1、春三月の花の香に 現なき日の放浪に
十幾年を送りけり されど若人まどろまん
ここ夢の國東郊の地 ああ幻想の春なれや
2、今宵火搖ぐ三樓に 幻の霧訪ひぬ
いざ立て友よ玉杯に 契永久に歌ひなん
春いつかめぐりくる ああ歡樂の春なれや
3、苔蒸す史三寮に 盡きぬ流は紅の
地なり肉なりたまゆらの 生命を惜しむ友と友
熱き涙に相抱く ああ感激の春なれや
4、偸安宿す橄欖の 露落ち花の散るもとに
思ひを秘めて彳めば 君は知らずや草笛の
うれひを乗せて流ゆく ああ哀傷の春なれや
5、行く水ゆるしヨルダンの 流れを酌みてなつかしむ
丘の日今し暮れ行けど 無言の祈り合掌に
星辰愛をささやきぬ ああ修道の春なれや