ルシーダ・ディーゼルの整備−3 2016.09.30

ATは「シロ」でした、汚れはすごーい ドライブプレートとフライホイールを外します。
もしも、トランスミッションの前側から油漏れがあるといやだなァと思っていたのですが、幸い写真のようにトルクコンバーターのエンジン側は綺麗です。しかし、トランスミッションケース側は汚れていますねェ。エンジン側から漏れ出たオイルが、回転するフライホイールに振り回されて飛散し、トランスミッションケースに付着、重力により下方に流れて隙間から漏れ落ちる、となっていたようです。
またまたボヤキですが、エンジンオイルがもう少し綺麗なら、こんなには汚れないと思うのですが・・・

写真右のドライブプレートと、写真左のトルクコンバータは6本のボルトで結合しているのです。
また右側の写真、中央のボルト8本は頭に白いペンキが塗られています。

トランスミッションは車体後方に押しやって、エンジン・リヤオイルシールの交換へと進めます。先ずはドライブプレートと共締めになっているフライホイールの取り外しです。8本のボルトを取り外しますが、なにやらボルトの頭に白いペンキが塗られているのですが、意味は分かりません?ボルトの頭の二面サイズもミリサイズと異なるのかなァ、そしてボルト頭が普通のボルトより薄く感じます。・・・  修理書には特別なことは書いて無く、考えても答えが出ないので、とにかくセオリー通り対角線状に緩めることにします。
しかしレンチを掛けても緩みません、クランクシャフトが一緒に回るためです。仕方なく、リングギヤに大きいマイナスドライバーを掛けてフライホイールを回らないようにして、インパクトレンチでババッと緩めます。そうか!ボルト緩み防止剤が塗られていたのです。
先に外したクランクプーリーボルトにも緩み防止剤が塗られていました。この車は1992年製ですが、この頃より車の組み立てに「緩み防止剤」が使われるようになったのでしょうか? このようなボルトの取り外しには締め付け時より高いトルクで緩める必要があるようです。



フライホイールを外しました。 エンジン・リヤオイルシール
もうすぐエンジン・リヤオイルシールにたどり着くのですが、間近のエンジン・リヤエンドプレートの汚れもハンパでは無いようです。写真はフライホイールを外すときに吹き付けた潤滑剤(CRC556)で、流れ出た「緩み防止剤」の赤い粉が流れ落ちて余計に汚れて見えます。リヤエンドプレートはエンジンの後端とトランスミッションケースの前端との結合部分に入る鉄板です。ここまで来たら手で簡単に外れますので、外して綺麗に清掃して保管します。
写真右は、エンジン・クランクシャフトの後端で、茶色に見えるリングが「エンジン・リヤオイルシール」です。ボルト穴が8個で緩み防止剤が残っています。9個目の穴が開いているように見えるのは、クランクシャフトの製造時バランス取りで穿けられたものと思われます。

さて、エンジン・リヤオイルシールですね。この車についている「オイルシール」で一番径の大きいヤツです。従って軸とのスリ合わさる速度も高くなるわけで、高温の中で厳しい環境に耐えています。エンジンオイルが外へ流れ出ることを防止する働きをしているのですが、このエンジンオイルの品質が落ちるとオイルシールの劣化が早まるような気がします。以前に整備したZ32フェアレディZでも、このエンジン・リヤオイルシールがだめになっていて取り替えています。このオイルシールの取り外しも取付も難しい作業です。まず後戻りが出来ません。オイルシールを傷を付けずに取り外すことは出来ず、新品を取り付けたらほぼ位置修正は出来ません。ともに一発勝負です。そして傷を付けることは厳禁です。このオイルシールは当然ながら、回転接触するクランクシャフト軸やリテーナーにも工具を当てたりしないよう注意しなければなりません。これが結構難しいのです。トヨタの修理書にも、もし傷が付いたら400番のサンドペーパーで磨くよう注意が載っているほどです。



