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蠅句会       2004年8月


銀蠅にたかられてゐる擬態かな   萩月
塔の上は昭和三十年代の蠅     萩月  ○天気○東人○振り子
叩かれて原風景の蠅である     萩月  ○水星人◎かげお
バス停の時間蠅らの群るる空    萩月

食台の蠅の誓いを見届けり     ざんくろー
雑踏に掻き消されたる蠅の声    ざんくろー
失恋の蠅の横面叩きけり      ざんくろー
蠅の羽の震わす夢に醒める午後   ざんくろー

金蠅の贅を尽くして来たりけり   かげお ○天気○東人◎振り子○紫野○痾窮
蠅追って残る料理となりにけり   かげお
金蠅の魚の歯茎に止まりけり    かげお

蠅生まるさても小人閑居して    餡子  ◎敬愚
見当たらぬ物のーつに蠅叩き    餡子  ○東人○登季○敬愚
よく見れば何やら言うて蠅の口   餡子  ◎ざんくろー
而してごきぶりを打つ蠅叩き    餡子  ○天気○振り子○痾窮○かげお
拱手して一茶の蠅を見ておりぬ   餡子

飛び立つ時少し泣いたり冬の蠅   亞子
乳牛のひきつる声に蠅生まる    亞子  ○天気
半身に痒さ渦巻く夜の蠅      亞子
蠅の来て聖画の縁の光りたり    亞子  ○紫野○萩月
ゆでたまご珈琲店に蠅休む     亞子
暮れ際の蠅叩き持つ母無敵     亞子  ◎餡子○痾窮○登季

ぶしつけな蠅取紙のねぢれやう   紫野  ○登季○ざんくろー
万緑に濡れたる蠅の骸かな     紫野  ○敬愚○かげお
右頬の触れば蠅でありにけり    紫野  ○亞子
手水場に手ぬぐひ痩せて夜の蠅   紫野  ○天気○東人○亞子◎萩月○登季
暗がりを蠅飛ぶ音のがらんどう   紫野  ○敬愚○ざんくろー
蠅帳に透けて見えたる宇宙論    紫野  ○痾窮○ざんくろー

体毛の少し斜めや蠅止まる     水星人 ○天気○餡子○紫野○萩月○登季○敬愚○かげお
蠅飛んで転校生がひとりゐる    水星人 ○餡子◎東人○振り子◎紫野
蠅飛ぶやざわざわしたる職員室   水星人 ◎登季

にんげんに蠅は傾斜をして止る   振り子 ○餡子◎水星人○亞子○萩月○敬愚
昼餉の蠅ゼロ戦の角度ではないか  振り子 ○天気○東人○痾窮○敬愚
顛末に蓋開けてをり夜の蠅     振り子 ○萩月
富士塚につひにおちつく蠅叩    振り子
じんじんと蠅じだんだを夜の戸口  振り子
中年やぎこぎこ回る蠅取紙     振り子 ○萩月
らふそくに集ふは蠅と若神父    振り子

春の蠅町内会の薄きお茶      東人  ○天気○敬愚
銀蠅がピカソの青に止まりけり   東人  ○振り子○ざんくろー○かげお
新聞の株式欄の蠅叩く       東人
十七階に会議はつづく夜の蠅    東人  ○天気○餡子○振り子○紫野○水星人
青蠅や整形外科にエンヤの曲    東人

蠅がまたはてなマークで飛び回る  登季
蠅一匹命乞いなどするものか    登季  ○痾窮
夜も更けて蠅一匹に拘りぬ     登季  ○紫野
蠅叩きなんかで私を呼ばないで   登季  ○餡子○亞子○かげお
蠅止まる男の肩の孤独感      登季
同居者として銀蠅の太りゆく    登季  ○痾窮○萩月

ポツクリと往きたし手には蠅叩   痾窮  ○餡子○振り子○亞子○登季
金蠅と天金の書と金髪娘      痾窮
迷走の蠅を打ちたし予報官     痾窮
地球儀の一国を消す藪の蠅     痾窮  ○水星人
今日からは田舎の蠅ぞ道の駅    痾窮  ◎天気○紫野
目は蠅を追うて姑の話など     痾窮  ○東人○紫野○登季
尻に火の銀蠅螢には成れぬ     痾窮
東京へ同行の蠅深夜バス      痾窮  ○ざんくろー
ポスターの微妙に不埒な蠅の位置  痾窮  ○餡子○水星人

蠅じっとベリーダンスを見てをりぬ 天気  ○痾窮
蠅帳をめぐりて空へ抜けにけり   天気
生業に斜に凭るる蠅叩き      天気  ○痾窮○敬愚
蠅取紙ぶらり家族の中心に     天気  ◎痾窮○水星人○萩月○登季○かげお
太陽の塔這ひ蠅の昇天す      天気

御投句順



雪降るラジオ句会       2003/12/1


【雪】

地に近きところに風や雪螢     朝比古
少年のこゑ豪雪をまさぐれり    紫野   
ざ麻亞
雨は雪に変わらずさて膝小僧    亞子   
痾萩裕
初雪や外に出る吾子と隣の子    麻貴
うっすらと雪の稜線口笛ひとつ   宙虫   

雪もよひペルシャの赤き野営かな  東人   
振ざ宙紫
トンネルは幼きかたち雪降り積む  振り子  
朝東紫萩麻裕
バラライカ鳴ればジバゴに雪しまく 萩月
初雪や殊にコンクリ固い朝     ざんくろー 
振萩勝
初雪や枕に近き寒すずめ      かまちん 

町の音のふっと遠くなり夜半の雪  勝之   

雪隠や相身互ひし冬の蝿      痾窮   

たっぷりと墨をふくませ雪野原   裕    
ざ萩勝
ひとひらの雪に透けたる中目黒   天気   
宙勝

【降】

社用車を降りきて竈猫となる   朝比古  

空也忌の夜の机に雨が降る    紫野   

降る光集めて遊ぶ芒かな     亞子   
痾ざ萩
台詞なく幕降りてくる冬の夜   麻貴   
振痾
冬月のあとは槍降る夢を見て   宙虫   
朝東
風花の山からをとこ投降す    東人   
朝宙
雪降れば古き地球に当たりけり  振り子  
痾ざ裕亞気
ざわめきのあと額(ぬか)に降る冬銀河  萩月  

