍味を食したいと思うように
   ペットも時には珍味を食したいと思うのは
   思うのではないでしょうか
   へー、ホントかな
   珍味三昧」

   

第41回 7月18日

吾郎「ある日突然訪れた父の死
   残された者たちへ、のしかかる、その重すぎる事実
   ここには、そんな現実に直面しながらも
   それを乗り越えてきた気丈な母に対する
   娘の感謝の言葉が記されています」

家族を支えてくれた母への感謝の手紙

吾郎「忘文
   それを読むと日頃の憂いを忘れさせてくれる文。
   中国の故事、忘草に由来しています。」

手紙 「母 明美への忘文  娘 美喜より」
吾郎「中森美喜さんから、母、明美さんへの忘文」
母娘の紹介、明美さん55歳、美喜さん25歳

娘から始めての手紙…

吾郎「えー、ようこそ
   えー、美喜さんからの忘文が届いておりますので
   お掛けになってください」
明美「はい」

手紙の朗読
父を失った家族を支えてくれた母へ感謝の忘文

吾郎「忘文は届きましたか?」
明美「はい」
吾郎「では、お届け料として何か一言いただけますか」
明美「ホントに、その、2人の娘に出会えたことだけが(うん)
   一番、人生のうれしかったことです」
吾郎「やはり、お1人で育てたということは
   ホントに大変だったことも」
明美「はい、もう」
吾郎「ありましたか」
明美「はい
   もう、人に言えない地獄から立ち上がってきましたけど(ええ)
   もう今は、全部、すばらしい思い出に変わりました」
吾郎「あ、そうですか」
明美「はい」
吾郎「また、娘さんからの、こういう言葉を聞くと、ね」
明美「はい」
吾郎「そういうことすら、もう、なんか」
明美「はい」
吾郎「うん、思い出になって」
明美「今日の、この、娘の言葉を胸に秘めて(はい)
   これから、残りの人生を静かに生きていこうと思います」
吾郎「これから先が、また楽しみですよね」
明美「はい
   ホントにもう、なんか、いい日になりました」
吾郎「では、ありがとうございました」
明美「はい、どうも」
吾郎「こちらをお持ち帰りください」
明美「はい、ありがとうございました」
吾郎「はい」

吾郎「言い知れぬ淋しさや、先の見えない不安を抱えながらも
   家族を支え続けてきた母、明美さん
   そんな彼女の姿を見続けてきた娘が綴った忘文は
   これまでの憂いを忘れさせたと思います」

吾郎「ちなみに、少女小説の草分け的作家、吉屋信子は
   自身の作品の中で、父を失った家族の様子を
   こう描きました」

朗読 「三つの花」吉屋信子

吾郎「父を失った悲しみ、にもかかわらず
   無常に過ぎていく時の流れとか
   とてもリアルに描かれた作品だと思います
   あなたも、彼女の世界に触れてみてはいかがですか」

吾郎「えーと、こちら
   湿度・温度計
   ふーん、かわいいね、デザインがね
   ただ今の気温は31℃
   えー、湿度は50%です
   ちなみに不快指数は80度を超えているので
   半数以上の人が不快だそうです
   そうか、みんな不快なのか」

   


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