砂丘の仮寝         

       昭和十四年第四高等学校第十七回記念祭寮歌            
                        
             
伴奏:TAKECHANバンド


1、砂丘の仮寝夢淡く    頬に冷き草の露
  霧に乱るゝ渦潮の    破壊の音しげき欄干に
  暫しともなく薄れ行く  伝統の偶像
      入日の長き影浴びて   幻遠くひた追へば
      黒曜光る若人の     瞳に挽歌の愁ひあり

2、荒き思潮の夜嵐に    奇しくも散らぬ友情の
  美しき花を抱きては   朽つる路傍の道標
  鈍色の雲低く行く    時代の十字路

3、人生の羈旅の瞬間を   白楊葉蔭に宿かりて
  純き情の語らひに    明日の旅路は長くとも
  再び鳴らじ春愁の    心の竪琴

5、さはれ今宵の花宴    互みに幸を祈りつゝ
  自治燈の下涙して    そゝぐ銀壷の酒の面に
  仄にゆらぐよ永遠に来ぬ 三年の思ひ出
      思ひ出今日を限りにと  北辰洩るゝ森かげに
      篝火焚きて若き日の   歌ひめやかに口誦せん