3月
第22回 3月7日 朗読 「自分の中に毒を持て」岡本太郎 吾郎「絵画、彫刻、書画など幅広いジャンルに渡り 前人未到の領域を切り開いてきた芸術家、岡本太郎 彼の記した人生論がこの『自分の中に毒を持て』です パリに渡り、自分の生きるべき道を模索していた 岡本太郎の不安や焦燥、そして決意が 胸に切実に響いてきます」 吾郎「忘文 それを読むと日頃の憂いを忘れさせてくれる文。 中国の故事、忘草に由来しています。」 手紙 「母 節子への忘文 今春大学を卒業する娘 恵里より」 吾郎「五十川恵里さんから母、節子さんへの忘文」 家族の紹介 節子さん53歳、恵里さん22歳 そして今夏、恵里アメリカに旅立つ… 娘から初めての手紙… 吾郎「恵里さんからの忘文が届いておりますので」 節子「はい」 吾郎「どうぞ」 手紙の朗読 節子「ありがとうございます」 吾郎「ありがとうございました 忘文は届きましたか?」 節子「はい」 吾郎「このお手紙のお届け料として、一言いただけますか」 節子「わがままで、あれだった娘がこんなことを わかっていたのかなって(はい) とっても、あの幸せです 女の子を生んでよかったなと、思っております」 吾郎「あ、そうですか これからお母さんとして、どんな娘になってもらいたい ですか?」 節子「相手の気持ちがわかるような(うん) 優しい子で、なおかつ自分の道をまっすぐ 進んでもらったらいいかなと(はい) 思っています」 吾郎「わかりました、ではこちら」 節子「はい、すみません ありがとうございました」 吾郎「ありがとうございました」 吾郎「さみしがりやで、同世代の友達のような母が 娘の新たなる旅立ちに見せた笑顔と 行ってきなさいよの一言 この言葉が不安や動揺を抱えた娘の心に 計り知れないほどの勇気を与えたのだろうと思います 恵里さん、異国の地での生活、がんばってください そして節子さん、いつまでも恵里さんの 良き親友でいてあげてください」 吾郎「そういえば、えーポストにこんなものが届けられていました 来週はホワイトデーですもんね あー、マシュマロ(開けて食べる) うん、結構おいしい あ、そういえば、僕のお友達の草なぎ君という人が 非常に得意な芸を持っていて、僕もそれに挑戦してみたいと 思います、マシュマロキャッチです (自分で投げてマシュマロキャッチ成功) やったー(と、ガッツポーズ)」 |
第23回 3月14日 朗読 「百鬼園日記帖」内田百間 吾郎「日常に潜む、非日常的な世界を描く鬼才、内田百間 そんな彼が、創作のかたわら、過ぎていく日々の思いを 綴った、この百鬼園日記帖です 何気ない日常の中、生活をともにしている伴侶の かけがえのなさに、ふと気づく百間の姿が印象的な一文です」 吾郎「忘文 それを読むと日頃の憂いを忘れさせてくれる文。 中国の故事、忘草に由来しています。」 手紙 「妻 和子への忘文 夫 幸三より」 吾郎「斎藤幸三さんから、妻、和子さんへの忘文」 ご夫婦の紹介。72歳と69歳のご夫婦 夫から初めての手紙… 吾郎「ようこそ」 和子「お世話になります」 吾郎「えー、幸三さんからの忘文が届いております」 和子「はい」 吾郎「お掛けになってお待ちください」 手紙の朗読 吾郎「忘文は届きましたか?」 和子「届きました。無口なお父さんがなんで、こんな泣かせて…」 吾郎「何か、お届け料として、では一言いやだけますか」 和子「今までと同じように、わがまま言って 言いたいことを言って、失敗もして(うん) これを宝にしてね、ありがとうって素直に言えるときが 来る、来ます」 吾郎「では、これからも健康だけは、本当に気を付けて お互い、末永く、うん、お幸せに」 和子「ありがとうございます」 吾郎「ではこちら」 和子「本当に」 吾郎「はい。あの、宝物になるといいですね」 和子「いつの日かね」 吾郎「はい」 和子「ありがとうございました」 吾郎「ありがとうございました」 吾郎「突然の再会から芽生えた恋、そして結婚 そんな運命的な出会いから始まった、50年の共同生活 絶えることなく募り続けた、妻へのかけがえのない思いが この忘文には、綴られていました 幸三さん、和子さん、これからも健康に気を付けて 末永くお幸せに」 吾郎「えーっと、パーフェクト・ボイス・エクササイズ よくあるQ&A のどをからさないためには、どうすればいいですか? 答え 簡単に言ってしまうと、のどを使わないことです まんまじゃないかよ それだったら僕でもわかるよ」 |
