袖口に入ってしまふ春の水
手のよごれ泡に移るや花は葉に
紅梅や男便器に日があたる
巣箱より高きところに住んでをり
開けるとは外れることね春障子
馬糞紙のざらざらざらがあたたかい
チューリップ覗けば底のありにけり
でこぽんのあそこがでこやそこがぽん
てふてふを吊ってる糸が見えないぞ
日の丸の丸に折れ皺囀れり
父の日の電車に乗ればすぐ鉄橋
しゃぶっても味がしないぞさくらんぼ
仏壇に西瓜一個は多すぎる
水の出ぬシャワーの穴を見てをりぬ
幸福だこんなに汗が出るなんて
すずしいと言ふうれしいと聞こえけり
甚平にすきまだらけのからだかな
真ん中に立たされてゐるビール瓶
まあきれいなんとまずそな熱帯魚
たとうれば殿様蛙の雌なりし
八月十一日で五十歳腹が立つ
八月十一日で五十一歳ハズレなり
八月十一日で五十二歳御蔭様
千歳飴ひざでけりけり帰りけり
三島忌やすっぽりぬけしコンビーフ
三島忌やすっぽりぬけしコンドーム
節穴に目玉つめたくなりにけり
見晴らしが良すぎて寒くなりにけり
口中の葱より葱の飛び出しぬ
正座して日向ぼっこをしてをりぬ
ちんぽこの短くみえし初湯かな

なんともかんとも大好きとしか言えない句集です。(天気)


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〔こんなん好いとります〕 雪我狂流(ゆきが・ふる)句集『御陰様』(私家版・百句会編集局)より31句