憧憬多きものゝ悲哀は大きい。だがそのいたでを観照してのみ更に新たな悦びに蘇る。
友よ、いたづらに嘆くをやめて心静かに雨の一夜を教へらるゝ所多く声を感慨の歌に合わさん。
1、寮灯青き夜の雨 闇を流るゝ感激の
友の歌声我和せば 窓金色にしめりつゝ
頬を伝ふる涙かな
3、君の憂は秘む勿れ 共に孤燈に我泣かん
君が喜び語れかし 共に抱きて我舞はん
君と我との仲なれば
5、燃ゆる血潮のうすれては 友は何処に老いて行く
悲しく春の褪め行かば 美まかりし日の思ひ出の
花は何処に萎み行く
6、三寮にてる灯に 静かに夜の雨更けて
寒々窓に風鳴れば 契りは固き我友よ
語り明かさん今宵かな