妖雲剣もて 　　　　

　　　　　　大阪高等学校昭和六年第十回記念祭歌

　　　　　　　　伴奏：TAKECHANバンド


１、妖雲剣もて排すべし
　　自由は死もて護るべし
　　たぎる血潮を身に秘めて
　　文武の道にいそしみつ
　　図南の城に籠る児の
　　意気八荒にあふる哉

２、やどるよすがは紫の
　　この橄欖の花の下(もと)
　　翼やすむる雛鳳の
　　門出(かどで)の朝(あした)しのぶとき
　　彼蒼(ひそう)を閉す雲裂けて
　　我が行く方に光あり

３、月明に星稀に
　　街樹の梢ゆらめけば
　　金剛葛城影淡く
　　大野(おほの)の東さへぎりて
　　わが学舎は山の如
　　阿倍野原に黙(もだ)し立つ

４、曼珠沙華(まんじゅしゃげ)咲く帝塚台
　　疾風(はやて)になびく旗芒(はたすすき)
　　蜻蛉(あきつ)の群の乱れ飛び
　　蕭条秋の更けゆけば
　　健児六百祝ぎ狂ふ
　　創業の日はめぐり来ぬ

５、あゝ若き日の三星霜
　　結びも堅き友垣よ
　　かたみに手に手とりかはし
　　金盞捧げ高らかに
　　歌ひたゝへん今日の日ぞ
　　十年(ととせ)の秋の記念祭