降る星の音が聞こえる冬旱    ざんくろー
彼の男来たりてサハラに三年振りの雨  勝之  

血雨降る夜をひたすらの頬被   痾窮
短日や静かに降らす薄力粉    裕    
東振宙紫萩亞気勝
遠い海に雪が降るなり鯨鍋    天気   


【ラジオ】

小春日のラヂオキットへ半田鏝   朝比古  
東宙裕気
ラジオから哀歌流るる湯ざめかな  紫野   

河終わりラジオのように時雨たり  亞子   
ざ裕
冬の海目盛り合はせるカーラジオ  麻貴
びっぐべんラジオに冬の額当て   宙虫
霜夜かなラヂオ短波のみやうみやうと  東人 
朝振麻裕気
玄冬の眼鏡(がんきょう)の父ラヂオを担ぎ  振り子
鵯の羽満ちてラジオのハングル講座  萩月  

寒のラジオ朗読されり俳句かな    ざんくろー
祖父の手が球のラジヲに灯を入れる  勝之
渋滞の列冱つラジオのレクイエム   痾窮  

尋ね人ラジオはずっと茶色なり    裕   
東振宙気
冬ぬくし叩けば音の出るラジオ    天気  
朝振麻裕亞

【雑詠】

柊の花柔肌のマゾヒスト    朝比古  

白亜紀の深夜を眠る冬の蝶   紫野   
萩麻
失念の無花果どっと夜が来る  亞子   
朝紫気勝
記念日の空白なりし古日記   麻貴   
東振
学生服の恋にやさしい冬の鳶  宙虫   

外套のとなりにソ満国境が   東人   
宙紫亞
寒禽を加へて二階の噂せり   振り子  
東萩麻
牧閉ざす人には人の海があり  萩月
霜の花咲き始め頃背を丸め   ざんくろー
脳天に小言がしみる焼却前   かまちん 
東痾勝
浜風に彼等の金玉揺れており  勝之   
痾気
狐火や原色昏き女の膚     痾窮
水底にふとんを敷いて冬ぬくし 裕    
朝痾ざ亞気





浮け海鼠句会       2003/10/30


【 浮 】

両耳に浮力を残し月やせる    宙虫   
痾亞紫
劇画的光りを浮かべ薄原     朝比古
浮寝鳥鍛冶屋の軒のリーバイス  東人   

秋ついり乳房に浮力ありにけり  振り子  
登気
浮世絵に色悪のゐる夜長かな   紫野   

糞落ちて金魚の浮かぶ借家かな  亞子
浮遊せる詩心俎上の海鼠にも   痾窮   

浮草の紅葉寡黙で逝きし人    登季
コンソメに浮くパンの耳鰯雲   萩月   
登東亞
こひなたの桃に死斑の浮いてをり 天気   
勝宙

【 海 】

国税調査官ゆくリアス式海岸は秋  宙虫   

かりがねやまつすぐゆけば海のあり 朝比古
山火事や昼には海の風来る     東人   

間男にノスタルギアといふ上海   振り子
丸腰で稲穂の海へ分け入りぬ    紫野   
敬東勝振
秋鯖と絹すれ違ふ海の道      亞子   
東萩
大潮の海が粟立つ太郎忌や     勝之
飛行船海鼠の浜に落す陰      痾窮   
敬振亞紫
木枯の海より戻り来る気配     登季
海を見て胡桃の部屋に還りけり   萩月   
朝紫宙
花芒ぱさりと割れて海の青     天気   
朝勝亞萩

【 鼠 】

千匹の鼠を数えまだ夜長      宙虫   

やゝ寒や二十日鼠の目の赤し    朝比古  
東気勝
新海苔の看板かじる鼠かな     東人
ランゲルハンス島去るなり田鼠の時間なり 振り子  

穴といふ穴に鼠の眠りかな     紫野   
敬痾宙萩
銀鼠の手袋とれば星流る      亞子   
登東勝紫萩
陽だまりに鼠歯の発達した女    勝之   

省略を極め海鼠の尚生きて     痾窮   
敬勝振宙
窮鼠噛む山梨ほどの硬さかな    登季   
振萩
芒原ゆく少年のぬれ鼠       萩月   

月白や象の檻より鼠出づ      天気   
振亞紫萩

【海鼠】

乙姫に逢わせてくれぬか赤海鼠   宙虫
海鼠食むときの白痴美かもしれぬ  朝比古  
敬勝宙
そこここの海鼠に影のありにけり  東人   
朝敬振萩
神前に海鼠もっともモルヒネる   振り子
路地に海匂へる時刻海鼠噛む    紫野   

ひやひやと海鼠相場の話やら    亞子   
東振紫
海鼠腸のあと三筋ほど残したる   勝之   
敬東気
剛毅木訥海鼠に近き鉄面皮     痾窮
長き夜を海鼠談議で新酒酌む    登季
海鼠となつて半身を隠しあふ    萩月
海鼠らのすぽぽすすぽと浮かぶかな 天気   
朝登敬亞紫

【雑詠】

顔を出す頃合だろうか菰を分け   宙虫
干されしは柿の精進かと思ふ    朝比古
コロッケの揚げすぎてをり菊花賞  東人   

横風のみな鳥に似て菊人形     振り子  
朝気
銅像の爪先立つて冷えにけり    紫野   
朝東気
衣被あっといふまに脱いでをり   亞子   
朝登痾気勝
廃船に交む海鼠のさざめごと    痾窮
喝采はいつも遠くに鰯雲      登季
羊膜にとどく狗尾草つぶす     萩月   
痾宙
紅葉かつ散る二槽式洗濯機     天気   
朝痾振亞紫宙




山手線句会       2003/10/5


【 山 】

飛鳥山税理士事務所秋闌ける    なむ
山盛りの柿落ちかかる地下の市   亞子
十月や駅に買ひたる山の地図    朝比古  
紫裕な
山王坂に昭和とぎれし鵙の声    振り子
江古田では大山のぶよ少し思ふ   東人
日暮里の山門ごとに秋暮れる    紫野
遠い山なくなってゐる秋曇     裕    
朝気
木の実踏む山ちゃんがいる競馬場  天気   
朝紫振な

【 手 】

手に触れて白桃胸痛き開府     なむ
手の上の東京どんより鳥かぶと   亞子
手招きをして流星を待つてをり   朝比古
さば雲や環八陸橋切る抜き手    振り子  

