ようやく家に辿りついた直江は、疲れた体を引きずりながらベッドに向かった。
「ただいま、高耶さん」
起こさないように、心の中で囁く。
それだけで、殺伐としていた神経が、フッと和らいだ。
小さな寝息が聞こえる。
寝顔をもっと見たくなって、そうっと高耶の横に手をついた。
じっと見入っていると、ふいに高耶が身じろいだ。
驚いて身を引こうとするより早く、
直江の手は高耶に掴まって、抱き枕の代わりになっていた。
「ん…なぉ…」
言葉にならない呟きを漏らして、
高耶は幸せそうに手を抱いたまま眠っている。
呼吸も忘れて見つめていた直江は、
暫くしてホゥと細い息を吐くと、高耶の耳に唇を寄せた。
甘噛みして、柔らかな耳たぶを口に含んで、
耳の裏にチロリと舌を這わせて…
「…ンぁ…ふ…んん」
高耶の声が甘い喘ぎに変わるまで、ゆっくり追い上げて…
怒るだろうと思ったが、もう止まらなかった。
睨みつける瞳までも、愛しくて見たくてしかたがない。
バカで阿呆で、どうしようもない。
そんな自分に呆れながら、直江は高耶のボタンをひとつずつ外していった。
5月5日
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