『真実』

こんなんじゃ足りない
おまえじゃなきゃ、ダメなんだ
くれよ。さあ、早く…
ほら、おまえも俺を欲しがってる
指だけでも唇だけでもなく
心と体の全部の力で、俺に迫って来い

暴いてくれ 
その欲望に満ちた瞳で、俺の真実を

俺の弱さをなじってくれ
この臆病を嘲笑ってくれ
横暴で、自分勝手で、卑怯者だと責めてくれ
酷い人だと嘆いてくれ

あなたなんか、忘れ去られると脅せばいい
それが真実なんだと、俺は知ってる
人は偶像化した俺の虚像を、追っているだけなのだと
だから、そんなものは続くはずがないのだと

そうして
なにもかも無くした俺を、
抱きしめて離さないと言ってくれ
なんの価値もない俺でも、欲しくてたまらないと

おまえの熱が、俺の欲望に火をつける
追い上げられて、責めたてられて
俺の知らない俺が、おまえの前に現れる
なにもかも剥ぎ取られた、裸の俺がそこにいる
おまえだけが、本当の俺をみる

この痛みは、おまえが俺を求める証し
激しくてもいい
泣き叫んでもかまわない
砕けるほど強く、
もっと強く抱けばいい
おまえの思いが、俺を満たして溢れるまで…

 

もっと欲しがって
もっと求めて
俺じゃないとダメだと言って

狂わせてあげる
あなたが我を忘れて俺にしがみつくまで
あそこも…ここも…たっぷりと可愛がってあげる
そう。こうすると感じるでしょう?

いい声だ
我慢しないで
もっと気持ち良くなるから

あなたの全てをみせて
怖がらなくていい
あなたを覆っているものを、俺が全部剥がしてみせる
そうして解き放たれたあなたの美しさは、誰も知らない

誰にも教えない
誰にも渡さない
俺だけのもの

どんなに求めても求めたりない
もっと欲しい
あなたの全てが欲しい
今だけじゃなくて
どの瞬間のあなたも見ていたい

だけど、あなたの心にあるのは、俺が全てじゃない
あなたはいつも、俺に見えないものを見ている
それでも、今この瞬間
剥き出しのあなたの核を、俺は抱きしめている
俺だけを見つめて、俺だけを感じているあなたを

美しい獣よ
愛しい生命よ

あなたが俺の全て
俺の真実

 

          2005年6月18日

 

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