4月

気持ちを届ける郵便屋さんがいます…
ここではないどこか…
あなたの心のどこか…
今日も気持ちのこもった手紙が一通…

第26回 4月4日

吾郎「人生の転機
   それは、時に何の予告も前触れもなく訪れます
   この手紙には、そんな突然の事態に直面しながらも
   取り乱すことなく、家庭を支え続けた妻に対する
   夫の言い知れぬ感謝の気持ちが綴られています」

夫から妻への感謝の手紙

吾郎「忘文
   それを読むと日頃の憂いを忘れさせてくれる文。
   中国の故事、忘草に由来しています。」

手紙 「妻 京子への忘文  夫 一明より」
吾郎「小泉一明さんから、妻、京子さんへの忘文」
ご夫婦の紹介、 64歳と55歳のご夫婦

夫から初めての手紙…

吾郎「えー、ようこそ」
京子「こんにちは」
吾郎「一明さんからの忘文が届いておりますので  
   えー、お掛けになってください」
京子「はい」

手紙の朗読
バブル崩壊後 夫を支えた妻への忘文

吾郎「はい、忘文は届きましたか?」
京子「はい」
吾郎「では、お届け料として何か一言いただけますか?」
京子「うちの主人が、こう、今まであの、転職したりとか(はい)
   借金作った時も、いつも事後報告ばかりだったんですよね(ええ)
   で、家族も、もうホント、貧乏のどん底に落ちたんですけれども(はい)
   子供もみんなで、歯を食いしばって(はい)
   そこから抜け出るなという実感を、私は今回のことで覚えましたけれども」
吾郎「そういう思いがあったからこそ、また
   去年登った、ねえ、エベレストっていうのは」
京子「すごいよかったですね
   すごい、いいお天気で、夫婦も同じですけれども
   やっぱ、一歩一歩」
吾郎「そうですね」
京子「登らなければいけない」
吾郎「山登りも一歩一歩ですし、ね」
京子「そうです」
吾郎「おっしゃるように、夫婦や人生も、一歩一歩ですもんね」
京子「そうですね」
吾郎「今後も仲良くね、夫婦生活をともにして
   過ごしていってください」
京子「ありがとうございます」
吾郎「ありがとうございました」

吾郎「投資の失敗、持ち家の売却
   突如起こる不遇の中、終始笑顔で通した京子さん
   そして、気丈な彼女に支えられ、仕事に邁進した一明さん
   そんな二人の日常は、暗い影に覆われることなく
   淡々と過ぎていったのではないでしょうか」

吾郎「作家、武田泰淳の妻、百合子は
   代表作『富士日記』の中で、富士山麓で過ごした夫婦の日常を
   このように綴っています」

朗読 「富士日記」武田百合子

吾郎「何気ない日常の中で
   繰り広げられる長年連れ添った夫婦の生活
   かけがえのない日々を天性の観察眼と感性で
   軽快に綴った作家、武田百合子の作品
   あなたも、夫婦の日常の機微を
   感じてみてはいかがでしょうか」

吾郎「この方法で生き延びろ…(仕事中眠たくなった時を実践)
   正面から見るとばれますよね
   なるほど、生きるための、ね、方法
   うーん」
   

第27回 4月11日

吾郎「子は、大きくなるにつれ、母の偉大さに気づくものです
   またその思いは、自分がやがて母と呼ばれる存在に
   なった時に、なお、募っていくものだと思います
   この手紙には、偉大な母に守られ、そして自らも
   母となった娘の、普段口にできなかった感謝の気持ちが
   綴られています」