芝浦にうすばかげろふ切手かな   東人
東京の水に馴れたる手足かな    紫野
猫の手におえないものに草虱    裕
手相見のぽつまたぽつと秋ともし  天気   
紫亞東

【 線 】

芒払ふわが放尿の荒川線      なむ   
朝亞振気裕
電線のカラスは無宿ほろろいし   亞子
直線の街の端より末枯るる     朝比古  

秋霖にからだの線といふ渋谷    振り子  
朝紫気裕な
振り返る三田に青線哺乳瓶     東人   

谷の名の並ぶ路線図あきつばめ   紫野   
亞振
長き夜のつくづく沿線案内図    裕    
朝東
銀座線カーヴに傾ぐレモンの実   天気

【 地名 】

吉原を抜けて山谷へ十三夜     なむ
伊勢辰の手巾から柚子転がれり   なむ   

どつかれて新宿おかまこおろぎ   亞子   

観月や多摩蘭坂をうさぎ湯へ    亞子
日暮里に近き西日暮里良夜     朝比古  
亞振
新橋を出でて銀座へ赤い羽根    朝比古  
気な
秋水をこまめに飲んで神保町    振り子  
紫東
あひる鳴きをんなをとこは狛江市に 振り子
秋深し狸穴で買ふママレード    東人   
振裕な
大宮を毛深き人と蛇穴に      東人
神楽坂のぼりつめれば十三夜    紫野   

禁煙を破る秋晴れ皇居前      紫野   
朝亞振東
木犀をかすめてゆけば三ノ輪橋   天気
くにたちで転ぶ自転車くさのはな  天気   
亞東裕




虎句会  2003/9/21

【 虎 】

秋袷虎屋の袋提げて来し     朝比古   
紫登
十六夜や応接室に虎が居る     亞子   
朝紫萩等宙
虎の尾を踏む満月に吠えながら   登季   

長き夜が明けたら虎刈りにします  紫野   
亞宙
秋日傘虎の欠伸を見てをりぬ    麻貴
浴身に満月なれば虎を駆る     萩月   

虎刈りの叔父の転向新松子     等    
麻登
虎の爪切りそろえてる文化の日   宙虫   

威し銃もってはないが猛虎会    天気

【 星 】

糸瓜忌の星へ向きたる鳩サブレ  朝比古   
等宙
ブルペンに音する星の近さかな   亞子   

火星また一つのひかり星月夜    登季   

下駄蹴って星の運命占えり     紫野   

穴まどひ白星のみのスクラップ   麻貴   

貝釦ならべる秋の星座出る     萩月   

星月夜君と分かつやメロンパン    等   
麻登萩
虫売ってふるさとの星買いにゆく  宙虫   

星までは月より遠しホームラン   天気

【 野 】

秋の雨ONのゐる野球盤      朝比古   
麻気等亞宙
マウンドは野茂らの荒野にして花野  亞子   
麻気等
累々と敗者野ざらし月下冴ゆ     登季
糸瓜忌の竿に干されし野球帽     紫野   
朝麻気等
野点傘畳まれてをり秋の暮      麻貴
こじ開ける花野に水は汲まれをり   萩月
花野にて黒板どうと倒れたり      等   
朝紫気萩亞
秋鯖をさげておとこが野に消える   宙虫   
紫萩亞
子規の忌の御空にボール野にバット  天気

【 野球 】

バッティングセンター赤い羽根つけて  朝比古   
紫気
窓をあければホームラン来る鰯雲     亞子   
朝紫登宙
秋天へ白球カモメ鳴くばかり       登季   
気萩
グローブで受ける青空ざくろの実     紫野   
萩等亞宙
トレードの噂ありけり秋団扇       麻貴   
朝登
のぼーるやベースボールや子規忌なり   萩月
十六夜の三遊間を亡兄(あに)走り     等   

秋茜バッテンで終わる九回        宙虫   
麻亞
九回裏ニ死満塁にちちろ鳴く       天気   





日清即席句会  2003/8/25

【日】

日覆のぼろぼろ誰もいない海     なむ   
朝宙
日章旗掲げし家門松手入      朝比古
火星接近トマトがへたる日替わり定食 宙虫   
紫登亞
透明な焼酎明日は明日のこと     登季   

秋めくや毎日香の箱積まる      東人   
な振亞気
出口なき秋日ちりちり導火線     痾窮
詠ひかつ語る渾身傘寿の日     みよこ   
紫登東
日の匂い集めて赤しななかまど    紫野
生卵呑みこむ前世日和かな     振り子   
みな亞気
棒がいっぽん八月二十五日      亞子   

日の丸の余白に秋の光かな      天気   
朝な

【清】

蝉時雨おにぎり清といふ画伯     なむ   
み振
清らかな音など要らぬばつたんこ  朝比古
つくつくし駅前留学の清掃夫     宙虫
清音の秘曲奏でるきりぎりす     登季
赤とんぼ清掃局のオルゴール     東人
清純な脚つく天のネクタリン     痾窮   

清風に始まる夕立二日灸      みよこ   

清貧のかたちに透ける蝉の殻     紫野
日が差して清濁あはせ鳴く地虫   振り子   

滝一枚清々たる握り飯        亞子   

大阪に四番清原あかとんぼ      天気   


【即】

中年のでつかい西瓜即手術      なむ   

「即ち」とよく言ふ教師檸檬の香  朝比古   
紫な振宙亞東
かなかなが即押し黙る密謀あり    宙虫
ひとしずく愛滴らせ即席ラーメン   登季   

即売の黒酢試飲し夏終はる      東人   

即妙な臍下ピクリと唐辛子      痾窮   

空即是色火星引き寄せすずしかり  みよこ
くちびるに銀河の香る即興詩     紫野   

言論即ち松の廊下のきちきちばつた 振り子   
登痾
氷川きよし大南瓜即売会       亞子
場の風は晩夏テンパイ即リーチ    天気   
紫朝みな振登

【席】

順番に南瓜の席となりにけり    なむ   
登痾東
盆の月でてけでてけと寄席太鼓  朝比古   
紫振
解明のできぬ席順青柿ふとる    宙虫   
み振気
秋草の中に空席二つ三つ      登季   
朝亞
席に置く帽子のつばや遠花火    東人   

