Mission-3 エンジン再搭載


エンジンクレーンに新兵器
半年後です。すでにATトランスミッションは外観の清掃のみ終わり車体に戻してあります。
何はともあれエンジンを元の場所に戻すことを優先しました。作業場所が占有されて2年も経過し、そばに置いているクレーンもさび始めています。エンジンはピストンこそ分解しませんでしたが、ヘッドは全分解して清掃しバルブステムを交換して途中までですが再組立をしました。結局このエンジンは、特に摩耗したり傷が入ったりはしておらず、ただカムシャフトのオイルシールがダメになってオイルが漏れていたようで、これを液体パッキンによる対処療法でふさごうとしたが不完全で、エンジンの前面から下側そしてトランスミッションまで漏れたオイルにゴミやほこりが混ざって汚くなっていたようです。
さて、エンジンの再搭載ですが、100Kgはありそうなものを腰より上まで持ち上げて、ギリギリの大きさのエンジンルームに納めるのは結構難しいのです。エンジンを降ろすときの反省は、持ち上げるときエンジンが勝手に周りにぶつかり、手で押さえるのに苦労しており、再搭載でも同様なことが起こると考えられたため、良い方法がないかとクレーンについて調べたら、「スイベル」と言う装置があることを知りました。クレーンで持ち上げた荷物を横方向にクルクル回転させることが出来る装置で、中にはベアリング入りで何十万円もするプロ用高級品もあります。今回は750Kgまでの安物ですが入手して本当に楽に正確にエンジンを搭載することが出来ました。ただこの装置を使うと20センチ程高さを犠牲にしなければならないため、クレーンや天井の高さに注意が必要です。


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−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− Mission-2 エンジン清掃


エンジンを洗う
車体から降ろしたエンジンは「エンジンスタンド」に載せると、丁度腰ぐらいの高さで360度回転する事が出来ます。すでにヘッドは外されていますので、裏返しにしてオイルパンを取り外し、洗浄後再取り付けで完成です。今回もピストンの取り外しはやめました。多少問題が有っても手に負えないという理由からです。
汚れていることがトラブルを見逃す原因です。また作業意欲を阻害します。取り外したパーツは洗浄することで再利用が可能かどうかを見極めることが出来ます。プロは高温の蒸気を吹きかけることで美しくするでしょうが、アマチュアは洗浄剤を溶かした温水にどぶ漬けして汚れを落とします。ここでは使用している湯沸かし器が唯一近代兵器です。おおよそ60度まで温度を上げてやると汚れが落ちやすくなります。しかしアルミはちょっと洗浄剤に弱いので濃度や時間に注意しなければなりません。また、汚れが取れて液体に移るわけですから、時間と共に液体が汚れて洗浄力が弱まりますので、だんだんどぶ漬け時間を長くしないと綺麗になりません。何日間も掛かってエンジン周りのパーツを洗う地道な作業をしました。
失敗談はたくさんあるのですが、洗浄桶の底にワッシャやシムなどのパーツが残ったという不名誉なことがありました。本来は取り外せるパーツはすべて取り外して再利用のために整理するか、または自然に外れて無くならないよう養生するのですが、これを忘れたり気付かなかったりして、洗浄中に外れてしまい桶の底に沈み後で発見するという失敗がありました。「バルブシート」は24枚あるはずですが、なぜか一枚が見あたらず行方不明です。結局一枚だけ新品を買ってきましたが、どこへ行ったのか・・・もう探し疲れました。


バルブオイルシールの取り外しに苦戦
バルブの潤滑とオイル漏れという相反する役割を担っているのがこのオイルシールですが、その位置から高温にさらされながら激しく動くバルブに接しているわけですから、そんなに寿命が長いとは思えないのですが、なぜか昔から定期交換部品には指定されていません。ヘッドはどぶ漬け洗浄しましたので綺麗になったのですが、バルブオイルシールもオイル分が抜けてカラカラになっておりこの際交換しようと思います。結果このバルブオイルシールの取り外しに半月間も費やしました。整備書などには、先の細い「ラジオペンチ」などで引き抜くと書いてあるのですが、そんなに生易しいものではありません。ネットで調べたら数万円もする特殊工具があるようですが、多くの方が悪戦苦闘して取り外していることを知りました。自分の取った方法は「ギアプーラー」を使用する方法です。「つまんで引き抜く」という方法は取り外しをより困難にしていると考え、「引きはがす」という方法にしました。一番小さなギアプーラーを買ってきて、グラインダーで周りを削り落としてなんとかサイズを合わせ、テコの原理でエイヤと引き上げて引きはがしました。取り外したシールを見るとそんなに傷んではおらずまだ使えそうでしたが、取り外した時に変形させたり傷をつけたりしたことが分かりました。適切にオイル交換さえしておれば、このバルブオイルシールは長持ちするようですね。なお、新しいバルブオイルシールの挿入は訳なくできました。


