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1998年9月19日に始まり2002年3月に終わったFAX句会の記録。ファイルがすでになかったり、崩れていたりで、脱落は多々



九の付く日のファクス句会 第1回 98年9月19日(土)


曼珠沙華一直線にやって来る 吾郎 ◎裕◎栞◎規夫

遠方にころがる人や月明り 等 ◎裕◎哲郎◎吾郎◎十四郎◎栞◎規夫

秋深し風呂屋に紅き下足札 裕 ◎等

栗の皮近くて遠き国のあり 栞 ◎裕◎等

栗茹る駄菓子のオマケ組み立てつ 唖々砂

十三夜海は女に属すこと 哲郎 ◎唖々砂

秋の雲男の酒の美味きこと 十四郎

栗の実のかたちした菓子栗の味 規夫 ◎哲郎◎吾郎◎唖々砂◎等

カルメンの前後左右が曼珠沙華 裕 ◎吾郎◎等

煙草踏むたれかまた踏む鵙の坂 哲郎 ◎裕◎規夫

薄紅の秋桜手折る指三本 吾郎 ◎唖々砂◎十四郎

空ばかり見てブースカが芋畑 規夫 ◎栞◎等

針と糸葉巻が入るほどの月 十四郎 ◎裕◎唖々砂

秋風や男女が並ぶ入場門 等 ◎栞

栗剥くや同じ形はひとつもない 唖々砂 ◎栞

秋霖のバスぎしぎしと過ぎ行けり 栞 ◎哲郎◎等

秋気澄む壁の恐竜ひだり向き 規夫 ◎哲郎◎吾郎◎唖々砂◎十四郎◎等

猟奇王桃に薄刃のいま入る 哲郎

点線で折り返さるる秋の暮 等 ◎裕◎規夫◎吾郎

曼珠沙華この地に神のおわします 栞

弦月や言葉を遊ぶ猫笑う 十四郎 ◎唖々砂

栗食むや縄文人の舌となる 唖々砂 ◎哲郎◎吾郎◎栞

沈船の後悔を消す微生物 吾郎 ◎哲郎◎十四郎◎規夫

仁丹を舐めて煙草を吸う満月 裕 ◎規夫◎等

〔選評集〕
遠方にころがる人や月明り(6点)
屍体を観賞するには最高のシチュエーション(裕)/不思議なものを見る人は見る(哲郎)/ちょっとひょうきん、実はシリアス? この人絶対に死んでちゃやだなァー。でも死んでたらどうしよう(吾郎)/こんなのが歳時記の例句として載っていればおもしろい(十四郎)/とっても明るいんですね。ころがる人って酔っぱらい?(栞)/人がすっかりと「モノ」に(規夫)

秋気澄む壁の恐竜ひだり向き(5点)…季語が動く典型句に見えて、恐竜の壁画(しかも左向きの)には「秋気澄む」しか似合わないという作者の根拠のない傲慢な自信がとても好もしい(哲郎)/キリリっとしたかと思うと、ヘナヘナとなってしまう落下感覚とでも申しましょうか。もっと深そうだけど、このヘンの深度で◎印です(吾郎)/何年か前、科学雑誌の付録だったティラノザウルスのポスター。左向きにギャーと牙をむく!(唖々砂)/「ひだり」が平仮名であることに尽きる(十四郎)/日本的美意識。左に始まり右で止めるか、か(等)
栗の実のかたちした菓子栗の味(4点)…このお菓子を私は確かに知っている(哲郎)/「の」「く」「か」といった音が心地よいリズムとなって◎印を自動書記させました(吾郎)/クリキントンノナカデイチバンオイシイノハ「スヤノクリキントン」ダ(唖々砂)/ホンワカして面白い(等)
栗食むや縄文人の舌となる(3点)…縄文人の糞便の化石に栗が存在していたことを私も確かめたが、むしろ彼等は栗を火にくべることによる暗殺用の武器としていたという縄文文字の古文書が残っているらしい(哲郎)/非常にジョーブなアゴの骨が内包する、ザラザラした野性の舌がエロチックです(吾郎)/先日、初めて栗本来の味を体験しました。素朴で、実に繊細。忘れていたことを思い出します(栞)
点線で折り返さるる秋の暮(3点)…具体的なようでいてきわめて抽象的なおもしろさ。うまい。(裕)/何なのかナ…と思っているうちに選んじゃいました。よくわからないと言ってしまえば失礼なのですが…(吾郎)/含意豊か。圧倒的なテキスト(規夫)
曼珠沙華一直線にやって来る(3点)…ひがん花も男も直情的。すぐ立つくせにすぐしぼむ。(裕)/「やって来る」がおもしろい(栞)/すごく「やって来る」感じ。(規夫)
沈船の後悔を消す微生物(3点)…後悔? 航海と掛かっているのかなぁ。いずれにしても私は沈船を宇宙船ととった(哲郎)/潜水艦が撮す沈船を見るたびに去来するのは後悔だったのだ(十四郎)/タイタニック号のサルベージ計画。「今しかない」と、いただきました。「沈潜の航海」「沈船の公開」「沈潜の降灰」と同音異語にパラフレーズしていく楽しみもあった。FAX句会は「時事」に向いていると思うのですが(規夫)
栗の皮近くて遠き国のあり(2点)…「栗の皮」で一般論をシメ直した。(裕)/皮まで言うか! 好きな句(等)
針と糸葉巻が入るほどの月(2点)…なんだかエキゾチック。アラビアか? 不思議。(裕)/フランス製のボンボンが入っていた缶は三日月の形をしていて針と糸葉巻がちょうど入る。のだった(唖々砂)
煙草踏むたれかまた踏む鵙の坂(2点)…短歌的素材を俳句にして中途ハンパに成功(裕)/コンサーバティブな空気はいつも肯定してしまう。町が壊されすぎる(規夫)
秋霖のバスぎしぎしと過ぎ行けり(2点)…擬音の使用は失敗と成功の差が激しいがこの句は中ぐらいだと思う(哲郎)/本格派(等)
仁丹を舐めて煙草を吸う満月(2点)…口から気管、肺で感じるものと「満月」がフィット。煙草好きにつき(規夫)/ゴチャゴチャと忙しい俳句、まあいいか(等)
薄紅の秋桜手折る指三本(2点)…私は作法通り指三本で秋桜を摘んだ(唖々砂)/「手」と「指」を差し換えた方がさらに良いのでは? このままだと骨折のギブスで三本しか動かない手ではないか(十四郎)
カルメンの前後左右が曼珠沙華(2点)…日本初の総天然色トーキーを思わせる、鮮やかすぎる、過剰な赤にドキっとしました(吾郎)/なんでまたカルメンなの?(等)
空ばかり見てブースカが芋畑(2点)…ノー天気で、気持ちいい(栞)/メロディアスですなあ(等)
秋風や男女が並ぶ入場門(1点)…「男女」というのが良いと思う。風とともに、声が聞こえてくる(栞)
栗剥くや同じ形はひとつもない(1点)…本当にそう思います。哲学です(栞)
十三夜海は女に属すこと(1点)…ラ・メールは女性名詞?(唖々砂)
秋深し風呂屋に紅き下足札(1点)…「紅き」でゴマカサレタ(等)
弦月や言葉を遊ぶ猫笑う(1点)…チシャ猫の口は弓張月。ケタケタと笑い消えたり現れたりするのだ(唖々砂)


〔総評・近況集〕
■知り合いから借りた2CVで高速道路を走ってたら、突然、屋根が吹き飛んだ。日本家屋みたいなクルマでした。(裕)
■初のFAX句会、楽しかったです。コメントを書くという作業が作句選句並み(それ以上)にタイヘンでした。いろいろ実験もできるし、いっぱい作ることができて(作らざるをえなくて)勉強になります。PS それにしても並べてみると自作の欠点がモロに見えるのが恐ろしい。(吾郎)
■ニューヨークに5年前、行ったきり帰らぬ友人が夢で帰ってきた。手土産に大きな中華饅頭を持って。その10日後、夢ではなく本当に彼女は帰ってきた。聞けば中国の大連で仕事を終え、その足で一時帰国したという。飛行機であずけた土産の月餅は行方不明で「お土産なくてゴメンネ」と彼女。いいわヨ。夢でもらったから。(唖々砂)
■我々はこのFAX句会という形式に慣れなければならない。机の上で作る句のなんと力感のないことか。自戒を込めて四句選。(十四郎)
■9月20日9時30分頃、熊野の旅より帰宅。入浴後、第1回FAX句会の選句。また楽しみがひとつ増えた。それにしても熊野という所は、すごい所だ。真夏の日差しかと思えば、大雨は降るし、川原を掘ると湯は沸くし。あの深緑の山の中に、どうやら 本当に神さまがいるようだ。(栞)
■喋り過ぎだよ、今回の俳句は。ハイデッガーは「近代の根本的な出来事は、像(ビルト)として世界を制服していくことです」と言った。これは危機感ですね。また、ある書家は「名詞の力が不足している」と言った。二つとも正しいと、僕は思っています。とすればですよ、ありふれた言葉に新しい感覚(サンス)を付与するのかな、と僕は思っています。フランス語で感覚(サンス)とは「方向」という意味もあるとのこと。芭蕉の不易流行とは、このあたりにあるのかなと、最近思っています。(等)
■金曜日新宿でパチスロ(コレお仕事)、帰りにキップ・ハンラハンという人のCDをまとめ買い。その日は犬のように働いて、週末、誰も来ない仕事場でのんびりCDを聞いている。ちょっと暑いが、これが幸せというものなのでしょう、ウェットに言えば。(規夫)

〔当番から@ 第1回を終えて〕
最終FAXがうちの時計で十時五分。みなさん、きっちり時間は守るわ、当たり前ですが句はちゃんとしているわで、考えもなく言い出しっぺとなった当番・規夫はびっくりして、恐れ入りまくっております(じつは投句がどれくらいあるのか気になって、そわそわしてたんですよ、この土曜日は)。今回、「栗」が5句、「曼珠沙華」が3句、「月」関連が4句。モチーフで気が合いましたね。
井口家は熊野から投句。早くもFAX句会ならでは。タイミングの良いお二人です。
それはそうと、おもしろい偶然が一つ。十四郎さん、あえて「四句選」で喝を入れるの巻、でしたが、等さんの「選」は八句(「六句だ」って言ってるでしょうが)。マイナス2とプラス2で、プラマイゼロ。世の中、いやこの集まりはうまくできてるもんだわ、と、ひとり感心しました。
というわけで、「気楽な催しとして、長く続くといいなあ」が第1回を終えての、当番としての感想。

〔当番からA 手順についてのお知らせ〕 
▼要領の変更@
 次回から「選評」のコメントは「随意」とします。選んだ句全部に「must」だと負担になるので。「選」だけでコメントは無記入ということでもかまいませんし、一部だけコメントでも結構、全部にコメントでももちろん結構です。
▼要領の変更A
「選」の期限について、前回のお知らせでは曖昧でしたが、翌日中(もしくは翌々日夜明け)までとさせてください。
▼誤植
 誤植にお気づきの場合は、なるべく早く当番までご連絡(FAX)ください。訂正を送信いたします。
▼送信先指定
 旅先、仕事先など、自宅以外のFAX送付先をご希望される場合は、その旨、投句に添え書きください。
▼受信時刻
 FAX受信時刻を制限(夜何時以降はダメ等)していただいても結構です。その旨お知らせください
▼ご要望などありましたら、なんでもご遠慮なくお申し付けください。

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九の付く日のファクス句会(仮称)第2回 98年9月29日(火)

〔5点句・1句〕
鶏頭の視力が尽きて川向こう 等
 ◎哲郎◎マスオ◎裕◎栞◎規夫
■「や」を「の」に変えるだけで、世界が再構築される(裕)■意味不明だが、魅力ある(哲郎)■視力が尽きてなんてスゴイ。なんか見据えてる感じ(栞)■「鶏頭や」ではなく「鶏頭の」だから、不思議な残響があるのだろう(規夫)


〔3点句・5句〕
黒板のメニューに秋刀魚濃く強く 哲郎
 ◎裕◎吾郎◎規夫
■明解にして、力強し(裕)■上手い美味い(吾郎)■呑み屋俳句。〆切が十時なのが悪い(哲郎)■リズム良し。けれんみなし。オヤジの筆跡が最短距離で読み手に届く(規夫)■「濃く強く」じゃなくて「金釘流」にしてほしい。そしたら冷奴もサイドオーダーしちゃいます(マスオ)

無人機の裏に闇あり秋の蠅 哲郎
 ◎等◎マスオ◎規夫
■お自動さんや、いらっしゃいまし〜んは怖いんだよ、坊や(等)■「無人機」は抽象的な感触を持った不思議な呼び名。「闇」に、「そ、そんなたいそうな!」と引いてしまいそうにもなるが、ブースから出られなくなった蠅を思うと、至極現実的な風景。抽象と具象が巧みに構成されていると思った(規夫)■思わせぶり(哲郎)

ちりとりがさかさま秋の曇りかた 裕
 ◎哲郎◎等◎規夫
■遅れて投句した奴の句。二句とったが、罰として一句減らしてやった(等)■あと出しだと絶対一句選ばなきゃならなくなる。この「平凡」がこの作者には必要(哲郎)■こういう余韻綽綽(しゃくしゃく)ってカンジの句、作ってみたいナァ(吾郎)■曇りかたって面白いと思うんですけど。おまけになんか、呪文みたいで(栞)■絶品(規夫)

秋霖に四肢ぶらぶらと赤ん坊 裕
 ◎マスオ◎吾郎◎栞
■女の子ですか(吾郎)■選んだ後にこういう上手いのがきちゃマズいよ(哲郎)■重く気だるい感じを、よくまあ赤ん坊で(栞)

ぴしと鳴りテレビジョン消ゆ雲の月 規夫
 ◎哲郎◎マスオ◎栞
■特選(哲郎)■「ぴし」が気に入りました(マスオ)■ぴしと鳴るにドキッとする(栞)

〔以下順不同〕
球根を浅く植えたる老婆かな 等
 ◎哲郎◎マスオ
■気味の悪さをいただきました(哲郎)■力みのない、わかりやすい句、好きです。この「浅く」がたまらなくスキ(マスオ)■ひょっとして良質のテンダネス? 何回か読んでるうちに、しっとりしてくるぞ。とり漏らしたか(規夫)■元気で長生きしてほしい(栞)

銀杏をひろいて今日も終わりけり 栞
■あ、そう(哲郎)

滅入ったり元気になったりきのこ菌 規夫
 ◎吾郎
■忙しい(哲郎)■そういえば、あの紅茶キノコって、みんなどうしたんでしょうね(吾郎)

秋澄んで浅草鬼蔦千社札 哲郎
■季語に「?」の余地あり(哲郎)
爪の間に入りこみたる秋の暮 吾郎
 ◎裕◎栞
■なにやらわびし、じっと爪見る(裕)■気がつくと何か入っていたり、秋の暮れだったり(栞)■少し無理か(哲郎)

デジャブーか夢か酔いか十三夜 マスオ
■ずっとそっちにいなさい(哲郎)

柔らかなもの切る良夜密葬す 等
 ◎裕◎規夫
■柔らかなもの切る良夜……いいねえ。でも、密葬はドラマ過剰(裕)■「柔らかなもの切る良夜」までは絶品。惜しい(哲郎)■「柔らかなもの」と「密葬」の関係に緊張感。離して読むか、密接に読むか。密接に、すなわち「柔らかなものを密葬」と読むと、密葬がコリっと具体的になり「良夜」ががぜん生きる、と思ったが、ぜんぜん違うかもしれない(規夫)■コワすぎて選べませんでした。何ですか、柔らかなものとは?(マスオ)

銀杏を割りて宝石王となる 栞
 ◎吾郎
■いいなァ、こういうキレイな句、作りたいもんです(吾郎)■なんでそんなに説明してしまうのか(哲郎)

まぐわい媾合や捜査は迷宮入りとなれ マスオ
■媾合、捜査、迷宮は付きすぎ(哲郎)■思わず季語辞典を調べてしまいました(栞)
■媾合って秋の季語でしたっけ…(吾郎)■本塁打報道(マグワイヤ、ソーサ)のたびに「まぐわい」が同時に聞こえそうになる自らの二重のオヤジ性(ダジャレとスケベ)を、私は懸命に排除している。それをこんな形に書き残してしまうとは! このほうが楽しい生き方かもしれない(規夫)

初茸やお生いたる土のやわらかさ 吾郎
 ◎哲郎
■巧技(哲郎)■次点候補。きれいな句だが「普通」とも思ってしまった。選句はむずかしい。上の「や」は「の」が良い? 私にはわからないが、このへん一度、誰かに修辞の基礎を教わりたい(規夫)

ひがんばな土手もろともに刈られけり 裕
 ◎栞
■ダイナミズムと儚さでしょうか(栞)■わかったよ、上手です(哲郎)

満月を穂先で掃いてる芒かな マスオ
■仕事し過ぎ(哲郎)

ブツブツとバス停に居り鶏頭花 栞 
 ◎等◎吾郎
■そんな感じですね、この花は(等)■田舎のバスはなかなか来ない(吾郎)■わかるんだけど…(哲郎)■最初に読んだときはノーマーク。が、だんだんと気になってきた句。「ブツブツと」が不可解な(と読めた)まま突出しているところが、そうさせたのか。ところが、緊急追加の句が良くて、しかたなくこれをはずした(規夫)

洗脳や蛇口のしたに秋野菜 規夫
 ◎等◎裕
■野菜は無意識の世界では死を意味する、と読んだことがある。神戸の小学生殺人事件のメッセージにも「野菜ども」と書いてたんじゃないか? ラカン派の分析医が、鳥山の「ドラゴンボール」に出てくるサイヤ人はヤサイから来ているんだ、と言っていた。その(秋)野菜が蛇口の下にあるんだから恐い景ではあるんだな。上五の「洗脳」だが、そこまで言った方が良いかどうかは、僕には不明(等)■かつては磨き砂で、血が滲むまでゴシゴシだったが、現代はザブ+ぬるま湯でゆるゆる洗う(裕)■ジリ貧(哲郎)■ヤサイと脳を一緒に洗ったらコワイと思う(マスオ)
マッチ燐寸擦る残菊の影ゆるゆらり 吾郎
 ◎等
■残菊の影ゆるゆらり燐寸擦る、ではいかが?(等)■形はピシリ、中身がゆるい。いわば半熟卵(哲郎)



〔総評・近況集〕
■今週は、連日、新宿パークハイアット五十階・会議室で取材。下界は秋霖。ここは雨雲の中。にしても高層ビルの増えたこと。この無数に拡がるビルの窓ひとつひとつに人間が入っているとは不気味。われわれは都会という珊瑚のなかに住む、珊瑚虫みたいなものであります。ある日、近くの超新星からガンマ線がふりそそいで、ポロポロ死滅するかもしれないね。(裕)
■なんでノムラが去って、ナガシマが残るのか? こうなったら、ノムラさん、高校野球のカントクになって、そのチームを甲子園で優勝させてください。もちろんその高校は公立校です。(マスオ)
■2回目のファクス句会。とにかくこの十日間の天候が、見事に反映しているように思います。なんか、凄い。(当たり前かな?)(栞)
■十月二日より毎週金曜日22時〜24時、FMFuji(78.6MHZ)で『RADIO Veep』てのに出ます。毎週ナマとゆーおそろしさ。千葉テレビで毎週土曜23時45分〜24時。こっちは『TV Veep』です。おヒマな方は見てやってください(吾郎)
■前回ご紹介したブースカ、いまはウチの下駄箱の上で、夜露をしのげています(本人はどっちが幸せかわかりませんが)。私が帰ってドアを開けると、ブースカと目が合う。(規夫)


〔当番から〕
▼今回、月天界隈で初登場のマスオ氏は、国立在住。規夫の知人。初代春団次、裕さん(等さんも?)と同じ「五黄の寅」の生まれ。血液型・きわめてB型。
▼裕さん、堂々の翌朝入場。シード選手かあ。で、この三句? 試験場に遅れて入ってきて、いい点とってしまう、頭のいい不良のようじゃないですか。声高の罵倒がFAXの向こうから聞こえてくるようです。
▼今回は、哲郎さんが全句コメント。簡潔。でも、バッサリ具合にはまだ手加減?
▼清記送信のタイミングが、前回は夜遅く、今回は朝と、バラツキが出ている状態。すみません。これは皆さんにとって不都合かとも思いますので、原則、9のつく日の翌朝7時から清記ワープロ化の作業、翌々日の7時から「選」込みの書面作成作業とします。したがいまして投句と選の送信は、その作業時間までにお願いいたします。もちろん投句も選も早いぶんにはいっこうにさしつかえありません。皆さんへのFAXは早いと朝8時、遅くとも10時とお考えください。それを過ぎると、FAX送信の不具合のケースもありますので、当番に問い合わせてみてください。(携帯030・38・25851)
▼月に3回の縁日のような句会。毎回顔を出すのもいいし、たまに寄ってみるもいい。そんな気楽な句会をめざし、皆さんに負担感のない形を模索していきましょう。
▼句会名称への応募は、いまのところ一つ。「ファッ句遊」。応募者の名はあえて伏せますが、
戒律の厳しい業界に身を置かれるりっぱな方です。これは、当番が却下しました。


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九の付く日のファクス句会「テレオクンチ」第3回・九八年十月九日(金)

〔6点句〕

それよりも深夜南瓜に会うのです 哲郎
 ◎十四郎◎等◎裕◎吾郎◎由季◎勝之
■「答」は必ず「問」という前提を持つものだが、問われもせぬのに答えをはぐらかすとは…(十四郎)■南瓜って頑固そう。だから面白いのかな。武者小路実篤もびっくり(等)■この思わせぶりがいい(裕)■審査員特別賞系(吾郎)■陽気なハロウィンのおばけがいるみたい(由季)■あっ、俺も最近ちょくちょく会います。「それよりも」がすごくいいなぁ。それよりもの「それ」って何の話だったのかねェ(勝之)■私も会います(哲郎)

セロファンの月懐に指でっぽう 吾郎
 ◎十四郎◎唖々砂◎等◎裕◎由季◎栞
■少年趣味だが楽しい(十四郎)■この指でっぽうの詩人にトレンチコートを着せるか、ルパシカを着せるかでガラリと風景が変わる(唖々砂)■パーン(栞)■二段切れだからいいのかなあ。きれい(裕)■大人の童話。足穂的世界はイヤな時もある(等)■この手のモチーフのものは絶対にとらない。今後、もっといいのが出てきてもとらない。もすこしでとりそうになったけど(規夫)■方向が直線上にしかない(哲郎)

〔5点句〕

新米に両手くぐらせ一人の日 菊野
 ◎哲郎◎吾郎◎由季◎栞◎勝之
■団地妻の午後(吾郎)■指の間をすべり落ちる官能的な感触を想像した(由季)■久しぶりに俳句を見た(哲郎)■真新しい糠の匂いと冷やっとした感触。今日は自分のためだけにご飯を炊こう(栞)■妻の帰りをずっと待ちたり(裕)■人に言えないとんでもない読み違えで、とり落とした句。残念(規夫)■『泥の河』やね、「お米ってすごくぬくいんや…」ってか(勝之)

花野にて老婆の頭放たるる 等
 ◎裕◎哲郎◎由季◎規夫◎勝之
■恐いですねえ。出会いたくない景です(裕)■映画のワンシーンを見てるようだ(由季)■こわい(哲郎)■花野ではなく、そのへんでよく見ます。「花野」としたところ、作者のやさしさだと思います。勉強になりました(規夫)■老婆はアルツハイマーでもあろうか。花に囲まれ幼児のような笑みを浮かべている。そのとき後方から侍姿の三船敏郎突然登場。抜き放った技物で一刀両断。頭を失った老婆の胴体から血柱吹きあがる(もちろんモノクロ黒沢の『用心棒』のごとく)という映像が頭にこびりついちゃって、どうにも消えてくれません(勝之)

〔以下、順不同〕

長き夜クローン羊に見つめらる 唖々砂
 ◎栞
■あの円らな瞳の凝視に相応しい季語(栞)■いやン、エッチ!(哲郎)■肉屋の顔をじっと見つめる(裕)

鯖猫はこし餡のごと眠る良夜かな 勝之
 ◎裕◎由季◎栞
■いい夜だなあ(栞)■そういう風に眠るんだな。にしても、よく伸びる餡だ(裕)■体ごととろけるかのようできもちよさそう(由季)■こし餡のごとく眠れり良夜かな、じゃダメ?(哲郎)■俳句系新体詩。気にはなるんです。勝ちゃんかな〜(等)

秋の寺自転車泥棒花泥棒 由季
 ◎菊野
■にぎわいがあっていいな(哲郎)■下着泥棒みんな泥棒(裕)

天津甘栗一列横隊号令す 十四郎
 ◎哲郎
■かわゆい(哲郎)■八路に下りし日本兵らし(裕)

ずん胴な女と暮らす星月夜 菊野
 ◎由季
■ホッとするような絵画的な幸福感がいい(由季)■できれば「くびれ」がほしい(哲郎)■自分の足の長さ忘れて(裕)

ひやひやと小さき人の腕時計 規夫
 ◎菊野◎十四郎◎等◎裕
■コメントを付けたくなくなる面白さ(等)■なんか平凡だけど、まあ、いいかと(裕)■難解(哲郎)

電球に魚が栖みたる雨の月 裕
 ◎十四郎◎唖々砂◎等◎勝之
■策にはまる快感(十四郎)■最近電球づいてません? でも好きだな、鈴木翁二の世界を彷彿とさせる(勝之)■好きな句ですが「栖みたる」がすごーく気になるんですけど。もっとサラっと言ったらダメなんでしょうか…(唖々砂)■実は甘ったるい句なんですよ、コレが(等)■こんな電球、私はイヤだ(哲郎)

鳳仙花穴でつながる上と下 等
 ◎菊野
■熟年夫婦の夜の生活のことでしょうか(哲郎)■飯は上から、あとは言えない(裕)

体温計ぴぴっと鳴って夜の桃 由季
 ◎菊野◎十四郎◎唖々砂◎裕
■有名な「夜のお菓子うなぎパイ」というのがありますが、「夜の桃」はエロティック。あーびっくりした(唖々砂)■「夜の桃」は三鬼の句集であったか(十四郎)■なんか平凡だけど、まあ、いいかと(裕)■悪いところは別にない(哲郎)■クロウト筋はとらないと思う、基本がなってないから。でも、私は「いい」と思った。季語の収まり方が。でも、とらない。家庭の事情ざ〜んす(規夫)

たそがれて蟷螂いまだ揺れやまず 裕
 ◎唖々砂
■作者はずっとここにいたのだろうか(唖々砂)■未整理な感じがいい(哲郎)

こぎれいな家庭作りて曼珠沙華 菊野
 ◎十四郎◎吾郎◎規夫
■花は毒のたとえである(十四郎)■うぁ〜ドロドロしてるぅ(吾郎)■この季語でめずらしく個性的な句だ(哲郎)■憎々しげに愛をうらやむ(裕)■いっとき世界一のバンドだったトーキングヘッズにOnce in a Lifetimeという曲がある。同じメッセージだ。これは俳句でロックしている(規夫)■くすぶった憎悪。詩ではありません(等)

恐竜の深く眠れる無月かな 栞
 ◎唖々砂
■恐竜の眠りは深すぎる。ホント、ふかーいのだ。もう二度と起きない。死んでいるとも言う(唖々砂)■形が美しい(哲郎)■浅く眠るはウーパールーパー(裕)

天井の蜘蛛らの儀式雨月なり 唖々砂
 ◎等◎哲郎◎規夫
■決まり過ぎて、後が無い…って感じ。コギャルにわかるか(等)■面白いけど、上を向いたっきりになるのが「?」(哲郎)■虫のこころはちとわかるまじ(裕)■蜘蛛らの動きはたしかに儀礼を感じさせる。人類学者はこの句とりますね、絶対(規夫)

私だけざっくばらんに芒散る 哲郎
 ◎等◎吾郎
■これ、女性の句だぞ、きっと。「ざっくばらん」って語呂、本当にざっくばらんですね(等)■深川芸者の心意気(吾郎)■私だけ? 私だけ?(哲郎)■二の句をつげぬ浮いた私か(裕)

秋深し卵の化石ゴロゴロと 栞
 ◎哲郎◎規夫
■ツルツルとだったらダメかなあ(哲郎)■煮ても焼いても喰えぬ哀しさ(裕)■「ゴロゴロ」って、あなた、もすこしなんとか…。でも、このプレイスタイルを断固支持する。好きなタイプの選手。なんか、ドカンとした言葉の使い方。物理がドーンと伝わるから気持ちいい(規夫)

砒素殺人栗飯ぼろぼろぼろぼろと 哲郎
 ◎裕
■ぼろぼろぼろぼろに実感あるが、安い。ま、旬のものだから(裕)■フム(哲郎)

秋桜とびっこのママの偏頭痛 規夫
■差別用語のちと危うかし(裕)■ツーペアかスリーカードかただのブラフか(哲郎)

南天の腥きほどに実をつけて 勝之
 ◎吾郎◎栞◎規夫
■「に」の価値(吾郎)■「腥き」の読みがわかったとき鳥肌が立った。目にも耳にも美しき表現。凄いなあ(栞)■真面目さがいい(哲郎)■漢字は面白い。無教養な私が読むと、句の意味とは別に「南の空の月と星」が一緒に見えてくる。むずかしい漢字にはルビをふってほしい(規夫)■発句であればこれがはつはな(裕)

二の腕の白さ他言無用の秋 吾郎
 ◎菊野
■秘密主義(哲郎)■グアムもハワイも遠きまぼろし(裕)
数えぬ日ありて十月三十二日 十四郎
 ◎吾郎◎規夫
■…に生まれた奴を私は知っている(吾郎)■〆切は全員辛い(哲郎)■そりゃ理屈だといわれ納得(裕)■なんで前半を「数える/数えぬ」にしたのだろう。違うものがほしかったぞ。「十月三十二日」は、今月に入って読んだもの、買ったCD、見聞きした話ぜんぶ合わせてベスト3くらいに「いい」と思ったのに。でも、とる(規夫)

肢一本残し蟋蟀いなくなる 規夫
 ◎菊野◎唖々砂◎哲郎◎勝之
■また生えるからいいんだよね、1本くらい。でも困る、残されても(唖々砂)■いや、生えんでしょう(当番)■発見がある(哲郎)■地雷を踏めば人もおんなし(裕)■いや。人はいなくなれない。難儀なことに(当番)■我が家の便所にも肢一本残して…あれは便所コオロギ。ものすげぇ恐いんです、あのカマドウマちゅう生き物(勝之)

深爪の半月曲線の良夜 吾郎
 ◎由季
■単語四つでフォーカード(哲郎)■砒素を飲んだら筋目出るなり(裕)

影までもなお黒々と揚羽往く 勝之
 ◎十四郎◎唖々砂◎栞
■「なお」が短歌的と思うのは何でだろう(唖々砂)■難しい方角(哲郎)■ついでに日蝕みんな真っ黒(裕)■「までも」「なお」が短歌的。勝ちゃんかな〜(等)

胡桃完全なまま取り出し置く 十四郎
 ◎栞
■決してすぐ口に入れてはならない(栞)■志が高い、と思う(哲郎)■「を」を入れたらただの説明(裕)

木犀の今日は家まで攻めて来た 栞
 ◎等
■そう、この花の匂いは帝国主義的ですぞ(等)■感じはとてもいい(哲郎)■わがマンションは二階どまりぞ(裕)



回教の如く校庭冷えにけり 等
 ◎吾郎◎勝之
■モスクって、なんか暑い(吾郎)■ラマ教なら理解できる(哲郎)■母の仏壇・父の神棚(裕)■キリスト教よりはるかに熱いと思うんですけど、ま、戒律とかタブーとかを思い合わせれば(勝之)

水槽に泡のみ動く秋しぐれ 裕
◎菊野◎哲郎◎規夫
■「秋しぐれ」じゃなければ、もっといい(哲郎)■水槽って小さくてチンケなものほど、じっと見入ってしまう。泡しか見えなくてもずっと見てしまう。一つの事象をこうして取り出してくれるだけでも充分です。俳句は(規夫)

不条理な種なし柿に三時くる 唖々砂
 ◎勝之
■こない、と思う(哲郎)■あの大ぶりな種があったはずの部分の果肉を食べる時って、いつも不思ギな感じがしてた。種なしブドウとかスイカにはない違和感。納得のいかなさ(勝之)■おやつとなって喰われる哀しさ(裕)

〔総評・近況集〕
▼辺境に住む私にとって、ファックス句会はありがたい。携帯もファックスも謎であったのに、今ではとても身近な存在。句よりも、ファックスを介在しての句会という処に無邪気に面白がっております。どなた様も、ごきげんよくお過ごしください。(菊野)
▼マスオさんが参加されることを願いつつ(等) ※投句に添付のコメント
▼吟行句会では、それほど感じないのに、FAX句会で気になっているのは、句の傾向が似てきているということ。同じメンバーで、ずっとやってきているのだから影響し合ううち、そうなるのは自然なことかも知れないが、発想が大きく同じ方向を向いているような気がする。自分の句が誰かに似てきているのはとても不安だ。あー、もっとちがうのが作りたい。どうすればいいんだろう。(唖々砂)
▼家にネズミが住み着いた。妻が目撃したが、私はまだ見ていない。昔、ネズミの巣を見つけて、ネズミの赤ちゃんを手にとったことがある。ちいさな桃色で。ぷよぷよしていた。隣の兄ちゃんが焚き火のなかに放り込んで焼いてしまった。かりんとうみたいな炭が五つ残った。(裕)
▼来年の九月九日まで…。108句(1回3句として)できることになりますネ。煩悩煩悩。にしても、今回ヘンな句が多かったと思いません?(吾郎)
▼テレビで吾郎さんを見ました。編集の仕事って? と聞かれて困っていた。(由季)
▼「オクンチ」なんてしゃれてますねェ。おまけに一年で108句、煩悩分だと喜んだのですが、来年の二月は二十八日までしかない。ウー、残念。どうする?(栞)
▼十月十日、電車に乗ろうとしたら、腰の曲がったお婆さんが立ったままドアの手すりにしがみついていた。誰が立つやつはいないのかと中を見たら、ずらっとお爺さんお婆さんが座っていた。遠足の格好だったが、ちょっとびっくりした。体育の日は廃止したほうがいい。それと、シルバーシートという手軽なゲットー、いますぐ廃止だ。(規夫)
▼寺の改修工事が始まり歯科医数人に囲まれてガリガリやられている気分です。家中、砂埃だらけ。でも十二月には句会ができるようになる、と信じています。(哲郎)

〔当番から〕
▼菊野さんのご登場です。NHKホールの舞台奥の大仕掛けが開いた感じです。ビッグバンドの演奏がバック。当番として、ほんとに嬉しいです。勝之さんも登場です。川に浮いていた舟の木戸が開いた感じです。当番として、ほんとに嬉しいです。
▼今回、句会デビューとなった由季さんは、当番・規夫の戸籍上の妻。血液型・かなりB型。今回、生まれて二度目の作句で2句投句。「2つ作って疲れたあ。もう引退」の弁(「疲れた」だァ? なにを言うか、バカモノ。私なんぞ、いろんな風体の、しかし尊敬すべき俳人たちにまざって何時間も頭をひねってるんだぞ)。というわけで、今後どうするか知らんが、今回の2句は「レアもの」の可能性大でっせ。だからって、どうでもないけど。
▼哲郎さん、前回に続き全句コメント。傑作も多いけど、ピピーっ、当番として警告。艶笑系のネタ、多すぎ。裕さんも、ほぼ全句にコメント。んんーん、ちょっとアンニュイ。なにか嫌なことでもあらせられたのか。若輩のこんな心配、お叱り受けるのは承知のうえで。
▼等さん、コメントに「作者推理」を3つ。2勝1敗。勝之さん、どんぴしゃ当てられてまっせ。「女性」と読まれた哲郎さん、会心ですか? 独特の、肩を使った笑い方が目に浮かぶ。このへんを、皆さんより一足先に楽しめるのが、当番の役得の一つ。
▼一方、当番の嘆きを一つ。9の付く日の次の朝、句をぜんぶ入力したらさっそく選句していますが(FAXが届いてからだと、影響受けちゃうでしょ、だから)、なにがつらいといって、作者をわかって選句するのはつらいです。もちろん、頭から忘れよう忘れようと努力して読みますが、やっぱり残っちゃいますよ、そりゃあ。だから「作者は知らないふり」という、しらじらしい形式主義はやめて、はっきり確認しておきましょう。厳密に言えば、私の選は、皆さんの選とは別物です。だから、どうってことではないのですが。
▼それと最後に、今回の「総評・近況集」にある唖々砂さんのある種の懸念には、次回、誰か応答すべきでしょう。投句時でもいつでも、お待ちしております。特にプロの方。
▼きょうはほんとうに良い天気。これから何して過ごそうか。では、次回、十月十九日(月)にお会いしましょう。

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九の付く日のファクス句会「テレオクンチ」第3回・九八年十月九日(金)

訂正

栞さんから指摘があり、次の句の選者に誤りがあったことが判明しました。「等さん」ではなく、「栞さん」です。
次のように訂正ください。謹んでお詫び申し上げます。


影までもなお黒々と揚羽往く 勝之
 ◎十四郎◎唖々砂◎栞
■「なお」が短歌的と思うのは何でだろう(唖々砂)■難しい方角(哲郎)■ついでに日蝕みんな真っ黒(裕)■「までも」「なお」が短歌的。勝ちゃんかな〜(等)

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九の付く日のファクス句会「テレオクンチ」第3回・九八年十月九日(金)

訂正2

ひぇ〜。続いて等さんから指摘。次の句の選者に誤りがあったことが判明しました。「等さん」ではなく、「栞さん」です。
次のように訂正ください。もいちど謹んでお詫び申し上げます。

新米に両手くぐらせ一人の日 菊野
 ◎哲郎◎吾郎◎由季◎栞◎勝之

FAX用紙、ムダに使わせて、ほんとに申し訳ないです。今夜は反省会です、一人で。
選が2つなくなってしまった栞さん、まやもや2つ多く選んだことになっちゃった等さんには、特にお詫び申し上げます。

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九の付く日のファクス句会   第4回 九八年十月十九日(月)
テレオクンチ 楷書体にしてみました

〔5点句〕
月赤し巨き魚が上陸す  勝之
 ◎唖々砂◎十四郎◎哲郎◎亞子◎栞
■現実は奇形なものである。「赤」と「巨」が奇形性を伝える(十四郎)■トリュフォーが映画にした『華氏451』はこんな終わり方だった?(亞子)■「巨き魚」はタンカーか大型客船と読んだ。以前、港に巨大な鯨が上陸し、どんどん腐りはじめ困っているという新聞記事を目にしたことがある(唖々砂)■こういう句を見ると、誘惑される。でも、今回見送り(菊野)■あんたはノストラダムスか(裕)

らっきょ噛む転生するなら犀などよし  勝之
 ◎十四郎◎菊野◎亞子◎吾郎◎裕
■ふむ。いっぺんにたくさんのらっきょが噛めるわな(十四郎)■私にぴったり(菊野)■皮は堅そう(吾郎)■本気かなあ?俳句界における犀のイメージ的優位性について誰か書いてくれー(亞子)■犀は好きです。哀しいから(裕)■仮定や「など」はつまらない。いますぐ犀になるべき(規夫)

電話ベル止みて冷えゆく留守の家  唖々砂
 ◎十四郎◎哲郎◎葉子◎吾郎◎栞
■居留守でなければなりません。冷え方が違います(十四郎)■TVドラマの見すぎ(菊野)■さみしい(吾郎)■俳句ズレしている奴は「留守の家」じゃなくて、「椅子ひとつ」なんてやる。でも、そんな句よりは、こっちのほうがいい。ともあれ、説明しちゃあかん(裕)

車引く老ヘラクレス秋真昼  吾郎
 ◎唖々砂◎十四郎◎哲郎◎葉子◎栞
■ウチの近所にもよくダンボールを山と積むリヤカーをひいた老ヘラクレスがいる。研ぎ屋の老ソクラテスが道端で哲学しちることもある(唖々砂)■ダンボール回収の男は、決して夏ではない真昼に車道の端をゆくのだ(十四郎)■無法松の一生(裕)■無法松演じる三船敏郎がベンハーに出演しているような無意味さが面白い。んですが、俳句における暗喩(メタファー)というのが、私にはよくわからんのです(規夫)

ネクタイの顔がつるつる菊なます  裕
 ◎等◎哲郎◎菊野◎栞◎規夫
■一茶風かな?(等)■天賞!(菊野)■何人かの顔を思い出してしまい、おかしい(規夫)■自分のことをタナ上げにした、ちょっとイヤミな景です(裕)

〔以下順不同〕
十時半鳩時計狂い秋終わる  十四郎
 ◎唖々砂◎菊野◎規夫◎吾郎
■電池の切れかかった鳩時計は12時なのにうんともすんとも言わなかったり、半なのにいつまでも啼きやまなかったりする。命の果ての驕りかな(唖々砂)■十時半と言われても朝か晩かがわからないところに感銘。「狂う」として、違う季語で、今度盗作するつもりでいる(規夫)■夜の十時半か、朝の十時半か、そこまでわからせたら、きっと秀句(裕)■どうでもいいことの積み重ねで気になる(吾郎)

雀蛤となりて女装の靴が鳴る  規夫
 ◎亞子◎勝之
■俳句で仮面の告白とは……(十四郎)■男が女に化けるより雀が蛤になるほうがエライ、ような気がする(亞子)■女装シリーズではやはり「父」が秀逸(吾郎)■またやられた。この手の小技にいつまでやられることやら。人間て因業なものです(勝之)■なーるほど、蛤だもんね(裕)

竹揺らす姿見られて秋の空  菊野
 ◎等◎規夫◎十四郎
■誰に見られたのか探りたくなる。でも秋の空の存在感でこの句は決まっているのですね(等)■なんで揺らすのだろうと、物を知らない私は、その姿に見入ってしまう。で、どやされたりする。今回の特選(規夫)■見た人は恐かったと思う(裕)■なにをもって禁忌とするかで、文明の質は決まる(十四郎)

返り花くもれる夕べ咲きおりぬ  葉子
◎哲郎
■花は咲くもの(吾郎)■宗匠が点を入れてくれるよ。でも、ぼくは入れないよ(裕)

橋に月のぼる無名画家の上着  亞子
 ◎等◎裕◎規夫
■変なリズム。上着までがのぼってくるような雰囲気です(等)■懐旧的ファンタジーと読んでしまうのは、いま「無名画家」は、なんかこそばゆいからと自己分析。でも、とるんだな(規夫)■好きなんだけど(吾郎)■北欧の画家、えーと、誰だったっけ、あ、そうだ、ムンクだ(裕)

颱風下特権的肉体舞踊する  唖々砂
◎葉子
■見たくない景です(裕)

阿諛ありき全市に濃霧注意報  裕
 ◎哲郎◎菊野◎亞子
■漢語に弱い私。別に濃霧でなくともよいけれど、下総台地は濃霧が発生し易い(菊野)■辞書引いちゃいました(吾郎)■横浜にホンダZの試乗会にいったときの景です。お食事券もらって、コーヒー飲んだ(裕)■いずれにしても不透明な世界だ(亞子)

片言で犬とたはむる花カンナ  栞
 ◎唖々砂◎裕
■犬とたはむるのは幼児と読むか、日本に来たての外国人と読むか。「コラ、足カムナラ、イタイノコノ犬」妙にカンナに合うのである(唖々砂)■やっぱり言葉は違うんだ(吾郎)■等だろう、こんな句作るのは(裕)

その町の起伏や石榴口に入れ  等
◎吾郎◎裕
■いわくありげな町と果実(吾郎)■私にとって教科書のような句。でも、現場を見ているとかえってとりにくいことがある(規夫)■いいよね、この叙景。いい句だよ、これ。自分をみている自分がいるよ(裕)

水澄んで野球は横浜などといふ  哲郎
■来年になったら、わからなくなる句(菊野)■文句あんのか。横浜はスッキリと強いんだぞお(裕)

昼の月このさき道は細くなる  規夫
◎菊野◎栞◎勝之
■いい風景(吾郎)■時間と空間の色(勝之)■用地買収が難航しているのだ(裕)

嘘の種子一つ靴箱に置いて出る  勝之
 ◎吾郎◎規夫
■仕掛けられた罠(吾郎)■同居人が迷惑。でも、人ごとではない。こういう、どうしようもない行為、なんとなくわかるので(規夫)■作りすぎ(菊野)■オレなら真っ赤な嘘の花を咲かせるぜ(裕)

キラキラと秋空巡る鳥千羽  栞
 ◎十四郎
■つい昨日、私も雀の群を見た。久々であった。数十羽ではあったが(十四郎)■あまりにきれいで、恥ずかしい(菊野)■素直(吾郎)■素直すぎる。寝技をみせてくれ(裕)
三度目の紅茶ほのかに紅き良夜  十四郎
 ◎等◎吾郎◎栞
■出がらし(吾郎)■勝之さんか? 重信風に四行詩で読ませたいのか?(等)■貧乏なんだね(裕)

赤とんぼ墓にも両の隣あり  哲郎
 ◎裕
■おがんだらどすんと墓が倒れてきたcshiori(裕)

変わり玉奥歯で噛んで秋ふたつ  吾郎
 ◎等◎唖々砂◎葉子◎勝之
■奥歯が面白いけど、前歯じゃ折れてしまいます(等)■変わり玉は噛むと砕けないできちんとふたつに割れる。そうやってよく変わり玉の仕掛けを確かめたりしたものだった(唖々砂)■「変わり玉」一発でもっていかれる我が身のふがいなさ。自重しよっと(勝之)■うちの死んだ伊三郎じいちゃんは、世田谷太子堂菓子店の変わり玉を、入れ歯でバリバリ噛み砕くのを、こよなく愛していた(裕)

大声でミーシャ歌う夜長かな  葉子
■UAだと疲れる(吾郎)■うちのかみさんは、ニーナっていう。大声なのは同じ(裕)
秋の天ときどき止まる虫男  等
 ◎菊野◎亞子◎規夫
■酒の上の軽口を次から次へと悔いながら、それでも生きているのよ(近況に代えて)。(十四郎)■漫画的でいい。時々見かけます。こういう方(菊野)■虫男って誰? 変なの(裕)■「虫男」でもオモシロイが男も虫も、だろう(亞子)■虫好きは虫みたいな顔になるらしいから、「虫男」は正しい表現(規夫)

秋日和コンビニもある禁猟区  菊野
◎裕◎規夫
■世相のあるテクストは大事。カラダは世相の中で生きているわけだから(規夫)■こういうものは、頭のなかにないものを見てきた奴の勝ちだ(裕)

菊祭葉っぱのお金使えます  唖々砂
 ◎等◎吾郎◎勝之
■コギャルにこういう遊びをさせたい(等)■南吉の童話(菊野)■センター街の葉っぱは高いそうだ(吾郎)■あ〜っ、葉っぱのお金でCD10枚、本5冊、今すぐ買ってぇ、蕎麦屋で一杯もやりたい!(勝之)■どうせなら、八つ手の葉が使いでがあっていいだろう(裕)

裸婦像の柔らかき脚野分あと  等
◎哲郎◎栞◎裕
■見てきたんだね(裕)

草の花保身のすべ術を身につける  菊野
◎葉子
■ぼくなんか、すでに保育園のときから身につけていたが、それが裏目に(裕)

火祭りや岩苔の知る鬼の尻  吾郎
 ◎十四郎◎菊野◎亞子◎勝之 
■この、重きものに殴られたような芯に響く鈍さこそ、作家近年の獲得である、と口はばったいが弱輩は思う(十四郎)■やっぱり「鬼」はお尻でしょう! 赤と緑のコントラスト(亞子)■この岩苔はもちろん喰いたくないが、色の対比は鮮やか(勝之)■皮が厚そう(菊野)■新宮に行ってきましたな。オレなんかゴトブキ岩の上で小便しちゃったぞ。以後、バブル崩壊、みんなゴメンネ(裕)

秒針の小さく刻みし夜長かな  栞
 ◎葉子
■この手の句は、よくお見かけします(菊野)■長針の大きく刻みし夜長かな(裕)

やわらかな機械は歌う夜長星  規夫
 ◎唖々砂◎勝之
■なんだろう、豆腐製造器かしら(裕)■「やわらかな機械」は古いラジオと読んだ。高音も低音もイイコロカゲンにしか出ないところが、かえってやさしくて良いときもある(唖々砂)■ソフト・マシーンのレコード、ひっそりとレコード棚から出してきたんだけど、プレーヤーの針がだめ、聴けない、悲し(勝之)

柿の種種種種種種ピーピー  十四郎
 ◎唖々砂
■食べ過ぎは下痢のもと(吾郎)■種ピー種ピー種ピーピーぐらいで行きたいが、そうするとピーナツを一袋買いたすことになり、それでいくとピーピーピーピー種ピ、ピーー(唖々砂)■くどい(菊野)■コノヤロ。あやうく取りそうになったぞ。ううう、まだ取りそう。変なの好きです(裕)

憮然としてやさしい男に赤蜻蛉  裕
■こんな男いるはずない(菊野)■知人がスピード違反で捕まったときの景(裕)

月に雨降る昔のラブソング  亞子
◎葉子
■好きそうなんだけど(吾郎)■西田佐知子(裕)

夜長族口とんがった物ばかり  哲郎
 ◎等◎亞子
■恐いようなオカシイような…ヘンな味わい(亞子)■物だから面白い(等)■急須のことか?
〔以上34句〕

〔総評・近況集〕
▼昨日、持っている本を全部捨てたくなりました。古本屋の友人に電話をかけたりダンボールに詰めているうちに全部売りたくなりました。私は馬鹿です。(哲郎)
▼最近、酒ぬきで暴言を吐くようになってしまいました(葉子)
→当番・国立では同種の人が「爆弾マダム」と呼ばれています。身近にいるとスリル満点。
▼映画化された小説の腰巻やパチンコ店にソフトを売りつけるパンフレットや女ばかりのモダンダンスグループのチラシや直感力をつける自己啓発本やEUについてのQ&A本や福祉社会についての事典や百貨店のPR誌の見開きや2000年にリニューアルされる子ども向け雑誌のダミーやナニワの水虫先生の本や…の間にJリーグJOMO杯セリエAヨーロッパチャンピョンズリーグとくれば眼が腫れるのも無理はない…今夜はU・19がある!(亞子)
→当番・中田とタイソンは似ている。
▼今日の昼休み、一年生の子がうんていのてっぺんから降りられず大泣き。私がレスキュー隊となっておろす。職場では、火事場の馬鹿力を発揮しております。(菊野)
▼テレオクンチって、「てれお君ち」みたいだね。すぐに照れちゃう子、てれお君。(由季)→当番・バカ言ってるヒマがあったら、マスオさんのファクスに紙を入れてきてほしい。何年も前から切れっぱなしらしいから。それから決算雑務、もっと手伝ってほしい。
▼この日曜日はA結社の吟行、月曜日はB結社の句会。いやあ、おもしろかったあ。社交ダンスの世界を発見してしまった周防正之の気分(四方八方にご無礼。ご容赦)。ところで、B結社の先生、挨拶した私に、「あら。もっとカッコいい俳号つけなさいよ。ノリピーなんてどうかしら」「ハ、ハイ…」。てなわけで、次からノリピーとお呼びいただいても結構です。できればやめてほしいけど。(規夫)
▼大隈講堂で野村万作の「法螺侍」を観た。中盤にさしかかったとき、右どなりの知人が「悪い! 田中丸さんにトイレどこか聞いて」。左をみると5、6人も先。「無理」という顔で振り向くと、決心した顔の右どなりが舞台のそでの扉を指さして「あそこから行くわっ」。バッグをかかえ、くの字の形になったと思うと、見事なすり足で進み、神妙に扉を開けた。奥はすこし高い台になっていたが、予定されていたかのようにひょいと飛びのり、消えた。その動きは、まるで訓練された役者のようにムダがなく、実に演劇的だった。「法螺侍」に、スルスルとこまねずみの如く、戸棚のような扉の奥にしまわれていった彼女の姿が加わって、笑いの止まらない晩だった。(唖々砂)
▼アーサの危惧が通じたのか、今回はかなりバラけたように思います。だけに選句がむずかしかった。こっそりやってる作者当ても的中率は低いし。いやいや精進精進。(吾郎)
▼現在、歯の治療中。美人看護婦がいるというだけの理由で、一時間半かけて、高島平まで通院しています。
 前回、亜亜砂の提起した問題はもっともだ。同じ言葉のタライのなかで遊んでいるうちに、だんだん脳ミソが同じように偏芯しつつある。これを防ぐには日々、吟行しているつもりで、目ん玉おっ開いて自分じゃないものとぶちあたんないと。みんなが拾ってきた、ワケのわかんない、おもしろい景を見せてもらうのが、みんなの楽しみなんだもの。ちなみに、かくいう自分だって、自分じゃないもののひとつだよ。(裕)

〔当番から〕
▼のっけから、ひぇ〜、すみません。20日送信分で「秋日和コンビニもある禁漁区」は「禁猟区」の誤りでした(菊野さんは、ご指摘のファクスで「私がまちがったのかしら」と、おやさしいお言葉。当番、痛み入っております)。この版では訂正してあります。作者、ならびに皆様には、誠に申し訳ありませんでした。お詫び申し上げます。当番へのペナルティーを考えておきます。で、なんですが、裕さんは「禁漁区」で、この句をとっている! オツな成り行きとも……言えないですね。ほんとうにどうもすみません。
▼亞子さんのご登場です。NHKホールの……コレは前のネタだった。宝塚劇場の……もう、いいですね、ともかくご登場。葉子さんもご登場。新橋演舞場の……いやあ、にぎわいます。
▼今回、5点で5句が並んだ。数え間違いがなければよいのですが(あっても許して!)。
▼等さんの作者推理は、今回0勝1敗。十四郎さん、勝之さんに人違いされるの巻。
▼裕さん、言わずに作者予想したぶんは当たってるのに(そりゃ、見え見えのは明記しないわな)、名前(等さん)出したのは大ハズレ。栞さん、お手柄です。「花カンナ」。
▼裕さんは、「自作を語る」の新趣向も。これまで、哲郎さんが、自分の句と知らぬそぶりのコメント。それはそれで面白かったのですが、「自作を語る」もアリですね。ま、全部語られると、ちょっと…ですが。
▼裕さん、もひとつ新趣向。「選」予想。こちらはどんぴしゃ。「宗匠」はやはり哲郎さんでしょう。葉子さんの「返り花」の句。
▼吾郎さんだけでなく、作者当て、こっそりやってる人。こっそりやってないで、当番宛てに予想の添え書きを。コレ、当番の大きな愉しみの1つなんですよ。
▼哲郎さん、今回も全句コメント、ではなく、コレ、なんていうんですか。無教養につき知るを得ず。「もと歌人」とは仄聞、そのことを疑ってなんかいませんでしたが、今回で心底信じました。今回、あえてコメントに混ぜ書きにせず、プラス1枚として送信いたします。
▼前回の唖々砂さんのモヤモヤへの応答が、裕さんから。「『私』という物語」というフレーズが、ロラン・バルトにありました。あなたのいう「私」も私のいう「私」も物語なんですよ、それも、なによりまして物語なんですよ、ということかな。裕さんの最後の一節は、メモっとくのがいいですね。
▼それでは、今度は29日(木)We Will Meet Again from "Doctor Strangelove" 世界がまだ続いていたら、お会いしましょう。

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九の付く日のFAX句会
テレオクンチ 第5回 98年10月29日(木)

〔6点句〕
秋尽きて箪笥の裏に落ちにけり 栞
◎等◎葉子◎裕◎亞子◎唖々砂◎十四郎
■尽きた秋のゆくえが面白い。個体になってしまった(等)■「秋尽きて」でしっかり切って読んだら、主語がないことの違和感がなくなった(亞子)■何が落ちたの? いっしょに探してあげたい(葉子)■ハタキの柄で掻き出すのか、大掃除を待つのか、あるいは放置してしまうのかということも含めて、見守っていきたいという気がします(有田芳生口調で)(唖々砂)■箪笥の裏のそうじが大変なのがよくわかる(菊野)■私もタンスの裏で一日過ごしたことを気づかずにいた。今年の秋には、まぎれこんだ日がいくつかあって、暦より日数が多いように思う(十四郎)■年末大掃除の時までね(吾郎)

〔以下・前回掲載順〕

すみ墨あたるて手蹟のやわらかにほととぎす時鳥草 葉子
■桂林寺にて(葉子)■毎日せっかちに日を送っているので、こういう心情になりたい(菊野)■手法として、なんかすごい(吾郎)

秋黴雨観音像に長き腕 亞子
◎葉子◎裕◎栞
■私の歳時記にない言葉。新しい、もっとたくさんのってるの買おーっと(葉子)■お手本俳句(菊野)■やはり「に」が大事なんですよね?(栞)

死の色を問ふてせんなき良夜かな 唖々砂
■そのとおりです(菊野)■夜長の方が良夜より、と思う。哲学的光景(葉子)■百歳以上に許したい(栞)

小春日や死のうと思うと伯父が来る 菊野
◎唖々砂◎十四郎◎吾郎◎規夫
■「あなたは嘘が上手いから、おこないだけでも本当になさい。太宰の伯母より」(唖々砂)■いい日旅立ち(吾郎)■なんだか、こちらも救われる(十四郎)■死のうと思うことは、切実でもなく、よくありますよね。めんどうだなあというかんじで。この句の「伯父」にあたる人やモノがいくつかあるから、毎日、生きたまま目をさましているんだろう、きっと。で、それはきわめて偶然でしょう、この句の言うように(規夫)■伯父さんこのまま来なくていいよ。で、この伯父さんは生きてる人?死んだ人?(葉子)■面白いけど。百歳以上ならスゴイ(栞)

前の人振り向かなくて芒原 等
◎亞子◎菊野◎吾郎◎規夫
■これはねえ、いいですよ。前を行く人との距離の緊張感(規夫)■振り向かないから絵になる(菊野)■芒原はそれだけでかなり胸騒ぎ。前に人がいるなんて(そんな所で何してるんだ?)ますます怪しいや。その上急に振り向いたりしたら!!待てよ振り向かないほうがもっと!!!ギャー(亞子)■振りむけば愛(吾郎)■臨死体験ですか?(葉子)

落ち葉舞う昭和四十年代の顔 吾郎
◎亞子◎規夫
■どんな顔なんだ?怪しい(亞子)■武田鉄矢かな?(菊野)■グループサウンズ調。「顔」と思わせぶりじゃなく、もっと何か言ってほしいが。鼻とか髭とか(規夫)■昭和四十七年生まれの娘も、もう二十六。ほんとだ、秋も終わりそうだ…合掌(葉子)

フツフツと鬼潜みたる焚火あと 栞
◎葉子◎十四郎
■今回のBEST。焚き火のあとのチロチロした鬼の姿、いいねえ(葉子)■ちょっと無理がある(菊野)■持ち重りのする句(十四郎)

トランペット壊れたり十月の芝生 十四郎
◎裕◎規夫
■後半のフレーズに明るさと切なさ。「十月」は不思議な言葉かもしれない。それとも単に「黄昏の国」の影響か。しかしながら口語のほうが合うという気もしている(規夫)■ボクの大好きなクラ〜リネット(葉子)■土曜日の公園(吾郎)

齟齬あまた林檎芯まで刃を受けり 裕
◎葉子◎菊野◎栞
■冷たいリンゴが歯にしみるぜ(葉子)■りんごの芯で良かった。心なら大変!(菊野)■難しい言葉があるんですね(栞)

なぜかしら地には土くれ夜長姫 規夫
◎菊野◎吾郎
■思わせぶり(吾郎)■「土くれ」がとても美しい言葉に感じる(菊野)■夜長姫ってなあに?ヘビ?(葉子)■夜長族(ctetsuro)。シリーズは駄作も込み込み(規夫)

釣瓶落しふとん打つ手のせわしなく 葉子
■そうです、そうです(栞)■早くしまいなさい(吾郎)■「手」を音にするか悩んだ(葉子)

髪の毛がうまくいかない文化の日 亞子
◎等◎裕◎唖々砂◎十四郎◎栞
■口語がウマイ。サラッと表現している(等)こういう事よくありますよね(栞)■そんな日がある。こんな私にも(十四郎)■ほんとよねえ、髪の毛がうまくいかないんじゃ文化もなにもねェ(唖々砂)■私は年柄年中うまくいかん(葉子)■私のようにショート・カットにすればいい(菊野)■ゲロウマな言い回し。だが、男は遠慮しとく話題(規夫)

水栽培小鬼の首ぞクロッカス 唖々砂
◎十四郎
■水栽培のビンって丸くって、少しおまぬけな形(葉子)■クロッカスのような、こんまい花にはなかなか目がいかない(菊野)■家にはいろんな鬼がいる。「ぞ」が怖さを伝えます(十四郎)■首ぞ、ぞ、ぞ、ゾゾッ(栞)■「ぞ」について(吾郎)

うなりだすびゅんびゅんごまや冬隣り 菊野
◎等◎葉子◎裕◎唖々砂◎栞
■うなりだす…はシツコイで。まあ情景がよくわかる(等)■びゅんびゅんが景気よくて好き(唖々砂)■びゅんびゅんの音にひかれた(葉子)■空気感、勢いが好き(栞)

水澄みて声かけらるを恐れたり 等
◎亞子◎菊野
■何考えてるんだか…でも不思議な味、怪しい(亞子)■そんなにうしろめたいことしたの?(葉子)■ときどき、お人が恐くなる(菊野)■気持わかります(栞)

吊革に手をのばす夜虎落笛 吾郎
◎菊野
■やはり冬近くなると吊革に手が伸びる(菊野)■ただでさえ抜けてるノーみそ。「虎落笛」よめんのです、ルビほしい(葉子)■「夜」でよいのだろうか?「虎落笛」も(栞)■「夜」はつきすぎ(吾郎)

用足しに出たまま冬とつれそいて 十四郎
◎等◎栞◎吾郎
■出たまま、戻らないように(等)■帰ってこいよ(吾郎)■きっと冷えきってる(栞)■厠は外ですか? あぁ…御用のお出かけね(葉子)■杉田久女に「飯(いひ)ふくまでのひと歩き」があるけれど、掲句もなかなかの佳句。「つれそいて」とうたったところが余情がありすぎてとれませんでした(菊野)

ぎんなんを拾うでもなく露天仏 裕
◎亞子◎栞
■選ぶともなく選んでしまった。露天仏が秋らしい(亞子)■大きい(栞)■ふんでしまって、あーあ(葉子)■露天…ですか(吾郎)

冷蔵庫のように明るい胸のうち 規夫
◎等◎唖々砂◎菊野◎十四郎◎吾郎
■現代人は寂しいと、すぐ冷蔵庫を開ける。ハムが入っていたら気分は最高(等)■目に浮かぶ(唖々砂)■冷蔵庫閉めるとまっくら…ほんとうは淋しい?(葉子)■虚しい明るさかもしれない(菊野)■「胸のうち」がいいんだよなァ(十四郎)■何も入ってない方が明るい(吾郎)

日本地図ゆがむ暮秋の時刻表 亞子
◎等◎規夫◎裕◎十四郎
■ちょっと単調かな? でも淡々としている(等)■旅にでも出るのか。物見遊山には思えない、わけありの旅。日本地図と時刻表とでサンドイッチ。失敗しそうな構造なのに。「ゆがむ」がいいのだろうなあ(規夫)■あの地図は、いつもゆがんでいるけれど(十四郎)■そうそう春もゆがんでたわ(葉子)

「ネジ式」を児に読ませじと叱らるる秋 唖々砂
■娘が読んだことがないというので、貸して(葉子)■不勉強で「ネジ式」がわからない(菊野)■洗脳か!?(吾郎)

冷凍の肉そのままに七五三 菊野
■冷凍肉あまりうまくないと思う。やっぱ生肉が一番!(葉子)■ちょと不気味(栞)

アンドロメダ銀河簡潔に家壊れ 等
◎吾郎
■心の中の一家心中(吾郎)■そう、もろいのよね(葉子)■ずいぶん大きくでましたね、アンドロメダなんて(菊野)


群れよりも離れて竿を下ろす秋 吾郎
◎葉子
■釣れそうでない所でもいいのよ、群の中より、水もきれいだし(葉子)■私の心境(菊野)

星月夜自動ピアノのガーシュウィン 栞
◎等◎吾郎◎規夫
■これは点が入りそう。都会的です(等)■ロマンチックね(葉子)■アナログな手触り(吾郎)■サッチモのほうが良いかもしれない(菊野)■ガーシュイン自身の演奏がパンチ穴で残っていて、その再現がCDにもなっている。よく聞いた。だから、私にとってはそのCD、あるいは音楽そのものを指示しているようで、句としては読みにくい。だが、事情がある。話は長くなり、おもしろくもない話なので、覚悟していただきたい。もう十年近くも前、今のかみさんを十年ぶりに目にしたのが駒場のホール。最後の演目が「ラプソディ・イン・ブルー」で、途中、弦がぶち切れた。それからいちおう恋をした。で、今。あと数日で結婚記念日でもあるから、ここはひとつ「夫婦の仁義」としても、この句をいただくことにした(規夫)

冬近し錆シャッターの長音階 十四郎
◎裕◎亞子◎唖々砂◎栞
■長音でも短音でも聞きたかねえ。「ものの音の秋はひときわ」ってね。これで温故知新してるよ(亞子)■確か、この音を聞くとキカイダーはいつも頭をかかえて「グワッー」と苦しみ出すんだっけ(唖々砂)■安全のために取り換えたほうが良い(菊野)■気分はEマイナー(吾郎)■これはみなさんどう思われるか知りませんが、実際、ほんとにシャッターの音は長音階(メージャースケール)なんです、絶対に。それだけで名句なんです。だったらなぜ、いただかないのか?「錆」や季語が私には余計に思えてしまうから。お願いリメイク(規夫)■音が届くよ(葉子)■音の季節感です(栞)

ひとむらの野菊立入り禁止という 裕
◎葉子◎規夫◎唖々砂◎菊野
■「という」が気になりながらも、やっぱり取ってしまった。(唖々砂)■言い回しが面白いですね。情報量が少ないことも好ましい(規夫)■光景は目に浮かぶが(葉子)■私の句に「梅を見に立入り禁止越えていく」があります。掲句の「立入り禁止」はとても美しい。野菊との取り合わせがよいのだと思います(菊野)■野菊の墓(吾郎)

鏡像の人と町にも秋の雨 規夫
■メルヘン(葉子)

〔以上29句〕
〔総評・近況集〕
▼テレオクンチの〆切、1日間違えてました。今日が二十九日だと思ってまして…なんだか最近ボケボケの浦島太郎状態っす。ナサケナイ…。昨夜は(金融の入門書の)原稿、朝まで書いてました。「政治経済」の受験勉強をしてる気分。世の中、ワタシのあずかり知らぬことばかり。お金ってこんなふうにして世の中を動いてたわけね。だからワタシのとこにちっとも寄ってきてくんないのね。(勝之)
(当番・まったくもう。9の付く日を忘れるとは、いい根性をしている)
▼風邪と〆切でモーローとしています。コメント考えられん。(裕)。
▼今日は一年にそう幾度もないような気持ちの良いさわやかな一日だった。寒からず暑からず、からっとしていて風もなし。先おととい「前衛の古典」ともいうべきモダンダンスを見にいき、風邪をひいた。翌日地元の医者に行き、処方をしてもらったら(普段全然薬をのまないせいか)速効。怖いぐらいに効いた。いまじゃヤク切れのほうがむしろ怖い。ウマイ句、ドラマチックな句を選ばないようにしていたら七句にはいたらず。(亞子)
▼先日、井口家主催の「純粋宴会」にお子ちゃまも含め十数人が参加した。俳句もタホイヤもない純然たる宴会。雑談にあきると、だれかが「じゃ、みんなで一句ずつ…」「いや、しれは不純になるからできん」というわけで、クイズ、クチパクリレー、ジェスチャーシリトリ、牛タンゲームイエー!と、熱い夜は更けていったのだった。(唖々砂)
▼最近いよいよ難しくて、もう力尽きて、箪笥の裏に落ちちゃいます。誰か拾ってください。(栞)
▼不調。待て次号。(吾郎)
▼教室でびゅんびゅんごまを見せた。子どもが拍手喝采。「先生、すごいね」。こんな事で尊敬されるなんて。困惑してしまった。(菊野)
▼結社遊覧(続き)。俳号について。結社によって俳号の習慣が違うことがわかった。それぞれカルチャーの違いだ。文化相対主義の立場が政治的には無難なので、どれがどうということはないのだが、しかし、考えてみる。もしも、哲郎さんが「メルモ」という俳号で、等さんが「No.901くれゐ」で、亞子さんが「たんぽぽ」で、栞さんが「リリア」だったとしたら、西念寺にふたたび足を運んでいた自信はない。「唖々砂」さんどまりで良かったあ。ところで、唖々砂さんは、ヒッピー時代に「アーサ」と呼ばれていたのだろうか? コレ、勝ちゃんと私の大いなる関心事。(ノリリン)

〔当番から〕
▼風邪が流行っているようです。皆様、お気を付けください。ところによっては「締め切り」も、私たちの享楽的な生活を圧迫する。
▼亞子さんの「怪しの3句」は、「昭和四十年代」「水澄みて」「芒原」。選に併記できなかったので、ここに。
▼等さん、点数予想。「ガーシュイン」の句。3点は判定むずかしいが、やはり「ハズレ」ですね。ところで、等さんへ。亞子さんって、マスオさんに似てません? 芒原のコメント。
▼今回、もひとつネタがない。なければ、すんなり終わっておけばいいものを、こんなことを考えた。

緊急告知!
1998秋「おくんち杯争奪」俳句トーナメント 開催のお知らせ
参加資格 テレオクンチ、月天句会に一度以上参加したことのある方
投句の条件 @「九」という字が入っていること A新作 B季感は「秋」
投句数 一人一句
期限 次回十一月九日(月)の投句時(トーナメント出場俳句と明記ください)
試合形式 トーナメント形式(組み合わせは当番に一任ください)
賞品 当番に一任ください
※優勝が決まるまで少なくとも十一月いっぱいはかかります。出場俳句が4つで、その時点で銅メダル確定ということになるのは嫌ですから、皆さん、こぞって参加ください。

テレオクンチ当番・規夫
FAX042・574・3987
TEL042・574・3986/030・38・25851

▼それでは次回は十一月九日(月)。裕さん、風邪はやく治してくださいね。勝ちゃん、次は忘れんなよ。

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九の付く日のFAX句会 テレオクンチ 第6回 98年11月9日(月)

〔六点句〕
国道に林檎ぶちまけ冬晴るる 裕
◎勝之 ◎唖々砂 ◎亞子 ◎栞 ◎十四郎 ◎規夫
■こんなことして、人にケガでもさせたらどうすんの(唖々砂)■最上の景色(規夫)■等さんかな〜っ。こういう「色もの」にワタクシめっちゃ弱い(勝之)■赤い道(吾郎)■ダイナミックで好き(栞)■運ちゃんが悲しそうだった(裕)■千葉の国道かしら?あっけらかんとメチャ明るいです(亞子)■季重なりをとる私(十四郎)

〔五点句〕
寒の月背負いてゴジラ電車食む 十四郎
◎勝之 ◎唖々砂 ◎吾郎 ◎亞子 ◎栞
■月を背にするとゴジラの哀しさが一層きわまります(亞子)■品川吟行を引きずっているのはオム(編者註・十四郎さんのこと)か?ゴジラにかかれば電車も食パンだぁ(勝之)■鉄が好きなのは「グズラ」だけどね(唖々砂)■昭和二十九年の恐怖(吾郎)■冬はゴジラの如く(栞)■無声映画だったら、さらに恐かったと思う。たしか京浜急行の鉄橋を踏みつぶしたゴジラの足に、東海道線の特急列車(EF58が引いていたぞ。運転士の顔がひきつるところがリアル)がぶつかるんだよな。それから、手で持ってハミ、ハミ喰うの。架線がスパークするところもリアル。電車じゃなくて客車だったと思うが。ありゃ(裕)■何回も見たシーン(菊野)

こがらしや俺の嘘聞く俺のへそ臍 等
◎吾郎 ◎裕 ◎亞子 ◎栞 ◎菊野
■一人ぼっちなの?(菊野)■ライムの勝利。じゃ、夏は?(吾郎)■臍としたところが御手柄か(亞子)■太い、太い。秀逸。とかくあいまいになりがちな意識が「臍」でしっかり定位した(裕)■お腹がだんだん痛くなる(栞)

〔以下掲載順〕
スピッツは死ぬまで白く神無月 規夫
◎亞子 ◎菊野 ◎十四郎
■本当にそうだ(菊野)■最後はやや灰色(吾郎)■ハルちゃんの本当の色が判らない。一度洗ってみたい(裕)■犬といえばコリーかスピッツという時代がありました。どちらも今は見かけない。人間てヤツは…(亞子)■あえて問う。なぜ季語なのか(十四郎)

口ごもる口の形や鰤の前 亞子
◎裕 ◎菊野 ◎規夫
■口と口のリフレイン一発。文字ヅラはきれいじゃないんだが(規夫)■好きです(吾郎)■シブイ。俳句である。強い造形とかすかな時間意識の流れ。完成している。が、それだけに、ここから先、どうなるのかと思わせる硬直感もある(裕)■何となく面白い(栞)■口ごもることの多くなった四十路(菊野)

ぶり大根こっくりと煮えて夜 葉子
◎勝之 ◎吾郎
■いいすねぇ、一升ビン下げておじゃましたい(勝之)■お酒はぬるめの燗がいい〜♪(吾郎)■煮えたところで酒持って来い。それから足りねえ二字ぶん持って来い(裕)

初霜やひ轢かれしたぬきの尾豊か 菊野
◎唖々砂 ◎葉子 ◎規夫
■そんな山奥に住んでるの?(唖々砂)すっげえ田舎。襟巻きにしたの?(裕)■こういうテーマが気になる今日この頃(規夫)

なにもせぬ日 指の先から暮れてゆく 勝之
■仕事しろよ、仕事(勝之)■少なくとも、爪の先に火を灯すぐらいのことはしろよな(裕)■生意気ですが、私はこういう句から脱却したい(菊野)

キューピーの腕ぷりぷりと冬ぬくし 裕
◎勝之 ◎吾郎 ◎菊野 ◎規夫
■某銀行のショーケースに大小様々なキューピーがぎっしり飾ってあって…あれは気色悪いでっせ(勝之)■なんかずるくうまいような気もするが、とってしまう(規夫)■いただこうと思ったんですけど、何だか作者が自分のような気がしてきて…(亞子)■押しても戻らぬ三十路後(吾郎)■大畑等的肉体をうたいあげました(裕)

手袋の指でなぞりて星座みる 唖々砂
◎葉子
■失礼ながら、カマトト(菊野)■プラネタリウム以外で私の確認した星座。おおぐま座/こぐま座/カシオペア座/オリオン座/祐天寺金星座/梶原一騎の『男の星座』(漫画ゴラク連載・これは名作)ぐらいです(裕)

遮断機のオリオン告げる短音階 十四郎
◎勝之 ◎栞 ◎規夫
■「音」が告げたる夜空の大きさよ(栞)■ノリピー。やるもんだな。遮断機、オリオン、短音階、絶妙の取り合わせ(勝之)■これはもう、実際、マイナースケールなんだから、今度はとるしかない。しぶといミュージシャンが、このへんにはいる(規夫)■あとは和音系(吾郎)■高架になってから、あの踏切はもうない。三鷹事件の碑が残っているそうです。三鷹事件同様わかりにくいが、わかるような気もする句です(裕)

流星群来よ大根を煮ておくから 等
◎裕 ◎菊野 ◎十四郎 ◎規夫
■じゃ早くいく(吾郎)■ぶりも入れてね(勝之)■ありがたいことだすぐ行くよ(亞子)■「群」がいいじゃないすか。太っ腹な、もてなしだ。でかい鍋がいる(規夫)■大根で釣ろうという魂胆が素晴らしい。いいよね。この句。気分も大きいし。なんか雄渾。来る十七日は晴れることを祈る(裕)■流星群でなくとも行きたくなる(菊野)■「来よ」は「こよ」なのか。他の読み方なら、そぅ読める送りにしてください(十四郎)

腐葉土が持ち切れない程冬ぬくし 栞
◎吾郎
■やわやわとした透き間にもぐりこみたい(吾郎)■私の生活実感(菊野)■うーん、あったかい腐葉土のこの気分、わかる。待つと持つではおおちがい(裕)■ほんとにすみませんでした。しかし、一連の俳句遊びで誤植したときの心臓のものすごい痛み、わかってらっしゃるはず方からのこのお言葉。これも一種のフォロー(当番)

冬の闇陶製の耳だけになる 吾郎
◎栞 ◎十四郎
■「白く、固く、冷たい耳だけ」素敵(栞)■目玉の親父の弟か? 気味の悪い奴だが、気になる(裕)

針金に芋巻きつけて焼いていく 菊野
◎十四郎
■いいかも(吾郎)■針金に巻きつくぐらいなんだから、ものすごく弾力性のある芋だな(裕)

てっぺんに幽霊がいる花きゃべつ 規夫
◎吾郎 ◎裕 ◎亞子
■わけわかんないですが明るいし透明感もあり、好き。この幽霊は女性でしょ(亞子)■これ好きっス(吾郎)■すげえ傑作。葉牡丹ってそうとしか思えないものね(裕)

一枚の布裂く音や空也の忌 等
◎栞 ◎葉子 ◎十四郎
■冬の日に潜む狂気にドキッ(栞)■私などが選に加わらせていただくのもおこがましいような、いい句(規夫)■とらないけど、間違いなくいい句です(裕)

怪物は留守サかぼちゃちょうちんの夜 唖々砂
■なんかグリム童話系の怖さ(吾郎)■「サ」で悩んだな(裕)

悲しみの器としてま未だ人の形を許される 勝之
◎等 ◎菊野 ◎唖々砂
■私もその一人です(菊野)■なんでこの句をとってしまったのだろう(サントリービールのコマーシャルじゃないが)。いっそ俳句の定型に任せて出来たテキストもまた自分なのですが(等)■ネガティブな相田みつを(規夫)■あんたは、どうして、こうまで、しつこく、しぶとく、こだわって、もう(裕)■すごく哀しい(吾郎)■また楽しいこともあるさ(唖々砂)

街中が焚火の匂い手風琴 栞
◎勝之 ◎等 ◎唖々砂 ◎葉子
■手風琴ってアコーディオンのこと(?)焚き火の匂いは独特です。消失の恐怖と再生の期待感。ですよね(等)■冬のビアソラ全市焼滅(勝之)■わかった。となりで林芙美子がカラシれんこん食べてるでしょう(唖々砂)■手風琴が惜しい(裕)

引っ込めた身振りの記憶蛇葡萄 亞子
◎等 ◎裕
■蛇葡萄ってあるのですか? 虫男もあるんですから、あるんでしょう。でも蛇・葡萄と読んでもイメージは同じ。遙かに遠い時の忌避でしょう。田舎に「蛇だ!」と言うだけで腰を抜かすおばさんがいました(等)■言葉の記憶蛇苺(勝之)■おくびょうな奴。愛すべきは中年ということよ(裕)

北吹くや未知のエビセン買いもとむ 十四郎
■デンプン系コンビニ人生(裕)

小春日や水耕アボガド伸び競う 葉子
◎等 ◎菊野
■アボガドは中央アメリカ、インディオの果実。現地では「アワカテ」と呼ぶ。いっぱいなっている木を見た。水耕アボガドがあったとは。どんなのか見てみたい(裕)■見たんでしょうね。「伸び競う」がせつなくも現実ですか?(等)■どうやって作るのかな? JAで資金を借りたのかな(菊野)

枕木に三連符うつ冬夜行 吾郎
◎等 ◎葉子
■「枕木に三連符うつ」は新鮮でした(等)■タタン−タタン−タタン。タタン−タタン−タタン。タタタタタタタタタタタン、タタタタタタタタタタン(駅構内ポイント通過)(裕)■音楽は苦手(菊野)■「うつ」じゃないだろ、「うつ」じゃ(吾郎)■好きなんだけど、冬夜行では月並では?(栞)

夜は長し一人戯けて石を煮る 勝之
◎唖々砂 ◎吾郎 ◎裕 ◎十四郎
■石を煮るって、すごいよ。いくら煮ても石だもの。本気で煮ていたら、もっとすごい(裕)■石焼き鍋とみた(吾郎)■『俳句にみる症状と副作用』に書いちゃうぞ!(唖々砂)■「石を煮る」はおもしろいです。中七にある、この手の自己愛がどうしても苦手。これはもう体質。戯けずに煮るなら、話は全然違ってくるが(規夫)

釣り竿が小さく振られ冬に入る 規夫
◎等 ◎裕 ◎亞子 ◎葉子
■こういう句は、やっぱり選から外せませんね(等)■サラリとして、バランスのいい佳句でした(裕)■「大きく」振られると夏に入るんでしょうね、きっと(亞子)■大きく振ってくれ(菊野)■楽しい吟行だった(規夫)

草じらみ大股にして猫背なり 裕
◎栞
■何をしてから出てきたんだろ? こいつは(裕)■大らかで繊細(栞)

小春日に行方不明の位牌かな 亞子
◎唖々砂
■こういうの困っちゃう。ほんとなの?(唖々砂)■このまえ、卒塔婆に書いてもらう親父の戒名を忘れて、位牌を見に行った。電話まで戻ったら、もう忘れていた(裕)■人に言えない仏の有りて(菊野)

夜半の冬太鼓の熱く打ち抜きて 栞
◎勝之
■このリズムにしてこの句あり(勝之)■無法松の一生(菊野)■迷惑な太鼓だ(裕)

深寝酒頬杖で読む賢治の詩 唖々砂
◎等
■あやしうこそものぐるしくなって、取り出すことはあります(等)■こーゆうふーに出来てると、ツケこめないよ。遊ばせてよ(裕)■風邪ひくよ(菊野)

神の留守夜中に売れる愛の本 吾郎
◎亞子
■『性生活の知恵』か、はたまた『熱烈投稿』か(勝之)■そうかもっと深夜に開いている本屋が増えればこの出版不況も乗り切れるかも(亞子)■わが豚児は、まっ昼間、お金を払うのが恥ずかしくて、とっ捕まった(裕)

冬ぬくし修道院で作るジャム 菊野
◎葉子 ◎規夫
■ポンとこちらに届くものが気持ちよい今日この頃(規夫)■養老院で作る密造酒(勝之)■『ゲルマニウムの夜』(裕)■甘さ控えめ、媚薬入り(栞)

