12月

第10回 12月7日

朗読 「小さき者へ」有島武郎

吾郎「文学者として、またキリスト教徒として真摯に生の意味を
   問い続けた作家、有島武郎が大正7年に発表した作品。
   今は亡き妻が、生前お産をする場面ですが、この世に生まれいずる者
   そして、それを取り巻く者たちの苦悩と幸福とが簡素なフレーズの
   中に濃縮されているのが読み取れます。」

吾郎「忘文
   それを読むと日頃の憂いを忘れさせてくれるという文。
   中国の故事、忘草に由来しています。」

手紙 「妻 奈穂子への忘文  夫 俊哉より」
吾郎「金子俊哉さんから、妻 奈穂子さんへの忘文」
金子さんご夫婦の紹介、40歳と36歳のご夫婦

夫から初めての手紙…

吾郎「ようこそ、えー、俊哉さんからの忘文が届いておりますので
   お掛けになってお待ちください」

手紙の朗読

吾郎「えー、俊哉さんからの忘文
   ちゃんと心に届いたでしょうか?」
奈穂子「はい」
吾郎「それでは配達料として何か、一言いただけますか?」
奈穂子「いつも(はい)、見守ってくれているのは(はい)
    主人の方だと思います」
吾郎「そうですか」
奈穂子「はい」
吾郎「日頃、そういう話はなかなか、ね、面と向かって
   されたりはしないですけれども、なんか時にはこういうことも
   いいですね、なんか」
奈穂子「はい」
吾郎「これからも、末永くお幸せに。」
奈穂子「はい」
吾郎「こちら」

吾郎「気持ちを伝えるのは下手だという夫が、これまでの思いを込めて
   綴った感謝の手紙。それは、妻の12年分の憂いとともに
   3度にわたる出産の苦悩の記憶をも癒したと思います。
   あなたも書いてみませんか、大切な人への忘文」

朗読 「品名クラッカー」
吾郎「駅のホーム?」
(クラッカーを鳴らして、遊ぶ吾郎ちゃん、テープを風になびかせています)


第11回 12月14日

朗読 「舞姫」森鴎外

吾郎「その典雅な文体が、今なお読者を魅了する近代文学の父
   森鴎外の代表作。はるか異国の地で、恋に落ちた女性との
   貧しいけれども 喜びに満ちた日々が書かれた1節
   ここには、一人の男と女との普遍的な愛の形を見ることが
   できると思います。」

吾郎「忘文
   それを読むと日頃の憂いを忘れさせてくれるという文。
   中国の故事、忘草に由来しています。」

手紙 「妻 デボラへ  夫 宏之より」
吾郎「小鮒宏之さんから、妻 デボラさんへの忘文」
小鮒さんご夫婦の紹介、38歳と37歳のご夫婦
奥様はイギリス人

夫から初めての手紙…

吾郎「ようこそ、えー、小鮒宏之さんからの、えー忘文が届いて
   おります。どうぞお座りください」

手紙の朗読

吾郎「えー、宏之さんからの忘文は、ちゃんと心に届きましたでしょうか?」
デボラ「はい」
吾郎「それでは、お届け料として何か一言いただけますか?
   いかがでしたか」
デボラ「うーん」
吾郎「恥ずかしいですか?」
デボラ「そうですよ」
吾郎「恥ずかしい」
デボラ「恥ずかしいです」
吾郎「なんか、こういった手紙をね、こう、一生懸命
   だんなさん書いてくれたから、帰ってね、この宏之さんに会ったら」
デボラ「そうね」
吾郎「何か一言」
デボラ「じゃあ(うん)、だいたい、ありがとうね」
吾郎「ありがとう。笑顔で」
デボラ「そう」
吾郎「ね」
デボラ「うん」
吾郎「わかりました。じゃあ」
デボラ「ありがとう」
吾郎「はい、ありがとうございました」
デボラ「ありがとう」

吾郎「心が1番ですよ、その言葉に励まされてきた夫
   気持ちの通じ合いこそ、最も大切に思う2人の間には
   国境などありませんでした。
   どこよりも固い絆で結ばれたこの夫婦を、とても羨ましく思います。
   来年は一緒にイギリスに行けるといいですね。
   あなたも書いてみませんか、大事な人への忘文」

朗読 「墨汁」
吾郎「魚拓?」


第12回 12月21日

朗読 「善人ハム」色川武大

吾郎「名作・麻雀放浪記の著者で、阿佐田哲也のペンネームを持つ
   異色の作家・色川武大の作品。自らの知人達のエピソードを
   ユーモラスに、時にヒヤリとさせる文章で綴った作品集。
   危機の中にあって、何故かユーモアを感じさせる夫婦の奇妙な
   やり取り。この関係に少しあこがれてしまいます。」

吾郎「忘文
   それを読むと日頃の憂いを忘れさせてくれるという文。
   中国の故事、忘草に由来しています。」

手紙 「妻 早苗への忘文  夫 一博より」
吾郎「鍋島一博さんから、妻 早苗さんへの忘文」
鍋島さんご夫婦の紹介、49歳と48歳のご夫婦

夫から初めての手紙…

吾郎「ようこそ」
早苗「こんにちは」
吾郎「えー、一博さんからの忘文が届いております。
   おかけください」
早苗「はい」

手紙の朗読

吾郎「一博さんからの忘文、届きましたでしょうか?」
早苗「はい」
吾郎「では、お届け料として、何か一言いただけますか」
早苗「えーっと、こちらこそ、ありがとうございました(はい)
   前向きに生きているんで(はい)、それを忘れないで(ええ)
   体に気を付けて頑張ってほしいと思います」
吾郎「明るく、早苗さんの笑顔とユーモアで、だんなさんを支えて」
早苗「わかりました」
吾郎「ね、幸せな家庭をこれからも築き上げてください」
早苗「はい、ありがとうございます」
吾郎「それでは、こちら、どうぞ」
早苗「はい、ありがとうございました」
吾郎「ありがとうございました」

吾郎「絶望的な状況にあっても、絶えずユーモアを忘れない妻
   そんな彼女に支えられてきた夫が、感謝の気持ちを込めて綴る忘文
   この手紙で、これまでの妻の憂いが癒されたようです
   今、新たなスタートをきったご夫婦の成功をお祈りします
   あなたなら、どんな感謝の気持ちを忘文に綴りますか」

朗読「見えるアイマスク」
吾郎「見えるアイマスクの特徴
   左右に5つずつのピンホールから周囲が見え、確認できます。
   (試して)これか…。寝ていて急に起こされても穴から周囲が
   確認できるので、安心です。ほー、どれどれ(アイマスクをつける)
   見える、ずーっと見えてるから」


第13回 12月28日(総集編)

吾郎「それを読むと日頃の憂いを忘れさせてくれる文、忘文
   そこに綴られていたのは、長きにわたり同じ道を
   歩んできた、伴侶へのありがとうという感謝の言葉でした」

1 「滝沢秀明さんから、妻、二栄さんへの忘文」

2 「木村豊さんから、妻、昭子さんへの忘文」

3 「佐伯旨一さんから、妻、チカさんへの忘文」

4 「佐々木綱隆さんから、妻、松子さんへの忘文」

5 「金子俊哉さんから、妻、奈穂子さんへの忘文」

吾郎「以心伝心とはいうものの、日頃口にしない思いを
   形にされれば、やはりうれしいものです
   あなたは、今年1年、感謝の気持ちを伝えることができましたか?
   大切な人に、憂いなきことを願います」

雪景色
囲炉裏のある民家
囲炉裏端から  


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