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通りの真ん中にある足湯、 「あんべ湯」。
目抜き通りの真ん中に白煙が上がり、その湯煙を囲むように人々がベンチに座ってくつろいでいる。ここは、あつみ温泉自慢の足湯「あんべ湯」だ。“あんべ”とは塩梅・具合・調子を意味する土地の訛で、“通り”を意味する“アベニュー”とかけて名付けられた。ベンチが不規則に配置され、見知らぬ同士が気兼ねなく足湯を楽しめるようになっている。とはいっても、のんびり足湯につかっていると自然と会話は生まれてくる。
「いいあんべすか?」と地元の方に声をかけられた。「あんべ湯の湯煙は“温海まで来てもらってありがとう”という気持ちというか、ごあいさつみたいなものなんですよ。旅館にチェックインしてから夕食まで、ちょっと時間があるじゃないですか。その空いている時間に街を散歩してもらって、足湯にでもつかってもらえればと思って“あんべ湯”をつくったんだそうです」。
街の人のあったかい心がこもった足湯だが、湯温はちょっとぬるめだ。
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時間が経つにつれ、だんだんと温もってきて、体中が暖かくなってくる。
“あんべ湯”の向かい側には、温泉饅頭やジュース、ソフトクリームなどを売っている店があり、
裸足のままで買い物をして、飲みながら食べながら足湯を満喫できるようになっているのもうれしい。
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人々がゆったり語らい クルマもまた、ゆっくり走る。
観光バスや自動車が往来する通りの中央分離帯にあるために、
事故などのトラブルが無いか気になって伺ってみた。 |
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「あんべ湯をつくるときに、人間中心の道にしようというという想いもあったらしいんですよ。
人が道の真ん中 で堂々と足湯につかれて、逆にクルマは道路の端を走らせようと。道路に人が座っているわけですから、 ドライバーもゆっくりとした運転になりますから、いままで事故とかそういうものは一切ありませんね」。 |
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あつみ温泉では、そぞろ歩きのできる楽しい街づくりを目指しているという。暮らしの道ゾーンと名付けられた街づくりは、訪れる観光客だけではなく、そこに住む人々にとっても、心温かいものになっているようだ。 |
 
写真上右/朝市
地元の方に四つ目の足湯があると聞いて訪れた温泉神社の朝市。神殿の脇に温泉がひかれ、飲湯できるようになっている。
一見すると足湯のようだが、ビン牛乳が温められていることもあり、奉納の湯に手をひたすだけでその場をあとにした。
写真上中央/もっけ湯
温海川のほとりにあり、温海岳と温海川を一望できる一番新しい足湯。温海の方言で“ここまでしてくれて
ありがとう”という意味の“もっけだの〜”から名付けられている。
写真上左/温海川両岸の温泉街
あつみ温泉は温海川の両岸に温泉宿が立ち並ぶ素朴な風情の温泉街。開湯千年余りの歴史をもつ静かな街に、
「あんべ湯」、「もっしぇ湯」、「もっけ湯」と三つの足湯が誕生し、評判を集めている。
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