第24回 3月21日 朗読 「娘と私」獅子文六 吾郎「戦争文学から戦後の市民小説まで、大胆かつ繊細な筆致で 数々の傑作を生み出してきた小説家、獅子文六の作品です 病に倒れる両親に代わって、家族を支える娘 彼女の成長ぶりと、それを頼もしく思う父の様子が 細やかに描かれており、作品中でもっとも印象的なシーン だと思います」 吾郎「忘文 それを読むと日頃の憂いを忘れさせてくれる文。 中国の故事、忘草に由来しています。」 手紙 「娘 弘子への忘文 父 清より」 吾郎「酒井清さんから、娘、弘子さんへの忘文」 吾郎「ようこそ えー、清さんからの忘文が届いておりますので お掛けになってお待ちください」 弘子「あ、ありがとうございます」 手紙の朗読 弘子さん(20歳)と清さんの写真、モデルさん 吾郎「いかがでしたか?」 弘子「いやー」 吾郎「はい」 弘子「(笑い)」 吾郎「びっくりですよね」 弘子「はい、そうですね」 吾郎「うれしいですか?」 弘子「はい、やっぱ普段(うん)、そんなまじめな話とか(うん) は、あんましないし(うん)、結構ふざけた話ばっかしてるので(うん) こうやってなんか、改めて手紙もらって(うん) なんかすごい、うれしいですね」 吾郎「うん。お父さんを大切にしてあげてください」 弘子「はい、わかりました」 吾郎「はい、ありがとうございました」 弘子「ありがとうございました」 吾郎「こちら」 弘子「あ、ありがとうございます、ありがとうございました」 吾郎「ありがとうございました」 吾郎「娘の成長とともに、思い出される家族にあった様々な出来事の記憶 文面にとめどなくあふれる思い出の数々が、その愛情の深さを 物語っているように思いました 清さん、弘子さん、これからも生涯青春で、いろんなことに チャレンジしてください」 吾郎「さてと、えー、10分間でビューティ&ヘルス(読んでいく) ん? 両足を(と書いてあるとおり実践、左手を肩から回し左足を持つ) もう少しだ、あとちょっとだ、あとちょっとなんだけどな (全然、あとちょっとではない)」 |
第25回 3月28日 朗読 「さまよう犬」星新一 吾郎「短編小説よりも短い文章におもしろさが凝縮されたショート・ショート この独自のジャンルを切り開いた作家、星新一は 生涯で1000編以上の作品を残したSF小説の第一人者でもあります。 運命的な結びつきを持つ2人の物語は、いつのまにか その世界観に引き込まれる簡潔な文章と、あっと驚く結末で語られています」 吾郎「忘文 それを読むと日頃の憂いを忘れさせてくれる文。 中国の故事、忘草に由来しています。」 手紙 「舞台役者 鍋木義雄から 妻 雅子へ 出逢いから十年目の忘文」 吾郎「鍋木義雄さんから、妻、雅子さんへの忘文」 ご夫婦の紹介 義雄さん44歳、雅子さん31歳 夫から初めての手紙… 吾郎「ようこそ 義雄さんからの忘文が届いておりますので お掛けになってください」 手紙の朗読 吾郎「えー、お届け料として、何か一言いただけますか?」 雅子「はい、義雄さんが(はい)、私と(はい) 結婚する時に、ある、義雄さんの大好きな人が書かれた詩を(はい) 読んでくれたんです(はい) 『道』という詩で(ほう)、『一本の道がある この道こそ僕の愛し決めた道だ 僕はこの道から絶対に逃げない』 私はそれを聞いて(はい) あ、この人だったら結婚してもいいな、と思って」 吾郎「ステキな詩ですね」 雅子「それだけの思いが多分あったんだと思うんです(はい、そう…) だからとっても、この手紙は(ええ)、うれしいです」 吾郎「ね、一つの道をお互い、こうスクラムを組んで 歩き続けてください」 雅子「ありがとうございます」 吾郎「ありがとうございました では、こちら」 吾郎「自分の気持ちに正直にアタックし続けた夫 初めは拒みつつも、次第に、そのひたむきさに惹かれていった妻 2人が出逢って10年という節目で綴った夫の感謝の気持ちが 妻の心を優しく包み込んだ一瞬、希望に満ちていく妻の表情が 心に残りました あなたなら、どんな感謝の気持ちを忘文に綴りますか」 吾郎「(湯飲み茶碗を取り出す)こちら、大阪弁湯飲み 大阪弁、あきまへんわ、標準語、ダメです ぼちぼちでんな、まあまあですね まけてんかぁ、標準語、安くしてください なんでやねん、なぜですか えらいこっちゃ、標準語 困ったことになりました えー、もうちょっと勉強します」 |