〔以上32句〕

〔総評・近況集〕
▼鼓につづき、ついにアフリカン・ドラムを始めてしまいました。ドコドコドコとただひたすら太鼓を打ちつづけるのです。手が痛くなるけど、メチャはまってしまいました。熱き原始の血が騒ぎだした今日この頃です。もしかして前世はアフリカ人だったかも(栞)
▼本日、女、子供をほうっておいて、未知の句会(一回参加)に行って来ます。前回の句で、「弱い眼に効いてくるなり猫じゃらし」は、いいとしても、「萩むらを抜け出るイワノフのたんこぶ」、こいつだよ。こいつと何とかしなければ、まったく。こいつとは主宰者です。(等)
《当番・事情はわかりませんがとにかく、がんばれ! 吉の里!》
▼私ごとですが、俳号の話。小さい頃から「あーさちゃん」と呼ばれていたため、親しい人に手紙を書くときなどは「アーサより」などと記していた。高校の頃、詩人になったので「唖々砂」の字をあてた。その後、上海劇場、十月劇場に出演する際も「唖々砂」の名を使い、現在に至る。あのねー、アングラと呼ばれるのはしかたないにしてもヒッピーと言われるのは心外だなあ。ったく。そこのふたり! ヒッピーゆーなヒッピー!(唖々砂)
《当番・規夫さんから一言あるそうです》いやあ、すみませんでした。ヒッピーはいま旬のおしゃれ、いわゆるキャッチーっていうんですか。なので、最大の讃辞だったのですが…。アングラは、来年あたりキャッチーかも。
▼先日の月天句会で、唖々砂さんに「アングラの人」と断定されてしまった山勝ですが、ワタクシ、決してアングラの人などではないです。そりゃもちろん、SPEEDやGRAYなんかは聴いたりしませんが、たまたまワタクシの好きなモノやら音やらヒトがアングラである場合が往々にしてあるだけで、これでも二児の父です。(勝之)
▼風邪こじらせて、ずーっとだるい毎日です。だんだん体力がなくなってきている。智恵もなければ、品位もない。馬力だけが取柄だったのに。どーすんだよ。おい。オレはザンパノにはなりたかねえ。ユンケルも劇的に効くけど(高いヤツね)、一時的なんだよな。あー、ゾクゾクする。十七日までには絶対治して、クルマ飛ばして、山ン中まで獅子座流星群見にいくぞ。バーロー。(裕)
▼この前の週末あたりから、田舎からかあちゃん、校正、かあちゃん、吟行、原稿、入稿、オクンチ、原稿……とめまぐるしい。温泉いきたい。(規夫)
▼テレオクンチは句会に足を運びにくい方々(おもに女性?)が参加できるところがイイですね。(亞子)
〔当番から〕
▼今回、トーナメントが加わったこともあり、というのは言い訳になりませんが、種々の不手際(皆さんには見えないものも含めて)。反省しております。
▼勝之さんの作者推理は一勝二敗。まあまあ? でも、内容を考えると、まだまだ?
▼亞子さん、裕さんも、暗示的に作者推理。当たってるのかそうでないのか、当番はわからない部分も多いのですが(千葉の国道はハズレだな)、作者はおわかりなのでしょう。
▼それではまた次回。十一月十九日(木)。美しい流星群の句も期待。皆様、お体には充分にお気をつけください。

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1998秋「おくんち杯争奪」俳句トーナメント

2回戦
 バトルロイヤル。第1試合、第2試合、それぞれ一句選(ご自分の句以外から一句お選びください)。次回十一月十九日第7回テレオクンチの投句時までに、当番宛て返送ください。決勝戦となります。

第1試合・
いっせいに四十九日の林檎食う
九龍の鍋ふつふつと豆颱風
我先に九九唱え行く法師蝉

第2試合・
秋の日の言い訳知らぬ九官鳥
小六月 9ほどの役回り
あおぞらに九紫火星のからすうり

〔訂正とお詫び〕一回戦・第3試合を「海外ネタ」としたところ、関係者の方から「九チャン〜は海外ネタではない」とのご指摘とともに、お叱りを受けました。「飛行機ネタ」と改称させていただきます。それはそうと、新しい流れ星に「九ちゃん」という名前が付いたそうですね。それをも詠みこんだワンダフルな句でしたが、選者の力不足から一回戦惜しくも敗退です。


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九の付く日のFAX句会
テレオクンチ 第7回 98年11月19日(木)
〔八点句〕
小春日や行きも帰りも同じ猫 亞子
◎哲郎 ◎杜 ◎十四郎 ◎マスオ ◎裕 ◎栞 ◎葉子 ◎規夫
■昼寝三昧の今日この頃(栞)■まねき猫じゃないでっせ(マスオ)■祐天寺駅北口に、広大な敷地の石屋があって、ぼくの生まれる前から、巨大な庭石がゴロゴロ置きっぱなし。いつも山茶花の散る庭石のうえで、ぽっかぽっか昼寝している奴。本当に猫ってやつは。さりげなく巧みな佳句でした(裕)■いい風景(吾郎)■すんばらしい句。誰もが一度は体験すること。上五は、もうすこし凝ろうかとも思ったが、いいや、そのまま行っちゃえ、という感じで決まったのかな(規夫)■コレいっぱい点取るだろう。だからアタマに置いとく。手間省くために(当番)

地底ですか地底ですねと火事の客 哲郎
◎唖々砂 ◎十四郎 ◎勝之 ◎等 ◎裕 ◎亞子 ◎吾郎 ◎規夫
■あー脳ミソとけちゃいそーだったのに、家事だったら。地底の下には最地底人がおるでェ(唖々砂)■いしいひさいちですか。いしいひさいちですね(ひょうたんからこま。家事でとります)(十四郎)■作者には悪いが「家事の客」の方が面白いというか、想像力をブッ飛ばしてくれると思うんですが。いやぁ、ホント悪い、ゴメン(勝之)■またもやすみませ〜ん。火事を家事に誤植。作者様にはなんと申してよいのやら(当番)■不穏なる会話。つい聞き耳を立ててしまったのです(裕)■なんか全然わからん。人間が言いそうにないセリフ。大好きな句(規夫)■意味不明が逆に臨場感を出している(等)■アングラ系?(栞)■地震じゃないんだからさぁ…(亞子)■どんな火事なんだ!?(吾郎)
〔六点句〕
悪口言って蜜柑のへそに指入れる 裕
◎杜 ◎十四郎 ◎菊野 ◎亞子 ◎栞 ◎吾郎
■ブスリ(栞)■うむを言わせぬ力強さ(吾郎)■子どもの頃、よくやりました(菊野)■これぞ快楽なり(裕)■コタツ・ミカン・悪口は真冬に欠かせぬ3点セットです(亞子)
〔五点句〕
蟻の巣が土吐いている闇溜 勝之
◎唖々砂 ◎十四郎 ◎亞子 ◎栞 ◎規夫
■観察する眼と創作する目が交錯している。でも黒黒しいねえ(亞子)■「土吐く」が面白い。妙に説得力がある句。縁の下にはこんな光景がまだあるかもしれない。(栞)■闇溜っていうと花園神社とか狸穴(まみあな)とか丸山町とかイメージします(唖々砂)■この界隈では目立つんだな、こういう、どんよりしたのが(規夫)■いいかげん冬眠しろっての(裕)

寒鴉くわえし紙の白さかな 菊野
◎哲郎 ◎杜 ◎勝之 ◎等 ◎裕
■鴉は神の使いである。いったい何が書いてあるったのか、気になる(勝之)■黒と白の妙(等)■ソツなくまとめた技でいただき(裕)

青蜜柑ノートは糸で縫ってある 十四郎
◎唖々砂 ◎等 ◎菊野 ◎亞子 ◎規夫
■そうなのよ昔も今も(亞子)■だから、なんなのと言いながらとってしまう(菊野)■うん(唖々砂)■「針金で綴じしノートや夏みかん」ともいう(裕)■僕なら上五を「木枯らしや」としちゃうだろう。それではこの句のほんわかさはなくなるのだろう。でも青林檎は冬の季語ではないのでは…。まあいいんですけど(等)■前から気づいていたけど、ひとり黙々と百句会やってる人いるんだよなあ。勤勉。さて、コレいいですね。嫌なもの、くだらないと思うものをひとつひとつ取り去っていくと、世界にはこういう事実しか残らないと、つねづね考えている(規夫)

小春日や無言でのびる脳の皺 吾郎
◎杜 ◎勝之 ◎菊野 ◎栞 ◎葉子
■頭の洗濯。でもシワがのびたらアルツハイマー。小春日の中の恐怖(勝之)■あな恐ろし(栞)■もの忘れひどし。俺の場合、無言じゃないから問題(裕)■恐い(菊野)

〔以下前回掲載順〕

世紀末流星たちのレクイエム マスオ
■流星が落ちてくるのとともに、空からレクイエムが聞こえてきたら、すっごく恐い(裕)■ユーミンに送っちゃおーっと(栞)

冬銀河星ゆく度に声あがる 葉子
■「流星号応答しない故障かな」(裕)■私もあげました「ウー、ヤー、ター」(栞)

予言者もnever激突流れ星 杜
■ウーム、麻原、東京拘置所でチャンスを逃したな(裕)■読めなかった(吾郎)

塩鮭やほぐして夜半のひとりかな 吾郎
◎マスオ ◎菊野 ◎葉子
■最近の鮭、減塩しすぎ(マスオ)■一人だけど、なぜかホッとする。鯖でもいいよ(菊野)■「を」じゃないのかなあ(裕)■しみじみ共感。「を」ではダメですか?(栞)

枯野から肺の鳴り出す魯迅伝 裕
◎杜 ◎哲郎
■なぜか魯迅に弱い私。でも、肺と文学者は離した方がよいと思う(菊野)■見たことあるようなウマスギだからとらない(亞子)■ちょっと作り過ぎたか(裕)

古本の赤線憎き冬日向 唖々砂
◎等 ◎マスオ ◎菊野
■よく経験します(菊野)■我が家がお世話になっている田舎の寺の若い僧は蛍光ペンでラインを引いたお経を読んでいた(等)■うっ、うまい(マスオ)■学生時代の古本が出てきた。無意味なところに線がやたら引いてある。あー恥ずかし。人の恥を見ておいて、憎んじゃいけません。ところでこの句、1958年4月1日以前のことを羨んでいるようにも見える(裕)

小さき眼に焼付きし冬の星座かな 栞
■連れてってやったんだね(裕)

受話器からおじやこぼれる理屈です 哲郎
◎唖々砂 ◎十四郎 ◎裕 ◎吾郎
■って言ったって、あなたそんな…(吾郎)■「理屈です」と言い切っているところに感動しました。アニキと呼ばせてください!(唖々砂)■完敗(十四郎)■わけの判らん理屈に負けた。にしても、いきなり口に熱いのがこぼれてくる「おじや電話」って危ないよね。耳ならもっと恐いし(裕)■気色ワリー(栞)■何の理屈なのか。このワケのわからなさ好きっす。でも取らない(勝之)

粘性のキリスト冬ざれの納豆 等
◎裕
■季重なりの粘っこさに脱帽。なんか変な句です(裕)

シロナガスクジラや遅く起きた朝 規夫
◎勝之 ◎裕 ◎亞子
■ワタクシの場合ゾウアザラシの気分、クジラなら寝覚めの気分良さそう(勝之)■笠智衆調で「そうかぁ。クジラかぁ」「そうよ、お父さん、クジラよ。シロナガスよ」「そうだったのかぁ」。というわけで、熱海のハトヤ七階から観た景に乾杯(裕)■シロシマフクロウや早く寝た晩(亞子)

流星夜星座盤抱きて子の眠る 勝之
◎等
■漢字が続いて一見むつかしい句かと思ったら、優しい句だったのでホッとして、とってしまった(等)■連れてってやらなかったんだね(裕)

墓石のやうに重たきカバン冬 栞
◎等 ◎マスオ ◎葉子
■旧かなできたな。「食う」なんかは「食ふ」の方が実際の口と息の動きに即しているように思う。「カバン冬」が利いていると思った(等)■カバン冬。とってつけた冬がカワイイ(マスオ)■何が入ってんだ? 愛か? 漬物石か?(裕)■風呂敷残業はダメよ(菊野)■寒い冷たい重い死にたい…(亞子)

赤まんまそのまんまで活けられて マスオ
■このまんまでは七七つくなり(唖々砂)■そのまんますぎるよ(裕)■知らぬまんま枯れにけり。チャンチャン。(吾郎)

冬木立値札のついた男あり 吾郎
◎哲郎 ◎唖々砂 ◎栞 ◎マスオ
■わっ、ステキ。生きた「奇妙な果実」(唖々砂)■五千八百円ぐらいでいかが?(栞)■よく考えると木を擬人化してるのかいナ。ワカリマセン(マスオ)■松坂が西武だって? おいおい(裕)

星よりひそかなる告白冬帽子 亞子
◎杜
■Corazon de Pajarito! きっとやさしい人でしょう(裕)■あの子はいつも笑ってる(吾郎)

ザクザクとゲシュタポの如寒波来る 唖々砂
◎マスオ ◎栞
■韻律の勝利なるか?(栞)■コワイデスネー、サブイデスネー、ナニされるかワカリマセンネー。それではサヨナラサヨナラ。淀川さんならこう言ったハズだ(マスオ)■ソ連兵ってカンジだけど(吾郎)■ザクザク来るのはSS。この種の人たちは、気づかぬうちにひたひた来ます(裕)

全文の読点トルツメ金屏風 哲郎
◎勝之 ◎規夫
■編集業界の末端でオマンマ喰わせていだいているからには、とるしかない句。微笑みがえし(キャンディーズ)みたいなもんかな(規夫)■トルママにしてっ。ややこしくなるから(唖々砂)■なんだギョーカイ俳句ぅ!(亞子)■バカバカシイ。ウマイ。こういう意味なし、何も後に残らない句が私の理想とするところかもしれない(勝之)■また、こういうアホな校正をするのは佐山さんでしょう。佐山さんしかいない。佐山さんに決まった。文句ありますか(裕)

オリオンにひときわ長く尾を残し 葉子
■結局、酔っぱらって寝てしまい、結局、うちの窓から観ました。そしたら一個だけ、川崎方面に大きくて明るいのが一瞬見えた。よかった(裕)

倉庫群枯野にぽっと定食屋 十四郎
◎菊野
■入っちゃうよなー。ギョーザにビール、あと肉じゃがもちょーだい(勝之)■まあ、たしかにそういう風景はある。そこで文句なしに採らない(裕)■山田洋二(菊野)

葬儀屋の看板ふえて冬の山 菊野
◎哲郎 ◎杜 ◎規夫
■きょうの午前中、お葬式に出た。千葉の明るい、海の近く(規夫)■いにしえの谷川岳のことか?(裕)

寒月へショーウインドウの犬吼える 等
◎勝之 ◎栞
■好き(栞)■新宿西口ションベン横丁入口。あそこで買った犬、病気でコロコロ死んだわ(勝之)■わが女房も吼える(裕)

フセインの髭がりっぱな一茶の忌 規夫
◎裕
■りっぱと言ったのが立派なり(裕)

神枯野カマキリの卵の綿と咲く 勝之
■なんだか世界を面倒くさくしちゃった(裕)■幻想的だが読みにくい(亞子)

冬入日ひとつ歩めば影うすく 十四郎
◎哲郎
■川端茅舎が、こうゆうの得意で。よく「寂日輪」とかいうね。俺も、このモチーフで作りたいと思っているが、薄味のダシを取るのはむずかしい(裕)

ヌーボーのゆたかな甘み舌にため 葉子
■目黒銀座商店街に一年前に開店したフランス料理店、一日、二、三人しか客が入っていないのに、このまえ「昼のランチは前もってご予約ください」だと(裕)

湯豆腐や嘘と豆腐が煮えていく 菊野
◎唖々砂 ◎吾郎 ◎葉子
■嘘って砒素のこと? 殺さないでー(唖々砂)■嘘はじっくり煮てから食う。あるいは食わせる(裕)■煮つまった嘘は喰えたもんじゃない(吾郎)■後悔!(菊野)

借家見に畳ぶくぶく懐手 唖々砂
◎十四郎 ◎菊野 ◎吾郎 ◎葉子
■なんでこれをとるかなぁ(十四郎)■めりこまないよう注意。知人の某タイ人が、アパートから引っ越しするとき、絨毯をどけたら、畳が腐葉土になっていて、そこにぶくぶく嵌まってしまった。恐かった(裕)■なんか傘張りとか始めそう(吾郎)■今時こんな借家あるのかいな(菊野)■住みたくない(栞)

馬追や蕎麦屋の愚痴を聞いている マスオ
◎規夫
■馬追はムシか。歳時記引いた。ちょっと秋っぽいけど、すっきりしている(規夫)■馬追って、スイッチョのことでしょ。うーむ、冬になっても、蟻は冬眠せず、スイッチョは歌う。温暖化も進みましたなあ。そういや、目黒銀座商店街の白洋社クリーニング店のデコラ・ゴムの木が、鉢底突き抜けて根を張り、8mぐらいに成長している(裕)■東映映画村の景か、はたまた藤沢周平の気分か(勝之)■先日寿司屋のオヤジは食物連鎖について語ってくれた(亞子)■ひまがあったら仕事しなさい(吾郎)

冬麗アフリカ流の大あくび 栞
◎十四郎 ◎マスオ ◎亞子 ◎吾郎
■足を踏み鳴らしながらあくびするのは、アジア一円には見られないことですね(十四郎)■カバの欠伸ですね(マスオ)■この流派はとくに冬の晴れた日に弱い(亞子)■「あくび」ってひらがなが似合う(吾郎)■叩いてるんだな。ダダカベカベ ダダカベカベ(裕)

冷蔵庫ふと鳴り止みぬ一葉忌 裕
◎哲郎 ◎等 ◎葉子
■確かにブーンという音に続いて、カチャカチャカチャと振るえて鳴り止む(等)■忌日が今ひとつわからん(吾郎)■「元日の開けば灯る冷蔵庫」c池田澄子 には勝てぬ(裕)

総領は甚六大根最も辛し 等
◎吾郎
■バカバカシイ。ウマイ。こういう意味なし、何も後に残らない句が私の理想とするところかもしれない(勝之)■うちの甚六はチーズおろし器で大根おろしを作った。バサバサ(裕)■何か辛そうな感じはする(栞)■田舎風大屋敷の若旦那(吾郎)

冬天に孵化せよ呪文となえるから 規夫
◎唖々砂 ◎勝之 ◎亞子
■…せよ…からが乗り移った人がいます。乗り移るのはリズムです(亞子)■あなたの学名を伺いたい(唖々砂)■何がワサワサと孵化してくるのか、あるいは這い出してくるのか、そのまま腐ってしまうのかということも含めて、今後も見守っていきたいという気がします(有田芳生口調で)caasa(勝之)■流星なんか待っちゃらんない、呪文となえて孵化させる心意気に脱帽(栞)■モスラヤ モスラ ドゥンガン カサク ヤン インドゥムウ ルスト ウィラードア ハンバ ハンバム ヤン ランダ バンウンラダン トゥンジュラカー カサク ヤーム──たしかこの呪文で、孵化して蛾になったんじゃないかい(裕)■マハリクマハリタ(吾郎)

〔以上39句〕

〔総評・近況集〕
▼私も裕氏のようにザンパノになった気分。パブロンもカコナールも葛根湯も効かない。点滴をうつと、高熱を発する体質。でも、無遅刻無欠勤。二十六日の研究会迄。咳と微熱を友とする。(菊野)
〔当番〕ザンパノ(アンソニー・クイン)じゃなくて、ジュリエッタ・マシーナでしょう、菊野さんのキャラは。くれぐれもお大事に。
▼結局、深夜零時過ぎから二時の間に五つ、午前四時前後に二つ、合計七つ確認。たぶん私の一生における最高の記録となるのでしょう。(栞)
▼墓地に夏蜜柑が狂ったように実っています。だからといって中平康を思いだす私は馬鹿です。新宿に文壇バーのような店がまだ残っているのを発見しました。最低、と思いながら午前二時まで呑んでしまった私はテッテ的に最低です。(哲郎)
▼わっ、トーナメントの選、三時までと思ってぐずぐずしていたら決まってしまった。もうとっくにすべっているのに「広辞苑は第4版があるから、日本酒かなあ。風景写真てどういうんだろ」と品定めをする近藤A、近藤Bです。ないことで時間を使うな、仕事しろ!ですね(唖々砂)
〔当番〕風景写真は(優勝者、聞いといてください)、ロケの余り写真。ロケの模様は今月二十八日発売の「モバイル!」でどうぞご覧ください。NTTドコモでタダでもらえるはずです。トビラは、記事から離れて前回の月天吟行を再現してみました。弥次喜多(裕さん、十四郎さん)がシブいですぜ。あっ、吾郎さんもシブいぞ。
▼冬季オリンピック、ワールドカップ、ベイスターズ優勝といろいろあったが、今年は淀川長治が死んだ年として記憶されることとなった。合掌。(仕事くれ!)(近藤B)
〔当番〕気の早い人だなあ。九八年回顧。
▼日曜日二十二日、札幌へ取材で行ってきます。天気図を見ると「吹雪」って書いてありました。朝のテレビでも雪模様で、最高0度とか言ってるし、果たして無事に帰ってこれるのだろうか。それより行けるのか?(吾郎)
▼ごめん忙しくて(葉子)※二十一日朝、当番からの選の催促に。
〔当番〕だめですよ、忙しいのにオクンチなんてやってちゃ。暇人ばかりなんですから、このへんの人。当番を筆頭に。
▼この前ついにウィルスが出たウチのパソコン。侵入を知らせるソフトを入れたら、そのサイレン音のなんとまあアメリカ的なこと、パトカーみたい。(亞子)
▼日曜日に新車の納車。今のは十五年くらい乗った。自転車は自動車よりも長く乗れる。のに安い。ちょっと寒そうだが楽しみ(規夫)
▼ドラフトの一番クジを仰木監督と東尾監督が引いた。アイツらどろくささも一級品っていう感じがあるよな。チンチロリンや花札やっても絶対勝てそうにないもの。さて、FAX句会をやってから、俳句漬けの日々だぜ、まったく。「俳キングヘッズ」という感じだな。この前、唐木順三の「芭蕉」を読んだら、やっぱり「松のことは松にならえ、竹のことは竹にならえ」があったが、ある俳人は「松のことも竹のことも自分にならえ」と言っていた。仏とは何ぞと言われて、禅僧が「くそかきべら」と答えた程、面白いではないか。(等)
▼祐天寺・中目黒情報 @ 祐天寺駅前商店街の青埜和菓子店がこの十一月、閉店してしまった。戦前からある店で、ここのくりまんじゅうと豆大福、カステラは抜群だったのに。包装紙も四十年まえから同じもので、すっごくセンスよかったのに。しょうがないから、駅前のシェ・リュイで、揚げたてカレーパンとショコラパン買って帰りました。(裕)

〔当番から〕
▼今回のトピックはなんといっても杜さんの、この界隈への再来。一部では復帰説が囁かれていましたが、青天の霹靂、心地よい衝撃を味わわれた方も多いのでは。
▼マスオさんも復活。しかし、たいへんでした。近くのコンビニのファクス機から送信されるつもりようで、電話で当番に「紙はどっちを上にするの?」。んなこと、私にわかるわけないでしょうが。
▼前回どこかの句会に乱入の吉の里、いや等さん。気になるその後の顛末ですが、当番の調べによりますと、圧勝。1句は参加者の62・5%の選を獲得(全34句・5句選)。十二名参加のオクンチに換算すると十点句にあたる高点句(弊社試算)。下駄パンチおそるべし。
▼今回、勝之さんから「私の理想」の烙印を押された哲郎さんと等さん。しかし、勝ちゃんよお、同じコメントを「コピーして張っ付けといて」はないんじゃないの?
▼それではまた次回。十一月二十九日(日)。菊野さん、風邪、はやく治ることを、吾郎さん、ご無事の帰還を、そして皆さんのご多幸を祈っております。


1998秋「おくんち杯争奪」俳句トーナメント 優勝句・決定!

   ※決勝は大接戦でした。

我先に九九唱え行く法師蝉 栞

▼優勝の栞さんには、本大会の規定どおり次回オクンチに七句投句していただきます。副賞は、ご希望を当番宛てお伝えください。

※一回戦の折りにいただいていた吾郎さんの予想も併せて掲載させていただきます。



〔当番から〕
▼勝之さんのコメントをまず紹介させていただきます。「最初に取ってた句がドンドン落ちていき、自分の中では敗者復活戦の連続。面白いといえば面白いが、ツライっちゃあツライこともあると思ふ」。つまりです、勝之さんに選ばれたら勝ち上がれないということです。今回、この法則が見つかっただけでも収穫です。
▼今回、優勝の句については、陰の審査委員長(と当番が位置づけていた)哲郎さんからも「選」とコメントをいただいておりまして(当番が電話で)、うろ覚えのコメントを再現いたしますと、「第一回の優勝句としては、ウン、いいでしょう、これなら」。間違っていたら、哲郎さん、すみません。誤植と併せて平謝り。
▼準優勝の杜さんには、皆さんびっくりされたと思います。映画なら、覆面をとって現れた顔がズームアップ。どよめく声とともにテーマ音楽がフィルインというところでしょうか。なんとまあ、劇的であります。
▼他の句について、僭越ながら、簡単にコメントさせていただきます。
いっせいに四十九日の林檎食う 吾郎さんの予想でも本命視。じつは二回戦、このブロックが大激戦。ワタクシ個人的には、「四十九」はちょっと「九」じゃないよなとは思いました。
菊日和九代目当主放蕩児 「九」という今回のルールを別にすれば、面白い句。ただ「九代目」が現実感を持ちにくい世の中だなあと、別の感慨。
骰子振れば九尾の猫の歩み来る むずかしいなあ。九尾の狐じゃなく猫というのは意味があるの……だろうな。
九死に一生を得ず九ちゃん流れ星 うん、九といえば九ちゃんですよね。
九龍の鍋ふつふつと豆颱風 中七を迷って、結局失敗。
小六月 9ほどの役回り 面白い。けど、小六月は冬かな。
88368331098864900 『少年ケニア』か何かに出てくる判じ物のよう。
秋深し九時九分のにらまんじゅう もうしわけない。参加者が奇数になった場合に備えて、変な中華料理屋で一分で作ってもらった。先の「九龍」も同じときに作った。
あおぞらに九紫火星のからすうり 上級者の作と伝わると、トーナメントでは意外に苦戦する。ただ、この句の前にもっと良いのが投句されたんですが、私が読み違えてごたごたあって、この句になったんです。アレなら絶対に優勝でしたね、裕さん。
九十九神斜にかまえて冬どなり 一回戦、僅差で敗れ去った句。私には難解な句だった。
…とみていくと、やはり残る句が残った決勝戦でしたね。
▼次の「オクンチ杯」は、また運営方法など考えて開催することにしましょう。第二回があるといいな。

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1998秋「おくんち杯争奪」俳句トーナメント

決勝戦
 2回戦バトルロイヤルは大混戦。次の2句が決勝戦進出(三時が期限と言いましたが、ひとつ追加で来た選で決めてしまいました)。十一月二十一日朝七時までに、選を当番宛て返送ください(決勝進出者は「選」不要です)。

我先に九九唱え行く法師蝉

秋の日の言い訳知らぬ九官鳥


〔PRIZEが決まりました〕
優勝者には、「次回のオクンチ(十一月二十九日)に7句投句する義務」を与えます(権利ではなく義務です、念のため)。これだけでは申し訳ないので、副賞として次の3つから賞品を選んでいただきます(予算は当番がきょう金曜夜の麻雀で獲得。できなかったら皆さんにご相談)。
@広辞苑第5版 A姫路産の日本酒 B品川の風景写真(おっきいプリント)
〔当番からひとこと〕
ふつう「選」というのは一回限りですが、このトーナメントでは三回にわたり選をします。これはちょっと面白いな、と思いました。最初に読んだときと、印象が変わってくる。そんなこと、ないですか? これもトーナメントの成果かなと満足…は当番だけ?

【テレオクンチ・今朝送信分で訂正とお詫び】
気を引き締めますと言ったそばから、コレだ。ほんとうに申し訳ありません。

地底ですか地底ですねと家事の客
…は誤記。正しくは次のとおりです。

地底ですか地底ですねと火事の客

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九の付く日のFAX句会 テレオクンチ 第8回 98年11月29日(日)
〔八点句〕
男の首絞めたり葱を作ったり 等
◎勝之◎仁◎杜◎菊野◎栞◎吾郎◎十四郎◎規夫
■農村の惨劇か?はたまたSM趣味なのか?(栞)■今回葱モノが3句あった中でも異常(吾郎)■こういう主婦は実在する(裕)■手が見えてくる。この手はやはり重大で貴重なこの世の事実。幸か不幸か間近にすることはこの先もないと思うが(規夫)
〔七点句〕
おでん種やたらにふくれ大凶日 栞
◎哲郎◎勝之◎仁◎等◎十四郎◎唖々砂◎規夫
■鍋からハミ出すハンペン、ガンモ、竹輪の逆襲(勝之)■特にはんぺん(吾郎)■特にはんぺんて、やたらめったら(唖々砂)■私がその「はんぺん」です(哲郎)■ずっと煮込んで、四、五日経つと小さく萎んでくる。最初にふくらむのははんぺんでしょ。こればっかりは煮込むまえのふわふわのほうが好き(裕)■女子供の食うものと口にしなかったはんぺんをおいしいと思う歳となった(十四郎)■大凶日と結んだのがナイス(規夫)■これ、生活俳句なのでしょうか? やっぱり(等)

でこぼこの闇にぶつかる火の粉かな 哲郎
◎裕◎亞子◎等◎栞◎十四郎◎唖々砂◎規夫
■躍動感に共感します(亞子)■ひょっとして私の田舎の祭のこと? 吾郎さんか?(等)■う〜ん、闇かあ。でこぼこかあ。いい句だ(規夫)■闇の形とは、フムフム(栞)■夜の火事? ホテルニュージャパンの社長死にました(唖々砂)■まっとうに描いていて、いいと思った。きっと作者は女性じゃないのかなあ。いまの男は軟弱で、こういう直球を投げられない(裕)■アッチッチ!(哲郎)
〔六点句〕
移動動物園たたまれてまた枯野ゆく 唖々砂
◎哲郎◎仁◎裕◎等◎吾郎◎十四郎
■北イタリアで農民をしていた頃、私も見た(哲郎)■「たたまれて」が涙をさそいます(吾郎)■四十年前、中目黒児童公園にサーカスが来たことがあった。象が一匹、鎖につながれていた。すごく大きなサーカスだと思ったが、いま見たら、汚れた、小さな公園(裕)■ダンボは一人空を行く(栞)■「また枯野」で切っちゃったほうが…。好きな句なんですけどね(勝之)■「また」はいらないと思います(亞子)■皆さん、信じられないかもしれませんが、二十何年か前にテレビアニメの「家なき子」にワンワン泣いたんですよ。思い出してしまった(等)■信じますって。全員。でも、こらえきれずに大笑いします(当番)

冬すみれ尻の隣に尻を置く 裕
◎哲郎◎杜◎亞子◎菊野◎栞◎規夫
■今日一(哲郎)■お尻じゃなきゃいけない?(杜)■顔を置いてはマズイ(栞)■すみれとおしり、これは近いんです(亞子)■お尻ってintimacy(親近)を伝えますよね、インティマシーにこだわる人は、過去になんか欠落感をもってるんだと思う。私がそう(規夫)■そういう意味じゃありませんってば、と手で払う(裕)
〔以下掲載順〕
冬日向そっくり家の消え失せて 栞
◎哲郎◎勝之◎仁◎菊野◎十四郎
■よく見る都市の景だが、白昼夢みたいでいい(哲郎)■デカイ、ウマイ。等さんでしょう〜?(勝之)■駐車場となる夕べ(吾郎)■土に突っ立つ蛇口かなしき(裕)

曇天に煙が上り八つ手の花 裕
◎亞子
■生け垣や板塀が普通だったころの住宅。まだ希望が死語になっていなかったころの日本(亞子)■みたまんまのフリしたドインチキ実景句(裕)

野分け跡なつかしき人に連れられて 勝之
■ホロッとさせられた。でもとりにくい(哲郎)■帰ってこいよ〜(裕)

冬帽子さっき一杯泣いちゃった 栞
◎哲郎
■そう言われても(吾郎)■泣きたいときはうんと泣け。でも肩は抱いてやらない(哲郎)■少しよりいっぱいのがいいよ。泣くときは、ね。でもこの「一杯」って???(亞子)■うわおーっ、こんなに必殺のコケットリー、聞いたことない。俳句なんかにゃもったいないぞ、このセリフは。アホウかな、この反応は(規夫)■未熟児の趣味にはつきあえない(十四郎)■あたしも泣いちゃった。最近涙腺弱くって(勝之)■それから一杯呑んじゃった(裕)

着ぶくれてただ着ぶくれてお葬式 菊野
◎杜◎吾郎
■仕方ないよね(哲郎)■気になるのだけど(栞)■「着ぶくれのまま納棺す」といきたい(裕)■悲しくて高瀬春名(吾郎)

冬の雷FAXでつまらない句 仁
◎哲郎◎当番
■今回珍しくそう思った。みんな不調かな(哲郎)■ドキッ。オレのことか(勝之)■作者はこの十五音のものを、我々に見せる理由を語るべきである(十四郎)■お答えします。仁義のセリフには不可欠の謙譲ですね。オクンチ史上初のオクンチ宛て挨拶句。当番として有り難く頂戴つかまつりました。これまでなんでなかったのかなあ。みんな自分の句で精一杯?(当番)■実にいて、実をおこなっている人の句(裕)

エジソン忌卵をかたく茹でさます 十四郎
◎亞子
■エジソン忌がベストか? 茹でたりさましたりが「実験的」なことではある(亞子)■コツンと割って一口で食ふ(哲郎)■そして剥いて食う(裕)■あぁ、取りたいのだけど忌日が(栞)

我こそは電飾纏う枯れ木なり 吾郎
◎等◎栞◎十四郎◎唖々砂
■小林幸子かと思った。「我こそは」なんて言うんだもん(唖々砂)■年末の街頭の風景。「我こそは」のオーバーが面白い(等)■自己を美化することがこれほど晴々と虚しいとは(十四郎)■ゾンビが祝うクリスマス(栞)■表参道ケヤキ人生(裕)

月冴ゆる顔に大きな穴がある 栞
◎勝之◎仁◎菊野◎規夫
■マグリットの絵のようである(勝之)■マグリットの月(裕)■以前に顔で作ろうとして穴の数を数えたりしてしまったから当然大失敗。そうか「大きな」でいいんだ。(規夫)

損したと思わぬように風邪二日 亞子
◎杜◎菊野◎唖々砂
■そうです(唖々砂)■気になるけど、どうしたらいいのですか(栞)■思いがけぬ困難に出あったら、あせらずにじっくり休め。そのほうが結局、よい結果がでるという意味の標語。急がば回れともいう(裕)■ゴホゴホッ…やっぱり損したよ〜(亞子)■寝てなさいとにかく(吾郎)

火という文字風という文字冬田道 哲郎
◎裕
■巧い。台所に貼ってある護符の感触(裕)■なんか面白いんだけど(栞)■冬木立? 悩んだか?(哲郎)

空一面見慣れたものを見ていない 杜
◎仁◎菊野◎吾郎◎規夫
■口調にしっとりとした感触があって頭によく入ってくる。無季の良さも感じる(規夫)■こいつは困った。コメントを拒絶してやがんな。「見慣れたものって何?」などと考えると罠に嵌まるんだろうし。さりとてとっかかりはないし。季語はないし。えーい、取っちゃえという寸前で、思い止まりました(裕)■何だろ、考え始めると夜も眠れる(吾郎)

遠ざかる捨て来し町や寒椿 唖々砂
■巧い人の句だと思う。しかし、このセンチメントは如何(裕)■徳永英明調(哲郎)

摂氏五度で始まる一日セロリ噛む 規夫
◎仁◎裕◎栞
■冬の噛み心地(栞)■冷蔵庫に住んでいるコロボックルのこと。なんか新鮮(裕)■スゴクイイんだけど、下五の選択に失敗か(勝之)■東北地方か(吾郎)

子の眼から睫毛生えだす刻がある 勝之
■眼球からびっしり毛の生えている幼児って恐い(裕)■お母さんのお腹の中?(栞)

歌いながら大根を煮る日曜日 亞子
■楽しいね。私も年中鼻唄してる(栞)■土曜日、私は大根運搬人でした(裕)

朝起きて父が死んでた十二月 菊野
◎勝之◎栞◎吾郎
■ありそう。アッケラカンとしてていい(勝之)■なんか無条件にとってる気がする(吾郎)■予言者の言葉なら恐ろしい(栞)■昨日の朝、私の父も救急車で入院しました(哲郎)■徹夜マージャン明けで家に帰ってきたら、わが家の前に人だかりがしていた。庭に建てた貸家で、店子の奥さんがガス自殺していた。オフクロに怒鳴りつけられた(裕)■人間、朝にならぬとわからんことが多すぎる(亞子)

自画像の変わり果てたる冬楽園 唖々砂
◎杜◎規夫
■冬の持つある種の感触が伝わる。「私」は変わり果て続けるんですよね。それにしても、絵を描く人って、なんで自画像なんて描くんだろう。わけがわからん。他に楽しいこと、あるだろうに(規夫)■悲しいっす、ムゴイです(勝之)■失楽園? 後楽園? ううう、あと一つが……誰か考えて(裕)■純喫茶楽園(当番)

冗談のかさぶた剥がす冬至粥 裕
◎杜◎吾郎
■痛くしないと本当に治らない(吾郎)■なんか面白いんだけど、よくわかんないのです(栞)■冗談の裏には血がある。だからあったかい(裕)■やな奴(亞子)

マネキンの街に紛れし雪催 栞
◎亞子◎等
■ねえねえこのマネキンは裸でしょ?(亞子)■マネキンは家に絶対置きたくない。恐い(等)■現代の雪女のことなりとしか言えない私は常識野郎です(裕)

そぞろ寒ものを書く人もの食う人 仁
◎栞◎吾郎
■こういう技術につい手が出そうになる私は馬鹿野郎です(裕)■リズムとテンポに、いゃあ一本取られたな(吾郎)■亭主原稿、あたしゃ寝る(栞)

錦鯉生産販売池凍る 吾郎
■凍ったら鯉はどうなっちゃうの?(栞)■『ほんやら洞のべんさん』cつげ義春(裕)■上中とおもしろいのに、下五でオチはないんですね。大阪なら暴動が起きる(規夫)

葱作るは国盗られし者の掟 等
◎勝之◎裕◎十四郎◎唖々砂
■縄文葱(裕)■そんな掟があったとは(亞子)■どういう掟か判らないけど、こう言い切られちゃうと納得するしかない(勝之)■ホントかよー。上州はそーなのかい?(吾郎)■私にも葱を毎朝きざんだ日々がある。いつまたそうなるかも知れない。葱とはそうしたものである(十四郎)■たいへんですねェ(唖々砂)

はるばると隣部屋から風邪の神 哲郎
■一間六十畳ぐらいなのか?(裕)■そんなに無理して来なくていいよ(栞)

ペン先の接点夜半雪に変わる 十四郎
◎等
■大と小の取り合わせ(等)■美しいと思います(栞)■ペン先の音も聞こえる。構図もばっちり。取り損ねたかも。第一印象の「えっれぇ純文学だな」がいけなかった(規夫)■ちょっと理知的。そっけなさすぎたか(裕)

蕪買うや下着モデルの臍の深さよ 規夫
◎勝之◎杜◎裕◎亞子◎唖々砂
■こうありていに言うところが凄い(裕)■うまいなぁ。ヘソに指入れたくなる(勝之)■臍にも相があり、へえ、そう?(亞子)

寒風やザラメ煎餅バリバリと 栞
◎菊野◎唖々砂
■「ザラメ煎餅だけ捨てる」なら理解できる(哲郎)■ゴーカイ系、栞さんか(勝之)■目黒銀座商店街の煎餅屋は、オーダーメードで誕生日用の、ネーム入り煎餅を焼いてくれる。直径四十センチ。ぜんぜん売れない(裕)

凛とした闇座りおり雪けむり 吾郎
■「凛として」だったらとるかも(哲郎)■これわかる。十八年前、雪の降った真夜中、レオーネ4WDで、単身、丹沢のヤビツ峠越えをしたとき。ヘッドライトにこういう光景が浮かんだ。そういえば、あのころは頼まれもしないのに、一人で関東中パトロールしまくっていたなあ(裕)

葱畑に黒色火薬のくら晦むかな 等
◎裕
■変な句だが、言葉に感触がある。意味を詮索するとつまらなくなるから、しない。このまま味わう(裕)■鴨打った(勝之)

ウォーレン・オーツくしゃみする京成の踏切 十四郎
◎哲郎◎亞子◎等
■ウォーレン・オーツには「咳く(しわぶく)」のほうが似合うと思うが、京成のチープさに負けました(亞子)■ウォーレン・オーツってなんだ? でもとってしまった。下が面白い(等)■ゴールデン街の「ガルシアの首」に十一年前に入れたボトルが確かある。心ある人、誰か行って飲んじゃってほしい(哲郎)■凝りないおっさんだねえ。「フェリーニの大田区」には勝てぬ。にしても「ガルシアの首」名作です。ハリウッド映画が描いた、唯一正確なメキシコ世界でした(裕)■W・オーツの顔が思い出せなくて。ゴメン(勝之)■もうひとひねり(吾郎)■新シリーズは私鉄各社か。期待しよう。それとほんとに細かいことだけど、ナカグロはいらないと思う(規夫)

寒い寒い子づくりも句づくりも 仁
■その通り、ガンバッテはげむべし(勝之)■できてしまえば、句も子供も自分のものじゃない。自分のモノと思っているところが間違いと自戒いたしました(裕)

風吹きて渦巻く人や木の葉雨 栞
■ソフトクリームに葉っぱのトッピングがされるような、メルヘンのひととき(裕)

寒風に耳置きざりにして歩くなり 菊野
■だって痛いもんね(裕)

「墓石に?」「ああ破壊しに…」と明けのп@勝之
■こんなシャレもあったのね(杜)■「地底病」ウィルスの亜種か?(裕)■ミエミエぢくじょう。アニキへの道は遠いぜ(勝之)■早朝割引有りマス(吾郎)

〔以上39句〕

〔総評・近況集〕
▼先日は、オクンチ杯という栄誉を私ごときに賜り、大変恐縮いたしております。これもひとえに皆様の日頃よりのご指導の賜物として、有り難くお受けする所存でございます。つきましては、大変お粗末ではございますが入魂の7句を投句させていただきましたので、賞味期限内にお召し上がり下さいませ。なお、食後稀に立腹、悪寒、腹痛、吐き気等催すことがございますが、当方では一切の責任を負いかねますので、悪しからず。時節柄、泥酔、二日酔いにはお気をつけて。(栞)
▼先日、22日〜23日の北海道出張。札幌に11時くらいに着いたのですが、その日の早朝に雪が降ったそうで深いところでは30cmくらいつもってました。思ったより寒くは感じなかったのですが、最高零度、最低マイナス6度という数字を前にするとなんだか精神的に凍えそう。地元の魚の刺身、特にイカは美味しかった。ちょいと小腹が空いたので深夜に入った回転寿司もなかなかオツなもんでした。ラーメンは萬龍の親父の丁寧な仕事ぶりと、チャーシューの旨み満点具合が○。町の肉屋で買った鮭のフライもグッド。土産のじゃがいもも、蒸しまるくんでチョチョイとチンすれば気分は北海道。……で、ここまで書いて、私何しにいったんだろ、ほんと。(吾郎)
▼昨日、法務で高尾近くの霊園に行きました。滝山街道、陣馬街道、高尾街道と繋いで行くと紅葉真っ盛り。折しも風強い土曜日、黄落、黄落、大黄落のシャワーを浴びて思わぬ東京の初冬の景に感動しました。(哲郎)
▼江戸の大火。風が火を呼び、火は風を呼ぶ。人のまなこは火の色に染まり逃げまどう。火の手のあまりに速ければ、人々小名木川に飛び込む。燃えるものみな燃え尽きて、夜が白々と明ける。川の中に芭蕉あり。首出して、芭蕉庵の方角に向いて一句。古池や蛙飛びこむ水のをと(等)
〔当番〕芸域、広い。ちょっと変な芸風だけど。それにしても、川から首出したのは等さんでしょうが。誰かなんとかしてくれ。おもしろすぎますよ、この人。
▼一昨日、友人の家でアフリカハコガメを見てたら、なんた愛しくて愛しくて、思わずカメにチュー! したら本日大発熱。カゼかと思ってたら、カメには変なウイルスがいるっていうし、カラダにボツボツは出てくるし、なんか来週あたりカメになっていそうです。さようなら〜っ(勝之)
〔当番〕お〜い、犀じゃなかったのか、転生先は。しかし考えてみれば、このオクンチのメンバーにカメがいるというのはかなりオシャレ。どんな作句集合体にも勝てる。気持ち的には心配だが、当番としてはカメになってほしい。でも、真面目な話、ペットとの接触は気を付けないといけません。しかし、カメも今頃熱出してたりして。
▼山本さんのある日の外泊先は近藤家だった。山本さんの不思議さに早くから気付いていた近藤莞爾は「いつ変身するの?」としきりに尋ねていた。「山本さん」から「山本星人」にいつ変身するのかというのである。莞爾が「これが山本星人」と見せてくれたウルトラマンダイナ怪獣カードには「ゾンビ怪人シルバック星人」と名づけられ、鉄板で作ったようなスーツに金属のチューブをまきつけたヘヴィメタルなミイラ男が印刷されてあった。四歳児の言うことです。どうか許してやってください。(唖々砂)
▼祐天寺・中目黒情報 A 子供と子供のガールフレンドを連れて、渋谷東急文化会館のプラネタリウムを見にいった。二人そろって、すぐ寝ちまいやがんの。上の子供を連れて、上野の美術館に泰西名画を見にいった。大人1300円、子供400円の差額にだけ感動してやがんの。中目黒駅に戻ってから、不二屋のなかに店開きした31アイスクリームを食べたというオチは、上の子も下の子も同じでした。ああ、疲れた(裕)。
▼喉からあがってきた風邪鼻に停滞中。打ち合わせゴホッゴホッキャンセルしまくりはぁっくしょ〜んっ明日はトヨタ杯だっ!(ゴメンネゴメンネ裕さん)(亞子)

〔当番から〕
▼仁さん(と呼ばせていただくだけでも緊張しますが)のご登場。あわててそのへんのもの片づけて、ざぶとんを裏返す。お茶だ、お茶。それじゃない、一保堂のがあったろうが。ほんとに、こんなごちゃごちゃに散らかったあばら屋に足をお運びいただいて恐縮です。
▼今回は、第1回オクンチ杯・優勝者の栞さんから7句いただきました。栞さん、お疲れさまでした。爽快な食後感でした。
▼勝之さんの作者推測。1つは正解したが、またもや栞さんを等さんに間違えている。等・栞ラインというのが出来上がりつつあるということか。「ひとしおライン」と呼ぼう。
▼裕さんの推測(でこぼこの闇〜)も大ハズレ。哲郎さん、またもや会心のケンケン笑い。男性とか女性とかという枠組みはもう無効なのかもしれませんね。
▼今回も掲句に誤植。ほんとに申し訳ありません。
▼それにしても今回、鼻水や涙が多いですね。第8回オクンチは「からだの水分」特集となりました。
▼もう十二月ですねえ。ひょんなことで始まったオクンチも、このぶんなら年を越せそうです。気の早い話をします。年末十二月二十九日は居所を変える方も多いでしょうが、どこからでも参加できるFAX句会のメリットを充分に生かしていただきたい。当番、そのため今年はラスベガスにもハワイにもいかず、国立でお正月を迎えます(貧乏くさいウソ)。海外からのご参加もちろん大歓迎……聞いてます? 亞子さん。帰省先からももちろん大歓迎……聞いてますよね、唖々砂さん。
▼それでは次は十二月九日(水)。皆様、風邪とカメにはくれぐれもお気をつけください。

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九の付く日のFAX句会 テレオクンチ 第9回 98年12月9日  水曜日

〔六点句〕
あかんべえしてるみたいに蒲団干す  菊野
◎杜◎等◎裕◎唖々砂◎吾郎◎勝之
■そうそう。マンションの壁一面のあかんべえ(吾郎)■大手の新聞でも小学生新聞でもいけそうな超年齢的俳句(等)■こうあっけらかんといわれるととるしかありませんね(裕)■「イッタンモメンの友だちの妖怪のベロンベロンじゃがぁ」byのんのん婆(唖々砂)■冬陽に干した布団もまた気持ちイイのさ、丸まって眠る(勝之)

臍怒るから十二月は旅に出よう  等
◎杜◎十四郎◎唖々砂◎栞◎吾郎◎菊野
■私のヘソも漂泊を志しているふしがある(十四郎)■こんな言い訳認めるわけにはいかないけど、おもしろいから◎(唖々砂)■この忙しい時に何考えてんだ。臍の扱いには気をつけないと(栞)■へ〜そ〜。こりゃまた失礼しました(吾郎)■どうも大畑俳句の悪影響が強いようだ。まさか自家中毒?(裕)■臍で生きている人が、このへんにはいる。句集のタイトル「臍」がいいと思う。もちろん大きなお世話だが(規夫)

短日のそこいら中を計測す  栞
◎等◎十四郎◎唖々砂◎吾郎◎勝之◎菊野
■家庭内イノウタダタカもやはり侵略者。実測とは侵略の具現である。私もまた侵略の側に立っている(十四郎)■強迫神経症のにおいがしてステキ。『俳句にみる症状と副作用』にいただきます(唖々砂)■やくたいもないこと、なぜか年末、男イソイソと。ああ悲し…(勝之)■わかった、今度やろう、今度(吾郎)■職業上気になりました。それだけですが(等)■やっぱ「や」だったかなぁ?(栞)■先月、家の前でなにやらコソコソ測量している奴がいた。三日前、区役所の係がやってきて、わが家の縁石が公道へ4センチ出ているから引っ込めろだと。ブン殴ってやろうか(裕)

玄冬や穴のなかから歌謡曲  裕
◎等◎十四郎◎栞◎勝之◎菊野◎規夫
■やっぱ、こういうの作ってみたいです(栞)■冬のあいだ中やってて欲しい。時々耳あてて聴きにいくから、ホント(勝之)■穴から歌が聞こえてきたら気を付けた方がいい。昔話であるように、ヘンなものを背負わされます。これ「舌切り雀」ですか。俳句をやってる奴に善人はいませんから、間違いなく警戒するように(等)■最近は再生機の関係で、どんな音楽もパリパリした音。穴の中からもごもごどんより、また素っ頓狂に聞こえてくる歌謡曲は、やはり刺激的な音楽体験(規夫)■私事ですが、このごろは歌謡曲スタンダードを目指しています。しかも妄言ですが、共同体成立は二十人以内と表明しております(十四郎)■オシャレに言うと「玄冬や函のなかから夜想曲」。これじゃあね(裕)

〔以下掲載順〕
操縦不能侘助弐号なごむ  十四郎
◎裕◎勝之◎規夫
■南極二号はよくわかるが、侘助弐号っていったい? なごむってますますいったい? 変な句。でもとりそう。ええい、いいや、取っちゃえ(裕)■コラ、なごむなーっ! 操縦不能なのに。この句、私には難解すぎますが、「侘助」という季語の扱いに敬意を表して。色紙に書いてお茶席で掛けるといい、この句は(規夫)■操縦不能だと、ふつうパニくるところ、侘助弐号だと「ま、いいか」となごんじゃうんだな、不思議(勝之)■いいなァ紅の豚みたいで(吾郎)■「なごむ」にチョットひっかかってしまいました(栞)

石蕗の花酒乱の妻を埋めにゆく  唖々砂
◎杜
■埋めたのが戻ってきたらどうする。先のことを考えて行動しろよな(裕)■こんなめんどうなことする男、いるのかなあ。まあ、世の中、私のような怠け者ばかりじゃないということか(規夫)■酒乱じゃないけど、時々埋めたくなる(勝之)■世界的には好きです(栞)■最近ちょっとこの手多くないスか(吾郎)

達者でな枯れ野を捲いて尻からげ  吾郎
◎等◎勝之
■三橋美智也的世界。他のメンバーもコメント付けると思いますが(等)■三橋美智也みたいで面白い。が、後半のストーリーがわからなかった(規夫)■松方弘樹か(勝之)■『遊侠一匹』加藤泰(裕)

冬の星ただひそやかに臓器煮る  栞
◎十四郎◎唖々砂◎吾郎
■これは肯定の句である。これほど人生を肯定してみせる心情を羨望する(十四郎)■フリッツ・ハールマンの人肉ソーセージ? コワすぎ(唖々砂)■気分は佐川クン(勝之)■煮込みの美味しい季節です(栞)■水だけで煮て、あとは生姜を利かせて醤油で味を整えて(吾郎)■モツもこう言われちゃ、食いづらくなるじゃないの(裕)

封印す葱と姦淫土の中  菊野
■だから埋めりゃいいってもんじゃないの。犬じゃないんだから(吾郎)■封印解く勿れ。見とうないっ!(唖々砂)■葱と姦淫の関係については、これからの研究課題ではあろう(裕)■封印したらカラダに悪いかも。禁断の瀬に身を投げなくちゃあ(規夫)
真白き雲禁断の瀬に身投げする  杜
■おやおっかあ夕べ死んで今朝生きたのか(裕)

レノン忌や家に帰ればメシが出る  規夫
◎等◎勝之
■よござんしたねえ(唖々砂)■そういう家庭に私は住みたい(裕)■ウーン、どうしよう(栞)■一般的には男性の句でしょう。女性だったら面白いけど「メシが出る」まで言える女性は皆無に等しい(等)■十二月八日レノン忌に関しては、ワタクシめもいくつか書いたんですが、ダメ。これはサラッとしてていい。裕さんでしょ(勝之)■来年ちゃんとしたの作ろ(吾郎)

脱糞の後大いなる寒鴉  等
◎杜◎栞◎吾郎◎勝之◎規夫
■太そう(裕)■なんか凄い。やっぱ馬とか象とか、犬ならセントバーナードあたりですよネ、ネ、ネ。人じゃないよね(栞)■トイレ個室内における男の悲哀。寒マムシになることもあり(勝之)■朝になると溶けだして鴉がつついたりして(吾郎)■この世には脱糞後が脱糞前の高位にあるというヒエラルキーが厳然と存在する。だから「大いなる」はツキスギくらいに正しい(規夫)

焼け跡にマネキンがいる根深汁  裕
■この季語がいいのかどーかわかりません(吾郎)■またまた見てきたようなフリしたドインチキ俳句(裕)

唐辛子山ほど刻み怨恨説  勝之
◎裕◎吾郎◎規夫
■種が辛いそうですね。で、韓国産の方がマロヤカとか(吾郎)■「唐辛子」は秋の季語だからかなり抵抗があるが(チリペッパーだとどうだ?)、怨恨との兼ね合いがいいと思った(規夫)■赤い色が怨恨にほどよくフィットしています。きっと(裕)■ウーン、これもいいなぁ(栞)

大くしゃみ飛行記録の字がきれい  規夫
◎裕◎栞◎菊野
■あっさりと言い抜いてさわやか。淡白だが(裕)■大空が吹っ飛びそう。風邪、大丈夫?(栞)■ちゃんと飛べよ(吾郎)

冬の雨いらないピアノ座ってる  栞
◎等
■焼け跡に? 地上げ跡に?(裕)■だいたいどの家もそうです。西念寺にもあるでしょう。哲郎さんに習わせようとしたのでしょうか? お母さんは(等)■マル得情報! 先日ピアノ一台下取ってもらったら、買った額の半分だった(買ったのは二十五年くらい前らしいけど)。クルマなんかとえらい違い。いらない場合は売るといいですよ(規夫)

2000年元日土曜手帳買う  十四郎
■五・七・五に収まっていて、季語もあって、俳句じゃないところが凄い(裕)

小春日や今年も同じジョンの声  吾郎
◎等
■十二月のあの日、井口吾郎から知らせをもらった。彼を社会的な存在にしてしまった我々の責任は大きい。レイ・デイヴィスと同じように興味深い、ただのミュージシャンであったなら…と思う。『イマジン』よりも『ジョンの魂』をこそ(十四郎)■ジョンって、最初読んだときイヌと思い、面白かった(尾も白かったって誰か言ってません? いま)。でも、やっぱり十二月八日が命日のジョン・レノンのことか?(規夫)■ジョンって、ジョン・レノンではなくて犬の名ですよね(等)■小春日と季感がかさならない?(裕)
鯛焼の持ち重りして病院坂  唖々砂
◎裕◎規夫◎栞◎菊野
■あったかくて寒い(栞)■あの重さの実感でいただきました(裕)■おもしろいなあ、これ。とっておきの「持ち重り」だった?(規夫)
山燃ゆる望陽として陰を翔る  杜
■「茫洋」ではないんですね。陰とかけて、「望」が「陽」として、ということか。凝ってる(規夫)■格調高き失敗(裕)

納豆が粘るさよならこんにちは  裕
◎杜◎栞◎菊野◎規夫
■すごくおもしろい。今回のダントツだ。納豆の粒と粒が「さよ〜なら〜」と離れたとたんに、「コンチワ」とくっつくわけでしょう? 五歳をすぎてからこんな句を作れるなんて。やはり俳句は奥が深い(規夫)■卵を入れると、サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ(栞)■c近藤十四郎それともc井口吾郎?(裕)

ニンジンにフォーク突き立ち最終戦争  規夫
◎杜◎十四郎◎唖々砂
■ハルマゲ丼をご存じか(十四郎)■うーん、夫婦喧嘩のことか?(裕)■「じゃなにかあ、てめェ…」「てめェとは何よ!この裸電球!」ペチン「やりやがったなぁ」ガラガラドッシャングワングワングワンワワ!(唖々砂)■いや、なにもそこまで見せていただかなくとも…。サービス精神抜群だなあ、まったく(当番)■家庭内争議ネタは身にシミます。豆腐にハシだって怖いっす(勝之)

牡蠣殻を夢のなかでも持て余す  勝之
◎裕◎吾郎
■子供のころ、アワビの殻のコレクターだった。内側が宝石みたいだから。しかし、牡蠣殻はたしかに持て余すよね(裕)■こらッ札幌の春夏秋灯。使い回しするなっての!(吾郎)

冬婆にホウレンソウと¥50万  唖々砂
■かなうなら、あのとき、あの診療所の守衛でいたかったのは私だけではあるまい(裕)■うちにも是非お願いします(栞)■「五〇万」じゃダメなのか? 表記にこだわりすぎかな(規夫)

ポンプ小屋しぐれて少女らの愛語  等
◎栞
■読めば読むほど、不思議な世界に吸い込まれて行く感じ(栞)■何なんだろうなあ、こういう光景って(裕)■「愛語」は「あいご」と読む? 調べたが、広辞苑にも「現代風俗系用語の基礎知識」(ビレッジセンター出版局)にも載っていない。きっとマニアの世界なんだ(規夫)


蜘蛛の罠に要らぬ物も景色  杜
◎裕◎十四郎◎唖々砂◎規夫
■妙に虚無的。ある種のカッコ良さがあると思った(規夫)■言っていることが、無彩でおもしろい(裕)■書かれている情景は好きですが、リズムが。なんかタイラサンペイみたいに歩き方がカックンカックンなりそう。見たことないかなあ、タイラサンペイ(唖々砂)■箱根の東で生まれ育った方もいらっしゃるので、当番が解説させていただきます。平参平が正式名称。吉本新喜劇の第二主役(花紀京主役に於ける原哲男のような)を長らく務めた。膝を痛める所作の後、舞台の袖までカックンカックン歩いてから、振り向いて膝を手でポンと叩くと同時に足をピンとまっすぐ跳ね上げるギャグ(に合わせて全員がよろける、を以てはじめてギャグとなる)をもつ。一人では成立しない「皆様あってこそ」ギャグの典型例を長年繰り返した。付言すれば、この句には最後のポンと足が伸びる部分はない。否、「作者名」がその部分か、リズム的に(当番)

師走市神棚半額大奉仕  吾郎
◎十四郎
■いくら半額でもねえ(裕)■当然、御利益も半分です(栞)■もうちょっとちゃんと考えよう(吾郎)

すれちがう寺の新妻冬深し  菊野
■あの場にいなかったのなら、気持ちのよい挨拶句になる。いたとしたら、デリカシー皆無の句だ。こういうところが俳句はむずかしい(裕)

引き出しに仕舞いっぱなしの殺しのライセンス  勝之
◎杜◎唖々砂◎菊野
■使わないなら、オレに貸してくれ(裕)■ボンドか、ソロか、ゴルゴか、はたまたスマートか(吾郎)■あなたエディ? 殺し屋エディでしょ? 私のこと覚えてる? あのエズラ・ブルックスの…あ、やっぱちがうか(唖々砂)■「ぱなし」でホンワカしすぎた? ホンワカは下だけで充分だった(規夫)

〔以上29句〕

〔総評・近況集〕
▼ご無沙汰しています。杜です。オクンチに参加してよかった! なかなか、家を空けることが出来ないので(その気になればできるかもしれないケド、我が家はほとんど母子家庭状態なので)子どものこともいろいろとありまして、皆さんの顔を思い浮かべては、コメント読むのを楽しみにしています(俳句はもちろんのこと)。またお目にかかれることを楽しみにしています。(杜)
▼高校生の娘は『論語』にはまっている。「お母さん、いいこと書いてあるよ。感心してしまう」。母はその横でスポニチなど読んでいる。我が家の突然変異。六年生の息子の絵が県展に入選。十二日に一家総出で見に行く。画題は宮澤賢治の『やまなし』。我が家の快挙。どういう風の吹き回しか、亭主が一緒に映画を見に行こうと言う。『宋家の三姉妹』。『旅芸人の記録』以来、十八年ぶり。断る理由がないのでOK。我が家の椿事。二十二年間勤続ということで、共済組合より次のものをいただいた。バンドエイド、消毒液、葛根湯、蜂蜜の小ビン。もうちょっとしゃれたものが欲しいと思ったけど。無事、勤められて良かった。我が家の慶事。(菊野)
▼なんとよりによって、クリスマスの夜も、正月の夜もラジオの生放送なんてのが入ってる。一月一日は絶対スタジオで飲みながら放送してやる。待て本番。(吾郎)
▼FAX用紙下さい。(栞)
▼コメントを書く前に、哲郎さんと仕事上の話をしましたが、最後は俳句の話になりました。テレビで、司馬遼太郎と山本健吉ともう一人誰かと、子規について話をしていたとのこと。その中で、月並み俳句をきちんと作ったので、あれだけ続いた。従兄弟の誰かれは、月並みが作れなかったので、早くに死んじゃった、とのことです。そこで調べてみたら、その誰かれとは藤野古白で、子規を驚嘆させたらしいが、二十四歳でピストル自殺。さてその句は…
傀儡師日暮れて帰る羅生門
みなさん、テレオクンチは花王名人劇場ではありませんので、月並みもいいですね。私は結果的に月並み(作者よ、怒るなかれ、ゴメン)をとってしまった。では何故にその他の句はとれなかったのか。野球にたとえれば、ボールに体重がのっていない。もう一つ。吉本隆明の言葉。「内在の働きであっても事象の仮面をもっていないかぎり『ハイカイ』は可能でないようにおもえる」。(等)
〔当番〕怒ったりしないけど「ゴメン」って言われると気にかかりますよね、作者諸氏。フォローが逆フォローになる典型例。後半はつまり、体重をのせたい人は、のるようにがんばるということですね、当番が単純に念を押せば。
▼祐天寺・中目黒情報 B…中目黒駅でサイフを落とした。渋谷に着いて気が付いた。いつも重い私のサイフは、つねにポケットを突き抜けて、ドスンと落下する危機に瀕していることを忘れていた。青くなって中目黒駅に戻り、落とし物係に訪ねると、なんと、ちゃんと回収されていた。車掌さんが二人がかりで持ち上げて、拾ってくれたんだって。一割お礼するのが常識だから、五十万円渡そうとしたら、固辞された。しかたがないから、ホウレンソウと一緒にドアのノブに、そっとかけておいた。諸君、東横線の治安は依然として維持されているぞ(裕)
〔当番〕前回の当番の「ラスベガス」並みにビンボーくさい嘘だなあ。…ん、ひょっとして、嘘じゃなくて実話? ホウレンソウはともかく。
▼最近は小銭王なので、家からあまり遠くへは出ません。今日は植田クンチ(当番註・仕事場です、正確には)へ自転車で遊びに行って、スパゲッティとケーキとコーヒーを食べました。帰りに古着屋に寄って、新しく入った李朝の盃で酒を飲ませてもらいました。盃の底にラセンが描いてあって、野太くっていいものだけど70万円もするので、アッハッハと笑って帰ってきました(勝之)
〔当番〕小銭のほうが重いぞ、紙幣より。高貴な実話だ。
▼仕事関係で勝ちゃんから借りているビデオ数本、カミサンに見つかって「見たい」と迫られたが、断った。ところで、今回、絵の具の分厚い感じの句が揃いましたね。特に前半。世の中、煮詰まってるのか。(規夫)

【当番から】
▼今回、メオトの掛け合いがそこかしこで白眉。
▼ジョン・レノン関連も一句ないし二句登場。人が死んだことは、自分が生きていることの証明ですね、いつも。これ、当たり前すぎる話。俳句業界における忌日というのは、そのへんをわかってるんだろうな、つまり人の死を語ることが必ず携えている脳天気さのことを。「ジョンの声」は今年も再生機から流れ、出てくるメシを喰って寝て起きる男がいる、私を含めて。(これってpeace? 「バカpeace」だな、あのころ歌われていたのと同程度に)。一方、どこそこで起こる家庭内戦争。これにもGive Peace a Chance(平和にもチャンス一つは与えよ)とシングアウトすることにしよう。
▼ということで、今回は、結果的に濃いも薄いもひっくるめて「家庭」がばらまかれたようなオクンチでした。これも生活俳句って言うんですか、大畑さん。
▼作者推理(明示的なもの)は、勝之さんの一本のみ。大ハズレ。
▼FAX用紙は、等さん、栞さん、菊野さんからお申し込みがありました。ご確認ください。
▼風邪が流行ってるようですね。うちの仕事場の若いモンも昨日から倒れています。どうぞ、お気をつけください。それでは次回は十二月十九日(土)。きっとまたお会いしましょう。

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九の付く日のFAX句会 テレオクンチ 第10回 98年12月19日  土曜日

〔六点句〕
怒ったら椅子ごと壊れて十二月  栞
◎杜◎菊野◎十四郎◎吾郎◎裕◎等
■私にはとてもできそうにない。ダイナミック! この句はとても心のいやしになる(杜)■でも、なぜ「て」で字余りにしたのだろう(十四郎)■これ好きです。なぜ取らなかったのか? なぜでしょう(葉子)■つまり椅子ごとあなたも壊れたということですね、単純に念を押せば(規夫さん口調で)(唖々砂)■ゴーカイ系ながら、ちょっとお笑いよりか、しかも古いギャグ(勝之)■わははは(吾郎)■乱暴だけど、厭味がない。6人ほどにベット(裕)■大当たり〜(当番)

数え日や流るる唄に金属臭  規夫
◎唖々砂◎菊野◎勝之◎十四郎◎栞◎裕
■金属とは鉄のことでありましょう。鉄のこすれる音、鉄の温度、鉄の臭いのあのリアリティは、鉄の重さを越えています(十四郎)■十四郎は「バカズ」というバンドのヴォーカルだった頃『魅惑のブリキヴォイス』と呼ばれていたそうです。そういうことじゃないんだよね(唖々砂)■金っ気のある唄って確かにあります、妙に好きだったりする(勝之)■金属音を金属臭にしたの…? この音って金属臭せえンだよな! (杜)■臭いってとこがいい(栞)■もうそろそろ、こういう作りが億劫になってきたけど、いちおう(裕)

〔以下掲載順〕
独笑や柚湯の柚子をもみしだく  裕
◎葉子◎唖々砂◎菊野◎勝之◎十四郎
■思わずやってしまう(葉子)■ぬくぬくのポカポカですな。お湯がオロオロになって後に入る人はこまる(勝之)■「独笑」がピリッときますね。ゴールデン街の御通しのおでんに柚子が入っていて、そのとき初めて自分が柚子嫌いということに気付いた。まだあるのかなあ、あの店…独笑(唖々砂)■柚湯は冬を感じるね(杜)■輪笑なんてのも楽しい(十四郎)■さーて、何人このドインチキに騙されるか。慎重な私は3点ぐらいにベット(裕)■ハズレ(当番)

極月や砂漠の狐狂気する  唖々砂
■狐じゃなかったら…。バンパイアとか…(杜)■ボードリヤールの言うように、テレビのスウイッチを切ると、プツンと戦争はない。この句もな(裕)■『湾岸戦争はなかった』(当番)

池浚い遊女の衣纏う鯉  吾郎
◎杜◎葉子◎十四郎
■アリアリで迷ったけど、マッいいか(杜)■錦鯉の甘露煮なんぞは、おつなものでしょうな(十四郎)■食っちゃえ。食っちゃえ。ふたたび『ほんやら洞のべんさん』(裕)■特にあの品のない橙色に白斑。と言うことは錦鯉は花魁さんで、金魚は禿ちゃん。スッポンは女衒で鯰は近江屋だな(栞)■エエイッ、おとなしくせいっ!!ちゅうに。(吾郎)

霜柱十八センチのハルマゲドン  杜
■霜柱見なくなったね(葉子)■こう言うニュースが最近あったの?(栞)■十八センチは、うちの息子の足のサイズです(杜)■糞柱じゃ、マズイっスか?(吾郎)■踏んじゃえ、踏んじゃえ。いいじゃん、また明日生えるってことよ(裕)

寝返れば枯野に交響楽聞こえ  等
◎勝之◎裕
■ハイドン、モーツァルトあたりにしておいてほしいものだ(勝之)■昔は、歳末商戦のチンドン屋が聞こえてきたものである(裕)■映画のワンシーンみたい(杜)

砂漠の爆弾ポインセチア真っ赤  栞
◎杜◎吾郎◎裕◎規夫
■映像が目の裏で広がる感じ(杜)■そう、非常識な赤だ(吾郎)■どっこい、スウイッチ切ったあとに残る場合もあるんだねえ(裕)

悪霊もご飯も一緒と寒の紅  菊野
◎勝之◎栞◎規夫
■こういうザックバランさが好き(勝之)■妙な迫力と潔さが好き(栞)■そうか、同じだったんだ(吾郎)■どっちも消化してしまうのですね。紅をつけた生き物、いとマーベラス(規夫)■猥雑な想念だ(裕)■悪霊炊き込みご飯? レシピ知りたい(葉子)■悪霊退治引き受けます(杜)

ざっくりと包丁たてる白菜の尻  葉子
◎吾郎
■白菜がパンツを降ろして、お尻を包丁に向けているところを想像してください(裕)■だ、だんな、一気にズバッとやってください(吾郎)■白菜のお尻って母ちゃんのお尻みたいだから、ちょっと痛そう(杜)■凄すぎる(栞)

冬アザミ盲人の独り言の楽しそうなこと  勝之
◎等
■花屋で濃いピンクのアザミを買った。楽しかった。ブツブツ(葉子)■心理的抑圧を隠そうとしてないか?(杜)■こうなるともう散文だって。あ、また言っちゃった(裕)■だからそっとしときなさいって(吾郎)

頭蓋手で掴む冷たき朝の水  十四郎
◎葉子◎菊野◎栞
■目覚めの一撃でありました(栞)■マチェック・ヘウミツキーが顔洗うところ思い出しました(裕)

ソノシートに透ける南半球の夏  規夫
◎唖々砂
■モチーフは好きです。ヴェンチャーズか?(吾郎)■歳末に聞く東京ドドンパ娘のことね(裕)■「南半球の夏」は北半球の冬の季語ですね(唖々砂)■十二月に「夏」という言葉で作ってみたかったので、なにはともあれ作れてよかった。歳時記にのらないかな、「豪州の夏」は(規夫)

小便してねるかねてからするか冬の夜  葉子
◎杜◎勝之
■夜うちの坊主は必ず寝る前にすることにしてる(杜)■「さあ小便してねるか」と夫。すかざず「ねてからするか」と息子。「おーコワ」と私(葉子)■アルツハイマー、ボケ老人の入眠儀式。明日は我が身ですな(勝之)■あんた、もうパンパースして寝てるのか?(裕■考えてる間に、早く行きなさい(栞)■考えてるヒマがあったらトイレ行きなさい(吾郎)

漆黒の稲垣足穂登場吹くはバラード  勝之
◎菊野◎吾郎
■やっぱトランペットかな。ミュートした(吾郎)■A方面をぷーぷー吹いているんだな(裕)■ううん、5・11・7と23文字かあ。「稲垣」くらい省けないのか。「稲穂」と秋の季語を入れたかったとも思えんし(規夫)

凍てる脳質問箱は腹イッパイ  唖々砂
■な〜んのことやら、モリリンウィルス(裕)

かくれんぼ枯野に座るクレーン車  菊野
◎葉子◎栞
■放置され、錆びるにまかせたユンボの多い今日このごろです(裕)■不況ですもの(葉子)■かくれんぼしてるのに、こういう奴っているよね(栞)■頼むから下にかくれんなョ(吾郎)

冬の虫翔んで透けたる薄日中  裕
◎葉子◎吾郎◎等◎規夫
■こういう「俳句」が読みたい。スタジオ・ミュージシャンの音を聞きたいときがやはりあります(規夫)■キレイキレイ(葉子)■もう死ぬな、それ(吾郎)■虚子の言うとおりに作ったら、こうなってしまうというダメ見本(裕)

極月の帰るあてなきボタンかな  栞
◎杜◎唖々砂◎十四郎◎吾郎◎裕
■極月に(へ)…として読んでも面白いと思った(杜)■なんかすっごくかわいそうになってきた、このボタン。私、もらって育てようか?(唖々砂)■中田ボタン君?(葉子)■中田カフスただ一人なに思う(十四郎)■服のボタンである平和(吾郎)■駅で拾った飾りボタンが集まったら、上から順番にコートに付けて着る。やってみたいことのひとつ(裕)

電柱のなまぐさくある枯野道  等
◎唖々砂◎栞◎吾郎◎等◎規夫
■「なまぐさい」がピンと来なかったので、勝手にお寿司の広告を巻いて、いただきました。その昔、長野でお寿司食べたらスルメがのってたって話聞いたけど、ホントかなぁ(唖々砂)■そうそう。どうもこういう風に作れないの(栞)■さすが土建屋の仕切る国(吾郎)■新しい電柱は、たしかになまぐさい(裕)

右翼らが真似したシネマが落葉  吾郎
◎十四郎◎等◎規夫
■やられた。まいりました。「が」を「の」にして完璧でしょう(十四郎)■回文としてきわめて高いレベルだろう。それだけでまっさきにいただいた。「努力賞」で満票をとってもおかしくない句。しかし回文と気づかない人も多いからなあ、俳句業界には。で、ひとつだけ余計なことをいわせていただければ「が」より「の」のほうがよかったのでは(規夫)■右翼らの招きしキネマの落葉…by栞(吾郎)■ようやく紅葉がきれいですね、今(葉子)■モリリンウィルス的リズムがおもしろい(裕)■選んでおきながら文句。テクニック臭アリアリ。イメージ旧し(等)

音楽の終わる極月自転止む  十四郎
◎栞◎規夫
■この先考えると恐ろしい(栞)■その裏側に朝来なくなる。どーしてくれる(裕)■三つ終わちゃうんですね。二つなら遠慮しときますが、三つならいただきます。「惑星」は読みたいテーマだし(規夫)

冬日向乾くシーツに身をくるむ  菊野
◎葉子
■お昼寝愛好家としてはみのがせない(葉子)■あの日向の匂いって、思わずくるまれたくなるよね(栞)■オイオイ乙女チックちゃん! まるで私みたいじゃ! 四十路のオバサンがやってもサマにならないか。頭の中は可愛いんだけどね!(杜)■すごいぜいたく、やってみたいことのひとつ(裕)■静電気の嵐じゃバチバチ(吾郎)

取り出した皮手袋のしわのばし  葉子
◎菊野◎栞
■そんまんまで、深い。(栞)■まずはめてみよう(吾郎)■またしまっちゃったりして(裕)

中東の狐火赤き断食月  唖々砂
■米軍も、やたらハリウッドまがいの安っぽい作戦名をつけたがる昨今、われらど大衆こそ、裸の王様であることを実感しております(裕)

霜柱踏めば火星の赤きこと  勝之
◎唖々砂◎等◎規夫
■はじめ霜柱の下に赤い火星人がペチャンコになってる感じがしたけど、落ち着いて読み直したら、なんてロマンチックな句(唖々砂)■霜を霊と書き間違えそうになった。やや! 霜柱を霊魂に替えればどうなる?(等)■魅力的だけど判りにくい(栞)■惑星は読みたいテーマ。「こと」というのはお上品で、好きなアレンジじゃないが。イタリアン・ロック(そんなもんあるんか)っぽく「マッカッカ」とか、祇園ぽく「あこおます」とかなら、もっと好きな句(規夫)■この季節、早朝、火星はどの方角にあるでしょう(裕)
少量の悪あばかれて牡蠣食へり  等
◎菊野◎勝之
■牡蠣食うとき、つねに少量の罪悪感をともなうのはなぜか(勝之)■カレーじゃねぇのか?(吾郎)■本当の事を言え! ゆっくり話を聴いてあげようね! 本当の事を言わないと、カキアレルギーにしてしまうぞ!(杜)■ホントかあ? ホントにホントかあ? 4人ほど騙されるのにベット(裕)■大ハズレ〜(当番)

葬儀より花を盗みぬ冬の海  規夫
◎杜◎唖々砂◎十四郎◎等
■冬の津軽の葬式は造花も風になぶられて盗んでやらないわけにはいかない(十四郎)■メッ! 縁起悪いから返してきなさいっ(唖々砂)■先日開店祝いの花を盗む中年女性をみた。見た私がドキドキした(葉子)■私には重すぎる(栞)■これもやってみたいことのひとつ(裕)

咳ひとつすれば楽になれるものを  吾郎
◎杜◎裕◎等
■コンサートホールとか…? 私もガマンするほうです。楽に生きるにはガマンしないほうがいい。(杜)■すれば(吾郎)■放哉へのあいさつとしていただき(裕)

去年今年蟲歯の孔につまるもの  裕
◎葉子◎勝之
■早く歯科に行きましょう(葉子)■年末医者は28日まで(吾郎)■それって腐って来るとすごい臭いで、口臭がまわりの人を不幸にするって感じ。私はガムを噛んでいます。「奥歯に物がはさまった言い方をするな」じゃないのね(杜)■二年越しのスルメの足がやっと取れた。快感ではある(勝之)■きったなあーい!(唖々砂)■もちろん冗談っす(裕)

〔総評・近況集〕
▼気がつけばもう十日余りで今年も終わり。信じられん。毎度毎度のことだが、ホントこの加速度倍付けみたいな一ヵ月何とかなんないかな。大体頭の三ヵ月ぐらいはゆったり過ぎていくからひと月二十日位にして、その分十二月は六十日にしたらどんなもんだ? 気分違わない? やっぱ、おんなじかなぁ(栞)
▼風邪じゃ、風邪じゃ、風邪の嵐じゃ。こらっ!!恵比寿のZEST!! けっこうな撮影料を取るのに、ちったあ暖房いれろ。2階が冷えるから扉を閉めていただけませんか? だと。こちとら3階で外気温と同じところで撮影してんだぞ。寒かったぞ、ホントに。グスン、ズルズルじゅ〜〜。(吾郎)
▼十七日は私の誕生日。家人にプレゼントの希望を聞かれたので、「エプロンとお花は困る」と言ったところ、カップ&ソーサーが二客。七%引きのスーパーで買った由。その晩は、娘と息子が夕食を作ってくれた。けっこう、いける味だった。十一月十二月にかけて就学児健診が、どの学校でも行われる。私は若いママ達の説明係。外国人のママが「これは何?」。のぞいてみたら「続柄」とあったので、私は「マザー」と答えた。わかったらしく「ママ」と記入してくれた。私の車夫英語もよく通じる。一二〇名中、一〇組の国際結婚。書類は日英両文を記入すればと、珍しく発言した。どのクラスにもジョー君やデービット君といった名の子がいる。あと二〇年したら、ニューヨークの小学校みたいになるかもしれない。風通しが良くなるだろう。(菊野)
▼仕事をいっしょしている若いモンが、この秋からオーストラリアに行ってる恋人を訪ね、きょう成田。悲しい思いをしなければいいが。私はひさびさにまとまった原稿書き。二、三時間で二〇〇ページくらい書けないかなあ。とっとと片づけてのんびりしたい。(規夫)
▼山には雪が降り、冬眠の期となりましたので、しばらく眠ります。おやすみなさい。春になったら、またお目にかかります。よろしく。(葉子)
▼三軒長屋のうち二軒が取り壊しになって、隣のソガさんちだけが「カステラの最後の一切れ」状態で残った。ウチのトイレの窓からソガさんちの切り口が見える。「あ、やっぱりつながってたんだぁ。あれ、物干し台に上がる階段だ」。ソガさんち分だけ残して、何もかもスパッとなくなった。人生何が起きるかわからないものである。ところで、前回の裕さんの「玄冬や穴のなかから歌謡曲」についた等さんのコメントすごくおもしろかった。三日笑わせていただきました。菊ちゃんの日本人離れした家庭自慢もおもしろかったけど。(唖々砂)
▼カメにキスして寝込んだときは、10本立てぐらいで夢を見た。俳句会の夢も見て、100句ぐらいは作った。これは傑作と一人ほくそえんでいたんだけど、夢から覚めたら、ほとんどは通常の言語に翻訳不可能、惜しいことをした。なかでギル・エバンス・オーケストラのハイテンションな演奏をバックに、下手より黒人となった足穂が半裸でブラリと登場。サックスでみごとな「イン・ア・センチメンタル・ムード」朗々と唱いあげる。涙止まらず、もう一度ぜひ見たい聴きたい。(勝之)
▼生身の句会を終えて一眠り後の選。どうころんでも俳句は面白い。同じ傾向の句が多い。アーサ嬢の警告を思い出す。それにコッケイな句がない。みんな生活硬直状態か?(等)
▼祐天寺・中目黒情報C…中目黒ブックセンター(ここの入口、異常に狭い。パチンコ屋の景品交換所みたい)で、望月峯太郎の『鮫肌男と桃尻女』を買って読む。傑作。『座敷女』もいいよ。ところで皆さま、だいぶお疲れのよう。当番に提案。たまには定型、季語しばりってのもやってみては。楽になるぞー。そんでもって、カッちゃんを苛めたろう。あるいは季重なり、字足らずしばりてのもいいけどね(裕)
⇒当番・採用させていただきます。ただし次回ではなく次々回あたりに、有季・定型・客観描写しばりで。もちろん選も、季感重視・定型・客観評価しばり。

【当番から】
▼今回は、題材や季語でいろいろと重なりました。気分が一致した部分が多いのでしょう。イラク関係、「極月」など。地理的には、歯(ちっちゃい!)から中東、南半球はおろか、広くは火星まで広がりを見せています。
▼等さん、裕さんのご指摘どおり、少々の煮詰まりもあるんでしょうか。足しては使っていたスープを全部捨てて、鍋もきれいに洗って、しこみ直し。年が新しくなるのは、その良い機会。
▼次回、十二月二九日(火)は、いよいよ「カウンドダウン・オクンチ」。スペシャル版で、投句を五句までOKとさせていただきます。なお、返送は本来なら三十一日ですが、九九年一月一日元旦に変更させていただきます(選の返送は、従来どおり十二月三十一日朝七時までにお願いいたします)。お屠蘇と一緒にお楽しみください。
▼それでは皆様、良いお年を。

