雨音が聞こえる。
明日はせっかくの休みなのに…
気持ち良さそうに眠る高耶の髪を梳きながら、
直江は独り言のように、小さな声で語りかけた。
「高耶さん、もし明日晴れたら…」
すると、まだ言い終わらないうちに、
「ん…思いきり洗濯できる…」
ムニャムニャと高耶が呟いた。
「洗濯?…そうじゃなくて」
どこか行きたいところは無いんですか?
少しがっかりした気分で言いかけた直江は、
すぐにふふっと微笑んで、高耶の額にそっと口付けた。
…寝言だ。
「おやすみなさい、高耶さん。」
囁いて、そのまま寝顔を見つめた。
あした晴れたら、青空の下で笑うあなたを抱きしめよう。
もし雨なら…
クスッと楽しげに笑うと、直江は静かに目を瞑った。
雨音が、軽やかな休日の前奏曲を奏でていた。
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