心の風景




藁の燃える炎が地を這い
煙が一面に漂いながら 
天高く 上っていく
 
刈り取りの終った田んぼの中
悦びを、はち切れるほど詰め込んだ
子供達が飛び回っている

もう家に帰りなさ〜い・・・と母親の声
何度云っても 子供の耳には入らない

鳥達も 我が家へ向うのか
グライダーの形で 飛び去って行く

空を染める夕焼け  
日暮れが迫り 子供達も諦め
手を繋いで 仲良く帰って行く

こんな風景を 眺めていると
子供の頃の色彩が 鮮やかに蘇り
思い出の中で あの日にたどり着く

心に秋が いっぱい満ちてきた




   2007.10.26日作 照 高










古の知恵

           

  大地の汚れを焼けば
  生まれ変われる命がある

  古からの知恵は
  過去を今につなぐ伝承の技

  幽かにたなびく煙の下
  背を曲げて働く母がいた

  歴史の上を歩み
  歴史に足跡を刻む

  大地を這う炎に焼かれて
  死んでいった命を弔い

  新しき年に生まれんとする
  更なる命を守りきたる老いた母よ





    2007.10.29日作 月の雫様