【解説】
白亜紀後期にマダガスカル島に生息した肉食恐竜。当時マダガスカルとインドはゴンドワナと分離した島大陸となっていたが、それ以前にゴンドワナ大陸から渡ったアベリサウルス類やタイタノサウルス類が独自の進化を遂げつつあった。
マンジュガルストは目の上の突起が特長であり、完全な頭骨が発見される前までは堅頭竜の一種と考えられていた。実際、堅頭竜とは、まったく関係ないが体型は結構似ていたようである。またマジュンガルストは共食いをした証拠がはじめて出た恐竜である。ただし、殺して食べたのか、死体を食べたのかは不明である。
基本データ
マジュンガルスト


 

      



分類 獣脚類 ケラトサウルス類 アベリサウルス科
生息年代  白亜紀後期
生息地域 マダガスカル島
体長/体重 約7m〜9m/?
食性 肉食


(写真はナショナルジオグラフィックより
 







  

右:マジュガルスト復元図(学研ニューワイド図鑑「恐竜」より)
左:堅頭竜として復元されていたマンジュガルスト(恐竜学最前線Vol8より)



【参考】 白亜紀後期のマダガスカル島の恐竜たち

1.ラペトサウルス
ラペトサウルスはもっとも完全な骨格が発見されたティタノサウルス類である、これまでティタノサウルス類で謎であった頭骨の発見により、これまでディプロドクス類と考えられていたモンゴルのメネグトサウルス、グエジトサウルスがティタノサウルス類ということが判明した。
また、骨格の研究から、ティタノサウルス類とブラキオサウルス類が近縁であることが判明した。
これまでカミナリ竜は歯の形状からディプロドクス類のように釘状の歯を持つもの、カマラサウルス類、ブラキオサウルス類のようにスプーン状の歯を持つものと大きく二つの系統に分かれ、白亜紀のティタノサウルス類はどちらの系統に属するか議論が続いていたが、同じティタノサウルス類で完全な骨格が発見されたスプーン状の歯を持つ白亜紀前期のマラウティサウルス、釘状の歯を持つ白亜紀後期のラペトサウルスの発見により歯の形と系統はまったく関係ないということが判明した。
図版は「A FIELD GUIDE TO DINOSAURS」 GEE&REY より)


2.マシアカサウルス
 

右:魚をとるマカシアサウルス
左:マカシアサウルスの頭部の拡大図
(図版は「A FIELD GUIDE TO DINOSAURS」 GEE&REY より)

マシアカサウルスは魚食性の小型のアベリサウルス類である。アベリサウルス類は大型の肉食恐竜だけではなく、北半球のドロマエオサウルス類(ヴェロキラプトルの仲間)にそっくりに収斂進化(*1)したノアサウルス(*2)などの系統を生み出している。
マシアカサウルスは、そんなヴァリエーション豊富なアベリサウルス類の中でもとくに変り種である。彼らは動く魚を捕まえるために出っ歯に進化したのだ。恐竜の中でもかなりユニークな外見である。

*1:収斂進化
同じような環境で同じ生態系地位を占める動物が環境に適応して同じような姿に進化すること。魚竜とイルカの関係が有名。
*2:ノアサウルス
白亜紀後期南米に生息していた体長1.5m程の小型肉食恐竜。外見はドロマエオサウルス類そっくりであり、後ろ足に鉤爪が生えている。しかし、背骨の特長からアベリサウルス類とされている。つまり、ドロマエオサウルス類とは何の関係もなく、同じような環境で収斂進化したものである。実際、後ろ足の鉤爪は北半球のドロマエオサウルス類ほど自由に動かなかったようである。NHKのSFアニメ「恐竜惑星」で萌ちゃんを襲ったのはこいつである。
右:ノアサウルス復元図(学研ニューワイド図鑑「恐竜」より)


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