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オクンチ 第11回 年越し〜謹賀新年スペシャル
〔四点句〕
じじ祖父の手でぽっと咲いたよ金平糖  杜
◎等◎唖々砂◎十四郎◎勝之
■無季か。しかしこの時季に詠めば、春を告げる(十四郎)■これトキタフジオの声で読んでほしい(唖々砂)■ずるい。涙腺を直撃する(勝之)■花咲爺のパロディともとれる。祖父は単に爺ではいけないのだろうか(等)

蒲団より一尺伸びたる足の裏  吾郎
◎杜◎十四郎◎栞◎規夫
■わが子四歳にして足大きく、合気道でも習おうかと…(十四郎)■でけー足だな。くすぐったろか(栞)■これ、ふつうの光景ですね。でも、なんかいいのはなぜだろう。「足」まではふつうだけど、最後に「裏」をこちらに見せているのが、おもしろいのか(規夫)

枯野行く頭のてっぺんオルゴール  等
◎勝之◎吾郎◎栞◎規夫
■だんだんネジもゆるんでくるし(吾郎)■あたし、もう寝る(栞)■これ、わからなそうで、自分なりにですが、よくわかる。手で回すオルゴールですね。次の音のタイミングを探りながら回す。で、エンドレス。枯れ野をこういうふうな頭で歩いた記憶がある(規夫)■オレなんて頭のてっぺんにJBLのスピーカー乗っけて、コルトレーン、ガンガンかけて行きますからね(勝之)

本ふせる蜜柑喰うのがめんどうだ  十四郎
◎菊野◎唖々砂◎吾郎◎栞
■誰だ!?こんな無精者。でも気持ちはわかる(吾郎)■よくわかる。トイレに行くのもめんどうです(菊野)■読むのがめんどうじゃなくて、かい? なんでもめんどうなんですね。ほんとにめんどうなことがよくわかる。いい句だろう、これは(規夫)■あの白い筋をどうするか、それが問題だ(栞)■もう寝るしかないですね(唖々砂)

笹鳴くや遠き角より郵便屋  十四郎
◎杜◎吾郎◎栞◎規夫
■小料理屋の粋な味噌汁風(吾郎)■郵便受けが気になる今日この頃であります(栞)■笹鳴くは、ウグイスなんですねえ、勉強になった。郵便屋というのはいつも遠景。近くに来ると見えなくなる。チェスタートンだったかの「見えない男The Invisible Man」。のどかな句とは読まずに、「不気味」感を感じるのは誤読か。まあ、それでもいい(規夫)
〔以下掲載順〕
寒鰤を猫にも分けてやれと言う  菊野
◎十四郎
■猫にもハレの日があるのだな。行事のうちで正月は一等である(十四郎)■もったいない(吾郎)■うちでは、ネコとニンゲンはちがうものを食するのが掟(規夫)
神まを白さくウルトラマンは基本がなっていない  等
■そうかもしれない。そう言われれば、そう思うしかない。上がむずかしすぎて、辞書でもなかなか調べられない(規夫)■やっぱり秒殺。ソク、スペシウム光線ですか、元UWF神社長?(吾郎)■等身大でK1に一回参戦させたほうがいいと、オレは思う(勝之)

セーター剥ぐ刹那を走る冬稲妻  勝之
■小型飛行機のなかでの出来事。なにしろセスナ(刹那)てなもんで(規夫)■シービレチャッタ、シービレチャッタ、シービレチャッタ、よっ(栞)

凍空にちゅうぶらりんのアドバルーン  唖々砂
◎等
■ああ、不安(栞)■あれって本当に不安です。それを解消するために衝動買いをしてしまう。戦略なんですよ、ホント(等)
汁が味噌御姐が知るかと芹刻む  杜
■アナグラムなのか?謎が謎をよぶ朝の風景(吾郎)■これって、駄洒落?(規夫)■イタさんの心意気、じつに美味そう(勝之)

去年今年無人列車の闇の闇  吾郎
■あかりがついていたほうが「無人」列車を感じる、仕事場の目の前をいく中央線を毎日見ていると(規夫)

ポコちゃんがペコちゃんにキス冬ざるる  規夫
■いいなあ、なんか二〇年前に連れてかれる景(勝之)

凍空に琴響きたる天使去る  栞
■「たる」より「たり」では?(規夫)

掛けまくも畏きできちゃった結婚  等
◎勝之
■のりピーで打ち止めか(吾郎)■恥ずかしながら私めも一七年前に…。結婚式の司会は近藤十四郎氏、弔辞じゃねえや、祝辞は佐山哲郎様よりいただきました。赤面(勝之)

喉の餅目が出た歯が出た深海魚  杜
◎吾郎◎栞◎規夫
■こりゃマンガだ。それもかなりどぎついカトゥーン・アニメ。アニメの醍醐味の一つがメタモルフォシス(変身)と、手塚治虫は言った。喉に餅を詰まらせてから深海魚に変身するまでの過程が、マンガ(アニメ)チックなリズム。それぞれ出る瞬間に、ティンパニーの効果音が入るのだろう(規夫)■メルルーサはフィレオフィッシュ(吾郎)■歯出まして、お目出とうございます(栞)■面白い。でもな(勝之)

軽トラに葱だけのせてクリスマス  菊野
◎唖々砂◎吾郎
■千葉か?中央線沿線か?(吾郎)■おもしろい句(規夫)■その昔、待ち合わせ場所に行くと、十四郎が軽トラにつんだ桃を売っていた。が、「ぼくはちょっとの間、たのまれただけだもーん」を体全体で表現していた。セリフもないのにたいした役者だった(唖々砂)

煮詰まってまた水を足し出来るもの  勝之
◎十四郎◎菊野
■御節とはそうしたものなのか?(十四郎)■答えは次回に教えてくれるんだろうな(規夫)■屋台のおでん屋(吾郎)■まずいオカズに決まっている(等)■済みません。よくやります(栞)

夜の駅今川焼は匂うもの  栞
◎十四郎
■他の何にもまして今川焼きこそ匂うのだと力説する「は」に負けた(十四郎)
初鼓アジアアフリカ震動す  吾郎
■ハッキリ言って、私ではありません(栞)■オレも参加したいっす、本気で(勝之)

白兎束ねポストに落とされる  十四郎
◎等◎唖々砂
■ポストの中はぴょんぴょん、さぞ騒がしかろう。他の人の兎もいるしね(唖々砂)■童句。いやっ、そういうわけじゃなくて(吾郎)■挨拶句ですね。OK(等)

目は笑うマスクの裏に舌動く  吾郎
◎菊野◎勝之◎杜
■こういうドアップの映像、いいですねぇ(勝之)■怕い(菊野)■おもしろいですね、これ。こういうの選ばない私はダメかなあ(規夫)

漬け物がちょうどよいころ大年越  規夫
■どこかの温泉宿のスピーカーから流れていそう。コリャコリャ(等)

晦日酒酔い潰れたる父は北枕  勝之
◎菊野◎杜◎規夫
■私の父もそうだったな(菊野)■なんか、いい雰囲気ですねえ。「あらまあ、おとうさんたら、北枕じゃないの」と、ホームドラマの母、と映ってもおかしくないが、俳句という形式と、この句のリズムが、そこまで通俗に貶めないのだろうか。「酒」と「酔い潰れ」が重複?…なんて、野暮はやめておこう(規夫)

ご近所に火事があったので葱抜かず  菊野
■なんで「ご」近所なのか、ワカリマヘン(等)■近所づきあいはなかなかたいへんです(規夫)

置き去りの寝台冷やと昼の月  栞
◎吾郎
■なんか年末。一抹のさみしさ(吾郎)■ほんとどうでもいいこと言いますが「冷や」だと、秋の季語になるのでは?(規夫)

福引きの確率くらいの悪運さ  杜
■年末ジャンボよりいーだろ、それじャ(吾郎)■不良中年のボヤキっぽくて好き。パチンコ屋から出てきたとこか(勝之)■「運悪さ」の誤植ではないのか? 当番(規夫)

冬すずめ異国の文字を書いて飛ぶ  規夫
◎等◎唖々砂◎勝之
■アラビア文字あたりかな(等)■アラビア文字ですよね。ハングルじゃない(勝之)■タイ語の文字なんか、うまそう、冬すずめちゃん(唖々砂)

咳止めの飴がざらざら休火山  栞
◎等◎規夫
■「ざらざら休火山」がウマイんでしょうなあ(等)■アメって食べすぎると舌がざらざらしますよね(唖々砂)■咳が一時とまるので休火山、と読んだら、おもしろくないので(でも、そう読んでしまう危険性はあるな)、休火山の石灰岩の肌理と喉の感触をぶつけて読む。「ざらざら」を休火山に強く関連させて(規夫)

寒紅は花の名でなくおちょぼ口  十四郎
◎等
■かわいいぞ(吾郎)■チュッ(勝之)■旨い句だと思うけど、ムクツケキ男の句でないことを祈る(等)

ユダの香嗅ぐ急いで神を捏造す  勝之
■昨今の現代詩のほうが俳句的ですよ(等)

地面から星座が生えてりっぱな冬  菊野
◎吾郎◎栞◎勝之
■私も見ました。逆立ちした北斗七星。今回のベスト。りっぱな冬≠ノしようと思います(勝之)■あたしゃオリオンしか知らない不粋者です、どーせ(吾郎)■星がよく見えて、まわりが広々としたとこに住んでると、これ実感なんでしょうね(規夫)

年越や売られるために生まれた仔犬  規夫
■食べられる子豚とどっちが幸せか(吾郎)

冬山の太陽暦へ火を放つ  等
■よく燃えそう(勝之)■「火を放つ」がオーバーじゃ!(等)

エノケンの盤載っている去年今年  十四郎
■アナログ盤なら尚うれし(吾郎)■「渡辺のジュースの素」ってまだあるの?(栞)■たまには他の聴こうね、わかったから…(勝之)■エノケンをふつうにつくっちゃうのはもったいない気がするが、それは私が貧乏性のせいか(規夫)

つまんねエ恋スイスイ越え年末  吾郎
■植木等よ、年は越せたか!?(勝之)■二五年前、こういう年末に憧れた(規夫)■第二弾やや軽し(吾郎)

タコの糸切れて気楽と冬の天  菊野
◎杜◎唖々砂
■緊張の糸がプツンと切れたのですね(唖々砂)■こういう「と」の使い方」って感情移入のタレ流しだと思う(等)

睦言を重ねるに冬の月あまりに細し  勝之
■むかしの英文和訳を読んでいるような。too〜to〜の構文(規夫)

マネキンは前にのめって冬の旅  規夫
◎杜◎菊野
■そういえばそうです(菊野)■枯野に立往生してると怖いぞ、かなり(吾郎)

元旦にレンジの皿が回転す  等
◎菊野◎十四郎
■いつもフル回転、我が家のレンジ(菊野)■三箇日、商店は休むべきである。きゃつらにはクリスマス、断食月。吾に正月を!(十四郎)■この句は、ここではどうであれ、「サラリーマン川柳」(山藤章二!選)では絶対にいいとこいくと思う(規夫)

兎でもウッ詐欺じゃ無くても酸素呼吸  杜
■どうすればこういうのが作れるんだろう…(吾郎)■裕さんが前回言ってた「モリリンウィルス」の一端をかいま見たような気がする(規夫)■この程度のシャレではオクンチを生き抜いていけない(等)

〔総評・近況集〕
▼一月一日には、代々木のFM−FUJIのスタジオから生放送をしてます。(午後10時〜12時/78.6MHz)。もしかしたら、あの近藤十四郎の18年前のブリキヴォイスを放送するかもしれません。ははは、そうBAKAZU(近藤〔Vo〕、井口〔B.〕)だぜ。(吾郎)
▼年末に久々の大模様替え(なんと、あの『北海道民芸ヒグマ(羆)箪笥』も大移動)。気分一新、今年も頑張るぞー。エィエィガォー(栞)
▼おせちを飾る小物に「長呂儀」というのがある。あの赤くて小さくて、ミシュランのタイヤ小僧みたいにプニュプニュとして、ピリっとすっぱいやつ。「チョロギ」と書くと、アンニョンハシムニカな感じもする。なくてもいいかもしれないが、あったら楽しいし、おかしいけどおごそかで、私は「長呂儀」に理想的俳句像を見た。なあんちゃって。あけましておめでとうございます。(唖々砂)
▼三〇日競輪グランプリ。128で買ったら、128がダンゴでゴール。むちゃくちゃ興奮したが、結果は裏(来たのは8・2、買ってたのは2・8)。初めて車券買ったが、来年も買おう。年末はオクンチと競輪と大掃除を恒例行事にすることに決めた。(規夫)
▼秋冬コレクション、一日遅れのクリスマスプレゼントでした。友だちに見せびらかしたりしています。俳句を作る者として、今年のベスト3。@オクンチへの参加。これは元気の素。A麦の大会。仁さんの『俳諧自由』と終わりの言葉。別れの言葉を言わなくとも、別れの挨拶ができるのだなと思いました。B千葉研究会が四〇回を迎えました。大畑さんや皆様のおかげです。嬉しい三年四ヵ月。新年のご祝詞は申し上げられませんが、皆様のご健勝をお祈り申し上げます。(菊野)
▼来年九九年は、聖人のような生活、聖人が作ったような俳句をめざします。本年度最後のオクンチでの私の作品に、すでにその気配が表れていたと、皆さん感じられたでしょう。とにかく見守っていてください(等)
▼家族そろって東京でお正月。引越間近。2丁目から5丁目へ移ります。追ってご報告いたします。皆様にとりまして今年が良い年でありますように。(十四郎)
〔当番から〕
▼あけましておめでとうございます!(賀状をさしあげておりませんので、このご挨拶で新年のご挨拶とさせていただきます) おかげさまで、オクンチも無事、年を越しました。これまで波瀾万丈…などありませんでいたが、これからはきっとあるでしょう。そのときもどうぞよろしく皆様でオクンチを支えてください。
【重要! 再録】次回オクンチは、井口家主催
【当番責任編集・小特集】 オクンチ九八年を振り返る

〔1〕各賞発表
▼功労賞 裕さん(コメント王もあわせて受賞)
前回までの一〇回のオクンチすべてに参加された方は何人かいらっしゃいます。そのうち全オクンチに規定いっぱいの三句を投句された、いわば全イニング出場は、等さん、吾郎さん、栞さん(栞さんはオクンチ杯優勝で第八回は七句。全部で三四句です)、裕さんの四名様。なかでも、裕さんは、今回は不参加でしたが、風邪でダウンの第五回を除き、ほぼ毎回「コメント付けまくり」の活躍で、オクンチを支えていただきました。ついでに、裕さん今回ご欠席の理由を、ばらしましょう。大酒呑んで、そのあと、ものすごく楽しいところになだれ込んだらしい(これ、ニナさんには絶対内緒です)。
▼得点王 等さん
当番の試算(前回までの一〇回分が対象。間違っている可能性大)によれば、等さんは三〇句で九二点を獲得。総合点で第一位、アベレージは一句あたり三・〇六点でやはり第一位。続いて、裕さん八九点(アベ二・九六点)で肉薄。また、全一一句と句数は少ないながら、亞子さんはアベで三・〇〇点。結社「麦」トリオ、なんだかんだいっても実績は残します。
▼当番特別賞 勝之さん
当番、勝之さんを、いろいろといじりました。登場(第三回)からして、「川船の木戸」を大道具に使い、以降も、当番的にはおいしいキャラクターとして扱わせていただきました。いろいろ失礼もあったと思いますので、特別賞を贈らせていただきます。(しかしながら、勝之さんは、オフライン、つまり実物も、おいしいぞ、笑えるぞ)
▼ビジュアル大賞 亞子さん
皆さん、投句はそれぞれ手書きだったり、ワープロだったり、電子メールだったり。皆さんはお互いに見えないですが、当番は、全部見られてハッピー。それぞれ味があって、「FAXは人なり」です。そのなかでも、亞子さんのFAXは、あえてここまで皆さんには申し上げませんでしたが、当然ながら、オクンチ本体よりも綺麗なのです。当番は、流れてくる亞子さんのFAXを手にとって、毎回ひとりごちていました。「うーむ、プロの意地だな」と。この場でそれを公表させていただきます。

〔2〕オクンチ 九八年重大ニュース
1 FAX句会始まる!
当番がまず、世代の近い近藤家と井口家に相談しました。そののち御大たちに伺いを立てました。で、始まっちゃったわけです。
2 FAX句会の名称「テレオクンチ」に決定!
「おくんち」の名は、まず裕さんのおかげです。それから、「テレ」は、もうお気づきでしょうが、だんだんと小さい級数になっています。すみません、十四郎さん。九九年から「オクンチ」を正式名称にいたします。この「テレ」にもずいぶんお世話になりました。
3 第一回オクンチ杯争奪・俳句トーナメント開催! 優勝は栞さん。準優勝に久々登場の杜さん。
4 当番、誤植多し!
当番、何度「すみませ〜ん」の再送をしたか。白眉は、哲郎さんの「火事の客」を「家事の客」と誤植。何人かが誤植のほうに飛び付く、飛び付く。名句は、誤植をもろともせず。
5 風邪が大流行!  そこいらじゅうで感冒が大はやり。
6 ヒッピー対アングラの死闘!
当番と勝之さんが唖々砂さんの過去を勝手に「ヒッピー」と決めつけたのを発端に、すったもんだ。勝之さん=アングラ説など、日本の暗部%I大討論。このさい当番が公表してしまいましょう。唖々砂さんは、もと詩人で女優らしい。勝之さんはそのむかし、医大志望を装うサックス奏者でした。当番は、そのころ人間の屑をやってました。
7 マスオさん、なかなかFAXを使わず! 
当番が足で運んだりした。マスオさんも手で持ってきたりした。デジタル・オクンチにおけるアナログでローカルな例外。
8 流星群がきた!  ナイスな流星の句もいくつか登場。
9 リングネーム流布する!
もともとは、上田馬之助こと勝之さん、タイガージェットシンこと十四郎さんで、当番が勝手に付けたリングネーム。等さんをドリー・ファンクJrとお呼びしたところ、ご本人様から「私は、ドリー・ファンクJrのように高貴ではありません」とのご返事(この「高貴」というところで、かなりディープなプロレス通とわかりますね)、みずから名乗られた「吉の里」が一時定着しました。女性には退屈な比喩で申し訳ありませんが、リングネームはある意味でしっくりくるのです、俳人には。吾郎さんは、やはりブリティッシュなビル・ロビンソンか。裕さんは、むずかしいが、ラテンなブルーノ・サンマルチノ、あるいは豊登(国際プロレス!)、その流れを汲むマイティー井上か。哲郎さんは、ヨセフ・トルコ(いつもシャツが伸びていた!)か沖シキナ。当番? 当番は、撤収がはかどらないリングの上のトンカチ、といったところでしょうか(ちょっとカッコ良すぎますね)。で、女子部は、そうだなあ、歌手にたとえたいな、当番としては。そのうち、ステージネームを考えましょう。
10 オクンチ、年を越す!
おかげさまで九九年を迎えました。これからもなにとぞよろしくお願い申し上げます。

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オクンチ 第13回 99年1月19日  火曜日
〔八点句〕
冬海へアラビア糊のはみ出せり  等
◎勝之◎哲郎◎菊野◎栞◎吾郎◎唖々砂◎亞子◎規夫
■景の大きさとアラビア糊という日常的な物との対比が面白い。冬とアラビアという言葉の対も面白い(菊野)■まあ、よくわかんないんですが、冬の海と「糊」の取り合わせが素晴らしい、と考えてしまった。アラビアのあんぽんたん≠ウ加減で、愛嬌も充分(規夫)■「あんこがはみ出す」句のほうがいいな(亞子)■わかんない(杜)■ほとんどイメージの世界なんだろうけど、あの粘度感と冬海の厳寒が互いに引き合うことなく存在している無意味さが凄い!?それにしてもアラビア糊って名前は、菓子パンのシベリヤと並んで昔からの七不思議です。由来教えてください(吾郎)■糊と湖(海)は思ったより近い(裕)■『桜画報』描いてたころの赤瀬川原平を想わせる名句なり。オムなり(勝之)■ハズレ(当番)

〔六点句〕
冬厨鬼門の位置を確かめる  菊野
◎哲郎◎勝之◎栞◎吾郎◎唖々砂◎亞子
■厨って言葉がかもし出す日本家屋の湿度と鬼門が妙にマッチして、Dr.コパの風水とはひと味違った趣があるのです(吾郎)■確かめて、さてどうする?(亞子)■もらってきたお札を貼って柏手を打つ、それからオジヤ煮る(勝之)■鬼門じゃない所に鬼門のお札はっちゃったりして。そういうことはままある(杜)■厨に立っていると、うー冷える。そういや、厠のあるのは鬼門だったよねえ(裕)

〔五点句〕
冬林檎艶ありすぎて書けぬ文字  亞子
◎杜◎栞◎裕◎唖々砂◎等
■展開がイイデスネ(等)■赤いりんごと白い紙の距離を感じたときに、この句を判った(裕)■なんじゃ私のことかと思った(杜)■油性マジックでもダメ? でもなんでリンゴに文字書くんだ? 現代アートか?(勝之)■ワックスかけすぎ(吾郎)


〔以下掲載順〕
花縷々や帯の下には蛇の柄  杜
◎勝之◎哲郎◎唖々砂
■女の持つ二面性。ちょっとゾッとします。同時に惹かれる(勝之)■うーん、なんかTPOが変。大砲でウズラを撃ってるみたいですね(裕)■これほど即きすぎている俳句はめずらしい(等)■蛇の柄は厄年の女性に送る下ひもの柄で厄除けになります。みんな知ってたっけ?(杜)■当番は知らなかった(当番)

生きている証のような風邪頭  吾郎
◎杜◎菊野◎等
■風邪頭はイイ、俳諧的(等)■わかる、わかる(杜)■実感です(菊野)■ノーシン飲むな。死ぬぞ(裕)

合鴨の飛べる前日鍋となる  哲郎
◎杜◎裕◎唖々砂
■抑制したおとぼけ。地味だけど、なあんとなくおもしろい(裕)■鴨大好き。鴨最高。クレソンどかどか食べて元気になるよ!(杜)■そんな若い鴨食べてどうするんですか(吾郎)■宮沢賢治がまた泣くぞ(等)

梅まだかまだかと思う石焼芋  等
◎規夫
■いい感じ。今度の月天への挨拶句のようでもあるし(規夫)■まるまる芋の干し芋を買った。とても美味。これぞ芋の味(杜)■皮をほろほろ剥きながら、お芋のなかに春の色(裕)

朽ち果てる鏡の中に水仙花  栞
◎杜◎吾郎◎唖々砂
■これがはんぱな鏡じゃないんですわ。錆というより、本体をつつみこんだ怨念みたいなものが溢れててまがまがしいことしかり。で、そこに黄色鮮やかな水仙。対比の情景として鏡の中としたところがお手柄(なんて偉そうに)(吾郎)■「ゴミ置き場かなあ」なんて現実的な風景を浮かべてはいけないよ(杜)■ふと、軍艦島も冬と思う(裕)

ぼんやりと巨鯨の影なり廃墟なり  規夫
◎杜◎勝之◎哲郎
■ぼんやりと、とってしまった(杜)■こういう幻想絵画風、ついとってしまいます。唖々砂か?(勝之)■大ハズレ(当番)■有楽町駅前旧都庁跡の国際フォーラムの二十一世紀の姿か(吾郎)■巨鯨といえば上野・科学博物館前のがおすすめ(裕)■巨鯨、影、廃墟…。で現代詩か?(等)

ムシ昆虫のようにスプーンのように交合っている  勝之
◎哲郎◎裕◎規夫
■誰が…??(杜)■マグワイアぁ〜!!(吾郎)■寂寞たる冬日のなかにぱらぱらと哀しい吾等よ(裕)■作者の性生活の実態ですかねえ(等)■ユリ・ゲラーを年末のTVで見た。でも、ルビはいらない。「昆」をとればいいだけ(規夫)■あのスプーンニングについては高橋鐵の研究が一番詳しいと思います(哲郎)

冬日和遅い朝餉に小鳥来る  唖々砂
◎等
■鎌倉あたりの小庭のある家で。午後のおやつは鳩サブレー(裕)■そういう生活っていいなァ(杜)■俺、こういうのも好きなんだ(等)

たるまない電線雪はドカドカと  菊野
◎亞子
■そういえばこの句で気が付いた。たるんでないんだよ、電線が(杜)■雪国の電線は目立ちます(亞子)■積雪で電線がスパークする光景は、見てみたいもののひとつです(裕)■夜の雪景色。好きな句なんですけど、なぜかとれない(勝之)■某しおり作かと一瞬思ったが(吾郎)

ゆきふれかし兎はむほんを眠っている  裕
◎勝之
■聖人の句か。どんなむほんを眠るかは知らねど、なんだか温かそうな冬眠ですな(勝之)■作者推理は、またもハズレ(当番)■チョッ、チョットオ。オーバーでしょう(等)■どうもイメージがわかない私は貧困です(吾郎)■わかんないんですが、全部が全部、ともかくフワフワしている。素材感だけで楽しめる句もあるのかも…と一瞬思ったが、その素材は「ひらがな」か(規夫)■NHKの回し者じゃないよね(杜)■「雪降れかし」とするべきだったか。わかりにくくなっちゃった(裕)

地球大咳声のどにリボ核酸  哲郎
◎裕◎亞子
■アハハハ、どこでどー切れるのやら。切れ目がわかったらおもしろかった(裕)■わかった、ふりをしよう(杜)■大災害はDNAから(吾郎)■アニキ%N郎、ひさびさのお出ましか(勝之)■大当たり(当番)■アラレちゃん的バカバカしさにいただきました(亞子)■オレハエイロクスケガキライダ(等)

スモッグの護国寺の門葬儀なし  唖々砂
◎哲郎
■たいてい誰か偉い人の葬式やっているんだよね、ここは。ちなみにこの寺の境内は、四月下旬の八重桜がなかなか見もの(裕)■そうか…(杜)

塩鮭の頭が上を向いている  規夫
◎亞子
■山頭火みたい(ほめていないな)(亞子)■るいべにしたらいいんでないかい(裕)■ふーん、フーン、不運(杜)

古の碑文読めるか水仙花  吾郎
◎菊野◎亞子
■ちょっと無理です。でも美しい句です(菊野)■花は言葉がわかるから、碑文も読んであげればわかると思う(杜)■たいてい読めないんだよな、これが。そのくせいちおう覗きこむんだ、また。水仙の花も首を傾けていたんだな(裕)■晩冬の越前海岸か…(亞子)

夏蜜柑まあるくまあるくまるい罠  裕
◎菊野
■どんな罠か、はまってみたい(菊野)■どんな罠なんだぁ。かかってやろうじゃないか!(吾郎)■その罠にいつもかかっているけど、なんてことないよ。かかりたい罠ってあるもんよ。嘘と知りつつ信じてみたい、なんちゃって、全然関係ないね。今日はちょっとハイなもんで、すみません(杜)■どういたしまして(当番)■ツメが甘かった。甘夏みかんか(裕)■目が廻ったぜ(等)

近景ばかり見て日が暮れへっつい猫  亞子
◎杜◎栞◎吾郎
■なんだかこれも私にあてはまっているようで、困った。生活がバレているような(杜)■あそこはあったかくて寝るにはもってこいなんだなぁこれが。こんな、多分、何もない一日を過ごしたいもんです(吾郎)■一日机に向かって仕事だったわけですね、裕さん、お疲れさま(勝之)■大ハズレ(当番)■キャベツ畑型郊外の冬はさみしい(裕)

薄氷の中鯉は動かず骨抱いて帰る  勝之
◎栞◎裕◎亞子◎等
■わかる。この景は(裕)■硬質なのにどこか色っぽいのは薄氷と骨にはさまれた「鯉」の色彩が効いているから(亞子)■「中」はいらないんじゃないか。下の句は口語調の字余り。それが自然体に見えます(等)■骨は重かったかい? 味見してみたかい?(杜)■御愁傷様(吾郎)

脳味噌を破門して春野を行く  杜
◎菊野◎規夫
■どんなにか清々しいことだろう(菊野)■ちょっと理屈っぽい気もしますが、「破門」という言葉には切れ≠ェありますね。「破門」が効力をもっていた時代があったはず(規夫)■誰が仕切るんだって、いったい(吾郎)■脳なんてそうしてやるのがいいと、脳は思った(裕)■「春野行く」じゃダメ? 「脳味噌を道場破りして」じゃもっとダメ?(勝之)■台所俳句だよ、気にしないで(杜)

毛布からどっどどどうと脱藩者  哲郎
◎吾郎◎裕◎等
■賢治のオノマトペ。意を決して布団から出た。そうでしょう(等)■実はこれ小さな大名行列が東海道を東に向かっている最中に、内乱が起きて勤皇の志士たちが一斉に脱藩したんだぜきっと。で、それに続いて小さな蟹が全身をはいずりまわってさぁーーー(吾郎)■脱藩したくない朝(杜)■そういえばオレだって、その昔は、お母さんと寝ていて布団からはみだす、愛くるしい子供だったんだよなあ(裕)■オモシロイけど、ウケを狙いすぎではないですか、イヤハヤ(勝之)

師走睦月と過ぐジャズはドタバタと  規夫
◎等
■去年今年をアメのように延ばしたら師走睦月になる。オモシレー(等)■ジャズってドタバタする時もあるのね(杜)■ドタバタとねぇ、ディキシー、スイングあたりしか聴いてねぇな?(勝之)■ジャズ大名?(裕)■このところの暮らしはスパイク・ジョーンズもクレージーキャッツも上等すぎる。ドンキーカルテットあたり(規夫)

あれこれが痒がっている小春日  杜
◎勝之◎裕◎規夫
■「あれこれ」が面白いんだろうなあ(規夫)■オレ、アトピーだし、乾燥肌だしで、身体だけじゃなく、床やらカベまで痒いっす、実感(勝之)■たとえば、しもやけの子どもとか、芽をふく木々とか。その他いろいろ(杜)■なんかリズムがヘン(吾郎)■かんたんそうで、そうじゃない。なかなか味深し(裕)

婆勝ち抜く冬の野の椅子取りゲーム  等
◎杜
■オババのお尻はデッカイゾ!(杜)■ありそう、ありそう(勝之)■この場合は、もっとリズムを効かせたほうがいいのでは(裕)

寒星に向かい屹立する己れ  吾郎
■風邪引かないように(杜)■これってエッチ′n? 屹立してるのは…(勝之)■ふと虚子の句を思ったが、大悪人というのでもなさそうだ(裕)

いつ来てもやぶれ障子の子だくさん  唖々砂
◎哲郎
■うちの事かいな(杜)■少子化により近頃はなかなか見られない貴重な景(勝之)■しみじみしました(裕)■とったがしかし…類句があるような気がする(哲郎)■なんかリズムが好き(吾郎)

手袋に穴効かない漢方薬  亞子
◎栞◎吾郎
■そりゃ効かないわ、だめだそりゃ、やっぱ末梢神経を冷しちゃ風邪は治んない。えっ? 腹が痛い。こりゃまたしっつれいしました(吾郎)■そういうときはね、ひたすら喰って寝るしかない(杜)■そりゃあんた、針と糸じゃないと治んないよ(裕)

日脚伸ぶシーラカンスの目が動く  菊野
◎栞◎唖々砂◎勝之◎規夫
■ゆっくりとむっくりと(吾郎)■1月になると、ホント日が長くなる。シーラカンスは存在感ある(規夫)■上野科学博物館、長い間行ってないなぁ、本郷に住んでた頃は子供連れてよく行った(勝之)■化石ですか? 化石ですね? 生きている奴じゃないんでしょ?──昔、生きているシーラカンスが発見されたと聞いて、フランスの学術隊がマダガスカルに到着したら、すでに原住民が食べちゃったあとで、骨しか残っていなかったという笑い話があったけど、釣った魚は、釣った人が食べて当然だよね。失礼な話だ(裕)■ふーん、フーン、不運(杜)

我も蝮の末裔、温泉卵ひと飲み  勝之
◎菊野
■面白い(菊野)■温泉卵、大好物です(規夫)■生卵五個ひと飲み!(杜)■「、」が気になってしまいまして(吾郎)■読点を入れたくなったところで、あんた、世間に負けたね(裕)

きつつきに桃缶あげるよ枯れ野だよ  裕
◎菊野◎吾郎◎規夫◎等
■洗練されれば、土俗性はなくなる。桃缶が面白いんだろうな(等)■桃缶をつつくわけだ、うるさい音立てて(規夫)■きつつきも風邪をひいたんだね(杜)■リズミカル(菊野)■桃缶の最後の汁に氷を入れてかき回しながら飲むとこれが美味いんだ。で、モチーフと韻が気持ち良くて座蒲団一枚!!(吾郎)■いやあ、ワヤしよるなぁ、「枯れ野だよ」だもん、アニキ哲郎か(勝之)■ハズレ(当番)■「よ」がずるいようでいて、いいような気もしますが、どうでしょう(裕)
〔総評・近況集〕
▼正月はあまりに鬱で泣きたい気分だったので、普段読まない本を積んで読んだりしました。すると十五年戦争や太平洋戦争とは全く別に日ソ一週間戦争というものを考えるはめに陥ってしまいました。日本という国にもう一度つくづく呆れました。長谷川裕君に謝らねばならぬ、と少し思いました。人間が人間を理解するということがどんなに難事であるかについて、もっと勉強せねばならぬ、と思いました。(哲郎)
▼先日は一年ぶりにお目にかかり、嬉しゅうございました。皆さまもお変わりなく、たばこの煙が目にしみました。なるべくサボらずやっていきたいと思っております。よろしくご指導のほどお願い申し上げます。(杜)
▼引っ越しました(唖々砂)
▼正月忙しかったからゆっくり休むつもりで伊豆の温泉に行って風邪をひいてきた。だからどうしたわけではないが。(吾郎)
▼何だか、よくワカラン(栞)
▼どうしてでしょう、七句選ぶのが大変でした。(亞子)
▼リストラで分社した新会社の社長に、長年の友人が就任。そしたら「○○君の社長就任を祝う会」の幹事役をやることになってしまった。なんだかなあ。まあいいや、パーッとやりますか。パーッと。例によって、大声出してりゃいいんだろっての(裕)
▼三軒茶屋の古本屋で虚子の『五百句・五百五十句・六百句』、『橋本多佳子句集』、『日野草城句集』、『富安風生句集』を買った。いずれも角川文庫で臨時定価七拾圓とある。最も古いもので昭和二十七年発行。僕は一冊五百円で買った。店主はこれらの本が店にあることを知らなかったという。話をしている間、ずっとあちこちのページをめくっていたのが印象的であった。(等)
▼今年は有名俳人の句を読んでみる、と決めて、二冊買ってきた。が、本という形式のページに並んだ句が、もひとつ頭に入ってこない。自分でなにかひねりだすのも、ちょっとこのところは前と違ってきた。退屈とも、苦しいとも違って、なにか嫌な感じが自分でする。ここは曲がり角かな。それはそうと、句会というのは、ある種、濃密ですね。月天に参加させていただくようになって一年半ですが、自分ではもっと長い気がする。この界隈の皆様すべてに尊敬と感謝の意を表明しなければなりません。…なんていうと「終わり」みたいですが、そうじゃなくて。(規夫)
▼いよいよ経済的に逼迫して煮詰まって、先週からアルバイトを探している。どうせバイトなら、近所で、楽で、面白いものがいいと思って、新聞の折り込み求人広告を見ているのだが、四〇歳過ぎ、免許なし、資格、キャリアなしとくると、工事現場での交通警備員か、運送会社での荷物の仕分け、あるいは飲食店での下働きくらいしかない。交通警備は先日叔父の通夜でやったが、この季節2時間も路上に立っていると、関節から筋肉、全身が痛む、これは辛い。荷物の仕分けも、小説を書いている友人が、クロネコヤマトに行ったところ、大量のアルミサッシがベルトコンベアに乗って登場、合宿の金を稼ぎに来ていた体育会系の大学生が泣きながらやってた(友人はその場で帰ってきたらしい)っていうし、これも無理。なかに、手作りうどん店の製麺作業というのがあって、時間も昼12時から4時間、時給千円(最近アルバイト料がガンガン下がってて平均八百円ぐらい)、自転車で行けるので、早速面接に行ってきたんだけど、風体からして怪しい奴としか見てくれてないようで、当然不採用。先日は中央線某駅近くのビデオ屋(Hビデオ専門店)昼12時から夜1時まで、週2回勤務、1回1万円。ただし、ここはヒマそうで、主人が「ヒマですから本読んでても、原稿書いててもいいですよ」と言ってくれる。よおし、ここを事務所替わりにして創作、作句に励もう!≠ニ決心するも、夜中1時に店を閉めたのでは、家に帰る電車がない! ああっ、なんてこったい! というわけで最近の私の趣味は俳句と面接≠ナす。(勝之)

【当番から】
▼哲郎さん、復帰。何回ぶりかわからないくらい、ひさびさの気がします。
▼等さんの「聖人」宣言も、勝之さんの「色っぽモノ」路線宣言も、どうやら早くも撤回あるいは軌道修正のような…。じつはどっちも期待してたのですが…。正月に立てた計画はアテにならん。二人とも、意外にマーケティング感覚が欠落していない(コレ、決して悪い意味ではないですよ、念のため)。
▼勝之さんの作者当ては無惨な結果。ほら、むずかしいでしょ? けっこう。当番は前回、コメントにした以外にもひそかに一人で全句推理をやった。結果は7勝22敗と同じく無惨。
▼勝之さんといえば、今回の近況。オクンチ史上、最長。コレ、シリーズ化するんですか? なんて失礼なことを言いたくなるのをガマンする。なんかツッコミ入れづらいネタですね。しかし、ここはあえてツッコむべきかもしれない。
▼近藤家は引越。もうそろそろ落ち着かれたでしょうか? 引越ってたいへんですよね。引越するたびに、「もう引っ越さない」と思う。でも、いつもまわりが動いて、私はハタキをかけていた本をめくりだしたりして、みんなが呆れて怒りだす、というパターンだったような。古本屋にはむかしすこし憧れました。
▼冷え込みのきびしい日も、このところ多い気がします。皆様、お体にはくれぐれもお気をつけください。▼でも、きょうはホントいいお天気。オクンチ・リリースの朝はいつも晴れている気がする。気もせいかもしれませんが、オクンチ日和。それでは、次回は一月二九日(金曜日)。投句は植田までお願いいたします。

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オクンチ 第14回 99年1月29日  金曜日
〔5点句〕
枇杷の花ほぐれ喪中の掲示板  裕
◎吾郎◎等◎菊野◎哲郎◎規夫
■うまいっ!(哲郎)■枇杷ってなんか儚いです(吾郎)■うちの村にもあります(菊野)■反射的にいただいてしまいそうになる句。ちょっと思いとどまる。だが、やはりいただいておく。上品なのは素直に取っておいたほうがいいかなと(規夫)■ちゃんと、ちゃんとの味の素。ちゃんとね(等)■「百日紅町内にまたお葬式」c池田澄子の類想句。ああ、スレた私(裕)

〔4点句〕
街凍てり首だけになるコーラ瓶  吾郎
◎杜◎等◎哲郎◎規夫
■コーラ瓶も生きている夜な夜な宙を彷徨い土に埋まる日を待っている(杜)■コーラ瓶の首だけっておもしろい(規夫)■下五はコカコーラの歯切れではダメですか?(等)■ちゃんと片付けとこう(吾郎)■とっくりセーターの作者と同じに一〇〇円!(哲郎)■ハズレ。今度会ったときにいただきます(当番)■極真カラテ、手刀切りの威力。少年マガジンの『空手バカ一代』はけっこうおもしろくて、よく読んだ。ちなみに絵を描いたつのだじろうは、コマのなかに「ウロヤカバノキッイラワジカ」と小さく書きこんだのがバレて、原作者の梶原一騎と弟の真樹日佐夫に新宿の自宅まで殴り込みをかけられ、木刀でボコボコにされて血だるま、そのあげく原因不明の出火で自宅を焼失したという。もちろん連載もいきなり降ろされたそうです。怖いですね。危ないですね。ぼくが言ったって、誰にも言わないですね(裕)

冬尽きてヴィオラが光る楽器店  哲郎
◎栞◎等◎菊野◎裕
■芭蕉に「山路来て何やらゆかしすみれ草」があります(等)■美しい句ですね(菊野)■うまくまとまっている。文句なし。だが、一味足りないと、文句を言う。でも、その薄味かげんがいいともいえる。取らないのは失敗かなあと、迷う(裕)■ヴィオラの型の妻がゐる、ならいい(哲郎)

春隣おきゃがり小法師であるおばば  哲郎
◎杜◎栞◎吾郎◎等
■どうもおばばという言葉に弱い。つい、おばばを見ると取ってしまうのは何故か、それは……だからである(杜)■おいとけ、おいとけ、そこに置いときゃがれ(吾郎)■こういう婆ちゃん、笑えますよねえ(規夫)■オレ、実は名古屋ファン。「おきゃがり」って名古屋弁でしょう? おばあさんの名古屋弁はキレイだぜ。タモリ嫌い。南利明大好き(等)■お婆さんというのはたしかにそういうものだが、もうお婆さんはたくさん。わが家にはしぶといのが二人もいて……ああ、もうグチはやめ、やめ(裕)■コボシ→コボスのシャレか。おきゃがり小法師の妻がゐる、ならいい(哲郎)

〔以下掲載順〕
耳の奥春が疼いて無声映画  杜
◎栞◎裕
■「疼く」というのがちょっと気になるが、無声映画への転換がうまい。知的な句(裕)■魅力的なフレーズだが、ちょっと観念的かなあ(規夫)■ウゴウゴルーガ(吾郎)■伊丹万作の息子の死に方も無声映画だった(哲郎)■またあ。素直に伊丹十三と言わないんだよなあ(当番)

いつ洗うとっくりセーター二枚ほど  菊野
◎杜◎哲郎
■感じが出すぎていて少し辛い(哲郎)■首の回りがテカテカなのね(裕)■「ほど」は好きです(吾郎)■いつ洗おうか、考えているうちに秋がきて(杜)■オイオイ。半年ほっとくのは凄いぞ(当番)

満鉄の木枯らし駅を仮定せよ  等
■しんそこ寒い(菊野)■戦前の俳句のリメイクですか?(吾郎)■駅舎のない満州の広野に、駅を仮定するというわけじゃなかろう。やっぱり「木枯らし駅」を想えということだろう。にしても、俳句の命令形って決まりますね(裕)■仮定せよ、だけでいい(哲郎)

あかちんが床に一滴雪催い  規夫
◎栞◎吾郎◎裕
■美しくひからびていくのですこれが(吾郎)■スパッと言い切って、色彩鮮烈かつ明瞭(裕)■色が目にしみる(哲郎)■純粋仕掛俳句(等)

なにも無い日炊きたての飯を食う  栞
◎杜◎菊野
■炊きたてのごはんはそういう意味においては贅沢なのかも(杜)■至福の時、はたまたけだるい時の句か(菊野)■たしかに白いごはんだけの俳句だ。何かおかずをつけてくれ(裕)■殺し屋のリハビリみたいな気がする(哲郎)■純粋生活俳句(等)

支那チクは放送禁止竜の玉  吾郎
◎裕
■「竜の玉」へ落としこんだのがよかったのか。なんとなく中華風だからか(裕)■「日本人の皆様、支那≠ニいう言葉は使わないでください」という在日華人の言葉を思い出します(菊野)■支那には何ら悪い意味がない。リパブリックオブチャイナ。チクだとどうだろ(哲郎)■放送禁止もそうですが「支那」はワープロの辞書に入っていない。禁止語はどれも一発変換できない。誤字チェック機能が「馬鹿」をチェックしたりする馬鹿げた世の中(当番)■もちろん支那ソバもダメです(吾郎)■ホントーッ?初めて知った(栞)■「支那」、なんていい響きであろう。「支那チク」最低(等)

ホチキスを空撃ちしている一一一ばかり  勝之
◎杜
■そんなことをしている時があるよね(杜)■足に刺さると痛い(吾郎)■早撃ちマックになる練習?(哲郎)■「一一一」がおもしろいんだから、「ばかり」なんか捨てちゃえってば(裕)

福祉課のさざんか煙になる自由  等
◎吾郎◎裕◎規夫
■理知への傾斜をさざんかが巧く締めた。いい句だよ、これは(裕)■上五に作者の俳句に対する意欲を見ました(規夫)■田舎の村役場の窓の外の風景。あ〜長い(吾郎)■ウン、「の」が4つ続いてる(当番)■もちろん自由であり権利である→権利(哲郎)

チェンバロに春立つ上のAの音  哲郎
◎等◎菊野◎規夫
■バッハのチェンバロ協奏曲は好きですが、Aの音は具体的な何か、ではいかが?(等)■「上のAの音」というのが、ちょっとつらい表現ですよね。でも、チェンバロは春とよく合う。バッハではなくスカルラッティの感じですね(規夫)■やっぱ「アー」って発音ですよネ(吾郎)■ホント、音楽の素養のないオレって哀しい。「倍音」っていまだわからないんです。栞さ〜ん(裕)■音楽をやる人の句かしら。Aの音、とても専門的。こんな句が作れるなんてうらやましい(菊野)■J・S・バッハとはソナタのことか?(哲郎)■だから、スカルラッティだってば(当番)

寒鯉の鋼色して実朝忌  勝之
◎等◎哲郎
■渋い(哲郎)■季重なりはまったく気にならないが、冬の鯉料理もそろそろゲップ(裕)■いっそ「鋼」そのものにしちゃえば、いっそのこと(等)

アフリカの太鼓どろどろ菠薐草  裕
■物語のエジキになっちゃった(等)■文字なき伝承の豊かさを感じる(哲郎)■いい出物がありますぜ、ダンナ。ディープルンバというCD。今度送りますから腰抜かして、で、精進してください(当番)■不勉強で、菠薐草がわからない(菊野)■どろどろがあまりに凡庸なり。菠薐草なんて気張らないで、すなおにほうれん草のほうがよかったかなあ(裕)

貞淑な言葉を探す春の宵  杜
◎栞◎哲郎
■いわく因縁あり気でちょっと短歌的?(吾郎)■純粋奥様俳句(等)■私も貞淑と純潔を五十年探しています(哲郎)■この「貞淑」はどこか不穏だぜ、おい(裕)■ハイ、その通り。ふおーん、フオーン、不穏、です(当番)

もう一軒家があるらしかまど猫  菊野
◎吾郎◎栞◎裕
■すべからくこういうふうに生きたい(哲郎)■賢い猫がいるもんだ。主人の妾宅のことを誰にも言わないんだとさ(日本まんが昔話)(等)■別にかまど猫じゃなくてもいいけど、この風情好きです(吾郎)■もちろん借家。この家に決めた。が、もっといい物件があったかなという、微妙な気分を軽妙に表した佳句(裕)

神億万個枯れ野から蜥蜴の子  規夫
■ヤオヨロズより多いのがすごい(哲郎)■ちょっと大袈裟だよ、あんた(裕)■見とうない、見とうない!!(吾郎)

冬の星枯れ枝にあり幹太く  勝之
◎菊野◎規夫
■美しい句。実感としてよくわかります(菊野)■ちょっと面白い気もするなあ、「幹太く」が。そうでもないような気もすごくする。迷ったあげく、痛恨の選となることを覚悟して、いただいた(規夫)■枝から幹へ行くんじゃなく、別世界へ連れてってよ(裕)■友人の七歳になる子供に「幹太くん」がいるため、どうしても幹太くんと読んでしまう。弱った(哲郎)

異次元の庭に咲くかな春の虹  杜
■スケール大きすぎ(吾郎)■「異次元」と言うことで、異次元へ行かなくなってしまった(等)■かな、の使い方がきわめて面白い、と思う(哲郎)■『オズの魔法使い』のジュディ・ガーランドを思い出した。おじさんの郷愁(裕)

てんかすのしだいに膨れ宇宙論  裕
◎杜◎菊野◎規夫
■そこまで言うか(吾郎)■宇宙論いいねえ。どんな課題も宇宙論に発展する可能性はある。とは思いつつ、てんかすが庶民的で嬉しい(杜)■私にもタヌキそばを二つ頼み、一方をオカズにしていた時期がある(哲郎)■最近、ずいぶん前に出た清水義範の理科の本(西原理恵子の挿し絵)を読んで、たいへん面白かった。いま、理科のネタだと全部お気に入り状態(規夫)■「宇宙論」というのはよくある手。「膨れ」では付き過ぎか(裕)
チューリップの色が決まらぬぬり絵かな  菊野
◎哲郎◎裕
■ぬり絵の白さが見えて、かつチューリップの色彩も見える。しかも、そのチューリップの色彩の選択権は読み手にまかされているところがいい(裕)■なのに必ず何かの色に染まってしまう、悲しい(哲郎)■そう。迷ったあげく、変な色、使ってしまうんですよ、私の幼稚園時代。ちなみにマリア幼稚園といった(規夫)

梟が家じゅう古代にしてしまう  等
◎吾郎
■まっことそのとおり。ハリウッド映画も冒険小説もこのネタを使い回してきた(規夫)■不吉(哲郎)■どういう家なんだ? というよりどういう住人なんだ?(裕)■せめて近世あたりがいいな。梟が棲む家に住む者にとって(菊野)■ええーっ! 梟がいるんですか? 家に。すごい!すごい!(当番)

コニーアイランド海豚もどきの赤子哭く  規夫
■すっげえ!(哲郎)■七歳まで住んでいたニューヨークのことを、なぜか近頃ときどき思い出す(規夫)■コニーアイランドって何? ジャカジャカジャンケンのコニーちゃんと関係あるのか? ジュディ・ガーランドみたいな歌手の人? 面白いんだけど、とくに「海豚もどきの赤子哭く」って、すげえいいんだけど。コニーアイランドを知らなかった不幸(裕)■Coney Island遊園地ですよ、ニューヨーク港の近くの。あ、それと、作者、大嘘つきです。大阪より東に行ったことなかったはずです(当番)

振り向けば闇から闇へ咳ひとつ  吾郎
■ゴホン(数秒置いて、少し悩んでから)ゴックン(裕)■短詩型は闇がお好き(等)■セキという音ではなくタンだと視覚的で分かりやすいが、ちょっとネ(哲郎)■タンだと、見えんでしょう? ちがうのかな(当番)

〔以上25句〕

〔総評・近況集〕
▼よくテレビでやっているイントロクイズ系の番組には勿論仕掛けがあるらしいとは思いつつも舌を巻く。ああいうもので僕が参加できるとしたら、スポーツ解説者のクイズである。「あー」とか「ウー」とかだけでほとんど誰だか分かる。咳払いひとつで当てる自信がある。野球、相撲は完璧。ラグビー、マラソンOK、最近はサッカーでもかなりの線でいけそうだ。もっともこれ、ひとつも自慢にならない。第一そんなクイズ誰が視るかバカ。(哲郎)
〔当番〕ラジオでいかがでしょう? 吾郎さん。テレビなら12チャンネルのTVチャンピオンという番組なら、イケる企画かも。ちなみにガーデニングの回に出た国立の植木屋は、客がいるのを見たことがない。
▼昨晩、おじやを食べた。その前が水炊きだったので。で、お茶碗に盛るとき、手のひらにボトッ。熱いのなんの。哲郎さん、受話器からこぼしちゃ、絶対ダメです。(規夫)
▼ハイクモコメントモデキナイワタシヲゴクツブシトヨンデクダサイ(ゴクツブシオリ)
▼在庫一掃整理を年末にしたと思ったら、別の句会で製品化する前のモノまで倉庫一掃放出 をしちまった。というわけで今回はえらいこっちゃでした。待て次回。(吾郎)
▼今回のおくんち、出句は少なかったけれど、安心して読めるいい句が多かったように思いました。話は変わりますが、先日、仕事の帰り、早稲田近辺をクルマで通ったら、オーバーコート姿の古井戸教授が背筋をピンと伸ばし、カバンを持って横断歩道を渡るのを目撃。スッと地下鉄東西線に入り口に吸い込まれていきました。いかにも古井戸さんでした。懐かしかったです。(裕)
▼春の匂いがわたしを落ち着かなくさせる。目覚めたがっている得体の知れない物がそうさせるのだろうか? なーんちゃって。そんなわけで、喜怒哀楽の激しさが増してくる今日この頃です。二月六日は、行けそうです。子どものことが心配で家を空けられなかったわたしが不思議なくらいふっきれています。(杜)
▼俳句はウマクなくっちゃダメだと言われた。その次には、ウマクなっちゃダメだと言われた。何言ってんだ、と思ったけど、実はそうなんだと、今思っている。そうとしか言いようがないんだな。危うきに遊べということ、頭では解ってるんだが…。で、勝ちゃんの句どこにあるんだよ。モーリーの句どこにあるんだよ。ふーん、フーン、不運などで片を付けさせないぞ。十四郎、沈没か? バカヤローッ(等)
▼物置から異臭が漂ってきた。娘が「烏瓜の腐った臭いがする」というので、調べてみたら、姑がおととし収穫した栗と球根、食べられなくなったもち米が出てきた。作物なので、穴を掘って埋めた。第二種兼業農家なのだなと、しみじみ感じた日でした。(菊野)

【当番から】
▼勝之さんからの選が届かない! 通信トラブルと思いますが、連絡も取れないので、「勝之・選」を抜きでリリースします。届いたら「別冊」でお送りすることにしましょう。
▼等さんの怒声が国立まで届きました。もちろんFAXで、ですが(当たり前だ)。
▼局地的にはちょっとドンヨリ≠ゥな? で、2月は2回とも井口家主催。投句するFAX番号が変われば気分も変わるでしょう。
▼とりあえず、きょうもオクンチ日和。まあ、このところ冬ひでりなんで、ほとんど晴れてはいるのですが。
▼それでは皆様、くれぐれもお間違えないように。次の告知、よく読んでネ。

【重要】
次回2月9日(火曜日)と次々回2月19日(金曜日)は、
井口家が主催です。投句は井口家まで。

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勝之オクレンチ選 第14回 99年1月29日分

あかちんが床に一滴雪催い  規夫
■あかちんがみごとにキマっている。傷にシミそう。

支那チクは放送禁止竜の玉  吾郎
■我が家のワープロでは「支那」は二番目に変換できた。ちなみに一番目は「品」でした。支那チク、好きです。

福祉課のさざんか煙になる自由  等
■わけわかんないけどウマイ!としかいえない句。今の俺にはゼッテイ作れない。

もう一軒家があるらしかまど猫  菊野
■猫ってそういうこと平気でやるんだよね。

てんかすのしだいに膨れ宇宙論  裕
■こういう面倒臭いことをするのは絶対オムだと思ったのに! どうした十四郎!でてこい、この野郎!

梟が家じゅう古代にしてしまう  等
■梟飼うのが私の夢です。

コニーアイランド海豚もどきの赤子哭く  規夫
■ルー・リードもブッ飛ぶ海豚もどき∞哭く≠ニきたもんだ。まいった。

【当番から】
▼勝之大先生の「遅れンチ」選(註・このコピーは先生ご自身です)をお届けすることができました。なにゆえ遅れたのか、興味のあるお方は、本人からお聞きください。ただし、出句しといて、こんなに遅れるなんざあ、勝之大先生だけに許される、ふてえ仕業だということは、当番として断っておきます。皆さん、マネしないでね。

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オクンチ 第17回 99年3月9日  火曜日
〔七点句〕
象舎から象あらわれず二月尽  裕
◎芳子◎杜◎哲郎◎栞◎十四郎◎唖々砂◎規夫
■今回一番、どこに出してもだいじょーぶ俳句(哲郎)■むしろ現れてほしいゾーさん(芳子)■寒いもん…(ゾウ)(葉子)■寒かったんだよぉ、南国出身だで(吾郎)■井の頭動物園の象は寒そうで不機嫌だった(杜)■今回の最高得点最右翼、と思うだけに、私がとる必要はないが……やはりいただいておく(規夫)■素直にとれました(十四郎)■「俳句」に去勢された象だった(裕)

〔六点句〕
春の雲くりぬくブーメラン無音  栞
◎芳子◎等◎裕◎十四郎◎唖々砂◎規夫
■いいところ見てますねえ、ヒデキ感激、くりぬくがグッド(芳子)■無音で一点投入(等)■「静謐」というのではない、「無音」がぴったりの春の曇り方を表すのに、ブーメランをうまく使った(裕)■くりぬく動作の中に無音がはまっているのか?(杜)■「くりぬく」が最後まで引っかかりましたが、「無音」で気持ちの良い距離感が伝わりました(規夫)■雲よりも空のほうが(勝之)

〔以下掲載順〕
終日四駆ころがす野水仙  芳子
◎葉子
■長いドライブの後、ふと降りたところに野水仙が。尻の痛いのも忘れる(葉子)■野水仙に会いに行きたい。私の車は四駆じゃないけど。一緒に行こう!(杜)■「頼まれもしないのに関東全域パトロール隊2号」に任命する(裕)

永久歯ぞっくり残して棺の中  菊野
◎杜◎葉子◎哲郎◎吾郎◎勝之
■ナム…(葉子)■入れ歯だったら悲しみも少しは軽い(杜)■先日、歯がはえ変わってから初めて歯を抜いた。けっこうシブトイ奥歯だった(勝之)■全部言っちゃったらツマンナイ(等)■なまなましいなあ。「仏さまが座禅を組んでいるところが見事に残っています」などと隠坊が解説すると、それまでちょっと腰のひけていた遺族、親族がいっせいに身を乗り出してのぞきこむところが可笑しかった(裕)■金歯は残るそうです、溶けて(吾郎)

春くれば如何様にも啼く  杜
◎等
■一遍上人いつも啼く(等)■うむ、悟脱したな。誤脱でないことを祈る(裕)■何か言い残したことは無いんですね(栞)■よおーし次、パンダの啼き声いってみよう(勝之)

春光や排水右へ巻きいそぐ  十四郎
◎哲郎◎裕◎勝之◎唖々砂
■北半球の渦巻きは右巻きというのがいまだわかったような、わからんような(裕)■南半球なら左ってホント?(吾郎)■確かめてみたらうちのトイレ、洗面所、洗濯機、すべて右巻き。ワタシだけ左巻き?ワタシだけ?c哲郎(勝之)

坂東の蓬に鉄の匂いかな  等
◎哲郎◎裕◎菊野◎規夫
■スパッと言い切っていて、カッコよし。舌が覚える句だ(裕)■利根川と蓬と鉄がナイスフィッティング(規夫)■坂東はどこにある? 日本のピッツバーグ?(葉子)

駅からの帰途をせかして春霙  葉子
◎杜◎菊野
■せかして帰れる家がある。よかったね(杜)■「ママ、うんこ〜」あれは焦ります(裕)

冴返る新興住宅蛍族  勝之
◎芳子
■どっこい健在蛍族(芳子)■育児をしない男を父とは呼ばないそうだ(杜)■冷たい空気のなか肺もキレイになるよ(葉子)■これは「俗」ではなく「風俗」(等)■気がついたが、もはや日本全域が新興住宅地なのだった(裕)

脳梅の咲いてハラホレヒレ晴るる  唖々砂
◎等
■この人の勇気に一点っと(等)■いつ出て来たの?(葉子)■ついに来ましたね。来る時が…。裕さんじゃないの?(杜)▼やめなさいってば、こういうケースで固有名詞出すのは。ところで、なるほど梅毒は「咲く」ものなのかと、 勉強になりました(当番)■脳梅がチョーつきすぎで、あたりまえになってしまった(裕)

啓蟄や鼻の差である新幹線  吾郎
◎十四郎◎唖々砂
■新幹線はやはりあの鼻であった(十四郎)■とりわけ最近登場したダックスノーズがいい。あの鼻先に水たまりができそうな、とぼけた形はJRひさびさのヒット作だと思う(裕)■くちばしではないのかな(芳子)■中七以下は説明(等)■「鼻の差」って、くすぐられる言葉ですね。私は公営はやりませんが(規夫)

韜晦の海のひろがるいぬふぐり  裕
■中七は常々識(等)■もし「逆選」があったらと思うと、他人事ながらゾッとします(哲郎)■「東海の」のワープロ変換から出来上がったchance operationの句と推測。余談ですが、一生かかってもお目にかかれないくらい見事な(モノもシチュエーションも)いぬふぐりを見たぞーと、私は叫びたい(当番)■読めない(栞)■辞書ひきました(吾郎)■なにやらあいまいになってしまった(裕)

晴れたれば富士見て暮らす弥生かな  十四郎
◎菊野◎規夫
■こういう暮らしをしてみたい(菊野)■富士は日本人をなぐさめる(杜)■おしあわせねぇ(葉子)■もうすぐ東海地震が来るというのにサッカーなんぞに熱中している、ねぼけ静岡県人気質の背景に、あの山にあることがわかった(裕)■晴れ、富士、弥生の三重楽(逆ヘレン・ケラー)のキッチュな句。この句は、そうとらえなければいけない(規夫)

ただいまと一人の夜に葱の花  栞
◎芳子◎等◎葉子◎裕◎吾郎
■気張ることなく、するりと現在を表出していて気持ちのいい句(裕)■一人は不要だと思いますが、一点っと(等)■ねぎらいの言葉もあろうかと(芳子)■坊主が待ってるんじゃないの? ねぎ坊主!(杜)■待っててくれたんだぁ、ネギリン(吾郎)

私はラジオ枇杷の木の坂のぼるなら  規夫
◎裕◎十四郎
■この句から連続して4句、ヘンなのが並びました。その中でちょっと不幸な運命をたどるであろうこの句は。骨ひろってやっから、勝っちゃん(吾郎)▼ハズレ(当番)■絶品! ひとりだけの感慨(すなわち、かんたんに判りにくい)をみんなの舌に覚えさせてしまうひさかたぶりの秀句をゲット(裕)■言い訳なんだけどなぁ(十四郎)■なんか、すごく惜しい気のする句(杜)■いっしょに歩くとうるさそう(葉子)

たなぼたの人生ですが木の芽和え  哲郎
◎吾郎◎規夫
■まさに私のことを歌っていただいたような句。この句がどうとかいう以前にいただく。これからも、棚の下で口を開けて生きていくつもり(規夫)■いいじゃないですか、残りものに福(吾郎)■ツキスギカフントブライマセウ(等)▼こうとしか読めないんです、目を凝らしたんですが。意味は私にはわかりません。確かめたい方は大穴聖人協会まで(当番)■「マージャンは天和(テンホー)にかぎる」座右の銘なり(裕)

怠ぐせと無口を好み桃二本  芳子
◎菊野◎吾郎◎勝之
■桃の木かな(菊野)■二本がいいのかな、二本が(吾郎)■こういう人にかぎって几帳面なんだな。桃二本がそれを物語っている(裕)■桃二本酒二本入れ歯が二本、そのうち角二本、しっぽまで二本になるぞ!(杜)■惚れたが悪いかc太宰(勝之)

違うって言ってんだろう春一番  杜
◎等◎菊野◎勝之
■ヘヘヘッ、面白いナー(等)■いくら違うって言っても聞かないんだからぁ…ちょっとぉ、止めてよぉ…(勝之)■持ってけドロボー春二番(吾郎)■味噌ラーメンを注文したのに、チョコパフェが出てきたのだと推察する(裕)

花粉とんであの世の暮らしを考える  等
◎規夫
■あの世はない、あると考えると不自由だから、というデュシャンのひとことに、若かった私はメロメロになった(規夫)■少なくとも花粉症はない暮らしです(哲郎)▼プロが言うのだから、まちがいない(当番)■考え方が違うと、まったく別の世界へ行ってしまうのが宗教の怖いところです。親しい人とは同じ宗派に入っておきましょう(裕)

細き茎淡き色なりスイートピー  葉子
◎等◎栞
■豆科の植物ですから(等)■牧野植物図鑑的に的確(裕)■スイトピーは好きな花。この言い方、奥が深い(栞)■そっとしとこう(吾郎)

食い足りぬ子の胃袋や春深し  菊野
◎杜◎栞◎勝之◎唖々砂
■子どもや婆の句に弱い私(杜)■生命力を感じる(栞)■子どもはこうでなくちゃいけねぇ、八っつあん。時ソバでも来ないかねぇ(勝之)■自己主張の弱い子か、はたまた単なる腹減らしか(吾郎)■ラーメンを注文すると、かならずライスが脳裏に浮かぶ私も食い足りぬ(裕)

流れゆく靴血の色の春運河  哲郎
■血の色は血とも読めるし、ただどす黒い赤色のようにも(杜)■濃い材料の満艦飾(裕)■言葉の面白さ、チョー不足(等)■血の色って、あんた、昭和50年代の公害地域じゃないんだから(吾郎)■火曜サスペンス劇場!(勝之)

ダイエット弁当ピンク文字の春  吾郎
◎葉子◎栞◎勝之
■魅惑的(栞)■ダイエット業繁盛してまっせ(杜)■うらやましいなあ、こういうお弁当(哲郎)■絶対やせない(吾郎)■中身は桜色のでんぶと決まった(裕)■コンビニにも腐れオメコにも平等に春(勝之)

ハレのち後ケ道々拾う腐れ釘  勝之
◎唖々砂
■面白い(栞)■踏み抜くと破傷風にかかってエライことになるゾ(吾郎)■磁石をひきずって歩けば能率がいいぞ(裕)■黒豆煮るときに使いましょう(杜)

近道の引き込み線に春日さす  規夫
◎葉子◎哲郎◎吾郎◎十四郎
■近代映協〜ATG系の映画を思ってしまった(十四郎)■三丁目の夕日(杜)■武蔵野の光景と見たが……(吾郎)▼当たり(当番)■線路を歩くときは注意しましょう。保線作業は電車の来る方角を向いてするのが鉄則なんだと、元山陽電鉄社員の青木雄二に聞いたぞ(裕)

セザンヌの空気動かす木の芽風  唖々砂
◎杜
■はい。その通り。よくできました(杜)■下五が急に和物になるんで、なんか田舎の高級料亭風(吾郎)■きれいにまとまっていて、しかも微妙なものを含んだ佳句。ここは好き好きということで(裕)

下萌えやユニセフにいく小銭抱く  芳子
◎栞◎十四郎◎規夫
■飛行場の下萌え? 「いく」「抱く」で、小銭が面白い質感(規夫)■ごきとくなお方(杜)■エライナァ(葉子)■国連児童基金への寄付は控除の対象となるものもあります(哲郎)▼さすが聖職者。税に関してはプロ並み(当番)■そこから先、小銭は誰のフトコロへ(吾郎)■私は一円玉が山になったら、全部銀行に入金する。イヤな顔されたら「金融危機のおり資本注入にきました」と言う(裕)

人顔の菜の花畑踏んでいる  等
◎芳子
■花踏むより食べる。人の顔も食べる(杜)■その菜の花畑を写真に撮ってこい。NTVの超常現象番組に売るから(裕)

ポケットに丸い石あり春の海  十四郎
◎杜◎葉子◎裕◎哲郎◎吾郎
■西伊豆かな、それとも紀州先端か(吾郎)■小石を拾うのは意味のあることと信じている(杜)■ツキスギマン登場(等)■打ち上げられた投身自殺者と思えなくもない。そう思うと、なんだか凄い。春のほんわりした気分が本命だとは思うが、勝手な解釈でゲット(裕)■気持ちはわかる、でもな…(勝之)■石、スキなの。弱いんです。そこ。アァ…(葉子)▼この芸風は花子。大助、出てきて止めてやれ(当番)

もういいかいモグラの一生土の中  杜
◎葉子
■どーせ、どーせそうですよ土竜なんて(吾郎)■うちの猫につかまって、畳の上で臨終を迎えたモグラもある(裕)■身につまされる(菊野)

よたくれてはかま乱るる卒業生  葉子
◎唖々砂
■「よたくれて」多分ゲロもついてんだろーなァ(吾郎)■横目で見ている私は中年おやじです(裕)■つまり風俗(等)

花冷えや呼びリンのない家に棲む  菊野
◎芳子◎哲郎
■情景ぴったりだどもリンは漢字です(芳子)■ちなみにメキシコの大金持ちの家には呼び鈴がない。門番がいるから(裕)

春寒やパンをちぎりて皿拭う  裕
◎芳子◎等◎菊野◎十四郎
■季語が利いてますねえ(等)■ソースが決め手(吾郎)■どうにもあたりまえですいません(裕)

蜆汁脳死の人の通夜である  哲郎
◎菊野◎裕◎吾郎◎栞◎勝之
■蜆汁ってなぜかタンパク質を思わせる。脳もタンパク質だよね。なんかなあと思いつつ微妙な隠し味でゲット(裕)■自己決定できない人の運命は、他人にゆだねるしかないのかなあー(杜)■「である」がアイデアル?(等)■すまし汁より味噌汁の方が似合うってか(吾郎)■脳死の蜆は私の肝臓に移植される(栞)■うう〜っ、気持ちワリイ…。蜆汁三日は飲めねぇ。誰だこのヤロウ。うらむからな(勝之)

屏猫を見送りさてと花種蒔く  唖々砂
■いい暮ししているな。うらやましいな(裕)■屏が屑に見えて、それはそれで風情あり(吾郎)

寝て起きてラーメン食べたい日永かな  栞
■シンプルで美味いラーメンが食いたい今日このごろ(勝之)■純東京風しょうゆ味といきたいとこですね(吾郎)■糖尿一直線(裕)■もう起きて来なくていいから。寝てなさい(杜)

ペンキ屋も枯野も春色塗り始む  勝之
◎杜
■こんな可愛い句作っちゃって、どうしたの?(杜)■銭湯の景(吾郎)■ペンキ屋が枯れ野を塗ったらおもしろかった(裕)

口蓋に鼻孔つながるイチゴかな  吾郎
■イチゴの匂いがしたということかなあ(裕)■あれでしょ、イチゴの種が何故か鼻ん中へ入っちゃって……(栞)■うちの子がおしろい花の種、鼻につっこんで、掃除機で吸ったことがある(杜)■「口と鼻」と単純化でいけませんか(等)■月天句会での狂流さんの句「栗咲きて奥でつながる鼻と口」を思い出した(規夫)

奥様は紐で猫曳き沈丁花  規夫
◎栞
■お目にかかりたい(杜)■この季節は犬もチョッキを着たりするしね(裕)■なんか馬鹿馬鹿しくていい(栞)

〔総評・近況集〕
▼なにかとても楽しい。FAX代金39800円まだ払ってないけど、人生観変わるかもしれません。少しオーバーかな。最近雨が多いけど、山へのムシが動き出して来て困ります。どこでもいいから歩きたい登りたいキワメタイ。それとまったくの新人賞ものなんですが、新潟からひとり産直で仲間入りさせてもろうてかまいませんでしょうか。(芳子)
【当番】もちろん、もちろん! どうぞ、どうぞ!
▼近所に古本屋が増えて、楽しくてしようがありません。家賃が下がったから、都心の古本屋の倉庫が表通りにでてきたんでしょう。百円でけっこう欲しい本を買っています(等)
▼教え子のN君から電話がかかってきた。「先生、セイキョウ新聞どうですか」「セイキョウって生協なの?」「違いますよ。耳書いて口書いて王様の王ですよ」「……」。松田聖子の聖です、ぐらい言ってくれよ。(菊野)
【当番】うちの仕事場では、むかし仕事上の世話になった人からの電話一本で6ヵ月間購読している最中。仁義に生きるのも楽ではありません。しかし、その生徒、恩師を勧誘してはいけません。
▼本日の日記帳・今日の昼、日本橋高島屋で一〇〇円カレーを食べた。ビーフカレーで肉も5切れあった。大盛りでごはんを三分の一残した。(葉子)
▼毎晩、酒。酒、酒、酒。親の仇じゃあるまいし、そんなにむきになることないだろおまえ、と自分でもつくづく思う。毎朝が辛い、苦しい。この場を借りて自分の肝臓に土下座して謝りたい。ごめんね。(哲郎)
▼国立情報その2(でよかったかな)・桃ちゃんと、私たちが勝手に呼んでいる異装者transvestiteがいる。全身ピンクなので「桃ちゃん」。身長一七五cmくらい。ヒールは高い。スカートは、やはりピンクのパンツが見えるくらい短い。顔は内藤陳に似ている。日立の優秀なエンジニアだという噂はあるが、私は半信半疑。住まいは、マスオさんの喫茶店兼画廊の裏手だという。ひとり暮らしだろうか。朝の駅でよく会う桃ちゃんを見て、私はいろんなことを思う。そいでもって、みんないっしょに老いていく。Glow old with meはラブソングではなく。それが世界。(規夫)
▼蒲原でいるかの肉を食った。いるかガムとかいうのだそうです。バターラーメンみたいな味がした。ラーメンといえば「ラーメン・ポルシェ」という店があったぞ。なんだか、すごいなあ。日本晴れの富士山をバックにみかん山もありました。ぽん柑がひと袋五つで百円とは安い。伊予柑も買った。家に帰ってよく見たら、懐かしの貝殻虫がついていた。甘くて美味しかった。おおいに満足なり(裕)
▼今日(3月10日)東京ドームへ、今日本で一番売れているグレイというバンドのコンサートを観に行った。超満員だった。ライブが始まると同時にジャンボスタンドが震度3ぐらいになる。トータル3時間のライブのうち、ほとんど揺れつづけている。そこまで計算された耐震構造がなされているのか。野球の試合でもこんなに揺れたりするのだろうか。いきなりそんなことが心配になる。それにしても、ジャンボスタンドの一番端っこの席から見渡す超満員の観客は実に壮観。これがまた見事に全員で踊るは歌うはウェイヴはするは……東京ドームが一瞬サトウキビ畑に見えました。(栞)
▼今月末にラスベガスに行くことになりそうな気配。それも1泊3日という強行軍。さてさて無事に帰国できるか? ポーカーで一山当てるか?(吾郎)
▼皆様、お風邪など召されませぬよう(唖々砂)
【当番】唖々砂さんのお風邪はいかがですか。もう回復されたでしょうか。
▼キューブリックのテーマを一言でいえば、閉鎖状況においてこそ、常識は激しく変化するということでありましょう。それを人が狂うことで表現しすぎた以上に、閉鎖空間に広がりを感じさせたことに。しかし、このテーマ、まさに俳句だったりして。合掌。(十四郎)
【当番から】
▼まず、誤植のお詫びから(ひさびさに当番やったと思ったら、これだあ)。
等さんの「板東の蓬に鉄の匂いかな」は「坂東」です。等さんから指摘とともに「訂正FAX不要」の添え書き。慈悲深いお方。当番、お言葉に甘えて訂正を省略させていただきました。「坂東太郎=利根川」は、みなさんに伝わると判断いたしましたし…。等さん、誠に申し訳ありません。
▼今回、芳子さんが初のご登場。前の月天句会に参加した人は、みなさんご存じですよね。…しかし、いろんな言語を繰る国際的な俳人ですね。近況には「もろうて」と書いてあるよなあ、どう見ても。コメントには「だども」というフレーズもあったし。
▼それはそうと、前回のトーナメントで一瞬お目にかかれた白々先生とヌキちゃんこと伸子さん。当番、ひそかに待望しておりましたが、今回はお姿を拝めず残念。どなたか機会がありましたらお伝えください。気が向いたときに是非どうぞと。
▼で、次回は井口家の当番。くれぐれもお間違えなく。3月19日(金曜日)、投句は井口家まで。

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オクンチ 第19回 99年3月29日  月曜日
〔9点句〕
春のくれ父子に動かぬ犀の尻  等
◎栞◎由季◎菊野◎規夫◎勝之◎十四郎◎芳子◎亞子◎裕
■やはらかな静寂(栞)■存在感(菊野)■涙が出ます(由季)■これは、いいですねえ。「父のきんたま」がうたわれている。今回、いいのが多かったなかでも抜群と思った(規夫)■ほほえましく、うらやましく読みました(杜)■犀は好きです。動物園行くと、ず〜っと犀見てる。なかなか水中から出てきてくんないけど(勝之)▼おい、カバと間違えてないか? 念のため(当番)■ウマイ。動物シリーズですか? 先輩(亞子)▼う〜ん、作者当てはハズレ…かな(当番)■頼むから前を見せて。オネガイ(芳子)

〔以下掲載順〕
モノクロの卒業写真走り出す  芳子
◎十四郎
■「卒業」または「写真」だけでこの句の景を詠めば面白いと思うのだ(等)■ユーミン俳句ですよね!?(勝之)

支那海の海雲は屑物以下なし  吾郎
■以下なしかぁ…(で、5時間後読み直して)カ、カイブン! 吾郎さん恐るべし!他の句もチェックチェック(勝之)■回文癖の男なりけり(亞子)■しましまあ、よく出来ますねえ。一級のスペシャリスト。本作りましょうか、回文入門書(規夫)■「は」は「に」だったか、まァいいけど(吾郎)

残雪に光一点こぼれけり  テル子
◎葉子
■広い風景也(葉子)

比良八荒伯父を山の墓に入れ  亞子
◎杜◎規夫
■なんだかとても伝わってくるものがある。風景でありながら想いがこみあげてくる。墓に入れることでひとつの区切りをつけることへの重さを私も一緒に感じている(杜)■滋賀の比良山のおろし風のことなのか。またも勉強になった。固有の地名じゃないとダメですね、こういう歌は。リズムが気に入っています(規夫)■わかんねェよぉ〜(吾郎)■人を悼むには俳句は不向きというか難しい(菊野)■漢字が6つ続いている。私が読めるのは3つまでが限界(由季)■事実というだけの(亞子)

花冷えやだっちわいふの泣き黒子  裕
◎菊野◎十四郎◎亞子◎勝之
■演歌みたいでいて、また馬鹿馬鹿しいところがいい(菊野)■こういうのやはり好きですね、いただきませんでしたが。あと、ほくろにはうるさいんです、私というオヤジは(規夫)■季語にたよりすぎか。ここから展開してほしい。物語が過ぎて、とりそうになったが止めた(等)■ムード演歌のメロディーで十四郎に唄ってほしい(吾郎)■唇まわりにある「好き黒子」もすてがたい(オヤジ発言や!)(勝之)▼同感です(当番)■無学なもんで知りませんが、オプションで黒子の位置が選べるの?(なんちゃって)(亞子)▼誰か教えてさしあげるように(当番)

春泥や雨に襲われ九段下  葉子
■雨に襲われる、なんてなかなかアニミスティック。靖国神社の暗がりか(規夫)

花疲れはさみでベロを切りそうだ  菊野
◎由季◎勝之
■同感。最近、私もハサミで口を切りました(由季)■おい、大丈夫か? 何か力になることがあったら何でも言ってくれ。危機感を感じる。「冗談さ」と笑っていても君は疲れている。休養が必要だ(杜)■なんで「はさみでベロ」なのか? オレと同じではさみでヒゲを切る人か?(勝之)■一枚だけカットさせていただきます(芳子)

この定型辛夷の白に疲労せり  等
◎芳子
■上五の不定型がいいのかなァ(吾郎)
萬愚節たばこ買わずに芥子花買う  勝之
■で、育てて葉っぱ乾かして吸おうかってか(吾郎)■芥子で理が付いちゃいましたね。それとも「たばこ」が日常なので、はじけないのか(規夫)

記憶されぬ日いびつなレタスむく  栞
◎吾郎◎由季◎勝之◎規夫◎亞子
■屈折!(由季)■完全球体のキャベツ緻密さは好きです(吾郎)■このところの気分にはちょっとリリカルすぎますが、「いびつなレタス」はやはり立ち止まってしまう(規夫)■この一句でもってその日は記憶されることになるのであろうか(勝之)■歳をとるということは記憶されぬ日々が増えるということ。むくレタスの数も(亞子)

バラ抱けば束の間の王女許し給えり  杜
◎等◎裕
■誰か知らないけど、オマエ、マゾだったんだ(等)■花言葉か?(吾郎)

たまねぎは芯から腐るという科白  十四郎
◎吾郎◎由季◎芳子◎裕
■英国古典劇の女主人公が愛人に別れ際に言った……とか(吾郎)■面白かったが、不当に重いかな?(規夫)■チケットありますか?(芳子)▼十四郎さん。ありますよね、海底ライブのチケット(当番)■「科白」じゃないほうが広がるよ(亞子)

入れるかガリガリと音たてて入る  由季
◎栞◎勝之
■なんか子供がやってるRPG(ロールプレイングゲーム)の一場面みたいで面白い(勝之)■強引なやっちゃ(栞)■うんもう…。強引なんだから! いや!(杜)■恋猫が隠れ季語(吾郎)■首都高速の合流(規夫)

禿げなむと予告いただき桜餅  規夫
◎等◎菊野◎十四郎◎亞子◎裕
■こういうの好きだな。「予告」が利いている(等)■おもしろうてやがてかなしきくしだんご(吾郎)■面白い。ご当人はどうだろうか(菊野)■ハゲを喜んでください(由季)■禿げたって桜餅は食えるぞ。それを映画の予告版を作るようにやってみようか。いつ禿げるいつ禿げる、怖いぞ、朝目覚めるとカブトムシになっていた(杜)■男はやはり愛嬌ね(芳子)■でもね、春のお告げはシリアスじゃあないよ(亞子)

水含むおんな広がる花筏  芳子
◎等
■カッコイイ。これ男の句。ちょっと古風ネ、この句(等)▼ハズレ〜。まあ、アニマアニムス宿りたる、ですからね(当番)■何か気になる。どこが気になるか気になる(吾郎)■水関係者の句か(菊野)

春闘のチラシが入る西念寺  吾郎
◎等
■全く無意味(等)■十四郎さんが入れ、哲郎さんが破る!(亞子)■ボーサンがんばれ(由季)

春来るドア塗り換えてしまいけり  テル子
◎葉子◎規夫◎亞子
■春は扉を開けて入ってくる(亞子)■「しまいけり」が面白くて、なんだかわかる。ある日家に帰ると、知らないドアが付いていたことがあった。びっくりして笑った(規夫)■「けり」っていうほどの大問題だったのネ(吾郎)

春疾風止まぬ都会の迷彩服  亞子
◎等◎葉子◎杜◎芳子◎裕
■ときどき着たいと思ってしまう私(葉子)■「都会」と「迷彩服」を離したほうが面白いと思った(等)■ガイドラインのこともあってか都会の迷彩服にくらっときた(杜)■右翼のことか、はたまた近未来の東京の風景!?(勝之)

いそぎつつも朝餉の椀に海苔放つ  葉子
◎等
■「も」は要るのかな? 「放つ」が面白い(等)■良い生活をしているな(菊野)■威勢はいいやな。でも膨れるぜ、予想以上に(吾郎)

沈丁の夜にぐにゃりと三文判  等
◎吾郎◎由季◎杜◎栞◎勝之◎芳子◎裕
■スッゲー(栞)■三文判ダリの時計となる春夜(吾郎)■かたいはずのものがやわらかくなる夜の時間(由季)■借金の連帯保証人にだけはなるなよと亡き祖父の遺言(勝之)■ハンコはなぜかぐにゃりと捺す。昔の人はハーと息吹きかけたりしてから。でもシャチハタで、この文化は失われましたね。これはポンと捺す。いただきたかった句(規夫)■ぐにゃりがよかったね(杜)■かもね(芳子)

髪を切り春に浮かぶと喩うなり  杜
◎葉子◎亞子
■どんどん短くしたくなる(葉子)■良き日学校で習った唄のような…(亞子)

桜まだかな腰おろすあなたが好き  由季
◎等◎菊野
■いいですね。男の句だったら許さんぞ!(等)■田原町的(吾郎)■休ませてあげたいのね。彼もやさしいあなたが好きよ(杜)■俵万智風だけど、人が好きだという気持ちが素直。そこに共感していただき(菊野)■いよっ、ユーミン俳句!(勝之)

山かがしいつもの道を通りゆく  菊野
■わかった!マムシや(関西弁でどーぞ)(吾郎)

木の芽立つ恐ろし昼食喰らう  十四郎
■「木の芽」も「昼食」も恐ろしさを内包する、この世界の不思議。バリエーションを生みそうな句(規夫)

鯖猫の受胎告知や悲喜こもごも  勝之
■一匹もらってもええで(芳子)

蓬生うなかの火鉢に蓬生う  裕
◎栞◎規夫◎十四郎
■河原に火鉢がころがっていたのかナ。みなぎる生命力が気持ちイイ(栞)■こういう景が好きなんですね、私は。「火」の赤が表の景ではなく句に含まれているところが、ざわっとした感触を残す(規夫)■ゴメン!時間切れ。まだ読み切れていない。スマン(吾郎)■情景としてはわかりますが、火はいらん(芳子)■ヨモギは土から出たときからヨモギのギザギザがあって感動です(由季)■入れ子式俳句。十四郎作でしょう(亞子)▼はずれ。裕さん、十四郎さんに一歩近づく? 受賞後のさらなる大飛躍に吉兆(当番)

花曇り壁にアニメのくろねずみ  規夫
■いやだネ、くろねずみ。ミニーはなんて呼ぶ?(吾郎)■ミッキーがやたらあるオバサンの部屋、う〜オゾマシイ!(勝之)

春の闇口笛らせんを描きおり  栞
◎吾郎◎芳子◎裕
■「ストレンジャー」か「ドック・オブ・ザ・ベイ」か(吾郎)■メチャメチャテクニシャンすね(芳子)■音のらせんが春の闇にフィット。だが、この種類の巧さと私がフィットしてくれない(規夫)

春昼やこんなところに道の駅  芳子
◎十四郎◎菊野
■道の駅が不思議な感触(吾郎)■下五に詰め替えが効くすてきなフレーズ。「崎陽軒」というのを前に読んで、これには「廃運河」の上五で無季だった。それから「犀の尻」とか「海苔放つ」とか、入れ替えて読んでみた。あと、「笠井亞子」とか(規夫)■田舎だと、こんなところに蛇の道(菊野)

春寒し子猫あります三味線屋  吾郎
◎杜
■三味線弾きの女房としてこの句をはずせないこのつらさ……。この時期義経千本桜のこぎつねまで連想してしまう(杜)■ツキスギバガコロゲル(等)

駆けあがり転がりおちる陽を受ける  杜
◎吾郎◎葉子◎規夫
■リズム、グルーブ、エモーション、宇多田ヒカル的快感(吾郎)■忙しい、忙しい。この疾走感は俳句じゃないみたいだ。だからいただこう(規夫)■太陽が日一日とお空に長くいるようになってきたよね(葉子)

夕間暮れ桜の強飯炊けて待つ  葉子
◎由季◎栞
■セピアカラーの風景(由季)■いい人だなァ(栞)■待たれてみたい。餅米系大好き!(亞子)

春果ててクレパスのなき縁側に  テル子
◎吾郎◎杜
■クレパス。何という懐かしい響き。忘れていたものを思い出させてくれた。わたしにもそんな時代があったのに(杜)■この季語好きです…って、選の理由にならんか?(吾郎)■クレパスって画材かな? 山じゃないよね(菊野)

眩しくて花ごと腐る街ならん  裕
◎菊野◎勝之◎芳子
■人も花も同じかしら(菊野)■「眩しくて」「腐る」がガチンコしているから止めた(等)■ええいっ、腐ってしまえ腐ってしまえ、こんな街いっ!(勝之)▼まあまあまあ、そのうちいいことあると思いますよ(当番)

座標軸見えず紋白蝶低く飛び  亞子
■数学は苦手だった(菊野)■「見えて」じゃなくて「見えず」かあ。ふつう見えんぞ、座標軸は。でも、雰囲気がいい(規夫)

ぷちぷちとクッキー跳ばす雀の子  葉子
■甘いものの食べ過ぎが心配。家では、おひつに残った米粒を窓からまいている。じつによく食べてくれる。いろんな鳥が来るが、雀がいちばんきれいさっぱりたいらげる(規夫)■よく目にする光景ですが(芳子)

散り際は無惨きわまる白木蓮  勝之
◎葉子
■両性具有のひらめきも無惨という字をあててしまうことでそれ以上のイメージにつなげなくなってしまいました(杜)

嬉しさのあまり毛虫踏みており  菊野
◎葉子◎杜◎栞◎規夫
■ナハハハ(栞)■マンガかな。罪悪感を持たぬ人は人ではない。人呼んで「ひとでなし」という。あっけらかんとした残酷さはあこがれかもしれない。人の喜びの陰で踏みつけられるのは虫ばかりではなかろう。すっげえまじじゃん。どうしちゃったのかな? わたし。また鬱の前兆かも?(杜)■大笑いした。素っ頓狂な残忍さ。しかし、こういうのが麻薬的に面白いとヤバいな、注意しよう(規夫)■どんなやっちゃ!(吾郎)

踊ろうぜ菫たがいに遠く咲く  規夫
◎吾郎◎杜◎由季◎栞◎菊野◎十四郎◎亞子
■クール、クール、イッツクール! 空間の美しさ、喪失感、そしてATG的日活オマージュ(吾郎)■いいねいいね。ダンスダンスダンス。ららららら不倫願望正常に機能せり。わたしだって踊りたい(杜)■感動!(栞)■つまらんことは考えない(菊野)■菫も踊りたがっているぜ(亞子)■オードーローゼ、ヴィオレッテ。イタリア歌曲。いいですね(由季)■inspired by 岩田宏(規夫)
〔以上40句〕


〔総評・近況集〕
▼寒いですネー。イヤですネー。せっかく開き始めたサクラ、萎縮してますネー。週末は花見じゃ。あったかくなれよ(栞)
▼息子の謝恩会に行った。えらいド派手なお母さんがいた。真紫のジャケットに黒のロングスカート。スリットが深かった。見惚れていたら、そのお母さん、私に向かって「大ちゃんのお母さんも地味じゃないよねえ」と言ってきた。その日の私の装いは真ピンクのスーツにカメレオンブラウス。山椿と竹林に囲まれた小学校に二人の姿はとてもよく溶け込んでいた。意気投合してファッションの話に華が咲いた。(菊野)
〔当番〕ううん、ディープかつファンキー!
▼今日は寝不足気味のせい? とても選句をするのがむずかしかった。春にすこし飽きたかな。(葉子)
▼私、以前に目撃しました、裕さんがコメントを書く姿。気の毒なほど真剣に、何時間もウンウンうなっていた。コメントつける行為のきびしさに感動しました(由季)
〔当番〕いいところに気づいた。コメントに必要なのは覚悟なのです。
▼伯父の納骨にお経をあげてくださったご住職。実は伯父の小中学校の同級生だった。少年の伯父は蛇とり名人で、青大将をビニール袋に入れ犬の首にくくりつけて少年のご住職に届けたという話をしてくださった。「その蛇ももう三代目でな、時々裏庭に出て陽なたぼっこしておるんじゃ」。八三歳の修善寺のお坊様、さっそうと四駆を駆ってお帰りになられた。(亞子)
▼ドラクロアを見ました。発見したことは、女神の陥没乳頭。二度目のバリはビーチボーイがいなくて、チトさみし。別に私のところにはきやしませんけどね。キャディさんにチップぼられて、帰国。日本人カネモチ、バンザーイ。(芳子)
▼三日間ペンキ屋のバイトに行った。二十数年ぶりにシンナー吸って、頭くらくらすっかりイイ気分。思わず大屋根から飛び降りそうになった。(勝之)
▼国立情報その4・マスオさんの喫茶店の句会に、国分寺の勝之さんが参加。2回目で早くもお行儀の悪い私とは違って、いたって紳士的に句会をこなしたあと、ビールとお茶を飲みに、国立の誇るファミリーレストラン・スカイラークガーデンズにでかけた。勝之さん、生ビールをご所望。ほどなくジョッキがやってきた。テーブルに置かれた瞬間、勝之さん、ジョッキの天辺を指さし、「少ない!」とひとこと(恫喝ではありません。ごく自然に。口調に愛嬌もあった)。見ると、なるほど「なみなみ」には1センチほど足りない。店員、もちろん継ぎ足してきた(泡を足しただけのような気もするが)。私、感動いたしました。これ、このタイミング(0.1秒)で言えそうでなかなか言えない。こういう人が都知事や総理大臣になればいいのにね。(規夫)
▼まだ、生きてるぞオー。(杜)
▼一泊三日のヴェガスへの旅、じゃ行ってきます。(吾郎)
〔当番〕お気をつけて!