新品のリヤオイルシール!なんだか変です?!
クランクシャフトの後端を綺麗にしました。8つのねじ穴も「タップ」で磨き、緩み防止剤の残りカスも無くしました。そして新品のオイルシールにグリースを薄く塗り、「あて板」をしてハンマーを振りエイヤと打ち込みます。ウヘーー失敗です。写真のように傾いた状態になってしまいました。修理書では「オイルシール」は専用の工具を使って打ち込むように指定されているのですが準備できず、木製の板を二枚当てて均等に打ち込んだつもりですが見事失敗です。仕方がありません。今回はごまかして良しとすることにします。写真の左上の位置に全体を合わせることにします。慎重に右下の飛び出している部分をトントンと打ちながら均等になるようにしました。本来は縁のリテーナーと面一(ツライチ)の状態が正しいのですが、3ミリほど奥まったところにリヤオイメシールが納まることになってしまいました。(自己責任です)
とりあえずエンジンの後ろ側の修理はこれで終わりです。ここで再びトランスミッションを取り付けても良いのですが、エンジンのフロント側の修理をするときにクランクシャフトを固定する必要が出てくるかもしれませんので、もう少し先まで組み立ては先延ばしにします。


少し奥まってシールが納まりました。


エンジン・フロントのオイルシール
そこで、エンジンのフロント側へ作業を移します。すでにクランクプーリーは外していますので、3枚のタイミングベルトカバーを取り外すと、タイミングベルトと各プーリーが見えてきます。写真の左端のプーリーは「カムシャフトプーリー」、右上は「インジェクションポンプドライブプーリー」、その下が「クランクシャフトタイミングプーリー」、更に最下位のプーリーは「オイルポンププーリー」以上の4つのプーリーにオイルシールが装着されています。
オイルポンプのプーリー付近が最も汚れており、ゴミで固まって「土手」のように盛り上がっているところもあります。でもタイミングベルトは意外と痛みが見られません。割と油汚れに強い材質のようで、油汚れが潤滑に寄与しているのかもしれません。また、さびもほとんど無く清掃すればほとんど再利用出来るパーツばかりでしょう。ベルトが掛かっているほかのプーリーは、中央上が冷却水ポンププーリー、茶色に見えるベアリングがテンションプーリー、中央左下がアイドラープーリーです。
カムシャフト、インジェクションポンプ、クランクシャフトタイミングプーリーの3つは同期して回りますので、ベルトの取り外しや取付はしっかり合わせること、またベルトを取り外しているときプーリーを単独で回すときは注意が必要です。
今回はインジェクションポンプを除く3つのオイルシールを新品に交換するつもりでいたのですが、よく観察するとカムシャフトの周りは綺麗で油漏れはありませんのでパスすることにしました。そうです、インジェクションポンプとカムシャフトはプーリー歯数がクランクシャフトの二倍ありますから、半分しか回転数がありません。痛みが少ない理由の一つでしょう。クランクシャフトとオイルポンプのオイルシールは取り替えることにします。


オイルポンプのオイルシール
オイルシールの取り替えは、だいぶん慣れてきたので難しくはないのですが、専用の便利な工具は持っていないので、嬉しくない作業の一つです。左の写真は、オイルポンプのオイルシールです。取り外すとき小型のマイナスドライバーを無理矢理差し込んで引っかけ、縁を支点にしてコジルようにして引き出すのです。その結果ゆがんでしまって再利用は全く不可能になります。まあ、オイルシールは再使用するものではありませんのでこれでも良いのですが・・・。ところで写真の新旧を比べてみると、軸に当たる部分の形状が少し違っているようですね!メーカーも部品番号も新旧同じです。改良が加わっているのでしょうか?ところで、オイルシールは軸が回転するため密着出来ないのにオイルを遮断しているのは不思議ですよね?オイルシールメーカーのホームページに少しヒントが出ていました。軸の回転で得られる遠心力でオイルを内側へ導いているらしいのです。だから、オイルシールには軸の回転方向があり、写真のように内側の軸に接触する部分は複雑な模様になっているのだそうです。自動車でも大きさや回転数の違い、回転方向が変わる場合などいろいろあり、その場所に適したオイルシールが使われているのでしょう。たかがオイルシールですが、長く機能させるためにはオイルを良い状態に保っている必要があるのですね。