娘から母への感謝の手紙

吾郎「忘文
   それを読むと日頃の憂いを忘れさせてくれる文。
   中国の故事、忘草に由来しています。」

手紙 「母 妙子への忘文  娘 かおりより」
吾郎「平田かおりさんから、母、平野妙子さんへの忘文」
母娘の紹介、妙子さん67歳、かおりさん41歳

娘から初めての手紙…

吾郎「えー、ようこそ
   えー、かおりさんからの忘文が届いておりますので
   お掛けになってください」
妙子「はい」

手紙の朗読
伝えられなかった母への気持ち

吾郎「はい」
妙子「ありがとうございます」
吾郎「ありがとうございました
   忘文は届きましたか?」
妙子「はい」
吾郎「お届け料として、何か一言いただけますか?」
妙子「なんか、夢中でね(はい)
   今までやってきましたけれども(はい)
   こんなふうなお手紙をもらえるとは、思っていなかったので(ええ)
   心の中があったかくなったような(うん)
   うん、ほっとしたような、ね」
吾郎「そうですね」
妙子「はい
   ホント、一生の宝にしたいと思います」
吾郎「はい」
妙子「ちょっと、おおげさですけど」
吾郎「いえいえ、でも、ありがとうございました」

吾郎「母と子
   年を経て、環境が変わっても、けして変わることのない関係
   そんな当たり前でいて、しかし大切なことに
   改めて、気づかせてくれる手紙だと思います」

吾郎「これは、母と子の独特の関係性に注目した直木賞作家
   山本文緒の『落下流水』という小説です
   彼女は母と娘の関係をこう綴っています」

朗読 「落下流水」山本文緒

吾郎「今まで、自分を頼っていた娘が
   自分が思うより成長していたことに対する
   複雑な心の動きが、繊細かつ丹念に描かれていると思います
   あなたも書いてみませんか
   大切な人への忘文」

吾郎「おやおや
   えー、健康ファミリー
   落ち込みタイプ
   自分はダメな人間と思えたら、パンは全粒パンに変えてみる
   えー、自分に自信が持てず、いつも罪悪感に苛まれているあなたには
   メチオニンが不足しているのかもしれません
   血液の質を高めるためにも、全粒小麦のパンが一押しです
   あなたに自身をよみがえらせてくれます
   はい、吾郎さん」


第28回 4月18日

吾郎「親からの自立
   それは、子どもが成長していく中で
   通らなければならない道
   そのとき親は、どのような気持ちで
   子どもを見守っているのでしょうか
   この手紙には、中学卒業後、すぐに親元を離れ
   東京の専門学校で学ぶ娘に宛てられた
   父のストレートな気持ちが綴られています」

親からの自立…

中学卒業後上京した娘へ…父からの手紙

吾郎「忘文
   それを読むと日頃の憂いを忘れさせてくれる文。
   中国の故事、忘草に由来しています。」

手紙 「娘 えりかへの忘文  父 純雄より」
吾郎「高橋純雄さんから、娘、えりかさんへの忘文」
父娘の紹介、純雄さん47歳、えりかさん17歳

父から初めての手紙…

吾郎「えー、ようこそ
   えー、純雄さんから忘文が届いておりますので
   お掛けになってください」
えりか「はい」

手紙の朗読
15歳で上京した娘へ…父からの手紙

吾郎「はい
   えー、忘文は届きましたか?」
えりか「はい」
吾郎「では、お届け料として、何か一言いただけますか」
えりか「いつも(はい)
    1番尊敬している父なので
    私からも体に気を付けて(ええ)
    がんばって欲しいと伝えたいです」
吾郎「お父さんは、実際は、あまりこういうお話は
   宮崎に帰ったときも、なかなかしないですよね
   面と向かって」
えりか「しないですね」
吾郎「うーん、でも、こう手紙によって
   すごい、気持ちというのは
   ねえ、切実に伝わったんじゃないでしょうかね」
えりか「はい」
吾郎「うん
   いつまでも、ご両親のことを大切にしてください」
えりか「はい」
吾郎「ありがとうございました」
えりか「ありがとうございました」

吾郎「子どもの自立
   それまで愛情を注いできた親にとっては
   喜ばしいことである反面
   寂しい出来事でもあるものです
   都会で暮らす娘に、不安の覚えつつも贈った
   がんばれという言葉
   そこに込められた、父の深い愛情が印象的でした」