【当番から】
▼今回、葉子さんのFAXにはなぜか4句。オクンチは3句出句のはずですが、一瞬、どうしたものか、当番「ううん」と唸りましたが、こういう手違いをありがたく受け入れるのがオクンチであり、こういう間違いは個人的にも大好き。世の中には錯誤から生まれる良いものが多い。4句正記しました。葉子さんの1句ぶんは、CDのボーナストラックのようなもの。皆さん、オトクでしたね(でも、マネしないでね)。
▼テル子さんの「選」が届きませんでした。通信ミス等、原因はいまのところ不明。残念ながら、テル子さん分不掲載でリリース。皆様、これからも投句と選句はワンセットでお願いします。
▼ところで、こういうことをオクンチでお伝えしていいのかどうかわかりませんが、裕さんが某結社の作家賞を受賞されました。おめでとうございます。
▼それでは、皆様。次回は四月九日(金)。またお会いしましょう。


オクンチ 第19回 〔補遺〕

テル子さん・七句選 
モノクロの卒業写真走り出す  芳子
■こんな時期になりましたか。昔がなつかしいですね。昔は私もきれいだった。
春闘のチラシが入る西念寺  吾郎
■お金ください。さいせんください。とってもいい句ですね。
桜まだかな腰おろすあなたが好き  由季
■私もいっしょに好きな人と花見したい。
花曇り壁にアニメのくろねずみ  規夫
■なんとなく花曇りの様子がとってもいいです。
春昼やこんなところに道の駅  芳子
■「道の駅」っていろんなものを売っていて旅に出てみたいものの一つですね。私は旅が好きよ。
駆けあがり転がりおちる陽を受ける  杜
■汗がにじんで動きがあって、私はこの句がいちばん心に残った。
散り際は無惨きわまる白木蓮  勝之
■庭の中にいっぱい花を散らかしてね。いやーね。

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オクンチ 第20回 99年4月9日  金曜日

〔七点句〕
雑草のふた葉を育ててしまったわ  唖々砂
◎等◎裕◎杜◎吾郎◎菊野◎規夫◎十四郎
■絶品! 見事に言い放った(裕)■アハハハハハ、いしいしひさいち的。好きです(吾郎)■「しまったわ」、とってしまったわ(等)■よく育ててやってくれました(杜)■そのまま育ててください。雑草が一本も生えていない庭ほど嫌なものはない(規夫)■俳人なら廃人らしく(芳子)■よくありますよね(葉子)■よくやります。植物音痴の私。カタクリとムラサキダイコン、今年は抜かずに生えるにまかせえています(菊野)

〔以下掲載順〕
点滴のペース目で聴く春疾風  邦夫
◎芳子◎葉子◎栞◎吾郎
■早く良くなりますように(芳子)■「目で聴く」がとても良い。早くなおってくださいね(葉子)■一度点滴をやってみたいようなーーーみたくないような(吾郎)■音楽関係者の句か。そういえば金曜日4チャンのなかにし礼特集はよかった。兄貴のいいぶんも聞いてやれよとは思ったが(裕)■「耳で視る」句と対句でしょうか(亞子)■面白い。ちょっと作り過ぎか(勝之)■「見る」でいいのでは、などと思うのはいけないことだけれど思ってしまう(規夫)

花散ると海はいよいよ黔くなる  裕
◎芳子◎邦夫◎規夫◎十四郎◎勝之
■エエゾエエゾ〜(芳子)■淡い藍色の海が、紺碧色に濃くなっていくのを、くろくなると言う。「いよいよ」をますます、より一層ととるか、とうとう、ついにととるか。「くろく」をくすんで黒くとするか、色濃くと解するか。理屈はともかく、私には、明るく力強い心象風景が見えた(邦夫)■にゃあるほど「黔くなる」かあ(規夫)■ちょっとカッコ付けすぎだけど、取る(勝之)■そうでっしゃろなあ。同情します(等)■そうですか、わかりました。とりあえず謝っておきましょう(裕)■実はすごくよい句だったり(吾郎)■どうしても字が読めませんでした(唖々砂)

春野にて舌を無限に出す遊び  等
◎杜◎吾郎◎哲郎◎十四郎◎勝之
■眼球が伸びる魔術師がいた(杜)■レロレロレロバァー、このテンポ好きです(吾郎)■舌じゃなくて尻なら? そーゆー尻が無数に並んでいる春野を……やっぱり見たくない(裕)■「無限」がイメージを限ってはいまいか?(亞子)■変だからいただきそうになったが、よく見ると変じゃなかった。「春野」という舞台への依存過多?(規夫)■この舌出し、おもわずやってしまうよ(葉子)■うーん、オレもこの遊びやってみたい。関西では舌のこと「ベロ」って言いますねん。「オレも裏の春野行ってベロ出してこっと!」(勝之)

燃え栄ときペアリング衣更え  テル子
■???(以下略・当番)(裕)■私の読解力がないみたい(芳子)■大混雑(亞子)

しろつめぐさ聖馬鹿伝説序  十四郎
◎裕◎勝之
■「序」が効いてる。馬鹿力(りき、ぢからではない)がいかに重要かについては、OMとほぼ意見の一致を見た(裕)▼「ばかりょく」と読みたい(当番)■イワンのことか、それともムイシュキン? 聖馬鹿の存在しない昨今です(勝之)■「序」というからには、本編に期待したい(規夫)■「うまごやし」だったら付きすぎ? (吾郎)■吐きそう(杜)▼はい、ビニール袋。こぼさないでね(当番)

惜春やブロンズ像が浮きそうで  芳子
■浮いちゃいなさいよ、じれったい(等)■たしかによく駅前やら、公園広場にある裸婦ブロンズ像は浮いている。なんでああいうものを作るのかなあ(裕)■我が家には私をモデルにしたヌード上半身のブロンズがある。実に不気味なのだ。美しすぎて…(杜)

帽子飛ぶ桜は走る中央線  杜
◎葉子◎栞◎吾郎◎菊野
■「桜は走る」がうまい(葉子)■ついでに花だいこんは咲いているか?(裕)▼咲いてる、咲いてるう(懐かしきジミー大西の口調で)(中央線沿線在住当番)

自転車の車軸が狂う木の芽時  勝之
◎テル子◎邦夫◎規夫◎唖々砂
■要するに、古くてガタがきているというだけの自転車なのだが、木の芽時だから自転車の車軸まで狂ってギシギシ言っていると…。今、私の軸も狂いそうなのです。ホントニ(邦夫)■自転車の車軸我なり(杜)■木の芽時になるといろんなことが起こってとってもおもしろいです。カエルみたいにはだしで雨の中をピシャピシャ走り回ってみたりする人、みたことあるよ(テル子)■コレいいですね、なんか(規夫)■下五でもっと遊んで欲しかった(吾郎)■「車軸が狂う」を肉体的に表現したらどうなります?(等)■ハンドルの曲がりは、電柱にタイヤをガンガンぶつけて直せばよろし(裕)

独活の夜観葉植物の独白  栞
◎裕
■おおかたの観葉植物は根詰まりして、窒息しかかっています。二年に一回は大きめの鉢に植えかえてあげましょう。肥料なんかやらなくても、新しい根が延びて元気になり、葉のツヤがよくなります。ともあれ花冷えの感じがする句でした(裕)■ジョウゼツじゃないとね、お馬鹿の観葉植物の方が好き(等)■ウドの夜ってもしかして?(芳子)■思わせぶりないい雰囲気(吾郎)■独活はうまいので大好きだ(葉子)■ひとりを楽しみ、楽しむ、楽しめ、楽しめば、楽しむ時、楽しむ(杜)■植物を重ねる意図ありやなしや(亞子)

街路樹の枝落とされて聖母祭  亞子
■ウワーッ、富士山のようにマジメ(等)■三月に街路樹の桜を剪定する役所のバカヤロー(裕)

朝甘茶夕べに麦酒頂いて  葉子
◎十四郎
■お昼に飲んだのもおせえて(芳子)■西念寺に修行に行って来い。朝から晩まで日本酒じゃあ(等)■夜が明けたらまた甘茶サノヨイヨイ(吾郎)■水っぽい暮しではある(裕)■わかった、好きなようにしていいから(杜)■麦酒なんて夏の季語じゃないの。弱った人ね(葉子)

夜半の春殺してみたい奴がいる  吾郎
◎菊野
■どんな奴? 私だけに教えて(菊野)■民族浄化は許せんが、相手の顔がわかる個人的な殺意は許す(裕)■殺しちゃえって言うの、ジレッタイナア(等)■昔はこういう台詞聞くと、自分のことじゃないかとビクビクしたもんです(勝之)■奴ということは男なのね。殺してみたい男がいるってことね。じゃあ、ぶっ殺して! お願い! っていう女がいるってこと?(杜)▼余計なことを言うようですが、「奴」が男性とは限らないのでは?(当番)

ペリカンが飲み込んでゆく春愁い  菊野
◎芳子◎栞◎哲郎◎亞子◎勝之
■ゴッソリ飲み込んでくれそう。以前ペリカンが遊びに来る幼稚園のドキュメントをやってたけど、ペリカンて、ひょうきんな奴なんですよね(勝之)■動物園バージョンその二かしら(芳子)■夢は漠(亞子)■ペリカンなんて昔の郵便ポストと同じなんだから、ツキスギ(等)■プェルトバヤルタ湾の明け方。朝焼けのなかに虹が立ち、ペリカンが一匹、湾の西から東へと横断していった景を思い出します(裕)■飛脚に抜かれクロネコにさえ(吾郎)

牛乳髭に撃たれて死ぬる花の下  唖々砂
◎菊野◎規夫◎十四郎
■こういう句、作ってみたい(菊野)■仏ヌーベルバーグ映画、特にゴダールの香り。じいんとする。「牛乳髭」が泣かせる。嘘はつくが気は強くない、不器用だが繊細、頭はいいがそうは見えない、ふだんは無口だがときどき堰を切ったように喋る、髪は直毛で硬く、切れ長の眼の横に七歳のときに負った傷の跡が薄く残っている。牛乳髭は、そんな男だ(規夫)■「レオン」みたいですね(杜)■牛乳髭というものに撃たれたのか、髭が牛乳を撃ったのか。「牛乳髭に撃たる」という新しい季語なのか(裕)■わかんねぇよぉ〜(勝之)■そりゃ髭は鼻の下(吾郎)

銃声で鳩あらわるる朧かな  規夫
◎栞◎十四郎
■ガーンとか、ズキューンではなく、パンだろうな、きっと(裕)■春でも狩りをしてるのかな。それとも組の出入りかな(菊野)■住所教えてください(芳子)▼田舎県田舎市字田舎・中央公民館、あるいは東京某区某所・鈴本演芸場(当番)■老人ホームで春の手品大会の景(勝之)

妻ひとり四月ごっつんごきげんよう  哲郎
◎テル子◎等◎吾郎◎規夫◎亞子
■うん、四月の雰囲気ね。とりましょう(等)■転勤シーズンですね。オヤジ元気で外がいい。ゆっくり転身妻は気楽、気楽(テル子)■妻はひとり。でも…その後は二人、三人?(杜)■「ひとり」だから平和。五月は増えているかも。それはそれで楽しいのだろう(規夫)■さようなら(亞子)■ごっつんは五月。四月はまだ、こっつんです(裕)■意味よりリズム理由よりテンポ(吾郎)

熱にうかされ耳で視る春の潮  邦夫
◎菊野
■音楽関係者の句か。そういえば金曜日4チャンのなかにし礼特集はよかった。兄貴のいいぶんも聞いてやれよとは思ったが(裕)■目で聴いたり耳で視たり、ぐあい悪そう(葉子)■目で聴く春と耳で視る春、同じ人なのね。病気なんだ。お大事に。早く元気になってね(杜)■やりすぎ(吾郎)■やっぱり理屈を感じる(亞子)■目で聴いたり耳で視たりと、たいへんな春です(勝之)

こんにゃくのしびれて歩く桜かな  等
◎裕◎芳子◎邦夫◎栞◎哲郎◎唖々砂
■ぷるぷるちゃんはおいしい(裕)■温めてみたら?(芳子)■酔漢の比喩か。桜の姿か。花人の列の中に、ほんもののコンニャクがしびれて歩いている光景を想像すると痺れるほど面白い(邦夫)■う〜ん(吾郎)■わかった! 山上たつひこ「喜劇新思想体系」の若尾志麻(コンニャク夫人)でしょう、これ(規夫)

かじとりも桜一色うずの中  テル子
◎葉子◎亞子
■きれいだわあ(葉子)■奥多摩鳩の巣川合玉堂美術館の山桜はいまが見ごろか(裕)

夜桜やふたたび変わる信号機  裕
◎栞
■このまま二人でいたいよね。信号を渡ろうと思ったとき、ギュッと手を握りしめる。今度はいつ会える…。いいなァ、そういうの(杜)■酒買いにいくヨッパライはかなわんと運転手(吾郎)■「ふたたび」は「くるくる」じゃあダメでっか?(等)■まあ、そうなんだと思います(裕)

四月といううっとうしもの鐘のなみ  芳子
◎亞子◎唖々砂
■下五がよくわからんですがね(亞子)■「なみ」って波ですか? ああ模様ね。このワンクッション、俳句にとってちょっとツライ(等)■鬱の字を書くのは面倒くさいよな(裕)

春昼の都バス膨らむ探偵社  亞子
◎栞◎吾郎◎規夫◎勝之
■なんだかわからないが、バスに探偵社の広告があったんだろう。だったら面白いじゃないか。なんか昭和初期の都会的だし(規夫)■「探偵社」がうまい。この下五でキマった。松田優作がタイクツしてそう(勝之)■探偵は冬が似合うんだけど、探偵社は依頼客が来なくて昼間からハナ毛を抜いてる所長がいる三階奥の小部屋の春が似合うね(吾郎)■バスが膨らむぐらいで探偵社がでてくるぐらいで、このケンタイをのがれることができようや(等)■大塚駅付近にこの景あり。ホントだよ(裕)■世紀末ですもの(芳子)

桜凪短音階に寝ぐらあり  吾郎
◎亞子◎規夫
■共感してしまふ(亞子)■うん、長音階にはネグラはない(規夫)■まったくその通りの景でした。先日は(裕)

うたた寝に妖星海へ花が散る  十四郎
◎杜◎亞子◎唖々砂◎勝之
■夢をよく見る人にはよく解るかも(杜)■趣味ではないんですが(亞子)■「妖星海」がイイのかどうかまよったが、けっきょく取ってしまったです(勝之)■妖星というと、どうしてもゴラスということになってしまう。あの巨大トド怪獣はどーなったのか。地球の軌道を変える噴射装置を建設するために、南極にあけた大穴はどうなったのか。気になる(裕)

あきらめていたチューリップひとつ咲く  唖々砂
◎テル子◎杜◎邦夫◎菊野◎哲郎
■得した気分だね(杜)■うれしいね(菊野)■おたくのチューリップは咲きましたか。我が家は何も咲きません。今年はダメかも。去年はひとつ咲いたけど。でも、もしかして今年もひとつだけ咲くかも(テル子)■一見平凡だが、妙に心を引かれる句。何度も通り過ぎては、また戻りたくなる句なのです(邦夫)■太平洋側ではチューリップの球根は育たないという定説がありますが、うまく管理すれば同じ球根を三回は咲かせることができます。咲きおわったら、花を花茎のうえでチョン切って、結実させないようにし、負担をかけないことがコツ。もうひとつ、なるべく涼しいところに植えて、葉の寿命を長くして保ってやること。地中で腐らせないよう梅雨の来るまえにほりあげて、日陰で乾かして管理しましょう(裕)■ようござんしたこと(芳子)■待てども咲かぬスノードロップでした、今年(葉子)■そうか、咲いたか、[ 笠智衆風] そう、咲いたんです[ 原節子風] そうか…(吾郎)

花びらが靴先に押し寄せて腰あげる  勝之
◎裕◎等◎杜◎菊野◎哲郎
■花びらが波のように打ち寄せるという想定。きれいです(裕)■美しい(菊野)■明解というところで一選、愛してるよ(等)▼素敵なカップル誕生!(当番)■腰も足もあげて、家に帰ろう(杜)

花の冷え紅白幕が包みおり  菊野
◎芳子◎邦夫
■入学式も済みました(芳子)■紅白幕に囲まれた中に花人の一群れ。作者は、それを外から見ているのか、自分がその中にいるのか。私には後者が見えてくるが、花冷えを紅白幕が包んでいるという表現が面白い(邦夫)■花札は紫と紅だったか(裕)

カタクリの項見てたら肩が凝り  杜
◎テル子◎等◎邦夫
■私の好きな花です。そして今年はカタクリの着物つくります。カタクリの写真映したらやっぱり下向いて肩こりネ(テル子)■俳句の形としては今ひとつすっきりしないような気がするが、首を垂れて咲いているカタクリの花を見ていたら自分の肩も凝ってきたという、一種の感情移入が面白いか。薄い産毛の色白の項(うなじ)ならなんとする…おっと勇み足(邦夫)▼いや、行っちゃっていただいて差し支えありません(当番)■マキノは重いのよね(葉子)■見なきゃいいべ(芳子)■「カタクリ」「カタコリ」なんでカタクリっていう名がついちゃったんですかねぇ(等)■ごめ〜ん、カタコリのだじゃれでした(杜)■あはは(亞子)■ヘソクリ隠すカラクリ細工(吾郎)■私はもはや腰が曲がらないので、のぞき込めません(裕)

春眠や粗相のすぎるおやわやわ  哲郎
◎裕
■なんだろー、おやわやわって? わかんないや。でもおやわやわっていいじゃん。取っちゃえ、取っちゃえ(裕)■「おやわやわ」は「親はやわ」なんすかねぇ?(勝之)■下五は関西弁?(吾郎)■お綾や母親にお謝りなさいって?(芳子)

筆洗う画室の窓辺散る桜  葉子
◎哲郎
■F5・6/125分の1秒/トライX。レンズは画質の硬いニッコールらしい(裕)■紅葉でもいいわけだ(吾郎)

まほらまの畳の上に芥子が散る  規夫
◎邦夫
■「まほらま」の意味を忠実に畳に懸けて解するか、枕詞的に解するか。寺か屋敷か、とにかく堅い畳の上に薄紙のような芥子の花が落ちた風情が目に浮かぶ。日本画のような…(邦夫)■接待でなにやら偉い人が坐る料亭の上座とみた。なんだか短歌みたいね(裕)■もうすっかり「テッペンカケタカ」(等)■説明してくれ(亞子)■まほらま…? まあ!ほら?まあ…!?(杜)■「まほらま」とはなんぞや?(芳子)▼そんなときのために辞書はある。引く癖つけましょうね。広辞苑に「魔法にかかったラマ僧」とありますよ(当番)

花三分歯に衣被せて送別会  邦夫
◎葉子◎杜◎哲郎
■大人って嫌だよね(杜)■仕事が会社とか、まっとうな団体のところの景。ダヨネ(葉子)■直下型クソリアリズム。あっ下品、うんこリアリズム。ヤメテェ〜(横山弁護士口調で)(等)■これも好きな句なんですが「送別会」がなんか引っかかって(勝之)■言っちゃえ、言っちゃえ、どーせ転勤するんだろ。あとは野となれ山となれ(裕)■絹引き裂いてああ三次会(吾郎)

また来てねと円形脱毛症春昼  等
◎テル子◎芳子◎十四郎◎勝之
■春は花も咲く。頭もまるい花が咲く(テル子)■今度来るときには生えていることを祈る(裕)■句材に異議?(芳子)■二丁目のおかまバー(吾郎)■「奇妙な訪問者」となってしまったワタシ(勝之)■また行ってあげてね(葉子)■この話題多いね(亞子)■円形脱毛症の人がこの句を作ってるなら許せる。違ったら許せない(杜)▼今度、会ったとき、確認してください(当番)

夜桜や古城孤独に雨かぶり  テル子
■ライムがいいライムが(吾郎)■孤独は淋しい(裕)■もう白根山の如くガバガバ(等)

山桜ピアスひとつが邪魔になる  芳子
◎等
■金製品なら、片方でいいから私にください(裕)

過労死やうつつを映す春の水  亞子
◎杜◎唖々砂
■すごくいい句だと思う。今日子供の同級生のお父さん四九才のお葬式だから、この句にぐっと胸がつまった(杜)■私は過眠死しそうです(裕)■社会性俳句復活(等)■重いなあ。「過労死」と「うつつ」じゃあ(規夫)■過労死はシャレにならんてば(吾郎)

ギザギザ花弁のチューリップ私とおなじ  葉子
■ちっちゃな頃から悪ガキで15で不良と呼ばれたよ(吾郎)■三つの歌のフシで、さんハイ「同じDNAです、きーみもぼくも、ビールスも桜も人間も」(裕)

たまに来る犬草虱つけてくる  菊野
◎葉子◎吾郎◎唖々砂
■野良ちゃんですか? マサカね(葉子)■これがまた可愛いんですってば(杜)■武蔵野俳人か?(吾郎)▼はずれ〜(当番)■今年の秋の庭はくさじらみだらけ(裕)■あ、今年は暖かかった冬のせいで早くてネ(芳子)

思いっきり嘘吐いてみる三鬼の忌  勝之
◎等◎芳子
■「○○忌」が嫌いな人が居るみたいだけど、それじゃあ、他のあらゆる季語も嫌いなんだなぁ。態度表明を含めて一選(等)■またまたあ、正直者ぶっちゃってえ。プロには持てるんですよね、このタイプの男(規夫)■じゃあ、お前さん、いつもは正直者だっていうのかい。え(裕)■「嘘吐く」って「オオボラ吹く」って感じなのかなァ(杜)

笑い声後ろから見る春の庭  杜
◎テル子◎亞子
■春が来た♪春が来た♪春大好きよ♪雪国の私はこの句がいちばん好♪(テル子)■我が家の借景を詠まれたような気がした(亞子)■私の場合は、いつも背後から蚩い声が(裕)

ポポンタポポンタタンポポタンポポ  吾郎
◎等◎裕◎葉子
■こいつ天才だぞ。「タンポポ」と続かなくてタンポポを感じさせたら、超銀河的天才だったのに(等)■おうっ! 回文だあ(規夫)■タヌキかアンネか、回文の帝王に乾杯。それとも新たなチャレンジャーか(裕)■しょうがねえなあ(亞子)■ふざけてる。けっとばしてやる。なんていい調子なの(葉子)■こんな感じの詩、二年生の国語の教科書にあって、子供が喜んで本読みしてる(杜)

花冷えのずっと動かぬオットセイ  裕
◎テル子
■お城の花見の頃、いつも寒くてストーブだいていたい気持ちになります。オットセイ寒いだろうね(テル子)■ZOOバージョンその3かしら?(芳子)■「花冷え」と「動かぬ」はツキスギと感じました、ハイ(等)■どうせそーだろーよ(裕)

春の河くだれと昼の花火かな  規夫
◎葉子◎唖々砂
■うずの中の人の作? のどかな気分になれる(葉子)■こんな景色もどこかにありそうだけど…(杜)■シュール(吾郎)■運動会もしくは投票日、こりゃ明らかに新潟方面の俳句じゃないかい(裕)▼ハズレ〜、多摩方面(当番)

花垂れるあわやら抜きになりぬべし  哲郎
■「あわやら」って「泡やら」? ビールの泡?(等)■教えて? あわやら抜きって何? 何か気持ちのいいこと?■一日じゃ読みこなせない、すんまそん(吾郎)■特別な語意にたじろぐ(亞子)
〔以上45句〕

〔総評・近況集〕
▼昨日、勤務先に等さんが見えて、何はともあれ三句送ってみよということで…。みなさんの句や評をたいへん興味深く拝見しています。なじむのに少し時間がかかるかもしれませんが、よろしく。(邦夫)
▼小中高の学校から持って帰ってくるプリントがありすぎて、もうゴチャゴチャ。合宿だ。健診だ。検尿だ。アレ、ソレ、コレ、エトセトラ。もうウンザリだ。だから学校は嫌いだっちゅうの。私は俳句の世界にひたりたいっちゅうの(コレ、ホントじゃないケド)。いまのところ、俳句がわかっていないので、わからないまま、突き進んでいきます。むつかしいことは苦手なの。ナマケモノはいつまでもナマケモノのまま進歩しないから、化石になってしいです。そのうち化石になって展示されてたりするかも…? しかしくたびれた。今年の第一土曜日は二時〜四時まで予定が入ってしまいました。吟行は行けないけど、あとは行きます。よろしくお願いします。(杜)
▼まだ寒いけど、冬が終わってくれてうれしいです。春はいいですね。寒いのはいやね。春になったからフラフラ出歩いて、いっぱい句をつくりたいです。よろしくね。(テル子)
▼最近よく泣くなあ。文章を読んでは泣き、人に会っては泣く。でも同じくらいよく笑う。その後ケロッとしているんだから、うちの犬と同じぐらい性格が良くなった。そう思ってるんだ。楽しいぜまったく。(等)
▼桜の森のなかから、手の届きそうなところに雪を抱いた富士。振り返れば田子の浦にはらはらと花びらが流れてゆく。十四郎は草の褥で鼾をかき、規夫は膝を抱えてずっと海を見ている。他には誰もいない。仰向けになって見えるのは、空、雲、花ばかり。だんだん日が傾いてくる。いやあ、絶景、絶景。来年の花見の場所は決まった。(裕)
▼本物の句会に出たあとでオクンチに会うと、ソフトさきいかになります。生ビールにラーメン板チョコは最高。健診のシーズンです。前日は控えませう。(芳子)
【当番】ニセモノの句会・オクンチも、もう二〇回なんですねえ。五〇〇回くらい続くと面白いな。「親子二代のオクンチです」なんて、馬鹿馬鹿しすぎて泣かせる。
▼今日、血の精検結果を聞いた。血清情報だけクリアー。あとはペケ。薬を四種類もらってきた。十八項目中十五ペケなんて、ひどい。でも、ガンでなくて良かった。「休職せず、日常生活を続けながら、治療してください」。医師の話。まあまあ良かった。…春一番の風で杉が折れた。元から切り倒そうとチェーンソーを買ってきた。プロ専門店で買った。お店の人に「どう見ても大工には見えないね」と言われながら、エンジン付きのを買ってきてた。電動だと力がないという。四万円! すごいスカートとブラウスが買える。軽量タイプ。なんか腕がなる。きこりになれそう。…今年は営業二課。百二十名なので三クラス。毎日が地獄。あと一人くれば三十人クラスの四クラス。日の丸なんかどうでもよいから、早く四クラスにしよう。(菊野)
▼なんか調子悪いっす。ダルイし眠いし眠いし。(勝之)
▼巨人が負けて嬉しい。ワールドユース一勝できて嬉しい。(亞子)
▼ラスベガスは金のあるヤツがもっと金を稼ぎ、金のないヤツはこそこそ遊んでそこそこ稼ぐ町でした。深夜1 時から朝4 時まで、25セントと5 セントのスロット相手の孤独なゲームは、なんかストレンジャー気分で妙にハマった。それにしても、砂漠の中にこんなバカみたいなテーマパークがそのまま町として機能しちまったモノを作る国と戦争しても、こりゃ勝ち目はないとつくづく思った。なにしろ搭乗ゲートにまでスロットがあるんだから、何考えとんのじゃ。 (吾郎)  PS 一泊三日でも結構楽しめました

【当番から】
▼今回、邦夫さんが初登場。ようこそ。ようこそ。名前は九のカブでも、メンツは十のブタ、ひとり残らずヤクザな奴らばかりですが、どうぞよろしく。存分にオクンチってくださいませ。
▼で、次回は井口家の当番。くれぐれもお間違えなく。3月19日(金曜日)、投句は井口家まで。
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オクンチ 第23回 99年5月9日  日曜日
〔7点句〕
まがるたび赤い半月の方を向く  十四郎
◎邦夫◎勝之◎杜◎栞◎吾郎◎美智子◎唖々砂
■わたしもそうなんですう〜(勝之)■曲がるたびに何を思うて…。ルナ・ロッサは丸いイメージだけど、半月だからいいんだよな、これが(邦夫)■半月の赤い色、曲がるたびに振り向く(?)その人の感情がわかりすぎちゃうワタシです(美智子)■そういえば、たいそう気になる月でした(栞)■迷いこんだ路地裏(吾郎)■あんた、羅針盤?(裕)■「うん、そういうこと、あるある」だけではいただくには及ばず(規夫)

〔以下掲載順〕
あっぱれおじさん木下闇から鉦太鼓  裕
◎哲郎◎規夫
■むかし大貫さんという人の句で、散髪屋のオヤジが鉦太鼓で踊り出すという、ファンキーな句があって、それには負けていると思ったが、おじさんおばさんには「あっぱれ」がなによりのビタミン剤(服用量を間違うととんでもないことになるが)。この上(字余り)でありながら、句全体が品位を保っていることには、やはり感心しちゃいますね(規夫)■おじさんも苦しいのだ。あっぷあっぷ(裕)

新緑を一気飲み干すけせらせら  美智子
◎テル子◎葉子◎栞
■とっても気持ちいいね(テル子)■生ビールをやりたい(葉子)■かなり口の大きな人とみた(裕)■青汁ですよね、飲んだのは(規夫)

惜しむ手にあやめぬれにし色あせて  テル子
◎勝之◎哲郎
■「あやめ」は「殺め」か。そう読めば艶っぽい(勝之)■ウエットねえ、あんたって、うっふん(裕)

甘味抑えた桜餅もの足りぬ朝  邦夫
◎テル子
■もち草のおまんじゅうもらったら、しょっぱかったよ(テル子)■祐天寺駅前の青埜はつぶれてしまった。ああ、あの桜餅でないと(裕)

桐の花さわさわ等高線引けり  等
◎吾郎◎裕◎美智子◎唖々砂◎菊野
■初夏だけど乾いた感じが好き(吾郎)■薄い紙の質感ですね(裕)■桐の花、好きです。広がりがあってさわやか(美智子)■清潔感(菊野)

里からの荷届き炊く伽羅の蕗  葉子
■炊ぐのは面倒だ。どーせなら煮て送っちくり。喰うから(裕)

父の忌はいつも晴天桐の花  菊野
◎杜◎十四郎
■故人は晴れ男だったのか(裕)

春の雨打たれる音を聴いている  杜
◎テル子
■この前ずっと朝まで雨を聞いていました(テル子)■雨の音っていいっす。俳句なんかいいから、じっと聴きましょう(裕)

のぼり越しザビエル頭こんにちは  唖々砂
◎等◎菊野
■つまりカッパだったのですよ、これは(等)■ふと、山の頂きから巨大なザビエル頭が出てくる景を想像してしまった(裕)

ぼけふうじ飴とカーネーションおくる  吾郎
◎テル子◎等◎規夫
■ホームヘルパーのボランティアをやっているので、胸がじいんとあつくなりました(テル子)■ふうじ飴を送るのは、ぼけてないから。ぼけたらぼけはこわくない、いやじゃない。しかし、ボケって言葉、なんとかならないか。「恍惚」じゃあ古いか。じゃあ「シャングリラ」とか? 「ひとりパライソ」とか?(規夫)■ぼけは封じてはいけません。生き天国なのですから。公共の「ぼけ園」を作って毎日送り迎えしましょう(等)■おふくろはいつも通帳の数字をかぞえている。ぼけにいいらしい(裕)

うだ腫れた顔で見ている昼の芥子  勝之
■飲み過ぎ?(裕)

ルイ・マルの世田谷蝙蝠売る少女  哲郎
◎勝之◎吾郎◎規夫
■う〜ん、世田谷で蝙蝠買ってみたい(勝之)■オジサン安くしとくよ(吾郎)■あんたOMもどき、まさかOMじゃないだろうな、おい(裕)■世田谷に「区」が付いていないことで、十四郎真作ではないことを示したマナーの良さ。絵の右下のサインの語尾だけ変えておくような、ひじょうに良質な贋作と思い、敬意を表します。ところで、中で切らずに「世田谷蝙蝠」という商品と思うと、なんだか売ってそうで、また別の面白さがありますね。ザジが売るのかな、やはり。で、最後に「一日ぶん、老いた」とほざいて、泣かせてくれるのかな(規夫)■このパターン、いつまで続くのか? 局地的に流行っている(等)

バナナ上陸その自動車の流線型  規夫
◎勝之◎栞◎裕
■アメ車やね。S・キングの『クリスティーン』級のフェティッシュなやつ(勝之)■心はやります(栞)■自動車の句はえらい難しい。サマにならない。バナナで決まるとは思わなんだ(裕)

脳という脳の体操こどもの日  裕
■なんか図式っぽかった。反省(裕)

夏兆すあした消えゆく交差点  美智子
◎裕
■さらりと言い抜いて、いいな(裕)■なんで消えてゆくのか不明(等)

かたくりも小舞興じて風ななめ  テル子
◎唖々砂
■かたくりって、かわいい花ですよね(菊野)■あんたも揺れていたのね、うっふん(裕)

豌豆に筋ありぬるき朝餉汁  邦夫
◎葉子◎哲郎
■朝は忙しいから(葉子)■気持ちがわかる。「頼むから、筋はちゃんと取ってネ、かあちゃん。手、抜かないでヨ」と、自分は手、抜きまくっているくせに、やっぱり言いたい。許されないこと、しまくってるくせに、許せないことは多い。おかずが和洋中華まざっていたらダメとか、味噌汁の豆腐が多すぎるとか、焼き魚を寸法が合うからと言って洋皿に盛っちゃ絶対ダメとか。でも、肝心のところでは頭が上がらない。この人は、私とおんなじと見た(規夫)■豌豆の味噌汁をかけて喰うとぶっかけ豆御飯になるな。手間がはぶけていいや(裕)

脂じむ一語は蝶の一語かな  等
◎裕
■むずかしいけど、質感のある句である。理が理のまま残ってしまった感じもするけれどいただき(裕)

夏空や絵の具買う日の足はずむ  葉子
◎テル子◎等◎栞◎菊野
■私も絵を描きたくて、うきうきしてきました(テル子)■わかる、わかる(菊野)■そうです、そうなんです(栞)■ちょっと、あんたロンパールーム(裕)■「日の」は「とき」じゃダメでっか?(等)

犬小屋の上にささやかなる緑陰  菊野
◎テル子◎葉子◎十四郎
■初夏の光景が浮かぶ。犬は芝。赤犬(葉子)■目に見える犬小屋の風景。犬の名前は「ジャム」かな(テル子)■いい環境じゃん。ゴザ敷いて昼寝でもしたいねえ(裕)
波打てば襟元ひらく花衣  杜
■巨乳のことらしい(裕)■デカパイに花衣じゃあなあ(等)

国境越えきし軒の燕のヒナかえる  唖々砂
◎テル子◎栞◎十四郎
■縁起のいい句だね。つばめが巣を作る家は縁起がいいって言うのよね(テル子)■感動(栞)■「軒の」は入らないと思うが(十四郎)■五年まえの四月、バンコクの目抜き通りで見たけど、これから出発直前の燕の大群ってすごいぜ。圧巻(裕)

母の日の肉じゃが作る男かな  吾郎
◎葉子◎杜◎裕
■母の日の肉じゃがは、ふだんのとどう違うの?(葉子)■墓に肉じゃが、嫁に秋茄子食わされず(裕)

群青に一点金星有刺の鉄線  十四郎
◎邦夫◎裕◎唖々砂
■イメージの中で絵や写真に置換してみると、誌が浮かんでくるような…(邦夫)■破調が星の光の強さをあらわした(裕)■金星は恒星。「一点」がどうも、うまくいかなかった気がします「一点」と「の」がなくなって、ひと味加わって、名品になるのでは(規夫)■惑星ものは好きなんですけど、下五のリズムが…(勝之)

樹を叩くわかってくれよと子と叩く  勝之
◎美智子◎規夫◎十四郎◎哲郎
■状況ははっきりしないが、せつなさと切実さが伝わってくる。効果的な季語があればなあ。はじめ「子を」と読んでドキッ!(美智子)■「子を叩く」だと思って採った。だがよく見るとこれでいい。うんといい(哲郎)■「子と叩く」の「と」がすごく引っかかった、いい意味で。最後まで気になって気になって仕方がない句。「と」じゃなければ、迷わず×なのに、どうにもこうにも…。やっぱ、いただこう。こういうのは後で気が変わっても後悔しない(規夫)■感情にまかせてひっぱたく。そしていつも後悔する私はバカです(裕)

はつなつの薄き皮膚持つ家に住む  哲郎
◎勝之◎菊野
■家は生き物。プチッと皮が捩れると…うわっ怖(勝之)■あやうい感じ(菊野)■この「皮膚」って、すごく現代詩的ですよね。それで悪いとか言うんじゃないですよ、念のため(規夫)■サランラップハウス(裕)

黒蟻のこけつまろびつサンバ・サルサ  裕
◎杜◎吾郎◎美智子
■前傾姿勢がカワイイ(吾郎)■ユーモアの中に哀愁がある。ワタシみたいかも?(美智子)■すごくいい。けど、うるさいこというようですが、サルサという選曲は間違えましたね(規夫)■サンバとサルサは並列に置かれるべき言葉ではないかも(十四郎)■ルンバのほうがよかったか、いやマンボかジルバか、わかった、ぜんぶダメだったんだ(裕)
葬りしサンドバッグと春の意地  美智子
◎邦夫◎勝之◎葉子◎菊野
■私も、三月、サンドバッグのように叩かれ通した。不退転などといって痩せ意地を通した。とても共感するものがあります。「春の意地」という季語にはすこし曖昧さのようなものを感じるけど(邦夫)■「あしたのジョー」よりも大リーグギブスを思い出してしまった。僕は大リーグ自転車で駅まで行っている(等)■昭和三〇年代日活映画、裕ちゃんの世界(勝之)■ダイエットに失敗したのかしら(葉子)■ハンドバッグじゃいかが?(裕)

ひとりだけおいてきぼりに五月雨  テル子
■サバイバル生活評論家になるという手もある(裕)

気まずさや走り蚕豆ひたに食う  邦夫
◎等◎葉子◎唖々砂◎哲郎
■「走り」が利いているのかな。心情はよくわかる(等)■結末は?(葉子)■おならが出るぞ、よけい事態を苦しくするぞ(裕)■「や」が気になるが、感じが出ている(哲郎)

怒濤の如しうどん屋上げた鯉のぼり  等
◎邦夫◎規夫◎十四郎◎唖々砂
■うどん屋が上げた鯉のぼりというのがいいやね。怒涛の如しが大げさで月並みなのが、この場合はかえっていい味出してるよ(邦夫)■「如し」を除いたほうがだんぜん良いと思うが(十四郎)■意味に向かわせてくれない、すばらしい句(規夫)■流しソーメンのようになびいたのかなあ(裕)

黄菖蒲や池渡る風光りおり  葉子
■NHKだと、きっと「いい句ですが、季重なりが惜しいです」なんていうぜ(裕)

じゃんけんに負けて太蛇捨てにいく  菊野
◎邦夫◎勝之◎杜◎十四郎
■昔なら、餓鬼大将の指名、命令で、昭和30年代だと、掲句のような情景が中学校でも。今はこれが大人の情景なのだよね。役場へすぐに片付けろという電話がかかってきたのもそう新しいことではないのです(邦夫)■なんかそんなことした記憶が…(勝之)■よし、拾って蒲焼にするぞ(裕)■「太蛇」ってすごいなあ。生半可じゃ出てこない語彙(規夫)

その歯科医マスクの下にパパがある  杜
◎美智子◎菊野
■マスク、仮面…このマジックが何ともいえない。似た句がないわけではないけど、上句が歯医者だけに歯切れいい(美智子)■つい想像してしまう(菊野)■sexual implication というやつでしょう、コレ。意味わかんないけど。女性の世界にもマニアックな世界があるんだなあと、ちょっと衝撃。オクンチ女子部は、この句とらないといけませんよ。男は絶対とっちゃダメ(規夫)■ママがあるところで治療します。うっふん(裕)

初鰹仲居の根付がポケモンか  唖々砂
◎等
■すごくイヤラシイ根付の写真が載っている本がある。A古本屋で二千円、B古本屋で千五百円。時々見ている。「根付はポケモン」と字足らずではダメでしょうか?(等)■「か」がちょっと世間に負けてる(規夫)■おいおい、なんかいい接待受けたらしいな(裕)

火の母よ何時しか失意よ母の日  吾郎
◎栞◎規夫
■力作(栞)■オット回文。しかし今ひとつ(勝之)■「回文家」吾郎師匠が今回も一句。よほどのことがないかぎり、私としてはいただき続ける覚悟が決まった(まえは、あえて選からはずして別格としていました)。どこまでもついていこうというのは私にとってめずらしい。キンクスも途中から(Low Budgetから)新譜では買わなくなった(規夫)■××××(こつこうと読める。知りたい人は本人までby当番)シンコクなんでしょう、この句(等)■まず全体をざっと見て、回文があるかないかを確認する身体になってしまった今日このごろです(裕)

むかれればバナナは食べる人を指す  十四郎
◎邦夫◎葉子◎杜◎栞◎吾郎◎哲郎
■やってみたら、確かに指指されたような感じ。一こま漫画(邦夫)■川柳的発見だが、敬意を表したい(哲郎)■上手い! ザブトン返して!(葉子)▼おい、おい! 返すんかい!(当番)■ウーン…凄い(栞)■受け身なのネ、やはり(吾郎)■たしかにそう。有用な情報、この世の法則として記憶しておきます(規夫)■一度、向こう向きで食べてみたら、ぽろんと落ちちまいやがんの(裕)■「を指す」は「そむく(漢字書けないよ、オレ)」ではダメでっか?(等)▼背く(当番)■人をホトと打ち間違えて狼狽えた(杜)▼十四郎さん、等さん、完敗。杜さん、この手では無敵(当番)

赤黒きもの産まれきてほら五月  勝之
◎吾郎◎規夫◎哲郎
■『ほら』でいただきます。ごちそうさま(吾郎)■五月に産まれる赤ん坊にとってはじめての世界は、五月。「五月」というものを提示してやるしかない、先に生まれた人間は。う〜ん、コレいいですね。「五月」は他の十一個に交換可能のようでもあるが、五月がいちばん、という感じもする。それはそうと、女性から「赤黒きもの」を産むという言葉は出てくるのだろうか。来れば面白いし、なければその逆。この句はかなり好きです(規夫)■血便はやばい。すぐ検査にいけ(裕)

初夏に履く「私は鳥よ」ほどの靴  哲郎
◎等◎美智子
■「ほど」をどう解釈すればいいのか?(等)■女性感覚。「鳥…」ほどの、がうまいよね。いろいろマネして作ってみました(ナイショ)(美智子)■変な靴だなあと、変質者のオレが思うぐらいなんだから、やっぱり変な靴なんだろうなあ(裕)

雲が雲にどんとぶつかる薄暑かな  規夫
◎邦夫◎等◎美智子◎唖々砂
■今回は、これがいちばん好きでした。有りそうなことをあるように言うことはやさしい。ありえないことをいかにも有りそうに、目前にあるように言うことは難しい。「どんとぶつかる」が脳裡に浮かんだら、私なら背筋がぞくぞくしただろうな(邦夫)■♪雲さんと雲さんとゴッツンンコ〜「どんと」でいいのか悪いのか、ワタシなら変えるかも(美智子)■チョイ技巧的か。「雲が雲に」と「どん」ではネ。とったけど撤回。もう一廻り見て、とる(等)■夕日に向かってバカヤローほどの健全さだ(裕)

五月晴すっかり忘れておりました  栞
◎杜◎吾郎◎裕◎十四郎◎菊野
■まいりました。ごもっともです(吾郎)■うーむ、こう言われちゃ、取るしかないじゃん。いい心境じゃん(裕)■忽忙の間、忘じ候(菊野)

〔以上42句〕

〔総評・近況集〕
▼お元気ですか。新潟はいい天気でしたよ。またゴルフに行ってきました。130でした。いつも同じスコアです。ゆうべは春の能楽鑑賞会に行って帰りお友達とお話しして夜おそかったので、今日のゴルフは疲れました。(テル子)
▼やっとこさギブス取れました。一ヵ月ぶりの左足とのご対面。元気してたか、オイ。何度か水没して大変だったよな。そういや、ほとんど崩壊寸前だったからなあのギブス。まぁ、今後ともよろしくってことで。(吾郎)
▼いまNHKの教育テレビで胃自身はなぜ消化されないか、やっている。風がやたら強くなってきたので、犬を家に入れました。ウワッ、十二指腸がうねっている画像が出た。近況ではなく実況です。(等)
▼言い訳使い切って、第二次〆切通過後十日。もはや人事を尽くして天命を待つ心境であります。(裕)
〔当番〕それでも、全句コメント書く? 見習いたい、と言いたいところだけど、締切に追われれば追われるほど、別のことしたくなる心境、よくわかる。当番も、仕事の桁と質が違いますが、今朝1本入れます。
▼庭が花だらけ。家人は一日庭から出てきません。しかしまあ、よくもこんだけ咲かせたものです。おまえは花咲かオバハンか=H(勝之)
▼キャハ…みんなつまんない。(自分のもちゃんと含めて)ヤッパ…五月だよね。(杜)
〔当番〕杜さん、すみませんねえ(なんで当番が謝るんだ?)。おい、みんな頑張れよ、すこしはつまんなくない句を作れよ。
▼今回はほんとに惹かれる句が多く、キラキラ句が光ってて 。ウ〜ン、自分に磨きをかけねばという感じです。磨けば何になる? タワシ? それともダイヤ?(美智子)
▼友だちから思いがけず帯締めをいただいた。道明さんの帯締め。里に行って皆に見せた。自分で選ぶと、つい保守的になり、抑えた色のものを買ってしまう。よそからいただくと、私のイメージなのかなと思い、二重に嬉しい。村の友だちが米を売ってくれた。本当に嬉しい。これで栗の本を買うことにした。持つべきものは友也。ちなみに、この友、ロシア正教徒。隠れキリシタンのうちに生まれた。長男だけ受洗し、あとの子はしないという。生活の知恵か。子供の頃、クリスマスはニコライ堂に行くのが楽しみだったとか。(菊野)
▼Eメールで送ろうとしましたが、どーもうまくいきません。情けない、トホホ(哲郎)
〔当番〕次回までに出来るように、ネ。
▼国立情報・その7・こないだの土曜日、夕方になって家に帰ったら、ご近所が4軒集まって、道で「食べて呑んで」をしていた。去年の夏はプランを立ててのバーベキュー(7軒参加)だったが、今回は自然発生。おとうさん、おかあさん、おばあちゃん、息子、娘、その「ニュー彼」、イヌ4匹、ネコ1匹(うちの)などなど。夏場所から三社祭までが一年でいちばん過ごしやすいと、向かいの杉山さん。なるほどそう思う。(規夫)

【当番から】
▼すみませ〜ん。誤植ありました。作者からは指摘がないのですが、勝之さんの「赤黒きもの産まれてきてほら五月」の「産まれてきて」は「産まれきて」の間違いです。お詫びの申し上げようもございません。
▼今回、朝の締め切り近くになって、栞さんからFAX。「すっかり忘れておりました」とあるから、次に句が書いてあるのかと思ったら、これが句でやがんの。当番、笑わせていただきました。9の付く日を忘れる人、多いみたいですね。哲郎さんあたりは「戦略的」欠席だと、勝手に思いこ込んでいましたが、どうやら、「気が付いたら十日」ということが多いらしい。希望者には「九日コール」サービスを始めようかとも思いました。
▼で、次回は井口家の当番。くれぐれもお間違えなく。5月19日(水曜日)、投句は井口家まで。

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九の付く日のFAX句会 オクンチ 第24回 99年5月19日  木曜日

〔9点句〕
セロファンが捻れてラムネ菓子生まる  規夫
◎亞子◎美智子◎哲郎◎葉子◎杜◎唖々砂◎邦夫◎栞◎菊野
■色つきセロファンだから白さが極まるのね(亞子)■製造年月日はいつ?「バナナ…」の方でしょうか?発見上手。オミゴト!!(美智子)▼人違い(当番U)■生まれてしまうところがいいね(葉子)■分かりやすい(杜)■これも俳句的時間(邦夫)■子どもの頃、あのセロファンが好きだった(菊野)■三丁目的(吾郎)■ラムネ工場見学をしてきたの?(裕)

〔8点句〕
オペラ鳴る腐食は進むトタン屋根  勝之
◎規夫◎十四郎◎杜◎唖々砂◎吾郎◎栞◎等◎裕
■オペラはやはり腐食させるのか?(吾郎)■オペラと腐ったトタン屋根のとりあわせをいただき(裕)■「オペラ」と「腐食」はいくらなんでもツキスギと思いますが、「トタン屋根」がそれを救っている気もします。いただきます(規夫)■下手な唄なら腐敗。オペラなら腐食。納得。住居に見合うオーディオを選ぶように言ってやってください(十四郎)■「腐食」の語感は僕なら破調にしちゃうのですが(等)■トタン屋根を打つ雨の音が、昔を思い出す。伊勢湾台風でお納戸の屋根が飛んでしまった。その応急処置で屋根はしばらくの間トタン屋根だった(杜)

燦然となめくじ太る黒の家  規夫
◎亞子◎哲郎◎十四郎◎勝之◎吾郎◎栞◎菊野◎裕
■バロックな美しさを信じているんですね(亞子)■"燦然と"はちょっとオーバーじゃないでしょうか。でも"なめくじ太る"がイイ(勝之)■「黒の家」が不気味です。ニチャニチャしてていいな(吾郎)■我が家のことか(菊野)■この場合は「黒」は抽象的ではないだろうか?(等)■赤い家だったら、超傑作になったような気がする(裕)

〔以下掲載順〕
はじめましてひげゆれながら夏は来ぬ   テル子
◎裕
■このやわらかさを買う(裕)■はい、よろしくお願いします(規夫)■ゆれる、のか(亞子)■ツキすぎでしょう、この句に関してですが、口語と下五の文語のちぐはぐさがひっかかった(等)■どうもお初にお目にかかりまして(吾郎)

蓮は蓮倦まず飽かずと眼が笑う  美智子
◎勝之
■蓮のテンプラ、あれは飽きない"上手に揚がるテンプラ粉"これ便利です(勝之)■佳句。でも、もっと単刀直入がいいな(菊野)■不忍池をずっと眺めているホームレスのおやじでしょう、これは(裕)

カマキリが足の親指立てている  杜
◎等
■小指はどうでっしゃろ(等)■なんだかあざとくないすか、親指が。この界隈の一主流ですけどね(規夫)■足まではともかく、親指までよく行きましたね。でも取らん(亞子)■チュチュを着た蟷螂を見たんだな、きっと(裕)

鴎だけが一直線である五月  等
◎美智子◎テル子◎勝之
■そうかもしれない。そうでないかもしれない。でも「だけが」が、気になります。他のことばなら?う〜ん??(美智子)■単調に思えたのは、鴎だけじゃなく、水平線もあるからだと気がついた(裕)■サッパリスッパリしてたので取らせていただきました。本日夏日なり(勝之)■鴎は〜鴎〜♪(by Naoko Ken)いや、Return to Foreverか?(亞子)■山鴎の巣のある場所知ってるよ(テル子)

堂々と鬢つややかに五月場所  葉子
■鬢の匂いの好きな女友だちがいた。男遊びの究極が相撲取りだと豪語していた(規夫)■東京タワーに行って、東京タワーの文鎮を買うような句(裕)

骨切りは玄人はんに鱧どすえ  唖々砂
◎葉子
■去年、娘が鱧を買って来て、ふたりで苦労した。味?玄人にまかせた(葉子)■梅を漉したのつけると、美味いんだとか(吾郎)■局地的(京都)口調にゲップが出た(等)■クラゲの遺伝子とかけあわせて、新種の鱧を作れば儲かりますえ(裕)

ひょこと出て人の香水嗅ぎはじむ  哲郎
◎美智子◎吾郎◎菊野◎裕
■「どんと…」と同じ方?「ひょこ」でなく「ひょ」の方が動きが出るのでは?何か、ニンマリしてしまいます(美智子)■犬だろうか、人にもこういうのがある(裕)■「ひょっとこ」だと思って笑ってました(吾郎)■「ひょっとこ出て」と読んでしまった。ATG系ポルノっぽく、また作者のどろりとした「内奥」が見えて面白かったが(規夫)■作者は我家の客であろう。引越す前の我家には河郎子の短冊がかかっていた。その句は「ずかと来て浜の焚火を継ぎはじむ」。前回より贋作道を歩む人の句と見た(十四郎)■あったり〜(当番)

壁掛けの時計を膝に五月かな  十四郎
◎哲郎◎菊野
■私も、16日に壁掛け時計を買いました(菊野)■背負って旅に出れば、寺山修司(裕)

はつなつや肌むずがゆき銀鎖  裕
■私も金銀アレルギー(菊野)■作者は渋谷の日焼けしたオニイチャンと見た。はずれ?(規夫)

抱かれて童女の顔や夜の新樹  邦夫
◎等
■「顔や」は「顔が」にしてしまうのです、最近の僕は(等)■「抱かれし」ならどういとうことはないが、「抱かれて」とくるのだから、ただごとではないのだろう。さらに老女が童女の顔になったと読んだら、なんだかすごい句になってきたような気が(裕)

掌の中にトカゲ遠国ジュラ期拍動す  勝之
◎十四郎◎杜◎吾郎◎栞
■オレの句って、ひとが読むとこんな感じなのではないか?と思ったらとるしかないではないか否(十四郎)■どこで切れるのかわからんのがすごい(裕)■何となく、カッコいいかな、なんて思って取っちゃった(杜)■至近距離から時間の彼方へのワープが凄い(吾郎)■ジュラ期というのは、モスラやゴジラやキングコングが仲良くシーソーをやっていた、あの時代ですよね(等)■このネタで4句はいけそうだ(亞子)■「期」を指摘されまくるんだろうか、この句。ガッコのセンセや元優等生たちに。どうしても単語が1つ多い、おなじみのバロック様式とは別に(規夫)▼「期」→「紀」との指摘は哲郎宗匠よりもあり。集中砲火にはいたらず(当番)

梅雨入りて消毒の雨降らしおり  菊野
■雨までカルキっぽい。なんだかわかる。けど、梅雨入りはすこし気が早いのでは?(規夫)■たしか「毒消し」は夏の季語。くわえて「梅雨」で「雨」でしょう。すでにマーガリンガしみ込んでいるパンの上にバターを塗ってしまった(裕)

犬歯の子消えてプールは青いまま  亞子
◎規夫◎唖々砂◎裕
■淡いはつなつの季節感(裕)■「犬歯」と「青」。すっと入ってくる句(規夫)

ががんぼの胸つきあわせたまま落ちる  吾郎
◎規夫◎亞子◎美智子◎哲郎
■素敵なラブソング。四〇分間くらいの演奏で聞きたい歌(規夫)■おい、そういうまぐわい方をするのか、あいつら、ますます不気味になった(裕)■見たままでもそうでなくとも…オモシロイなあ(亞子)■「胸つきあわせたまま」が、気になりました。何かあったのかな?シリタ〜イ(美智子)

夏空を突っ切って行く太っ腹  栞
◎テル子◎葉子
■♪君は何を今、見つめているの〜♪太陽に挑戦してみたらどうですか。夏ってたくましくていいですね(テル子)■いっそどっかーんとやって(葉子)■この句では「太っ腹」という言葉があまりにも威張っていませんか?(等)■斉田仁が汗をかきつつ、街を行く(裕)

夏化粧紙面で初の顔あわせ  テル子
◎十四郎
■新入の挨拶句ならいただきましょうと先輩面(十四郎)■なんのこっちゃ(裕)■意味不明(菊野)■実は、この句、先日の新聞(15日付け朝日朝刊)掲載の写真に対して…ということで。ご指摘どうりアレは私です。テル子さま。(吾郎)

筍の手足捨てらる弁当屋  美智子
◎勝之◎裕
■ホカ弁屋の筍には、なんか手足が付いてそうなんだよなぁ。で弁当屋の床をドタバタ走ってる(勝之)■最初からないはずだが、なんとなくそんな感じ(裕)■いい句だが、作者を知っているのでパス(等)

真夏日とボクサーパンツのジェンダー  杜
◎規夫◎亞子
■女性であることの仕掛けがあるともっと面白い(作者が男女を問わず)。「真夏だわ」ではいかがでしょう。まあこれじゃベタか(規夫)■ジェンダーフリーな日常を思うぜ(亞子)■なにをいまさら、かつて江戸にも女相撲というものありけり(裕)

ダイレクトメールばかりの初夏の函  葉子
◎唖々砂◎等
■やっぱり郵便は手書きがうれしいね、貴重だね(裕)■ここではどうだか知らないが、別のテレビ局なら絶対オンエアされると思う(規夫)▼例のBSってやつでしょうか(当番)▼朝の8チャンネルもあるぞ(当番U)

葬果てて宅配ピザを待ちており  菊野
◎哲郎◎葉子◎杜◎邦夫◎吾郎
■すっごく面白い。ポッカーンとして。喪家はおなか減るんだよね(哲郎)■ぼーとした時の流れ(葉子)■疲れたね(杜)■「葬」や「訃」はあまり安易に使いたくない題材だが、宅配ピザを待っているとは好配合(邦夫)■お清めに宅配ピザしたのか、すげえなあ(裕)■カレーとシーフードのハーフ&ハーフお願いします(吾郎)

埋めもどすナイフの錆や蛇苺  唖々砂
◎邦夫◎裕
■選択された場面は、少々煩わしいが、やっぱり俳句は韻律と転換が大事(裕)■「錆びたナイフ」のほうが自然な叙述のように思うが、例の歌があるからね(邦夫)■石原裕次郎を思い出す(菊野)■ドラマチックでんなあ。吉本新喜劇には存在しない場面(規夫)▼たしかに該当する役者がいない(当番)▼否、若き日の岡八郎が(当番U)

そら豆を三分煮ている間の解脱  等
◎亞子◎哲郎◎テル子◎十四郎◎勝之◎邦夫
■じつは殺生が日常である台所は解脱に近いんです(亞子)■そら豆を茹でる目安がついたので一票(十四郎)■三分で煮えるか。は、ともかく、その間の解脱の心境に興味津々(邦夫)■豆いっぱい煮て冷凍しておくと、お弁当のおかずにまにあうよ(テル子)■台所に立ってて、どっかイッちゃってることよくあります。ソバとかスパゲッティゆでてて…(勝之)■「解脱」とくくるのはページワンの8っぽい(規夫)■三分もあれば充分かな(菊野)■早い(吾郎)■くだくだ言っているあいだに、煮すぎちゃうんだから。それでも文句いわずビール飲んじゃうんだから(裕)

浮島の遊廓軒の干し鰈  勝之
◎亞子◎葉子◎唖々砂◎邦夫
■以前上海を訪れた時、春節(正月)前だったせいでたくさんの家の軒先に、ホッケのようなおおぶりな魚がぶらさげてあったのを思いだしました。その上、その25倍くらいの洗濯物が、祖界時代の重厚な石の建物から、外に突き出すような形に華々しく干されていたのには圧倒された(亞子)■門仲の料理屋前にも干し鰈(葉子)■歌枕の浮島か。昭和三〇?年以来、現実にはお目にかかっていないが、なんとなく恋し懐し情景。それも新宿ではなく、軒の干し鰈ガ利いている(邦夫)■おー、荷風か。『日和下駄』はぼくのバイブルです(裕)■念入りすぎる「軒の」がなにかに変われば面白いのに(規夫)

まじりっけなしに夏めく一完歩  哲郎
◎亞子◎美智子◎邦夫
■完とつく子のいる家か?(亞子)■"一完歩"って何ですねん、辞書にものってないぞ(勝之)■「一完歩」は、ひとつの大きな区切りということ。簡単に言ってるけど、いろいろ広がる想像デス(美智子)■厳密な、いさぎよいとも言えるとらえ方。ほんの短い時間の把握だからなお…(邦夫)■「まじりっけなしに夏」までをキリンビールに売りにいこう(裕)

枇杷の汁そで口に入る二時丁度  十四郎
◎栞
■その瞬間、白いワイシャツ着ていなくてよかったと思っただろー?(裕)■お初の枇杷をいっしょにいただいた人の句と思う。私はもっとうまく剥いた。私も作り、今回のオクンチには捨てた。枇杷と時刻が一致したので驚いたが、「そで口に入る」の具体があるぶん、こっちのほうがいい。捨ててよかった(規夫)

はつなつや墨絵の蝦に髭二本  裕
◎等
■ばっちり定型、こってり俳句。不滅型俳句。僕もつくります(等)
薔薇園土曜平均年齢六十  邦夫
■そんなこたァないだろ。平日じゃないんだし(吾郎)■なんで平均が算出できる? 説明してもらおうじゃないか。類推なら「約」とか「だいたい」とか付けるべきだろう、俳人としては(規夫)■そういえば、「ばら園になくてはならぬ裸婦の像」という句があった。この句を作った人は齢九十なり(裕)

残像黒々と蝶の飛び立てり  亞子
◎邦夫◎等
■これも…。オオムラサキかな(邦夫)■破調でそっけなく、好きなんだが、もう一味(裕)

いらっしゃいませ薫風の客となる  吾郎
◎テル子◎菊野
■すずしげな、ゆかた姿でこんにちわ(テル子)■ままごとしているのかな(菊野)■これ「はじめまして」とセットでしょ(十四郎)■ハズレ〜、でも大当たりかも(当番)■こういうのオクンチでアキました。いくらでも作れる(等)■「〜薫風の客」までをアサヒビールに売りにいこう(裕)

蠅叩く祭囃子にゃ負けまいぞ  栞
◎美智子◎杜◎吾郎
■「パンパンパパ〜ン」私もよくやるんです。用もないのに、音出したりして!?(美智子)■やれやれ!(杜)■空威張りの「ぞ」がいい(吾郎)■わかった。ガマンしているんだな。自宅で仕事をしている人だよ、こりゃ(裕)

みやこ忘れ一輪ほめて床の間に  テル子
■さて、俳句はそこから始まるんだが(裕)■「床の間」ってなんで床の間なんだろう? ふとん敷いたりしないのに。この疑問でいま頭がいっぱい。家族が増えて家が狭くなってくると、花瓶をどけてふとんを敷くのかな、本来は(規夫)■これ「はじめまして」「いらっしゃいませ」とセットでしょ(十四郎)■これはハズレ(当番)

目鼻あるパンの居座る夏の風邪  美智子
◎規夫◎哲郎◎杜
■理屈が入ってきそうにもなるが、パンの感触のほうを優先させて読む。いただきます(規夫)■パンの人格をどうにかしてくれ!(杜)■いい句だが、作者を知っているのでパス。不評だった句を、オクンチの仲間に問うのなら歓迎よ(等)■アンパンマンだったら、顔をとりかえりゃ治る(裕)

午後からは話したくない朝顔  杜
◎テル子
■朝の早いのにはまいっちゃうね。ゆっくりねていたい(テル子)■理屈といえば理屈でんねん(亞子)■秋まで待て。キミは秋の花なんだから(裕)

草刈りや蛇の行く道整える  菊野
◎テル子◎唖々砂
■わらび取りに行ったら蛇も一緒にとりそうになっちゃった(テル子)■狂流なら切れ字の「や」が強すぎるというところだな(十四郎)■当然のつくり話です、コレは(等)■蛇のために公共事業をする人(裕)

芍薬の花びら音なく床に散る  葉子
■当然の事実です、コレは(等)■芍薬、牡丹にはこういう場面選択の句が無数にある。となると、あとは様式の法則をどこまでリゴリズムでやりぬくかという決意のみ(裕)

天皇陛下またいでしもた五月晴  唖々砂
◎十四郎◎杜◎吾郎
■不経済、じゃなくて婦警罪、じゃなくて父兄会、じゃなくて老け躄(十四郎)■で、どないした?(吾郎)■ついでにおならもしなさい(裕)■今回、racistがいる。否、街宣車の矛先を関西人にそらそうとする革新派市長の仕業か? 関西人の人権を守ろう!(規夫)■畏れ多い明るさ!(亞子)■トイレで使ってしまわないでなによりでした(勝之)■「しもた」を喜んでいる作者が見エ過ぎるよ(等)

とらイシむめクマふねおきん婆さんラムネ研究会  哲郎
◎十四郎◎勝之◎等
■"ラムネ研究会"はいいけど、ババアの名前の並列、なんとかせいよ(勝之)■久々に作者アテ遊び。吾郎ちゃん(等)■はっずれ〜(当番)■婆さんが6人集まっているという、あまりにも説明的な句(規夫)■おとなしそうな顔して、饒舌小僧だったのね、キミは(裕)■我が祖母のカマも加えてくださらないこと?(亞子)

五月好日人生に負けた気分  十四郎
◎規夫◎勝之◎唖々砂◎菊野
■大袈裟なのかそうじゃないのかがまじりあって面白い(規夫)■置きざり感かな?(菊野)■ううっ…マ、負けるもんかぁ〜っ!(勝之)■ひとこと言ってやりたいが…(亞子)■まァ今日あたりの天気じゃ負けてもいいやな(吾郎)■いつか人生にうっちゃりをかけてみたい。猫だましもいい(裕)

栗の花チャペルの猫が糞かくす  等
◎美智子◎テル子◎葉子◎栞
■「ネコババ」の語源どおりですね。絵画的にとてもオモロイ。クスリの一句(美智子)■栗の花のにおい…?知っている?(テル子)■猫の顔が恥かしげ(葉子)■猫からすればかくすのではなく、埋葬といった感じでしょう。どいつもこいつもプライド高く糞をする(菊野)■土をかけるぶん、猫のほうが犬より高級だと子供のころから思っている(裕)

花袋忌や折に轟く粒の餡  規夫
■"轟く"がよく判らんのですが…、ショットガンに粒餡詰めてブッ放したとか?(勝之)■ますます迷路(当番)■折詰といや、田山花袋は旅行ライターで食っていたそうだ。東京近郊の小旅行ガイドなどよく書いたそうだが、読んでみたいな(裕)

螻蛄鳴くや艶やかにして髑髏杯  裕
■ミッちゃんミチミチオメコして…(勝之)■おいおいコラコラ放送禁止(当番)

葉桜の一日吹かれ萎えにけり  邦夫
■地味な句が損をしてはいけないのだが(裕)

大声を出してはいまいおたまじゃくし  亞子
◎菊野
■まだ蛙になっていないからね。祖父が芝の白金に住んでいた大正のはじめころ、毎夜増上寺で化け物の声がするといって大騒ぎになったことがあるそうだ。増上寺の塀の回りは連夜、見物人が大勢でて、縁日のようになり、アイスクリーム屋まで登場する始末。そのころアメリカから輸入されて逃げ出した食用蛙の鳴き声だった。数キロ先まで、バオーンバオーンと鳴くのだそうです(裕)■大声をだすと、すぐ教室の水槽の中(菊野)■「出してしまった」の方がコノミです(等)

黒日傘田舎出家内性秘録  吾郎
◎規夫◎葉子◎栞
■「せい」と読ませて回文にしなくとも成立しますね。良い仕上がりです(規夫)■まあ、今日はザブトン一枚。あげよう(葉子)■私も心の一票を入れつづけております(十四郎)■ううっ、すごい勢で回文連発・井口吾郎どこへゆく!(勝之)■このメビウス環地獄から出る方法を教えよ(裕)■すんません、こっそりやります(吾郎)
〔以上47句〕

〔総評・近況集〕
▼ヒマだな〜、ともかく残留を…(亞子)▼ひらがなを忘れた方の二句、「句切れと漢字の練習」させてもらいました(?)。ところで「俳句教育学会」ってあるの御存知?インターネットをひらいていたら、そんな学会の存在が…。知っている方がいたら、教えて下さい。もち無料でネ!!「水野あきら」という人がやっているらしい(美智子)▼一週間、禁酒したけど肝臓のハレはまだ引かない。調子はちょい上向き。このまま酒やめるのもいいかな…と思いつつ、一日、缶ビール一本の生活。これが、すぐに酔っちゃう、肝臓が本調子やないんやね、安あがりですけどね(勝之)▼創造的な思考が回転しにくくなってきていて、俳句も一向に浮かんできません。来月は無茶苦茶に忙しい時期なのですが、寸暇をひねり出して参加し、老化著しいハートのリフレッシュに努めさせていただきます。(邦夫)▼約四〇日間の松葉っち生活にぼちぼち別れを告げ、二足歩行の動物としての正しい生態に戻ろうかとしております。各方面の方々にご心配いただき、まっことありがたき幸せ。まんまんちゃん、あん!(吾郎)▼16日は千葉研の日。句がないので、不登校の気分。東武デパートで田沼会長にバッタリ会う。句会では坊主。二次会に行って、したたか飲んだ。先入観の話が面白かった。三次会でコーヒーを飲んだ。酩酊していたので話は忘れた。「花吹雪どろわらんじになって歩く」(一茶)の句を教えてもらいました。ストンと胸に落ちる一句でした。近況ではなく日記。(菊野)▼商売上の力関係で、理不尽なことを言われっぱなしだったが、俳句的キリ返しでもって相手をニコニコさせてしまった。俳句はいいぜ。(等)▼つい寝ちゃいました。コメント遅れてすみません。寝るのをいちばん大事にしているもんですから。白山に用事があって行ったついでに、まだ行ったことのない小石川植物園の回りを散歩。思ったより深そうな森。あのへんの住宅地も、昭和三十年代の面影が残るちょっと懐かしい風情。今度、天気のいい日に吟行してみよう。入園のキップを前のタバコ屋で売っているのも面白かった(裕)

【当番から】
▼今回の作業、井口家・インクス連携超裏技でお送りいたしました。(井口家入力→規夫発信)。疑問氷解しました?宗匠。▼次回(5月29日)の当番は、規夫さんです。

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九の付く日のFAX句会 オクンチ 第25回 99年5月29日  木曜日

〔7点句〕
白玉や死んだ友みなどんぶらこ  哲郎
◎美智子◎規夫◎菊野◎杜◎十四郎◎勝之◎裕
■みんな揺れています。白玉があの世の希薄感にぴったし(裕)■今日のインパクトNo1でしたワ。「どんぶらこ」でいいのかな? 安易な気もしますワ(美智子)■質感がいいですね(規夫)■どんぶらこっこと逝ってしまった。合掌(菊野)■いいっすねぇ、どんぶらこといきたいものだ。白玉がきいてます(勝之)■白玉と白装束のイメージがいい(杜)■訃報を聞いたので、弔う気持ちとともに(十四郎)■どんぶらこって便利(吾郎)
心は腸である高感度フィルム  等
◎美智子◎規夫◎菊野◎哲郎◎十四郎◎吾郎◎栞
■情感なんて翌日ウンチよ。それ撮って「私の気持ちです」ってあげるのよ(十四郎)■心がどこにあるかはよく話題に…。わかるようでわからないけど、フィルムとの取り合わせが楽しいワ(美智子)■蝶の連想もありながら、とぐろを巻いている腸もいとおかし(吾郎)■心が腸、魅かれるフレーズ。腸以外の何物でもない(菊野)■よい雰囲気ですが、なんとなく論理がタイトすぎるとも思います。それと「心」に「高感度」はやや失敗かとも思います(規夫)■感度が高過ぎて被写体が飛んでしまった。何が映っているのかわからない(裕)■心じゃないところが、ほんとうは言いたいような感じ(杜)

ペダル踏む夜は濡れた服のようだ  十四郎
◎菊野◎規夫◎杜◎葉子◎勝之◎裕◎吾郎
■う〜ん。いい(菊野)■ううっ。どう言っていいかわからんが、いただいておこう。句全体の成り立ちはちょっとツラそうだ(規夫)■リズム抜きで一気に読むとカッコいい。とてもシック。今回の絶品(裕)■濡れた服のようだは、いやらしくてとてもいい(杜)■その通り、いつもそう思っています(等)■着衣泳をするとよく分かる(葉子)■いいっすねぇ、映画のイントロダクション、役者名が流れ、タイトルがドーン、そして物語が始まる(勝之)■「服」がちょっと気掛かりだけど(吾郎)

ぽん菓子のぽんが極まる夏の空  規夫
◎美智子◎等◎十四郎◎勝之◎裕◎吾郎◎栞
■スカーッとさわやか○○○○○って感じですワ。「ぽん」の重なりが効いてますワ(美智子)■ぽん、ぽんと調子がよくて、軽いところもいい(裕)■「ぽん」の二回繰り返しは安易だけど…(等)■「極まる」がなぁ。羞恥がないんだよなぁ(十四郎)■ぽん菓子って、どんな菓子?(菊野)■ぽんのぽんのぽん(杜)■今時ぽんの音、聞かないね(葉子)■米と砂糖とマキ持って行きました。あれこそ我らの夏でありました(勝之)

〔以下掲載順〕
巻き着いて離れぬ赤糸五月尽  美智子
◎菊野◎葉子◎栞
■どんな赤糸なんだろう(菊野)■赤糸だけにしつこいね(葉子)■糸屋の赤ちゃんでっか?(等)■赤糸とはあなたにとって嫌なものなんでしょうね(杜)■しつこい縁(吾郎)■なぜか、オレの場合は相手がハサミを持っていて、結んでも結んでも、プチプチ切られてしまう(裕)

老人の口もぐもぐと梅雨の入り  裕
◎美智子◎規夫◎テル子◎哲郎◎勝之
■老人は常に口を動かしておりますす。実感?(美智子)■見るからにうっとうしい(テル子)■世界はそういうものです(勝之)■感じが出ている(哲郎)■正統をいただきますというところで。私の大好きな原泉なんか、ホントもぐもぐしているしね(規夫)■毎日見ているよ、私は(菊野)■私の姿、見たなぁ…(葉子)■もごもごかな?(杜)■何を食っていても怖いよね、あればっかりは(裕)

諸世紀の一語薄暑大魔王  吾郎
■いちご白書をもう一度、なんて古いかな?(杜)■ハックショ〜ン大マオウ(菊野)■駄洒落しりとり。「諸世紀の」より「ミルクシェーキの」のほうが良いのでは?. 「バンバンの」だと、もっとわかりやすい句になる(規夫)■七の月、オレの頭の上にテポドンが命中して、しかも不発。痛い目に遇うのはオレだけというのだけはやめてほしい(裕)■句内しりとり(吾郎)