地下鉄の席無き会社休暇明け    痾窮
病葉の自由席なる山の窪     みよこ   

おおげさな席順表や秋日和     紫野   

いまゐたる座席のくぼみ夜の秋  振り子   
紫み宙亞
空席を探して秋味といふビール   亞子   

薄闇の寄席の椅子席秋扇      天気

【たべもの】

秋茄子の生れる理由といふ自由   なむ
銀紙に包まれしもの秋の山       朝比古   
紫振東気
大海へ出るまでホルモン煮込み噛む  宙虫   

饒舌の間合いを計る心太      登季
カンナ咲く常磐線の急カーブ    東人   

妄想やマジック・マッシュルームであひませう   痾窮   

昼月にそそのかされて柿盗む       みよこ   
朝宙
ラーメンの汁飲みほして颱風圏      紫野   
朝登宙東気
ひとかどの鉄塔見えて焼ちくわ  振り子   
な宙痾気
心太越しの告白バス通り      亞子   
な振宙気
靴を喰ふ一部始終に秋の風     天気   
痾東


(お題ごとに御投句順)





なのに西瓜牛句会 2003/8/8    西瓜牛⇒

【なのに】
                                
〔 選 〕
旧かなのにほへる文や夜の秋       朝比古  
痾萩麻な
名の同じ愛人なのに熱帯魚        なむ   
痾み亞
すべては空(くう)なのに愛して恋をして みよこ  
痾麻
芸のある魚やなのに冷凍へ        敬愚   

夫なのに妻の裸を久しうす        百花   

母なのに嫌はれてをり桐一葉       麻貴   
朝気宙
もらい泣きなのに舟虫散っちゃった    宙虫   

夕方ガタガタ独身のタコなのに      亞子   

乳なのに躓き西瓜疼く恋         痾窮
蝉なのにみんな兜を買いに出る      玉簾   
痾宙
人間の正面なのに金葎          萩月   
み宙
廃刀令なのに西瓜を切りまくる      天気   


【西】

西友の一階にゐる普羅忌かな      朝比古  

鰻丼のたれを求めて西域記       なむ   

西窓に純粋に立つ白雨かな       みよこ
西走る夕焼けの足何速度        敬愚
西向いて無花果介護三である      百花   
気亞麻
夫の留守奉仕品なる西瓜買ふ      麻貴   
敬宙
胡瓜スライス西城秀樹に貼りつける   宙虫   
朝百
たっぷりと鼻の下なる大西日      亞子   気
西暦三千百九十九年護る地球や蚯蚓鳴く  痾窮
西に向き走れば東支那の夏       玉簾   

遮断機の前で西日を受けてゐる     萩月   
痾み麻
関西の男でごめんかき氷        天気   
朝痾萩亞敬百宙

【瓜】

乾く父乾かぬ母よ胡瓜もみ     朝比古  
痾み萩玉亞百麻
瓜刻むここで遭ふたが百年目    なむ   

八月六日西瓜本気で叩いて買う   みよこ
瓜々の下に涼しき蟻の門      敬愚   
気玉な
瓜畑目隠しの掌へ掌を重ね     百花
化粧台箱ごと落とす天瓜粉     麻貴   

瓜の種堅物のまま職を辞す     宙虫   

地球に夜瓜の半身不死身なり    亞子
越えまどふ矜持瓜切り今日の秋   痾窮
うらがへし苦瓜の弱みを探す    玉簾   
み百な
瓜割れてそれぞれの川流れ出す   萩月
ひね胡瓜もんだりピアノ鳴らしたり 天気   
朝萩亞敬宙な

【牛】

日向水国道を牛渡りゆく         朝比古  

冷蔵庫牛むらさきのハンバーグ      なむ
青筋の牛の乳房よ新涼よ         みよこ
子牛あり踏割西瓜と立ち上がり      敬愚
韮の花牛を三百グラム買ふ        百花   
痾玉宙な
夏帽子素通りしたる牛丼屋        麻貴   
玉敬
とろろあおい期限の切れた濃い牛乳    宙虫   

乳牛の泡立つ夜の降臨祭         亞子   

星月夜蝸牛角上牛溲馬勃(ぎうしうばぼつ) 痾窮   

風炎えて牛の骨格反射せり        玉簾   

大西日丸テーブルと牛骨と        萩月   

牛乳瓶にまづ一滴の驟雨かな       天気   
萩玉宙麻

【当季雑詠】

焼く前の煎餅白し朝曇      朝比古  
み萩気玉な
籐椅子や二話完結の夢を見る   なむ   
朝萩気百麻
平和記念日穴ぼこに眼を落とす  みよこ  
萩気亞敬百
雑音に音重ねてゆく夏夜明    敬愚
五月闇鏡のなかへ両手足     百花   
朝痾み萩麻
フィルムの残り一枚祭笠     麻貴   
朝気宙な
渋滞の花火をとぎれがちに聞く  宙虫   

何度でもモネの睡蓮不眠症    亞子   
萩気玉宙
はやる恋嘘実打揚げ花火かな   痾窮
零戦の沈むところに月見草    玉簾   
み気亞敬
置き去りの天体のまだ滴れる   萩月   
朝玉敬百な
キューピーの腕をぐるぐる颱風裡 天気   
朝亞


(題ごとに御投句順)




東海夫人句会 2003/7/22


【東】

東からしづかになりし祭かな  朝比古   
ざ敬等裕痾気東亞振
東雲や夏の窓より水の音     百花
夕焼の死角に東をとこかな   みよこ   
紫等裕萩百仁
東歌乾いた風が吹いて夏      仁   

東西に祖先が分れ夏の月     東人   
朝亞振百
東軍の敗走途中青葡萄   ざんくろー
そのまんま東へ東へ尺取虫    痾窮   
み敬裕亞振宙
朝寝坊ともかく月を待つ東    敬愚
極東のラヂオぎざぎざ夏の浜  振り子   
敬等亞
東京や畳いちまい夏の闇     紫野   
痾亞
東京駅簡単恥毛鉄線花       等   
敬仁
東口に西武がありぬ浴衣の子   亞子   

梅雨深し東アジアの軒の下    萩月   
ざ敬
東から弔電とどく蟻の道      裕
油蝉仁王は東に口あけて     宙虫   
朝紫敬東
東スポの一面に咲く水中花    天気   
紫裕痾東亞宙

