2007/10/15

帰化昆虫分布拡大

東京都調布市におけるラミーカミキリParaglenea fortunei(SAUNDERS)の発生状況は極めて局所的で、2004年5月22日27日および29日に野草園外周の植栽であるアメリカフヨウの葉上で数頭を確認したに留まる。
本種の分布拡大傾向には国道および鉄道沿いに広がったカラムシの群落ずたいに東京都奥多摩町から埼玉県秩父市および飯能市にいたるホストを渡って進出するパターン(月刊むし394号:ラミーカミキリを埼玉県秩父市・飯能市で採集)と、よその土地から購入した苗に幼虫がいて、それが羽化して繁殖していくパターン(月刊むし171号:神奈川県産ラミーカミキリの移動経路と一考察などがある。
栃木県でも高速道路沿いのカラムシの群生から本種を確認したとの記録がるが(月刊むし406号:栃木県下都賀郡でラミーカミキリを採集)これも東北自動車道が埼玉県の秩父鉄道と同じ役割を果たしていると思われ、このような道路あるいは鉄道に沿ってカラムシが自然に植栽のように自生し、これがラミーの道となって分布を拡大する場合は、短期間に広域に爆発的に個体数を増加する傾向が見られるが、当地における確認例はむしろ植栽のアメリカフヨウにあらかじめ幼虫がついて、羽化した個体ではないかとの推測をした。
理由としては、本種を確認したとするアメリカフヨウがそれまで本種のホストとしては認知されておらず、この確認例からホストの追加知見とみられるも、現地にはおそらく植栽として人為的に苗が持ち込まれたと思われる。逆にカラムシは当地全域にわたって自生しており、筆者も2004年の5月から7月にかけてフィールド調査したが本種の確認にはいたらなかった。
2005年5月29日、前年度に確認されたとされるポイントのアメリカフヨウの葉上から本種の♂2頭を確認採集した。
さらに31日に追加♂2頭、6月2日には♀を1頭、いずれも同じ植栽のアメリカフヨウの葉上において確認、採集したが周辺および高速道路高架下付近のカラムシの群落からは確認できていない。このことからも、当地のラミーカミキリの発生は、これまでの分布拡大傾向である「カラムシロード」をつたってたどりついたものではなく、神奈川県のムクゲから発生したケースに同じケースと推理している。
その後2007年まで同地のラミーカミキリに発生場所からの移動は見られず、最初に発生を確認したアメリカフヨウの植栽以外から本種を確認できない。発生と共に爆発的に個体数を増加して分布域を拡大していったこれまでのパターンとは異なる非常にゆるやかな累代を繰り返している。
 
 
 




ラミーカミキリの東京都での最初の確認から分布拡大傾向を追った記録(参考文献:月刊むし94年〜02年まで)
1994年東京都高尾山で採集。
1996年東京都奥多摩町で採集。
1997年東京都・神奈川県境、陣場山頂にて採集。
1997年東京都檜原村における記録。
1998年東京都・神奈川県境陣場山頂:ラミーカミキリの飛翔における分布拡大について。
1998年東京都あきるの市および山梨県におけるラミーカミキリの追加記録。
1999年東京都西部日の出町・あきるの市におけるラミーカミキリの追加記録
2002年東京都御岳山におけるラミーカミキリ。
2002年ラミーカミキリを東京都青梅市北部で採集。
 

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