霞の影に     


      弘前高等学校大正十三年第三回開寮記念祭歌

        伴奏:TAKECHANバンド 

 1、霞の影に萌え出でし    青柳髪を梳り
   萬朶の櫻こぼれては    夢に溶け行く淺翠
   慕へどあはれ逝く春を   誰かは永久に留め得ん

 2、快樂究竟と言ふ勿れ    生命の轍春闌けて
   灰冷え渡る香盤に     流転の『時』を刻むなり
   夕の鐘の漂や       紅眉の遊子涙あり

 3、朝に仰ぐ津輕富士     夕に辿る岩木川
   萬古不滅の白雪に     啓示の光身に浴びて
   嫩草烟る岸の春      理想の影に憧憬るゝ

 6、清水が里に春逝いて    若き血潮を月に舞ふ
   今宵三年の記念祭     歡宴の團欒清ければ
   花の褥に額きて      溢るゝ思汲まん哉