息をつめなにか唱えたガマガエル  十四郎
◎テル子◎吾郎◎栞
■庭に生息するガマ・シリーズ第二弾。千駄木系か?(吾郎)■じっとしていて何考えているんだろうね。目だけパチパチしてサ(テル子)■カエルの首がないところがそうなのかな?(杜)■気のせいだと思う(菊野)■アマガエルつかまえたらしっこした(葉子)■しばらく見ていてごらん、きっと自雷也だと思うよ(裕)

雲の峰母の形見の越後上布  テル子
■上布は気持ちいいよ(杜)■形見が越後上布じゃ、決まりすぎ(裕)■私は毎月一度、生き形見をもらってくる。母の着ていたブラウスがなぜか似合うようになった(菊野)■私の母はヒスイの指輪をくれたわ。まだ生きてる(葉子)▼OK、OK、今度、女子部で「形見合戦」やりなさい(当番)

こがねむしの歌が嫌いな黄金虫  等
◎テル子◎十四郎◎葉子◎裕
■黄金虫はこがねむしでよかったのでは。でも明快な構造をいただき(裕)■黄金虫のことなんかわかりっこないんだがな(十四郎)■私たち貧乏人同士集まって「こがね会」を作ったよ。のんだりくったり旅行したり(テル子)▼それを貧乏人とは言いません(当番)■空の嫌いな鯉のぼりもいるし、いろいろです。人間も自分の稼業が嫌いになる(菊野)■一ヵ月前なら鯉のぼり。桃太郎とかダンゴ三兄弟とか赤鼻のトナカイとか、いろいろ交換可能なステキなフレーズ(規夫)■貧乏なのね(吾郎)■ひらがなと漢字のコガネムシはまるで金持ちと貧乏人をあらわしているようだ(杜)■むかしこがねむしは〜結婚するなら黄金虫と唄ったら、夫がえらく怒った(葉子)

青嵐物干し竿で舞踏会  葉子
◎等
■ネタはすべて表舞台に出ていますが(等)■器用だね(菊野)■風が強くて洗濯物が踊っているように見える…ということではないですよね、まさか。頼むから違うと言って! (規夫)■この間の、台風みたいな風、すごかった(杜)■永谷園のコンテストで勝てそうだ。海苔一年ぶんを目指すべし。友人の中島某は、ホントに海苔一年ぶんゲットしたぜ(裕)

俯瞰図や前世が鳥だった理由  勝之
◎美智子◎菊野
■俯瞰という言葉で私も一句作りたいが果たせない(菊野)■そうか、という発見の一句。季語として「鳥の名」を入れたらいかが(美智子)■俯瞰図(birds eye view)の説明をしてドースル(規夫)■勉強したね(杜)■吉本の『世界視線』ね、臨死体験のそこだけ概念化する吉本は何にこだわっているのか?(等)■いちばん凄かった飛翔の夢。自宅の夏みかんの木の根元を飛びたって、所沢方面まで水平飛行したとき。いまでもその映像をよく覚えている。明け方の曇り空だった(裕)

短夜の無口な儘で明けにけり  栞
◎葉子◎裕
■非常に雄弁な句だと思う(菊野)■70年『ガロ』の傑作、つりたくにこ作『彼等』を思い出した。学生と中退生が下宿で白々と夏の夜が明けるまで、えんえんカッコつけてわかりもしない現代思想を語るシーン。最後に「喋り過ぎだよ」「ケッ」というのがよかった。と、まあ、個人的感慨とは無関係にいい句だと思う(裕)■不眠症は更年期の始まりでもあり、いろんな病気の始まりだからして薬を飲んで寝てしまいましょう(杜)▼飲み過ぎないでネ(当番)

カンカンと露出してくる季節なり  杜
◎葉子◎栞
■カンカンという音、オンが良くて好き(葉子)■露出できない年になってくるなり(菊野)■何が「露出」するの? いや、「つゆ出してくる」の? どっち?(裕)

刈り急ぐ夏草の果て海がある  菊野
◎杜◎十四郎◎栞
■伸びた夏草の向こうが海という映像の設定が昔の映画を見ているようでとても好き(杜)■情緒が勝ちすぎてるんだがな(十四郎)■海ではなく国道一六号線(菊野)■日中、草刈りに夢中になるあまり、袖ヶ浦から転落した農家の主婦の句(裕)

夏野かな石とぼくならぼく有利  規夫
◎等◎菊野◎哲郎◎十四郎◎裕◎吾郎
■ぼくの勝ち(菊野)■なぜに?(杜)■何を競ったのか(吾郎)■ぼくはパアだから(十四郎)■ぼくが二度出てくるところと、対象化された想念がおもしろい(裕)

マニュアルと食わず嫌いの夏に入る  美智子
■夏は恋の季節だよーん(杜)■馬には乗ってみよ。人にはそってみよ(菊野)■なんのマニュアル?(裕)

鮨の待つ神田の檀家妻の死す  吾郎
◎規夫◎勝之
■これはもう文句なしでしょ、脱帽(勝之)■もういいや、降参した。どうでもしてくれ。オレを好きなようにしてくれ。「バッチこーい!」と後ろ向きになってパンツ降ろすよ、もう。最初、それと気づかぬほど意味が整っているところが凄い(裕)■神田鮨に入って作った句だろう(等)■時間通り来てねと思う喪主の妻(菊野)■そう、死んだって、ただの檀家の妻でしかない(杜)

衝動買十二衣も衣更  テル子
■十二単、紀子さんが結婚の儀に着けていたものは初夏らしくよかった(菊野)■ちょっとわかんない(杜)▼テル子さんの〔近況〕を読むとわかります(当番)■十二単を衝動買いするとしたら、相当の衝動女だ(裕)

エスニック喉通過せり赤花火  葉子
◎等
■一度食べてみたい(菊野)■美味しかったかい?(杜)■タイ料理かなんかを食べたら、花火があがるほどカラかった…ということじゃないですよね、まさか。頼むから違うと言って!(規夫)■「赤花火」じゃ付き過ぎじゃないの?と、唐辛子批評をば(裕)

あじさいの毬の色からまず暮れぬ  裕
◎等◎テル子◎勝之◎吾郎
■いろいろに変わるあじさい色。暮れるときは夕やけ色、朝は朝やけ色。人生いろいろ(テル子)■うまいっ、お上手、納得、安心(勝之)■なんか新鮮(吾郎)■毬の色ってどんな色(菊野)■これ本当に、本当によくある句なんです。あと、あじさいと死に顔の取り合わせも(等)■ひいきしすぎだよ(杜)■おくんちじゃ、この程度では凡庸かな、やっぱり(裕)

蜥蜴の死じっと見ているうんこ座り  杜
◎菊野
■だんご虫だったり、小蛇だったり、夏の庭でよくすわる(菊野)■うんこ坐りにはなんとなく悲しい実感がある(裕)■「じっと見ている」がゆるいってか(吾郎)■瀕死の蜥蜴さんにウンコのお布団かけてあげればよかったのに(規夫)■うんこ座りを運座かと思ったら大間違いであった(杜)

電子音虫の形に虹が立つ  菊野
◎等◎美智子◎テル子◎栞
■上句とのぎこちなさ(意味のつながらない離れすぎ)がオモシロイ。虹の姿はどんな虫? いも虫ですか? ダンゴ虫?(美智子)■古代中国では、虹は虫が作ったものと考えた。だから虫ヘン。「形」ではなく動かしてほしかった(等)■ピリピリと静電気おきたのかな(テル子)■なんかちょっと興味が残る句。虫ヘンから虫の形…ううんデジタル。テクノ音楽(クラフトワーク時代の)的感触か(規夫)■眠い(杜)■「電子音」はもういいと思いながらも、うまい句ではある。どんな虹だったんだろう。崩れかかった虹かしら?(裕)■句会で得た知識をそのまま句にしてしまった。嗚呼、芸がない(菊野)

こうもりを頭の上に飛ばしゆく  勝之
◎葉子
■抽象画を見ているみたい(杜)■ホンダのCMに出ているモンスター一家…という解釈はさすがに無理があるか(規夫)■こうもりも、この頃とんと見なくなった(菊野)■目黒近辺にもけっこう飛んでいる。目黒川のこうもりは橋の下を潜っていたぞ(裕)

東京の空とオヤジと蛇苺  栞
■単語三つ並べる俳句というのは興味はあるんですがむずかしいですよね。フランス映画の邦訳か、そのパロディーみたいになっちゃう。この句は昭和三〇年代の大映映画みたいですね(規夫)■このタイトルで映画撮ってみよう(杜)■オヤジはオジヤのほうが面白いと思います(等)■蛇苺、この頃なっていない(菊野)■前回のおくんち杯に出せば、一升瓶+佃煮セットがもらえたのに(裕)

黒南風や巫女の日当配られる  哲郎
◎杜
■巫女の日当がいい(杜)■給料袋はありがたい(菊野)■さりげなく観察していて、軽いところがいいが、微妙なところでアウト(裕)

わが卑弥呼見ざる聞かざる山つつじ  美智子
◎等◎裕
■卑弥呼とは奥さんのこと?(等)■知人とは知らなかった(菊野)■卑弥呼も女だ(杜)■抑揚があっておもしろい。山つつじで締まっている(裕)■わからんがなんか凄そう(吾郎)

五月場所頬に纏わる乳房かな  吾郎
◎杜◎哲郎
■男の乳房とわかっているから安心だ(杜)■なんと暑苦しそうな。たとえ女相撲でもこりゃ、イヤだネ(裕)■私も負ける(菊野)■ううっ。おもしろいが、まじめに言っちゃえば、相撲取りがこの句を詠んだのでなければ、「纏わる」はやはり川柳ですね。それと「鬢に纏わる」のほうがニチャニチャします(規夫)

このごろは朝から目高の卵取り  葉子
◎テル子◎勝之
■すずしそうな感じが好き(テル子)■今度、僕も連れてってください、お願いします(勝之)■なんて残酷な! 絶滅の危機とか言われているこのご時世に見上げた根性(規夫)■取れたての卵か…?(杜)■村の川にもいなくなった(菊野)■鰻の稚魚取りのほうが絶対カネになると思う(裕)

ゆかた着てかろき袂のひらりひら  テル子
◎哲郎
■ううん、この歌詞で梅沢富美男に踊ってほしい。女装したケーシー高峰でもいいが(規夫)■よっ、いい女(杜)■幼き頃を思い出す(菊野)■まだ一重くらいじゃないの。あっそうか、仮縫いしてるのね(葉子)■ゆたか来てかろき財布のへろりへろ(裕)

跳ね魚勾玉になる空の日  杜
■美しい(菊野)■魚が勾玉にみえるエライ。おしかった(葉子)■「空」は「空ろ」でしょうか? でも景ははっきり浮かぶ(裕)

あるだけの羅だして泣いてみる  菊野
◎杜◎美智子◎哲郎
■句というより詩の一節のようですが、わかるだけに、見えるだけに選んでしまいました(美智子)■今日一。とっても変。心情がよく分からないその分だけ面白いんだな、これが(哲郎)■これ、女にしかわからないと思うよ。泣くことは一番身体にいいことだから、思いっきり泣けばいいのよ(杜)■これ自己顕示まる出し、または露出狂、そう言われるよ(等)■実景なら何も言えないし、フィクションなら「泣いてみる」が甘いし(裕)■羅漢とか曼陀羅とか、羅馬とか(吾郎)■年甲斐もなくいやだね。でも、ストレス解消になる(菊野)

緑陰に首吊りさげし照坊主  勝之
◎杜◎哲郎◎葉子
■テルテルボウズはやはり首吊り(葉子)■今日は、中学の運動会。一三才にもなって、巨大照る坊主を作っている我が子がいとおしい。だから、この句はいただき(杜)■教室の黒板に吊り下げてあります(菊野)■このさい長銀の支店につり下げてあげよう(裕)
あちこちに枝豆の殻いつつむつ  十四郎
■あとかたづけが大変ね(菊野)■立って食べるな(杜)■枝豆の殻は殻入れのお皿に入れてよ(葉子)■灰皿に捨てるな。あれはいかん、気持ち悪い(裕)

なかんずく浪速の水母の水平思考  等
■浪速って大阪のことかしら?(菊野)■わからん(杜)■おくんちもどんどん変になってきた。いいぞ、いいぞ。水平線の彼方へ行こう(裕)

伴天連のような真昼を百日紅  哲郎
◎規夫
■なんかこういう「とりあえずインパクト」みたいなの取っちゃっていいのかなあという気はしますが、今回は気持ちよく騙されておこう(規夫)■ザビエルご一行様が通る(菊野)■宣教師って、どちらかというと花曇りみたいな人が多い(裕)■バテレンが変換されなかった。一太郎もあまり役に立たん(杜)▼おかしいですね。うちは日本語変換だけ一太郎のもの(Atoc)を使っていますが、一発で変換しますよ。「伴天連」。ね?(当番)
ソンドンヨル煙みすじ立つ夏天  規夫
■良いときに良いところ見た感じ(杜)■中日と煙みすじとわからん(葉子)■ソンドンヨルがいつも立てているのは青筋である(裕)■天童よしみ、好きです(菊野)■誰か朝鮮半島行きました?(吾郎)

銅像のおじさんだあれアマリリス  裕
◎規夫◎テル子◎十四郎◎吾郎
■アマリリスはだまって突っ立って咲いていますよね。歌にぴったりのアマリリスだね(テル子)■とってつけた季語によって異化効果を生む詐術なのに、なぜかアマリリスOKッス(十四郎)■今回は特に、フツウに巧い句が目立つ(規夫)■西郷さん以外、わからない(菊野)■アマリリスの曲で銅像が踊り出す。不気味さ(杜)■祐天寺境内に建っている人。何度名前を読んでも、まだ誰だかわからない(裕)■やっぱ金日成でしょう(吾郎)
〔以上38句〕

〔総評・近況集〕
▼お元気ですか。テル子です。このところ着物の買いすぎでお金の使いすぎ。塩沢紬、大島紬、結城紬、久米島縞、みんな買っちゃった。あー貧乏です。そしてきょうは着物ショーをお友達と見に行ってきます。買った着物みんな一束まとめて十二衣みたいにして着ていこうかなー。あーあー着物は重いが、サイフは軽い。句を送ります。みんな着物の句にしました。(テル子) ※投句時。
▼着物ショーに行って来たよ。もってる着物全部着て、帯きつく締めて一日中着ていたら、暑くて、あせもだらけ。とんだ十二衣だった。あせもも十二色になったみたい。平安朝もいいね。(テル子)
▼5月20日、クワガタ虫発見。二キロ減量に成功。三つの鉄則を決めた。@ピザはビールといっしょに食べない Aトーストにジャムやマーマレードはのせない B日本酒を控える。ぜったいやせる。あと三キロやせたい。5月23日、等さんたちとミニ句会をした。少人数でも面白かった。席を提供してくださった句友は、私の母と同い年。昭和三〇年代を思い起こさせてくれるお宅だった。猫が四匹。おうちの中で飼っていた。どれも毛並みがよくて美猫だった。我が家は外で放し飼いなので、どれもワイルド。粉屋の句(兜太)が面白かった。(菊野)
▼突然寺の屋上に鉢物が三十も並ぶ異常事態。毎日孤独の水やりを余儀なくされている。カンカン照りにオロオロ。風が強いと大慌て。雨が降ると取り込む始末。おそらく過保護。宮澤賢治的心労心痛をこの歳にしてはじめて知った。(哲郎)
▼家のなかでおけらが鳴いている。蛍光灯みたいにジージーと耳障りだ。〆切を半月以上すぎてあせっているのに、うるせえケラだ。あと六十枚(裕)
▼最近はなにかと忙しい。犬の散歩(朝の部)やら、自分の朝食の誂えやら、皿洗いで午前の部を終え、ふーとか言って煙草吸って、紅茶飲んで一服しつつcdの一枚も聞きよるともう昼。こう暑いと冷麺ですよ、冷麺と、卵を茹でて、ネギ、キュウリ、チャーシューを千切り、キムチ用意してヨーシ、お湯沸いて麺茹でーる。どんぶりにブチ込んでハグハグ喰う。爪楊枝でシーハーしながらワイドショー。鍋とラーメンどんぶり洗う。米研ぐ。洗濯物取り込む。犬の散歩(夕方の部)。魚三枚におろす。味噌汁沸騰する。子供帰ってくる、嫁さんバイトから帰ってくる。一家団欒。(勝之)
▼酒を自主解禁にしてから、毎日飲んでる。で、今朝は打ち上げ帰り。でも銀座のど真ん中で朝4時までやってる奇特な店を発見。ビール大瓶380円ってのも奇特でしょ。(吾郎)
▼死のついた句、なんでか多いね。あえて、とらなかった。今朝は5月最終日曜晴れだったから、なんとなく。(葉子)
▼自分の句も含めてなんだけど、ついにオクンチも動脈硬化に入ったのかという感じがします。心の動きがサッと出てくるような句がなくてサミシイのです。(等)
【当番】、まえまえから動脈硬化を見出す向きは多かったと思いますが(当番を含め)、いよいよ重症? まあ、オクンチも艱難辛苦を乗り越えてゆかねばならぬ、ということでしょう。セラヴィ、セラヴィ。

【当番から】
重要 ▼次回、気分を変えるために、投句を「2句以内」とします。※もし連絡不達かなにかで3句出てきたら、当番が2句選びます(シャッフルして)。どうぞお間違えのないように。
▼次回(6月9日)も当番は規夫です。

【当番からの宿題】人間を2つ(あるいは3つ)に分類しなさい。
オクンチ諸君からの解答(到着順)
○美智子▼夢のない人/夢のある人/夢をかなえる人 
…0点→「夢」では分類できないようですね。自分が、あるいはある人がどれに入るか、わからないでしょう?
○美智子▼食えぬ奴/食える奴/食われる奴 
…50点→三つめが不要。惜しい!「食いたくもない奴」のほうがまだしも良いと思いますよ。
○美智子▼つっこむ人/ボケル人/それを見て笑う人
…0点→どっちもしない人、どっちもする人、笑わない人も大勢いるので×。
○等▼自分が死ぬ夢を見る奴/そうでない奴 
…70点→OKです。ちょっと高尚すぎるけど、うん、こういう感じね。
○ちょうどやってきたバイト君▼ひとの役に立つ人/害になる人/どちらでもない人
…30点→誰にとっての益や害なのかが曖昧。「自分にとって」と言い切れないところが甘いな、司法試験めざすわりには。
○菊野▼ミッシェル・フーコーを知っている人/知らない人 …65点・ナイス。こんなんもアリです。
○テル子▼まじめ人間/どうでもいい人間 
…オマケで20点→これは分類ではなくて、2極。誰もがこの2極の間の中間にいる。ちなみに、テル子さんは「まじめ人間」は「肩がこるから疲れる。バカ者だと思う」とおっしゃっています。でもね、テル子さん。人間、まじめが一番。私はそう思いますよ。
○杜▼転生輪廻する人間/しない人間  転生輪廻しない人間の魂は宇宙で昇華する
…0点→あのね、人間はね、転生しません。嘘だと思ったら西念寺の哲郎さんに聞いてみるといいです。それと、ある人がするかしないか、ほとんどの人はわかりそうにないからダメ。ひよこのオスとメス見分ける人が世界に1人しかいないとしたら、不便でしょう?(ちょっと話が違うけどね)
○哲郎▼人生長すぎると感じて「しょーがねーな」と思ってる人/短すぎると感じて「しょーがねーか」と思ってる人
…80点→味出そうとして、まずまず出てます。その気にさえなれば、人をたぶらかして暮らしていけます。伊集院静程度に、イイ女も手に入れられるでしょう。当番先生は長いとも短いとも思わないから、分類としてはちょい不備ですがね。
○十四郎▼わかりやすい奴/わかりにくい奴 …80点→うん、わかりやすい。
○十四郎▼宇宙人/地球人/その混血 
…0点→宇宙人はいません。嘘だと思うなら、西念寺の哲郎さんに聞いてみてください。
○十四郎▼クレタ人だけ …10点→意味不明だから10点あげるね。
○十四郎▼人間となんちゃって …5点→意味不明だから5点あげる。
○十四郎▼殺人許可証を持つ奴/そ奴に殺されて泣き寝入りする奴
…0点→意味はわかるが、この世はそんなに楽しくない。現実から目をそらすのはもうやめよう。
○十四郎▼人と人でなし(人と虫けら、人とクズ)
…0点→人を賛美しすぎ。あるいはサンチマンありすぎ。
○十四郎▼する人/される人/したりされたりする人 …70点→矛盾がない。OKよ。
○唖々砂▼トワ・エ・モア 
…70点→惜しい! 腰が引けた。「あなた」と「私」などではなく、逃げずに「私」と「私以外」と言い切れば100点あげた。
○葉子▼生きてる人と死んでる人 
…85点→この分類は重要だから、みんなメモしとくように。「死者の民主主義」という語はチェスタートンだったか。西部邁が好きな用語だがな。
○勝之▼自分/自分以外…100点
○菊野▼さりげなくいじわるをする人/面と向かっていじわるをする人/無意識にいじわるをする人
…0点→いじわるをしない人も大勢いるから×。
○菊野▼この問題の遊び心がわかる奴/わからない奴
…オマケで40点
○裕▼ももひきをはく人/それ以外 …80点→OK。明確。
○裕▼「自分は頭がイイ」とする人/「自分は頭もイイ」とする人 
…15点→なんだかややこしい。当番先生、よくわかんな〜い。
○吾郎▼自殺する人/しない人 …25点→「した」「しない」なら明解だが…。
○吾郎▼左利き/右利き/それ以外 …85点→うん、明確。「それ以外」が効いてます。
○吾郎▼ご飯にバターとマヨネーズとケチャップと魚醤をかけて旨そうに食べる人/それ以外▼原稿の催促をしない編集者/それ以外▼わけのわからんことを思いつく当番とそれ以外 …まとめて20点
○栞▼イイ奴とヤナ奴 …5点→判定に時間がかかりすぎる。
○栞▼尽くす人と尽くされる人 
…50点→うん、この区別は意外に明快。だけど尽くさない人、尽くされない人がいっぱいいるぶん×。
○栞▼酒を飲む人/飲まない人/飲めない人 …75点→イスラム教徒もどれかに入るので○。

【その他の回答例】(模範解答ではけっしてありません)
▼人間を2つに分けたら自分は少数派に入ると思っている人/そうでない人
▼用を足したあと、股の前から手を回して尻を拭く人/後ろから手を回して拭く人/拭かない人
▼ヴィジュアル系/実力派/丸腰
▼海抜0メートル以上にいる人/以下にいる人

【当番先生からひとこと】
分類は、「その他」が多く出たらダメです。だから今回は、二つ(あるいは三つ)に当てはまらない人間が大勢いたらダメ。例外、どっちつかずは最小限に抑えないといけない。これからも、本格的な分類に取り組んでいただきたい。
あ、それと、わかってるでしょうけど、これは俳句とはまったく関係ないです。

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九の付く日のFAX句会 オクンチ 第26回 99年6月9日  水曜日
〔今回の一句〕
蛇いでて墓の乾きのぼんの凹  等
◎唖々砂◎美智子◎規夫◎吾郎◎杜
■空梅雨ですもんねえ。目に浮かびます(唖々砂)■色気ありとみたが、よくわかりまへん。でもとりました(杜)■「墓」ではなく「蟇(がま)」なのかな? がまならとってもグッドですよね(美智子)■くぼみではなく「ぼんの凹」として、「墓の」から直接もってくるのではなく「乾きの」をはさんで重層的、おまけに「蛇」の動きがある。これは優秀作品でしょう、文句なく。(規夫)■「くぼ」じゃなくて「ぼこ」で出した。不思議な読後感(哲郎)■ボンノクボという言葉は知っているが表記は知らなかった(吾郎)

〔以下順不動〕
アリア近く遠くうつぶせの昼寝  亞子
◎規夫◎裕
■一に「うつぶせの昼寝」という像の選択力。二に、空間をたゆたう音という時間の距離感を、固定像に流し込んだ手腕。それが時間と像の統一をもたらした(裕)■よだれが枕にべっちょり…というような軽口はさておき、よくあるモチーフと思うが、作り込みすぎず、自分よがりになりすぎず。これは案外むずかしいこと(規夫)■気持ちの良さが伝わる。すごくいいんだけど少し、せめて自壊の予感でも出てればなあ。惜しい気がする(哲郎)■「近く遠く」が音量のような、音の脚の長さのような、夢と現のような…で面白い(邦夫)■動詞がないのは好きなんだけど(吾郎)■肝臓が弱ってくると、このうつぶせ寝ができない、苦しくって(勝之)■このところ、わたしゃ三食昼寝付き、いいだろう?▼ううん、あんまり(当番)

窓あけて地球の恋も天の川  テル子
■でっかくて景気がいい(哲郎)■大きいね(葉子)■「地球の恋」というなら、地球外生物が詠んだみたいな作りでなくちゃ。それならすごくおもしろい(規夫)■社会の窓だったらすげえ変態だと思った(杜)

鱶食うて六月花嫁片笑窪  邦夫
◎勝之
■ジューン・ブライドは鱶と片笑窪がよく似合うと思う(勝之)■花嫁は何をしてもオーケーよデュシャンの昔から(亞子)■面白いが「片笑窪」がイマイチ。俺だったらよお「のパンチラ」かな(哲郎)■魚に養って何て読むの? 漢和辞典がない(杜)▼買おう(当番)

笹の舟流れに放つ光琳忌  葉子
■きれえじゃん(杜)■俳句技法的には出来ている。が「いかにも出来ている」で止まる(哲郎)▼俳句のセンセが1人いる(当番)

厚塗の梅雨空はたと落つる魚  哲郎
■「厚塗」と「瀝青(ちゃん)塗」で最後まで迷った。今様催馬楽、中世歌謡に取材したんだけど、そんなことどーでもええこっちゃ(哲郎)■厚塗りの化粧だったら面白いと思った(杜)

弔いに湧いて出た蟻の記号化  杜
■記号化されているのが「弔い」の方であれば。「蟻アナログ」とか(哲郎)■「蟻の記号化」は面白い表現だけど、「湧いて出た」が少しゆるいかなあ(邦夫)■記号って便利(吾郎)

野の蚕脱皮するあたり恋生まる  菊野
◎テル子◎美智子◎邦夫
■自称枯れ木はこういうの好きなんだよな。「あたり」がちょっとファジーかな。「とき」「ところ」などではだめなのかな(邦夫)■あじさいの花と思いが同じかな。いろいろな恋が生まれたらいいですね(テル子)■私の世界にはない発想。「するあたり」がもたもたした感じなので、「している」で切っては?(美智子)■採りたかった。「あたり」が曖昧なのかなあ。あるいはそれが狙いだとすると、うーむ(哲郎)■オスもメスも脱ぎ給え(杜)

炎昼の予感的中ポップコーン  美智子
◎葉子◎菊野
■なんだかありそう(葉子)■このごろよく的中してしまうのでね。でもうまい句(邦夫)■羨ましい。競馬場の私はこんなときホットドッグを食う(哲郎)■はじけた(杜)

新緑やその先々の父と母  吾郎
◎哲郎
■望外、寺の掲示板(第二十三代)にいただかせてほしい。すらっとしていると思う(哲郎)■この頃、父と母の奇妙な関係を振り返るとばかばかしくなる(杜)

重き手を伸ばせば甘き枇杷の庭  栞
◎テル子
■私の生まれた7月頃になると枇杷の実が色づくんですね。枇杷の酒つくって送ってください。お礼に新潟の酒送ります。ちなみに七月一日は私の五〇歳の誕生日です。よろしく!(テル子)▼テル子さんは本気と、当番はみました。誰かなんとかしないとな。特に枇杷の実をどっかで盗めるという奴(当番)■「重き」が不判明(哲郎)■重いと甘いがくどい(杜)

むかし男くらげの様におはしけむ  等
◎哲郎◎邦夫◎栞
■在五中将がくらげのようであったと想像すると面白いね。今業平と言われるような男もいなくなったね。今の世にこんな漢が多いんだな(邦夫)■勝手に「をのこ」それから「へのこ」に転じて可笑しくなった。トボケの句は成功が難しいように思うが、これは好感が持てる(哲郎)■だいたい二丁目あたりですよね(栞)■今もまあ、くらげっていえばくらげのようなもんです、スンマセン(勝之)■マンボウ女がくらいける(葉子)■くらげは大好きです(杜)

口紅やまいまいかぶりが殻から出る  裕
◎勝之
■酷薄な感じが赤い口紅とピッタリ。ラセンを描きながら出てくる口紅の容器にもフィット(勝之)■あと何ミリか殻から出るべき。「まいまいかぶりに模した自分」をもっとはっきり主張しちゃえば可笑しみや哀しみが出るのかなあ(哲郎)■「口紅や」の切れが成功しているのかどうか。「まいまいかぶり…」は比喩ではないですよね。好きな句の一つではある(邦夫)■なめなめくじ〜かと思った(葉子)■そりゃあよかった(杜)

男歩くその靴の古び方  勝之
◎邦夫◎杜
■調子は日光の手前だけれど、「古び方」が的確に様子をあらわしている(邦夫)■男はみんな草臥れている。「女は元気」が見えてくる観察眼がいい(哲郎)▼男クタビレ・女ゲンキの図式。こういうのを「ポストコイタス的ダンコンシュギ」というのだわ(当番)■季語と組み合わせたほうがおもしろくなるんではないだろうか(規夫)■失業した?(葉子)■昔から「足下を見る」とはよく言われるが、わたしは好きではない。生活やら考え方やらの幾分かを知ろうとする人間の習性なのだろう(杜)

倒産の西日の窓に枯れるもの  唖々砂
◎裕
■「西日」「窓」「枯れるもの」と、ややもすれば、安易な既成観に陥りかねぬ選択の流れを、韻のリズムによって、ひとつの強度を持たせた(裕)■鉢物はとりあえず持って夜逃げしましょうね。気力も夢も枯れちゃうけどさ(勝之)■わしんとこの不動産屋つぶれよったんやけど、「ハイ、倒産産業です」なんて大きな顔して電話に出よったん。腹立って殴ったろかと思ったで(杜)

お醤油にお酢がひろがる走り梅雨  規夫
◎亞子◎吾郎
■お酢にひろがるお醤油がセオリーでは?(亞子)■何食べるの?(葉子)■確かに「走り梅雨」ってそういうものだ。おい、餃子か?(哲郎)■ラー油も入れてね(杜)■ギョーザ食べたのね(吾郎)

短夜の読まずに畳む新聞紙  亞子
◎葉子◎菊野
■読めば新聞、読まなければ新聞紙。つまり元々新聞紙。ただ束になる自分(哲郎)■せめて見出しだけでも読みたいが、もう気力がない(杜)

腰かがめすっと抜き捨て夏草を  テル子
■夏草ってけっこうしつこくって、なかなか抜けません(葉子)■ウ〜ン、実感が今一つ伝わってこない。腰据えてとらないと抜けない(菊野)▼腕力は人それぞれですから(当番)■腰痛に要注意!(杜)■「誰かがめすっと抜き捨て」るのかと思ってドキッとした(哲郎)

砂日傘たたみ忘れし月の浜  葉子
◎唖々砂
■ちょっときれいすぎる気もするけど、ロンボク島の月の浜を思い出させていただきました。もしかして「枇杷の庭」と同じ人?(唖々砂)▼はずれ(当番)■雰囲気は好きです(勝之)■寂しいしなかなかの哀感がある。ところで「月の砂漠」の作者の子孫が根岸に住んでいてずーっとずーっと印税で暮らしている(哲郎)■行きたいな!だれかわたしを連れてって!(杜)

蛤の舌舌舌失意の夜中  邦夫
◎亞子◎杜◎等
■蛤はシタシタ、失意と夜はヒタヒタ(亞子)■砂だしされる貝たちよ、月夜の晩に逆襲するのだ(杜)■オモシロ俳句にしたくなる(等)■舌の三連発が実にうまく効いているのだが、夜中にちょっと引っかかってしまいました(勝之)■「舌」が一つ余計だったと思う、リズム的にも(規夫)■「舌舌舌舌失意の夜」ならどうだろうか。あるいはそういう問題ではないのか(哲郎)

火葬の煙旨い旨いと夏の空  杜
◎菊野◎唖々砂
■この句もうまい(菊野)■工場の煤煙と違って栄養がのありそうな煙だもんね、旨い旨い!(唖々砂)■そーなんだろか。ほんとに?(哲郎)■うまくないと思う。やっぱ鰻屋の前で煙り嗅ぎながら白飯三杯でしょう(勝之)▼匂いはタダだもんな(当番)■モチーフとは裏腹にディズニーアニメのように無害なのは、どうしてだろう?(規夫)■葬送の煙旨いと〜じゃダメ?(吾郎)

白日傘闘志を持ちて歩むなり  菊野
◎哲郎◎葉子
■「闘志」が面白い。「なり」もいい。一歩一歩がいい。表情がいい。でもすれちがう人は誰も気がつかないんだろな「闘志」に(哲郎)■一度取ったけれどワープロ打っているうちに気が変わった(杜)■トクテイの人物を思い浮かべてしまった!(亞子)■白日傘でめった突き8人死傷!(勝之)■姿三四郎(菊野)

梅雨茸が歩くでっかい顔の歌手  哲郎
◎勝之◎裕
■村田英雄のことか。今度「鼻茸」で一句作ってみたいとは思うが(勝之)■けっして具体ではない二つの想念の選択を、それを関係づけたことで具像を強化し、トータルで、ひとつの質感を獲得している(裕)■そこまで言わずともよかろうや(杜)■梅雨茸は具体的なヒト?それとも傘の様子?(亞子)■小さい頃に大阪駅で見た水原弘(黒い花びら!)は、いやあでかかったあ! それはそうとこの句、面白いんですが、前半と後半が相同homologyに読めてしまう。茸か歌手かどっちかでいいわな(規夫)■ベジタリアンの友人が「俺は昔動いていたものは食わない」と常々言っていた。帝国ホテルでそいつの結婚式(フランス料理)の司会をしたが、新郎の前の皿だけ茸料理ばっか。だが、手をつけない。「どうしてだよ」「茸は昔動いていた」(哲郎)

ラブソング聴くためだけの白日傘  美智子
◎等
■ダレジャ?こんな甘い俳句を作るのは。でも艶はないよ(等)■わかるけど、さー、自分の気持ちだけが良すぎる、と思う(哲郎)■誰も私の愛を受け止めてくれない(杜)▼トーチャンはどうした?トーチャンは(当番)

ザンギリ頭あり蟻あまたあり銀座  吾郎
◎美智子◎栞◎等
■蟻あまた…は少し安易だけど、「ザンギリ頭」と「銀座」のとり合わせでつい…(美智子)■ブッ飛んでしまいました。よく知っている人です(栞)■投句二句となってもまだ止まぬ戦慄の怪文男あり! エライ!(勝之)■回文王吾郎作でしょ。この人、渡辺白泉が好きだと言っています。ダダ的俳人です。「海坊主綿屋の奥に立ってゐた」があります(等)■3句選なのでいただきませんが、今回も文句なしのイイ仕事(規夫)■文明開化の音がする(哲郎)■あのー楽しいね。弱った(葉子)■ありありどうしちゃったのかな?(杜)

あかなす蕃茄の数でとるか色でとるか  栞
◎規夫◎吾郎
■説明のようでいてそうでもないのはリズムのせい?(規夫)■打ち上げ花火横からみるか下からみるか(吾郎)■とりたいよーところで福島県郡山善導寺ではトマトのことだったけどそれでいいのかどーか。俺は色でとる(哲郎)■もちろん色だ(杜)

紫蘇舐めてくちびる紅し排卵日  裕
■よくわかんない。でも何か怖い(哲郎)■ちょっと生々しいけど、うまい句だと思う。この場合の「紫蘇」は赤紫蘇の漬けたのかな(邦夫)■男にもあるぞ、排卵日。エッウソでーす。一部の特定な人だけです(杜)■全部付きすぎ(吾郎)

砂利に落つ影が一番短い刻  勝之
■この時刻のことがひとつ、それからひとつが見えてこない(哲郎)■いま何時?(杜)
カボチャのつるタンポポの首しめてをる  唖々砂
◎テル子
■さてどっちが生き抜くでしょう。サッチーとミッチーみたい?(テル子)■五〇年代のアメリカンアニメみたいですね(勝之)■タンポポにもつるがあるぞと思いつつまたまた全然ちゃうこと考えるなっちゅうにドーパミンどぱどぱ(杜)

ナイロンてなんてきれい葭切鳴く  規夫
◎亞子◎栞
■ギョギョシ、ギョギョシと鳴くそうな…(亞子)■響きとリズムがきれい(栞)■足フェチか? パンストのデンセンのことか(勝之)■アイロニーがイマイチうまく伝わってこないよーに思う(哲郎)■わからん(杜)■「-nte」と「i」で作ったが(規夫)
〔以上28句〕

〔総評・近況集〕
▼月天音楽以来、音楽づいちゃって、最近はエレクトロニックスに走って以降のマイルス(イン・ア・サイレント・ウェイ以降)が聞きたくてしょうがない。でも金がないから買えないし、レンタル屋にはあんまり置いてないんで、視聴覚ブースにちょこたんと座ってヘッドホン。なんとも面映ゆい。佐山さんは持ってない? 持ってたら貸してください。ちゃんと返すから。(勝之)
〔当番〕佐山哲郎さん、持ってたら、くれてやってください。
▼うちの若いモン(♀)がFAX書面で「左とん平」のことを「左とん吉」と書いて送ってしまった。零細編集プロダクションのタコ社長としては、こわい、冷や汗が出る。が、とってもおかしい。大笑い(規夫)
▼追加者ですみません。規夫さんちの「電話」の方へピーピー送信していたらしい。ごめんなさい。もうしません。(唖々砂)
〔当番〕3987がFAX。3986が電話ね。それと「さんち」じゃなくて、仕事場です。
▼春の風おまんが布のなりに吹く 一茶 (等)
▼父親が喉の腫瘍で緊急入院、緊急手術。執刀医はスナックでバイトしているタレントみたいな若い女医だった。今日これからその女医と「声を失うことになる」一人の老人の最後の日常について話し合うことになっている。(哲郎)
▼6日のミニ句会は八木邦夫さんの悲願のアンデルセン公園。佳いところでした。夏風邪のせいで調子が出ません。(菊野)
〔当番〕お大事に。
▼年四回の定期試験のような仕事の時期で忙殺されていますが、オクンチが清涼剤のような、気付薬のような、とにかく楽しみな時間で、今少しハイな気分になってキーボードに向かっています。裕さんの本の書評が当地の地方紙にも載っていて、うれしく読みました。(邦夫)
〔当番〕先週の『SPA!』にも書評あり。国立・増田書店では、「さくらももこ」と「ゴーマニズム」の間に平積み。残念ながら、両隣より嵩が低い。
▼長野の小諸まで行って骨を拾ってきた。短い旅だった。ひとりで寝るのは恐い。火葬場へ向かった。帰りの新幹線でぐっすり寝た。遅れて句会に行ったら終わっていた。お清めの塩をかけなかった。どこか遠くへ行ってみたくなった。(杜)
▼これからオバタリアンたちと黒柳徹子の「マスタークラス」見に行ってきます(テル子)▼ぼちぼち荷物を台車や手で運びこんで、粛々と引っ越し中。何にもないことの幸福。改めて空間の価値を認識。とはいっても物質文明の申し子30年代生まれ。悲しいかな、アルトベンリGOODSが多すぎ! というわけで電話番号が変りました。(井口家)

【当番から】
▼今回、気分を変えて二句出しの三句選という試み。いかがでしたでしょうか。気が向いたら、感想、お考えなどお伝えください。当番としては、「これで何かが変わるわけではないな」が感想。当たり前だ。
▼これは単なる要望ですが、パソコンをお持ちの方は、できれば「Eメール」をご利用願いたい。便利なものは使いましょう。あ、これ、哲郎さんのことを言ってるんじゃないですよ、念のため。パソコンやインターネットで何かが変わるなんてアホウなことは言いません。パソコンをお持ちでない方に「買いましょう」なんてドアホウなことを言うわけでもありません。道具を道具として使うだけの話。

【前回の宿題の積み残し】
亞子さんが「投句もせずに宿題しますう」と、前回、1日遅れで宿題提出。
▼タイガースファンとジャイアンツファン…狭すぎる。 ▼サッカーファンとそれ以外…あたりまえ、でも「グローバル」? ▼飲んベエと下戸…ああ実感。 ※注釈も亞子さん
→採点・3つ合わせて10点(うち7点は「しますう」の語尾(媚び)に。当番先生、この手が好き)
〔当番先生のコメント〕サッカーも野球もその存在さえ知らず、世の中に下戸がいるなんて信じられないシベリアの木こりには、まったく納得できない二分法だろう。よって3点。

【次回は井口家】FAX&TEL変わりました。
次回もとりあえず「2句出し」とします。どうぞお間違えのなきよう。

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九の付く日のFAX句会 オクンチ 第27回 99年6月19日  土曜日
〔今回の一句〕
紫陽花の下を石這ふか滑るか  哲郎
◎葉子◎美智子◎規夫◎裕◎栞
■すべりそうな石に、又つかまってしまった。石フェチ(葉子)■石って這ったり立って歩いたりしそうです(美智子)■なんのことだかむずかしい。考えるのが面倒だからいただいてしまう。句会だと、褒めようがなくて窮地に立たされるパターンだが、ここはひとつ「選び逃げ」ということで(規夫)■梅雨時ツルリステン不安神経症の私としては、この感じということで。這ふか滑るかがリアルでおもしろい(裕)

〔以下順不動〕
梅雨あびて垣根ふやふや猫の道  テル子
■家の隣りのブロックべいの上を猫が渡る。あれが猫道か(葉子)■うーん、この感じ、いいっす。この時期、草も木もみんなしなだれている。傘でつつて、軽くしてあげたくなるっす(裕)

お題目唱えている向日葵の野  杜
◎等
■そうとも思える。そうだ!と思わすには二物衝撃の方が良さそう(等)■大きな向日葵が、唱えている図はうるさそうで、あつくるしい、夏ね(葉子)■お題目って、日蓮宗の「南無妙法蓮華経」のことをいうんだそーです。そーと知ったらあの文字の像を思い出して、おもしろくなってきた(裕)

桐の花おまえも好きかあの空が  美智子
◎菊野
■うん、とても大好きよ(菊野)■で、その答えが聞きたい(規夫)■ロンパールーム1号に告ぐ。ゲタにして出荷するぞ、コノヤロウ。それともタンスがいいか。好きなほうを選べ(裕)

駅からは麦藁帽子坂の街  葉子
◎哲郎
■実はこういう出来合の原風景に滅法弱くてすぐホロッとなります(哲郎)■いい雰囲気。でもちょっと甘めか(勝之)■先日、閣議をもって、首都圏百キロ以内では、麦藁帽子はもう売っていないことに決定されたことを知らんのか。♪それ〜でも待ってる夏休み〜とくらあ(裕)

いつ刈ろう夏草の壁や壁  菊野
■草刈りするときは長袖を着てやろうね(葉子)■昨日、床屋に行って刈ってきました(裕)

熱風に香辛料の街尖る  亞子
◎杜◎テル子◎栞
■熱い感じがいい!(杜)■この前暑くて眠られなかった夜の事を思い出しました。焼肉のあの煙も思い出しました(テル子)■吉村作治先生のビルのパピルスというレストランの空豆のコロッケ、クミンがきいてて美味。エジプトの香り(葉子)■ホンコンかタイあたり。ああっ行きてえなあ!(勝之)▼仰せのとおり、亞子さん今回香港からの参加でした。カッコイイー!(当番)■付き付きで、JALの機内誌の記事タイトルのよう。でもそれだと「尖る」に赤が入る(規夫)▼仰せのとおり、JALかANAはわからないけど(当番)■バンコック? アカプルコ? どちらかといえばバンコックのほうが辛いゾ(裕)

昆布刈る暇を纏いルカ文庫  吾郎
◎哲郎
■ルカ文庫は少し苦しいような気がしますが、精進益々、上々の出来、御発展をお祈り致します(哲郎)■「ルカ文庫」ってほんとにあるの? ないようには思えないところがすごい。「いとまをまとい」がやや文学的になっちゃうところがかえって辛い。今回もイイ仕事です(規夫)■海岸で待ってると刈りとったあとのわかめが流れつく。ひろって料理。最高の美味(葉子)■これ、誰かのことを句にしたのでしょう。なぜ「纏い」なのか?ワカラン(等)■回文で決める春めき田麩烏賊……いけねえ、もう夏だったか(裕)▼黴を美化(当番)

梅雨寒のタンゴ・アルヘンティーノ再会  栞
◎亞子◎吾郎
■梅雨寒にはボサノバもいいよ(葉子)■とうとうと流れる時間の素晴らしさを実感させてもらいました(吾郎)■プグリエセ、聴きに行きたいなあ。取材さえなけりゃ(裕)

夏は温泉卵から無が始まる  等
◎勝之◎規夫◎裕
■わかったような、わかんないような理屈ですが「その通り」と思わせる(勝之)■温泉卵は大好きでこのあいだも食べた。だからいただきます。無が始まったとはどうしても思えないのだが(規夫)■実をいうと、まだ食ったことないんだけど、うまそうなのでいただきます。ところであれって剥くと黒いの?(裕)▼表層より2ミリ程度まで黒のグラデーションだったかと(当番)▼エーッ、温泉宿で朝食に出てくるあの半熟のやつでしょ(当番2号)■胸がつまりそうだ。う。う。う。トントン(葉子)

untitledをウンチトルドと読んだ夏  規夫
■犬の散歩させてる人の標語にしよう!(杜)■やめなさいってば(勝之)■スコッチのteachersをテアックハーズと読んだ東大生(=当時。誠治君)は、いま立派なお医者さんです(哲郎)■バーズの2枚組しか思い浮かばない私は15歳を相手にしてます(吾郎) ■作者あてクイズ・ノリオ、アーサ、モリのいずれか(等)▼3人も名指しして当たるに決まってんでしょ(当番)■なるほど、かつて帝都をタップン、タップンと彷徨したバキュームカーには「東京都衛生局」とではなく、「UNTITLED」と記すべきであったと思わされた(裕)■ヘブン関係者はよくご存じの金田トメ氏の中学生時代。英語を使ったのはオクンチ史上、杜さんに続いて2人目。どうだすごいだろう、って、どこが?(規夫)

酷い味弾けている柘榴かな  杜
◎菊野
■食べた事はないけど、そういう味がするか(菊野)■柘榴酒は、何にでも効くそうですよ(葉子)■先日、道に落ちてる梅を齧ってみたら、やっぱり酸っぱかった。気のせいか、腹が痛くなった(裕)▼青梅には毒があるので要注意(当番)

届かぬとそれでも背伸び夏の星  テル子
■身をよじれば近づくかも(規夫)■ロンパールーム2号に告ぐ。身をよじれ(裕)

夕立や湯飲みを包む反古の紙  葉子
◎美智子◎栞
■反古の紙で日常を包んでいる。これまた酷い句です(美智子)■引越ですか、井口家かな(勝之)▼はずれ(当番)■「新聞紙」じゃフツーというわけで「反古の紙」ならフツーじゃないかといえば、やはりフツーだろう(規夫)■引っ越しって準備が面倒。遠くならいいが、近いとなんか腹が立つでしょ(裕)▼いやいや、で、はずれ(当番)■我家は目下、自分が必要なものを手持ちで運んでおります。先日はご飯茶碗とお碗を各自運んだ(栞)

レース鳩草刈り機械始動す  菊野
■チェーンソーはジェイソン、草刈り機は東京都公園課のおじさん(裕)

身をよじるほどに近づく夏の天  美智子
◎テル子
■笹川流れの海でキャンプした夜、星が覆い被さって来ました。"ジャックとまめの木"を思い出しました。枝豆で新潟の'ひとりむすめ'おいしいです(テル子)■背伸びしたら届くかも(規夫)■ロンパールーム3号に告ぐ。背伸びせよ(裕)

梅雨最中こんがらかってる三重奏  栞
◎亞子◎等◎規夫
■モナカじゃなかったのネ(等)■「つゆもなか」って読むんですか、これ。「かってる」じゃなくて「がってる」だと思いますが、それはどうでもよくて、おもしろいですね。具体的な記述じゃないのに、音が聞こえてくるような気になった(規夫)■もなかと読んでしまい茶を入れてきた(葉子)■すぐに黴が生えそうだけど、美味しそうな梅雨もなか。で、三重奏。実景なれど、イマジネーションをくすぐります(吾郎)■梅雨最中は早く食べないといたむ(裕)

夏雲たつやビルとビル映し合う  亞子
■CMのワンシーンみたいだけど、都会的な絵(葉子)■これ、実景のようでいて実は「頭の中」なのでは? 「映し合う」ところが見える距離とか角度って、あまりないと思うんです。私もつくづく見るんですが、この風景は。特に台風の後なんかに。向かいのビルを映した片一方のビルに視線を絞ったほうが「実感」だったと思います(規夫)■頼まれもしないのに、毎日、無限に映し合っている。ポスト・モダン建築もたいへんなのね(裕)▼香港実景之図(当番)

逆さまのスプーンは無価値夏至の空  規夫
◎菊野
■給食のスプーンで、よくためしました(菊野)■逆さまにも二通りあって…と、そんなことはどうでもいいが(規夫)■そーかー、こすって曲げるぐらいしかないのか(裕)

梅雨空の胸ぐら掴むバンドネオン  吾郎
◎葉子◎杜◎等
■夏の夜のアルゼンチンタンゴはいいね。濃ゆくて(葉子)■かっこいい!(杜)■話題となっているあのネオン奏者、よく喋る。この句メチャ、イー。スキデス(等)■なんかすごくややこしい景だと思いません? 皆さん(規夫)■弾きだすと雨が降りだしそうな今日このごろです(裕)

貝を煮るあッ梅干に皺がない  哲郎
◎勝之
■とぼけた味わいに一選(勝之)■貝を煮る時に梅干し入れるのか?食べてみたい(葉子)■「あッ」だと笑えません。字面で突出しないほうが笑える(規夫)■うちの婆さんは、煮たわけでもないのに毎朝、皺がありません。午後になると、皺が回復します。要するにただむくんでいるだけであります(裕)

日本海の金管楽器の水母なり  等
◎吾郎◎裕
■ぶぉ〜って汽船の霧笛か、泣きのテナーサックスか、テイチクの音が聞こえる(吾郎)■ワケのわからんクラゲだが、固そーなのだけはたしか。歯ごたえをいただき(裕)■「水母」といえば最近は大穴聖人なのですが、その作じゃないみたい。なじかは知らねど(規夫)

短夜やぺかぺか鳴らす鉄の蝉  裕
◎葉子◎勝之◎吾郎
■ぺかぺか、ついつい、寝坊ヤロウの音につれてかれちった(葉子)■ああっ暑苦しくってよござんすこと(勝之)■偏執狂の哀しさが全編に溢れてます( 吾郎) ■少年時代はもう無いんだよ、と精神分析医は言う(等)■遅れただけあって、リキ入ってますね。でも、なぜ「鳴らす」と直接人間が出てきちゃうんだろう? 寂しがり屋だな、作者は。「と鳴る」なら文句なしにいただいた(規夫)■覚えてますか、6月はDデイ。「史上最大の作戦」。先日、ノルマンディ出身のフランス人に聞いたら、サンメール・デグリーズの教会の塔にひっかかったまま一晩明かした空挺部隊の隊員って、ホントにいたんだって。町の名物ということで、いまでも教会の塔にパラシュート付けた空挺部隊員のマネキンがひっかけてあるんだそーです(裕)

歯車が歯車を噛むさくらんぼ  裕
◎哲郎◎テル子◎美智子
■細かい小さな音が聴こえてきます(哲郎)■さくらんぼは新潟では聖籠のさとうにしきがおいしいです。なんか食べ物の事ばかり書いちゃった(テル子)■武蔵のように遅れ来て威力発揮という句です。歯車って、ホンマ、酷いんです(美智子)■季題趣味スレスレ、俺ヤダー、こんなの(等)■遅れただけあって、リキ入ってますね。でも「さくらんぼ」はどうだろう?全部まるくてちっちゃくなっちゃった。季語が別なら文句なしにいただいた(規夫)■歯車に桜桃を継ぐ苦悩かな(裕)

夜鷹が泣いて通る悪いことしたからだ  勝之
◎杜
■そうか……(杜)■悪いことって何をしたのかなぁ(葉子)■夜鷹が営業上したことで泣いているとしたら、哀れだ(菊野)■おまえのかあちゃんデベソ…とおんなじか(吾郎)■遅れたわりには安易ですね。「夜鷹が」がなければ、もうすこしおもしろい(規夫)■新大久保か? イーハトーブか? いずれにしても同様にある種の感銘があるのが不思議。やっぱりこの句になんらかの力があるからだろう(裕)

冷蔵庫のように白くかさ張る死  勝之
◎亞子
■冷たさはなんだか固そうで、確かにかさ張りそう。白くは光の白さかしら。家の冷蔵庫はブルーグレーの外観(葉子)■じゃま(吾郎)■遅れたわりには安易ですね。「白くかさ張る死は小分けして冷凍に」(規夫)■中の豆腐も白くかさ張る(裕)

〔総評・近況集〕
▼今迄、草は鎌で刈っていたが、夏草の成長に追いつけず、私専用の草刈り機械を16日に購入。太か買い物だった。軽油で動く。ひもを引っぱってエンジンをかける。刃がブィーンと猛スピードで回転する。バッタバッタと夏草が倒れていく。夏草の高さによって、アクセルを強めたりゆるめたりする。オーッ!偉くなったような気分だ。近所のおじさんおばさんが、驚いて見に来た。お店の人が「普通、女の人はやらないよ。」と遠回しにやらぬように言う。しかし、草刈り機はすばらしい。これで近所に顔向けできる。作物は風通しが悪いと育たないから、私は心苦しかった。(菊野)
▼わしゃ風邪と肩の腱鞘炎でぐちゃぐちゃになっとります。いつものことながら頭の中もヨーグルト状態です。コメントも少しで申し訳ないとおもっとります。(杜)
〔当番〕とんでもない。多けりゃいいってもんじゃありませんから。どうぞお大事に。ゆっくりご静養下さい。
▼先日の「マスタークラス」では、勇気と強烈な個性と情熱がなければ人生の頂点に立てない、人と同じでは頂点に立てないという事を感じて帰って来ました。私は遊びすぎでどん底です。頂点もいいけどどん底もまたいいものです。アハハ……(テル子)
▼ずっと二句になったんでしたっけ。ああ幻の三句目が……(ウソ)。ゼロの付く日が日曜だと大抵、法事のための卒塔婆を書いている時間にFAXが来ます。皆さんの俳句を横目で楽しみながらなので誤記がヤバい。(実際には一度もありませんが)。面白すぎる遊びには危険がつきものなんですね。(哲郎)
〔当番〕スミマセン、折角訂正まで入れて頂いた三句目、当番権限にてカット。次回に繰越ましょうか?
▼アラーキと森山大道の写真集売ってマイルスのCD二枚買った。どっちもけっこうな値で取ってくれて、ビックラこいた。リサイクルな人生だぜ。ケッ。(勝之)
▼快晴続きの香港を発った直後から、彼の地は雨になったらしい。私は「晴れ女」であった。(亞子)
〔当番〕四試合制覇オメデトウゴザイマス。
▼髪を切ってもらった。さっぱりした。自分では変わったつもりはないが、どうもかなり変化したみたいだ。おもしろいから、髭もそろうかというアイデアには未だ勇気がない。(吾郎)
▼今日は、ある句会に参加。結果散々なれど、心さわやか、なぜか?!その後の飲み会でのいろいろな話で、心遊ばせてもらいました。感謝!!また、作るぞ。というより物と対峙する力がわいてきました。(美智子)
▼今朝(6月21日AM3時半頃)、ホトトギスの声を聞く。私流擬声語、「キョッ、キョッ、キョケッ、キョキョ」。(等)
▼人から借りていたマックを返さなければならなくなり、ついにパソコンを買うことに。それもなんとマックのG3。免許取り立てのビギナーが、いきなりF1に乗るようなものです。それにしてもポートが全面的に新しい仕様に変更されているため、モデムもなにも旧周辺機器はすべてパア。3・5インチディスクの穴すら開いていない。要するに、これからはCDか通信でデータをやりとりしろ、これまでの仕様はダメだから捨てちまえということなんだろう。天才スティーブ・ジョブズは、結局、ビル・ゲイツと同じ体質の「黙ってオレの言うとおりにしてりゃいいんだ」式ファシストであることがよく判った。まあいいや、言うこと聞くよ。聞きゃいいんでしょ。にしても、各種パソコン雑誌を読んでみると、「何をするのか」という記事は皆無。ポートはUSBが有利とか、プロセッサは350メガヘルツのほうが早い云々、枝葉末節の技術的「どうするか」ばかり。この国のニヒリズム状況は目を覆うものがあります。ま、インターネットで「何をしたか」といえば、でれでれとエロサイトばかり覗いていたワタクシもあんまり偉そうなことは言えないのではありますが。(裕)

【当番から】
▼今回遅刻者2名あり。オクンチは9のつく日だかんね。心してカレンダーに赤印でもなんでもつけて、気が向いたら投句するように。翌朝7時で校門しめちゃいますよ。また、海外よりの参加1名。なんか不思議。空気感も一緒に電線を伝わったかのような錯覚。まぁ便利っちゃあ便利。それと、21日早朝当番家の電話が90分に渡り話し中になってしまって、選句返送が滞った件。すんません寝ぼけた私が受話器ONのままにしてました。ぺこぺこ。
▼次回6月29日オクンチも、当番は井口家です。投句は2句以内でお願いします。
【訂正とお詫び・当番ノリオから】
 前回、唖々砂さんの句「カボチャのつるタンポポの首しめてをる」への杜さんのコメント「タンポポにもつるがあるぞと思いつつまたまた全然ちゃうこと考えるなっちゅうにドーパミンどぱどぱ」のなかの「タンポポにもつるがあるぞ」は誤りで、正しくは「タンポンにもつるがあるぞ」です。ここに訂正いたしますとともに、謹んでお詫び申し上げます。

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九の付く日のFAX句会 オクンチ 第29回 99年7月9日  金曜日

〔今回の二句〕
緑陰のあっち向いてほい永遠  哲郎
◎等◎十四郎◎裕
■下五で唐突に「ほい永遠」というほっぽり出し方が、永遠を掘り出している。スカッと切れていて爽快(裕)■テクニックが目立つ句。三回、目が行って、取る(等)■永遠にあっち向いてなさい(杜)■作者は「ぴったり17文字の定型だ。『ほ』で切れる」なんて言うんだろうな、また(規夫)

星涼し消防自動車速い速い  栞
◎規夫
■ナイスな句(規夫)■田舎では(吾郎)■下五で「速い速い」と急がされても、上五中七がお上品でしょう。困る困る(等)■なんか、ちょっとおもしろい。速い、速いが、衒いがなくていいのかな(裕)

〔以下順不同〕
睡蓮の気化熱母は善福寺へ  杜
◎裕
■採ったけど言うよ。なるほど、他の句より、それなりに言葉の質量はあるかもしれないが(善福寺とか、気化熱とか、コケ脅しのね)、この句にどう意味があるというのか。どう気持ち良く、われわれを生かしてくれるというのか。こういう恨み、ツラミは、たしかに気にはかかるけど、読んで爽快になって、気持ちいいワケじゃないのよ(裕)■「睡蓮の母は気化熱善福寺へ」ではダメデッカ?(等)▼作者は等さんに添削料として十円、お支払いするように(当番)■好きな句なんですけど、下六に引っかかってしまいました(勝之)

ねじり花絡んだ糸をえいと切る  葉子
■短気なのね。糸ほぐすの得意なんです。絡んだときは私にまかせて! 一日中やってたりする(杜)■あたり前田のクラッカー、古いかコレ(等)■いかにも報告俳句らしいねえ。で、公認してもらうの?(裕)

空部屋に軍歌引き連れ蟻が来る  美智子
◎葉子◎唖々砂
■かわいい(葉子)■とろうかな、よそうかな、ちょっとつついてやめよかな(吾郎)■ウーン、魅かれるんだけど(栞)■軍歌と蟻じゃあツイテマス(等)■軍歌と蟻ですべて失敗した(裕)■ありがち(勝之)

らっきょう噛めば解体新書の音する  等
◎十四郎◎裕◎美智子◎哲郎
■解体新書なるものを、味わったことはないのですが、イメージの中であそべる句(美智子)■そりゃ、おもしろいけど、解体新書の音なんてあるのか? リアルに? その音をわからせてほしいね。ここまで読み手に、インテリであることを強制されるのはつらい(裕)■ある界隈に行くと、この「解体新書」、「ターヘルアナトミア」「腑分け図」を含めて、定期的に登場する気がしている。ゲンダイハイクの人気アイテムだと、私は踏んでいる(規夫)■ザンギリ頭をたたいてみれば文明開化の音がするってか(吾郎)■面白い。ザンギリ頭を叩いてみれば文明開化の音がする、の本歌どり(哲郎)■らっきょうは臭いから、「音する」が「臭い」だったらとったかもしれん(杜)

路地裏で音を充填する仕事  勝之
◎規夫◎栞
■どうやって充填するのか、挙措が少しでも見えれば、もっとイイ。「路地裏」というイメージ喚起力の大きな言葉に頼るより、その字数に挙措を盛り込んだほうが怪しくなると思う(規夫)■道路工事かなんか?私、イメージ貧困。音の充填とは面白い(栞)■この場合「仕事」の名詞止めがキニイラナイ。動いて動いてスチャラカ社員、古いかコレ(等)■ゴルゴ13(吾郎)■抽象的なようでいて、けっこう具体的なつまらなさ(裕)

位相大地炎昼に鍵が合わない  十四郎
◎杜◎吾郎
■気狂いピエロの心境(吾郎)■合わないのは鍵だけじゃない。けれど、鍵を持ってきたところがよかったかも…(杜)■位相ってやっぱ俗語じゃないよね。この句の場合、成功していないと思う(等)■位相とは、千駄木のぶっこわれた詩人が好きな言葉ってことぐらい、知ってて使っているんだろうが、「鍵が合わない」はダメのダメ押し(裕)

骨までも熟睡したる赤児かな  菊野
◎葉子◎栞
■私も寝るも好きです(葉子)■まさに熟睡(栞)■感じ方いいけど、ありきたりだね(杜)■骨までも≠フ視線が効いてます。けっこう重い句(勝之)■「までも」がゼイ肉になっているよ(等)■Natural Bone Baby(吾郎)■骨といえばすむもんじゃないだろう(裕)

どう見ても嘘の上手な百合咲けり  唖々砂
■「上手」と「百合」じゃあお好み焼きともんじゃ焼きぐらい近いでしょう(等)■この句が下品に見えるのは、「どう見ても」などと、無根拠なくせに、上位に立ったつまらないものの言い方をしているからだ。「どう見ても百合の上手な百合咲けり」ぐらいのことを言えんのか。どう見てもと言う前に、その他の見方を探せ(裕)

だんまりをきめこむ乳房半夏生  吾郎
■ようするに不感症になっちゃたわけね(杜)■もっと喋らんかい。これじゃあ生半可症だぜ(等)■「だんまりを決め込む」といったら、乳房じゃダメだ。乳房はいつも沈黙してるんだ。しかも半夏生で決めようと思う心根が甘い(裕)

羽蟻かたかた進む土星の輪が廻る  規夫
◎杜◎美智子
■ようにみえたらごかっさい(吾郎)■からくり人形のしかけみたいで面白い(杜)■イイなあ、ゼンマイ仕掛けのブリキのオモチャみたいで(勝之)■網戸に羽蟻がはりついている…民草の暮らしと宙の大きな動きの対照がおもしろいです(美智子)■ウーム。少年時代はもう無いんだよと言っておきましょう(等)■羽蟻と土星? 大と小の対比がらくちんだよ(裕)

廃屋に髪の毛しろばな夾竹桃  裕
■廃屋の句はよっぽど変わったものでないと百円ショップに並べられるよ(等)■ギェー! 私が絶対に耐えられない拷問材料は、キャベツの皮を剥く音、ボタンだらけの服、それからこの「廃屋に髪の毛」。ジュリア・クリスティヴァのアブジェクシオンだ。頼むから誰かこの句、どこかに隠して!(規夫)

紫陽花の白以上青以下は無二無三  杜
◎規夫
■なるほど、階調の中に位置する色はどれもそれぞれオンリーワンつうわけね。理屈っぽいけど、こうとしか言えない理屈もあるのかもしれない。「は」はないほうがいいと思うけど(規夫)■「は」要る?(吾郎)■ああ、めんどう臭い(裕)■大将が一番エライと山下清(等)

新蕎麦や母祖母曾祖母ぼそ、ぼそ  哲郎
◎勝之
■途中のソボ≠ェいいんだよな(勝之)■うまい(杜)■「、」要る?(吾郎)■「、」の手練手管。俳句では騙されてもいいが、私生活ではくれぐれも注意するように(規夫)■ケッタッキーフライドチキンについに「ケンタ丼」登場。千葉だけかなあ?(等)■ああ、めんどう臭い(裕)

賢いかでんでん虫の右巻きは  葉子
■「左巻きはバカ」の裏返しね。理に落ちている(等)■でんでん虫の基準じゃないよ(杜)■つむじが2つ(右巻きと左巻き)ある私は、どうなるのでしょう? 賢いかバカか、一生悩んで暮らすバカな人生を送るのでしょうか(規夫)■右か左か、二十世紀はそんな無意味な問い掛けで大混迷の極に達したというのに、まだわからないのか。ちいっと強引なケチですがね(裕)

なんと気持のいい朝だろうああのるどしゅわるつねっがあ 等
◎勝之◎唖々砂◎栞◎吾郎◎哲郎
■なんか、よくわかる(栞)■んなことおしてしるべすたすたろおん(吾郎)■筋肉気持いいウガイ、のるどの快感(哲郎)■よかった、オレより長いの書いてくれる人がいて。ああのるどしゅわるつねっがあ≠チて、朝、ノビするのにピッタリのカケ声だったんだなぁ、知らなかった(勝之)▼一行に入り切らなくてワープロのフォーマットを変えた。その意味でオクンチ史上、画期的な句(当番)■なんと気持ちのいい句だろう(いい句ではなくてね)。人名の頭が「ああ」なのがいいなぁ。あの方にはぜひターザンをやらせたい(十四郎)■笑うと可愛いよね(杜)■「朝からくるくるああのるどっぱあまあ」。いいぞいいいぞ、どこまでも行ってしまえ(規夫)■一見、おもしろそうに見えるのは、定型・季語という先人の達成があるからだ。俳句以外のところにもっていったらどーなるよ?(裕)

吊れぬもの吊るして遊ぶ星祭  美智子
■吊るしたのなら、「吊れぬもの」ではなかったのでは?(規夫)■なんだって吊るせるんだよ、人の首だって。標語俳句みたいだよ(等)■吊るし方悪いんじゃないの?(杜)■同じ言葉を繰り返して、人を驚かすのは年に一度ぐらいにせよ(裕)■Strange Fruit(吾郎)

馬づらのお馬ひんひん草ぼうぼう  規夫
◎吾郎
■「阿呆づらのぼくはひんひん草ぼうぼう」としたらかなり自虐的だね(杜)■ひんひん!(当番規夫)■同一平面上にオノマトペ二つ(等)■どう観賞せよというのか。これでいいと思うのか。みんなが苦労しているというのに、解体の中途でツルハシを休めるな(裕)■馬頭琴の音が聞こえる大地(吾郎)

このごろはドラキュラ語訳で歎異抄  勝之
■肝炎のドラキュラ、結核のドラキュラ、エイズのドラキュラ、ガンのドラキュラ。でもドラキュラは死なない。カワイソー(杜)■「ドラキュラ語訳」が奇なら、「歎異抄」はもっと奇でっせ(等)■ドラマ天狗じゃないか(裕)

田の草や明日は喪服を買いに行く  菊野
■喪服だからって句になると思うなよ、とオドス(等)■こんな報告をして、なんになるというの? 多数決? 民主主義?(裕)

遅かった石にされていたよ蛙は  唖々砂
◎十四郎◎菊野
■この句の不明さを埋めるほど、僕は親切じゃない(等)■そういう感慨もあったのだろう。それ以上読み込む親切というのはお人好しだ(裕)■魔女はどこにでもいる(杜)■お話にはつきあいきれません、あしからず(吾郎)

渚より片桐はいり来て笑う  十四郎
◎美智子◎哲郎
■笑わせてもらいました。「浴室に」だったら、もっとおかしい(怖い?)(哲郎)■「笑う」に作者の人の良さ≠ェ出た。何かへと結末させたかったのだろうか、「笑う」はいけない。「座る」なら、次に何が起こるかまったくわからない、すんごい句、日本俳句史上に残る句になったと思う。くりかえすが、「笑う」では、笑うことが起こってしまい、関係が結論してしまったわけだから(規夫)▼「片桐はいり」一発で何人が持ってかれるのか、この界隈の傾きを測るリトマス試験句(当番)■げたばきの白い歯が「ニカッ」と笑う…そんなさわやかな映像が浮かんできました。片桐がわからないのですが(美智子)■片桐且元、片桐石州。以上大辞林。片桐ユズル。誰よ、片桐って(等)■片桐ってなんだろ。ゴメンね、知らないんだジロー(裕)▼片桐はいりを知らない人は持っていかれようがないわなあ。なるほど、片桐はいりって知られてないのね(当番)■ワハハッ、見たくない景の一〇位以内に入る!(勝之)■口をついて、するすると出てきた。そのときは気がつかなかった。私には人の句をいじる趣味はありません。仁大兄に許しを乞わなければ(十四郎)

ダミア虚し明日も素足南無阿弥陀  吾郎
◎杜◎等
■「虚し」と「素足」がひっかかるが、南無阿弥陀に仏を入れなかったからマル(杜)■書くのがめんどうなくらい、今回もイイ出来(規夫)■3句選で、点は入れないが、もの凄い出来! 病的に秀逸(哲郎)■「明日も素足」という既製品ですっころんでしまった(裕)■ダミアって何だっぺ、分かっても取らないけど。回文と分かって、ウマイ、取ります(等)

サイダーのなまあたたかき母不在  栞
◎等◎菊野
■うん、作者に体温アリ、確かに(等)■「母不在」ですべてが灰塵に帰した(裕)■自分で冷やしなさい。自立とはサイダを冷蔵庫に入れることから始まる(杜)

紫陽花がちりちり犬の吼えつづけ  裕
◎葉子◎勝之◎唖々砂◎菊野
■けだるい夏の午後です(葉子)■暑そう!なかなか言えんぞ犬の吠えつづけ=i勝之)■すわ火事か!?(吾郎)■このオノマトペ(ちりちり)はツキスギのような気がする(等)
〔以上26句〕


〔総評・近況集〕
▼卵とりしたメダカの子たくさんいます。欲しい方、差し上げます。四万六千日の御利益はのがせないと、浅草寺詣。雷門郵便局並びに「がってん」というもつ焼き店発見。新しい店なので、味は不明。(葉子)
▼この頃、庭の手入れにこっている。ガーデニングというしゃれたものではない。夏草との格闘である。姑の植えていたものをほとんど枯らしてしまった。今年もきれいに咲いたのはヤマユリ、ニッコウキスゲ、グラジオラス、オオキンケイギク、マーガレット。球根類とキク類は強いと思った。バラ、カラーはほとんど咲かなかった。特にバラはむずかしい。いま植えてみたいのは黄色のサルビアとカメレオンアジサイ。千葉の農業試験場でもらったアフリカ芙蓉は瀕死の状態で、いま懸命に世話をしている。(菊野)
▼なんだかわけのワカラナイ、そこそこ質感はあるが、奇妙みたいなものものを作れば、それでいいというワケじゃないだろう。奇妙のフリして、いつ正統に寝返るかわからないんだよ、それは。それじゃあ、城砦への報われぬ愛の悲鳴にすぎぬ。そういう想念を得たなら、黙って一人、味わっていればいいのだ。人をかしづかせるな、活かせよ。前回のモーリーの怒り、わかる気がする。(裕)
▼名古屋に行ってきました。土手焼きぶっかけ飯+冷しきしめん(小)+温泉たまご+お新香+ビール缶(小)では? 答え:380円 なんか、昼間っからビール飲んで煙草スパスパやってみゃーみゃー言いたい放題言ってるOLさんの中で非常に肩身の狭い思いで食べました。これが普通の焼肉屋のランチタイムの午前11時30分の名古屋です。(吾郎)

【当番から】
▼「今回の一句」(あるいは二句、三句)は、皆さんの選が届く前に、当番が選んでいますので、最高点句と一致しません(この「今回の一句」を設けた3回前は偶然一致しました)。規夫当番はこの方針で行きます。井口当番は独自の判断をされるでしょう。
▼次回は井口家。

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九の付く日のFAX句会 オクンチ 第30回 99年7月19日  月曜日

〔今回の一句〕
蜃気楼のもしもし   規夫
◎哲郎◎杜◎十四郎◎等◎栞◎吾郎
■受話器内視覚的幻聴もしくは聴覚的幻視の不思議(哲郎)■なぜとったのかと訊かれれば、それは圧倒的だったからだ。この洒脱は「石を煮る」の冷徹と双璧。オクンチの結実として永く記録されるであろう(私の胸に。)(十四郎)■自由律(短律)ですか…。他の句を見てから考えます。「もしもし」はズルイ、初ものへの御祝儀として取ります(等)■これは罠です(杜)■もう一生忘れられない(栞)■有言実行。さすが(吾郎)■どうしちゃったのかしら、このまんま?(葉子)■もったいつけずにもっと言えよ(勝之)■もうちょっと俳句らしくないと(樹人談)▼投句されて来たとき、思わず確認しようかと思った(当番♀)▼実感としてメールを見た時の衝撃度はいちばん(当番)

〔以下順不同〕
のぼり坂日傘の透ける影と往く   葉子
■日傘の女って美人のイメージ?(杜)■キレイ過ぎる。渡辺ナントカという医者作家の文章もこうなんですか?(等)■カッコつけてる感じ(樹人談)

炎天を窓拭き男ゆうるゆら   吾郎
◎唖々砂
■わぁ、こわそう(葉子)■高所恐怖症だからコワイ!!(杜)■全てツキスギです(等)■興味がわかない(樹人談)

山ゆりや父倒れても皿洗う   菊野
◎裕◎哲郎
■疲れた(哲郎)■「ても」が不明です。「ても」の上下の言葉は何んだって置換可能でしょ(等)■どういうこと? 皮肉かな? でも、それが面白い(樹人談)■えらい父さんですね(葉子)▼すごい読み(当番)

青あざの空包帯が解けてる   杜
◎菊野◎勝之
■ポエムだ(菊野)■"青あざの空"は少し苦しいか。下句がそれを解放する。作者当て、規夫さんだよね(勝之)▼ブッブー(当番)■「青あざの空」はメルヘンチック(等)■なにかむずかしいことをゆってることはわかる(規夫)■考えが深くない(樹人談)

テポドン見たい亡父に会いたいのうぜんかずら   等
◎勝之◎十四郎◎栞
■嘘でないその切実さをとる。作者当て、等さんですね(勝之)▼ピンポーン(当番)■まず句自体に衝撃があったというわけではなかった。が二度目読み返して、他の句が自明の焼き直しに見えてしまう。こまった。大穴にはまったか?(十四郎)▼ズッポリ(当番)■聖人作とすれば、いつものぐねぐね感(「白痴のこねた粘土」と呼び畏敬している)が足りないなあ(規夫)■字余りすぎておもしろくない(樹人談)■テポドン見たくない(葉子)■生きてれば75才。私の父(菊野)■いい子だからね、だだこねないでねましょ(杜)

とりあえず虫の一生飲み込めり   栞
◎規夫◎等◎吾郎
■わかる。「一生」って、うまい使い方ですよね。「飲み込む」はもちろん理解したの意味。不要のコノテーションは受け取らずに、いただきます(規夫)■ウーム、「とりあえず」が効いていないと思うんだけど……。とりあえず取ろう(等)■「とりあえず」が要るかどうか(吾郎)■虫を飲んじゃったのかしら?(葉子)■おいしかったかい?(杜)■意味がわからない(樹人談)

ゴウゴウと流れコンコンと眠る谷川   勝之
■「流れ」と「眠る」がなんとも甘ったるく感じます。対句的だからよけいに感じる(等)■おいおい、国語辞典の用例を読ませてドウスル(規夫)■ゴウゴウとかコンコンとあるとつまらなくない?(樹人談)■ゴウゴウコンコンワンワンニャンニャンモーモーヒヒーン!!(杜)

蚊の跡に爪で十字を刻みをり   唖々砂
◎葉子
■やりますね(葉子)■私もします(杜)■この下五では、純然たる報告。下を変えて、一句作った。この作者さんに深謝(規夫)■つまみ枝豆が女子高校に「十字切ってぇ〜」と追いかけていた。取らない(等)■十字でなければよかった。ありがち(樹人談)

疾走の二十世紀の羽虫かな   裕
■イナゴの大群とかアリの大群とか大発生するかもね(杜)■句が硬くて、僕に作者の思いが伝わりません(等)■現代の言葉より昔の言葉のほうがいい。これでは想像がふくらまない(樹人談)

かっこうのひと鳴き山の雨あがる   十四郎
■出来てはいますが、平坦ですねえ(等)■かっこうも最近小金井は鳴かなくなりました(杜)■口に出して言いやすい(樹人談)

噴水の振りする友に蓋をする   哲郎
◎菊野
■うざいなあ(菊野)■「振りする」は説明です(等)■いっしょに噴水ごっこしたい(葉子)■コンパの帰りこんなことしてたね(杜)■おもしろいけど、「噴水の振りする」って何だかわからない(樹人談)

うす目開け起きてきたね夏木陽介   栞
■夏目雅子がこの前ありましたからね。それ以下の句だと辛いでしょう(等)■夏木陽介って誰? オレ知らないからわからない(樹人談)

炎昼やワイングダグダ日曜日   葉子
■面白いですね。なにか足りない気はしますが。ワインでくさく喩えれば、足りないのは芳香よりもボディのような気がする(規夫)■正しい日曜日だと思います(等)■ワイングダグダがおもしろくない(樹人談)

遭難碑わからぬ漢字一つあり   菊野
◎裕
■共感できる(樹人談)■もう一歩踏み込んで作者の「情」を伝えてよ(等)
ブイブイとホオズキ鳴らす蚊帳の中   勝之
■やっぱ作者の「情」が見えてこないと……(等)■それだけじゃしょうがない(樹人談)■蚊帳を見なくなって久しい(葉子)

優曇華のかくも寡黙かの言動   吾郎
◎葉子
■えらい!確かにうどんげは静かです(葉子)■ブラボー(十四郎)■スゴイスゴイ(栞)■Bの中(規夫)■思わせぶり、否、寓意? 明智光秀が巻いた連句もいろいろ解釈できます(等)■回文としてはおもしろいけど、俳句としてはおもしろくない(樹人談)

ハッピーや夏野にダイスころがりて   規夫
■ウーム、この無意味さ、どうするか。ヤ〜メタ、取りません(等)■ハッピーというのが変だよ。ハッピーは感情じゃん。「うれしいや」ってなっちゃうの?(樹人談)■いいえ、関西弁でしょう(当番A)■お間抜けの一語に尽きし夏野かな(規夫)■スト〜ンズ!!(吾郎)

わが体臭ぶらさがっており蠅叩   等
◎杜
■これはいい句だと思った。昔っぽいけれど蠅叩が死語になっていない(杜)■「ぶらさげており」と7字じゃダメなんですか? 「わが」もいらない気がする。存在感があって、いただきたい句でしたが、リズムがあまりにもモタモタ。それが狙いなのかもしれませんが(規夫)■想像しにくい(樹人談)

ホウホケキョ仁と莞爾が談合す   十四郎
■人の名? その人を知らなきゃわからない(樹人談)■ああ莞ちゃんも行ったのですか。この局所的俳句、他の句を見てから考えます。止めます。「談合す」がネライ過ぎ(等)

三日月に守宮傾く海が白い   杜
■絵本のように美しい(等)■この句の上中下のうちどれでも一つ引き算して読むと、三通りともイイ。やってみてください。ね?(規夫)■うまいほうだと思うけど、オレとしては好きじゃない(樹人談)

豚革のサンダルぶらぶら種プププ   唖々砂
■スイカを食べているのかな(葉子)■やけにオノマトペが多いな、今回は。俺ントコ、船橋の田舎だからオノマトペだらけよ(等)■西瓜吐いているってこと? だからといってねえ(樹人談)

燐になるオプション土葬の夏である   哲郎
◎唖々砂
■出ますかねぇ(葉子)■ウィットですねえ。でも気持ちのいいところまでは届かない(規夫)■ウマイけどサービス過多。最近ウザイ(勝之)■名詞の乱舞ね、述語的世界ってものもあるのよ!(等)■オプションがすごいつまらない。オプションじゃなくてもいいんじゃない?(樹人談)

桃の種の随のしなびている恋   裕
◎規夫
■前半の「の」のシツコサが、後半のしまりのなさにフィット(規夫)■テクニックばっかり、好きではありません(等)■「の」が三つもつづいていて、言いにくい。俳句って言いやすくないとだめなんじゃない?(樹人談)
〔以上24句〕

〔総評・近況集〕
▼と言うわけで、今回は師範代がお相手しました。チャンチャン。(裕)
(当番より)樹人〔じゅあん〕:推定15年物。中目黒近辺にて時々確認される。
▼忙しいお盆も終わり、卒塔婆を書き経を読む、いつもの淡々とした週末。変化の
無さもいいもんだ。「寂しさを分かちあふべく迷い来し子犬が膝に丸まってゐる」(烏鷺坊)
▼浅香光代が可愛がっていたお猿さん。死んだのかなぁ(規夫)
▼実はさっき中央高速を往復してきた。で、今週末また往復します。たははは(吾郎)
▼明日から尾瀬へ行きます。(葉子)
▼なんか充電されたなあ、百句会。でもこれでオレの夏も終わっちまったぜ。晩夏だぜ。ああ夏が去る、祭りの後の淋しさよ。ケッ。(勝之)
▼五・七・五に馴れれば俳句はウマクなる。でもウマクなってどうしようというのだろう。(等)
【当番から】
▼次回オクンチ(7月29日)も当番は井口家です。

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九の付く日のFAX句会 オクンチ 第31回 99年7月29日  木曜日

〔今回の顔〕
黙々と蟻を殺せば油っぽい   杜
◎勝之◎唖々砂◎菊野◎規夫
■"黙々と"がちょっとなあ、でも"油っぽい"で取っちゃう(勝之)■「黙々と」はイケナイ、とは思いますが、「油っぽい」の言い放ち方が、なんか気持ちいい(規夫)■子どもの頃、こんな事をした(菊野)■性格少し暗くないかい(葉子)■「油っぽい」には笑った(亞子)■蟻の油ってスゴイよ。ねっとりしてる(杜)■酸っぱいのが普通だと思うが、そんなら酢と油でアリンコドレッシング。絞りかすはトッピングね(裕)

