「なあ、これってお祝いの時に飲むんじゃなかったか?」
旨いからいいけど。と言いながら茶を啜ると、
「ええ。今日は特別な日ですから。」
知らないんですか?と言いたげな表情で直江が応じた。
「?…何の日だ?…今日って…何もないだろう?」
考え込む高耶を見て、直江はこみ上げる笑いを堪えた。
「降参ですか?」
悔しくて睨みつけたものの、全然わからない。
しかたなく降参すると、
「ほらね。あなたが降参した記念の日ですよ。」
直江がにっこり笑った。
「なんだと〜っ!んなの認めねえっ!!
だいいち、それって全然お祝いじゃねえだろうが!!」
「お祝いですよ。私にとっては、ね。」
あなたと過ごす毎日が、全部かけがえのない特別な日なんですよ。
そう心の内で呟くと、むくれる高耶を抱きしめた。
ゆっくり視線を絡ませて、熱い瞳が思いを囁く。
重ねた唇から、春の香りが広がった。
2005年4月6日 by桜木かよ
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