瑞季玲様からのリクエストミュスカデ:リースリング「カッツェについて」

初めまして。僕はミュスカデって言うんですけど、君は何ていう夢魔ひとですか?
……リースリング。この子はカビネット。(腕に抱いていた妙な動物を撫でる)
そ、そうですか。今日は宜しくお願いします。(抑揚を一切付けないリースリングの態度に気圧されている)
……。
あのぅ、今日のテーマはカッツェ様についてなんですけど、リースリングさんはカッツェ様とはどういう関係なんですか?
一応、娘。彼女とアイスヴァインとの間に生まれた。
えええええええっ!!??
あ、驚いてる。
あたりまえですよっ!!初耳ですよ、カッツェ様に娘がいらっしゃっただなんて……(がくっ)。
シュバルツカッツェは私のことを知らない。私はあの人が消滅した後に生まれたから。
そうなんですか……。(でも涙目)
シュバルツカッツェはどんな夢魔ひとだったかは、解らない。私にあるのは、知識だけだから。
夢魔としてのカッツェ様のことは何も知りませんが、とにかくとても綺麗な方でしたよ。そして、初めて僕の話を聞いてくれた方でもありました。
好き、だったの?
――はい。人間に生まれ変われてとても嬉しいんですけど、それを伝えられなかったのが、たった一つの心残りなんです。最後まで、あの人を悲しませたらしいことを、確認することも謝ることもできなかった。きっともう、二度と逢えないのに。
多分、シュバルツカッツェにとってもあなたは特別だった。彼女はあなたを追って、人間になる道を選んだから。
ほんとう――なんですか?
……だから、私とカビネットが、いるの。
――気にしないで。
あ、はい、じゃあそうします。
私も、シュバルツカッツェに会いたい。
やっぱり、「母親」だからですか?
そう言う気は、あまりしない。「父親アイスヴァイン」も、親だと実感したことは無い。
え、リースリングさんはアイスヴァイン様と暮らしてるんじゃないんですか?
違う。私には、カビネットの他にはバニュルスしかいない。彼は、自分の側から絶対に私を離さない。だからずっと、二人と一匹でいる。
バニュルス様――は、確かカッツェ様の兄に当たる夢魔ひと、でしたよね。じゃあ、どうしてカッツェ様に会いたいんですか?
どうしても、彼女に訊きたいことがあるから。バニュルスにも、アイスヴァインにも答えられないから。
だったら、逢えると良いですね――僕も、リースリングさんも。
……じゃあ、さよなら。またあなたと会うなら、夢の世界で。

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