クランクシャフト・タイミングプーリーの取り外し あれ?フロントのオイルシールが凹んでいる!
いよいよ、この修理の核心に来ました。クランクシャフトフロントオイルシールを取り外して新品を入れることにします。でも、まだ目指すオイルシールは見えていません。クランクシャフトタイミングプーリーが前に居るのです。このプーリーは前方からクランクシャフトに押し込まれているだけですが、空回りしないように半月キーと呼ばれる鉄片が挟まっており、とても手軽に抜けるものではありません。ここでの秘密兵器は「プーリープーラー」と呼ばれる工具で、最近はアジア製の安価なものがあり、購入しました。写真のように、あらかじめプーリーに2〜3カ所ねじ穴が切ってあり、ここに長いねじを差し込み、クランクシャフト前端を芯にして引き出すことが出来ます。以前フェアレディZのエンジンでは、このプーリーがクランクシャフトに錆び付いて抜けず、工具を掛けるねじ穴も無かったため仕方なくタイミングプーリーをグラインダーで切断し割って外したことがありましたが、今回は難なく抜き取ることが出来、再利用も可能です。

プーリーが外れてよく見ると、オイルシールが凹んで見えます! メーカーがエンジンを製作するとき凹ませたとは思えないので、
以前誰かがこのオイルシールを交換し凹ませたままで良しとしたのかもしれません?
と云うことは、エンジンのフロント側の整備は今回が2回目以降ということになり、タイミングベルトの交換も一度はされていたのかもしれません。
クランクシャフト・フロントのオイルシールは難なく終わり、新しいタイミングベルトを掛けて、いよいよ再組み立てが始まります。




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ルシーダ・ディーゼルの整備−2 2016.08.16

ATを載せる台車を作りました
エンジンの前にはもう何も無くなっています。ここでクランクプーリーボルトを外すのが順序かもしれませんが、今回はエンジンとオートマチックトランスミッション(AT)との間から油が漏れ落ちているらしいので、先にATをエンジンと切り離そうと考えています。先にこの作業をする理由はもう一つ、クランクプーリーボルトを緩めるために、クランクプーリーを固定して行うより、エンジン・リヤのフライホイールを固定して行う方が楽ちんと考えているためです。(クランクプーリーを固定する工具を持っていないのです。トホホ)
過去にも何回かATを車体から取り外したことがあるのですが、やはり専用工具は持っていませんので、ガレージ・ジャッキを受台にして降ろすのですが、失敗してATを転がり落としてしまい、一部を壊したり床を漏れた油で海のようにしたことがあります。何より危険ですネ。今回は車体の下の空間が広いので、ジャッキが届かないため写真のような「AT台車」を作りました。古い鉄の台車にパンダ・ジャッキを3台載せてその上に板の台車を裏返しに載せ、上の台車の車輪を取り外したものです。パンダ・ジャッキは上下とも固定してあり、ずれたりするようなことはありません。3台のパンダ・ジャッキを使用したのは、ATが3カ所で板の上に載るためですが、やはり安定さが不足しています。また、パンダ・ジャッキの上下を台車に固定するのは難しいですね!何度も失敗して、試行錯誤まだ不満が残っています。とりあえず自分が上に載って確認、バランス状態ならジャッキにより20センチぐらい上げ下げ出来るし、横への移動も可能となりました。
サアーやりましょう!!
エンジン・トランスミッション分離
エンジンとトランスミッションは、直接大きいボルト4本と、ガゼットという鉄の連結板を介して中ぐらいのボルト3本の計7本でがっちり繋がっています。また、高精度な結合が必要なため位置決めを確実にする「ノックピン」と呼ばれる突起が2つエンジン側にあり、トランスミッション側には受ける穴があります。これの結合要素を一直線に引き離す必要があるのですが、自分がこれまで経験した例は、エンジンが載っている重心位置にエンジンがマウントされていたので楽だったのですが、このルシーダの場合はマウント位置がエンジン前方端とトランスミッションの後端のため、エンジンとトランスミッションの結合部分が一番重さのかかる場所ということになり、エンジン後端にもジャッキを入れないとトランスミッションは取り外すことが出来ません。写真のように、工事現場などで使用する鉄パイプを一本横に渡してコンクリートブロックで高さを上げエンジンの後端を支えました。これで例の「AT台車」をトランスミッションの下に入れて高さを調整しながら、すべてのボルトを外しトランスミッションを後方へ移動しエンジン後ろのフライホイールが丸見えの状態にすることが出来ました。書きませんでしたが、事前にトランスミッションの後端から伸びている「プロペラシャフト」は取り外していました。
エンジン・クランクシャフトプーリーボルトの取り外し
奥の方にトランスミッションが居ます。

