吹きすさぶ風が、木立を揺らす。 轟々と鳴っているのは、荒れ狂う嵐の叫びなのか。
だがその叫びも、今の高耶には届かない。 今、彼に届いているのは、ただひとりの魂だけだった。
「…っは…あぅ…ふ…」 「もっと声を…出して…」 大丈夫。誰にも聞こえない。
そう耳元で囁いて、首筋に舌を這わせる。 甘い吐息が喘ぎに変わっていく。
闇を揺らして、嵐は激しさを増していた。
2005年4月16日
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