【海】

青空と海のあはひを遠泳す     朝比古   
ざみ敬宙百
海へ向く宿が取れしよアロハシャツ  百花   

生と詩を語るに厚き海がある    みよこ
死海文書神が無名であった夏      仁   
紫等萩百
古事記伝よりも海月のテクノロジー  東人   
敬等裕気萩振
海開き逃げ出した犬先走り   ざんくろー
海扇ほどのモノにて御座候      痾窮
生ぬるい海を嫌った父もなき     敬愚   
み東
海原を掻きまぜ夏の神父かな    振り子   
敬等裕気萩
日盛りの父の背中に海が見え     紫野   
朝気東宙
海鳴りを北に聴いては腐食する     等   
み紫東百
レム睡眠みるみるたまる海月かな   亞子   
朝裕痾萩振仁
羊皮紙にはるか海聴く夏館      萩月
海底に揺れ少年かマネキンか      裕   
東仁
いきいきと海藻もどる梅雨曇り    宙虫
入り口が出口でありぬ海の家     天気   
朝痾宙

【夫】

梅を干す母や丈夫な服を着て    朝比古   
気東亞振百
サングラス夫婦の目線すれちがふ   百花   

夫はありません枇杷の木はあります みよこ   
ざ敬等裕振宙
夫婦善哉の町真っ黒な夏の川      仁   
紫等気亞宙
夕立に肩で息する潜水夫       東人
鬼灯市車椅子押す老夫婦    ざんくろー
香水やオーデコロンと夫つと     痾窮
帽子あり妻なき夫は寂しい字     敬愚   
み気
掃除夫のすとんと落す蚊遣香    振り子
昼寝覚め夫のためにバナナ買う    紫野   
朝敬宙等
荒凡夫亀より白き腹みせて       等   
ざ敬東振仁
キャベツ剥いて剥いて一夫一婦制   亞子   
裕痾気振
片陰のしづけさ一夫一妻制      萩月   
朝裕
夏の雲車夫の得意なカンツォーネ   宙虫   

海の日は舟木一夫を応援す      天気   
朝紫

【人】

自害せしごと仙人掌の花枯るる  朝比古   

鱧の皮別れ話を人伝に       百花   
裕振宙
くちなしは人を恋う花拒む花   みよこ
弥生人の系統なので水中り     東人   

人一人殺しているかも夜光虫 ざんくろー
人恋はば暴虎馮河よ夜這星     痾窮   

二の足を踏む人の字のビキニ哉   敬愚   
痾仁
人形のひとつはらから色丹草   振り子   
み等萩百
平日を一人占めする素足かな    紫野   
朝萩
滑車かな産婦人科を通過せり     等   
気仁
人垣に朝顔混じる啖呵売      亞子   
紫萩
夜の蝉人の背にきて啼きやまず   萩月   
ざ宙
しののめや蟹の数だけ人柱      裕   
気百仁
人脈がつながってゆく夏の嶺    宙虫   

他人様の団扇の風のなかにをり   天気   
ざ朝紫痾萩百仁

【当季雑詠】

藺座布団生家に起伏ありにけり   朝比古   
み紫痾亞百仁
ベランダや出る夜毎の身嗜み     百花
土塊に炎帝鎮座してをりぬ     みよこ
大海鼠こんこんちき季語号泣      仁
ベンリー号のサドルをすべる金亀虫  東人   
裕痾気亞
てんと虫羽が巧くたためずに  ざんくろー
メデゥーサの陰毛怪々青蛙      痾窮   

扇風機の間にpcを打つ真っ裸    敬愚
三伏の屋根より高い猫の妻     振り子   
等東亞百
子らの声まっすぐに飛ぶ梅雨明くる  紫野   

百合活けてミシェル・フーコー発酵す  等   

うわ言にお国訛出て白雨       亞子
苔の花夜の蹄に濡れてゐる      萩月   
ざ朝紫
短夜をひたすら喋る造花かな      裕   
ざ痾
洗われる岩から島の夏うごく     宙虫   
み振
紙魚の這ふ月に静かの海があり    天気   
ざみ朝紫等痾東亞萩振宙

〔各題ごとに投句順〕




車中から句会
 2003/6/19

【車中から】

車中から喪中の家の百日紅      東人  
宙気
車中から父系の山の若みどり     みよこ 
萩東
紫陽花の車中から見る高さかな    萩月  

車中からひとすぢ白き身の煙     振り子 

車中からうすれゆく街蚋乗って    宙虫
香水やふと車中から音の消え     紫野  

車中から散るは亜細亜の和毛かな   等   
振東気
車中から背高登れぬ雲の峰      敬愚
車中から馬の素っ首夏至きたる    天気  
紫萩

【乗り物】

昼顔のアムトラックの茫茫と     東人
ででむしの草軽電鉄かもしれぬ    東人
銀漢や跨るに良き箒買ふ       みよこ 
宙敬振
終電の最後尾には魔女の席      みよこ 
宙紫振
梅雨晴間木の根で転ぶミニバイク   萩月  

リヤカーが去つて紫蘇の香残りけり  萩月
いかづちが両毛線を食べてをり    振り子 
等東気
あを卵のあふるる船の遊びかな    振り子 
宙み等
電車曲がる日に日にカンナ傾いて   宙虫  
敬萩東
軽トラのばうんど虹がきれぎれに   宙虫  
紫気
梅雨晴れの空をはみ出すプロペラ機  紫野
自転車に赤錆浮いている避暑地    紫野  
み振萩等
リヤカーで逃げる桃坂皇国みくに哉   等   
み振東
神前のねじ式汽罐車肌濡れる     等
浪入れて琉球老の船踊り       敬愚  
み紫
雲の峰みてから戻る機関室      敬愚  
宙紫萩気
父の日のサドルの妙なかたちかな   天気  
敬等
営団地下鉄浅草線の誘蛾灯      天気




玉子狩り句会 2003/4/5

【玉】

日永かなあんたのパンツ玉手箱    なむ
鳥曇玉のよな屁をかましたろ     仁
朧夜のあけてはならぬ玉手箱     萩月  
散りだした珠玉の桜のさきの波    宙虫
玉乗りの北半球は花の春       敬愚  
道化師は朧を踏んで玉に乗る     紫野
落つばき親玉の掘る古墳かな     東人  
飴玉やはるかに牛とペニシリン    振り子 紫東
シャボン玉連れてむかへに行こうかな 玉簾  
片目づつ春の深まる目玉焼      天気  

