津輕の野邊に     


      弘前高等学校昭和十五年第十九回開寮記念祭歌

        伴奏:TAKECHANバンド 

 1、津輕の野邊に秋立ちて   落日山に映ゆる時
   羅漢柏の林に獨り居て   濁れる人世嘲れば
   胸に嗟嘆の涙湧く     

 2、街の叫びは高くして    蟲惑の霧は雛鵬の
   行方遙かに包めども    古りし寮舎の窓の邊に
   先師が遺訓胸に打つ

 3、春沈湎の陶酔も      思へば長き夢なりき
   憂に沈む若き兒に     物思へとや星屑は
   黙示仄かに冴ゆるかな   

 4、哀れ物皆運命あり     時潮の流れに果敢なくも
   懐古の夢は醒め果てゝ   賤き生活はあらたまり
   姑息の觴杯碎け散る  

 5、歴史は古りて十九年    榮の祭りは近づきぬ
   見よ北溟の聖き地に    面諛に狂ふ人の世を
   憫み嘆く健兒あり