キャロル・スミスさんの論文について
キャロル・スミスさんは、イギリスの精神分析医で、かつて映画製作にかかわっていた、経歴があるそうです。彼女の亡き師である、
R.D.レインは、1970年代に「キングズリー・ホール」という、患者を完全に自由に解放した治療施設を作る試みをしました。レインは、一時期、「反精神医学者」という称されるなど、従来の医学サークルから反発を受けたこともあったようです。彼の死後のここ10年あたりは、逆に、海外の精神科医から再評価され、一種のブームがあったと聞きます。”精神分析医”という名前から想像されるように、フロイト流の精神分析の方法を得意としています。(お恥ずかしいことに、正直私は、フロイトについてはほとんど名前しか聞いたことがありません。詳しい方がいたら、教えてください。)もちろん、みな、精神科医の資格をとった後に、精神分析の修練をさらに積んだ方々です。参考文献の最初に挙げられている、レインの30歳までの半生の自伝”Wisdom Madness and Folly” (邦訳 「レインわが半生 −精神医学への道−」 中村保男訳・岩波書店)は、楽しみながら読める作品です。論文の冒頭にアメリカ精神医学会の、
DSMというマニュアルについての問題が書かれています。このマニュアルは、日本を含めた全世界で使用されています。アメリカ精神医学会とC.I.A.がかかわった、マインドコントロールの人体実験について、Colin A.Ross氏による”BLUEBIRD”という本が、2000年に海外で出版されています。この本では、主に、1950年代から80年代にかけての、冷戦期におこなわれた人体実験について、C.I.A.が公表した機密資料を基に解説されています。この本の翻訳が、日本国内で出版される可能性は、皆無であると見込んでいますが、本の内容については、会の皆様に、おって、紹介していきたいとおもっています。DSMには、数多くの作り話(Psychiatric Fiction)が含まれています。論文の内容は、類を見ないほど素晴らしいものです。議論の中心的話題は、国家の関与する人体実験問題、汚職、心理電子工学的技術、現在および将来なさなければならない取り組みなどに置かれています。現在行われている残酷きわまりない行為が、人体実験であるという判断は順当だとおもいます。加害者たちが、それ以上の目的意識を持っているとは、考えたくありません。論文を初めて読んだ際、「心の中ではだれもがただ一人という性質」という点に、非常に強く印象付けられました。そのような当たり前であるはずのことを奪ってしまう状況に、痛烈にいかりを感じます。
この論文を発見したのは、
2003年の9月でした。当時私は、信用していた人物に、被害について相談を持ちかけた際、数々の裏切り行為にあい、絶望に果てに落とされ、自宅に帰ることもできず、東京周辺を放浪していました。痛みすら感じることもできない状態で、最期に加害者に復讐して、一矢報うことを考えていました。ネットカフェで調べた際に、偶然、この論文をみつけました。まさに、これは、神から授かった一筋の光です。限界的状況の中で、両親などに読んでもらおうと思い翻訳を始めたのでした。