【子】

分子割る分母を嫁菜と呼ぶ点々   なむ  
雀の子水飲みに来る私娼窟     仁   気敬紫東
子午線ゆ白詰草をひき出だす    萩月  振東
四月七日子供はふりかけかけている 宙虫  仁な振
人に寄る我が子押さえし母狸    敬愚  
廃屋の花は子細を語らざる     紫野  気玉仁宙
夜桜にうなづいてゐる親子丼    東人  
お子様はいつもまん中莫迦梵梵   振り子
逃水や孫子の眉の曲がりをり    玉簾  
背中から螺子のこぼれて桜の夜   天気  玉仁紫な萩宙東

【狩】

踏青やここらの狩場禁猟区     なむ
狩野派の屏風ぬめぬめ春の闇    仁   気な萩宙
狩衣のひもを日永の手なぐさみ   萩月
摩天楼こえないうちにまて貝狩らる 宙虫
子狸の狩も乞食も学ぶ春      敬愚  気紫
しんしんとサヨナラが降る桜狩り  紫野  
万愚節赤狩りはエジプトへ行く   東人
正装の首狩り族に虻まじる     振り子
狩人の目にただ赤き遅日かな    玉簾
低く飛ぶ鳥を見てゐて潮干狩り   天気  

【自由題】

古池やよにも静かに姉の羽化      仁   玉紫な振
春落葉アンチンボルドに魚の眼     萩月  
代々ぞ狸子連れて紹介す        敬愚  
春昼や重たき水にむせ返る       紫野  
四月米兵睫毛は白くなりにけり     東人  気仁紫な萩振宙
順ぐりに小さな欠伸葱坊主       振り子 敬玉な宙
さくらさくら塗りつぶそうか吾がさくら 玉簾  
朧夜の石が泣いたりしゃべったり    天気  萩東





カステラ句会
 2003/3/24

【卵】

復活祭や鳥居の下で卵狩      敬愚  麻東
玉子丼は海千山千日脚伸ぶ     仁   敬登
卵溶くオムレツまでの人生さ    登季
つちふるや茶碗にぶつけて割る卵  義郎  等気紫登
万愚節卵割るとき爆音す      東人  敬義気振登宙
ふらこここぐきのうの卵孵るかと  宙虫  仁麻東
ゆで卵殻ぽろぽろと春の昼     麻貴  敬義気紫萩東
ミネソタの卵売る人春の昼     萩月
雛の夜や瓜実顔と卵形       百花
いきてゐる卵沈めてひやしんす   振り子 気仁紫萩登
春雷やひそひそと剥くゆで卵    紫野  百等気麻振宙
卵生の母の白帆をくすぐりぬ    等   振東
うつくしく日のあたりたる卵かな  天気  等仁振

【砂糖】

故郷にわが砂糖キビ跡もなく     敬愚
蟻が砂糖に群がるその日の武力行使  仁   仁登東
花疲れ砂糖たっぷりブラックコーヒー 登季  
角砂糖一個か二個か散椿       義郎  百敬
山さくら尼僧の部屋の黒砂糖     東人  百敬等義麻紫宙
あいまいな砂糖の加減春の風     宙虫  麻登
角砂糖匙に乗せられ春きざす     麻貴  百仁宙
鍋底に砂糖を焦がす受難節      萩月  百敬麻振登東
砂糖なしミルクなしです山椒の芽   百花  
貞操や砂糖にくらすくろきもの    振り子
春夕焼け火種は砂糖壺のなか     紫野  百等仁萩振登
つねっては叔母の脇毛に砂糖ふる   等
セロファンを脱いで暖か角砂糖    天気  百義紫宙

【蜂蜜】

蜂蜜の蝋も蛍もない小島       敬愚  気振東
蜂蜜がどろりと春の遊園地      仁   百等気麻紫宙
春塵や蜂蜜入の顔パック       登季  
蜂蜜の垂れてくるまで待ち日永    義郎  
廃屋の蜂蜜舐める春の猫       東人
蜂蜜のごとき寝言の八名信夫     宙虫  
蜂蜜の壷抱くこぐま春隣       麻貴
両谷に垂らす蜂蜜花待ちぬ      萩月
花菜風蜂蜜こぼす父の卓       百花
まるおきの蜂蜜掃かないでください  振り子 
蜂蜜にでこぼこのある花曇り     紫野  等義気仁
妹の下駄に蜂蜜垂らし婚       等   振東
蜂の巣のなかに蜂蜜活火山      天気  敬仁紫

【カステラ】

カステラで思い出す名は Elena    敬愚
霾や銃とカステラ渡来の日      仁   義気萩
お土産にカステラ銜え鳥帰る     登季  
カステラを厚く切り過ぎ春愁い    義郎  等萩登
高千穂の峰のカステラ春埃      東人
元祖カステラを等分に切るさくら   宙虫
カステラの表面乾く日永かな     麻貴  百仁紫萩
カステラの紙より剥がす春愁ひ    萩月  義東
切り落としカステラ残る彼岸過    百花
カステラの片腕すでに街の中     振り子
カステラや無口なひとに添い寝する  紫野  等宙
カステラにひきつる姉の脛を刺す   等   
カステラにまずは四月の木の匂い   天気  敬麻紫萩宙




どこへゆくかもしれぬ句会 2003/3/13

【どこへ】
                              

竜宮城趾どこへ行っても海鼠なり   亞子   

俺と一緒にさまようしゃぼん玉どこへ 義郎
どこへ落とそ辛夷の空の上方落語   宙虫
捉へたる地虫をどこへ持つて行かうか 振り子  

望遠鏡どこへ向けても春の昼     紫野   

青空が下萌え踏んでどこへ行く    ざんくろー
頬杖に乗る春愁をどこへやる     萩月
プリムラの村どこどこへ着く荷物   なむ   
紫気
虻が這うどこへもゆかぬ日曜日    天気   
宙義

【ゆく】

棲みやすい街東京をゆく春烏     亞子   

塾からの帰り道蝌蚪つくしんぼ    義郎
ゆくゆくは跡取りとなる田螺這い   宙虫   

化野へゆくりなくゆく地虫かな    振り子
今生に行くところなきしゃぼん玉   紫野   

春潮や耳を伏せてはかゆくなる    ざんくろー   
宙萩気
ゆくりなく蒙古馬哭く春の雷     萩月
春装の確信犯でゆく塗り絵      なむ   
宙ざ
ゆりかもめ海へとゆくりゆくりかな  天気   
な義振萩