コトコト父の部屋に母が居る   杜
◎勝之◎十四郎◎等
■暗いなあ、オレにとってはタブーの世界、だからとる(勝之)■兄、妹、姉、弟、祖母叔父等入れ換えると家族ゲームになる(吾郎)■父が亡くなっていることに気がつくと、コトコトが見えてきて、句が大きく広がる。(父が生きているなら、不在だろうと、部屋に居るならなおさら、ただ生々しい)(十四郎)■この句、無声映画のドタバタ感で作ったのを見たい(等)■マイ両親は家庭内別居(江藤さんは幸福だ)だから、父の部屋に母がいるとドキドキした。この句で何が言えると云う訳じゃないけれど一度作ってみたかった(杜)■からくり屋敷か、あんたの家は。こわいよう(裕)

〔以下順不同〕
太平洋うがいで始まる一日   栞
◎等◎菊野◎亞子◎吾郎
■一週間経ってからこの句をまた見ます(等)■大きくていい(菊野)■「太平洋」を季語としていただくことにする(亞子)■取ろうかと思ったが止めた、気分のイイ句だが一味足りない(勝之)■「しゅわるつねっがあ」への返歌だろうか。感じはいいのですが、なにか足りない気がする(規夫)■健康の為にもいいんじゃないすっか(杜)■堀江青年、老いてますますひとつ覚え(裕)■『芝浜』だね(吾郎)

蛇と蝦蟇裏と表に住いおり   葉子
■住んでいるんですよ、これが(葉子)■そうですか。それは面白いですね。毎日カバ焼きができますよ(杜)■縁起的にはとうなんでしょう?(亞子)■引っ越したほうがいいと思う。こわいよう(裕)

水風船割れ灼熱のコンクリート   唖々砂
◎勝之◎葉子◎哲郎◎栞
■子供が投げた水風船。アッという間に水がカゲロウとなって蒸発する、初めてクツの下の地面の熱を意識する。ウマイ(勝之)■上手いなぁ。水風船の割れる音が聞える(葉子)■デーハ(哲郎)■子どもが小さい時は、夏休みの一番好きな遊びです。ずぶ濡れになって投げっこするの楽しいよね(杜)■バシャっといったあとに残るゴムの残骸は哀しい。ちょっとドライな味わい(裕)

ゆきすぎてもどる秒針の毎秒   十四郎
■ちっちゃいなあ、世界が。それでいて広がりがない。それがいい。時計のモチーフはいろんなものを引きずりがちなのですが、よくぞ広がらなかった(規夫)■クオーツ時計ではこの味はでない。ゆるやかな頑固さだから、ちょっと時間につきあってやろうというもの(吾郎)■そうなんだ(杜)■秒針が戻るのか、作者が戻るのか、なんだか分からないよう(裕)

中年を生きていろいろ氷水   哲郎
◎十四郎◎菊野◎亞子
■昨日、私はこの人を見ていた(十四郎)■まあ少年も青年も老年もいまさら言われなくとも人生いろいろなわけでその上氷水が中年にはブリッコだよなーとも思うがなんかけっこうわかる気もして…(亞子)■この句も味があるね(葉子)■ごくろうさんでやんす(杜)■氷水のいろいろが本意?(裕)

耳かけばおいでおいでの音がする   勝之
◎杜
■耳あかのギネスってあるのかなァ?綿棒より竹の耳かきだよね。気持ちいいよ(杜)■わかるわかると聞えるんだけど(葉子)■耳の穴に飛び込んじゃダメよ。溺れるよ(裕)
八月十五日蟹が来て屈折す   等
◎十四郎
■息子がそばに来たので順に読みあげた。声に出して読むと、とたんに良くなった(十四郎)■八月十五日、きっとホテルのプールでおよいでいる。その時きっと屈折する何故なら私は蟹座だから。わからん(杜)■カチン、カチン。茹でて食えば意外にうまいかも(裕)■かたい(吾郎)

白玉や紐に正しい結び方   亞子
◎葉子◎規夫◎栞
■う〜ん、ちょっと「お俳句」ぽいけど、スッとしている(規夫)■私、いつも正しくなく結んでしまう(葉子)■白玉結びって知ってますか?(杜)■そういえば、昨夜、褌をする夢をみた。したことないのに。結び方教えてください。あ、その場合は金ですよね(裕)

蒸し暑き月蝕烏賊のごときビル   規夫
◎裕
■烏賊のごときが趣味なんです(裕)■"烏賊のごときビル"はいかがなものか(勝之)■「ごとき」が邪魔臭いね。都会の月触ってわかるんだけどねェ(杜)■西新宿のビルでしょうか(葉子)

口に出る猥歌墓石磨きおり   菊野
◎唖々砂◎亞子
■墓石磨くときゃあ猥歌で決まりだね(亞子)■久しぶりに出会った折り目正しい伝統俳句(哲郎)■ワイワイ!(杜)■せいぜいハミングぐらいにしたら(裕)

ピーマンの赤怒るなよ唐辛子   吾郎
■カワユイ!(杜)■同じナスの眷属ならばかくもありなん(裕)

眼球に水のこんこん蝉しぐれ   裕
◎吾郎
■眼球は水。これは正しい。時々我が眼に飛び込んで来る虫達のことを考えても。しかし「こんこん」の措辞はどうか?蝉しぐれの音とだぶって何のイミもなくなってしまった。(亞子)■目医者さんで、眼を洗ってもらっていると考えると、面白い句ですが、そう解釈するには材料が足りず、このままではやはり抽象的な叙述(規夫)■目が曇るんで、外して洗って乾してると、犬がくわえていっちゃう----という「犬の目」の一席(吾郎)■センチメンタルな気分いいじゃん。私ももっちっとヒップアップして、腕とお腹と太ももの脂肪をおとしたらきっとセンチメンタルになれるわ(杜)■涙じゃないのよ、お水は、はっハーン(裕)

旱坂鬼火坂右手に芙蓉脳病院   勝之
◎裕
■最初、間を飛ばして「早坂脳病院」と読んでしまった。ゴメンネ。いまさら脳病院でもないと思うが、俳人のバスガイドみたいなゴタゴタぶりがいいや、とっちやえ(裕)■ハイ、じゃあ行って来まーす。皆様お元気で!!(杜)

大阪の人形使い渚にとんだ   規夫
■傀儡師の原点に戻ったわけです(杜)■それがどうした(勝之)■判じ物なり(裕)

青蔦や行ってはならぬそこはアウト!だとよ   唖々砂
■と云われると行きたくなる自滅型(杜)■"だとよ"を付けねばフツーになっちゃう、だけど付けたからってそれがどうした(勝之)■いやあ、蔦は切っても切っても来る。植えたが最後だね。「と」と入れたのは照れ?(裕)

晴れてのち曇りときどき心太   哲郎
◎葉子
■明るさがいいなあ(葉子)■白玉ぜんざいもいいよ(杜)■こういうすんなりオチはご住職さまだけに許されているんだが。違うんか?(裕)■いま思えば類句が百ぐらいありそう。でも夜中に口からスラッと出てきちゃったので出しちゃった(哲郎)

水着から尻はみ出せる日曜日   亞子
◎杜
■夏らしいです(杜)■一次予選には残ったが、やっぱ止めた。映像は見えるがつまんない(勝之)■全て、この世は事もなし(菊野)■プール大好きだ(葉子)■せっかくはみだしているのに千秋楽の小錦を思ってしまう、損なあたしです(裕)

もうやめた向日葵になる   栞
◎等◎哲郎
■やめたわりにはけっこう豪華なものになるのですね(等)■裏切者!僕だって泣きたいやいっ(哲郎)■自意識過剰は必ず無自覚と同居しています(十四郎)■平成の放哉路線?(亞子)■意味や論理が(こうした言葉を使いたくなるほど)あまりにも破調なく一直線。これでは散文の一部(規夫)■さっさとなりなせい(勝之)■そうそう、さっさとあきらめちゃいましょう。でも向日葵になってもきっとつらいよ(杜)■首が凝ると思う(裕)■けっこう明るい性格(吾郎)

かぶと虫感情線を這い打撲   等
◎唖々砂◎杜
■男の子が何故かぶと虫が好きなのか? ずっと考えている(杜)■おっこっちゃったのか(葉子)■二の腕を這うかなぶん引っ剥がす勇気ありますか? 二重の意味でおっかない(裕)

桑の実や苦楽極楽闇の湧く   吾郎
◎哲郎◎栞
■秀逸。感服しました。ここまでくると回文と気づきたくない。「苦楽」ときて「極楽」と展じる美事を、回文の結果と思いたくないのだ(十四郎)■A。すごいすごい(規夫)■ひょこっと回文とか出来たら大森回文工房(略称OKK=オカイコ)に集中せよ。ストックしといてもらおーよ。現回協から金借りる時に担保になるかもしんない(哲郎)▼先日仙台市で回文コンテストやってました。俳句部門もあった。だからどうっちゅうわけじゃないけど(当番)■…なんかすごい世界に入ってきましたねえ吾郎さん!(亞子)■桑の実は好きです(勝之)■そうですかあ、桑の実ってどんなのか見たことがないのです(杜)■おい、回文用のユニットをたくさん作って置いてあるだろ。クノヤロ(裕)

短夜に庫裡屋をみがく妻の居て   葉子
■近所の寺の台所はいつもピカピカ(葉子)■よかったですね、妻が居て本当によかったですね。愛はあってもなくても(杜)■やっぱり引っ越そう。こわいよう(裕)

四時半に鳴きだす蝉はブードゥー   十四郎
◎裕
■事情を聞いてしまったからには取らないわけにはいかない。にしてもブードゥとは(裕)■う〜ん、ホントにブードゥーだった?(勝之)■ひぐらしが鳴くと森や林の動悸が激しくなってそこに居ると恋しくなって来るのは何故……?(杜)

蛍見てまっさかさまに落ちる夢   菊野
■これをフロイトのように夢判断しないこと。落ちる夢は蛍を見なくても見るのだから(杜)■なんか、本当に真っ暗な感じがします(裕)

追憶の渇いていたり花木槿   裕
■木槿ね。花の枝で背を打つのを想像している(杜)■こんないい句なのに、あんまりじゃございませんか(裕)
〔以上26句〕

〔総評・近況集〕
▼ウンチ(俳句)は、すんなり出たのはあまり良くない。最近のことですが。やっぱり腸壁のあちこちにブツカッテ、バクテリア一杯つけて、ドンドコドンドコでてくるウンチの方が面白い。今回、頭で作っちゃったかな。頭でつくるのは、イカ、タコ、ニコチャン大王ぐらい。同じウンチの長さでも、長く感じるウンチは、やっぱいいウンチだな。その逆はワルイウンチだ。反省。(等)
▼明日31日はミニ句会。八木さんの案で見柄山公園。八木さんは、公園が好きだ。この公園は私の勤務校の学区である。騒がぬように粛々と句会に参加します。(菊野)
▼わあい、三十一日から夏休みだ。旅に出ます。八月半ばに帰ってきます。又遊んで下さい。自作の句は下手だけど、他の人の句を読ませてもらえるので投句しています。それが楽しいのです(葉子)
▼最近、オレって働き者!エッヘン!規夫さんちで働かせてもらって、明日は以前ペンキ塗りのバイトをくれたオヤジ(イイ人です、ホント)んとこで"白蟻駆除"の手伝い。うう〜っ、白蟻駆除なんて怪しくってイイなあ。ヒ素は使うっていうし、体には悪そうだけどワクワク、結果は"待て次号!"ってとこですか!(勝之)
▼近藤十四郎ソロLIVE『第三金曜の男1999・07・16』(ノーカット・無修正版)頒布中。郵送/手渡し共500円。注文・問合せは近藤謹製(十四郎)
▼モデルのお仕事で、三島へ行って来ました。街中が鰻屋です。あとは金物屋しかありません。どこを掘っても富士の天然水が湧きだしてくるため、水道がありません。のどが渇いたので、自動販売機で桃の天然水を買って飲みました。清流のほとりにきれいなコギャルが腰をおろし、バーンと脚を開いて煙草を吸っていました。カッコよかったです。また行きたいな(裕)
▼ちょっと留守にしていたすきに、細い枝にやっと出たオリーブの新葉が半分も食い荒らされてしまった! 良く見たら尺獲りがまだはりついたまま食事中! 黒ゴマのような糞をまきちらしながら! 枝で(あられちゃんのように)ツンツンしてみたがびくともしない。とくに後ろ足。それにしてもみごとな胴の「くびれ」であった。(亞子)
▼この界隈には「お俳句」は少ないのですが、「自家中毒」は多い。もちろん人ごとではなく自分自身の問題として真摯に受け止めたい(規夫)
▼回文ストックを大量放出したので、在庫はほとんどなくなった。パーツの予備はあるものの、いかんせん基板がないとなんともならん。組み合わせだけではつまらんし、もちろん迂闊なものはだせないし-----。ま、ぼちぼちやります。末永くおつきあいください(吾郎)
▼夫婦とは喧嘩するものなり。と、知っていたけど、うんと知ってるけど。馬鹿です。(哲郎)

【当番から】
▼スミマセン。誤字によりご迷惑おかけしました。作者(勝之さん&規夫さん)には本当にゴメンナサイ。〔訂正箇所『旱坂』&『月蝕』〕
▼次回8月9日のオクンチは当番規夫さんです。お間違えないよう。
▼なにしろ暑い。体力の低下激しい季節、くれぐれも無理せずに、各々方御自愛召されい。

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九の付く日のFAX句会 オクンチ 第32回 99年8月9日  月曜日
〔今回の一句〕
まっ黒な渚の匂い寿老人   裕
◎等◎規夫◎十四郎◎栞
■アツイ、アツイ(栞)■そのような老人を見たんだな。ストレートにやっちゃった思い切りで一選(等)■モンク、志ん生、足穂。他に較べようのない人は、頭がそれもまゆ毛から上が大きい。色黒であるかどうかはわからないが、渚は似合わない。のに磯くさい(十四郎)■「寿老人」が妙な「物体感」(規夫)

〔以下順不同〕

月蝕下大根おろしが上手くすれた   等
◎裕
■わざと散文狙い臭い。わざと下手臭い。でも言葉の感触が魅力的(裕)■しょうゆとチョンと垂らして、たきたてのゴハンにのっけて食べるとウマイっす(勝之)

ひょっとこの足がもつれて驟雨来る   栞
◎亞子◎十四郎
■日本の夏の景として保存したい(亞子)■高円寺の阿波踊りか?(十四郎)■柔道で気絶することを「体が落ちた」と言うでしょう。「季語に落ちた」(等)

いつ見ても記憶障害雲の峰   菊野
◎吾郎
■刻々と変化する姿。すべてを記憶することなど不可能。だから、そう、忘れてしまうことはいいことなのだ(吾郎)■アッ、コレ、キクノでしょう(等)▼アタリでごぜえます(当番)

水中花ブルースリーの哀しい目   亞子
◎規夫
■水中花、すでに死んだ映画スター、哀しい目。よくもここまで臆面なく、と呆れて、いただきます(規夫)■あの顔から、そこまで読みとれたとは。なんか、怖いだけだけだけど(裕)■そんなこと知ラン、ツキ合ッテラレナイ(等)■水中花かあ、ついてはいないけど、ハズシすぎのような気も…(勝之)

虹彼方禁固は根気田中痔に   吾郎
◎等
■田中丸が痔になったって、トーシロー作。アッ回文だ。吾郎ちゃん(等)■Bの下(規夫)

ずるむけのオヤジとなりて八月尽   勝之
■下の語じゃいかにもダラシネ〜、犬以下ね。アホ、バカ(等)

炎昼の湾岸二万五千分の一   十四郎
◎吾郎◎規夫◎勝之◎裕
■「二万五千分の一」ってうまくイメージできないんですけど、あっ地図かぁ。カーナビね(勝之)■地図の上で遊ぶ。最近のカーナビじゃつまんない。ああだこうだという謎解きは助手席の役得(吾郎)■季語までも無機質としてしまった、なんとも不思議(裕)■最近、ジョーゼツ俳句になっちゃった。例えば「二万五千分の一の炎昼の湾岸破れる」とか(等)

渚にブリキ一片の近さ遠さ   規夫
◎勝之◎吾郎◎十四郎◎菊野◎栞◎裕
■ウーッ、アツイ(栞)■同じ距離を「近い」とも「遠い」ともいうことができる。どちらかといえば意識を操作することになる(十四郎)■ベタベタしない、ほんのり甘い抒情性(裕)■美しい。すぐに映像化できた(菊野)■リズムは悪いでしょ。イメージは散漫でしょ。でも惹かれるのは何故? キラリと輝いたその瞬間が鮮やかだったせい?(吾郎)▼本人はすごくリズムがいいと思っているみたいですよ。初歩からやり直した方がいいのかも(当番)■キマったねぇ。キマリ過ぎの感さえある。やはり取る(勝之)■近さ遠さでトトノエルナッテイウノ(等)

土用蜆昨夜の夢の占い師   栞
◎勝之
■なんか土吐くようなこと言いそうですね(勝之)■「夢」としちゃうと何でも成立するんだよなあ(等)

夏深過ぎて呂律が回らない   亞子
◎等◎菊野
■人生の深淵を覗いたようだ(菊野)■「深過ぎて」が面白いな。一字で違っちゃう(等)■こういうリズムの悪さが魅力なのかな…とも思うんだけど(吾郎)

腸を見せてあげますカマキリが   菊野
■ハリガネ虫もいっしょに見せてあげます(勝之)■たしか、お腹の中に回虫みたいな別な虫がいて、くるくる廻りながら出てきたのを覚えてます。物体Xみたいね(吾郎)■蝶ならよかったのに(裕)■モリかキクノだな。ウーン、モリ(等)▼惜しい(当番)

今朝も酒珍句オクンチ袈裟も裂け   吾郎
◎亞子
■上から下までこの会にごもっとも(亞子)■Aの下。ただし回文俳句そのものの仕上がりではなく、オクンチと哲郎氏への挨拶句としての出来映えに(規夫)▼哲郎氏、しかし欠席。間の悪い人(当番)■宗匠申し訳ございません(吾郎)■「八丁堀」感覚で、「西念寺がそう言っとったか?」(等)■鶯谷方面ですか(勝之)

油蝉昨日と同じ位置に鳴く   勝之
■渋くて好きだけど、もう一ひねり(菊野)■「明日もコロッケ」の花鳥諷詠版、スイマソン(等)■油蝉昨日の夏のありどころ(裕)

正一位の小さな狐と暑い胞衣塚   等
◎栞
■アッツーイ(栞)■正一位が偉そうで、胞衣塚が小さそうで、材料のよさはわかるんですけど(吾郎)■佳句だけど作者を知っている。聖人ともあろう方が忘れてはダメですね(菊野)

大型特種車夫広末のシール貼る   十四郎
◎菊野
■一昔前は八代亜紀(菊野)■広末真樹子って人気あるなあ。アッ末広でした。ゴメン(等)■車夫につきます。が、それだけ(吾郎)

湾岸高速おとこがめでる夾竹桃   裕
◎亞子
■カワイイ花なのに「強い」ゆえ道路際などに植えられてしまう花の存在を無口な男が認めている。エエやん(亞子)■それであなた(作者)はどうしたのですか?(等)
〔以上17句〕

〔総評・近況集〕 ▼昨日、千葉テレビで吾郎ちゃんを見た。やっぱりTVというのは紙芝居なのだな。ペラペラ。そのように演じている吾郎ちゃんはちゃんと知っているんだ。(等) ▼ああっ、千葉の千倉で99年山本勝之の夏は二度目の終宴を迎えたのであった…。(勝之) ▼暑いから、暑いというと、暑いからやめろといわれた。理不尽だ。まぁいいや。で、ここのところちょいとヤケ気味。駅前に停めてた自転車は撤去されるわ、電子手帳のスケジュル・データが全部とぶわ、夏風邪はひくわ、もう無茶苦茶でごじゃりますがな、ホンマ。(吾郎) ▼東京で食べられる最高の杏仁豆腐の店に行った。名前は同じなのに、料理人が変わっていた。味も。(亞子) ▼駿府に「ラーメンポルシェ」あり、房州に「焼き肉むらむら」あり。珍名食堂辞典が2項目になったゾ。(裕) ▼本日、図書館司書教諭認定試験なるものを受けました。終わって良かった。2002年に各小中高校に必ず司書を置くという法律。隣りに座った先生がたいへん親切で助かった。でも今日は「日の丸君が代」法案が国会で成立した。文部省から指導という名の処分の来る日も近いかな。お庭にマリーゴールドを植えた。(菊野)
【当番から】 ▼読みにくい手書きで失礼いたしました。
▼次回8月19日のオクンチは、井口家。お間違えないよう。

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九の付く日のFAX句会 オクンチ 第34回 99年8月29日  日曜日
〔今回の一句〕
稲妻や月のコピーを十二枚   裕
◎十四郎◎杜◎美智子◎哲郎◎吾郎
■薄っぺらいと思ってもらえれば成功と居直っておこう(裕)■十二枚、何で?(等)■コピーをとるときの光とみたか(十四郎)■こういう世界もいいね。好きです。冴えてるウー。ワォー(杜)■奇妙に洒落た味で(哲郎)■月齢と十二の相関性とは(吾郎)

〔以下順不同〕
鉄屑が積まれて無風ピラカンサ   規夫
◎裕◎菊野
■紅いピラカンサは冬の実。白い花は春。でもそんなことはいい。花も実もないピラカンサが、鉄クズ置き場の横に葉を開いている乾いた風景を切り取ったのが新鮮。無理がないのもいい。日本村の季語と言う甘えに一石を投じたいい句だ(裕)■人間の出ない俳句はやっぱりオモローない!(等)■「ピラカンサ」って何?(杜)■いい風景だと思うけど少し説明かな(哲郎)

排泄後純粋理性批判かな   等
■軽みとは何か。よく分からないが、奥行きのなさとは違うと思う(裕)■「純粋理性」って何…? ただの馬鹿じゃん(杜)■当り前。排泄前ならちょっと凄い。要はカントが排泄を経験と考えたかどうかだ(哲郎)

流灯の辿り着かむか父の地平   邦夫
■たどり着く先が「父の地平」ではあまりに通念的だ(裕)■チョーマジメ、これ田舎に帰った人の句(等)■ウーン(杜)■オーバー・ザ・レインボー(哲郎)

エアコンの音だけあんたがたどこさ   哲郎
◎菊野◎美智子
■狙って、ギャグをはずした根岸一号。けっこうウケたりして(裕)■「だけ」が余分。「エアコンしゅわーあんたがたどこさてつろーさ」といこうか(等)▼もうバレバレ(当番)■コメントつけにくい句なんですよね(杜)■それを木の葉でちょいと隠す(哲郎)

雷の一撃を受けそびれ秋の虫   杜
◎規夫
■「そびれ」まで一気に読ませて、「秋の虫」で切れる新しいリズムに注目(裕)■「雷」「秋」「虫」と季語が3つ。でも、いただく。「受けそびれ」とトボケたのなら、「秋の虫」と曖昧でなく、とも思いますが、これでいいのかも(規夫)■「そびれ」がなんで面白いのか、ワカラン(等)■「そびれ」を入れたくなる気持ちはとてもよく分かる(哲郎)▼みんな気になる「そびれ」ではあった(当番)■まだ生きてまーす(杜)

針先のまっ赤に光る十三夜   裕
■「光る」よりは「燃える」のほうが奥行きがでたか。いずれにせよ平板。「まっ赤」も大げさ。「針先を紅く焼いたり十三夜」じゃだめ?(裕)■映画のポスター、深読みする奴はバカ(等)■B級ホラー邦画をみんなバカにするが、これが一番怖いんだ。ほんと(哲郎)▼主演は怪優岸田森か(当番)■夜の針仕事は目に悪いすよ(杜)

無の故に金柑歓喜煮え湯飲む   吾郎
◎葉子◎十四郎
■さらなる制約を求める作者の意志に敬意を表しつつ、「金柑歓喜」はおもしろいが、全体はちと苦しいか。でも大変だよね、メビウス俳句を作るのって(裕)■難しそうでもあり金柑に目鼻が見えるようなオトボケ感もありで、良い出来。A(規夫)■あのねえ、もっとヘタに作ってよ、立派すぎるよ、この回文(等)■先月の月食のテレビ局みたいですね。回文王さま(葉子)■こちらをいただきます(十四郎)■いいんじゃない。右脳鍛えてるね(杜)■大森回文工房(OKK)主砲の力作だが、だが(哲郎)

ロッキーのテーマ九月という未来   十四郎
◎規夫
■何故か「♪スタイリ〜、スタイリ〜、ワタシニデンワシテクダサイ、ドゾヨロシク」のテレビ・コマーシャルを思い出してしまった。「九月という未来」はなんか、清々しくていい感じなのに。スタローンがいかん。スタローンが(裕)■なんか風通しのよい句。字画が少ないせいもあるか?(規夫)■姿よしリズムよし何かありげ、だが(哲郎)■この音楽がキライ。九月も未来もキライ(等)■あなたにとってね(杜)

小心な向日葵村を俯瞰する     菊野
◎杜◎珠子◎邦夫
■「ひまわり」と「ひまわりむら」では、意味は全く違うが、どちらか? 恐らくは「ひまわり」なのだとは思うが。いずれにせよ、ひまわりにしては矮小(裕)■「小心な」は「小心に」でしょう(等)■小心な村社会が作り出す差別と人権侵害と歴史を嘲笑している(杜)■種が充実して頭を垂れたひまわりを「小心」ととらえたのが面白い(邦夫)■未消化系(哲郎)

夕顔の芯につながる耳の穴     規夫
◎哲郎◎吾郎
■やっぱり説明。結局、「穴おち」か(裕)■そうね(杜)■完成度で(哲郎)■穴狙い(吾郎)

ずゐずゐずつころばし初老性秋思     哲郎
◎等◎菊野
■西念寺ね。上手い。パチパチパチ(等)■根岸二号。こちらのほうが含蓄はある。じじいっぽい境涯性もあるね(裕)■こんなややこしいことゐってないで麻雀でもやりましょうよ、哲郎さん(規夫)▼こちらもバレバレ(当番)■ずっとこのまま(吾郎)■やめてくれぇー(杜)■井戸のまわりのお茶碗(哲郎)

貝割り菜寓土は道具生業か     吾郎
■寓土ってなんだあ。敬意とりさげる(裕)■「寓土」はツラい。B(規夫)■拝啓、わたくしはOKKの正式な工員にもまだ採用されていない見習いバイトの分際でありますが、親方っ不調っす(哲郎)■長いシーズンこんなこともある---ってどこの監督じゃい、おのれは。絶不調(吾郎)■ピーター・アーツ的王者の風格。おすうもうさん佐竹的回文が好き(等)■わかりません。貝割れって水栽培だよね(杜)

月明かり魚の殺意を確かめり    菊野
◎珠子
■「魚の殺意」という強い言葉を成仏させるには、「確かめり」では弱いのでは。全体の柔らかさは好きなんですが(裕)■「確かめり」がゆるい(杜)■ピラニアに小学生が噛まれたってか? 大阪の放水路でね(等)■法廷が維持できるだろうか(哲郎)▼わははは今回のコメント大賞(当番)

蟷螂の前脚乳首を撃たんとす    邦夫
◎裕
■知らん(等)■「蟷螂の前脚〜」は説明しすぎ。「斧」ですっきりといきたい。でもエロティックだ(裕)■ということは、乳房に蟷螂のあの影がくっきりと映っていますよね、ドキドキ(哲郎)■前脚より後脚の方がマンガ的で動きがありそうな気がする(杜)

妹の黒髪黒土間桃ころげ      等
◎裕◎十四郎
■「黒土間」という確信犯も少々くどいよ。「土間に」で十分だ。語感の重量でいただきだ(裕)■重い(十四郎)■上手そう(杜)■ご無体な(哲郎)

シグナルが九月九月と叫んでいる     十四郎
◎珠子◎美智子
■このシグナルは一年中叫びっぱなし(裕)■ロッキーのテーマかシグナルか、どちらか1つにしてほしい。う〜ん、九月ですね、もうじき(規夫)■そりゃウルサイシグナルだ。すぐ石を投げてダマらせろ(等)■わかりました(杜)■英訳がとってもしやすい、と思う(哲郎)

冷めていく森にクワガタ脱走せり     杜
◎邦夫
■「冷めていく森」と「クワガタ脱走せり」のアンバランスが面白いはずなのだが、トータルでは平板なのはクワガタの平べったさのせいか?(裕)■「冷めていく森」に季節感。そこへ脱走していくクワガタ。コドモは気付かないか、売れているか(邦夫)■「冷めていく森」は現代詩的用法(等)■詩情混沌として面妖(哲郎)■というわけで我家のクワガタは消えました(杜)

変換キーバチバチ暑さ微塵切り   珠子
◎等◎葉子◎杜◎邦夫
■臨場感アリ。シオリちゃん(等)▼はずれ、ちなみに今回作業は♂(当番)■即物にすぎた(裕)■えーい、切りきざんでステテクレ(葉子)■「変換キー」が日常を表わす現代。暑さ微塵切りがいい。すごーい冴えてる句だ。ワォー(杜)■歯切れよさ。リズム感。「暑さの微塵切り」が妙着(邦夫)■キー・ボードを修理に出した方がいい(哲郎)

転寝や隣にごろり赤かぼちゃ    葉子
◎規夫◎哲郎◎吾郎
■かぼちゃというのは尻の隣りによく合いますね。「赤」も面白い(規夫)■でっかい(吾郎)■わざと、ごろ、ごろ、ごろと。それがころ、ころ、ころの軽さになれば成功したはず(裕)■転た寝のこの農婦はだらしなく孕んでいると思う。萬鐵五郎かなんかの贋作の絵にありそう。お宝お宝(哲郎)■(以下四句)まとめて評。この四句出来てる。新聞俳句の欄に投句してみろ、入選間違いないよ。ホメちゃいない。鰯の匂いがする。早く出せ!(等)■彼の頭だと思って抱いて寝たらええよ(杜)

糠床に秋茄子沈め夜を待つ     葉子
■時間が常識的に流れすぎて味たりず。もう半日ほど漬けてから出すべし(裕)■夜を待たずにやりまくれ!!(杜)■なんか、やらしい(哲郎)▼みんな考えすぎ、ってオレもか(当番)

炎天に焼けただれている戒め    美智子
◎等◎葉子
■何の戒めなのか判らない(裕)■おーこわいこわい(葉子)■プールは長蛇の列(杜)■羅列の戒め(哲郎)

国境夏のおまけをぶらさげて   美智子
■晩夏の旅愁か。さりげない軽さがいいっす(裕)■夏のおまけは、色あせてゆく恋に似てただぶらさがってるのは目障りだ(杜)■「おまけ」が意味深。ね、おまけって何。おまけには目がないんだ(哲郎)
〔以上24句〕

〔総評・近況集〕
■テレビアニメのシナリオ書いている高校時代の友人の別荘(といっても、そこに住んでいるんだが)に行って来た。地下にサラウンドシステムのオーディオルーム。「天空の城ラピュタ」をプロジェクター画面でみたら、すっげえ迫力。地下室には膨大なマンガ、ビデオ、資料の山。凄いなあ。週に一回東京に出てきて、打ち合わせして、あとは山暮らし。仕事はメールとファックスで、住むのは山んなかでなんて口先でいってるうちに、どんどん実行するやつがでてきている。負けたね、こりゃ(裕)。
■雲が黒い。蒸し暑い。電車が通る。仕事はたまっているような、でも仕事以外のことがしたいような(規夫)。
■読みたくないもの。家庭や身の廻りのこと。短いのなら、よろし。会って目を見れば分かる程度のことが一番その人のことを表現している。句もそのようなのが好き(等)
■すっかり夏休みボケしてます。えーい、未だ夏休みするゾと九月は、一日よりLAで遊んできます。私はずっと夏休みしてるのが好きです(葉子)
■ウダウダしてたら頭の中に言語がない。さあオクンチどうしましょう。いいや出さなくたってどうってことないサ!「今回パスします」とワープロ打ってるうちに何となく作る。死にぞこないってところで生きてる人には、とても私などがなまいきなんですが…。そうそうクワガタがマンゴー好きだって知ってた?(杜)
■太平洋がでっかい(菊野)
■二日酔いの眼に光る海が眩しい。今日の吟行は調子悪そう。「鉄屑が」「長い夏」「夕顔の」「月明かり」などに共感しました(邦夫)
■怒濤の八月が終わろうとしている。暑かったけど、熱くはなかった、とまったような季節だった。そうそう、シャープ/ザウルスのスケジュール・データが1000件分とんで、この1年の過去が消えた。とほほ(吾郎)
〔当番より〕
▼今回、投句先間違い&遅刻の方約二名。当番先生、大目にみたけど、次回は自戒するように! なんちゃって。それと突然サーバーがダウンすることもあるので、メール投句の方も一応FAX。これマストね。
▼次回は、いよいよ「オクンチ☆グランドクロス」の99年9月9日。規夫当番より重大発表あり。心して聞くように。投句先は、当番規夫。お間違えないよう。
▼次回は、ホンモノのオクンチ、つまり季語でいわれるところのオクンチ。なおかつ、去年9月19日に始まった、当FAX句会が季節を一巡する記念すべき回でもあります。で、次回は…
 2句以内投句(通常)+「九」を兼題に1句  ※いずれかのみの投句もOK

〔お知らせ@〕
オクンチ1999春夏コレクション発刊のお知らせ
▼自選5句を、当番規夫宛て、お送りください(FAXまたは電子メール)。春から夏にかけてのオクンチへの投句よりお選びください。(オクンチ投句以外から自選される方がいらっしゃいます。今一度お確かめください)締切は8月31日でしたが、すこしだけ待ちます。
〔お知らせA〕
オクンチ・バックナンバー(永久保存版)
欲しい方、規夫までご連絡ください。着払い宅配便でお送りします。(かなり分厚いです)

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九の付く日のFAX句会 オクンチ 第34回 99年8月29日  日曜日
〔今回の「当番規夫・平謝り」一句〕
長い夏継ぎはぎのアスファルト這う    珠子
■「継ぎはぎ」的説明(裕)■ウーン、リズム悪いぜ(等)■目に景がパッと浮かぶ句だよね。今年の夏の句だよね(杜)■継ぎはぎのアスファルト這う×××××としてシュールな季語でキメッ。「長い夏」はつき過ぎ(哲郎)

※たいへん申し訳ありません。当番規夫の貼り込みミスで、この一句、掲載漏れでした。
ついでに、再度の告知
▼次回は、いよいよ「オクンチ☆グランドクロス」の99年9月9日。規夫当番より重大発表あり。心して聞くように。投句先は、当番規夫。お間違えないよう。
▼次回は、ホンモノのオクンチ、つまり季語でいわれるところのオクンチ。なおかつ、去年9月19日に始まった、当FAX句会が季節を一巡する記念すべき回でもあります。で、次回は…
 2句以内投句(通常)+「九」を兼題に1句  ※いずれかのみの投句もOK

〔お知らせ@〕
オクンチ1999春夏コレクション発刊のお知らせ
▼自選5句を、当番規夫宛て、お送りください(FAXまたは電子メール)。春から夏にかけてのオクンチへの投句よりお選びください。(オクンチ投句以外から自選される方がいらっしゃいます。今一度お確かめください)締切は8月31日でしたが、すこしだけ待ちます。
〔お知らせA〕
オクンチ・バックナンバー(永久保存版)
欲しい方、規夫までご連絡ください。着払い宅配便でお送りします。(かなり分厚いです)

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九の付く日のFAX句会 オクンチ 第35回 99年9月9日 金曜日 14名様ご参加
〔今回の一句〕
幾億の木の実の一つかつんと海  等
◎裕◎亞子◎珠子◎勝之◎規夫◎邦夫◎十四郎
■木の実を一つに絞って、「かつんと海」にぶつけたのが実に巧み。無数の木の実が見えるようです。スッキリいただける今回のピカ一(裕)■意外な展開とスピード感(邦夫)■何だかいいな。こういうの作れたらいいな(珠子)■このテイスト、私も作ったことがあるような…(失礼)(亞子)■「かつん」が効いてるよなぁ(勝之)■「幾億」たあ大袈裟、につきイタダキ。「かつんと海」はシビれるフレーズ。人が出てこないのがいい(規夫)■数で負けたので(十四郎)▼ああなるほど「千」より多いっつうわけですね(当番)■いい俳材が揃っている。あとは調理法なのか皿への盛り付け方なのか(哲郎)

〔以下順不同〕
電卓に蜘蛛の這うなり十三夜  裕
■数字が気になるが感じの出た佳句。もう一句選べるならいただきます(哲郎)■「這うなり」と言われてもなあーっ(等)■「とりあえず句」の典型でした。お察しくだされ、トホホ(裕)

新涼や和菓子屋多き九段下  亞子
◎等◎菊野
■そうだったかな、印象薄いけど。いやあるかもしんない和菓子屋、いっぱい(哲郎)■バブルの頃、九段下に事務所かまえていたけど、和菓子屋少ないぞ、九段坂上の方だろう。型でとる(等)■上野駅から九段下まで勝手知らないじれったさ(菊野)■今度、行ってみるべぐらいしか言うことないよなあ、こりゃ(裕)

石榴ゆらゆら腐ってしまえあっかんべえ  吾郎
■腐ってしまえでもう十分。あっかんべえでは主観しつこし。(裕)■つまり、あれがあっかんべなわけね(哲郎)■呪詛はキライよ、ヤメタホウガイイヨ(等)

味噌汁をこぼしてポタポタ秋が来た  杜
◎美智子
■私の秋は「ツンツン秋が来た」(美智子)■「ポタポタ秋が来る」のは実感。上を「愛人と別れて」とか。こりゃダメか(哲郎)■「ポタポタ秋が来た」だけの方がいいと思う。トイウコトハ他ノ言葉はナンダッタノ?(等)■なんか家庭的実感あり。取らなかったけど、いい句かも。いや、いい句なんだきっと。どうして、あたしゃこう自信ないんだろ(裕)

長い夏崩れ尻尾で話す猫  珠子
◎菊野
■上八が難しかった。「尻尾で話す猫」は発見。いいのに(哲郎)■「話す」はアマインジャナイノ? 絵本は子供の時見飽きたよ(等)■猫は眼で話すと思うのだが、猫又ですか? こんニャロは(裕)

江戸俳諧尾の一振りの鬼やんま  等
◎吾郎◎栞
■フォームがいい。四番打者の風格(哲郎)■後ろの方の「の」が気になるんですけど(吾郎)■判るには「俳句的教養」が要りそう。で、それがない。困ったことです(裕)

よく噛めば紫蘇の実である家族かな  哲郎
◎等◎吾郎
■コレ俳諧味あり(等)■どんな家族か想像するのは置いといて、そこはかとない確認をした瞬間の「家族」が妙にいとおしい(吾郎)■にしても、紫蘇の実にされてしまった家族って、いったい?(裕)■つまり思わせぶり(哲郎)■紫蘇じゃ凡庸。「砒素」といったらんかい!(勝之)

道路上確かに蛇は火傷する  菊野
■アッチッチ!(哲郎)■蛇の蒲焼。きっと勝チャン、喰ったことあると思う(裕)■なるほど確かに(勝之)■「確かに」なんて言っちゃって。たいへんね(等)

夏のアクメにあまりにも青い空  邦夫
■アクメって何や?「ああん、イク、イクゥ」ゆうやつか、イヤラシ、青姦か(勝之)■カマキリの交尾のことです。よく観察しましょう(裕)■ヨーワカランネ(等)■あまり到達したくない境地(哲郎)

シャキシャキと長芋踊る九官鳥  美智子
◎邦夫
■取り合わせの妙。「躍る九官鳥」は腹減って騒いでいるのかな(蛇足)(邦夫)■食感?(哲郎)■扁平頭になってませんか?(等)■シャキシャキって芋をコスる時の音? 踊るからにはコスったのかなあ。シャキシャキならむしろ細切りだと思いますが。やっぱ、スったやつを麦飯にかけて喰うほうが好きです。芋のことを考えていたら、なんか、だんだん萎えてきた。ああっ(裕)

鳥渡る九回裏の万塁弾  亞子
■四人目がホームを踏む頃はもう外でタクシー拾ってる(哲郎)■その後、ダイエー負け続き。やっぱ亀屋万年王監督か(裕)■横浜の駒田ネ。鳥も弾も空飛んでいる。上ばっかり見てると首が痛くなるよ(等)■今回、野球ネタが多かったが、日本人はヘタ。アメリカ人はウマイ(規夫)

千年のはじめの一分木犀匂う  十四郎
◎裕◎規夫◎栞
■ということは、いい千年が始まる?(哲郎)■生硬な理知を感じるが、それ以上に凛とした空気感がいい(裕)■「千年=ミレニアム」はもうすこししたら日本中で歌われまくるのだろう。時期的には巧い先取り。今回は、イベントでもあるし、大きなもの、大袈裟なもの3句、すんなり選べた(規夫)■面白いけど木犀じゃないと思う。もっと生臭いものが匂うと思う(勝之)■「一分」は苦しいでっせ(等)

百合ゆらりバナナボートは明けの月  勝之
■「ゆりゆらり」がいいね、バナナもなんか魅力的(裕)■昔集めていた切手立国系の国の切手にこんな風景があった。懐かしい(哲郎)■キャンディーズの前の三人娘、なんだっけ? ルナちゃん(尼さんポルノに出た?)だけ覚えている(等)▼それ、ゴールデンハーフのこと? やっぱ「尼さん」しか記憶にないわけですね(当番)

尻というカオス初秋の猿の色  規夫
◎哲郎◎美智子◎杜◎裕
■ウ〜ン、そうかも!?(美智子)■俳句の巧拙ということを思う。痛切に思う(哲郎)■「尻のカオス」から「初秋の猿の色」へ持っていった転換がテクノなのね(裕)■日光猿軍団ね! 反省しろ!(等)▼反省!(と、机に手を載せて下向く)…と、これは日光じゃなかった、猿ちがい(当番規夫)

留守監視銀杏難儀進化する  吾郎
◎哲郎
■完璧。やっぱり流石工房長。たちどころに不調から脱出(哲郎)■一般大衆は、これで充分びっくりするかもしれないが、私の親方への期待はもっと大きい。Bの下というとこ(規夫)■コンポーネンツの組み立て過程丸見え。進化せず難儀せり(裕)■ワカラン経文のような回文。今回ダメ(等)

重陽のじゅげむじゅげむな一周忌  哲郎
◎菊野
■批評性はやっぱり必要ね。言葉遊びであっても(等)■まんだらげって、マンドラゴナのことだって、今日初めて知った。関係ないか(裕)■何年たっても二つ目になれない前座噺家(ぶろにか)(哲郎)■またあ、そうやって衆生をたぶらかす(規夫)

ふわふわと結びたきかな水引草  杜
■指の動きにドキドキ(哲郎)■あれって、結ぶよりしごいてみたいけれど、まだやったことない(裕)■水引草は結ばれるために生まれてきたのではない(等)

赤とんぼ右だったかな泣きぼくろ  珠子
◎勝之◎哲郎◎等◎亞子◎邦夫◎杜
■たとえば、たとえばだよ。「赤とんぼ昔なくしたイヤリング」とかって、いま作ってみたけどまあ常套句系だよね。で、そのことを思うと、この句は遙かに面白い。失しているのが何よりも自分への記憶だから。感覚がアナーキーだから(哲郎)■ポエムやねぇ(勝之)■こういうのに弱いんだな。あのこのえくぼ、どっちだったかな。なかったかな(邦夫)■桑田の顔を見ろ。ホクロか目玉かワカランヨ(等)■どのへんから単なるほくろになるのか?(亞子)▼お答えします。基準は、位置ではないのです。持ち主によっては、どこにあろうが「泣きぼくろ」とはゆわない(当番)■すけべいなやろうだ。でも、なんかかわゆい句(裕)

もう居ないドアのレンズに小さな月  裕
◎勝之◎吾郎
■小さな切り取り、大きな景。それでいて床の間のいたずら書き(吾郎)■うーん、サスペンスフル!(勝之)■ストーカーに悩まされているの?(哲郎)■全部説明。油断もスキも欲しい(等)■もう、ゆるゆるのうるうる。吉祥寺のチエちゃ〜ん(裕)▼誰ですか、そいつ(当番)

秋薔薇散らず散りたり風力3  菊野
■俳味への抵抗微に入り細に渡る(哲郎)■ウマイデスナー。ウマイガイイワケジャナイ(等)■ちょっといいかな。で、風力3の根拠は?(裕)

鰯雲から桜紅葉一枚  邦夫
◎珠子◎十四郎
■あなたに気づいてほしかったんだね(珠子)■秋の階調(哲郎)■十七文字!(十四郎)■チョウド十七文字がイイワケジャナイ(等)■新松竹『東京秋日和』(裕)
秋の夜の切絵の海が歌う歌  美智子
■「の、の、の」の固定。ここまで押すなら残りの「が、う」も「の」にするとか(哲郎)■歌う歌? 何の歌?(等)■ちょっときれいに歌いすぎたのねん(裕)

9回に1Xありて秋刀魚焼く  十四郎
■アルファ勝ちとかエックス勝ちとかいったっけ。子供の頃はほんとに後攻め有利と思ってた(哲郎)■まぎれこみやがったな9太郎め。ところで『怪球Xあらわる』って旧いマンガご存じ? 益子かつみ作(裕)■「X」がイイワケジャナイ(等)■「4X」のほうが良かった。「1X」だと、ああ同点だったのねと展開が読める(規夫)

エボナイトのような夜だったね空一面にUFO  勝之
◎規夫
■「空一面にUFO」たあ大袈裟、につきイタダキ。前半のデレデレも、オジサンのファンタジーとして認める。そっち側に立つ(規夫)■「エボナイトのような夜だったね」までは素晴らしいんですが、あたしゃ、まだ、空一面のUFOが見えるところまでイッていない(裕)■「こんな夜に、こんな夜に」とRC風にリフレインしたい(哲郎)■長いだけがイイワケジャナイ(等)

長い長い長いオーソレミーオ晩夏  規夫
◎美智子◎珠子◎亞子◎杜◎十四郎◎栞
■息子がうまいんだな、この歌(美智子)■朗々と歌うイタリア人の容貌、身振りまではっきり(珠子)■「ソ」と「レ」の間ものばすよね(亞子)■やっぱ盛夏では?(十四郎)■ほんとうは一番いい句かもしれない。採らなかった自分に問題があるはずなので、ちょっと時間が掛かるけど自分を修理に出そうと思う(哲郎)■破調がイイワケジャナイ(等)■なるほどバクダイな肺活量があることは判る(裕)

〔以上26句〕


◇兼題「九」
九月は空洞家電売場の白濁  等
◎邦夫◎裕
■「白濁」が難解だけど…(邦夫)■実感あり、詩感ありというその一点で、九シリーズ唯一の○を献上(裕)▼直す前の句も、当番としては知っているが、そっちのほうが、動いていく勇気があって私は良かった。これはすこし重ね餅っぽい(当番)

天国の上もあります九蓋草  吾郎
◎勝之◎亞子
■「葬式」についての本をやっていて出てきた話。月にお墓を造ると夜空を見上げて墓参り…を思い出した(亞子)■そりゃ西念寺の改築早々漏れ天井に決まってるだろうが(裕)

その泥であるを下さい蓮九輪  哲郎
◎吾郎
■不自由な日本語が醸しだす具象と抽象の隙間感が好きですって、なんのこっちゃ(吾郎)■「ハイ、毎度ありがとうございます」(杜)■哲郎さんってば、お盆はもう過ぎたっての、もう(裕)

秋空を横目で見上げ九九習いたて  亞子
◎杜
■小学校二年の秋から九九を習います。我家もこれからとうぶんお風呂で九九なのだ(杜)■少年に幸あれ(裕)■下がよいですね(規夫)

九回裏二死満塁の打者月下  珠子
■閑話休題。「月に向かって打て」って故大杉に向かって大下が言ったんだっけ? ま、どーでもいいけど(裕)

九つと言ってみよ秋の深酒  杜
■だいたいチューハイ三杯目ぐらいから、四までしか数えられなくなります。ハイ(裕)
秋暑しかけ算九九の五時間目  菊野
■重ねなくたっていいじゃない(杜)■ここにも出来の悪い子がひとり(裕)

九月蝉ひとり笑いの男くる  邦夫
◎栞
■迫って来たら臨場感あり(杜)■即座に逃げたほうがよろし(裕)

もの忘れひどし九月女の顔も思い出せない  勝之
◎哲郎
■ひどく面白いのですがフォームがあまりにも、ない。この俳材で何が何でも定型に一度詰め込んでみたらどうだろう。「九月から思い出せない女たち」「女の顔思い出せない九月病」「もの忘れ九月女の顔がない」とか、ああやっぱ俺じゃあダメだな、原句のがいいや。定型なんかないかなあ、どうしても……くやしい(哲郎)■いいな。けど、二カ所で切れるのか。「ひどき」ではいかんの?(邦夫)■ウーム、うらやましい境地だ(裕)■介護計画立てておきましょう(杜)

九月の海家族ごっこの舟を漕ぐ  美智子
■ま、一種の欲求不満ですからシャブ打てば一発で解決できます。ブッダ・スティックでもいいでしょう。モヤモヤしている頭のなかに涼風が通り抜けること請け合いです。あ、自家栽培はダメよ。気が抜けてるから。めでたし、めでたし(裕)

今朝はまたやけに眩しきくにち九日かな  栞
◎十四郎
■オクンチ一周年をともに祝す(十四郎)■「九月」とは言いたくなかったのかな(邦夫)■またまたお上手な。とあれ皆様、一年間ごくろうさまでした。と当番に代わって(裕)

ナインスなごやかに乱れたもつ音  十四郎
■これでいいのか〜ぁ???? わからないんだよ〜ぉ!!!!(裕)■「ナインス」をみごとに説明しているが、俳句は説明じゃあダメらしい。でも、甘美な説明ですね。マイナーナインスの2度2コードでとりあえずインプやってた青春の一コマ。…と、音楽やってたことをちらりと匂わせておこう(規夫)■わざとらしくて、肺のヤニまで透けてみえるぜ(杜)

キルド×9ヴィエトコン=FEN+残暑  裕
◎規夫
■ううっ、数学は苦手だが、「キルド・バイ・ナイン・ヴィエトコンズ…イクォ〜ル…フェンざんしょ」と、米軍基地で通訳しているトニー谷が世間話をしていると読めた。ので、コレいただき(規夫)■文句ありますか。あるよなあ。ケッ、印税ないからよお(裕)■自棄(ヤケ)だ(杜)

おくんち九日や顔で笑わせてごめん  規夫
◎等◎美智子◎珠子◎菊野
■私のこと? 笑ってごめん!?(美智子)■まだお会いしたことのないメンバーの皆さん、期待させていただきます(珠子)■モリだな。作者の顔が見えたから一選(等)▼オオハズレ。顔が見えてなかったから、選取り消し。それにしても、これ、杜さんに対して失礼では?(当番)■みんなそうだから、誰の句かわかんない(裕)
〔兼題・以上14句〕

〔総評・近況集〕
▼だからさー、溺れている奴がどうして溺れているかって考えるかよ。早く岸に上がるか、早く溺れてしまうか、どっちかなんだよ。チュウチョもケツダンもないのよ。これが俳句よ。(等)
▼千葉県水稲作況指数百三、やや良。旱のため、里芋ダメかもしれぬ。アリアムガンチュームとチューリップを彼岸過ぎに植える。上司と口論。三十人学級夢と消える。四十一人担任。句会に出れぬので残念。御身御大切に(菊野)
▼コーンパイプ、三日で底が抜けやがった。しかし、こいつがダンヒルのブライヤー何ぞよりずっと旨いたあ、気づかなかった。が、それよりロミオ・イ・フリエタのぶっといのはもっと旨い。今日九千円の包丁買っちゃったけど、葉巻五本買ったほうがよかったかなあ。誰かハバナツァー行く奴いないか(裕)
▼いろいろな形で俳句に接する機会が飛躍的に増えた1年だった。もちろん「オクンチ」に負うところが大きいのだが。いっぱい作れば、それなりに面白くなってくる……というのも納得、その楽しみを覚えたのも、いわばまぁオクンチのお蔭ってことですわ、ヨイショ!!っと。それと、恥ずかしながら、こっそり回文作って投句するなんて、コソコソとした深夜放送の匿名希望さん的な喜びもありました。いや、まったく、途中から回文評専門の採点がくるとは思ってもみなかった。でも、投句の励みとなったのは事実であります。オクンチ春夏コレクションの中にも、この時期の記録ということで自選しました。それなりによくできたと褒めておこ。ははは。(吾郎)
▼ついに一年経った。それも99年9月9日とは(たぶん発案人もここまで狙っていた訳ではないでしょ)。やはり短かったと言うべきだろう。でも色んな事があった。色んな句に出会った。コメントも、これがまたスゴかった。楽しみました。勉強にナリマシタ。こんな面白いこと思いついたヤツはエライ。私はといえば、いつも時間ギリギリの滑り込み参加でよくぞここまでついて来れたと。おまけに結構イケテル句もあるジャン……なんて、言ってるそばからドツボにはまっている今日この頃です。ズブズブズブ……。(栞)

〔当番より〕
▼無事、季節を一周しましたね。一周年はふつう次の回(九月十九日)をいうんでしょうが、なにはともあれ、続いた。
▼当番規夫としては、3回目あたりまで続いた時点で、「これは続くな」とは思っておりましたが、1年間は長いようで短いようで(と、つまらない挨拶口調)、ともあれ、「参加者が3人を切るまで続ける」と考えておりますので、よろしく。
▼99年9月9日9時9分の投句を狙った吾郎さんは、グランドクロスに気を取られるあまり、のちに2句サシカエ…という事態だったこともバラしてしまいましょう。
▼亞子さんは、兼題ばかりか、3句とも「九」で作っちゃったそうで、ありがとうございます。
▼兼題「九」は前にやったし、当番の企画力不足。今回は賞品も出ません。でもまあ、当番としては、「オクンチへの挨拶句」をありがたく頂戴いたしました。
▼次回は、オクンチ一周年。なにか変わったことをするのもいいのですが、ふだんどおりにいくのもいいでしょう。ふだんどおりの「2句以内」でいきましょう。
▼当番は、規夫です。お間違えのなきよう!
〔お知らせ〕
オクンチ・バックナンバー(永久保存版)お申し込みの方、いましばらくお待ちください。今回分を入れた1年分をお送りします。

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九の付く日のFAX句会 オクンチ 第36回 99年9月19日  日曜日
〔今回の一句〕
一葉落つイエロウサブマリンの凱旋  十四郎
◎杜◎吾郎◎規夫◎邦夫◎菊野◎珠子
■ちょうど昨日買いました。「凱旋」がすべて。そういえば某テレビ曲でイギリス特集の時「愛こそはすべて」を使ってたけど、あのイントロはフランス国歌ですぜ(吾郎)■アニメを見ていると、そんな気もします(杜)■「イエロウサブマリン」の私の解釈が正しければ、「一葉落つ」が聞いていて◎(珠子)■熱烈歓迎(菊野)■グラフィック・アート(邦夫)■う〜ん、こんな時事ネタに一選を投じねばならないとは。これもオクンチに参加する者の哀しい定めかと、腹をくくって一選(規夫)■好きな傾向の作品ですが季語がどうか。黄から離れた方がいいと思うのと、もしかしたら季語なしで自由律だと生きるかもしれないと思う。たとえば「イエロウサブマリンイエロウサブマリン凱旋す」とか、ダメか、これじゃ(烏鷺坊)■この場合、銀杏の落ち葉かな、やっぱり(裕)■ちょっとシャレテイル。こういうモダニズムは僕にはダメ(等)

〔以下順不同〕
赤とんぼ縦横に飛び恐くなる  菊野
◎烏鷺坊◎裕◎十四郎
■この恐怖、ぼくも体験あります。とても素直な実感(烏鷺坊)■「人は何を恐れるか」面白い句だと思う(杜)■わかります、あの速さは確かに恐い(勝之)■「縦横」「恐い」という言葉を知っているが故に、作者は何も語ることができなかったという典型の句(等)■でも、そういう日はあるからさ(裕)■共鳴句だけど、すでに(邦夫)

九月蝉羽化寛永寺五重塔  邦夫
◎等
■「竹馬やいろはにほへとちりぢりに」(久保田万太郎)の逆。久保田万太郎は芸術員会員。ボクは好きではない。この句も鼻にツクところがある(等)■その心は天海、と見た(烏鷺坊)■なるほど、全部漢字って、蝉にふさわしいかも(裕)■じゃなくても羽化するんだけど、限定版なのね。全国のみやげ物屋で売ってる(杜)

無実でも血を纏うかな曼珠沙華  杜
■共鳴句。「かな」が気にかかる(邦夫)■しかし、ヒガンバナはどれも生まれつき有罪だと思う(裕)■曼珠沙華の説明だけどこりゃむしろ此岸花ですな(烏鷺坊)■辞世の句にしても出来が悪い。大逆事件のとき、大石誠之助は「嘘から出たまこと」と言った(等)■池袋の事件を思っていた(杜)

祭り太鼓遠く黄芙蓉の最期見届ける  勝之
◎邦夫◎珠子◎十四郎
■やや仰々しい。でも繰り返し読んでいるうちに◎(珠子)■「遠く」「最期」「見届ける」、言葉がいっぱい(等)■届けるのは郵便かおみやげで充分。「見届ける」こたあない。なんで、モノや世界に、もっと言えばコトバに、すりよろうとするかなあ。しかし、まあ何かを自分で書くことはそういうことかもしれぬ(規夫)■どーせここまで長いんなら句尾に「私」あるいは「今日の私」でもつけたらどうでしょう、いっそ(烏鷺坊)■だから、句読点を付け忘れているんだよ(裕)■最後だけじゃ嫌(杜)■「遠く」「最期」「見届ける」、言葉がいっぱい(等)

鬼やんまより大きい森はあらぬ  等
◎菊野◎十四郎
■んなこと言われてもなぁ…(勝之)■そうかもしんない。言い張った方の勝ち(烏鷺坊)■でもさ、ウケを狙った禅問答みたいなのヤダよ(裕)■英文法の構文のようです(規夫)■共鳴句だけど、すでに(邦夫)■そうかい(杜)

東京発木の実柿の実まだ青し  珠子
◎烏鷺坊◎裕
■いいなあ、とってもいいなあ。感じいい(烏鷺坊)■「東京発」がいいのか悪いのか?(等)■そうは言っても、さっぱりしていて、いいよ(裕)■我慢します(杜)

哀しみの新蕎麦尊師飲みし仲  吾郎
■やっぱ親方やるときゃやる、面白い。頭が下がります(烏鷺坊)■くぇー哀しい(杜)■哀しみの新蕎麦っていいっすねぇ、吾郎さん。しかも尊師と飲んじゃったりして(勝之)■これも回文「長きよのとをのねふりの皆さめ波のり舟の音のよきかな」▼「引鶴は帰途恋ふ如き春月日」これも回文。そりゃあ、ありますわな、いっぱい(当番)■そして、言い古したけど、意味になっているのが憎いところね(裕)

秋うらら抱かせ卵のたなごころ  裕
■掌中の珠っちゅうことでせうか(烏鷺坊)■ちょっとあやしいぞ、抱いた女or男の「たなごころ」じゃないの?(杜)■深読みすればできるけど陳腐になるから止めた(等)■「たなごころ」を理解するために、早くオトナになりたいと思った(規夫)

なぬかまでななかまどねにこむをぬのかます  烏鷺坊
■「ぬのかます」って何だ?(等)■だよなあ、ちょっとわかんないなあ。韜晦というほど高級でもなさそうだし(裕)▼いずれにせよ、こんなに入力しにくかった句はない。その意味でピカイチ(当番)■すいません私しばらくねぬきます(烏鷺坊)■ハイ(杜)

煙草増え不眠の底の虫鳴き通す  十四郎
◎烏鷺坊◎勝之
■こんなとき「頑張れ」というのが一番いけない言い方なんだけど、他の言い方、思いつかない。もうすぐ抜けられる、きっと(烏鷺坊)■煙草も増えていく…お互いにほどほどに。夜はとにかく寝ましょう(勝之)■共鳴句、されど下五の字余りは(邦夫)■煙草増え、なんて私小説だねェ(杜)■そうだろ、これは芥川ごろの近代的意識なんだよ(裕)■作者は「不眠の底」を気に入っているのかもしれない(等)

鳥肌が立つほどに来い鬼やんま  菊野
◎勝之◎裕
■鬼やんまは一匹見たってビビりますよ、ましてや鳥肌とや!(勝之)■ほんとにそんなに来たらやんなるよ、絶対(烏鷺坊)■ちっとやそっとじゃ鳥肌は立たないってことですね(規夫)■だけど、この簡潔さは力強くていいじゃない(裕)■鬼婆なら、もっとスゴイよ(杜)■スケールがでかい。ウルトラマンの句ですか?(等)▼ハズレ(当番)

朝顔や架橋のビスにかどがあり  規夫
■距離感を測れない。視線が届かない(烏鷺坊)■そうなんだよ、「朝顔」ではもの足りないのね(裕)■いたそう(杜)■嘘子と誓子のキメラ(等)…註・原文ママ

保守革新節操なくて豊の秋  邦夫
■不変の真理ごもっとも(烏鷺坊)■そう。あえて言わんでも、世間では新聞がそう言ってくれるからねえ(裕)■いまさら言わんでも。でも、言いたいわな(杜)■一面刈田となりました(菊野)■作者はインテリですごく立派な人だと思う(等)

尾花編む忘れがたきを匿すため  杜
■「忘れがたきふるさと=恋人」的な意、と、どこかに居る「忘れ形見」の意、と「忘れ仇」という特殊な仇持ちである自分、それらをみんな秘匿しておきたいという願いの籠もった複雑極まる、しかし巧緻な作品と見た――が、採りにくい(烏鷺坊)■またあ、こーやってホンネを匿すなって。露出狂でも困るけどさ(裕)■竹久夢二を見たい人は伊香保温泉に行きなさい(等)■チト、センチメンタルでした。俳句も夜作らないほうがいい(杜)■気持ちはよくわかる(菊野)

やっと秋歪なケーキに裏表  珠子
◎等◎菊野◎邦夫
■左右もあるし天井と床っちゅうか蓋と底もあるよ、きっと(哲郎)■そうねえ、あたしの場合は、「いびつ」を読むのが大変だった。でも、悪い句だとは思わない。「やっと秋」も悪くないんじゃない?(裕)■まだ暑いよォー(杜)■珠ちゃんだろう、テクニックに走るなよ(等)▼珠ちゃん? 大当たりです(当番)

すっぱりと半分の月公園の少女の唄アドリブ  勝之
◎吾郎◎規夫
■「の」が3つ重なってリズムをつくっているかといえば、そうでもないところに味がある。前半と後半足して合わせ一本(吾郎)■「半月」が「すっぱりと半分の月」と12文字になっちゃうわけね。それが面白い日もある。後半? まだ読んでません(規夫)■折角すっぱりと、で入ったのに(烏鷺坊)■こういうの好きだけど。詩か短歌なら…(邦夫)■すっぱりはすっぱり切れ(杜)■「半分の月」と「アドリブ」の2つに句が分裂しちゃった(等)■で、また繰り返すけど、やっぱり長すぎるよ(裕)

青みかんきゅるきゅるきゅると尾が生えた  等
◎珠子
■頭の中で尾のイメージが定まらなくて、落ち着かないけれど、とにかくかわいいので◎(珠子)■かわいいね!(杜)■だけど取らないな、このアニミズム風は。なぜなら、どこかあざといもの(裕)■幼児とアシッドはいつも密接(規夫)■この路線はいいと思います(烏鷺坊)

日の丸の湿り栗飯ノルマの日  吾郎
◎杜◎等
■日の丸の湿り、この湿りがいい!(杜)■栗飯のノルマにされるのはツライよなぁ(勝之)■つまり戦後サラリーマンは、ノルマを果たしてダモイってこと? いまさら石原吉郎でもないと思うがねえ。それにしても、もっと親父に当時の話を聞いておけばよかったなあとは思った(裕)■これはA級でしょみなさん。ノルマの日が辛そうでいいもん。OKKに幸いあれ。今回は俳句いただいたけど(烏鷺坊)■ABC評価は今回からヤメ。今回の2つではこっちのほうがいいですね。リズムがいいもの(規夫)■回文ね、正直言って飽食状態です(等)

ひごさひごどこさひぐらしあんたがた  烏鷺坊
◎吾郎◎杜◎勝之◎規夫
■なんかDay Tripperの悲しさがあるようで。今回のふかしぎひらがな系からはこちらをいただきました(吾郎)■あそんでるけど、あそびかたが面白い(杜)■エネルギーの無い年寄りはモノもコトバも見ないですます(等)■いただきまひょ、いただきまひょ(規夫)■熊本仙波山狸惨殺食後遺棄隠匿事件のその後(烏鷺坊)■すでに呪文のイキに達しましたな(勝之)■なーるほど、やっぱりわかんなくていいんだ(裕)

もてあます木槌がひとつ虫すだく  裕
■重いんだよね木槌(烏鷺坊)■木槌が女だったりするわけで…(杜)■「もてあます」がどの言葉に効いているのか?(等)
〔以上21句〕

〔総評・近況集〕
▼ビートルズの新作という触れ込みで『イエローサブマリン/ソングトラック』を買った。歴史に対してのリミックスという作業がどう評価されるか? 個人的には当たりとハズレでは、やや当たり多しという感じ。丁寧さが良かった曲と、それが逆にダイナミズムを壊した曲があった。まぁ、でも、そこいらのDJたらいうものがやってることとは次元が違うけどね(吾郎)
▼十九日の日曜日、三千円しか残っていなかった口座がわずか三十分の間に十八万円に化けました。私を天才と呼んでくれたらすぐ振り向きます、いまなら。(烏鷺坊)
《当番》こうい人がいるかぎり、賭博業は安泰。バクチの胴元の経営原理は簡単。「勝たせる」。するとそのぶん以上に負けてくれる。私、ときどきですが、バクチ関係の経営コンサルタントもやっております。
▼古いやつだとお笑いでしょうが、度を越した破調はやはり気になります。証明に定義や定規が必要なように俳句の「座」にも最小限の共通基盤のようなものがあってもいいかと…。(邦夫)
▼運動会が終わった。万年用具係。背骨が痛いよ。/敬老の日に錦頭亭(仮称大村亭)にて吟行句会。八木、大畑両氏のスーパーカーで行ったので、亭から十分ほどの公園まで一時間。水引草という名の草のあるのを知りました(菊野)
▼それにしても、一年、よくも続きました。規夫さん、吾郎さん、栞さん、そして皆さん、ご苦労さまでした。これからも続けるには、もう少し、当番の仕事を楽にする方向で、なにか考えたほうがいいかなと思います。(裕)
▼お知らせ。九月二十五日小金井公園江戸東京たてもの園の広場で2〜8時半まで、お月見の会があります。俳句もあるみたい。だれかいっしょにあそびましょ(杜)

《当番》そうかあ、土曜日はエレクトーンはないが、シンセサイザーがあるわけですね。

〔当番より〕
▼今回より、哲郎さんは、「烏鷺坊さん」の名でお店に出ます。で、その烏鷺坊さん(なんか、言いにくいな、これ)のコメント、なんと「Eメール」で送られてまいりました。当番感激。烏鷺坊さんに先を越された人々、焦るべきです。
▼今回は、めでたく一周年。それっぽい企画も軽く用意しましたので、お目汚しにご覧ください。
▼次回の当番は、井口家です。

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九の付く日のFAX句会 オクンチ 第37回 99年9月29日  日曜日
〔今回の一句〕
百合の香はわずらわしいぞ牛蒡天   裕
◎規夫◎烏鷺坊◎菊野◎邦夫◎珠子◎吾郎
■牛蒡天に展開するわけですね? ほんとに? う〜ん、いただきます(規夫)■ゴボテンって読むんだよね。一種の擬音効果ですね。確かに百合の香がゴボッときたら、わずらわしい。技巧をいただきます(烏鷺坊)■その通り!(菊野)■午蒡天は、あの香りと歯触りデス。確かに百合の香はわずらわしい(珠子)■あのいかにも繊維質というのに惹かれて、駅前立ち食いではかなりお世話になってます。で、だいたい隣に花屋なんてのがあるんだよコレが(吾郎)

〔以下順不同〕
淀川のスラム青し穴子するりと砂へ   規夫
◎裕
■西成区飛田は旧赤線。動物園前駅で降りて愛燐地区を抜けたときのことを思い出した。生きることは人を傷つけることなのか、などと自問自答していた十代のこと。そうだよまさしく青いスラムだった。この穴子のような術を知っていればぼくの青春ももう少し自覚的だったのに(烏鷺坊)

名月や風呂屋曲がって猫にばったり   珠子
◎等
■名月・風呂屋・猫。伝統芝居のカキワリ的枠組みが「ばったり」ぐらいでステキな展開をするとは、私には思えない(規夫)■江戸北郊は猫だらけ。曲がらなくても曲がっても、ばったりばっかり。猫だらけ風呂屋曲がって名月にばったり(烏鷺坊)■「風呂屋曲がれば猫に会う」の普通の書き方ではいけないのでしょうか?(等)

五右衛門の声紋ウワワ芋虫   等
■石川の浜の真砂、のあの人でせうか。それともルパン三世のニヒルな剣士か。声紋、て面白い。ウワワでも特定されるわけですね。あるいは受話器とかインターフォンを芋虫が這ってそれが声として分析された。しかも仕掛けたのは稀代の怪盗。だとすれば銭形も大変(烏鷺坊)

女の臍寺に入り来る秋彼岸   邦夫
◎等
■「寺」で「彼岸」はどうなんでしょう? 「女の臍」はおもしろいですね。意外な盲点なのでは? どうなんでしょう、勝之さん、フェチ業界では(規夫)■フーム、深い。葷酒山門に入るを禁ず、は確立したテーゼであり、遵守しているが、そんなものが入り来るとは。ウーム容易ならぬ(烏鷺坊)

土煙ドォーツと終わる運動会   菊野
◎珠子
■「ツ」が大きいとおもいしろい擬音だなあちいさい「ッ」で撥音より全然いい(規夫)■菊野さん! あの日は暑くて、こうでした。「運動会どどどどどどと退場す」何年か前の朝日俳壇金子兜太選(珠子)■まさに実感。口のなかまでジャリジャリ。そのまま残りのにぎり飯を喰う。土煙の味がドッと押し寄せる。頼みの水筒はもうカラッポ(烏鷺坊)

前科ある者ズボン脱ぐ秋薔薇   烏鷺坊
■焼き直しですいません(烏鷺坊)

秋草の母は散文父は没   等
◎菊野◎吾郎
■「秋草の母は散文」までが素晴らしい。名調子っと声をかけたい(烏鷺坊)■父は永遠に悲壮(菊野)■パツンと叩き切られて、その後どうなるの?っていう喪失感(吾郎)

十五夜のだんごの階層くずれけり   規夫
■あんなもの喰おうとする奴がいるからだよ。あれは飾りもんっていっただろうが(烏鷺坊)

青蜜柑ひとふさ握るこれあげる   吾郎
◎烏鷺坊◎裕
■ひとふさ? 葡萄かと思った。あれですよね。網みたいのに入ったやつ。じゃなくて透明のビニール袋かな。それとも、ひとえだ、のことか。でも感じいいので、いただきます(烏鷺坊)■「蜜柑ひとふさ」とは言わない(等)

学校への道をやんまも犬も行く   邦夫
■ヤン坊とマー坊の天気予報を思い出した。重厚長大型の日本経済華やかなりし頃。ぼくの通っていたポプラの小学校へ行く道もそんな風でした(烏鷺坊)

金平糖の夜です河馬の鈍痛です   裕
◎規夫◎邦夫◎珠子
■河馬が痛がるとしたら、そりゃあ鈍痛でしょう。いただきます。金平糖の夜というのもわからないが、まあ、あんな色や形なんでしょう? こういうのはウロボ〜さんでしょう? 順当に読めば(規夫)▼はずれ(当番)■ 金平糖=星、河馬=作者だとするとちょっと辛い。星がゴロゴロする上に寝っころがっている秋の夜。背中が痛い。鈍痛とは少し違う違和感。でもどこか切実で奇妙なリアリティがあると思う(烏鷺坊)■絵本の一ページ。河馬のまわりに心配する他の動物も集まって…(珠子)

一掬い百円栗の山座る   珠子
◎規夫◎烏鷺坊◎菊野◎邦夫◎吾郎
■質感はないのに、不思議になんかボリューム(内容感?)が伝わる(規夫)■ 今回十六句中では一番。最後の「座る」がいい(烏鷺坊)■我家は一キロ四百円(菊野)■店先に居すわる果実で、一句ものにしようとしてしきれない今日この頃(吾郎)

飛ぶ雁と形見を見たか鳥兜   吾郎
◎等
■今回の回文は、ちょい色気足りず。読者の要求レベルはどんどん高まる(規夫)■少し苦しいとは思うけど精進に頭が下がります。ぼくも時々は作りたくなるけど、継続する志、としてはちょときつい。OKK徒弟の身でありながらいただけない自分をお許し下さい。今回は頑張って下さい、と陰ながら祈るサポーターのひとりとして発言させていただきました(烏鷺坊)

ガードレールに藁またがせてゆくや   菊野
◎裕
■この光景も、この気分もとてもよく分かる。「ゆくが我等のワゴントレイン」という大昔のTVドラマの主題歌を思い出しました。たしか隊長はアダムスでした(烏鷺坊)

山粧ふ姉は決戦パンツ干す   烏鷺坊
■必殺デート前昼下がり。バーカそんなやつぁいねぇよ(烏鷺坊)■これも選びたかったけど、三句だからね(菊野)
〔以上16句〕


〔総評・近況集〕
▼前回、何やら博打について生意気いってすいませんでした。三十五年もフラフラになりながらもやってきたのに、なんにもわかっちゃいない。今週、アッという間にやられました。ほとんど見えないほどの速度です。そりゃもう見事なものです。いまはただの五七五の、ある意味で長い時間感覚がたったひとつの救いです。これは本当です。(烏鷺坊)
▼トラックを何回か廻り、元の位置に戻って来た。作者は元気なようだが、句はヘトヘト。今回のオクンチ、自分の句を含めての感想。ひょっとして僕らは、オクンチでもう笑い抜いてしまったのかもしれない。(等)
▼秋暑しなので、なかなか球根が植えられない。されどモンテカルロとハミルトンを植える。ハタッと気づいた。全部黄色。こりゃあ、白と紫を買って息を抜こう。吾郎さんをTVで見た。ビジュアルな吾郎さんが、少し太って見えた。(菊野)
▼なんだか忙しいのに、暮らし楽にならず。ぢっと手を見る。というわけで、仕事はたまっているのですが、ダメですね。俳句みたいなものを作り出してから、ど〜もシノギに踏ん張りが効きません。因果な遊びを覚えたもんだと、裕さんにあらためて感謝。(規夫)
▼鑑賞者としては、歳時記的「有季」に拘泥するものではありません。第二句(「金平糖〜」当番注)は、無季ですが好きな句です。「定型」には執着するものがあります。音読して快いリズム(内在律であっても)は必須条件だと思います。推敲を重ねた挙げ句、意が余っての破調やぎりぎりの省略の結果としての空白は、読む楽しみを損なうものではないと思っています。私は、まだ、きっちりと定型に納めることに苦労している段階ですが。(邦夫)
▼こりもせずK文俳句作ってます。なんかもう半分ヤケクソ。でもキマルとこれは実におもしろい。今回かなり苦しいのは自覚済。ま、でも、2000年まで後六句。ぼちぼちやっていきますわ。(吾郎)
▼今回三句選は苦しい! 次回を期す(裕)

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九の付く日のFAX句会 オクンチ 第38回 99年10月9日  土曜日

〔今回の一句〕
キスする感じかな家人刈る芒  吾郎
◎等◎杜◎規夫
■ルススキの大発見。敬意(烏鷺坊)■回文は、これまで別のくくりで楽しませていただきましたが、今回はいただきます。大きな喜びをもって(規夫)■いいリズム(菊野)■これいいよ! できあがった感じする(杜)■「キス」と「家人」が一句の中に出てきて、句のふくらみが無くなったようだ。でも、ウマイ(等)

〔以下順不同〕
型通りの訃報芋ばかり太る  菊野
◎等◎吾郎◎邦夫◎珠子
■礼節ということより死者に対する距離感がおのおの違うので訃報は型通りのほうがいいと思ってきた。よって上九になじまなかった(烏鷺坊)■だいたい訃報は型通りである。そのことをあえて書くことに何の意味があるのだろう。ちょっと不快になった。ここはサラッと逃げる手だと思うのだが…。こんなことに目をやっちゃ、もったいないね(等)■親しかった人、大切に思っていた人の訃報は型通りにハイってくると悲しさがつのる。それと「芋ばかり太る」との結びつけがウマイなあ(珠子)■わかる気するけど淋しい(杜)■その時はみな同じ。で、時間は関係なしにどんどん過ぎる(吾郎)■型通りの俳句であった(菊野)

アキアカネ不具を囃されしことなど  邦夫
■こう書くと作者本人の事実となっちゃう。そういう人いたっけ?(等)■不埒(烏鷺坊)■ちょっと情景として厳しい(菊野)■かつてトンボ採りをしてた時はなんとも思わなかったが(吾郎)■不具とは、両性具有なる倶不戴天という意味でしょうね(杜)

良夜なりコンビニ三分駅五分  珠子
■幸運な人生ですね(烏鷺坊)■理想の住環境(菊野)■東京に出て、引っ越し五回。こういう条件もいい(杜)■不動産屋のキャッチコピー(等)■テンポは好きです。散歩には絶好(吾郎)

芋掘っておりぬ日本人の目玉  等
◎菊野◎吾郎◎珠子
■日本人の目玉、面白そうだ。リズムも変わっていて面白い(菊野)■アハハ、アハハ、アハハ、オモシロカッタ(杜)■どんな目玉だろうと思ったとたんに浮かんできたのがタレントの出川くん(珠子)■中切れってやつでしょうか。後半のフレーズが想像力を喚起(吾郎)■狷介不遜(烏鷺坊)

桃の輝き世界の果てに  規夫
◎烏鷺坊
■手放し、がいい(烏鷺坊)■桃は魔よけ(菊野)■なんだかやっぱり夜に引っ張られてる(吾郎)■オーバーなやっちゃあ、あきまへん(等)

乞いて抱いて捨てて秋草  杜
■ちょっとアンタ、どこの女やねん!(吾郎)■ヒトデナシ稼業の人とみた。とことんヤリまくってくれ(烏鷺坊)■抱いて、抱いてと読んでしまった(菊野)■ウーム、「飛んで、飛んで、飛んで、廻って、廻って、廻って」という歌を思い出したぞ(等)■演歌調の秋です(杜)

秋深しクロスワードに□□□残る  烏鷺坊
◎珠子
■紅茶を飲みながら(菊野)■□□□は無音ね。言葉を入れたくなったが、見つからない(等)■724と入れてみたらどうでしょう。苦しまぎれの発想に◎(珠子)■□がL字になっていれば、ね(烏鷺坊)■もうひとひねり…っておせっかい?(吾郎)

父の墓ついでに寄りて秋の草  菊野
◎杜◎邦夫
■親不孝者(菊野)■親子の縁うすし(杜)■んで?(吾郎)■心境お察し申し上げます(烏鷺坊)■上五と下五を入れ替えて、ナンカカンカしたら、ちょっとバケそう(等)

十五夜の海へキスしに行かないか  邦夫
◎菊野◎規夫
■ヤダもーん(烏鷺坊)■うん、行く(菊野)■口臭が気になって、キスしてないなァ…(杜)■せめて五キロダイエットできたころ、また話してくださいませ。かなり年上でございますよ(珠子)■吉本新喜劇のハマナントカ氏ですら似合わないセリフです(等)▼チャーリー浜なら、きっちり笑いとるんじゃないですかねえ。「の」のあと、かなりタメてから、「行かないか」はスキップで決めると思う(当番)■驚いた。キスなんて単語使う人がいたんだね、他にも(吾郎)

セザンヌの空十円玉が落ちている  杜
◎菊野
■狙い茫洋(烏鷺坊)■十円玉か、不景気だな(菊野)■奇をてらっているとしか思えません(等)

土くれをいじって生命掘り出して  吾郎
◎杜
■食べちゃう(杜)■ときには埋め込んで(菊野)■木彫りには樹木の生命。石像は石の生命。創るではなく掘り出す心、尊いけど句にはいたらず(烏鷺坊)■「土くれ」と言っちゃったんだから、「掘り出し」はいけないと思いまーす(等)

橋の影伸びきり桐の返り花  珠子
◎烏鷺坊◎等◎邦夫
■伸びきり、がいい。ニューッとしていて、いい(烏鷺坊)■「返り花=帰り花」は草木が季節はずれの花を咲かせることで、初冬の小春日和のころに多いと、歳時記にある。だから、「桐の返り花」にはちょっと戸惑った。でも「橋の伸びきり」という表現に作者の心情を感じる。下から上への作者の視線を読み手がたどることができる。やっぱり佳句なのだ、これは(等)■植物の前でけんかをしたりどなったりすると返り花となるそうな(菊野)■サイズはいいんだけど、なんか伸びきった句(吾郎)

小さい虫食い誰かさんみつけた  烏鷺坊
■防虫剤はぎっしりつめよう(菊野)■かわいいです(珠子)■まいった。貰い物。くれた人に見つかりエラく怒られた(烏鷺坊)■こんなカワユイことを言ってもダメです(等)

蒟蒻かな名古屋あたりの台風かな  等
◎烏鷺坊◎吾郎◎規夫
■食感がいい。奇妙な味。オモシロイ(烏鷺坊)■意味を探ろうとしたら拒否された。で、当落選上だけど(吾郎)■「かなかな」鳴きたい気持ちなのね(杜)■星野さんを思い出す(菊野)
〔以上15句〕

〔総評・近況集〕
▼十年ぶりぐらいだろうか。徹夜麻雀をやった。二十八回トップを取った(壁の棒グラフに逐一発表される)ところでトイレに立とうとして立てなかった。在日韓国人の青年(金本君、広島カープの金本にくりそつ)が追っかけてきていて彼は十八勝。もう一昼夜ヤッていくそうな。最多勝は抜かれるが勝率は僕の方が上、かな。そんなこと気にしているのがすでにバーカ、なんだよね。もう五十一でっせ、ほんと何やってんだか(烏鷺坊)
▼庭にペンタスが咲いています。ジンジャーのオレンジ色の花がきれいです。すすきが二メートルにもなった。アギュームとカサブランカの球根を土中へ。ブルーベリーと撫子の苗も植えました。あと、ペンギンを植えたら万全だ。実は、私はペンギンが好きだ。特に、人相の悪いというか味のあるイワトビペンギンが好き。ハーブは苦手。(菊野)
▼ある本の書評の〆切が迫って来ています。原稿用紙十枚(四千字)、出だしが決まればドライブするんだけど、いまだゴニョゴニョしています(等)
▼うんうんうなって、こねくりまわして、「麦」へ十二句投句。その直後に届いたオクンチの軽快さ、発想のおもしろさ。秋晴れのなか、しばらくは落ちこんでしまいました。これから、秋の原野をイメージしてバスケットに花を活けます。(珠子)
〔当番より〕
▼今回、吾郎さんからのメールの終わりが切れているトラブル。連絡とれず、そのままリリース。
▼次回の当番は、井口家です。

