7日目の蝉


地上に落下し

自由に飛んだ羽根が

もう動かない

眼球だけが鋭く

虚空をつかんでいる


その眼光の先にあるものは

大空を舞った記憶でも

これから行く 天国への

想いとも違い それは 

求め合い 激しく合体した

あの 一瞬の
歓びなのだ


一点を見つめ

動かぬ あの鋭い眼こそ

次に生まれくる 想いと

あの時の 激しい恋の想いを
 
 
重ね合わせているように感じる


 2010.08.10 照高



 

 

※後書き:
セミの幼虫は地下で7年
、地上に羽化して7日間の命
自分のDNAを残せる期間は1週間のみ、この1週間こそ命をかけて恋をする。 
恋の喜びに身体を大きく震わせた者、チャンスを逃した者!その震えの大きさで、
死ぬ時の思いも大きく異なる。 命を賭して恋を
成し遂げし者の喜びは、永遠で
死してなお その喜びの表情は消えることはない。