吾郎「父から娘への贈る言葉
   火宅の人などの代表作を残した
   新戯作派の作家、壇一雄は
   娘たちへの手紙というエッセーの中で
   巣立っていく娘たちに、こんな言葉を贈りました」

朗読 「娘たちへの手紙」壇一雄

吾郎「常に既成の価値観にとらわれない行き方を
   追求し続けた作家、壇一雄ならではの人生観が
   切実に綴られています
   ぜひ1度、娘の成長を願う、父の真摯な言葉に
   触れてみてはいかがでしょうか」

吾郎「ニャンニャン工学の長年に渡る研究から設計された玩具
   ふーん
   ネコあがりこぼし(取り出してみる)
   ネコが遊んでいる時に、ネコあがりこぼしが
   自然に直立する可能性は、数億分の1です
   へー
   ニャンニャン(とネコの人形を出す)
   ニャンニャンニャン、ニャアー
   ニャンニャン、ニャー
   ニャーニャー、ニャー(と、人形でネコあがりこぼしと遊ぶ)
   えー、万が一直立したら
   あなたとネコさんに、えー大幸運が訪れるかもしれません
   へー、1億分の1か
   ニャー、おお、やっぱ難しいね
   あー、絶対立たないんだ
   ネコがやると」


第29回 4月25日

吾郎「つらかった過去の思い出
   えてして、そんな事柄ほど、かえって鮮明に記憶しているものです
   この手紙には、戦時中、幼少期を疎開のために
   母の田舎で過ごした息子の苦しい日々の思い出
   そして、そんな毎日を支えてくれた母への感謝の思いが綴られています」

つらかった時代の母への感謝の手紙

吾郎「忘文
   それを読むと日頃の憂いを忘れさせてくれる文。
   中国の故事、忘草に由来しています。」

手紙 「母 ミサヲへの忘文  息子 肇より」
吾郎「中川肇さんから、母、ミサヲさんへの忘文」
母子の紹介、ミサヲさん95歳、肇さん66歳

息子から初めての手紙…

吾郎「肇さんからの、えー、忘文が届いておりますので
   えー、手紙を(はい)、読ませていただきます」

手紙の朗読
つらかった時代の母への感謝の手紙

吾郎「えー、忘文は届きましたでしょうか」
ミサヲ「はあ、ありがとうございます」
吾郎「ありがとうございました」
ミサヲ「苦労ばっかりして(はい)
    子どもが今、よくしてくれます」
吾郎「はい
   えー、随分と昔のことですよね」
ミサヲ「ええ」
吾郎「あの、お母さんもその頃の、ね、まあ
   苦労だった、苦労した生活のこととか、肇さんのことっていうのは
   今でも覚えていますか?」
ミサヲ「はい、覚えてます
    3人、子どもがいますが(はい)
    みんな、親孝行して」
吾郎「そうですか」
ミサヲ「はい、よくしてくれます」
吾郎「そうですか
   1日でも、ホントに長く
   ね、長生きして、ね
   あの、健康に気を付けて」
ミサヲ「ありがとうございます」
吾郎「はい
   では、こちらの大切なお手紙なので
   ね、受け取ってください」
ミサヲ「ありがとう」
吾郎「ありがとうございました」

吾郎「精一杯の愛情を受けているという息子がいだく母への深い愛情が
   感じられる手紙でした」

吾郎「そんな母への愛情を童謡という形で表現した作家に
   金子みすゞがいます
   たぐいまれなる才能に恵まれながら
   若くして自らの命を絶ったよう逝の詩人
   彼女は、この作品、あるときの中で、こう記しています」

朗読 「あるとき」金子みすゞ

吾郎「短いながらも、親子の絆について
   深く考えさせられる作品だと思います
   あなたには、親とどんな思い出がありますか」

吾郎「裏技100連発
   外出しなければならないのに急な腹痛に見舞われたとき
   一刻も早く止める裏技
   両足の付け根の内側を触って、冷たいほうを蒸しタオルで温める
   うーん、外出しなければいけないときに
   そんなことする時間ないよね
   これ、おもしろい」


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