【解説】
レエリナサウラはオーストラリア南部、白亜紀前期の当時の南極圏に生息していた小型の鳥脚類である。当時、地球は温暖だったとはいえ、冬の南極は今のサハリンぐらいの寒さにはなったといわれる。当然、極地である夏は白夜となるが、一年の半分は太陽が昇らない暗闇の日々が続く。当時の南極圏は夏は白夜の太陽の下、羊歯やソテツ、イチョウなどの裸子植物が盛んに茂る豊かな環境だったが、冬はオーロラののもと食料が乏しい環境だった。そのため南極圏の恐竜は小型のものが多かった。
レエリナサウラは、大きな目をもち視覚が発達していたため、冬季も南極圏で越冬していたと考えられている。また、鳥脚類としては非常に脳容量が大きく、NHKのSFアニメ「恐竜惑星」では彼らから進化した恐竜人類:フォロル族が登場している。
基本データ
レエリナサウラ





分類 鳥脚類 ヒプシロホドン科
生息年代 白亜紀前期アプチアン階〜アルビアン階(1億2000万年〜1億年)
生息地域 オーストラリア南部(南極圏)
体長/体重 1m/?
食性 草食


(レエリナサウラの頭骨化石:「大恐竜展1998」図録より)















(左図:レエリナサウラの復元図:図版は学研「恐竜学最前線Vol1」より)


【白亜紀前期南極圏の生物達】


白亜紀前期の南極圏の生物たち。レエリナサウラなどの恐竜だけではなく、大型両生類、哺乳類などが生息していた。
このほかにも首長竜、亀や翼竜、鳥などがいた。
(図版は小学館「21世紀こども百科宇宙館より)

【白亜紀前期南極圏の恐竜】
ミンミ
 
(上図は「大恐竜展1998」図録より)
ミンミは3m程の小型のヨロイ竜である。ヨロイ竜ではあるがヨロイは皮膚の上に並んでいる程度で、他のヨロイ竜よりも防御は発達していなかった。むしろ走ることに適応しており、ヨロイを脱いだヨロイ竜とも言われる。また原始的な装盾類のスケリドサウルスと共通の原始的な特長を持っており、スケリドサウルス類が南極圏で白亜紀まで生き残ったのではと言われている。

オッシー
 
(右:オッシーの前腕の化石 「大恐竜展1998」図録より)
(左:オッシーの復元図。皮下脂肪で防寒した復元と羽毛で防寒した復元:早川書房「新恐竜伝説」より)

オッシーは南極圏に生息していたアロサウルスである。白亜紀前期、他の地域ではアロサウルスはすでにより進化した獣脚類にその生態系における地位を譲り、姿を消していたが、南極圏では依然生き残っていた。しかし、その大きさは人間とおなじぐらいまで矮小化していた。

ティミムス
ティミムスは当時の南極圏に生息していた恐竜である。
モモの骨が見つかっており、ダチョウ恐竜の一種では言われている。この化石からダチョウ恐竜は南半球:ゴンドワナに起源があるという説もある。しかし、別系統のエラフロサウルスのように別の獣脚類の系統がダチョウ恐竜に似て進化しただけかもしれない。

写真はモモの骨の化石と復元図




(図版は福井県立恐竜博物館「オーロラをみた恐竜たち」図録より)



ムッタブラサウルス
  

 (右:ムッタブラサウルス骨格 「大恐竜展1998」図録より)
 (中:復元図 「大恐竜展1998」図録より)
 (左:復元図」BBC「Walking with Dinosaurs」より)


ムッタブラサウルスは体長7mの当時のオーストラリアでは大型の恐竜になる。
イグアノドンに姿は似ているが、より原始的なジュラ紀のカムプトサウルスの仲間と現在では考えられている。彼らの化石は、南極圏よりも北側のオーストラリア大陸で発見されているが、植物が生い茂る夏には南極圏に渡りをおこなったかもしれない。


【白亜紀前期南極圏の動物】
 

左:白亜紀前期南極圏に生息した大型の両生類クラークスの化石 「大恐竜展1998」図録より
右:白亜紀前期南極圏に生息した哺乳類の化石 福井県立恐竜博物館「オーロラをみた恐竜たち」図録より


当時の南極圏には恐竜以外にもさまざまな動物がいた。
その中でも一番特徴的なのはクラークスであろう。クラークスは他の大陸では絶滅してしまった大型両生類の最後の生き残りであり、他の大陸のワニに似た生活をしていたと考えられ、体長は5mにも及ぶ。恐竜にもいえることではあるが、当時のオーストラリア大陸=南極圏はジュラ紀の生態系がそのまま残って進化した、現在と同じような変わった動物相をもつ大陸のようだ。
また、この当時哺乳類も南極圏に生息しておりカモノハシと同じ単孔類に属する哺乳類の化石やより進化した有体盤類の化石が見つかっている。ちなみに、現在オーストラリアの主要な動物である有袋類は同じ時代の中国で最古の化石が見つかっており、この時代よりも後の時代にオーストラリアに移住したらしい。


【参考:白亜紀後期 北極圏の恐竜】


北極圏の恐竜は後の時代、白亜紀後期の恐竜がアラスカなどで発見されている。
(図版は小学館「21世紀こども百科宇宙館より)

  

  

上段右より 
ティラノサウルス類:アルバートサウルス(アラスカで化石が発見)
角竜類       :パキリノサウルス(アラスカで化石が発見)
マニラプトラ類   :トロエドン(アラスカで化石が発見)

下段右より
ハドロサウルス類:ヒパクロサウルス(アジアと北米に近縁種が存在)
ハドロサウルス類:エドモントサウルス(アラスカで化石が発見)
ハドロサウルス類:サウロロフス(アジアと北米双方で化石が発見)

北極圏の恐竜は白亜紀後期のものが知られている。当時北極圏だったアラスカではアルバートサウルス、パキリノサウルス、エドモントサウルス、トロエドンなどの化石が発掘されている。どうやら、白夜の夏に生い茂る植物をもとめ角竜やハドロサウルスは渡りをおこなったらしい。特にハドロサウルス類はアジアと北米を行き来するだけではなく、北極圏に定住していたものもいたようだ。また、海流の影響か南極圏よりも北極圏よりも年間を通じて気温が高く、環境がよかったせいか比較的大型の恐竜がおおいのも特長である。



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