2007/12/9

高尾山でみつけた昆虫採集


高尾山は不思議の森です。
山頂に至る道は幾通りもあって、きょう選んだ道には光に包まれた時間がありました。
小川に沿ったカラムシの葉裏に色鮮やかなラミーカミキリをはじめて見つけたのは風も無い真夏の午後でした。
カエデの葉がひとひら横切ったかと思えた鮮烈なヒラヤマの飛翔をいつまでも追いかけたり山頂でウツギの花を掬っていたら、小学生に取り囲まれて校長先生までやってきて、採集どころではなくなってしまったなんていことは一度や二度ではなくて。
なぜこんなことをしているんだろうかと思うよりもカミキリムシに会いたくて今度はどこで何に遭えるだろうかそんなことばかり考えていた私は。
夏の夜ケーブルカーで上がったその山は昼間とは打って変わった別世界が広がっていました。
見上げると星が、空から降るように落ちて静かに葉の上に止まり、それは白く光っていました。
それを網で採集して手のひらに乗せた瞬間の胸の鼓動はいまも鳴り止まず思いは変わることがありません。
静寂の夜に外灯の下点在する長く伸ばした昆虫網は、皆一様に空を見上げて自分のところに星が落ちてこないかと待つ風流人の立ち姿に寄り添い風に揺れていました。
長女の高尾山のカミキリムシを描いた水彩画が高尾登山電鉄株式会社が主催の「高尾山写生コンクール」で、入賞しました。
賞状と副賞を受け取りに行きました。
昆虫採集を理解してくれたら。
日本昆虫協会で長女の「高尾山でみつけたカミキリムシ」という採集記録が「研究大賞」を頂戴したこと、それから手製の叩き網を持参して、使い方を説明して、子供が昆虫にじかに触れることの大切さをつたない言葉で必死に説明しました。
自分からはどうしても言えないことがありました。
しかし一通り説明したあとで、話を聞いてくださった方の言葉は私がどうしても詰まって言えなかったその言葉でした。
「高尾山は、国立公園ですが法律上は昆虫採集禁止の山ではないです。」
おそらく私は昆虫採集のなんたるかなどまるで知らない経験もないごく甘いセンチメンタリズムでしか物事を考えられない人間なんでしょう。
けれども高尾山と昆虫採集を愛する気持ちがあればその思いが昆虫採集に理解がない人の心にもいつか届いて、この山も、そのほかの多くのフィールドも昆虫採集が禁止されることはないと信じます。
 
まだ何もわからない
きっと明日も何もわからない
確かなことは
私はもう待つことをやめて
不思議の森を駆けている
 
 
 
 
 
 
 
 
 


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