多分一番堅く締め付けられている「クランクシャフトプーリーボルト」をここらで取り外さなければなりません。整備書には、「特殊工具でプーリーを固定してボルトを外せ」と書いてありますが、そんなものはありませんのでクランクシャフトプーリーの固定はあきらめて、フライホイールを固定する方法にします。写真のように、またまた工事現場の「鉄パイプ」をフライホイールに番線で固定して回らないようにします。これで思いっきりクランクシャフトプーリーボルトを緩めることが出来ます。今回は持っている一番大きい(長い)スピンナーハンドルに更に延長パイプを繋いで、エイヤーと緩めることが出来ました。全くデタラメで無謀な分解整備ですが、「自己責任の世界」と割り切るしかありません。とにかく後には引けず前へ進むことが必要なのです。


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ルシーダ・ディーゼルの整備−1 2016.07.10

座席を取り外しました エンジンが丸見えになっています
この車はエンジン本体の整備をするためには、フロント・シートを取り外し、カーペットをめくり上げて、大きなドーム状のエンジンカバーを取り外さなければなりません。(オイル交換だけなら、助手席を起こすだけで出来ます)しかし外した座席や汚れているパーツは、後方の客室(荷室)に新聞紙などを敷いて並べて置くわけですが、この車は汚れ方が半端ではありません。仕方がないので、取り外したらまず水洗いし、油汚れはパーツクリーナーを吹いてウェスで落とさなければなりません。まあ、時間はいくらでもあるからいいけど。。
今回は、原則としてネジ・ボルトは取り外したら元のところにねじ込んで置くことにしました。一つのパーツが複数のボルトで取り付けてある場合、同一ボルトなら取り外しても問題はありませんが、異なる長さやサイズのボルトの場合、再取り付けで悩むことがあるためです。トランスミッションの取り付けボルトのように重要なボルトは整備書に書いてありますので、書いてないのは楽に考えても良いのかもしれませんが。




イクイップメントシャフト(前方から見上げる) 取り外しました(右下がフロント側) 油漏れは、エンジンの前と、後ろのトランスミッション(AT)との結合部からのようです。しかし、ATの前からも漏れている可能性があります。とにかく「真ッ黒」な墨汁の液体がポトリポトリと主に2カ所から床下のコンクリートに落ちて汚しています。とりあえず、エンジンの前側はクランクシャフト・オイルシールと、カムシャフトのオイルシール、エンジンの後ろ側はやはりクランクシャフトのリヤ・オイルシールの3つを取り替えることを目標にしました。このときタイミングベルトも取り外しますので交換することにします。
先ずは、フロントのパーツを取り外します。「イクイップメントシャフト」というエンジンのクランクシャフトの延長みたいなシャフトを取り外すためです。このシャフトで回転を前の方に伝えて、ラジエーターファンやオルタネーター、パワステポンプ、エアコンのコンプレッサーを回しているのです。最初の難関がこのシャフト外しでしたが、何とか乗り切りました。でも、予想通りこのシャフトの前後についている「ゴムのジョイント」が完全に壊れています。このパーツは高価なんです!