【解説】
鼻先に1本角が生えたセントロサウルス亜科の代表的角竜。後頭部のフリルの刺が印象的だが、この刺はフリルに穴が開いているため、強度的な問題から武器と言うよりは、異性をひきつけるためのディスプレイとしての役割が会ったようである。つまり鹿の角と同じと言うわけである。
彼らは群れで暮らし、突発的原因で大量死した群れの化石がボーンヘッドとして発見される。生態系における地位も我々の世界の鹿やヌーに近いものがあったようだ。
ちなみに、セントロサウルス亜科の角竜たちは時代を経るごとに鼻先の角が下図のようにこぶへと変化していっている。これは、群れの中の順位をつける競争で、仲間の角で死亡する個体が多かったため、より安全なこぶへと進化したという説もある。また、逆にこぶの上にはサイの様な角質の角があり
骨の角よりも巨大化できる角質の角を得るための適応とも言われている。
基本データ
スティラコサウルス





分類 周飾頭類 ネオケラトプシア類 ケラトプス科 セントロサウルス亜科
生息年代  白亜紀後期カンパニアン階後期(約8000万年前〜7400万年前)
生息地域 北米大陸
体長/体重 5m/?
食性 草食


(写真はアメリカ自然史博物館展示標本)
















右より、セントロサウルス、スティラコサウルス、エイオニオサウルス、アケロウサウルス、パキリノサウルス
図版はすべて「恐竜大図鑑」(日経ナショナルジオグラフィック社刊)より



【スティラコサウルス写真集】 
国立科学博物館新館B1F恐竜ホールに展示されているスティラコサウルスの頭骨。
正面から撮影。
この化石はエリ飾りの刺がないため一時セントロサウルスのものとされていたが、後の調査で子供のものであることが判明。アメリカ自然史博物館の標本と比較すれば、スティラコサウルスの刺が二次性徴によるものということが理解できる。











 

スティラコサウルスはその特徴的な外見から、さまざまな生体復元が作られている。
右はカナダ ティレル古生物学博物館の復元模型(大恐竜博1990図録より)
左はキートンのフィギュア


【参考】



右:ダスプレトサウルス(骨格図)
左:アルバートサウルス(骨格図)
骨格図はG・ポール「肉食恐竜事典」(河出書房新社より)

両者はスティラコサウルスと同時代のティラノサウルス科の肉食恐竜である。
右のダスプレトサウルスのほうが、左のアルバートサウルスよりも全体としてがっしりとした体格となっている。
これについてはダスプレトサウルスが主にスティラコサウルスのような角竜を、アルバートサウルスがハドロサウルスを獲物にして、棲み分けをしていたための適応と言う説がある。
事実、ダスプレトサウルスの直系の子孫としてより大型のティラノサウルスが登場しており、そのころ、角竜は角が3本あるカスモサウルス亜科でトリケラトプスやトロサウルスという最大級の種が生まれている。
どうやら角竜とティラノサウルス類は喰う喰われるの関係で共に進化したらしい。


1.「ティラノサウルス友の会」ポータルに戻る

メール:a9609477@mvd.biglobe.ne.jp