【かもしれぬ】

亀鳴くは予知かもしれぬ空の窪み   亞子
春愁行きのバスかもしれぬ客ひとり  義郎
かもしれぬかもしれぬかもミモザかも 宙虫   
義ざ
分倍河原かもしれぬ春の小火見き   振り子  
な紫
凶器かもしれぬ親ゆび桃の花     紫野   
な振萩
かもしれぬといつも言い寄るアダムとイブ ざんくろー
卵膜の中かもしれぬ昼霞       萩月   
な宙紫亞ざ気
冷え切つた豚の饅頭かもしれぬ    なむ   

どなたかの鼻かもしれぬ北寄貝    天気   
な義紫亞振

【自由題】

叔母の忌が過ぎ慈姑に顔がある    亞子
原人のアリバイぽちっと夜の野火   義郎   
萩気
辛夷まんかい村のマジシャンまだ固い 宙虫   
紫振
鳥雲に向かひの歩道なにか足りない  振り子  

落椿落ちたところに火の重さ     紫野   
な宙義亞振気
引越やあれこれそれも鬼やらい    ざんくろー
跪座椅子に踵の春の泥乾く      萩月   

観梅のソース焼きそばひとり勝ち   なむ
春宵の各階であくエレベーター    天気   
宙紫亞ざ




海鼠句会 2002/12/14

【な】
縄を綯ふなまへも知らぬ里の夜   玉簾  
(選)
南二局ながるる年の指惑ひ     舞翔
なにもない村なにげない鎌鼬    仁  
舞宙
なすがまま亡き祖父のある雪囲   ざんくろー
なるほどと軽くうなずく浮寝鳥   時
なで肩のラブホの出口冬ざれて   宙虫  

なか空に人をこはして遠き火事   萩月  
宙玉
なみなみとガソリン満たし冬牡丹  裕  
ざ仁
なにもかも駄目な日ジャンボ籤の列 義郎  
玉気
生焼けもあり平凡な火事の跡    天気  
ざ義萩宙裕

【ま】
鞠つきの旅は飛び飛び伊勢新潟    玉簾  
ざ萩気
マンモスの氷の中の夢や今      舞翔  

まぐわいや闇のどこかに冬の薔薇   仁  
時気裕
真っ逆さま冬日が落ちてくるように  ざんくろー
 
勾玉をぼろ市で買う魔女姉妹     時
また待ってシクラメン咲く第三病棟  宙虫  
ざ玉
睫毛うごく光の向かう冬山河     萩月  

マントラを唱え蓮根うごかない    裕
マイナス五度夜も凍ってしまいけり  義郎
饅頭の底はひらべったく寒気     天気  
義萩宙裕

【こ】
黄泉に染むコーランや去年今年    玉簾
混浴と思ひ雪中三千里        舞翔
こんこんきつね風の又三郎と住む   仁  
時玉
狛犬やそれぞれの上に冬銀河     ざんくろー  
萩玉
粉雪は女の吐息風巻く夜       時
小春日の訪問販売が座り込む     宙虫
こめかみに鱗を剥がす霜夜かな    萩月
肛門性格つぶらに実る藪柑子     裕  気
このわたの無理強いが振られた理由  義郎  
時舞
コッペパン冬日を浴びてまっぷたつ  天気  
仁裕

【海鼠】
海鼠踏む感触のある夜道なり     玉簾  
萩宙
躓けばぶよ〜ん海鼠めきたるよ    舞翔  

愛のない一日どたりと大海鼠     仁  
時舞義裕
密漁の素足が踏んで海鼠鳴く     ざんくろー  
舞義宙
酢海鼠を啜りて男反転す       時  
仁気裕
ぶつ切りは無邪気が良い赤海鼠    宙虫  

不思議とふことの一身海鼠かな    萩月  
ざ時玉
濡れた手で電気ナマコを掴みけり   裕  
義萩
もーぅ海鼠ずたずたに切り裂いてやる 義郎  
舞仁
海鼠噛む六〇〇〇〇`を汽笛きて   天気

ウイルソン句会 2002/11/24

【ジャズ】
ジャズを抱く温度 GroundZero に雪 玉簾
A列車ジャズ系流行性感冒     なむ
剥いたまま甘栗売られJazz日和   勝之
冬の旅裏通りにあるジャズ喫茶   ざんくろー  
時舞宙
説教がジャズのうねりで冬漁港   宙虫  
裕ざ舞気
冬の雲ふたりに遠きジャズ喫茶   時  
な舞
アラソレジャズルイワあなた薬喰  舞翔
抽斗の冬ざれ砂粒の聴くジャズ   萩月
卵からジャズのはみ出る枯野かな  裕  
萩気
寒雷やジャズを聴くときみな無口  紫野  
な舞萩宙
もつれつつ新嘗祭のジャズダンス  東人  
裕舞振
赤錆のやうなジャズです憂国忌   振り子  
裕時勝紫東気
地階から夜が始まるジャズのこと  天気  
紫萩宙

【星】
寒星の女神立つコニーアイランド 玉簾
金屏風星より密かに橋幸夫    なむ  
勝振
星屑を帽子に降らせ鳴るピアノ  勝之
鱈売りの己を占う星学家     ざんくろー
冬の星ちょっと影踏みしてみよう 宙虫  

つめたき手恋引きよせる星明かり 時  

闇鍋を頻りにつつく星条旗    舞翔  
裕ざ振東
缶冷たし大き一つの星なぞる   萩月
遊星に卵を産んで孵すひと    裕  

冬星の名を呼ぶように君を呼ぶ  紫野  

荒星や江沢民のど近眼      東人
荒星を置忘れたる女優かな    振り子  

冬空は青し国旗に月と星     天気

【楽】
呟けば楽譜に落ちる霙です     玉簾  
ざ時
氷面鏡柳亭痴楽はいい男      なむ  
勝舞東
藪虱楽して儲けるスタイル     勝之  

楽屋裏出待ちの子らの息白し    ざんくろー  
な玉紫宙
独楽まわす底地はダンスホールかも 宙虫  
玉紫気
人生を楽々と来て冬に入る     時  

山奥に楽園ありと雪女郎      舞翔
水槽のへりに冬日と音楽と     萩月  

UFOの気楽に浮ける冬景色    裕  
玉勝
冬天にクレーン楽園を指させり   紫野  

志ん生と文楽がゐて注連飾り    東人  

楽々と鬆(す)の立つ冬の団地妻  振り子  
ざ勝紫
長男で楽天主義でクジラの眼    天気  
勝振東

【団】
クリスマス頬っぺた分の団栗を  玉簾
水っ洟団の面目まるつぶれ    なむ
チンドンの一家団欒あんこ玉   勝之  
玉宙東気
団欒が鉛色へと松葉蟹      ざんくろー  

