若紫に         

      明治四十三年第六高等学校寮歌
  
              
伴奏:TAKECHANバンド


1、若紫に夜は明けて     あゝ暁天の雲の色
  春風さそふ清新の     木芽に霞こむるとき
  静かにたてる六稜の    城の英姿の崇きかな

2、エデンの園にアダム等が  木の実を食ひし昔より
  花咲く陰に巣くふ蛇    闇に窺ふ妖魔等の
  巧は如何にさかしくも   などで侵さん術やある

3、吉備の天地に覇をなして  操守十年いまこゝに
  築く礎いや堅く      悪魔の呪詛も何かせん
  文武の旗幟堂々と     篭る健児の意気高し

4、来れ正義の讐敵よ     漭瀁(ばうやう)の野に戦はん
  天に鐘鼓の音震ひ     れい旗繽紛地にみちて
  多軍を誇る何者ぞ     わが鉄腕の一撃に

5、天の鼓の楽の音      春の台にうち乗りて
  舞ふや花間の蝶のごと   希望の国に飛揚せん
  見よ紅のかんばせを    壯心燃ゆる健児らの

8、都の塵はかゝるとも    市のひゞきはかようふとも
  操の山の尊き松      あした金風吹きなれば
  昔男児の弾きたらん    真弓の絃のひゞきあり