楽語びより

                                         ゲスト 松下由樹
                                                   大坪アナ・高島アナ

第11回 特別な日、父の日

朗読1 「アンパン」谷川俊太郎
      (「谷川俊太郎詩集」思潮社)
昭和6年 東京生まれ
主な詩集「二十億光年の孤独」「日々の地図」など。父・谷川徹三

「詩人・谷川俊太郎は子どもの頃から学校が嫌いだったそうです。
やがて定時制高校をなんとか卒業。大学には進まず、詩を書き始めます。
この時、有名な哲学者であった彼の父・谷川徹三は息子の進学を
無理強いせず、詩人としてのデビューを助けました。
平成元年、父・徹三は永眠。間もなくこのアンパンが完成しました。」

吾郎「お父さんを見ていると、父親には父親のこだわりを感じます。
   ちなみに、うちの父のこだわりはボタンダウンのシャツに
   レジメンタルのネクタイでした。
   あなたのお父さんは、どんなこだわりを持たれてますか?」

朗読2 「夕方の三十分」黒田三郎
      (「黒田三郎詩集」思潮社)
      朗読・松下由樹
広島生まれ。戦後鮎川信夫らと共に「荒地」創刊に参加。
一貫して庶民の生活実感を謳いあげた詩人。
主な詩集「ひとりの女に」「小さなユリに」

朗読3 「パパの歌」糸井重里
      歌・忌野清志郎

吾郎「日曜日の昼間は、テレビ見ながらゴロゴロしているだらしないお父さんも
   明日、月曜日からは一生懸命働くお父さんに変身します。
   今日、父の日ぐらいは、ゴロゴロしててもそっとしておいてあげては
   いかがでしょうか」
第12回 “やさしさ”という心について

朗読1 「夕焼け」吉野弘
      (「幻・方法」飯塚書店)
大正15年、山形生まれ。
主な詩集「消息」「感傷旅行」「自然渋滞」等

「夕焼けが書かれたのは、昭和33年。当時、会社勤めをしていた詩人・吉野弘は
ふるさとの山形から東京へ転勤。その通勤電車の中で、実際にこの娘に遭遇したの
でした。その情景を忘れてはならないという思いに駆られた彼は、帰宅してすぐ
詩の創作を始め、その日のうちに夕焼けを完成させました」

吾郎「電車で席を譲るのは、簡単なことのようですが
   周りの目を気にすると、なかなか行動には移せません。
   簡単なことが簡単にはできない。
   やさしさという心は、とても複雑です。」

朗読2 「涙そうそう」森山良子
      歌・夏川りみ
      朗読・松下由樹

朗読3 「「し」をかくひ」工藤直子
      (「のはらのうたT」童話屋)
昭和10年生まれ。
博報堂で女性初のコピーライターとして活躍。4年間の勤務の後
フリーとなる。1983年には「てつがくのライオン」で
日本児童文学者協会新人賞受賞

吾郎「もしかすると、やさしさという心は人と素直に
   接することから始まるのかもしれませんね。」
第13回 大宇宙(おおぞら)の感受性

朗読1 「めまいよ こい」山本太郎
      (「死去」八坂書房)
大正14年、東京生まれ
主な詩集 「ゴリラ」「覇王紀」など
伯父 北原白秋

「北原白秋の甥である、詩人・山本太郎は、美術家・山本カナエの長男として
大正14年、東京に生まれました。
戦時中は、魚雷艇特攻要員として配属されますが、間もなく終戦。
以後、叙情的な作品を数多く残した人物でした。」

吾郎「地球は、すごいスピードで回っていますが
   僕たちに、その実感はありません
   でも、太陽が昇ったり、季節が変わったりするのを感じると
   やっぱり、地球は回っているんだなと思います」

朗読2 「ロビンソン」草野正宗
      歌・スピッツ
      朗読・松下由樹

朗読3 「二十億光年の孤独」谷川俊太郎
      (「二十億光年の孤独」東京創元社)
昭和6年、東京生まれ
18歳頃から詩作を始め、21歳で「二十億光年の孤独」を刊行
以後、誌、翻訳創作、わらべうたなど幅広く活躍
父は哲学者の谷川徹三

吾郎「人は、昔から星に願いをかけてきました
   はるかな宇宙のきらめきに
   希望を託したのかもしれません
   明日は七夕です
   あなたは、星空にどんな願い事をしますか?」
第14回 水の流れと人の運命(さだめ)

朗読1 「にじ色の魚」村野四郎
      (「少年文学代表選集第六巻」光文社)
明治34年、東京生まれ。童謡「ぶんぶんぶん」作詞者。
日本現代詩人会の初代会長として谷川俊太郎などを発掘。
滝の流れを背景に朗読

吾郎「夏休みの思い出は、いなかの川で遊んだ水の音。
   流れの中で見つけたものは、小石や魚だけでは
   ありませんでした。」

朗読2 「川のある風景」石垣りん
      (「石垣りん文庫4 やさしい言葉」花神社)
      朗読・松下由樹
主な詩集「私の前にある鍋とお釜と燃える火と」「表札など」
「石垣りん詩集」など


「川のある風景の作者、石垣りんは大正9年東京の生まれ。
15歳で銀行の事務見習として働き始め、以後、家族の暮らしを1人で支えながら、
生活に根付いた作品を数多く発表しました。そして昭和50年銀行を定年退職。
生活詩人と呼ばれるその創作活動は、現在まで続いています。

朗読3 「常世へ続く川」TOSHIKI KADOMATSU
      歌・角松敏生

吾郎「大きい川、小さい川、ゆったりした流れ、激しい流れ
   川はいろんな姿に形を変えていきます。
   だから、人は人生を川の流れに例えるのでしょう。
   あなたの川は、いまどんなふうに流れていますか?」


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