暁近き   


      佐賀高等学校大正十一年度寮歌

      伴奏:TAKECHANバンド 

 1、暁近き野に出でて
   光をまちて佇めば
   深き大地のささやきに
   懐疑の夢はさめにけり
   高鳴る胸を抑へつつ
   新しき日を歌ふかな

 2、由なき智慧の惑しを
   離れて一人生きんかな
   野に放たれし仔羊が
   緑の草を慕ひては
   足どり軽く迷ひ入る
   ああその心誰か知る

 3、大空高く鳴くひばり
   その金色の音に濡れて
   草に臥したる若人が
   初夏の陽の輝きに
   ふるふ生命を吹きならす
   調かなしき草笛や

 5、
三年の春を涯もなく
   広野に送る幸は
   巷の塵を忘れはて
   黒き大地の上に立ち
   遠く地平に生れ出づる
   明るき星を見る心

  6、静けき涙めでよとて
   夕月白く冴たれど
   おどる心を如何にせん
   命よ永久に燃えたれと
   今宵宴の銀燭に
   盃挙げて歌ふかな