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九の付く日のFAX句会 オクンチ 第39回 99年10月19日  火曜日
〔今回の一句〕
かぼちゃかぼちゃわが癲癇の内と外   十四郎
◎等◎規夫◎栞◎菊野◎吾郎◎烏鷺坊
■同じリズムの句があるもんだ。「内と外」が安易かな(等)■繰り返しが癇癪っぽい(規夫)■リズムが快い(菊野)■躁鬱じゃなくて癲癇でよかった(吾郎)▼記録達成。初のパーフェクト!(当番)

〔以下順不同〕
桃の毛を海がかすめて桃あまし   規夫
■桃が二度出て「あまし」じゃどうもね…(等)

紫苑しおんとへそのあたりがまんだら   等
◎十四郎◎烏鷺坊
■オレ様の「かぼちゃかぼちゃ」に似てるから選んでやろう(十四郎)

干し芋や汝隣の原子力   吾郎
◎規夫◎栞
■ワケはわからんのですが、「隣の原子力」が面白かった。「汝」は作者にとっては、きっと意味がオオアリなんでしょうが、収まり悪いから、別のでいいんじゃないのかなあと思いました(規夫)■汝が効いているのかなあ?(等)

豊の秋無名の画家を囲む子ら   烏鷺坊
◎等◎十四郎
■こういう場面ってある、臨場感は平明さから生まれるのかな(等)■自作も含め、今回のを読んでいると、これを選びたくなった(十四郎)

北風やふてぶてしくも泡立草   菊野
■「ふてぶてしくも」がね。泡立草の説明でしょ。幼児語のだからね、だからね、と言うのと同じ(等)

糸瓜腹艶ダバダ奴らは街へ   吾郎
■「ヘチマ・ハラ・ツヤ」はツラいけど、水準はキープしてますよ、うん、さすが(規夫)■どこまで続くぬかるみぞ(吾郎)■ダバダバ…イレブンPMが頭に浮かぶ年寄りです(等)▼イレブンは特番をやるそうです。たしか(当番)

朝寒のRoRoRo胸すくバラライカ   栞
◎吾郎◎十四郎
■この心理ややこしい。分かるのだが、朝の今の頭じゃダメ。多分昼も夜もダメ(等)■「胸すく」は言い回しが他にあるのかもしれないけど、バラライカと言い切った乾燥した寒気が今朝の気分(吾郎)

宴酣ではありますが満月   十四郎
◎栞◎吾郎◎烏鷺坊
■「酣」は「たけなわ」と読むんだ、勉強になった(等)▼ワープロの変換でも出てきませんでした。「かん」でやっと出現(当番)■芝居口調で結婚式の司会をしてる作者。「〜ありますが」で大見得切って…「満月」。一同呆気にとられた後、一呼吸置いて、拍手喝采(吾郎)

秋深し顔に七つの穴穿つ   烏鷺坊
◎等◎菊野
■下五、「穴がある」程度じゃ満足できないのでしょうか?欲張り(等)■思わず数えてしまった(菊野)

象は六面体である神の留守   等
■たしかに六面体っぽい。馬鹿馬鹿しくて好き(規夫)

戦後史や矮小化する泡立草   菊野
■こういうのって嫌。「戦後史」って全く具体性なし(等)

透視図のレモン海には魚が棲み   規夫
◎菊野
■下五が常識。理に落ちた(等)■摩訶不思議なところが良いと思う(菊野)

〔総評・近況集〕
▼原稿十枚やっと書き上げた。三時間しか寝てないよ。オクンチ句も七時に二分前ぐらいでスベリ込み。明日〆切の仕事がある。俳句の原稿も仕事もパソコンでやってるから、カチャカチャすぐ切り替わって便利だけど、机の上はその分資料がゴチャゴチャと混じってる。(等)
▼食欲があるので、風邪をひいたと言っても、誰も信じてくれない。(菊野)
▼平日の夕方地元をチャリで走ると、いつもと違う風景が実に新鮮。ふと見つけた中古CD屋の奥にアナログ盤コーナーが。これがまるで自分ちのレコード棚をみてるみたいで、なんやら不思議な気分。「これはもうちっと高いだろ!」なんて文句の一つもつけたくなるような平和な価格が実に嬉しい。が、かなり重なってるんで買うものがないのも寂しい。(吾郎)
〔当番より〕
▼次回も、当番は井口家です。

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九の付く日のFAX句会 オクンチ 第40回 99年10月29日  金曜日

〔今回の一句〕
鴉か傘か決めかねている秋の昼    杜
◎烏鷺坊◎菊野◎勝之◎十四郎
■アかカサかと読んで(烏鷺坊)■そんな秋です。よろしく(勝之)

〔以下順不同〕
返り花どこもかしこも二〇〇〇年   菊野
■この句を来年に読むと想像してみる。さらに再来年に読むと想像してみる(規夫)■今日が明日に変わることに何の違いもあるまいに(亞子)
ポケットより河口の砂と十円貨    勝之
■ポケットには秀句が多いから不利よ(亞子)■流れついた屍体は何を語っているか(杜)

銀漢を引っぱる次郎稲荷かな   等
◎杜◎菊野◎栞
■「銀漢」ってなんだろと思って辞書引いた。銀河のことか。次郎稲荷は辞書引かなかった(規夫)■「天の川としないで銀漢と書く」勉強になった(杜)
ヒッピーの尻痩せ給ふ暮の秋   規夫
■「太ったヒッピー」は確かに想像しにくいが(亞子)■「尻痩せ給ふ」わからん(杜)
トラックの道にふわふわ秋の蝶    栞
◎亞子◎吾郎
■儚そうだけど、どこかしたたかな生命力(吾郎)■あります(亞子)■「もうくたびれてしもた」(杜)

白湯をのむ右手左手白湯をのむ    十四郎
◎烏鷺坊◎吾郎
■感じいい。私の場合はメテに血刀、ユンデに手綱(烏鷺坊)■外観俯瞰的回文(吾郎)■右、左と湯飲みを持ち変えて飲む(熱いからだろうなあ)。きわめて理屈っぽい(規夫)■手品みたい(杜)■ややこしい(菊野)

椎の実からから空から神の意思    吾郎
◎等◎亞子◎勝之◎栞◎十四郎
■「意思」か「石」かちょっと迷うところですよね、親方。「空から神」はちょい平板(規夫)■いいできいただきます(勝之)■回文ね、天理教に捧げなさい(等)■「教祖はわしや」!(杜)■ものすごい地平に達したのでは(亞子)▼「久々」だけあって、最近のレベルを知りませんね。こんなもんではない(当番規夫)

秋曇錆びてまあるい鉄橋よ    亞子
◎規夫◎勝之◎十四郎
■「まあるい」の様がよく伝わらないのですが、「よ」が笑える。桑原和夫(吉本新喜劇)の芸風(規夫)■何か歌謡曲みたいでええわ(杜)■「錆びてまあるい」が絶妙(勝之)

金木犀借香とする四畳半   吾郎
■な〜んか、ビンボクサくないですか、これ。「貧乏」はなんらいけないところはないが、貧乏臭いのはいけません(規夫)■四畳半のトイレは気持ちええけど何やら落ちつかんわね(杜)

今日生きて今日眠りたる秋深し    栞
◎烏鷺坊
■好きです。西念寺掲示板にいただきたい。宜しく(烏鷺坊)■境涯句(吾郎)■そやねんけど…(杜)

秋風や私の骨はなまけもの    規夫
◎等◎吾郎
■ちょっと「骨」にかわるもの考えたのだけど、他に見当たらなかった(等)■骨一発でもっていかれました(吾郎)■ワシのバヤイは、肉もなまけものやで! ついでに脳も…(杜)■私の彼は左ききを思い出した(菊野)

金木犀耳にとどまる吃水線    等
◎杜
■吃水線と金木犀の調和はわからないが、耳にとどまるはいいと思った(杜)

死に方の本ぐんぐん背高泡立草    亞子
◎等◎栞
■この言い方だと句の巧拙を論ずるにとどまる。巧いのだけど…(等)■売上がのびているのね。やっぱり不景気のせいでしょうか…(杜)

帯締める泣くも笑うも自在なり    菊野
■自在は矢張り女性のものでしょうね(杜)

秋の空揃って体操へんてこりん    杜
◎規夫◎菊野
■「みょーちきりん」とも言いますよね(規夫)■さくらももこな(亞子)■全校揃ってラジオ体操ってファッショ的。へんてこりんで救われるというかいい味だしてます(菊野)

黒ン坊は昼寝枯野火が走る    勝之
■赤ん坊の方がいい(杜)■四谷の怪しい理髪店。メニュー看板に「ニグロ」とある(亞子)

冬までの尾行この海深くなる   烏鷺坊
◎杜◎亞子
■何だか分からないがオカシイような怖いような…(亞子)■スキューバダイバーのストーキング…と読めたら、まだしも面白いのに(規夫)■「冬まで」がいい(杜)

闇のビー玉ぐりぐりと冬薔薇   烏鷺坊
◎規夫
■「ぐりぐり」と声に出して読んでみたら、気持ち悪くって、いただきます(規夫)■目玉ゴロゴロビー玉グリグリ(杜)■秘密諜報員「闇のビー」が玉をぐりぐりするんだぜきっと(吾郎)


〔総評・近況集〕
▼ちょいとごぶさたでございました。我「猫の額ベランダ」の鉢植達も元気。「ベランダー」というそうな。めっきり葉っぱが好きになり、肩書に『観葉家』ってのはどうだろうとマジに考えている。(亞子)
〔当番規夫〕国立には「ベンチーズ」と呼ばれる一団がいる。大学通りの文房具屋・金文堂の前のベンチで日がな一日座ってすごす中高年男性数人の一団。
▼机の向きを変えた。部屋の構造というか、雰囲気が変わった。ついでに気分も変わって録音機材もセットした。さて、ぼちぼち。(吾郎)
▼風邪を引いてしまって、なかなか治らない。頭ぼ〜っとしっぱなし。喉はガラガラ。妙なコメントがあっても許してネ!「風ひかぬバカ」だけを取り柄としていただけに、妙に自信失う。(規夫)

〔当番より〕
▼みなさん、風邪ひきくんが多いみたいなので、お大事に。
▼今回の「今日の一句」は規夫当番が選びました。最高点は、吾郎さんの回文俳句でした。
▼次回は規夫当番。11月10日(水)午前7時までにFAXもしくはMAILをお願いします。

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九の付く日のFAX句会 オクンチ 第41回 99年11月9日  火曜日

〔今回の一句〕
神渡し蟹の脚だけやってきた  勝之
◎烏鷺坊◎菊野
■それでもよしと熱燗つける(烏鷺坊)■夢のことだろうか? わからない(等)■蟹と脚。神、創り給いし全体と部分(規夫)■かなりおぞましい光景。アル中の後遺症か(吾郎)▼小当たり〜(当番)■これって数のこと脚の本数かとはじめ読んで、カニって脚何本あるのか考えちゃったよ。でも、あとで脚だけだってわかってこわかった(杜)

〔以下順不同〕
神還り大音響のする枕  烏鷺坊
■霊感の強い奴がいるもんだな。フロイトがユングと会ったとき、本棚が爆発した。フロイトはユングが仕掛けたと思って、断交(等)■スピーカー内蔵マクラもいいかもしれない。それはどこのホテルかな(杜)■全部どこかで聞いたことのあるフレーズ(勝之)■超有名句を2つくっつけた感じ。「水枕ガバリと蝶の大音響」(規夫)
返り花不意に出てくる一茶かな  菊野
◎等◎邦夫
■なんか笑かしてくれますね、不意に出られると(勝之)■この句、無理あるのとちゃいまっか? 一茶を幻視してるんやから、なんか工夫ほしいでっせ(等)■何も出てこないけど、感性と知性のない証拠か(杜)
立冬の臍出しルック副都心  邦夫
■これって、やっぱりそのまんま(等)■実景か? ヘソ回り鳥肌たちますな(勝之)■えい、めんどくさいやっちゃ。ヘソ出してたら冷えるってあんなに言ってんのに、やめんから今日も下痢しとる(杜)
旗立てて土地売る男枇杷の花  等
◎邦夫◎菊野◎杜
■青い空をバックに赤い大売り出しの旗。はたはたはためいて寒さかな(吾郎)■「旗」というか「幟」でしょうか? 分譲地には、いやに派手な色の幟のそばに不動産屋の見習いのような男がいる(規夫)■いるいる、紺の背広着て、縁なしのメガネかかて立っている(杜)

血は流れているんだな冬の夜  吾郎
◎勝之◎杜
■早寝早起き。一日一回エッチ・スケッチ・ストレッチ! 元気出せよ(勝之)■「相田みつを」になっちゃうぞ(等)■ドクドクと流れてまっせ。ときどき自分の血がどどどど流れ出したら、どんなに気持ちよかろうと思う。痛いのはイヤだけど(杜)
秋の果て人水を積む水を積む  勝之
◎等
■重そうなテーマだけど…。最後まで重かったいっそ短律の方が面白いと思ったが(等)■むなしかよ〜、そげなこと。でもペットボトルの水なら面白い(杜)■そういう儀式があるのか? 武蔵野の奇習か?(吾郎)▼大当たり〜(当番)
間に合わぬ野ふんもあるかからす瓜  杜
■「野ふん」って「野ぐそ」だろう。これが間に合わないっていうのなら、サルマタの中にやっちゃったのか?(等)■踏みたくない(吾郎)
秋風や掌テにカプセルの二色  規夫
■「せき」と「鼻水」をとめる二つね(等)
石蕗の花死んでも髭が伸びており  等
◎吾郎◎菊野
■石蕗ってやっぱり死に直通しやすいのか、歳時記にも例句多し(吾郎)■しつこい(杜)
秋鮭の皮だけ好む取って散って他  杜
◎勝之
■鮭がワンサカ遡ってくるのに、アイヌには獲らせなかったんだぜ、江戸時代のこと(等)■トッテチッテターでいただいておきまひょ(勝之)■ダジャレは寒い。どうせなら「トッテチッテター」とすればいいのに(規夫)■最後の他が気にかかる。確かに他にはないように思えるが(吾郎)
神送りコントラバスの背の微温  烏鷺坊
◎規夫◎勝之◎吾郎◎邦夫◎杜
■季語がどうかな?(季語が動くてやつですか)とも思いますが、後半はかなりはっきり言い得た表現(規夫)■なんか温かそうではあるウッドベースの背後というのは(勝之)■なんで背の微温なんだろ?(等)■背と言うこともないのかな。でも小春日和系は好きなので(吾郎)■「背の微温」が好き

野兎の撃たれしを見に駆けるなり  菊野
◎規夫
■「駆ける」にヌーベルバーグ的詩情と緊迫感。こういうモンスター的でフリーキーな「精神」って大好き(規夫)■このテーマ、誰かわかるんだな。日記を文語調にしただけ。なんとかしろよ、もう(等)■残酷なやっちゃ、私も走るけど(杜)
心には闇の紀の宮歯にロココ  吾郎
◎烏鷺坊
■キノミヤ?って読めってか。でもオモロい(烏鷺坊)■「紀の宮」って「キノミヤ」ね、回文だから(等)■今回は、やや無理が見えた(規夫)■すいません精進しますから(吾郎)■奥崎さんですか? 奥崎吾郎さんですね(勝之)■何とも言えn(杜)
好きと言えば嫌いと言われ小六月  邦夫
◎等◎吾郎◎規夫
■「小六月」は小春日和のこと、ジャストタイム。こんなん詩になるんだから、俳句ってヘンです(等)■上手な句(規夫)■よくあることさ by Tom Jones(吾郎)■そりゃ、あんたが悪い(杜)
真夜中のアップルパイばらばら  規夫
◎烏鷺坊
■真夜中が真最中だったらもっと面白い(烏鷺坊)■これ規夫さんだろう。時々やるんだな、こういうの(等)▼大当たり〜(当番)■アリのえさ(吾郎)■悲しいェ、アップルだけ食べなさい(杜)
〔以上16句〕
〔総評・近況集〕
▼明日11日は札幌。来週は15日福岡、16日大阪、17日徳島とどさ回りが続きます。とりあえずラーメンは押さえておこう(吾郎)
▼今日、軽井沢に行ってきました。紅葉は今見頃です。どうしても句は作れなかったけれど、季節の移り変わりをしみじみ感じてきました。いつか思い出して作ります。東京駅から一時間、日常から解放されて、思いたいことだけ思い、エネルギーを吸収した気分です。(杜)
▼ううっ、まったく俳句なんて出てこない。まだお題≠ェあったほうが、のらりくらりと作ってられる。俳句始めて一年足らずのボンクラが言うのもなんですが、これが「壁」ってやつですか?スランプ?(勝之)

〔当番より〕
▼長いことお待たせした「オクンチ春夏コレクション」を同送いたします。
▼次回は井口家。11月20日(土)午前7時までにFAXもしくはMAILをお願いします。

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オクンチ春夏コレクション

遅ればせながら。もう冬だというのに、まあ、春夏を思い出すのもよいかと。ああそういえばと、自分の句、人の句を。
掲載は、作者のお名前のアイウエオ順。


近藤唖々砂
鳩出したまま春眠る時計かな
鼻かむたび脳でオルガン鳴りにけり
牛乳髭に撃たれて死ぬる花の下
雑草のふた葉を育ててしまったわ
植えたら芋ウヘヘ芽が出たヒンズースクワット

笠井亞子
建国記念日しゃっくり止められず
残像黒々と蝶の飛び立てり
アリア近く遠くうつぶせの昼寝
夏深過ぎてろれつが回らない
氷ほぐれて音するカザフスタン

山本勝之
昆虫のようにスプーンのように交合っている
赤黒きもの産まれきてほら五月
乳ぐらい揉ませろよ桜桃忌
オペラ鳴る腐食は進むトタン屋根
花びらが靴先に押し寄せて腰あげる

秋谷菊野
ペリカンが飲み込んでゆく春愁い
万緑や乳房のかさが軽くなる
すんなりと赤児が生まれ天の川
電子音虫の形に虹が立つ
夏草やどうしてこんなに馬鹿なのか

八木邦夫
花の下で死ぬより道を外したい
巫女出でて残り茶捨つる白躑躅
抱かれて童女の顔や夜の新樹
蛤の舌舌舌失意の夜中
人と居て独り言言う旱かな

井口吾郎
ぼけふうじ飴とカーネーション贈る
ポポンタポポンタタンポポタンポポ
新緑やその先々の父と母
深泥のくちなし支那竹の遺伝子
ザンギリ頭あり蟻あまたあり銀座

井口栞
記憶されぬ日いびつなレタスむく
五月晴すっかり忘れておりました
梅雨最中こんがらかってる三重奏
星涼し消防自動車速い速い
双眼鏡のぞけば夏が肛門ほど

佐山哲郎
ぽかぽかと土筆を殴る母である
はつなつの薄き皮膚持つ家に住む
やや夏目雅子恋しい歩道橋
白玉や死んだ友みなどんぶらこ
緑陰のあっち向いてほい永遠

富山テル子
残雪に光一点こぼれけり
春来たりドア塗りかえてしまいけり
春果ててクレパスのなき縁側と
ゆかた着てかろきたもとのひらりひら
窓あけて地球の恋も天の川

近藤十四郎
たまねぎは芯から腐るという科白
とかげのしっぽたこのあしあけてぞけさは
しろつめぐさ聖馬鹿伝説序
五月好日人生に負けた気分
ペダル踏む夜は濡れた服のようだ

植田規夫
躍ろうぜ菫たがいに遠く咲く
禿げなむと予告いただき桜餅
蜃気楼のもしもし
夏野かなぼくと石ならぼく有利
バナナ上陸その自動車の流線型

大畑等
心は腸である高感度フィルム
蝙蝠が飛ぶ青鮫の脳で飛ぶ
法然廟蝶の湿気がぴらぴらする
紫陽花に明るく被爆ふらんすぱん
なんと気持のいい朝だろうああのるどしゅわるつねっがあ

川守田美智子
炎昼の予感的中ポップコーン
筍の手足捨てらる弁当屋
わが卑弥呼見ざる聞かざる山つつじ
根が太る晩春の地に爪立てて
嘘の無い春の終わりの白き飯

北川杜
耳の奥春が疼いて無声映画
鎮む花輪郭だけを反射する
バラ抱けば束の間の王女許し給えり
青あざの空包帯が解けている
三日月に守宮傾く海が白い

長谷川裕
象舎から象あらわれず二月尽
水のもくれん今朝の駝鳥は怠惰なり
くりかえしつかえる笛のおぼろかな
ラムと月光あいつのんきな亡命者
稲妻や月のコピーを十二枚

田中丸葉子
塩じぞうにおいけるかな牡丹園
片栗の花の甘みの夕餉かな
駅からは麦藁帽子坂の町
夏空や絵の具買う日の足はずむ
砂日傘たたみ忘れし月の浜

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九の付く日のFAX句会 オクンチ 第43回 99年11月29日  月曜日

〔今回の一句〕
蟹並ぶ裃つけて目をむいて     美智子
◎規夫◎邦夫
■売られていく身が…。ペーソス(邦夫)■ダッサ〜イ蟹どすなあ(美智子)■おもしろいような、そうでもないような。どっちか選ぶのむずかしいから、いただいておきます(規夫)■規夫さん。この人戯画化するの好きだからね(等)■今回全句作者当てにチャレンジした等さん。果してその結果やいかに? とりあえず初打席は空振り三振(当番)

〔以下順不同〕
懐手して不満のかけら持ち歩く   邦夫
■んんっも〜、「不満のかけら」なんて、フォークソングみたいでイヤン、イヤン!(規夫)■まったりとして危機感が迫ってきません。「不満のかけら」という抽象のせいだと思います。たとえば「ガラスの破片」とか「錆びた爪切り」とかの具体を提示していたらキリリと冴えてくるのではないでしょうか(烏鷺坊)■不満のかけらは懐具合?どすか?(美智子)■珠子さん。この作者は実感を大事にする。懐手などするかな、この人?「不満のかけら」で珠(等)■明日は近いぞ、頑張れ等(当番)

身の幅の日だまり勤労感謝の日   珠子
◎烏鷺坊◎邦夫◎等◎吾郎
■上手。上手な句にも二種類あって感じのいいのと悪いのとあるように思います。この句はもちろん前者です(烏鷺坊)■この組み合わせだとプロレタリアート俳句になんないかあ?「身の丈のシアワセ勤労感謝の日」とどう違う?(規夫)■「勤労感謝の日」は違うと思う。でも(吾郎)■「勤労感謝」では「身の幅の日だまり」がもったいない。どす(美智子)■ビルの谷間か、裏街か、祝日も働いている人か。この日もハッピーマンデーにするといいのに(邦夫)■邦夫さん。「身の幅」という言葉は歳がいってないと使わない。だから、邦(等)■前後とりかえばや物語。連続三振(当番)

その先は崖百合の花の曲線     十四郎
■オー?ミステリアス?!(美智子)■シンプルさが好きですが、「もう一声」か(規夫)■規夫さん。規のリズムでしょう、やっぱり(等)■三打席連続三振(当番)

マラソンを尻目に刈られる垣根かな 菊野
◎十四郎
■刈ってる人に興味シンシン、どす(美智子)■十四郎さん。マジなときの十(等)■十四郎さん選んではいるものの、結果的には初対決金田対長島状態(当番)

柔らかい辺境なり冬の日のヘッセ  等
◎烏鷺坊◎亞子◎美智子◎吾郎
■全部の言葉が選びに選ばれてフニャフニャなのがいいと思います(烏鷺坊)■おおうっ、知的な用語が並びまくっている! 渋谷のミニシアターで蓮見重彦とすれちがってから入った本屋のみすず書房の棚で、急におしっこがしたくなった瞬間のようだ(規夫)■そういえば「庭」は辺境でもあり、柔らかくもあるな…(亞子)■なんでヘッセ?とってもいい感じ。でも人物像?本?(美智子)■「柔らかい」って好きなんです(吾郎)

灰皿の外の灰わが町は灰皿の外   十四郎
◎規夫◎美智子◎吾郎
■砂川捨丸がこれを歌う。歌うなり、おでこを扇子でパチン! 「なにをややこしいこと、言うてんねん」と。だから、いただき。好きなタイプの諧謔(規夫)■オモロイ。けど、だからどうしたのって感じもしてしまう。でもいただきます(美智子)■ロールキャベツの皿の外にも冒険はある(吾郎)■十四郎さん。言葉遊びの時の十(等)■当たり。おめでとうございます。シーズン後半の阪神状態(当番)

からっ風右肩上がりで漢来る    吾郎
◎珠子◎邦夫
■たぶんシンプルがいいのかな。今日の私は疲れているみたい(珠子)■強がりか、見えぬものへの抵抗か、今自分もそんな恰好で歩いているような気がして…(邦夫)■なぜにみんな右肩上がり? この手の句多いよね。失礼、悪気ないです(美智子)■菊野さん。ただ単に「漢」と言っても漢が匂わない。菊野作句システムその一(等)■だいじょうぶ、ガッツだ等(当番)

きしみつつ車流れる冬霞      邦夫
◎等
■きしんでいるのは、あなたの心?(美智子)■吾郎さん。「きしみつつ」は吾好みと見た(等)■どこまで続くぬかるみぞ(当番)

青年の意地張り通す冬のシャワー  珠子
■うちの青年にも意地がほしいドス(美智子)■邦夫さん。時に理に落ちる。「意地」と「冬のシャワー」(等)■年末ジャンボ宝くじ状態(当番)

タンメンにラー油の溜まりドラフト会議      亞子
◎菊野
■「うまいやんけ、ネーチャン」と、ちょっとグレてみたくなるような上手な軽味(規夫)■そうだったんだよ、と言われれば「あっ、そう」と言うしかない(等)■ドラフト会議ってつまんなくなったね(美智子)

柿の渋み哀し中身武士の気か    吾郎
◎烏鷺坊
■ある意味で回文を選んでしまうときは全体の出来がかんばしくないときとも私などは思ってしまいます。努力した方に点数を上げるのは小学校教師まででしょうか。しかし決して今回がそうであるとは思いませんが(烏鷺坊)■完成度、高いですねえ。深〜い意味なんて考えちゃった(規夫)■ウマイ!(十四郎)■ちょっとムリがおますなぁ。右脳で読んでしまった。連想がオモロイ(美智子)■吾郎さん。「哀し」が入る回文が多いと思いませんか?(等)■大当たり!って証拠ありすぎの確信犯だかんね(当番)■三十句中二句です「哀し」は(吾郎)

父にして海鼠ほどには悩んでおり  等
◎珠子◎亞子
■親として悩めば悩むほど,手をかければかけるほど人間として本来持っている本能的な生きる力を奪い取っているみたいで…やっぱり私疲れていますね(珠子)■父を「なまこ」ていないと言いたいわけねっ(亞子)■この手の自虐スタイルは、ある種の女性に通用すると思う。そういう女性というのは…いや、やめておこう(規夫)■「悩みおり」の方が切実感が出るように思われます。「には」も気になる(美智子)

切り売らる帯の身の色冬日また   美智子
◎十四郎◎等
■珠子さん。なんだかんだと言ってもウマイのよ、この人(等)■だそうです、美智子さん(当番)■「また」が甘いね(美智子)

一茶の忌読んで欲しいと書く日記  菊野
◎十四郎
■だれに読んで欲しいのかな?のぞき見してほしいのかな?(美智子)■菊野さん。「と」は止めなさいよ。菊野作句システムその二(等)■アッタリ〜。で、ここまでで、十二打数三安打。トレード近し(当番)

魚河岸ラビリンス主婦冬天に死す  烏鷺坊
■大田区のパロディ。どう考えても面白くない(等)■実景句とみた(吾郎)■オーッミステリアス?! 私もドラマがほしい(美智子)

冬海のかすむ方向ラジオががと   規夫
◎菊野◎亞子
■クイーンな。送電線やパンタグラフやラジオが冬にふさわしいのは何故か?(亞子)■「方向」が理クツになっている(等)■状況証拠にはなるけれど(美智子)

臀部から成立するぎりぎりの真冬だ 烏鷺坊
◎菊野◎美智子
■壊れようとして壊れ損ねた句だと、若輩ながら思う。知恵のある人の壊れ方のはむずかしい(規夫)■かなり嫌いな部類の句です(等)■冷え性の方、お気をつけて!!(美智子)

鵯が鵯追い理屈では折れぬ     亞子
◎規夫◎珠子
■なんだかわからないが、わからないわりに重くない。理屈なんぞでは絶対に折れぬ、情で動き、義理に生きる私としては、いただきます(規夫)■心中お察しいたします。応援してます(珠子)■鵯の繰り返しの必然性がないと思うのだが・・・(等)■私の右脳は限界です(美智子)
〔以上19句〕

〔総評・近況集〕
▼お久しぶりです。今日とってもケンイ主義の固まりみたいな人に会った。仕事がら、研究なんて名のつくところに関わってる。「研究をみたら、金になるか、どうか考える」という。平気で言う。「金になるから○○賞に応募しろ」という。こんなことオクンチにかいて、気分よくないけど、書いちゃった。「バカヤロ〜!!」と言えなかった自分に怒りながら。どうしようもなく、書いている。ゴメンナサイ!!(多弁になっている美智子)
▼すでに多くの皆様に通知いたしましたが、ホームページに「オクンチ」を掲載しています。ちなみに、HP制作は、学生アルバイト君たち。オクンチ掲載はいいのですが、私の句を見て「これが俳句なんですかあ?」。タコ社長の権威まるつぶれ。(規夫)
▼ゴホッゴホッ……(亞子)
▼Eメールアドレスお知らせします。よろしく(等)
▼地方巡業後半戦。札幌、大阪を転戦。十二月五 日には日比谷野外音楽堂で握手会の司会だと。わたしゃいったい何をしてんだろ(吾郎)

〔当番より〕
▼等さんの作者当ては、12戦3勝。これは、かなり「まずまず」という戦績と思いますが、「回文」=吾郎宗匠は正解には入らない。実質的には2勝。(当番規夫)
▼次回当番は規夫。おまちがえなく。
12月10日(木)午前7時までにFAXもしくはMAILをお願いします。

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九の付く日のFAX句会 オクンチ 第44回 99年12月9日  水曜日
〔今回の一句〕
口癖はバカタレ落葉掃きており  菊野
◎厚子◎杜◎邦夫◎泰司◎規夫
■面白い。かつて私の身近にも居た。■山田太一ドラマのオープニングのような光景が浮かびます。緒方拳あたりのカンジ(泰司)■いるいるそういう掃除帚オヤジ(吾郎)■「バカタレ」とは、なんと甘美な響き(規夫)全部表に出し過ぎたと思う。強いが味を失う(烏鷺坊)■自戒…て、だったら「俺」はつけてね(杜)

〔以下順不同〕
いますれ違ふは妻なり黙阿弥忌  烏鷺坊
◎泰司◎厚子◎杜
■上五、中七は共感あり。が、何で黙阿弥忌なの?(邦夫)■黙阿弥忌ですれ違いざまの空気を感じさせる。長い間妻をやっていると、こんな句が妙に真実味を帯びてくる(杜)■う〜ん、年季を感じる。が、私には実感なし。夫婦をスタイリッシュに考えすぎていると、若輩ながら思う(規夫)■寂しい(烏鷺坊)

暖冬の公園ホームレスの黒革靴  邦夫
■いいたいことはわかるような気がする(烏鷺坊)■昔テレビで食べるものがなくなった人間が革靴を煮て食べるシーンがあった(杜)▼それがご存じチャップリン(当番)■いいじゃん別に(吾郎)

遠のき行くはノアの吐く雪の音  吾郎
◎烏鷺坊◎菊野
■正義の人?ノラならどう?(邦夫)■絶品。だが句会で回文を選ばねばならないのは辛い(烏鷺坊)■意味のわかんなさが俳句とはいまいちフィットせず。よってB。でも、ホームページには載っける(規夫)■字数よりももっと違ったものを求めてるのに…ネ(杜)

冬だなあ都会暮らしにしもやけ指  厚子
◎ 珠子
■貴重な体験をしましたね(烏鷺坊)■この人、きっとしもやけじゃない、水虫だよ(杜)

されど主婦大根丸ごと使い切る  珠子
■主夫も使うぞー(泰司)■職業人として存在価値のある人、わかる。でも、中七下五との衝撃もう一つ…(邦夫)■教師、されど主婦。菜めしも作る。キンピラも作る。だから「されど」がわからない。料理作るの好きなんだから、いいじゃん(杜)■たかが主婦されど主婦、のされどは自分を褒める言葉。この場合、対句となる「たかが」の方を用いたら奇妙な味が出たと思う(烏鷺坊)■大仰なわりにしょぼい(吾郎)

いてもいなくても川獺  杜
■獺、では失敗。だからといって何にすべきかは分からないが。たとえば「斉藤さん」とか(烏鷺坊)■中学の同期に川瀬くんてのがいて、妙におとなしく存在感が薄かったのを思い出した(吾郎)■この句を世の男たちに送る(杜)

こないだはどうも湯豆腐ゆらゆらり  烏鷺坊
◎泰司◎珠子◎菊野
■かわいい(泰司)■こういう雰囲気いいな。軽妙な表現(邦夫)■下五がもったいない気がします(吾郎)■型が緩過ぎる。俳句的緊張感がないよね。うん(烏鷺坊)■そうね。どうもどうもって言ってると、あと、どうなっても知らないよ!(杜)

死も逃げて 木枯らしつぶて ウッウッウッ  泰司
◎烏鷺坊
■相対的な評価として、この句を三句目に戴きました。めちゃくちゃだけど、案外ヤケになっていないところがいい(烏鷺坊)■敢えてこういう切れを限定したのかな。もっと違う読みもできるのに(吾郎)■「バカ、バカ、ジョー・ブラックはバカがきらいなの」(杜)

鍋ぢゅうがおじやあなたはどなたさま  烏鷺坊
◎厚子◎規夫◎吾郎
■「そちらは」でどうスかね(泰司)▼「そちらはどなたさま」。なるほど。烏鷺坊さん、いかがです?(当番)■ぐじゃぐじゃのおじや頭、実はとってもきもちのいい状態かもしれない。なかなか到達できない境地ではあるが(吾郎)■もうぐちゃぐちゃで面白いのなんの、こんな面白い句はめったに出てこないよ!アハハ、ウフフ、エヘヘ(杜)■元はてっちりでござんした(烏鷺坊)

数え日や月の砂漠に酔いどれて  邦夫
◎規夫◎菊野
■毎日酒漬けになってるから、背中にコブできちゃうよ(杜)■根岸近辺に「月の砂漠」の著作権後継者が住んでいる。彼らはそれだけでとても裕福な暮らしをしています。以上報告まで(烏鷺坊)■「月のぉう〜砂漠にぃ〜」と歌うオヤジの声がちょっと聞こえる。年の暮れになぜに?と不思議。よって、いただきます(規夫)■酔いどれて、なんて、あなた冷静すぎるスタイリスト!(吾郎)

銀座のさざんか兜太の頭が揺れていく  規夫
■うちのとなりのとなりのうちがどうもそうらしくて、夜な夜な妙な声がする(杜)■私の力では評価不能です。力不足を感じます(烏鷺坊)

深夜のふとん湯たんぽないのにほっかほか  厚子
■どうして、電気毛布?(烏鷺坊)■なぜ?マンションって、ふとん干せるの?それとも幸福だって言いたいんでしょ(杜)■お姉ちゃんか夜尿症か気になります(泰司)▼実は「おにいちゃん」か(当番)■人はそれを人間あんかという(吾郎)

背にジングルベルここらから不定愁訴  珠子
◎邦夫
■街の喧噪から逃れ出て、暗い路地に入ってはみたものの…。実は 今日の私は、サンドバッグのように叩かれて、憂さ晴らしにどこかへと思っていたのですが、落ち着く先がみつからなくて(邦夫)■十八歳の頃、実感したことがある(烏鷺坊)■ちょっと型通りすぎる対比か? 山下達郎も更年期(規夫)■隣の家みたいに幸福になりたい。ほんとうは皆幸福なんだよ。生きてるもん(杜)▼最高です!っといちおう下手な時事ネタ(当番)
主なきベッド平らに冷ややかに  吾郎
■こういうのを俗に解釈するのが好きなんですよ、ボクは(邦夫)■哀しい(烏鷺坊)■今回、やたらベッドが多いですね(規夫)■ベッドメーキングしてあるのね。また帰って来るわよ。あなたのもとに…。なぐさめはよして(杜)

友失せて着ぶくれているだけの俺  菊野
◎烏鷺坊◎珠子◎吾郎◎杜
■共感します、とても(烏鷺坊)■「失せて」って、失踪?(邦夫)■哀しい奴。女はこんな奴を捨てておけない。そうやってもっと悲しくなって、死にたくなっても、きっと死なない。だって、着ぶくれた中身も、きっとふくれていつに違いない。脳味噌もふくれてる。もうブヨブヨ、ザマーミロ(杜)■六十年代末期「白鳥の歌なんか聞こえない」を思いだした。庄司薫は今でも毎日カレーを食べているのだろうか(吾郎)■毎晩がカレーパーティーだが、下には下りてこないらしい(当番)

ひとつ寝に咳の零れる無機質  杜
◎吾郎
■なんか昭和初期風に見せておいて、八十年代的カットアウトという複合一本(吾郎)■難解(烏鷺坊)
〔以上17句〕

〔総評・近況集〕
▼今回は,素直に共感できるなあという句をいただきました。この土,日はびっしり仕事です。この商売,30年以上もやっているのに、いまだに往生際が悪くて,この季節は長い間うんうん苦しみます。「だてに太っていない」と、風邪をひかないのが自慢だった私,今ちょっと怪しい。風邪の七割は手からの感染なそうです。やはり、うがい,手洗いは有効な予防方法ですよ。(珠子)
▼前々回初登場、前回お休みの泰司です。こないだのごあいさつで「勝之さん」を「裕之さん」と書いてしまいました。勝之さんゴメン。三五歳になりました。(泰司)
〔当番より〕
▼今回初登場の厚子さんは、モデルの裕&十四郎もよくご存じのカメラマン。「渾身の二句」とのコメント。「言葉って恥ずかしいじゃないですか」のひとことも。たしかに、「言葉」は恥ずかしいですよね。でも、表現はすべて恥ずかしい。でも、恥ずかしいことは楽しいですよね。
▼次回当番は井口家。おまちがえなく。12月20日(月)午前7時までにFAXもしくはMAILを。

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九の付く日のFAX句会 オクンチ 第45回 99年12月19日  日曜日
〔今回の一句〕
いずれ何処ぞの灰 I'm your man  勝之
◎規夫◎十四郎◎泰司◎吾郎
■絶賛! なにより私にとって一千年代最後の年の収穫となった(十四郎)■ス・スゴイ(吾郎)■ぴったり七五調にはまった。驚異的な名作と思います。朗読向きの俳句でもあります。低音系の黒人が詠んだら、現俳協も百句会もぶっ飛ぶ名朗読になるだろう。こういう「お笑い」は断固として好きです。ちなみに、モータウンの男性歌手のこのタイトルの唄、好きだった。ナントカ&バンクーバーズとかいった(規夫)■燃え尽きる愛(泰司)■だから時も場所も選ばない潔さもあると思います(烏鷺坊)■かっこよすぎて引いてしまう(厚子)

〔以下順不同〕

轟々と無音車輌の寒さかな  烏鷺坊
◎十四郎◎菊野
■「無音」で切れるのですね(十四郎)■冬ざれや自殺の多い中央線(烏鷺坊)■大仰な(勝之)

寒風が内蔵を突き抜けてゆく  菊野
■佳句として向こう側へ突き抜けるのが難しい素材(烏鷺坊)■あまりにストレートすぎて戸惑う(厚子)■そうですか穴開いてるかもしれないから、すぐ病院行ってレントゲン撮った方がいいっすよ(勝之)

から元気からから火がついた  泰司
◎勝之◎菊野
■オモシロイ。最後にガラスとつけると十七音になるけどそんなことがいいってワケじゃないよね。ごめん(烏鷺坊)■「から火」もいいし、「からから火がついた」と読んでも面白い(勝之)

この世には終わりあるらし大なまこ  規夫
◎菊野◎厚子
■大きな袈裟の存在を感じる(烏鷺坊)■って「なまこ」ですか? 大きななまこを餓死せぬようたべるってことかなぁ…by金子大先生。すみません初心者で(厚子)

ボンベイはインド不二家はクリスマス  十四郎
◎烏鷺坊◎勝之◎吾郎
■こういう句が大好きです。これの卵のようなものが牡蠣鍋の横に捨ててあったのを発見したことがあるけど、完成度が異常に上がっている。推敲という行為の偉大さを思う。脱帽(烏鷺坊)■ポンペイ?ボンベイ?ちなみに、国立の爆弾マダムからすでに爆笑の「特選」を獲得済み(規夫)■「それがどうした!」と思わず言いたくなるチャーミングな出来(勝之)■頭はパー(笑)(泰司)■たしかこういった名前のカレー屋があったような(吾郎)

朝寺に冷えてしびれてあ・たたたた・・・  厚子
◎烏鷺坊
■「あたたたた」がいい。上はちょっと説明過剰かな。でもオモシロイ(烏鷺坊)

木枯らしや身の上話が屁をたれる  吾郎
◎泰司
■「寒い。しつこい。臭い」の三点セットの妙。好き嫌いが別れるでしょうね(烏鷺坊)■なんか…げひん(厚子)■身の上話ってたいがい臭いもんね(勝之)■ようわからんけどわかる(泰司)

遊ぼうへららなんてこったい冬の蜂  勝之
◎烏鷺坊
■居直り的軽み、がいい(烏鷺坊)

生き残る運死ぬ運の冬ぬくし  烏鷺坊
◎規夫◎十四郎
■私は「運」で二度切っていただきました(十四郎)■いまぼくらは、たまたま生き残った側にいるだけのこと、なんちゃって(烏鷺坊)

柿落ち葉軒に兄貴の撥置きか  吾郎
◎規夫◎厚子◎勝之◎泰司
■完成度高い。「撥置き」って三味線のバチかなあ。昔の日本の空気。たまにはいただかせてください(規夫)■ ときどきはただ怪文となる師走(烏鷺坊)■ほっほーって感じ。ドラマの一シーンのよう(厚子)■太鼓好きの兄が失踪してはや五年、濡れた軒下には撥だけが兄の帰りを待っている。深い物語を感じさせる回文俳句の傑作(勝之)

丸焼きのいかに下足なく空洞の胴  十四郎
◎厚子◎吾郎
■大変立派な写実であると思う。ほんとに(烏鷺坊)■改作前のオリジナル版のほうを支持(規夫)■観察眼を上手に言葉にしているなあと思った(厚子)■ものすごく説明的なのが逆にオモロイ(泰司)■最近の芸風(吾郎)

冷たい夕焼け桜の芽吹シルエット  厚子
■感じがいい作品だと思います。特に「桜の芽吹シルエット」は美しい(烏鷺坊)

友去りてクックと動く冬厨  菊野
■つまりクッキング(烏鷺坊)■「cook」との駄洒落なんですか?コレ(規夫)
〔以上14句〕

〔総評・近況集〕
▼なんかみんな元気でないような気がするんですが。句ってマイナー調が好きなのか(厚子)
▼前回オクンチの拙句「鍋ぢゅうがおじやあなたはどなたさま」に対して、「そちらは」ではどうか、との御指摘。泰司さん。ありがとう。「そちらは」の方がはるかにいいと作者も思います。いただきます。ぼくの考えでは「鍋ぢゅうがおじやそちらはどなたさま」というリニューアル句はオクンチという句会それ自体の作品となります。そして、これをこの先どっかに出す場合には不肖烏鷺坊の名で代表させていただく、ちゅーよーな考えでやっとるわけです、ぼくの場合。それから「こないだはどうも湯豆腐」ってな句で、吾郎さんの御指摘「下五がもったいない」にもズキッときました。いま考えちゅーです。とりあえず「ぷちぷちと」ぐらいが浮かびましたが、一年ぐらいかけてぐにゃりぐにゃりと治していこうと思います。オクンチという句会、評というかコメントが命。この遊びの原点のようなものを前回ひさしぶりに見たような気がします。おかげさまで厄介な楽しみが増えるばかりであります(烏鷺坊)
〔当番より〕
▼次回は、年末オクンチ。当番は規夫。おまちがえなく。12月30日(木)午前7時までにFAXもしくはMAILを。

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九の付く日のFAX句会 オクンチ 第46回 99年12月29日  水曜日

〔今回の一句〕
ひとの児を抱いてもみたり年忘れ  唖々砂
◎等◎規夫◎泰司◎勝之
■素直な感じがよろしく(泰司)■うむ、さらりと(勝之)■まるで俳句じゃないか(裕)■この「ひとの児」が隠し子であれば、この句から複雑な心境など読みとろうとすることができるし、近世的滑稽感もでる。しかし、この句からそうとるのは、ちょっと無理。むりやりそう解釈して○とした(等)■忘年会にて……だと当たり前。ひとけの無い公園だと犯罪(吾郎)■自分にも覚えがある。実感句。「てもみたり」が少し照れ気味の感じを出しているみたい。ところで幼児を相手にする場合でも相性ってもんあるよね。ぼくには何か「この子苦手」と思うときがよくある(烏鷺坊)

〔以下順不同〕
冬霧に尻叩かるるトカトントン  等
◎規夫
■で、イッタイなにをするのだろう(吾郎)■おお、太宰!(裕)■リズムが面白く好きなタイプの句だが季語「冬霧」がどうだったか。年の瀬の感じのある季語だったら、じゃ採るのかおまえは、ということになるとそれでは今度はツキ過ぎのおそれがあるようで選ぶ自信がない。作るも選ぶも、好きも嫌いも、とかく俳句は難しい、とつくづく思う(烏鷺坊)

東京暮色に賀状の空白く  泰司
◎裕◎規夫
■リズムの壊れぶりが白けていて、妙にリアルです(裕)■切れがちょいと不明瞭か。空白、ってわけじゃないんだよね(吾郎)■破調といえ、どこかに定型の尻尾のようなものが感じられてこそ俳句になる。五、七、五の三句体の、「三句体」であることことのリズムはやはり重要で「切れ」をいかに活用するかか俳句の命である、と思う(等)■ストーリー展開としては、賀状の空から東京の暮色へと広がってくれるほうが気持ちよく見られるのですが(規夫)■コンポラ系の都市風景写真集みたい。とても感じがいい。強く刺激を受けます。ところで読みは「ソラシロク」なのだろうか「アキシロク」なのか。どちらでもいいのか(烏鷺坊)■三〇日にやっとこさ。三一日投函で届くのはいつ?(泰司)

ゴツと骨出刃で断ち切る冬の魚  勝之
◎烏鷺坊
■力感で(烏鷺坊)■ごつごつとした立体感はあるのですが、それ以上のなにものでもないようで(吾郎)■すべて言っちゃってるんだな。空間恐怖症的俳句だよ。俳句の面白さは「切れ」の隙間に読者の言葉(または言葉にならない言葉)を呼び込んで、それを再び読者に返して、瞬間のうちに何度も句と読者を往復するから面白いんじゃないか。タモリのユンケル黄帝液もいいらしいけど、大村昆のオロナミンCもシュワーとしていいもんだよ(等)■中五はいらない(裕)

薪能顔面陰部説を追ふ  烏鷺坊
■東スポや、週間実話ならありがちだけど、季刊能面の車内中吊広告だと笑える(吾郎)■陰部が顔面、顔面が陰部の人々の満員電車に乗ったら、いったいどんな気分?(裕)■やっぱりさあ、どこかで作者の心情なり、言葉と擦れあったりと、生なものがでないとね面白くないのよ。読者も居ての句会だしね。エンタテイメントの精神もちょっとはいるよ。こういうのもナルシシスムの一種かもよ(等)■「薪能」でなければ、きっと引っかかっていただろうな、私は(規夫)■そんな「説」はない(烏鷺坊)■どこまでも追うべし!(勝之)■追って結果をお知らせください(泰司)

むざむざとレコード針の暮である  吾郎
◎裕
■無為無能そして無策の実感あり(裕)■わかるよ、言ってることは。しかしどこか気取っているように感じる。こういうの読むと古い現代詩思い出すんだな。昨今の現代詩はすごく俗、俗だよ。俳句って俗が身上じゃなかったっけ?(等)■こういう「作為」のある句が昔から好きです。好きだから自分のなかでどうしても辛くなる(烏鷺坊)■よく考えたら、一本の溝をひたすら進んでるんだよなぁ(吾郎)

アネモネを愛するほどに愛されず  裕
◎吾郎◎等◎唖々砂
■けっこう哀しい。けど、どこかほのぼの(吾郎)■ちょっとベル薔薇臭いんだが、馬鹿馬鹿しい句、カマトトをわかってやった句としていただいておく(等)■そういうことだと、ぼくも思う(烏鷺坊)■ううっ悲しい、サブイ、淋しい(勝之)■かわいそうだから、入れとこ(唖々砂)

恋喧嘩痛い逢いたい寒稽古  吾郎
◎唖々砂
■これ気になるなあ。剣道部かな(泰司)■柔道一直線ね、恋もあるから稽古もあるか。完璧な回文かもしれないね。今日のボクはギクシャクしたのを好むからパス(等)■キャーすごい。回文教開いて、ひと儲けしよっ(唖々砂)■好きなタイプの回文(規夫)■師匠、いつものことながら、なんとなく意味になっているのが凄いです(裕)■年末です。笑って許してください(吾郎)■完全定型。ほんとに頭が下がる。ぼくも正月に少し回文作るから工場長も当番先生も、待っててね(烏鷺坊)▼ハイハイ、お待ちしております(当番)

冬薔薇の湯気に霞て飯炊きあがる  勝之
◎吾郎
■中央線の薔薇貴族とみた。つぶ立ちのいい銀シャリが瞼に浮かぶ。下七のリズムが万葉風で好きよ(吾郎)■某月、某日、深夜に及ぶ乱行の果て、山本勝之氏宅で朝食をいただきました。ごちそうさまでした(裕)■連句っぽい、「湯気に霞て飯炊きあがる」は七、七の付け句としてはメチャメチャ面白いんじゃないの? しかし句全体は、リズムの切れがないから、金魚の糞または効きの悪い浣腸でする脱糞行為、と言ったら作者は怒るか、笑うか(等)■なんかバラバラってやつ?(烏鷺坊)

木枯を睨んでおりぬ奥歯が欠け  等
■そんな、奥歯欠けるほど力んで睨まなくても…(勝之)■歯の悪い戦国武将みたい(烏鷺坊)■歯科医が固いものを噛むなと言っていたのに。寝ていて歯ギシリをしてしまい、前の差し歯が欠けてしまった。二回目(裕)■「が」は必要? もしくは「ぬ」抜きでいくか。大きなお世話だけど(吾郎)

牡蠣殻にあおぞらを置く某日  規夫
◎等◎裕◎烏鷺坊◎泰司◎勝之
■「某日」は不要だ(裕)■「某日」が不満だね。俳句って最短詩型ブンガクだよ、断片のキラメキまたはボルヘス文学の、卑が「奇であり貴」になる一瞬が面白いのさ。その一瞬に賭けるんだろう。チンピラがもつナイフの輝きがいいのよ(等)■思わせぶりっ子(吾郎)■小さな幸せ。こういう日があってもいい(勝之)■未完成な感じだけど詩的な狙いが好きなので(烏鷺坊)■なんかキレイ。情景よくわかってないけど(泰司)

おしくらまんぢゅうにも入れてもらえない  烏鷺坊
◎吾郎◎唖々砂
■胴回り2mとか、1週間風呂に入ってないとか、そういうことじゃないんだよね。わかってるって(吾郎)■遠くから石でも投げつけなさい(裕)■ううっ悲しい、サブイ、淋しい(勝之)■これもかわいそうだから入れとこ。「ボヤキ俳句」ってジャンルある?(唖々砂)■まあね、なんとでもとれるよ、作為がないように一見、見えるがなんかごまかされている感じがするんだな(等)■失敗作。今日芝の増上寺に「お焚きあげ」の古い位牌類を持って行く途中で「おしくらまんぢゅうでココロのボスとなる」という類句に差し替えたい、と強く思った(烏鷺坊)

眠れ冬芽三日月は龍のうす目サ  唖々砂
◎烏鷺坊◎泰司◎勝之
■言葉の「詩的ヤクザ感」にドキドキする。「あんたシロートじゃないね」って、作者にもし会えたら、なるべく目を見ずに、呟くように言ってみたい(烏鷺坊)■いろとりどりの材料でこしらえました。美味しい?(吾郎)■いいですね。九九年ラストを飾る名句(泰司)■映像的説得力あり(裕)■年賀状の文句か、気取るなってコノヤロウ、オレは猪木だ、ウオーッ(等)■「サ」がいいのか悪いのか迷うところだが、いただいておきまひょ(勝之)

冬日のソファー肺のなかは煙  裕
■なんか幸せそう。個人的にはわからん世界だけど(吾郎)■四句選なら、迷わずこれ。三島由紀夫の短編に確か、父と少年の亡霊みたいなのがただひたすら煙草を吸って、外套がどんどん重くなるみたいな生理性の強い、あの人にしては異色なやつがあったけど、それを思い出した(烏鷺坊)■ハイハイ、サナトリウムへ行ってらっしゃい(等)
〔以上14句〕


〔総評・近況集〕
▼久々にアナログ盤をじっくり聴いた。適度にゆるやかで、20分強の世界は実に快感。聞こえないものは聞こえなくてもいいかな……と納得。ともかく、ヘッドフォンの密室世界からの解放がなによりも嬉しい今日この頃(吾郎)
▼正月なんてめでたくも、面白くもない。オレは犬っころと同じ、犬が旗揚げるか、雑煮食いたいと言うか。TVと新聞がなけりゃだれも正月だとは思わないぜ、ただの連休だよ。(等)
▼狂流さんが二〇世紀の一本にあげた『ビッグ・リボウスキ』を、新しい就職先の決まった中村君にレンタル屋で借りてもらって観たら、最高。それはそうと、正月は大嫌いだが、やってくるものはしかたがない。元旦から京都まで運転。なにが悲しうて……。二〇〇一年以降、正月は絶対に動かない、コタツも出す(規夫)
▼さすがに年末でテーマが絞れてるせいか、過去参加したなかでは、みなさん、今回が一番イイ感じ。来年もよろしくお願いするぜ!(泰司)
▼というわけで、1900年代、最後のおくんちにひさかたぶりの参加でした。皆様、よいお年を(裕)

〔当番より〕
▼当番の都合から三〇日のリリースが遅れ、三一日も寝坊。風邪、年末押し迫っても、シノギの仕事が残っていることなど、言い訳にはなりませんが、遅れ遅れの年末オクンチとなりました。
▼この一年、オクンチにとっては二年目。参加者の顔触れもすこしずつ変わってきたりもあって、当番としては「変化」を愉しむことができました。来年もどうぞよろしくお願いいたします。
▼次回は、いよいよ二〇〇〇年。世紀末オクンチの始まり。当番は規夫。おまちがえなく。1月10日(月)午前7時までにFAXもしくはMAILを。

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九の付く日のFAX句会 オクンチ 第47回 2000年1月9日  水曜日

〔今回の一句〕
初春や庭に一本木を植えよう  珠子
◎等◎菊野◎吾郎◎栞◎十四郎
■オクンチにあってこの句に入れたくなるのは、大根おろしも食べたくなるから(等)■ほんとうに木を植えられる庭などなくてよい。正月の清くささやかな思いである(十四郎)■定型内リズムだからこその軽み(吾郎)■一本といわず六本木を植えたら夜は賑やかだろうな(烏鷺坊)

〔以下順不同〕
底抜けの抜けば霊散る去年今年  烏鷺坊
■とらないのは、カッコウが良いだけだから(等)■材料豊富にして船頭山に登る?(吾郎)■抜けばタマチル氷の刃のこと?(烏鷺坊)

くつ下に穴2000年元旦  栞
■対比が作為的(等)■暮れの二十三日の句会で山羊は、「暖かき師走靴下の古き穴」とやりました(邦夫)▼註・八木邦夫さんは今年から山羊邦夫と改名された模様(当番)■靴下も俳句も捨てるタイミングが難しい(烏鷺坊)

寒林や偏屈にして坊ちゃん刈り  等
■偏屈でなければいただきたい(美智子)■こういう女性教師を知っています(烏鷺坊)▼私も知ってます(当番)■上五がちょいと弱い。せっかく後半で不気味な世界を詠んだのに(吾郎)

二日はや生欠伸また生欠伸  邦夫
◎菊野◎唖々砂
■ちょっと胸のヤケル俳句だけど(唖々砂)■十七文字のなかで、この繰り返しは意味があったのか(等)■退屈はもっと大切なテーマかもしれません(烏鷺坊)

黄昏のムズムズ臍の緒開けてみる  唖々砂
◎規夫◎烏鷺坊
■つながりの不確かさを再確認してみたくなる時刻(烏鷺坊)■う〜っ気持ちはわかる。ヘソの奥がかゆくなる。少年時代、母親のタンスから桐の箱に入った自分のヘソの緒、こっそり出して見たりしたなぁ、ヘンな罪悪感ととともに…(勝之)■ははあ、深い悩みがあるな、おかあちゃんの腹に帰りたいのだ。喋り過ぎ(等)■この季節でなければ、もっと良かった。でも、すごくおもしろい(規夫)■「黄昏」が余計。季語でビシッと決めたら?(美智子)■桐の箱に干からびたものは、ムズムズを解消できたか?(邦夫)

二千年グラスの淵で踊る至福  十四郎
■最初「縁」だと思って読んでいた(邦夫)▼私もそう読みました。でも「淵」なんです。「縁」でいいんじゃないですかね(当番)■「私腹」もいいね。変換ミス(等)■きっと繊細な指なんですね(烏鷺坊)■帰ってくるなよぉ〜〜(吾郎)

犬の糞湯気立てている枯野  勝之
◎唖々砂
■情景が目に…浮かばせないでよ(唖々砂)■人糞ならちょっと面白いと思った(烏鷺坊)■季語を入れなければならないと思って、「枯野」を使うのだったら、止めた方がいい(等)

人日の蓋に臍あり 雨不実  美智子
■なんで座五が重くなっちゃうのだろう(等)■ドキッとした。不実な人間なもので(烏鷺坊)

走るべし木からぽんかん落ちてくる  規夫
◎美智子◎等◎珠子◎烏鷺坊
■あり得ないこと。でも、ありそうで…。ユーモラスでありながら、何か哀しい。因みに私は「ポン」。「ぽんかん」でいただき(美智子)■なにげない句だけど、ふうわりとした味がある。意味をこえて雰囲気の世界に誘う(等)■走ってよけるの? 拾うの? お正月だから、軽やかなリズムがうれしくて一点(珠子)■走るべし、がメチャ面白い(烏鷺坊)■上五にすべての強さがある(吾郎)■なんか似たような句が過去にあったような(勝之)

点滴や枯野息づく音がする  菊野
◎邦夫◎烏鷺坊
■いい句だと思うけど、この場合、「や」の切れはどうかな(邦夫)■こういう嘘には何度でもだまされたい私。しかし類句幾百の危険ありピーッ、ピーッ(烏鷺坊)■いやーホント体だけは大切にしてください(勝之)■「枯野息づく」まできちゃったら、次は「音」じゃないだろう(等)

歯朶しかないのだ飛騨の田舎仕出し  吾郎
◎等◎珠子◎邦夫◎栞
■この回文、リズムがおもしろい(等)■すごいなあ、もう。いろんなこと通り越した感慨を味わっております。バーナード・パーディーがドラムで、チャック・レイニーがベースという感じの回文(規夫)■今まで回文に気がつきませんでした。はじめて回文に一点。うれしい(珠子)■回文の苦労は別としても、面白い(邦夫)■鏡に写った回文がおのが姿にタラーッタラーリ(烏鷺坊)■ホント、そんな感じ。笑っちゃう(栞)■2000年一発目いやおみごと。歯朶山盛りの仕出し料理、すっげぇシュール!(勝之)■年の初めの試しとて、切り捨て御免(吾郎)

菜の花のそこはぼくらの黙示録  等
■「そこ」って?(烏鷺坊)■黙示録ってのはちょっと甘いかなと思いつつも、「そこ」が気になった(吾郎)

聞け聞きもらすまじ世界は音  十四郎
◎吾郎◎唖々砂◎勝之
■下五がどかんとしてて好きよ(吾郎)■「最高ですか」のおっさん、こんなこといいだしたのですか(等)■昔アジテーションの桜のバイトをやっていたのですが「異議なし!」というタイミングはわりと難しい(烏鷺坊)■オーディオ製品の広告コピーとしてイイ線いくと思う。でも、ここでは標語(規夫)

足裏のシデムシ冬を分解す  吾郎
■先日の吟行で、つくろうとしてつくれなかったモチーフ。「もうちょい散文じゃなく」と作者にリクエスト(規夫)■はい、わかりました。新発見なのですね(等)■フとユに? それともタとミ?(烏鷺坊)

夜半の冬忘れてたのにラジオのバカ  唖々砂
◎美智子
■このバカは「バッカ〜ン」という感じ? それとも、悲しみのバカ? いろいろなストーリーが浮かぶ(美智子)■おもしろいんですが、中が「語りかけ」にならないほうが「ラジオのバカ」の語りかけが生きたと思います(規夫)■これだって、季語がなければ、ちゃんと言えたんじゃないの。さっぱり状況がつかめない(等)■なんか切実(烏鷺坊)■って言ってるおかまのような軽みと諧謔的なとこ、好きです(吾郎)

黒々と池盛りあがる冬ぬくし  栞
◎規夫◎吾郎◎十四郎
■ぬくし、でやや不気味さを帳消しにした。でも、よけい不気味か(吾郎)■シンプルだが、季語の組み合わせで、感じが伝わります(規夫)■同じ景を見たものとして(十四郎)■こういうの好きなんだな。「冬ぬくし」を上五に据えたらどうなんだろう(邦夫)■黒い鯉が暖かい冬の日に集まって「ナントカスイミング」という競技をした、盛り上がったなあ(等)

冬落暉街がぺらりと裏返る  珠子
◎美智子◎邦夫◎勝之
■感覚的にわかるけど、「街は」のほうが、この日、この時の街(限定された)となって、あいまいさが消えるのでは?(美智子)■「ペラリ」がきいてますねぇ(勝之)■「ぺらりと裏返る」は、言い得て妙。そういうシーンが冬に、最も相応しいかどうか…(邦夫)■うへーっ、旧い(等)■なんか俳句っぽい(吾郎)■この実感はわかります(烏鷺坊)

絆絶つ無邪気になずなたちつてとん  美智子
◎規夫◎菊野◎珠子
■きずな・なずな・たつ・たちつてとん。語呂語呂がコロコロしている。部分回文のようでもある(規夫)■言葉遊びとして楽しませてもらいました(吾郎)■なずなはいいよな。無邪気にたちつてとんだもんな。俺なんか…。なずなに悪いよ。子孫を残すためにだけ、逆境の中でひたすら生きているんだからさ。絆と、たちつてとんの結びつけが面白くて一点(珠子)■スンマセン、ちょっと作意が鼻についちゃって(勝之)■バラバラ、そして遊び足りない(等)■つまり一体なにぬねのん?(烏鷺坊)

純愛も性愛ももう寒昴  邦夫
■4句選なら絶対とってる。ウマイんだけど、もう一歩踏み込んでガツンとほしい。なまいき言ってスンマセン(勝之)■はいはい。正月からこれですか(等)

妃殿下の部屋に冬の蝿とまるなり  菊野
◎十四郎
■不敬に一票投じよう(十四郎)■だれ? のぞき見していたのは? 因みに、私は「ひでんか」と呼ばれていたときがある(美智子)■どういう意図でこれが読まれたのか、聞いてみたくもあり、みたくもなし(吾郎)■わかりません。どうでもいいことです。わたしには関係ありません(等)

初空やづんづん不良の母昇る  烏鷺坊
◎栞◎勝之
■アッパレ!(勝之)■ご愁傷さま(吾郎)■おもしろいが、「不良の母」というモチーフはずいぶん見ているような気がする。去年の「オスンチ」あたりで(規夫)■「不良」と言っちゃって、それっきり。思いが膨らまぬ(等)
〔以上22句〕

〔総評・近況集〕
▼Eメールにはまっちゃいました。便利です。FAXを置いている居間に行かなくともよいので、ますます部屋から出ません。体中、タバコ臭いと言われます。(等)
▼京都のホテルでTVのチャンネルを切り替えていると、カウントダウンのステージに吾郎さんの姿。年末年始と多忙のご様子を、京都でかいま見るのもオツなものでした(規夫)
▼オクンチ紙上を借りて『近藤円盤製作計画通信』
近藤円盤基金1口=2500円。1口につき完成円盤が1枚ついてきます。※複数口特典あり。詳細は近藤円盤基金事務局

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九の付く日のFAX句会 オクンチ 第49回 2000年1月29日   土曜日

〔今回の一句〕
冬座敷母の風圧感じおり   菊野
◎邦夫◎等◎杜
■母は義母なのであろうか、それとも姑か。なににせよ座敷で感じるのだからたちが悪い。やっぱ台所でしょう(吾郎)■マザコン俳句。六十歳にもなると居直る、「男は誰でもマザコンだあ」とある人がいった。そう言える人は正しい「マザコン」。この句の作者もそう、ひょっとして女性?この句、寒々としていない。ベタベタしていない。それは作者が暖かい目を持っているということなのかな(等)■「母の風圧」がいいなァ(杜)

〔以下順不同〕
大寒日没隣人穴を掘り   亞子
◎規夫
■「隣人」のうしろに「の」とか「と」とか「に」を入れていろいろ楽しめた(規夫)■情が見たい「情景」が見たいよ(等)■リズムが面白い(菊野)■一連の流れるごとき犯罪者の手際のよさが目に浮かぶ(吾郎)■そこに何を埋めたかということですね(杜)
生きていく灯りの一つ雪の棺   美智子
■最後は「かん」と読むのでしょうか。儚いというよりなんだかやるせなくなってしまいました。旦那、春は間近ですぜ(吾郎)■なんだかせつなくなって来ちゃったよん(杜)■上中が常套的じゃありませんか。常套的なものはハスに斬らねばと思うね(等)

大寒のまんまる月に兎食う   邦夫
◎吾郎◎唖々砂
■兎ってどんな味? 月と兎がつきすぎかな(美智子)■兎の肉はおいしくない(菊野)■ジビエの季節がやってまいりました。スープでことこと煮込むとそれはまた格別(吾郎)■食べたか(唖々砂)■今はソーセージに兎肉使わないんだって?(杜)■「月に」?「月を」じゃないの(等)

梅探るおしゃべり弁当自分持ち   珠子
◎菊野◎美智子◎等
■ウキウキと春を待つ女性の姿が目に浮かびます。前向きな明るさが好き(美智子)■「おしゃべり弁当」と読みたくなるが、「梅探るおしゃべり」で切るんだろうな。「自分持ち」の唐突さが「チビマルコ」的で面白いなあ、ほめているんです、これ。口語調と「梅探る」の古風がぶつかっちゃった。こいうの好きなものの一つです(等)■「おしゃべり弁当」ってのがおもしろい。えっ!違うの?(吾郎)■やかましそうなお弁当でケッコウざんす(杜)

枯菊の心理臨死の区切れか   吾郎
■つらそ〜(規夫)■名人なら、心理と臨死の間にもう三字入れるのは、造作も無いことだろうに、入れたら壊れるのかな(邦夫)■フフーン(杜)■回文であっても知がほぐれていないとね。今回はパス(等)■時間切れ判定負け(吾郎)
冷たさの卵二つ点じて一つにす   杜
■複雑な心理描写にひかれるけど、中七が言いすぎ、長すぎで、いただけないのです(美智子)■転じて…ではないんですよね。不可思議な情景(吾郎)■どういうことか誰か教えてくれえ(等)

冬晴れの洗濯女銭拾う   唖々砂
◎吾郎
■イタリアはナポリ下町の川べりが思い浮かびましたが、これは文京区あたりの風景では?(吾郎)▼当たり(当番)■たまに経験します(菊野)■もうけましたなァ。アブクゼニっちゅうやつでんな(杜)▼ざぶとん一枚(当番)■洗濯で切るか、洗濯女で切るか。そう言えば近頃柴刈りに行かないねぇ(邦夫)■「冬晴れ」以外はほとんど死語だよ。「洗濯女」が他者ならば作者の目は冷たいし、自分なら、以下「銭拾う」だから、あまりにも救われない。(等)■裁判官様、洗濯機の底で拾得した金品の所有権はどうか洗濯女に!(唖々砂)

鉢植えに水沁む音や小六月   亞子
◎規夫◎美智子
■水の沁む音って聞こえる?聞こえない音をあえて読み込んでいるところに○(美智子)▼聞こえますぜ、よおく。うちの植木だけかな?(当番)■仕事場のシンピジウムにうちの若いもんがチョロチョロと水をやるので、「それはいけない。ババアのションベンといって、ダメな水やりなのだ」と教える。「根を洗うくらいに、たっぷりと」と言ってから、いまの時期、水やっていいのだろうかと考え込む(規夫)■いいと思う(杜)■ウーンいい句なんだろうが、古いぞ(等)■どうぞこのまま(吾郎)

しばれるよさがすいめらすこだだこねる   美智子
◎珠子◎唖々砂
■なにコレ!(唖々砂)■ひさびさの問題句。暗号のようでそうでもなくて、といって読めるかといわれれば読めぬと答えるしかなくて。作者必ず解説してくださいね(吾郎)■「寒いよう、と騒がしい子が駄々こねる」かな? 作者はいろいろ実験している(等)■私の故郷編。「すばれるなっす さがすわらすこ ごんぼほる」ご幼少のころから親しんできた言葉だったのに気がつくのに時間がかかった!(珠子)■短歌やろうよ(杜)

三寒四温志ん朝の大きな耳   規夫
◎邦夫◎珠子◎等
■なるほど、そう言えばね。特定の人の耳だけで句になる凄さ(珠子)■金持ちは大きい耳だ、は嘘である。うまいなあ。今日は奥田民生も出るし、にぎやかなこった。こっちがいい(等)■談志が2年後に引退するそうで(吾郎)■フーン(杜)

オルガンのペダル踏みたり冬の山   等
◎規夫
■指は鍵盤に乗っているのかいないのか。いないほうがいいなあ。「冬の山」はビタッと来た。二〇世紀がもうすぐ終わる(規夫)■営業を思い出す。冬の島だったら大石先生ですね(菊野)■低音部のペダル?風送るペダルだよね。フカフカフカと音がして、一音出ないところがあったりして。そいで冬の山か。昭和二十三年頃の思い出。(邦夫)■山葉のオルガンですか。いいんだよなぁ、あのキコキコした音も(吾郎)■滝廉太郎の映画にこんなシーンなかったかな(杜)

桜咲くいつもの車両に乗りてゆく   菊野
◎杜
■ちょいと気の早い桜。でも気分はわかる。リズムもいい。今日暖かかったもんね(吾郎)■サラリーマンじゃなくたって、こういうことあるよね。恋人に会いに行くときとかさあ(杜)■報告俳句その1(等)

大雪警報キャスター声良し歯切れ良し   邦夫
■ニュースステーションのお天気おねえさんはどこにいっちゃったんでしょうか。わりとお気に入りだったのに乾さん(吾郎)■わかった(杜)■報告俳句その2(等)

ぽくぽくと出て行く父の冬帽子   珠子
◎菊野◎邦夫◎吾郎◎亞子
■失われた昭和。笠智衆しかいない。これができるのは(吾郎)■これはもう技ではなく人柄句柄の柄ですね(邦夫)■「ぽくぽく」と「父の帽子」のとり合わせがおもしろい。でも「出て行く」と安易に表現しすぎた(美智子)■お馬の親子は仲良しこよしだったっけね(杜)■手だれに納まった句(等)

手ぶくろの丸まったまま寝言かな   吾郎
◎菊野◎珠子◎杜◎美智子
■遅く帰ったら枕元に丸まったままの手袋が…。寝言を言っているのは、かわいいボッチャンかな?(美智子)■モデルをかわいい幼児としてのみ○です(珠子)▼どうします?吾郎さん(当番)■毛糸です(吾郎)■疲れ切ってる感じがとてもよく出ています(杜)■どうも焦点が違う気がするんだが(等)

窓辺にトウガラシを吊す悪魔などいないのに   唖々砂
■これ「悪魔など」まで一気に読むと、かなり笑える風景が現れるという、騙し絵的俳句(吾郎)▼名解釈!(当番)■この散文調はおもろくない、理屈(等)■「悪魔がいない」など大それたことを言いおって。オクンチにも月天にもいっぱいいるじゃん(杜)

人参と奥田民生が踊りおり   等
◎亞子
■私は「イージュー★ライダー」が大好きだ。とても歌いたい「歌詞」だ(吾郎)■ハイ(杜)

嘘つくとふくらむ小鼻冬の川   規夫
◎亞子◎唖々砂
■うふふ(唖々砂)■正直だな(菊野)■冬の川でどんな嘘ついちゃったの?可愛いなあ(杜)■ハナ肇の由来(吾郎)■うまいんだろうなあ、この句。だからとれなかった(等)
〔以上19句〕

〔総評・近況集〕
▼パソコンのメモリー容量が一杯になってきて、子供に必要なネットのサーフインがうまくできなくなった。それで増設のハードデスクを買いに行ったら、持っているパソコンが旧式なので2メガずつ区切って使用するほかないとのこと。これじゃ意味がない。買い替えました。メモリ容量128MB、CD−R/RW付、韓国製の「SOTEC」。満足。キーボードのキ−の戻りがまだなじめなくて、自分の文章じゃないみたい。要は硬いのさ(等)
▼柳亭痴楽の「痴楽つづり方教室」はかならず「五文字」で始まったのではないかと、あるとき思い始めた。すると、上が五文字の句が、すべて痴楽師匠の声で聞こえてくる(規夫)
▼ラジオで「来週が誕生日だ」とかいってたら、リスナーから色々プレゼントが届いた。お約束のお花はもちろんうれしかったが、クリアファイルとかテレカとか普通は番組からプレゼントするものが届いたのには笑った。そりゃたしかに携帯は持ってないからテレカは必需品だし、企画書ため込むにはファイルは役に立つし、別になんの文句もないんだけど、なんか複雑な気分です(吾郎)
▼お久しぶりでございます。おっと私も俳句作ってたんだァなんて、とんでもないボケぶりでございます。ボケぶりでお元気でいらっしゃいますか…?と。あっというまに一月が終わり、私の大嫌いな二月になる。閉じこもり生活をしているような、そうでないような。確定申告の時期はつらいのだァ。やる気なし気が重い。ヘルプミー。というわけで、またまたオクンチはお休み状態が続くかもしれませんが、またお目にかかる日を楽しみにしております。(杜)
▼「…マラソン…帳簿…マラソン…帳簿…」(亞子)
〔当番より〕
▼次回は井口家。11月20日(土)午前7時までにFAXもしくはMAILをお願いします。

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九の付く日のFAX句会 オクンチ 第51回 2000年2月19日  土曜日
〔今回の一句〕
如月の靴屋に靴の死んだふり      烏鷺坊
◎規夫◎栞◎仁◎唖々砂◎亜子◎吾郎◎等◎裕
■「如月の」よりもっと愛嬌のある季語がほしい気がします(規夫)■お見事(栞)■片ちんばの生き別れ(吾郎) ■死んだふりがいいのか死んでいるがいいのか?とにかく現代的な如月感(等) ■なんか、ちょっと怖い(裕)

〔以下順不同〕
梨の花ランドセルに笛さして      等
■昭和三十年代前半のぼくらは竹の物差を差していた。縦笛もやったがハーモニカのほうが主流だった。「われは海の子」のジャズ風アレンジ版の譜面をみつけ教室で吹いて男子生徒におおうけ、得意になったが、そのあと学級委員長の江里口くん(現在・歯科医)はバイオリンを弾いた。女の子はみんなため息をついた。骨折り損のくたびれ儲けという言葉の意味を深々と知った(6年、男子/以下同工異名すべて烏鷺坊)■ひとつ間違えたらロンパールーム。いや、間違えなくてもガチャピン・ムック(裕)

口髭が上下に動く春の雪       裕
◎栞◎仁◎唖々砂
■上下でよかった。ほんとによかった(こわがり)■なんかくすぐったい感じがいいかな(栞) ■なんか、ヒワイだったか(裕)

寒凪や相談相手を間違えた      亜子
◎烏鷺坊
■ぼくも年中間違える。でも、ほんとは相手なんて関係ないんだ。相談ってほとんど自分で結論出してる場合が多いでしょ。そこでまったく新しい結論に達する変化なんて起きないことのほうが多い。で、さ、寒凪って感じ出てると思う(家裁相談員) ■銀行に融資を申込む、公立中学で進学相談する、柏崎警察署にアブない息子をなんとかしてくれと行く、長谷川裕に仲人を頼む、その他(裕)

梅ヶ丘駅北口の梅の地図       規夫
◎烏鷺坊
■うーむ、何にもいわないって結構すごい事だよね(烏鷺坊) ■なんか笑える、うふふの景(裕)

水温むぎっちょきちがい・後家ごろし     仁
■このグループを知っていたよーな気がする。三人で仲がいいんだ、これが(めっかち烏鷺坊)■なんで、ナカグロが入ってるんだろう?・・・と妙なところが気になってしまう(規夫) ■このさい、「願人坊主」とか「かつたい」「乞胸」あたりも行ってみたい(裕)

詰めますね壜に朧の駅ふたつ      烏鷺坊
◎仁
■当番に送ってから自分の手帖を見たら「詰められて耳に朧の駅ふたつ」ってなってた。つまり中耳炎の句の自分覚え違い、最低(烏鷺坊) ■Nゲージより小さいのね(裕)

ぼら焼いて昭和の記憶放つ空         唖々砂
◎亜子
■そういえば昭和はぼら。大正はえび。明治はキャラメルと昔から決まってたよね(事情通)■昭和はあまりに永くて、一つのビジョンとなりにくいことに気がつかされた(十四郎)■心地よいが「ぼら焼く」に私自身実感が湧かず(栞) ■平成の佐藤春夫ではある(裕)

シャボン玉お先に失礼いたします       栞
◎烏鷺坊◎吾郎
■凄い無常観。生と死の哲学について一晩語り明かしたい(烏鷺坊) ■もはや中島敦『名人伝』の領域といったら買いかぶり過ぎか(裕)■お日柄もよくご愁傷さま(吾郎)

ナムル赤白緑春の雪あばれる         裕
◎規夫
■「キムチ赤赤赤」も美味しそう。「あばれる」ならナムルくらいがいい塩梅(規夫)■あばれかたが絵画風。で、ビールは?きてるの?(世話焼き虫余計派)■ゼンマイはどーした!?(栞)■しまった、ゼンマイを忘れた(裕)

星またたけば私はあなたの犬         十四郎
◎吾郎
■星菫派の沼正三みたい(新潮社校閲部)■勝之師のアイム・ヨア・マンに礼。イギー・ポップで返し歌(十四郎)■デーヤモンドの犬(吾郎) ■やっぱりバター犬にかぎる。全然関係ないけど「ヤフー」って、「家畜人ヤフー」のことを忘れて命名・上場したんだろうなあ、やっぱり(裕)

ビビデ・バビデ・ブー靴擦れの梅の花     等
◎規夫◎十四郎
■こういう俳句のとき、ナカグロは入れて欲しくないんですよ、私。でも、これ好きですよ。「ビビデバビデブー」で今度一句作ろうと思いました(規夫)■靴のなかの呪文って効きそう(北欧神話研究所所員)■梅に呪文がよく似合う(十四郎)■靴擦れ不要説(吾郎) ■なんだ、ばかやろう。アライチュー好きでした。関係ないか(裕)

雪おんな太いその足こんばんわ        仁
◎裕
■遭いたい(イエティ)■真白なその足、太い方がなまめかしいかも(栞) ■うん、雪おんなって、ほんとはふっくらしているんだ(裕)
念仏のブツブツ言うなヒラメのくち      唖々砂
■ブツブツ(蓮門烏鷺坊)■こんなことを言われぬコメントを書きたいのだが…(十四郎) ■すっごい考えぬいて作ったんだろうなあ、これは(裕)

馬鹿なるはサイコな恋さ春なかば       吾郎
◎十四郎◎唖々砂◎等
■高鳴るは、で入って、春中田じゃどうでっしゃろ? いややっぱり馬鹿で、なかば、か。やっぱ工場長には勝てまへんわ(扇屋一心堂・徒弟)■うーーん、制作時間は短いとみた。それにしては充分な出来だが(規夫)■自己表現を捨てて、回文に捧げた姿勢に(十四郎)■まだまだリターンマッチには勝利せず。待て次回(吾郎)■サイコねえちゃん、香山リカもびっくり、川柳でも俳句でもない面白さが見える(等) ■何度も、何度も言ってきたことだが、意味になっているのが凄い(裕)

遅き日の壺漬けの壺土の色          規夫
■文字通りの地味に上がりました。え、滋味?(常滑市・陶工)■「壷漬け壷の土の色」では?(十四郎) ■食うのを躊躇しそうな漬物であることだけは確かだ(裕)

カラコロと歩く早さや浅き春         吾郎
■真冬でも裸足でじゃりんこチエみたいな下駄履いて呑み屋にくる女性編集者を知っていましたっす。みんなマサコって呼んでた。どうしてるだろうな、マサコ(花園町無頼派) ■この風景、昭和三十年初期までのサザエさん。寒そう(裕)

北区田端マゾッホの轍            十四郎
◎栞◎亜子
■なんか痛い。骨にギリギリ来るぜ(ヤザワ)■oh!モーレツ(栞)■ロールオーバー・フェリーニ(吾郎) ■今度、おくんちで「東京二十三句」を席題にしたら、おもしろいな(裕)

弁当に一尾の魚春近し            亜子
◎十四郎◎等◎裕
■ぼくの場合「吉兆の三段重ね春近し」だったからなあ。ばあやのひとりが届けてくれたもんだよ。それをクラスの貧しい子供たちに分け与えてあげたっけ。ほんとだよ、絶対ほんとなんだから(茶々丸)■鯵の開きでないことを祈る(栞)■盆栽、幕の内弁当、坪庭、世界を閉じてみせる日本文明である(十四郎)■ボクの兄達の弁当はこうだったらしい。デーンとサンマやアジがご飯の上にのっていたという(等) ■端正にして正調。名吟(裕)
〔以上19句〕

〔総評・近況集〕
▼ここんとこキューバの音楽にイカレちゃってます(唖々砂)
▼想念がややゆるい作品が多かったと思います。(もっと具象化するのか。もっとことば遊びに徹するのか)(仁)
▼ 夜の十一時、突然、電話がかかってきて、応答なし。十五分ほど黙って聞いていたら、ゴールデン街からタクシーに乗って、青梅街道を府中方面まで行く実況中継であった。携帯のプッシュボタンに気をつけよ(裕)
▼一時間二十分ノンストップで踊った。汗もすごかったが、だんだん体が軽くなるような感じがよい、これがダンサーズ・ハイか?。にしてもよくやった。ハイ(吾郎)
〔当番より〕
▼次回の当番は規夫。おまちがえなく。1月10日(月)午前7時までにFAXもしくはMAILを。