ヘッドを載せる
エンジンを降ろすまえに、ヘッドを先に外してほとんど「ブロックのみ」の状態にして降ろしたのですが、「ターボチャージャー」の取り外しに難儀しました。エンジンとシャーシの間にターボが入るのですが、その隙間が狭く位置も厳しい状態です。そこでターボだけはエンジンに取り付けた後に載せることにしました。
手順としては、ヘッドに24個のバルブを取り付け、ブロックに2つのヘッドを載せ、そして左側のエキゾーストマニホールドを取り付けてターボを付ける、です。写真のようにブロックに対してヘッドは大きいですね。この上に更にインテークマニホールドが載るのですから、V型エンジンは「頭でっかち」です。
エンジンの組立は一番自動車いじりの核心ですネ。綺麗にエアブローして脱脂し、パーツを静かにはめ込んで、ボルトをねじ込み、そして決められた順序で複数回に分けて少しずつ決められたトルクで締め付けします。特にヘッドボルトの締め付けは細かく指定されており、「一度規定のトルクで締めた後ゼロに戻して再度規定トルクで締めたのち70度の角度締めする」となっています。これはヘッドボルトの延びやヘッドカスケットの圧縮でヘッドとブロックがなじむことを期待するのだと思っています。また、かなり大きな力で締め付けるので鉄やアルミの金属でも変形を許容範囲にしなければならないのだと思います。
V型エンジンの「ヘッド載せ」はエンジンスタンドでやらないと難しいのではないかと思います。傾斜した状態では均等な作業がしにくく、危険でもあります。ただ、強力なトルクでの締め付けはエンジンスタンド全体を固定する方法が無いと共周りしてダメです。二人で作業が出来れば良いのですが・・・。


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−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− Mission-1 エンジン取り外し


まず、フロントのパーツを全部取り外しました
重い腰を上げたのは2012年の春、体調も回復して割合短期間でキレイにできるかなぁ、と始めることにしました。 まずは「場所」です。前回のZ32は隣県の実家の納屋で、雨風はしのげてバラしたパーツの置き場に困ることは無かったのですが、 高速でも一時間かかる距離がネックでした。今度は自宅でやろうと決意したのですが、悪条件はほとんど前回と逆で、 屋根はあるものの吹きさらし広さはギリギリ、取り外したパーツ保管は隣県の納屋まで持って行って保管、となってしまいました。 何より近所から白そうな目で見られるのもつらいです。新聞屋さんや郵便屋さんもアキレタように声を掛けてくれます。 雨や風の強い日、夜間は作業できません。作業の開始前の準備と終了後の片づけに時間が取られます。 でも遊びですからこんな条件でも仕方がありません。納期なし気分が向いたら作業をすれば良いのです。 狭いところで作業する場合に注意することは、車が移動できるうちにやっておかなければならないことを済ませておくことです。 今回は車の右側と後ろ側にスペースが取れません。右前のフェンダー後端のボルト1本は右ドアが全開でしか外せません。 右ドアも外すときは全開にする必要がありますが、今回はドアを外すような作業はしませんのでパスです。 後ろは、ガソリンタンクの取り外しとマフラーの取り外しを事前にやっておけばギリギリのスペースでもOKでしょう。 こうして、車を持ち上げて下にコンクリートブロックや木っ端を入れて固定します。1年から長ければ3年間ぐらいこの状態を保つ予定です。 このレパードの作業は「エンジンとパワステの修理およびエンジンルームをキレイにする」と決めました。勝手に「レストア」と自称します。 完全に壊れているのは「クーラー」および「ガソリン・タンク」の2点ですが、クーラーは廃棄しクーラー無しとします。タンクは中古品を探します。 バシバシとパーツを外します。ほとんどは再利用しますので壊さないようにしなければなりません。錆びたボルトがなめたり折れたり、 そして弾みですりむいたり打撲したり、半日もやると腰も痛くなります。小さなパーツはなるべく分離しないで大きな親パーツに付けたままにしておきます。 ボルトやナットなどもなるべく元の場所にねじ込んでおくのが良いのですが、どうしても外す場合は古い封筒に入れて場所や本数を書き込んでおきます。 また、あちこちをデジカメで撮影しておくことで再組み立ての時迷わずにすみます。


