緋總と紅く     


      昭和五年度静岡高等学校映寮々歌

         伴奏:TAKECHANバンド 

1、緋總(ひぶさ)(あか)く丘に咲く  萬朶の花や春霞
  醍醐の(うたげ)偲びつゝ  歡喜に燃ゆる若き子が
  斟みてはつきぬ美酒(うまざけ)の  (あした)の風にこぼるれば
  世に暗雲の影失せて  (きよ)き光は移り行く

2、千年の松の影やどし  浩湯々(こうしょうじょう)の水の面
  眞理(まこと)たづぬる旅人が  古城の(もと)を彷へば
  (はちす)は白く闇に浮き  水鳥(みなどり)ひくゝ友と呼ぶ
  あゝ感激と憧憬(あこがれ)に  つきぬ思の夏の宵

4、斜面(なぞえ)の錦あせ果てゝ  白皚々の冬の山
  枯野の末に鳴る鐘は  不滅の法則(のり)を傳ふなり
  松は緑に砂白き  三保の海邊に出て立ちて
  仰げば高き不二ヶ嶺の 久遠の姿にこがる哉


  *曲の途中で、ニ短調からロ長調に変わっています。また、この寮歌は勇ましく歌うようですが、情趣深く
   歌うのもいいですね(私はそのように歌います)。