北風を断ってディスコの練り団子 宙虫
寅さんも昭和も遠し草団子    時  
な振宙東
性別の謎の団員冬ざるる     舞翔  
時紫
曲馬団また枯野へと消えてゆく  萩月  
時玉
冬眠の団栗ひからびて嗤う    裕
団地妻技をかけつつ蒲団干す   紫野  
裕ざ玉舞気
餅つきの餅持ち帰る消防団    東人  
裕な勝紫振
境涯に工まれてゐるとち団子   振り子
ドロップの缶がからっぽ寒気団  天気  
な玉萩振宙

川島なお美句会 2002/11/10

【川】
底冷や憤怒に濁る街の川     舞翔  
な仁
雪催越後に入りし信濃川      仁
魚として川の字に寝る神の留守  なむ  
紫宙勝振
寒鯉がはだ打ち合わす夜の川   勝之  
な宙萩振仁裕ざ
玄冬や川面に浮かぶものつつく   裕  
な宙萩振仁気
くらがりを来て冬蝶の川越ゆる  萩月  
仁ざ
冬川の歴史にならぬ雷魚かな  振り子  

東京や川筋冴えて江戸の町    紫野
川上の他人結婚神楽笛   ざんくろー
川霧の流れ旧姓石田です     宙虫  

石蕗咲いて町の固さは川向こう  天気

【島】
冷えわたりのけ反る列島とかとんとん 舞翔  
紫萩気
島原大変肥後迷惑の跡枯野       仁  
な勝振気
不意に故意に時雨れるやランゲルハンス島 なむ  
紫振裕
島国の黄色いサルですお粥煮る    勝之
船虫が島にいっぱいおーいお茶     裕  
仁気
半島の空へ連綿冬銀河        萩月
飛島のモノクロームの冬茜     振り子  

屋久島に杉の掟や牡丹なべ      紫野
島結ぶ新郎の酒虎落笛     ざんくろー
落葉焚けば島木譲次ののどからす   宙虫  

ひと寝ぬるかたちに離島月光裡    天気

【なお】
結構なお手前でした枯尾花      舞翔  

茎のみとなり敗荷のなおも立つ     仁
小夜時雨びんぼー・だなお氏の去就  なむ  
勝振舞裕
化粧終えなお言いつのる秋の人    勝之
蓑虫の不在証明なお木枯らし      裕  
な宙
小さなおと落葉に影を踏みながら   萩月
訊問のなほ北へ向く北へ向く    振り子  
萩裕
冬めくや粋なおかみの懐手      紫野  

箸すすみお色なおしに竹の春  ざんくろー
冬の雲すなおな部下にマニュアルあり 宙虫  

猪口才なお尻さまよふ隙間風     天気  
な紫萩勝舞

【美】
狐火を纏ひ現る美人かな      舞翔  

冬の雷わが職歴に美人局       仁  
な紫宙勝舞裕ざ
目貼前張美学薬学をものとす    なむ  

冬晴れの墓地に迷えば美猫座す   勝之  

肉体美サラダオイルで光って冬    裕  

煮凝の出でたる魚の尾美しき    萩月  

新聞の美しき半身の秋の鯖    振り子  
萩勝仁
夜の火事うっすら美女の影動く   紫野  
舞裕
美しい新婦の余興狐罠    ざんくろー  

銀杏黄葉美術教師が見合いする   宙虫  

咳ひとつ離島中学美術室      天気  
紫宙萩振舞

文化の日句会 2002/11/3

【文】
文明も文化も遠き小春かな    四童
例文は長くて重いピラカンサ   珠子  

行秋や紛失品記録古文書     萩月
冬に入る恋文横丁異人ばかり   義郎  

真白きや紀文よろこぶ富士の山  東人
落葉のはじめは文字を書かずいる 宙虫  
ざ勝
文旦を運ぶ姿勢の太極拳     振り子  
萩珠四
冬晴れや文化包丁よく切れる   紫野  
萩東
青空に文芸開花の案山子かな   ざんくろー
徘徊する文盲の祖母は口達者   勝之  

文旦のすわりが悪い午後ずっと  天気  
宙紫義珠

【化】
化学者に水虫のある小春かな    四童 
 宙義
空高くどちらも薄い化けの皮    珠子  
勝四
洋梨のかたち化身といふ言葉    萩月  
気宙振紫ざ四
返り花午後より教師薄化粧     義郎  
勝珠
やや寒の化膿の頭にも不思議膏   東人
鶴が来てついばむしあわせ化合物  宙虫  
気勝萩
木の実降れば勾配の自由化     振り子  

恋文のはずの文字化け冬の月    紫野  
ざ義
化け猫の化けの皮剥ぎをみなめし  ざんくろー
ペンギンに化けてたたずむ秋の墓  勝之  
紫珠
芒野に化かされてをり出口なし   天気  
宙ざ義萩東

【日】
プリオシン海岸である冬日向    四童
いわし雲連れて集配日に一度    珠子  

とほい日を聞く三線や暮の秋    萩月  

二時間ずれた日曜時間鵙猛る    義郎  
気萩
白金や蕎麦屋に英文毎日来     東人  
振義
一日はむかごをたぐる告白し    宙虫
短日の門の鎖の響きけり      振り子  
紫ざ萩東
昨日より明日が好きですゆりかもめ 紫野  

日々過ぎる機械仕掛けの紅葉笠   ざんくろー
冬日差す身体の中から日々の泡立ち 勝之
落日に糸瓜が残るわたくしと    天気  


【文化の日】
鉄亜鈴二個冷えてゐる文化の日    四童  
気振紫萩珠東
文化の日手話通訳の目が話す     珠子  
気宙振紫ざ勝東
目録に正誤の紙片文化の日      萩月  
宙振四
無名の者集うわが町文化の日     義郎
赤犬の喧嘩の記憶文化の日      東人  
気振勝
サザエさん家が日本をでてゆく文化の日   
宙虫
家中の電池を換へる文化の日     振り子  
勝珠東四
文化の日サーカスのごと黄昏れる   紫野  

文化の日勘違いして祖母孝行     ざんくろー  

甘栗をツルリと剥いて文化の日    勝之
老犬に目薬さして文化の日      天気