取り外すと必ず壊れます
自動車の敵は「水」と「熱」それに「紫外線」かな。「時間」も敵かもしれません。20年以上も敵にさらされていた自動車のパーツは 汚れて錆びてもろくなり摩耗しています。エンジンの下半身は、熱い排気と道路からの水気でそれは過酷な状況にあります。 この車のターボチャージャーはエンジンブロックの左側に抱えるような形で着いており、あまり風通しの良くない位置です。ターボを 出た排気はフロント・チューブへと排出され触媒で清浄化されてマフラーを経て外界へ出ます。写真はターボの出口フロントチューブ の入り口です。3本のスタッドボルトにナットでターボに取り付けられているのですが、うち1個のナットがどうしても緩まず、 スタッドボルトがねじ切れてしまいました。ナットの角がなめて回らなくなってしまうよりましな状況と思っています。しかし、 再度組み上げるときは、切れたスタッドホルトをなんとか取り外して、新しいスタッドボルトを取り付ける必要があります。
どうせやらなければならないので、今のうちに取り外しだけはやっておこうと、ドリルでボルトに向かって穴あけをします。ボルト より少し細いドリルを、切れたボルト面の真ん中にまっすぐに穴あけをしようとしますが、上手くいきません!今回も真ん中から それてしまいました。なんとか穴は開いても刺さっているボルトは簡単には取れません。次はヤスリの出番です。あいた穴をさらに 広げるようにゴシゴシヤスリをかけます。細い丸ヤスリですからなかなか捗りません。あきらめずにゴシゴシ・・・、ほぼボルト が無くなって雌ねじ側の山らしいのが見えてきたら苦難は終わりです。次は「タップ」をかけます。元のねじ穴と一致するタップを慎重 にしっかりねじ込みます。もしタップを折ったりしたらこれはハガネですから取るのは絶望的です。今回はなんとか折らずに最後まで 進み、無事にスタッドボルトが取れ、雌ねじ側も大きな損傷とはなりませんでした。
これまで他に2カ所M6ボルトの折損をしましたが、なんとか同じ方法で残ったボルトを取り外すことが出来ました。こんな作業の ついでに、取り外したボルト穴をタップでさらい、防錆スプレーを吹いておくようにしました。再組み立てまで○年は掛かりますから?


まだ外すパーツはたくさんあります
いつか車のパーツは2万点と聞いたことがありますが、この車は多分そんなには無いと思います。しかし取り外してみると確かに多 くのパーツが組み合わさって一台の自動車が出来上がっていることに気づかされます。当然無駄なものはほとんど無く、あらゆる場面を 想定すると必ずある役割を果たしているわけです。写真のパーツのうち上に写っているのは「キャニスター」と呼ばれるパーツで、 主に自動車が停止しているときに重要な役割をします。ガソリンは「揮発油」とも呼ばれ、タンクの中で常温でも気化していますので、 外部に出すと危険ですから、このキャニスターの中に貯めておき、エンジンが始動したら燃料の一部として供給することで、安全に 燃料を無駄をしないようにしています。ただ、どのくらい貯められるのか?正常に機能していることの確認方法など、このパーツのこと を知らないでいることが多く反省しています。この車は、ガソリンタンクの内部が錆びてエンジン不動になった経歴があり、この「キャ ニスター」が原因の一部になっているような気がしています。組み立てまでに内部の様子や機能の確認をしてみようと思っています。


エンジンを降ろす準備が出来ました。
思っていたより多くのパーツがエンジンの上に載っていることを感じています。そして、潤滑油や冷却水などの液体とバキュウムのパイプやホースが繋がり、シリンダーヘッドの周りにまとわりついている感じで、名前通り「人の顔」に見えてきます。
さて、バラしてみると、このエンジンは以前にオーバーホールされた痕跡があります。自分はさておいてあまり上手なオーバーホールでは無かったようで、「オイルシールの咬み込み」が一つ、そして「カムシャフトのオイルシール交換せず再使用」などの整備ミスが認められます。オイルシールについては、エンジン前後が「にじみ出た油」でひどい汚れになっていました。
オイル汚れは功罪がありますネ。総合的には汚れていない方が良いのですが、部分的にはオイルによる錆防止やボルトナットが外しやすいという良いところがあるのです。プロは蒸気や高圧水噴射で綺麗にしてから整備をするのでしょうが、自分はシコシコとウェスで汚れ落としを続けます。
エンジン降ろしの方法にはいくつかの種類がありますが、今回は天井が低いことが理由でエンジン単体で上に上げて車体の前へ降ろすことに決めました。そのためエンジンの上部分をすべて取り払いエンジンの背丈を低くして、トランスミッションを車体側に残しました。車両リフトがあればエンジンを下に残して車体を上げると楽なのですが望むべくもありません。




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