月の雫 様         
 

霧は

森林の宙空から湧き出し

果てしなく形を変えながら

私と木立を隔てる


霧雨は

風にたゆたって

そこにあるものを湿らせ

冷たい感触だけ残して

わたしとわたしを

半透明なカーテンで仕切る


隔てられた距離に

手を差し伸べても

掴めるものはなく

虚しさと寂しさが混じりあうだけ


気象条件に左右され

現れたり消えたり

地球の意思に従う

寂莫の色をもつ存在よ
 


   2007.10.30日作  


         照 高
 


         霧が 突然湧き出し、 

         すべてが覆いつくされ 

         己の心を見失う


         霧雨が 

         激しい風に触れ 

         冷たい感触が 心の傷をゆする


         覆われた静けさの中

         季節が変れば 木の葉も色を変え

         人の心を変える


         霧が 人の心を、どんなに隔てても
 
         風の一吹きで 進む道が開け

         やがて 美しい虹が架かる 


         森が 活き活きと動き出し 

         月の雫が輝き

         見失った 己の心を探し出す。


         霧も風も 宇宙からの 愛のメッセージ 



                  2007.11.02日 照 高