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九の付く日のFAX句会 オクンチ 第52回 2000年2月29日  火曜日
〔今回の一句〕
バイカル湖海鼠ほたりほたりかな   等
◎規夫
■なまこの在りよう! なまこは寒いところにもいるんですか? 別にいなくてもいいんですが、『ナマコの眼』という鶴見良輔の本は、めちゃくちゃいいですよ。お読みになった方もいらっしゃるかもしれませんが(規夫)■これでいいのか(吾郎)

〔以下順不同〕
春深し電池でしゃべる玩具たち   菊野
◎等◎規夫◎邦夫
■トイ・ストーリーですか。にしても「深し」はねえだろう(吾郎)■かわいい、だけかも(等)■こういうの、好きですよ(規夫)

死人はね寡黙な雲か涅槃西風   吾郎
◎栞
■つきすぎ、死人、雲、涅槃。沖雅也出てこい(等)■う〜ん、親方、苦しんでいる(規夫)■春とおからじ。頑張れ(吾郎)

失せて出てまた失せ春の手袋   珠子
◎等◎菊野
■忙しいだけ、かも(等)■作ろうと思ったモチーフ(吾郎)

東風吹いて裸の王様大嚔   邦夫
■つきすぎ(等)■「くさめ」が読めなかった。読めたからといっていただかないけど(吾郎)

春嵐子供が子供を撃ち殺す   栞
◎規夫◎吾郎
■タイムリーバントヒット。今回だからいただき(吾郎)■アメリカね(等)

円鏡がつぶれて坐る桃の頃   規夫
◎珠子◎吾郎◎栞◎等◎邦夫
■今は園蔵でしたっけ、テレビ落語家のハシリとしての印象が強いけど(吾郎)■なんで桃の「頃」なんだろう、あいまい(等)

頬に蝶トルキスタンは風力一   等
◎珠子◎吾郎◎栞◎菊野
■「乾き」の映像が広がる。「は」がちょっとお茶目(吾郎)

春浅し遺体解体示唆ある歯   吾郎
■今回、回文パス(等)■初の再提出句。にしても限界か(吾郎)■う〜ん、親方もいろいろと悩んでいるようだ(規夫)

クロレッツ噛んで紅梅に逢いにゆく   邦夫
◎菊野
■クロレッツが全く効いていないと思う(等)

綿雲の連想ゲーム春隣   珠子
■連想ゲームで底が割れている、既に(等)

いかんせん不良の母と雛飾る   菊野
◎珠子◎邦夫
■いかんせん、でダメ、不良でまたダメ。不良と雛では全くの作為、いやだもう(等)

小さき薔薇小さき蕾が開く朝   栞
■下五がおしい(吾郎)
春塵の臍にかわいい魔女ジニー   規夫
■「臍が」かわいかったけど。で、なんだっけ(吾郎)■ジニーなんて知らない(等)
〔以上14句〕

〔総評・近況集〕
▼クソッ、馬鹿な担当者に当たると、どうしようもない。次回はやめちゃおうか。手と頭は仕事、俳句は足で作っている感じ。バイカル湖はベツレヘムだったのに、あとからみてアレレ。二重投句みたいだぜ。大事な書類が無いんだよ、一時間探して無かったら、謝るしかないな、しかしもらっているのかなあ、不明。車は故障しているしさ。月曜日の「総武快速」乗ったけど、怖いな。殺気だってるぜ。ブルーマンデイ、喧嘩やってたぜ。世の中思ってるよりも、スゴイナ。おとなしくしていよう。(等)
▼ヤフーで「おくんち」を検索するとinksホームページにたどり着いた。ちょっと感激。(吾郎)
▼血中アルコール濃度が極めて高く、まともなコメントができないようです。(赤山羊)〔当番より〕
▼次回の当番は規夫。おまちがえなく。

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九の付く日のFAX句会 オクンチ 第53回 2000年3月9日  木曜日
〔今回の一句〕
感動す長閑に角の素うどんか   吾郎
◎等
■これは好きな回文。角にあるから「角屋」という名のうどん屋が埼玉は三好町にある。埼玉はうどんが旨い、小さな店は一生懸命作っている。加須市はうどんの町。あそこらへんを歩くと庶民の歴史を感じる。夫婦喧嘩をして、腹立ち紛れの、一泊の逃避行のとき歩いた。関東の大鳥神社の祖もここにある。古代から人が居た。そのころ後の江戸は葦とススキに全面覆われていた(等)■復調のきざし。「角の素うどん」はとてもワンダフル。「角」も「素」も効いている(規夫)■リハビリ期間中につき許すよろし(吾郎)

〔以下順不同〕
大根は近くで買おう重いから   泰司
◎規夫◎烏鷺坊
■重くなくても近くで買い物ができる生活がいい。「通販で買おう重いから」という時代になってくるのかなあ(規夫)■あたりまえといってしまっては実も蓋もないが(吾郎)
大阪のマゾヒスム的桜餅   等
■取り合わせがいまいちしっくりこない。あと「的」が中途半端か(吾郎)■こういう句を見ると、いろいろとパラフレーズできるから個人的に楽しい。「桜餅的大阪のマゾヒズム」「桜餅の大阪的マゾヒズム」…。「的」をどの言葉にくっつけるかがキモと思いますが、「マゾヒズム的」という結論には、どうしても賛成できなかった(規夫)

湧水の砂はゆるりと何でもしてあげる=@  勝之
◎吾郎◎烏鷺坊◎唖々砂
■透明感と砂のなまめかしい踊り?が、婚前交渉…いえ混然一体となってgood(吾郎)■何でも≠ゥぁ…(唖々砂)

春の雷アジトの窓に立つなかれ   唖々砂
◎泰司◎勝之
■シルエットが浮かんできます(泰司)■モチーフで笑わせていただきました。ありがとうございます(吾郎)■あ、あんたオウムか赤軍か!?(勝之)■数年前からこの界隈には、この手の物語が多い。で、一定数の手堅い支持者がいる(規夫)

春の水湧く滾々といふ無音   烏鷺坊
◎規夫
■文芸調。で、すっきりしたたたずまい。う〜ん、誰かとるだろう(吾郎)■「滾々」と表現した大昔の人間はえらいな。「春の水湧く滾々と」までは国語の歴史に乗っかった常套句。それと「無音」という実感とを「といふ」という「わび住まい」的小物でつないだ。意外に嫌みがない仕上がりと思いました(規夫)

つっこんでくれよぼけたら犬ふぐり   規夫
◎吾郎◎等◎烏鷺坊◎勝之
■川柳に「めおと漫才妻が突っ込むからボケル 平野こず枝」があるが、この句も「つっこんでくれよ」と呼びかけているから、川柳感覚を感じる。「犬ふぐり」が効いている。好きな句です(等)■季語勝ち(吾郎)■関西人の本音。先日、ほんやら洞(当番註・国分寺南口の喫茶店。オリジナルは京都河原町今出川。時間が止まったっぽいとこ)で、4、5年しか関西にいなかったのに、ずーっと関西弁でグダまいてる女を見て、首締めて殺してやろうかと思った。エセ関西人はエグイ!(勝之)▼首締めればよかったのに。だが殺してはいけない。それと、乳揉むのもやめたほうがいい(当番)

春遠し自著の値を踏む古本屋   泰司
◎吾郎◎等
■店主の自著として読んだ。近所にこういう古本屋店主がいた。ボクの嗜好は限られていて、店主が気になったのだろう、話かけてくる。ウルサイナー、こちとら至福の時間なんだよ。しょうがない付き合った。「ところでオヤジさん、何になりたかったの?」「オレはねえ、何屋さんなの?と聞かれるようなものになりたかったんだよ」「例えば?」「だっまって人を刺し殺すことの出来る男になりたかったんだよ」「じゃあドストエフスキーなんか好きだったんでしょうねえ」「ウワハハッ、あんた面白いことを言うねえ」。いまにも潰れそうな古本屋、客がきたら電灯とクーラーと付ける。最後に行ったときは、張り型(電動コケシ)を置いていた。店主はボクの眼を避けた。それからすぐ潰れた。大家らしき夫婦が壁にペンキを塗り、花壇を作って小さな花を植えていた。すでに空洞であるその店を慈しんでいた。アイツちゃんと家賃を払って去ったのだろうか?電動コケシが頭に浮かんだ(等)■池尻大橋駅徒歩五分じゃないスよね(吾郎)■「自著」って音読するとどうにも…(泰司)

春闇にひとり弾ける静電気   吾郎
◎泰司
■知りあいにいましてね、こういうヤツが(吾郎)■アチキも電気たまりやすくて(泰司)■どこでも切れるのが難点かなあと思いました。「ひとり」と「弾ける」と他の言葉の関係がはっきりするほうが好きな句になりました(規夫)

春疾風女スパイの耳を噛む   勝之
◎唖々砂◎泰司
■実は私もス…いや、なんでもない(唖々砂)▼スルメ? ストーンヘンジ? スハルノ大統領夫人?(当番) ■そこ、そこ、感じるんです(吾郎)■女スパイは何処を噛む?(泰司)■数年前からこの界隈には、この手の物語が多い。で、一定数の手堅い支持者がいる(規夫)

手淫後は空間恐怖症の紅梅   等
◎規夫
■オレなんて事後はボーっとして何も考えられんけどね(勝之)■青春もの。ぼけの花だとちょっと哀しい(吾郎)■中高年の手淫がテーマと解釈して、いただきます。「手淫」は、俳句のテーマとして広大に残されていると感じております(規夫)
もう飲めぬグラスの底に春の月   唖々砂
■実景句、境涯句としてシンパシーを禁じえず(吾郎)■病気で医者にとめられてる人を想像(泰司)

呼び声の戻りてし ぶ飛沫く春岬   烏鷺坊
◎唖々砂◎勝之
■旅によい季節になってまいりました(吾郎)■死んではいけない(唖々砂)■あ、あれか。例の全身ションベンまみれ事件ね。帰りの車の中で由季ちゃんの思い出し笑いが止まらなくなり、あやうく事故りそうになった(勝之)▼当番註・「ションベンまみれ」は由季氏でも勝之氏でもありません。あっ、当番でもありません。念のため。
〔以上13句〕

〔総評・近況集〕
▼忙しさやインフルエンザに負けており、今年初登場の泰司です。復活するぞー。(泰司)
▼花粉症なんかには絶対なるはずがないと思っていたら、おととし、突然涙が止まらなくなって、鼻がぐずつき始めティッシュの山ができた。で、去年は特に変化なしに終わったので、気のせいかと思ってたら、この一週間でなんだか雲行きが怪しくなってきた。天気予報で杉の花粉が多いとかって注意報はいいんだけど、風に大量の花粉をまき散らしている映像だけは流すのやめてくんないかなぁ。(吾郎)
〔当番より〕
▼次回の当番は規夫。おまちがえなく。

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九の付く日のFAX句会 オクンチ 第54回 2000年3月19日  日曜日

〔今回の一句〕
靴紐を結びなおして春日向   吾郎
◎等◎規夫◎珠子
■雰囲気がでてるんだなあ。ところで人前で靴紐を結ぶのは、エチケットに反するとフランス帰りの絵のセンセーが言っていたけど本当かな? 教えてくれー。別にどうと言うことはないんだけど(等)▼「フランス帰りの絵のセンセー」の言うことなんか信用できるわけないじゃないですか(当番)■なにげないですね。季語に懲りたくなるモチーフですが、そのへん抑制が利いているのかなと(規夫)■今の時期なら、私だって日向で靴紐を直したいからね(珠子)

〔以下順不同〕
春の雨トランペットの音はにかむ   等
◎勝之
■美しい映像が目に浮かぶよう(厚子)■チェット・ベイカーあたりか。エレクトリック・マイルス好きとしては、はにかんだような音ではちょっと不満(勝之)■音楽ネタは、ちょっと「はにかむ」んですよね、なぜか。でも、見ているうちにだんだんと慣れてきて、感じは伝わるなと思うようになったが(規夫)

春の道一日見てたよ富士当たり   勝之
◎厚子
■「たよ」ってひびきがぐっときた(厚子)■「湯当たり」ならぬ「富士当たり」? きついすねえ、これでそう読めってのは。「富嶽の毒に当たりけり」というんじゃバカみたいだし(規夫)

囀りやどこ向いたってピアス穴   珠子
■俳句の集まりなんかに行っていつも思うんですが、五文字だから「ピアス穴」というのは、ちょっとつらくないですか?「ピアスの穴」と六文字だといけないのかなあ、といつも思ってしまうんです、句会なんかで(規夫)

胃カメラの内のかたちの刮ぎかた   泰司
◎厚子◎規夫
■その次をすぐに想像させてしまうところがすごい(厚子)■こそぎかた、と読むのかな。しかし「かた」はちょいと疑問。靴の上から足を 掻いているようだね(等)■これ「刮げ方」が正しいのね。あとで辞書引くなって(山下)■「胃カメラ」って、なぜ春っぽいんだろう? 「内の」っつうのがちょいこなれないなあとは思いましたが(規夫)

論じあうより感じあえた友・ヨロコビ。   厚子
■なにこれ、古本屋の有線でよく聞いたドラゴンアッシュの曲みたいじゃないか、脚韻をふんでるやつね。最近MAXもやってるけど、こいつらうるさい(等)▼句から話題が離れますが、日本のラッパーってなんであんなにウエットなんでしょう? 泰司さんとは、この話しましたね。何十年も前のフォークソングとおんなじにウエット(当番)■うー、これ苦手。もっと照れつつやってほしい。「ヨロコピ」とか(泰司)■マル「。」とナカグロ「・」とカタカナのヨロコビかあ。そいで、この「若者たち」風の前半。すごくアバンギャルドな構造です(規夫)▼句点(。)は、ひょっとしてオクンチ史上初?(当番)■これって年をとったってことなのかな。でも最近の私の中のニュース&テーマです(厚子)▼当番のオジサンが思うに、「違います」。まだ年をとっていないってことです。まぶしくって、うらやましいです(当番)

豆の花くるくるアチャコの手が泳ぐ   規夫
◎泰司◎勝之◎珠子◎吾郎
■春でんなあ(泰司)■「めちゃくちゃでございますがな」のときのあの手の動きね。好きです、オレも(勝之)■「くるくる」は不要じゃないかなあ、アチャコだもの(等)■取り合わせがスゴくって私にはまねできません。私にとっては理解のぎりぎり(珠子)

アルゼンチンタンゴ梅花と自我壊れる   等
■「愛」や「幸せ」を正面から詠んだ句には「おいおい、ちょっと待てよ」と言いますよね。「自我」もそれとおんなじでしょう。この句の「正面」度の具合については、よくわかりませんが、わりあい「正面」度が高いと思うのですが(規夫)

春の闇甘き匂ひの獣立つ   勝之
◎厚子
■チカンや変態がふえるってことをこんなに美しく表現できるんだー(!?)(厚子)■大藪春彦かあ、野獣死すべし、死になさい(等)■まじめな話、やっぱり具体やブツやなにげな「コト」が面白いんですよ、俳句に限らず、この世の中は。だから、モノやコトで、「甘き匂ひ」とやらを嗅がしてくれたり、「獣」を伝えてくれないと…(規夫)

春愁やするり手品の種明かし   珠子
◎泰司◎勝之
■ホント、サッパリと何もかも種明かししてほしいものです(勝之)■「するり」がいい(泰司)■いい感じですよね。いただくかどうか迷いました(規夫)

春眠とも昏睡とも日向縁   泰司
◎珠子◎吾郎
■今日の私はカーテン閉めて昏睡。31年間ひたすらがんばってきた仕事を辞めます(珠子)■笑えない(厚子)■春眠から昏睡への展開は、やや「遊ばなさすぎ」(規夫)

水遙か見やる春闇軽はずみ   吾郎
◎等
■もしオクンチに回文がないと寂しく思うだろうな。最近のことだけどね。「軽はずみ」でなければ映画の「地獄の黙示録」の水のシーン(新しい王の誕生までのところ)を思い出したね(等)■今回、ちょっと意味が分解しすぎましたね(規夫)

3泊4日帰ってきたら咲いていた。   厚子
◎規夫◎吾郎
■いただくかどうか、すごく迷ったが、この手の句は迷ったらいただいておいたほうがいい(規夫)■この前まで芽をちょこんとだしていたヒヤシンスがいきなりピンクの花をワッと咲かせていた。思わず「ここで一句!」って感じ(厚子)

大脳に取り憑くけむり豆の花   規夫
◎等◎泰司
■「大脳」は言い過ぎかな? でも「豆の花」はどうも「脳」をゴチャゴチャにしそうな花だな、語感もね(等)■なんとなく大麻のけむりっぽいね(泰司)
〔以上14句〕

〔総評・近況集〕
▼久しぶりに参加できてホッとしています。皆様、春を感じ春を待っていたのだなぁ〜と感じました。皆さんの句にコメントしたいけど、ド初心者ゆえかいまひとつどう解釈していいのかわからず何ともいえないって感じです。勉強します(日本語を)。(厚子)
〔当番より〕
▼今回、吾郎さんはロンドンからの参加。こちらからはFAX。吾郎さんからの選は留守電で。そのコメント「ロンドンはいま朝9時。すこし寒めでございます。昨日はアビーロードに行きました。今日はどこに行くんでしょうか」。
▼次回から投句の数を「3句まで」とします。もちろん一句でも二句でもかまいませんが。
▼9の付く日を忘れていたという人が多いようです。今回も二時頃に投句してきた人がいます。次回からFAXかメールで「オクンチコール」をしようかと考えております。FAX紙がもったいないという人は、当番まで「コールやめよ」のご一報を。
▼当番は次回も規夫。おまちがえなく。

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九の付く日のFAX句会 オクンチ 第55回 2000年3月29日   水曜日

〔今回の一句〕
鳥雲によんどころなくカレーライス   菊野
◎規夫◎邦夫◎等◎十四郎
■カレーライスはよんどころないだよ、日本のはね。それにカレーライスはいつもこう詠まれちゅんだな(等)■よんどころなくカレーライスせざるを得ないという日が、月に何度かあるものです(十四郎)■カレーライスってパワフルな装置ですね(規夫)■春ってカレー食べたくなるよね(杜)

〔以下順不同〕
まだもはやではない春の昼である   烏鷺坊
◎亞子
■理屈家の作だがまあとろう(亞子)■要介護(杜)■豆腐屋の巻き舌の哲学でアール(規夫)■ブツは何もない。この手の遊びは否定しないけど、言葉の縁のほうでやってほしいね(等)

春の風邪かじって欲しき親の脛   美智子
■カイショあるねん(杜)■親が愛情に飢えてどうする(等)
春雨の垂れる黒髪見ていたい   厚子
■私のでよかったら貸すけど!(杜)■ヤワすぎまっせ(等)

豆腐屋の巻き舌R春の地震   等
■近頃とんと見かけない(杜)
パワーショベルの男が愛でるタンポポ昼   亞子
■こういうのって、ダメなんだなオレ。つまり作者は他者を見てるだけなのね、近づけよ、モット、モット、言葉が壊れるくらい(等)■肉体労働者を愛でるまっとうな性欲に、ブラボー(規夫)■ごつくてやさしいところがいい(杜)■ポッとしてて、いいんだけど…(厚子)

早咲きのチョコ中毒症状桜乱   杜
■「チョコ中毒症状」がサンドイッチにされちゃって、ややこしいね(等)■錯乱のシャレもオヤジ風であったか(杜)▼桜乱って錯乱のシャレだったんですかあ! 誰かわかるのかあ、こんな難解、というか無理なシャレ(当番)

さかしま無音春の夜の底が開く   十四郎
■春の夜の底ってえのがいいじゃん(杜)■「さかしま」、「無音」「夜の底」「開く」。オオ、ゴージャス、デリシャス、竹村健一。これじゃあ、「圭子の夢は夜開く」に勝てません(等)

春光を仰げる眉の白さかな   吾郎
◎杜
■絵画的でいいと思う(杜)■別所が生き返ったのか(等)

春の野や風に髪型変えてもらおっと   唖々砂
◎亞子◎美智子◎邦夫
■ある種の人々にとってはすごい皮肉だがまあとろう(亞子)■春一番パンクでよろしおすか?(杜)■いくら口語調を使おうが、あたりまえ(等)

焦燥や丁寧に剥く萎え蜜柑   邦夫
◎規夫
■なんか伝わる(規夫)■焦燥と萎えと丁寧のバランスがチト惜しい(杜)■漢字の使い方がとてもステキ。紳士的かつ生理的で(厚子)■上五以下はすべて焦燥の説明(等)

春の雲ゾウ語の辞書から打音打音   規夫
■わかった。象はダオーン、ダオーンとなく(杜)■ゾウ語は造語ね、象語のほうが面白そう(等)■ゾウ語(ゾウ飼育の言葉)は世界共通らしく、東南アジアでは辞書も発行されている(規夫)

寝てる間にりっぱなお姿菜の花よ   厚子
◎吾郎
■菜の花お婆はこわいぞ(杜)■曖昧模糊(等)

ヴァイオリンにfの孔あり春の髪   烏鷺坊
◎等
■ボクのリズムなら「春の髪ヴァイオリンにfの穴」になるんだけど(等)■フーン(杜)

父母の恩手淫をなせば二級河川   等
◎厚子◎規夫
■「二級河川」と落としますか。笑える。関西人として評価せざるをえない(規夫)■馬鹿じゃん(杜)■大人の句の匂い!(厚子)
おまえもか置いてきぼりのつくしんぼ   美智子
■つくしんぼはそんなこと考えていないのに、人間ってすぐ仲間に引きずり込もうとするんだね(等)■はよせんか!アホタレ!いつまでもやってたらアカンヨ!(杜)

春一番皆狂者なり嬉しやな   杜
■皆って言うなよ、あんただけにして詠んでくれよ(等)■キャハハウヒヒハハハボケボケピロリ君バンザイ。おめでとう。オーハッピーデ〜(杜)▼なんか、よっぽど哀しいことがあったのか(当番)

春や春サイケデリックな夜だった   十四郎
◎唖々砂
■何か喫ったか舐めたかしたね(唖々砂)■そうかい、そりゃあよかった。ワシにも今度調達たのんまっせ(杜)■だからさあ、「サイケデリック」であることを詠むんだろう、こう言われちゃったら、ハイ、ハイとしかいいようがないわな(等)■だから、なにがサイケデリックだったんだ? それを言ってもらわないと、うちの田舎の母親だって納得しない。副睾丸炎で手術入院中の義父ならなおさらだ。入院が長引き、ただでさえイライラがつのっているのに(規夫)

恋猫を石もて撃たば安からむ   邦夫
◎唖々砂
■世田谷のお屋敷の奥様がスゴイ形相で恋猫にバケツの水をザバーッとぶっかけてるのを見たことある。安からむ(唖々砂)■文語でしめったって、これじゃあもてない男のやっかみでしかないよ(等)■淋しい奴やねん(杜)■「お気持ちはわかりますが、現在の立場をお考えになって、どうかここのところは」と反応してしまいますね、小市民として生きながらえさせていただいている私としては(規夫)

苦土石灰まぶすじゃがいもみな素直   菊野
◎十四郎◎厚子
■春のうれしさを感じたので(厚子)■句も素直(十四郎)■ブスはみな素直じゃ。そいでなきゃいけん(杜)▼偏見だあ(当番)■じゃがいもを「みな素直」と詠んだのは、甘ったるい感情移入。いもは文句いわねえわなあ、処し易きに流れるなよ(等)

春は嵐より始まる不在連絡票   亞子
◎杜◎十四郎
■言われてみて、そうだったんだよなとヒザを打つことがあります。「春は嵐より始まる」も理由なく大いに納得(十四郎)■「嵐より始まる」がよかった(杜)▼「連絡表」は「連絡票」の誤植でした。すみませ〜ん(当番)■カッコよすぎるんだよ(等)
いわゆる思考のサラダ連翹わっと咲く   規夫
■プリティ長島か、おまえは(等)■思考のサラダってミモザサラダ。ぐちゃぐちゃにあえて食べたらいい(杜)

品川駅パースペクティブ一気に海へ   吾郎
◎唖々砂
■爽快、蒼海(唖々砂)■吟行句みたいだけど…(等)■今朝のシノギの用件が、泉岳寺駅あたり。品川駅まで歩いたが、このコース(京浜国道)ではこの句の雰囲気は味わえない(規夫)■ごめんパースペクティブがわからん(杜)▼『最新カタカナ語辞典第二版』(講談社プラスα文庫)好評発売中。うちの印税収入にご協力を(当番)

春嵐♪ロックは死んだ!と英語の歌   唖々砂
■「英語の」になにか意味があるのだろうか(等)■日本語じゃなきゃわかんない(杜)■この歌詞の原文は「Rock'n Roll is still alive」にちがいない。でも♪や!は不要ですね。なぜなら目の見えない人には伝わらないから。バリアフリー俳句を提唱する私としては(規夫)■レニー・クラヴィッツ。規夫さん聴いた?(唖々砂)

鳶舞う海空止まれランデブー   厚子
◎美智子
■呼びかけとか命令はあんまり上手く伝わらないな(等)■フーン(杜)

花泥棒して沈丁の部屋となる   唖々砂
◎烏鷺坊◎菊野
■この句かなりヘンでっせ、決して誉めているのではありません、作者が怖い(等)■やーいやーい花泥棒。うちは沈丁のトイレ(杜)

辛夷咲き身に適いたる目の高さ   美智子
◎烏鷺坊◎吾郎◎菊野◎厚子
■この上手さは気に入らない、かつ「おすまし」(等)■高いところで咲く春の木の花を、このように詠むお手本的なところもあって(規夫)■ええんとちゃう(杜)

機嫌悪し野蒜にルビの思案劇   吾郎
◎烏鷺坊◎亞子◎美智子◎等
■ここまで苦しがっているなら、手を差しのべてやろうじゃないか、「野蒜にルビ」はあまりにも対称形すぎる回文(等)■「野蒜にルビ」がイイからまあとろう(亞子)■「きげんあし」の「あし」はやや辛いが、これくらいの辛さはあって当然。よい出来(規夫)■ずっと考えててええよ(杜)

強風にぐらり踏みとどまるペディキュア   杜
◎菊野
■ペディキュアってマニキュアじゃない何かだったよねえ、失念(等)■色っぽいじゃろ(杜)

日曜日ドアーを開けると蟇がいる   菊野
◎杜◎邦夫◎吾郎
■ダハハハ。これ一番いいと思った(杜)■チュラチュラチュラチュラチュラチュララ、ダークダックスが歌っていた(等)
〔以上30句〕

〔総評・近況集〕
▼アキレス腱にがたが来ていたらしく断裂。半径やく3メートルの空間で、外の世界に思いをはせつつ過ごしています。老化は、「老花」と言った人がいるようですが、今の私には「牢か」のごとき毎日。不自由を自由に過ごすべく遠隔操作に明け暮れています。これもまた新鮮では有りますが。ヤミツキニならねばいいと。ponpoko(美智子)
▼リッチテキストを使えるブラウザに変えました。これも貰い物。買ったのはJW−CADという建築ソフトのみ、3500円。ミスター・オクレ状態。ハードは買っているぞ。プロッターとスキャナ。スキャナはある句会の投句先となっているので、原稿を取り込んで証拠品の格納に使用している。ボクのOCRは縦書き文字はダメなんだな。だれかソフトあるう? ほらみろミスターオクレだろ、いやキング・オクレになりそうだな(等) …前回のオクンチでのコメントで当番の積み忘れ。申し訳ありませ〜ん!(当番)
▼協会も指導に横槍入れるなら、もっと強い相手を呼んでこなきゃ強化にならんとちゃう?(亞子) …そうだそうだ。相撲協会。なに考えている!?(当番)
▼スミマセン。今帰宅(AM7:00)しました。電気グルーヴ、オールナイトイベントで踊りまくって、カラオケ行って、頭が林家パー子状態です。(吾郎)
▼今回とても多くて全部読んでいると、どれがいい!とかわからなくて困りました。(厚子)
〔当番より〕
▼…といった意見もありますが、次回も「最大3句」で行きましょうか、とりあえず。でも、くれぐれも、1句でも2句でもいいんですよ。
▼等さんが、某俳句結社の今年度の「作家賞」に輝かれました。昨年度の裕さんに続いて、オクンチから二年連続で作家賞作家を輩出したことになります……って、こういう言い方でいいのかな。『麦』の人、クレーム付けてこないでね。
▼当番は次回も規夫。おまちがえなく。

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九の付く日のFAX句会 オクンチ 第57回 2000年4月19日  水曜日

〔今回の一句〕
むにゃむにゃと花散るところ地蔵堂       烏鷺坊
◎等 ◎規夫◎三太◎白玉◎吾郎
■ウハーッ、おもろい。いただき(等)■春眠不覚暁はなにも人間だけのことではない。かのように眠たげに春風に揺られて花弁が散ってゆく。赤いヨダレ掛けをしたお地蔵さんの足元はまるで毛氈を敷きつめたかのようだ(三太)■朝寝坊の飲ん兵衛さんが、ブツブツなにやら独り言。きっとお地蔵さまも笑っているのでしょう。おだやかな春のうたた寝のようで、気持ちがいい(白玉)■地蔵堂で悪さしたらいけませんよ(杜)■「ところ」が惜しいなあ。他の語尾がほしいなあ(規夫)

〔以下順不同〕
遠い日の耳に馴染んだトテチテタ        三太
■軍隊のラッパ。子供の時日露戦争の映画を見た。陸軍の場面、ロシア兵は機関銃、日本兵は単発。バタバタ倒れた。海軍の場面、艦が沈むとき「藤野、藤野」と叫んでいる艦長がいた。「藤野はいずこ」というんだよと、母から聞いた。ホモか?しかし敗戦後20年足らずでなんでまた、日露戦争なんだろう?トテチテタ(等) ■一直線ですね、これはまた(規夫)■トテチテタの喇叭の音に、遠い日の少年時のロマンが甦ります(白玉)■戦前の人いたのね(杜)

春の雨うろこ無きものばかり食い         等
◎規夫
■タコ、イカ、トリガイ(は旬じゃないか)……。まあなんと私の好みのネタばかり。それはそうとして、なぜか食べている人の挙措まで伝わる句だと思います(規夫)■お体大切に(杜)■刺し身?いいな(厚子)

花の幹消え入る胃液君の名は          吾郎
◎十四郎
■変な語句が出ると、後ろから読む癖がついてしまった。「胃液」がクサイと直感、アタリ、トラナイ(等)■「消え入る」と「君の名は」が呼応。良い出来でしょう、これは(規夫)■杜でーす。最近胃が悪いみたいで(杜)■花にゲロ吐く回文師(十四郎)

一人眠る海の底の箱              十四郎
◎烏鷺坊 
■「ネモ船長ぅ〜のぉ〜」と歌うあがた森魚(規夫) ■オオ、メルヘンじゃん(等)■ここにも一人淋しい人がいた。これはもう重症カウンセリングを勧める(杜)■とかくナルシス系はとりにくいが、これは完成度(感性度?)がある(烏鷺坊)

小雀の切られた舌は赤い靴           白玉
■童謡2体の合体かよ(等) ■なるほど赤い靴の材料になりそうですね。おもしろい(規夫)■ウーン、舌は赤いんだから、もう少しイメージ拡げたほうがいいと思うケド(杜)

龍神の池に鳴きおりデジタル亀          等
■頭と尻尾がうるさいわりに中程は薄い。遊び損ねた(規夫)■「デジタル亀」って己のことかいな(杜)■腹立つ風情だ!(厚子)

名前聞きつぶらな花かとアマリリス       厚子
■なんで「花かと」と、「と」を入れちゃうんだろう(等)■「アマリリス」では落ちないのでは? 「シオニスト」とか「サニタリー」とか……落とすのはむずかしいですけどね(規夫)■エリカおばあちゃんにきいたの…?(杜)

書架のたなチーズナイフとパンの黴       三太
◎厚子
■サルマタケでしたっけ、あの漫画。これやっぱり報告句だよ(等)■男おいどんby松本零士(当番)■こんなシーン、小説の中以外に存在するの? というか小説でも通用するの?(規夫)■一瞬インテリジェンスを感じさせたものの、パンの黴でどっと生活臭が押し寄せズッコケました(白玉)■(なんかカッコ良すぎ)書架のたなって気になる。変だから…。(やっぱカッコ悪い)(杜)■ふつうな感じだけど、色々想像できて楽しい。書架はかけ言葉?(厚子)

桜散り寝た子起こして緑くる          杜
◎厚子
■報告句(等)■時間が間延びすると、なにかが伝わりにくい型式ですね、俳句というのは(規夫)■「を」はなかったんだケド…許す(杜)■すみません「寝た子を」ではありませんでした(当番)

春のかぜ王様の耳はロバの耳          白玉
◎三太◎烏鷺坊
■かぜは風?、風邪?それにしても後の成句は何なんだよ(等)■ありものとありものがくっついてありものでなくなることはおおいにあるわけですが(規夫)■すぐに石原都政を連想してしまった。権力者の無能とはまったく関係なく、爽やかな春風が心地よく流れていく(三太)■今日は忙しかったので「てんやもの」ですませました(杜)■風か風邪か。後者でとっても面白い(烏鷺坊)

惑星の日付を跨ぎ朧なり            規夫
◎三太 
■この場合惑星と言われてもなあ、どこの惑星なんじゃ、おんどりゃ。地球なら気取っただけじゃねえか、「猿の惑星」から惑星を取っちゃって、「山猿の日付を跨ぎ朧なり」これ貰っていい?(等)■日付変更線を越えて、時差ボケで朦朧としている様子がリアルに伝わってくる。それが貼るの眠くてけだるい気分と重なりあっている(三太)■宇宙の物語はここから始まる(杜)

部屋の窓柳芽のレース揺れたらな        厚子
◎十四郎◎吾郎
■だらだらだらだら(等) ■575に近いだけにつらい。合計20文字超えるくらい勢いがあればよかった(規夫)■いいね。揺れたらいいよね。そうだカマトトって言うの知ってる…(杜)■もしもし、あんたなぁ(当番)■安アパートの窓はサッシでないのですき間風が入る(十四郎)

ロールシャッハのにが虫老婆遅日なり      等
◎規夫◎十四郎
■「にが虫老婆」はひと続き。ちょいつらく説明的な感じも残りますが、あの黒いインクの形が一瞬目に見えた(規夫)■にが虫がくどい。老婆とロールシャッハだけでもくどいのに。ロールキャベツでいいじゃん(杜)■なんかハイソなカンジーーーッ(厚子)■なるほど老婆であるような(十四郎)

一生運動靴四十五歳              十四郎
◎等◎厚子◎烏鷺坊◎吾郎
■おもしろい。ある作家が色紙を求められた。そこに書いた文句「人生はだんだん駄目になる」(等)■「運動靴」というのはたしかにおもしろい言い方。背中に付けた幟にこれ書いたら素敵だが、その「背負う」部分がこの一行で伝わるかどうか(規夫)■そうかい(杜)■45歳にして一生という事はこの先死ぬまでだなっ。その意気込みにマル(厚子)■無理に「一生運動」で切って読んでいるうちに、どんどんおかしくなってきた(烏鷺坊)

中年や枕の下で春の地震            規夫
■「で」が弛めちゃったかな、面白そうなんだけどなあ(等)■中年中年って、中年が何だ!! もっと働け(杜)■YOU TOO(当番)

不具の脳掻き毟らんと蠅太る          杜
■「不具」は固い、この語は「一太郎」にないんだな。あぶない語なのか?「河豚の脳」も面白いなあ(等)■「不具の脳」と口にするとき言葉として書くとき、それなりの覚悟がいるぞ。その覚悟はできてるのかな。できてる句の成り立ちには読めん。これは社会的な意味ではまったくなく、思想的な意味の覚悟ですが(規夫)■とても気になったのですが、どうしても読めない字があるため、あえて選から外しました。悪しからず(白玉)■「蠅太くる(はえたくる)」だったんだけど、許す。紛らわしい俳句を作った私が悪い(杜)■これもすみません。でも元原稿は「蠅太いる」になってるぜ(当番)

ペンペン草その音は永遠にペンペンペン     厚子
■ボクもそう思う(等) ■「ペンペンペン」じゃあ落ちないでしょう?(規夫)■そうか(杜)

桜掃きしがない流し気は楽さ          吾郎
◎等◎杜
■回文でも三段切れはいやなんだけれどね、皆勤賞(等)■なんだかおもいしろい回文だけど、回文俳句ではないような。ほかのが俳句なのがすごいんだけどね、もちろん(規夫)■よかった。よかった(杜)■「楽さ」ってわからない。だって「しがない」のにんーーーー(厚子)

会話また途切れ酸っぱい春上着         烏鷺坊
■「春上着」が無理やり付けたようだし、「酸っぱい」がイメージできないよ(等)■酸っぱい上着はとても嫌だなあ。都こんぶの匂いする上着の次に嫌だ(規夫)■「上着脱げよ」「その方がきれいだ」「会話なんていらないさ」「酸っぱい春があるんだもの」脱いだら一点あげようセクハラ上司(杜)■とってもいい感じなんで好きですが酸っぱいと上着がなんかなんかなんか…ロマンチックじゃない(厚子)
〔以上20句〕

〔総評・近況集〕
▼三太、白玉ともに佐山さん(烏鷺坊)に勧められて、今回初めて作句したというズブの素人ですが、今後ともなにとぞ宜しくお願い申し上げます(三太、白玉)
▼TBSラジオの森本毅郎の番組で、火曜日の午前8時はおもしろいよ、詩人の荒川洋治がゲストなんだけど、息がピッタリ。笑わない日はない。木、金は面白くない。金は小沢遼子で最悪、声がデカイだけ、ヤメロ。文化放送の8時半の番組は榎戸一郎が降板。残念。音楽や話題はボクと同世代のもの。11時から?は陳平、こいつの話術は認めるけど長時間聞くとしつこい。話題が古い。今は大沢ゆうりを聞いているが、大阪弁の姉ちゃんはうるさい、ヤメロ。バトミントンの女の子はカマトトか?地ならこれまたコワイ。五月みどりと太ったオペラ歌手?ミュージカル歌手?の姉ちゃんはまあイイ。まむしは相変わらず面白い。しかし変なバアサン一杯いるなあ、日本全国巣鴨とげぬき地蔵状態(等)
▼親不知が原因で口があかなくて流動食。夜、高熱と悪寒。でも、高熱というのはなぜあんなに気持ちがいいのだろう。汗だくで、夢をいっぱい見た(規夫)
▼またまた久しぶりのオクンチでございます。皆さまお変わりなく。私もちっとも変わっておりません。中略。「お父さんとママが並んだらおひなさまみたい!!」うちの娘「うーん、桃の絶句」とぬかした。やっぱ親子は似る(杜)
▼右記コメント長すぎるんで中略。打つほうの身にもなってみろい。量じゃなく内容(当番)
▼皆さんの漢字が読めないんです。辞書で調べてものってないんです。私って相当馬鹿?ってオクンチに参加して再確認してます。だから、つい、わかりやすい難しい漢字のない句に一票!となってしまうのです。素直ないい句だ…うんうん、と(厚子)
▼ある意味正しい選句かと(当番)
▼土曜深夜零時から午前三時の三時間生放送は、かなり日曜日が潰れ気味でいやはやなんとも。FM-FUJI 78.6MHzです。もし徹夜で中央高速を土曜の深夜河口湖へ向かって飛ばそうなんて奇特な方がいらっしゃれば、ぜひお試しあれ(吾郎)

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九の付く日のFAX句会 オクンチ 第58回 2000年4月29日  土曜日

〔今回の一句〕
荷風忌のバナナ二回でむけにけり   規夫
◎烏鷺坊◎珠子◎等◎菊野
■俳句という形式以外では、この内容で文学作品でござる、とすることはおそらく不可能。従って採ります。荷風忌もしっくり。拍手(烏鷺坊)■「荷風忌」でなかったら、もっとドラマツルギー(古いか、この言葉)が生まれただろうにと惜しみつつ(等)■皮を剥かないで中をきれいに切れる(分ける)方法知っていますか。剥いたときにぽろんと折れるのだ。子供たちが小さいときによくやった手品。針と糸をこっそり使っているのですが(珠子)■なんかヤラしい(勝之)

〔以下順不同〕
藤棚に運動靴を置きにくる   菊野
■なんか面白いが「置きにくる」の動機が不明。動機がわからないと犯意が立証できない。お定まりの「痴情か怨恨か」にされては作者もたまらないだろう(烏鷺坊)■学校の景だろ、誰が置きに来たんだよ。きちんと明示または暗示して欲しいね。しかしこの句は報告に過ぎないよ(等)

春芽より象虫ポトと掌の死地へ   勝之
■なにも死地とまでいわなくても(烏鷺坊)■「掌の死地」とは気取っている。具体性に欠ける。だからポトが効いてこない(等)

のどけしやむっつり店主の前に列   珠子
◎泰司
■前半のひらがながイイですね(泰司)■よく分かる、いい光景。難をいえばのどけしがむっつりと重複するかな、ぐらい。なにかもっといい季題がありそう(烏鷺坊)■むっつり店主がどうしたのか? 列がどうしたのか? 漫画の目次じゃあるまいに、こちらは語る幅が極端に少ない、明確なブツが欲しいのよ(等)

井村屋のあんまんで春終わるのか   吾郎
◎珠子◎規夫◎勝之
■かもしれないけど、終わるかなあ(烏鷺坊)■あんこほどおいしいものはない。井村屋のあんまんが粒餡だったらなあと思いながら私の春は終わるのです(珠子)■「冬」でないトコがイイんですよね?(泰司)■そんなんで終わっちゃうわけ?…というわけでいただきます(規夫)■ああシミジミとワビしい。オレのばやい歌舞伎揚げぐらいか(勝之)■「春終わるのか」なんて、なぜもったいぶっているのだろう?「陰毛も春もヤマキの花かつお 稔典」(等)

春昼や天使の性器なるパスタ   烏鷺坊
◎規夫
■コレ本当にそういう語源があるのですか? ボクのも天使なみ…(泣)(泰司)■確かに、貝の形のパスタあるわな。関西では「おめこ」、これ古語の御妻子からきてんだろ、古文の時間に先生が読んでいたもの。「おんめこ」と。関東では「おまんこ」、これは真ん中を現す海人の言葉「まんか」から来ていると思うんだな。船に真ん中は大事さ、船霊様を祀る。船、海は女性だからね、象徴に女性の陰毛を置くのも分る。ある米屋の引き戸に「お」「こ」「め」と書いていた。ばあさんが位置を間違った。どうなったかは誰でもわかる。この句は直喩に「天使」を付けただけ。クソマジメ(等)■天使はアンドロギュヌス(両性具有)。だから、その性器の形状たるパスタは、一筋縄ではいかず、なにか合わせ鏡、あるいは二面神のような感触をもち…とここまで言葉遊びしてしまったら、いただくしかない(規夫)■つまり天使のおちんちん(烏鷺坊)

花散って子の鼻汁を吸うており   泰司
■バッド・チューニング(烏鷺坊)■俳句は書かれているように読む。作者が「子の鼻汁を吸う」でいいのでしょうね。そうでないなら誤解されない書き方が必要、とにかくダラダラ俳句(等)

乳母車はエネルギーである朧夜   等
■乳母車の向きによると思う(烏鷺坊)■なんか西暦二〇〇〇年代っぽいポップさが気になるのですが、季語がポップじゃないのかな。「昭和天皇誕生日」とかどうでしょう? 長いけど(規夫)

緑陰や犬と一緒に舌を出す   菊野
◎規夫
■こういう無意味の行為、過去とも未来ともブチキレテいるような行為は好きです(規夫)■五句選なら採ります。ズドンとしていて面白い味(烏鷺坊)■「舌を出す」は普通の景。「顎を出す」ではへばったということ。これくらいじゃ「緑陰」と化学反応をおこさないよ(等)

家の音に耐えきれず逃走先は突堤   勝之
◎菊野
■ウー、あまりにも絶望的じゃ(泰司)■耐えきれず?ですよね。逃走先は意外でしたが二度目は何処へ?(烏鷺坊)▼そうです。すみません。でも原稿が「絶え」だったもので、ついうっかり(当番)■「家の音」なんて、とうちゃんのオナラからはじまっていっぱいあるからな、抽象化ではなく、「間を詰めて」よもっと(等)■なんか容疑者が自白しているように読めるのは私だけか。前半が動機、後半が犯行後の足取り(規夫)

隣りからもぐら土竜来る来る桜餅   等
■憧れるお住まい(烏鷺坊)

春眠や「海見たければ展」の椅子   烏鷺坊
◎等◎勝之
■説明にオチすぎ(泰司)■これは上手いなあ。人によっては「春眠」と付きすぎるというかもしれませんが(等)■「海見たければ展」というのがいいですね。いったい何を展示しているのやら、で、寝てしまうと(勝之)■そんな展は無い(烏鷺坊)

もう他人無表情のライオン丸   泰司
■するといままでは表情豊かなナニだったのか(烏鷺坊)■「ライオン丸」以外全くわかりません(等)■「もう他人」というのをもし理解するとすれば、「ああ、もう他人同士の関係なのね、アタシたち。ああ、だから、あのライオン丸みたいに無表情なんでしょ、ね、そうでしょ」ということになっちまいますよ(規夫)

霞かな儚き仲は中身スカ   吾郎
■ギャー、ツラソー(規夫)■あまりにも意味が通りすぎてしまっては、回文としていかがなものか(烏鷺坊)■面白いのですが、今回は俳句のほうを取ります(等)

ネオン管ぢぢと鳴りたる朧かな   規夫
◎珠子
■鳴りたる?で、四句選なら文句なし。ぢぢ、はすばらしくいいが朧に少し疑問(烏鷺坊)▼そのとおりです。「鳴りたる」の誤植。自分の句を入力ミスしているのだから世話はない。ついでに「朧かな」は作者も疑問と申しております(当番)■朧とはそのようなものだと思います(等)■昔、そんなのがあったね。そういえば、今年は朧を感じる心をなくしていたなあとさびしくなった(珠子)

蝌蚪生まれずらり男の化粧瓶   珠子
◎烏鷺坊◎吾郎◎等
■俳句ですな。おたまじゃくしがよく似合う(烏鷺坊)■妙にエメラルドグリーンのが多かったりして(吾郎)■「ずらり」が不満だけど、ボクもこうするかなと思いつつ(等)
春昼の闇に直立する鴉   菊野
■「闇と直立」に関する哲学には先達が多いよーな気がする(烏鷺坊)■「闇」と「直立」じゃなあ、あまり頑張ちゃうと読者がピリピリ反発するんだな(等)

春の海のたりオムレツ返そうぞ   等
◎吾郎
■「のたり」のかかり具合が絶妙(吾郎)■これといった傷のない句。共感もできるんだけど(烏鷺坊)■新聞の俳句欄に「春の猫ひねもす寝たり寝たりかな」。私版は「孕猫ひねもす…」(珠子)

おろかなる母の風格孕猫   珠子
◎泰司
■「おろかなる」に愛を感じます(泰司)■いい句だと思う。「おろかなる」がちょっと辛いのか(烏鷺坊)■これ全く理に落ちている、全部説明。「母の風格」なんてなにも言っていない(等)■もうすぐ猫の子が産まれます。炎天下,交通事故で動けなくなっている子猫を保護。入院手術。避妊手術をしようと思うと怪我,病気,予防接種…、たいしたことがないのに延ばされて、病院の作戦にまんまとひっかかった形で孕猫に。母猫は真っ白の美猫。父猫は知らない。多分トラかウシかチン。里親募集中です(珠子)
花の夜の息爛漫といふ無色   烏鷺坊
■「爛漫」は酒のイメージが強く…酒臭い息?(泰司)■すごく優等生、言い古されていることを漢文風に調理したようです(等)■作り過ぎ(烏鷺坊)

フィメールのビチクがロイク正露丸   泰司
■正露丸以外分りません。電車の吊り広告でみたような記憶があります、これらの「カナ言葉」。当番さん教えて下さい(等)■ナニナニ、「女性の、乳首が、黒い、正露丸」。…ま、これもアリですね。「パイオツののたりビーチク正露丸」(規夫)■まあ、お下品でございますこと。でもよく読んでみると無季ながらオモロイ句。ビーチクはもしかして春の季語かなあ。もしかするとモノホンのジンハイ登場か。あるいはガイキチ系ただのナオン好き(烏鷺坊)■ビチクにロイクか、まだこんなこと言ってる業界人いますか?ケリ入れてやるう!(勝之)

見上げれば闇を透かして今朝の春   吾郎
■構えは一流。でもヤットウばかりは打ち合ってみなけりゃわかんない(烏鷺坊)■「見上げれば」から始まるテキストでおもしろいものをつくるのは至難の業と思う。「振り向けば」と同じくらいに(規夫)■「闇」は好きだな、俳句は、やっぱりな(等)

じゃんけんがあいこばかりの百闃   規夫
◎泰司◎烏鷺坊◎吾郎◎勝之◎菊野
■百闕Dきなので…でもマッチしてる(泰司)■こういう句が好きです(烏鷺坊)■もーいいかい、まーダダよ(吾郎)■なんかいいですね、百閧ニじゃんけん(勝之)■つぼにはまっているという心地悪さ(等)

〔以上23句〕


〔総評・近況集〕
▼今日、新潟までカタクリの群生をみにいきましたが。まだまだ雪が多くて,いつもの場所までたどりつけませんでした。でも、ひょんなところに、イワカガミの群生。ふきのとうを山ほどとってきました。てんぷら,ふき味噌、いろいろ挑戦するのだ。(珠子)
▼オクンチ投句を考えるため風呂に入っていたら、突然ギックリ腰。楽しみにしていた五月三、四、五日のテニスの小諸合宿はどーなる。トホホ。(烏鷺坊)
〔当番〕ぎえー、テニスだ〜あ〜。ご乱心。
▼最近歩くのが重いと感じていたら、2キロ太っていた。MOは何故安くならないのだろう。まだ3万円台。SOTECのパソコンはモニターまでついて8万切っているんだぜ(コジマ価格)、あと半年待つか(等)
▼黄金週間中の2泊3日の韓国出張が決まった。成田からソウルに行って、戻りはソウルから仙台だとさ。それしか便がないんだと。なんか理不尽。(吾郎)
▼いいお天気で、「ああ、もう仕事もなにも全部やめた!」病が頻発。(規夫)

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九の付く日のFAX句会 オクンチ 第60回 2000年5月19日  金曜日
〔今回の一句〕
雨音の底へ底へと鯨喰う              栞
◎勝之◎烏鷺坊◎規夫◎吾郎
■ハリハリ鍋食いたくなった(勝之)■こういう句に騙されたい、と思う。つくづく思う(烏鷺坊)■鯨をまるごと喰うようなおもしろいイメージと感触を与えてくれる句(規夫)■「喰う」が安易でしょう。「底へ底へ」の重ねは効いていないと思うよ(等)■海の底での情景(吾郎)

〔以下順不同〕
誕生日葉巻吸いさしに手を延ばす          勝之
■ワカラナイ、何が書かれているか(等)■そうかあ国分寺も四五歳か(規夫)

天の川盆まで待てず船を漕ぐ            白玉
■「エンヤコラ今夜も船をこぐ」を思い出しちゃった。ゴメン(等)

紫陽花や唇四十五度の雨             烏鷺坊
■鏡の前でどこまで曲がるかやってみたが、なかなか四十五度までは曲がらん。誰なら曲がるだろうと考えていたらおかしくなってきた(規夫)▼やっぱ烏鷺坊さんだった(当番規夫) ■「唇は45度の雨」か「唇へ45度の雨」かわからない(等)

今スピーカーから兄らの死の記憶          勝之
◎吾郎
■国分寺薔薇屋敷のJBL(規夫) ■具体的な情景が見えないのはボクが鈍いせいか(等)■流れて来る音楽でかなり違う風景だよなあ(吾郎)

ひなげしという兄に逢う愛しげな日         吾郎
◎白玉◎烏鷺坊
■若者は青年を兄と慕っていた。袴のすそに覗く若者の足首は、白くしなやかであったろう(白玉)■いい感じ(栞)■うまいなあ。回文じゃなきゃ、ひなげしと兄なんて普通つながんないよね(勝之)■なぜ回文を選んでしまうのか自問自答した。答は簡単だった。推敲彫琢の跡歴然だからだ(烏鷺坊)■トロトロに溶けちゃって、そんなんでいいの?(等)

小説のようねまっかなさくらんぼ          規夫
■そうなんですか、今朝も二つ三つつまみましたが・・・(勝之)■今日は砂糖のような句が多いなあ、サッカリンのほうがいいよ又は古典的に「蜜」とでもやりましょうか(等)

ソクラテス忌女物から干しにけり         烏鷺坊
◎三太◎等
■ソクラテスが恐妻家だったというのを、以前、本で読んだことがあるような気がしますが、そもそもソクラテスの哲学そのものがプラトンの残したものしか存在しないわけで、史実はどうでもいいのですが、現存するソクラテスの肖像画などからイメージされる彼は、やはり女に弱そうにみえます。古代ギリシア人は、おそらく現代人より助兵衛だったのでしょうし。そんなわけでソクラテスの墓に手向けるには格好の句です。ところでソクラテス忌って、いつですか?(三太)■好きですが、当たり前すぎるか(栞)■そうなんですか、今朝も二、三枚干しましたが・・・(勝之)■ソクラテス⇒悪妻クサンチッペ⇒中下の句、とやや一直線で近すぎる連想でしたね(規夫)■ ちょっとパサパサ。干からびているかな。世相か、でも干しているのは男?誰だよ、でも採る(等)

小枝チョコ箱ごと喰らう老翁            吾郎
■そんなじじいはいくらなんでもいないと思う(勝之) ■これはね景のおもしろさであって言葉の面白さではない(等)

抒情派の男三人じゃがいもに芽が          等
◎三太◎白玉◎栞
■フランス=イタリア合作映画の趣きといったらいいのだろうか、ジャン・ギャバンとマルチェロ・マストロヤンニとジャン・ポール・ベルモンドが、レンガのブロックを積んだ壁ときしむ木板の床の小部屋で立ち尽くしていて、部屋の隅のキッチンユニットの下に芽が出たじゃがいもが転がっているという哀愁漂う情景(三太)■自称、無頼派の男三人が、無頼どころではないと途方に暮れるさまが、コミカルに映りました(白玉)■「が」はいらないのでは(栞)■これって「麦」っぽい(規夫)

五月雨に濡れし黒髪想う我れ            三太
■大正ロマンか、なんかハズイ・・・(勝之)■めちゃくちゃ古い、与謝野晶子でもういいじゃないかあ(等)

久しぶりの君太りしにチラと手をみる        三太
◎白玉
■何年ぶりかの再会に、女はわたしはまだまだ大丈夫、とチラッと自信をのぞかせている。しかし男の眼は意地悪く、女の手の指に注がれていた。男は実はしたたかだったのだ(白玉)■指も太るんですよねえ、おそろしいことに(規夫)■バブルで儲けた、太った啄木が作ったようでっせ(等)

犀の眼の奥にある道初夏の雨            規夫
◎烏鷺坊◎等◎吾郎
■もっと騙されたい、もっともっと(烏鷺坊)■キレイに思えちゃって、でも犀はそういう眼をしているなあ、採る(等)■今日一の別嬪さん句(吾郎)

五百円玉しゃりしゃり股下に蚯蚓          等
◎勝之◎規夫
■"しゃりしゃり"でいいのかぁ、と思いつつとる(勝之)■この対比をどうとるか。五百円玉にはもう少し重量感がありそうだし。ところで蚯蚓って・・・(栞)■選句3句目に困り果て、なんだかリズムが変なこの句をいただきます(規夫)

ソーダ水夜汽車の気配ある街で          烏鷺坊
◎規夫
■感じ出ています。気持ちがいい(規夫)■「気配ある」でネタ全て出しちゃった、そういう感じ(等)

野山萌え黒いコーラをぶちまける          吾郎
◎栞
■恐怖の大王が下りてくる。怖い(栞) ■「黒い」がわざとらしいんだな(等)

もんどり打つ神国山姥のヒップライン        等
■"山姥のヒップライン"というのも見てみたいが前半がピンとこない(勝之)■山姥にまで向く国分寺リビドー(規夫)▼ハズレかあ(当番・規夫)

世界は毎日おなじトム・ジョーンズの裸の首     規夫
◎勝之◎等
■なんかスッゲェ言い切りだなぁ。そんな気もする(勝之)■「裸の」はちょっと不満、だが面白いんだなあ(等)

嘘つきは血脈猫がするりと帰ってくる        勝之
◎栞
■何でも血の所為にしてはいけない(栞)■「血脈」なんてカッコ付けるなよ。ナルシシスムであることを作者はわからないの?もっと言いたいけど遠慮しておく(等)

五月雨にこころのうちを見透かされ         白玉
■そりゃあ思い過ごしってもんです。それと、見透かされたがりすぎ(規夫)■超めるへん、コケコッコー(等)

おしゃべりな裸無口な裸足来る           栞
◎三太
■日本映画とハリウッド映画における、男・女の位置関係の相違について、考えさせられました。日本なら、おしゃべりな裸=女で、無口な裸足=男と決まりきっているのですが、ハリウッドの、とりわけ最近のたとえばポール・バーホーベン監督の作品など『氷の微笑』にしても『ショーガール』にしても、おしゃべりな裸=男、無口な裸足=女と、日本とまったく逆なのです。そしてどちらかというと、私は後者のほうが好きです。(三太)■裸は無口で、裸足はおしゃべりと思うのですが、これは個人的体験の違いなのか。まあ、どっちでもかまいませんが、対照って難しい(規夫)■わからない、お上品?(等)

〔以上21句〕

〔総評・近況集〕
▼なんか調子悪い。一日じゅう心臓バコバコいってるし、下痢は続いてるし、足とか手はつるし。で、今日はタイ風"レッドカレー"作った。なんとかこれで下痢は止まりそう。残り4センチだけ残った葉巻に火を付けて、今夜は早く寝よ。外は雨だし。寒いし。(勝之)
▼仕事や生活のやり方にちょっと飽きてきた。これまでだいたい5年ごとに大きく変わることが起きたので、そろそろと考えているが、どう変えたらいいのかわからない。悩める中年。(規夫)
▼A4のコピー紙が500枚で215円、たばこ「ケントマイルド」が20本で250円、おかしいよ、これ。といっても一日40本、馬鹿ミタイ(等)
▼今回の結果発送の遅れは、私と朝八時までやってる新宿の呑者家(のみや)のせいです。ごめんなさい(吾郎当番)
〔当番より〕

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九の付く日のFAX句会 オクンチ 第61回 2000年5月29日  月曜日
〔今回の一句〕
走り根に躓く今年も暑そうだ   珠子
◎亞子◎等◎吾郎◎三太◎十四郎
■先程四谷駅近くのビルの温度表示に、32度と出ました。(亞子)■今回かなり凝り性の句が多い中で、実に素直。やはり手練の技か。等さんに一票(吾郎)▼ハズレ。私なら「麦」系とワイドを買う(当番)■「走り根」って俳句をやって憶えたけど、使ったことがない(等)■早稲田の大隈庭園の奥まったところに、宗之荘と名付けられた小庵がある。ちょうどそこを散歩していたとき、敷石に脚をとられて足首を捻挫してしまった。「糞ッ!」その日、東京地方の日中最高気温は三〇度。五月末、すでに暑い夏は到来している(三太)■ただ喋っただけのことだけど、微妙になんかある。ただ、その微妙さは共同体内的甘えになっていないか(裕)

〔以下順不同〕
ああ見えてどっこい男は背中氷水   烏鷺坊
◎珠子
■なんかモタモタしている(勝之)■口語的なばらけかたであって……とにかく読むのが面倒臭いよ(裕)■がまんくらべととります。いいでしょうか?(等)■この軽み素敵です。宗匠ですよね(吾郎)▼当たり〜(当番)

インド更紗の乱調にありマッチョ   等
◎規夫
■「に」で切って「ありマッチョ」と読む(規夫)■マッチョの語感、意味は深い。日本のマッチョというのはただのマザコン。母性のまえでの幼児的な拗ねにすぎぬ。作者はマッチョの意味を知らず使っている(裕)■むきだしの二の肌のてかりが浮かび上がります。裕さんと見た(吾郎)▼ハズレ〜。「マッチョ」⇒マチズモ、と読みがちょい一直線すぎた(当番)

おおがらす枇杷の半生啄ばめり   吾郎
◎三太
■啄むから普通になっちゃった。それに「枇杷の半生」なんてオーバーね、あなたも(等)■説明する時間が長すぎる。瞬時にこれを与えてくれれば、電撃的快感となる(裕)■今回私枇杷ものです(吾郎)▼枇杷は種から木が育ち、結実するまでに約十五年かかるという。長生きの犬の寿命と同じくらいの歳月だ。その半分をたった一口で喰われてしまう一生とは何なのか。話は変わるが、子どもの頃、近所のおばさんにしばしばタダでもらっていた枇杷や無花果がいつの間にか高級果物になってしまった(三太)

お持たせのわたし開かれ梅雨鯰   烏鷺坊
◎吾郎
■「わたし」はいったい何なんでしょうか。何でもいいんですよね別に、宗匠。多分(吾郎)▼当たり〜。こういうのは「多分」じゃなくて「決め打ち」でいいんですよ(当番)■なんかヤラシくないですか?(勝之)■スケベーだから、俺。でもそうなんでしょ。鯰ねえ、大きいけどふにゃふにゃ(等)■「お持たせ」がわからなかった。「わたし開かれ梅雨鯰」がすごく面白かっただけに惜しいなあ(裕)

サンラー忌昇天と降臨は同義   十四郎
■ドシャメシャブヒーブヒ〜ッ、サンラ忌は5月でしたか(勝之)■サンラーとは懐かしいぜ。ビッチェズ・ブリューの後でしたっけ、同義なんて言ったらサンラ−泣くぜ、芸がない、あいつらの儀式ぶった演奏見てみろよ(等)■アルバムが世界一多いのではないかと思うサンラ(Sun Ra)の「Sleeping Beauty」というアルバム(CD)を探しているが、見つからない。誰か持ってたら貸して。あ、吾郎さん、借りっぱなしのヘンテコなコンピCD。録音したら送ります。長いことすみません。愛聴盤にしちゃってました。あ、それとこの句、潔いですよね。「同義」って、俳句ではいやに新鮮(規夫)■解説は辞典、辞書にまかせよ(裕)■そうか、この時期だったか。よみうりランドeastで観たのはいつの日のことだったのか。で、やっぱ十四郎作でしょ(吾郎)▼当! 好調ですね(当番)■93年(だったはず)5月30日サン・ラー昇天(十四郎)

チョコレット五月に死ぬをよしとする   十四郎
◎勝之◎由季
■なんか甘い句だけど気になる、とる(勝之)■今朝、ブルコメの井上忠夫さん自殺のニュース。でも、なぜチョコレートじゃなくチョコレットなの?(由季)■なんで五月がいいんだよう、「よしとする」なんて言っちゃてよう、なんなんだお前は。結局はコケオドシカ?アッ、すいません言い過ぎました、トンネルに連れられてガソリン掛けられたくありません(等)■この主観を言葉の爆弾としてぶつけるべきだが、まだまだ爆弾になっておらず不発(裕)■すみません、まだ確信を持った御二人の区別ができません。井口家では三玉系とよばれてます(吾郎)▼ハズレ〜(当番)■近藤唖々砂女史の実父にして「南風」主宰の増田河郎子師(もちろんご健在)の句に「河郎子某年五月某日没」てのがありました。闘病の若き日の寺山の歌集は「われに五月を」。偉大な映画監督は五月に死ぬものです(十四郎)

バスストップいずこからの君を待つ   白玉
■「君」って言われてもなあ。待っていられてもなあ(規夫)■古い古いまたまた古いお話。ワタナベのジュースの素が口のまわりについてるぜ、みっともない、それともカバヤか?この会社今すごいんだぜ、林原なんとか研究所だろ?(等)■ふわふわとぼやけている。つきすぎのようでいてちょっと不思議だが、質量が……、いいのかなあ?(裕)■同じく三玉系。平浩二かグレアム・ナッシュか、はたまたグールドマンか(吾郎)▼当たり。でも、次回あたりからは複勝じゃなくて単勝にしてね(当番)

夏めくやこのビンのフタ開かぬまま   唖々砂
◎珠子◎十四郎
■「開かぬまま」がロマンチシズムなの?(等)■「この」って、あなた、抒情にのけぞりすぎ(規夫)■「この」と言ってしまって、つまらない主情が出てしまった(裕)■「この」が気になったのですが…。「空」ではいかが?(十四郎)■アーサがこのテ得意だったように思えて。「この」がいいですよね(吾郎)▼当たり〜。ホント好調だな。この界隈の作風、読み切りか(当番)

さみしいと財津一郎ばりで初夏   規夫
◎吾郎◎唖々砂
■彼はどちらかというと暑苦しい。しかし「てなもんや三度笠」では、白木みのるとお馬さんを喰っていたな(等)■ジメジメしていなくてよい(唖々砂)■「サミシー」ではなく「さみしい」としなければならなかったところがこの句の敗北(裕)■新境地芸能俳句≠ノ目覚めた国立方面か(勝之)■「ばりでしょか」と読んでネ(規夫)■さみしーーっ!!てことなんですよね。「ばり」がちょっと引っ掛かったけど。おいしくいただきます規夫さん(吾郎)▼これも当たり(当番)

花林糖あまき骨喰う五月尽   十四郎
■かりんとうが甘い骨だということを、まったくべつの言葉で読み手がバネのはじけるように思いつかせてくれれば凄いのだが(裕)■「あまき骨」ってなんだ?それに「林檎」じゃないの?(等)▼「かりんとう」と読みます(当番)■骨といえば杜というのも短絡的か(吾郎)▼うん、おっしゃるとおりの短絡。「骨」は国分寺もあるぞ。「甘き」は国分寺っぽい(当番)

栗の花銀の電車が湿り来る   等
◎亞子
■硬質なものが湿っている景がなぜ、栗の花にシンクロするかを考えて選んだつもりです(亞子)■なんかセイエキ臭〜い。(京都嵐山の栗林の近くにて。カメラマンの鬼海氏談)(勝之)▼なるほど、銀の電車はphallic symbolというわけですか。勉強になりまっす(当番)■裕さん。いや、たいした理由はないんですよ。日比谷線がちょっと思い出されて。にしても湿度のある青臭い句ですね(吾郎)▼自信ないだけあってハズレ(当番)■「銀の電車」というより「ステンレスカー」あるいは「アルミの電車」とありていもなくぶつけておき、さてどうすると考えるところから始まるのではないか(裕)

兄の床見舞いて戻る非人街   勝之
■「非人街」? なんだよ突然。なんか小説でも読んでいて、急に作ったのか?(等)■「非人街」がなんだかなあ。被差別部落なのか現代の都市の非情なのか、ちと不明瞭(裕)■非人街がイマイチつかめなかった。で確信のないまま三玉系に着地(吾郎)▼確信ないだけある(当番)

左右に名作主義の皐のちょんぎれ   等
◎烏鷺坊
■「ちょんぎれ」と俗に逃げる狡さ。こういうダマシ技は傲慢だ(裕)■かなり理解度を要求される句。このあたりで等さん登場か。にしても読めない(吾郎)▼当たり。でも、これは当たりやすい(当番)

残像の富士赤々と蛇の皮   亞子
■名作主義(等)■たしかに俳句いかにも俳句。赤々がいかにも安易というところが悪い意味での俳句(裕)■実景と幻想入り交じるシュール系。菊野さん的な期がして(吾郎)▼ハズレ。この句の作者当ては難易度高いから、しかたない(当番)

私は百恵着ぐるみで夏タコス   由季
■「夏タコス」が苦しい。でも「私は百恵」という言い方はすごく面白かった(裕)■着ぐるみといえばやはり国立方面か。でも白木みのるじゃなかったかなぁ(勝之)▼当たり〜(当番)■山口百恵がこの作者の着ぐるみを着ているのか、作者が百恵ちゃんの着ぐるみを着ているのか? ジャック・ラカン的迷路。にしても、暑そう(規夫)■一瞬回文かと思った。稲垣足穂が女性に引き取られるとき、たぶん悲田院だと思うが、駅の食堂に入った。彼女は酢蛸をたのんだらしい。足穂はそれを通俗的だと書いていた。「夏・蛸・酢」ですいません(等)■問題句。もしくは問題外句(笑)。時として発作的に「作りたい衝動」にかられるのでしょうか規夫さんは(吾郎)▼ハズレ。これは当てようがない。引退宣言した作者が突然現れたのですから(当番)

紫陽花や心変わりな白雪姫   白玉
■紫陽花は百変化と言うんだろ、「心変わり」は当たり前じゃないか(等)■「や」が「は」と読めてしまうところがこの句のすべて(裕)▼解説いたしますと、紫陽花は別名「七変化」(当番)■めるへんですか。アジサイも色変えるしね。三玉系(吾郎)▼当たり。すごい正解率になってんじゃないの? 最後に集計するけどね(当番)

社会福祉課健康管理課更衣   珠子
■「更衣室」かと思ったら違った。それならマニアックだったが(規夫)■こういうのってイロニーがないと漢字の練習みたいになっちゃう(等)■漢字だけで迫る技法っていったい? この技術を決めるのは相当困難なのだが(裕)■だんだん作者当てが無茶苦茶になってきた。すみませんこんなコメントで。ときたま規夫さんにこういう芸風をみせていただいたことがあったような記憶が(吾郎)▼ハズレ。こんな芸風、規夫にはないない。漢字って書くのに長くかかるからキライ(当番規夫)

春の闇薬瓶の開きっぱなし   勝之
◎亞子
■他に「開かぬままのビン」もあった今回。でもこっちをいただく。だって〜春の闇なんだもん!その上開きっぱなしなんだもん!(亞子)■瓶が「開かぬまま」、「開きっぱなし」と忙しい今回ではあります(等)■少なくとも俳句的だが、煮詰めが足りぬから句も開きっぱなし(裕)■つくりっぱなしがいい感じですよね(規夫)■唖々砂的空気感切り取りの図とみた(吾郎)▼ハズレてるけど、惜しい読みではある。今回、開かないのが唖々砂さん、開いてるのが勝之さん。モチーフとは別に、「唖々勝」系というのがあると、当番はつねづね思っている(当番)

おわかれの菊ぼそぼそとくすぐったい   裕
■おもしろいですね。なぜいただかないのか、またゆっくり考えてみよう(規夫)■「ぼそぼそ」、「くすぐったい」は重複じゃんか、ワカラナイ(等)■うううむ。「ぼそぼそ」「くすぐったい」どっちかじゃないのかね。杜(吾郎)▼こりゃハズレ(当番)

春昼にカフスボタンが燃え残る   裕
◎勝之
■借金苦で自殺したのは中田カフスでしたっけ。ボタン? これも芸能俳句か?(勝之)■中田カフスボタン、ねちゃねちゃしたノッポの演技を思い出した(等)■火事かと思いました。で、冷製しゃぶしゃぶ、いえ冷静になって考えるにやっぱり昼火事かと裕さん(吾郎)▼この当たりはかなりエライ(当番)

宵闇のテエルラムプに物語り   三太
■その「物語」を聞かせろっていってんだよ(等)■テールランプ(テエルラムプ)は、それだけですでにありふれた物語を語っている。では、どういう新しいヒストリー=ストーリーをテールランプに盛り込んでいくのかが課題だと思う(裕)■昭和浪漫派三玉系ブント(吾郎)▼もう読み切り(当番)

切れエニシダ離すな裸足にエレキ   吾郎
◎烏鷺坊◎由季
■「裸にエレキ」が好き(由季)■本当に苦しい回文、同情します(等)■困難な立場に自らを追い込んでいくその意志をよしとするけれどさ(裕)■さりげなく目立たず自己主張せずひっそりと……(吾郎)■イタリアの青春映画のような回文(規夫)

草加煎餅いとこがいとこ焼く春野   裕
◎等
■作者のいとこが死んだいとこを焼きにいったのか?なんで草加煎餅なのか、これを採って鯰を落とすことにした(等)■春野好きの宗匠かとも思いましたが、なにせ状況設定と配役が凄すぎて。にしてもなんで草加煎餅なんですか菊野さん(吾郎)▼ハズレ(当番)
端居さんほんのお詫びのしるしです   烏鷺坊
■ただ喋っただけのことでも、なにやら意味がありそうに見えるという錯覚(裕)■こんな口語調にだまされないぞ(等)■こういう軽みのある句ってつくれないんです。今度ご教授ください宗匠(吾郎)▼当たり。根岸についてもほぼ読みきり(当番)

昼顔やはっきりしない返事聞く   唖々砂
◎三太
■ただ喋っただけのことだが、「昼顔や」で俳句にしようとしている。が、視点を変えてみるとひ弱い。このさい骨太な造形力が大事ではないのか(裕)■昼顔のようにボーッとしてるということね(等)■素直に素朴に美智子さん(吾郎)▼ハズレ。これは麦系ではないんすよ(当番)■「昼顔」といえば俳句の季語というより、ジョゼフ・ケッセル原作、ルイス・ブニュエル監督、カトリーヌ・ドヌーヴ主演の一九六六年仏伊合作映画 …▼『ぴあ』のコラムのようなご親切な解説、ありがとうございます(当番)…のほうを想起してしまう。ドヌーヴの背に向かって、男たちが問いかけても、ただ無言と豊かな白い裸身があるだけだ。女性の返事はとかくはっきりしないものである(三太)

突破せよ机の磁石は北のまま   勝之
◎規夫◎十四郎◎唖々砂◎由季
■北を攻めるんですね(唖々砂)■「コンバット」か(等)■ヒッチコックを思いだした(由季)■机とか磁石とか、こんなんでなにも突破できるわけない。だからすこしは応援したくなる(規夫)■命令形には言葉の説得力というバックボーンが不可欠であることを教えてくれる(裕)■「突破」も「机」も「磁石」も確信犯的十四郎(吾郎)▼ハズレ。無理もない読みですが(当番)■わざわざのあたりまえがなんともおもしろい(十四郎)
枇杷の実から始まる窃盗癖   吾郎
◎裕
■う〜ん、そうかもしれない。十円玉からはじまるかもしれない(勝之)■だから今回枇杷ものですってば(吾郎)■ただ、枇杷の実から始まった窃盗癖が何で終わるのか知りたかった(裕)■ただの思い出じゃないか、ちょっと面白いんだけどなあ、滑稽感を出すには固いよ(等)

墓地からはあざ字の名変わり蛇いちご   珠子
◎勝之◎等◎唖々砂
■蛇いちごの小さい赤がきいてるんだよね(勝之)■上手いんでしょうなあ(等)■「〜からは」で時間が伸びてしまった。蛇いちごという転換の時間も、もはや長い(裕)■蛇いちごは千葉でしょうやっぱり。と井口家ではもっぱらの噂(吾郎)▼ワイドで当たり(規夫)

油虫強く弱くバシ新聞紙   唖々砂
■そう塩梅がむずかしい。弱いと逃げられるし、強いと内蔵がべちょ〜と(勝之)■だんだん疲れてきました。日常ベタベタ(等)■ケツから読むと「新聞紙しばくわよ」と来たのは偶然か……(裕)▼おうっ!回文の萌芽!(当番)■リズムがいまいちわからん私には。どーなの?もしかして厚子さん?(吾郎)▼ハズレ(当番)

漫画の目と目が合い夏の月のぼる   規夫
◎裕
■ホントはこれしか取れぬ。なんでだろう。まだ判らない(裕)■こういうことをサラッと俳句にできるのも凄いなと。等さんに3000点(吾郎)▼ハズレ。等さんに3000点加算(当番)■だからどういう目なんだよ(等)

理と情が攪拌されてもう一杯   三太
■ワタナベノジュースノモトデスモウイッパイ、また出た(等)■これも説明しただけ。まだ酔っていない(裕)■意外と酒ネタも多そうな三玉チームに残り全部(吾郎)▼みごと当たりで、ふたたび等さんを抜いて、吾郎さんトップ(当番)

冷静になれば蜜豆ひとつきり   亞子
◎規夫◎珠子
■冷静になるまえのことを想像すると、おもしろいんだよなあ。蜜豆を前にして、なにを興奮してたんだろうな、と(規夫)■冷静にならなくてよろしい(等)■冷静になったから蜜豆が見えたのではなく、蜜豆が冷静だという把握こそ俳句という立場ではないのか(裕)■前回もあったけど、蜜豆ってなぜか人目を忍ぶ逢瀬の小道具にもってこいなのね。で、美智子さん。いえ別に他意はございません。お座興でございます(吾郎)▼ハズレ。だけどベットは少額で、ダメージなし(当番)

蜥蜴の数尻尾の数自意識過剰   亞子
◎烏鷺坊
■そうみたい、でも無意識過剰かも(等)■ほんとうにぼくらは自意識過剰に自家中毒するほど過剰な意識を持っているの? この程度を自意識過剰とは言わないんじゃない? バター味のしつこい毛唐が、ゲロゲロ嘔吐するほどのニッポンの自意識過剰というものを見てみたい。自分の課題でもあるが(裕)■これはもう問答無用の杜一点勝負(吾郎)▼最後に、ご愛敬の大ハズレ。これこそ短絡だってば(当番)
〔以上34句〕

〔総評・近況集〕
▼仕事を思いっきり減らしたら、俳句まで減ってしまって苦しい! 私の顔を見るたびにヨーグルトをねだる母猫は、定期的に4匹の子猫の尻をなめてはウンチやおしっこを食べてしまうのだ。テレビで見たライオンと同じだ。子猫はかわいいなあ。(珠子)
▼小さな鉢植えに小さなクチナシの花が咲いた。すごい匂い。モロッコに行きたい…(亞子)
▼古いアドレスで送られたので行方不明になっていた。古いのは長男に取られてしまった。ノリリン、新しいのでお願い(等) [当番]失礼しました。もうだいじょぶ、アドレス書き換えました。
▼今回三十四句もあったので、思わず井口家で作者当てをやってしまった。三割五分も打てば首位打者なんだから、十句も当たればめっけもの{自作を除く}。自作を他人作と評されて、もしかしてお怒りの方がいらっしゃったらごめんなさい。ま、お遊びですから。それにしても季節が良いせいかカラフルなイメージの句が集まったように思います。だけにシンプルな句が際立って、それはそれでかなりよかったりして。(吾郎)
▼白玉、不在のため今回に限り、選および選評は三太のみ、ということで何卒宜しくお願いいたします。(三太)
〔当番より〕
▼今回、みなさまの句を、表計算ソフトに流し込んでランダムにかきまぜました。だから、同じ人の句が並んでいたりします。
▼吾郎さんの作者当ては13勝18敗(勝率0・419)。今回、ホント久しぶりのメンバーも多かったこと、それに句の並べ方が通常とはかなり異なっていることを考えると、驚異的な的中率といえましょう。脱帽。

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九の付く日のFAX句会 オクンチ 第62回 2000年6月9日
〔今回は十四郎選三句〕
少年病む今日も胡瓜は真っ直ぐで   珠子
◎白玉◎十四郎◎栞◎由季◎規夫◎吾郎
■世は事もなく、すべて真昼の光に消えてゆく。白々とした光が妙にさっぱりとしていて目眩がしてしまう(白玉)■なつかしく明るい。いただきます。羽田に迎えにきてくれた市橋くん(うちの組の若いモン)もこの句をイチオシ(規夫)■さすが若い。病んでも元気だ(裕)■狂流少年の早い回復を祈りつつ(十四郎)■アダモさん、はやく良くなってください。家庭菜園のきゅうりはなかなかまっすぐきれいな太さに育たない(由季)■「少年病む」がなあ、つきすぎダンベ(等)■彎曲から少年を救い出した功は大(烏鷺坊)■雄々しくなれと、元気になれと(吾郎)

ふたつ目もスカバナナ買って帰ろう   亞子
◎十四郎
■糸でひっぱるクジですか(等)■あーあ、つまんない人生だなあ(裕)■そ、あきらめが肝心(規夫)■真打ちは何を買うのだろう(烏鷺坊)■スカバナナを買うふたつめさん(吾郎)

ゴーヤチャンプルー鸚鵡がカアと鳴いた   由季
◎等◎十四郎
■文句なく面白い一句、頭がゴーヤチャンプルーだからだろうが、鸚鵡ならまだ当たり前、ものまねしないもののほうが良かったのでは(等)■どーして、こう言い放てるか。自分が俳人と思っている奴の負け。取らないけど特選。なんのこっちゃ(裕)■琉球民俗史と江戸落語の融合。心は「夜が明けた」(烏鷺坊)■作者を知っているから取らないが、好きなタイプの句(規夫)

〔以下順不同〕
暑気払いする一日居留守入らば虚子   裕
◎亞子◎烏鷺坊
■それで虚子は何をしてたんだ?いったい(亞子)■できあがっているのでどう変えようもないんでしょうが、「入らば」の「らば」が条件付与的で緩いんだな(等)■今回吾郎ちゃんじゃない謎の回文作家がいる。これかな?(烏鷺坊)■なんか、バラバラ。すいません、師匠(裕)■実はヴァージョン2(留守番吾郎)

昼ラムの酔い指先のシビレレレル   唖々砂
■レレルだと定型とかいう問題じゃないか(烏鷺坊)■もう一発その先が要る(等)■「昼間のラムに酔って指先が痺れる」という単なる散文はどこまでいっても単なる散文(規夫)■バカヤロロロロ(裕)

四十の手習い骨身に沁みるオンザロック   三太
◎白玉
■しみじみと中年男の手のしわを感じる。氷の溶けるまでゆっくりお休みください(白玉)■生き方に頭が下がります(裕)■なんかケチくさいな、滑稽にやって欲しかった(等)■無理するなって(裕)

買えば吐き買わねば悔やむ端居癖   烏鷺坊
◎三太
■酒であろうか馬券であろうか、やはり酒だと思うが、酒で吐くのは必ずしもアセトアルデヒドのせいばかりではない。主たる原因はストレスにある。だからといって買わなければ悔やんでしまうのだから、それはそれでストレスが溜まる。とかく住みにくいのは、漱石の時代も現在も変わらぬ人の世の常である(三太)■境涯俳句の微分方程式(等)■またまた無理するなって(裕)■勝っちゃんのインド友達系実話(烏鷺坊)

ガラム口元甘き地の果て   十四郎
◎裕
■調子よし。カッコいいな(裕)■ガラムマサラね。オレもカレーに凝ったから棚のどこかにある。「地の果て」はオーバー(等)■煙草だと思いました(留守番)■「エスニックじじい」とか「第三世界ちゃん」と、うちで呼ばれている人たちがいる。結局は帰ってくるというのが最大にツライとこ。この句も作者の半径30センチくらいの世界。句だけでも行っちまわなければ(規夫)■結界系。別に悪いわけじゃないけど(烏鷺坊)

蚋を聞き生え際消えは危機を呼ぶ   吾郎
■謎の回文作家は誰だろう。こっちかな(烏鷺坊)■謎の回文ではあります(留守番)■回文のように元に戻らないかいな(裕)■「ぶと」と読むらしい。勉強になりやした(等)■「ぶよ」じゃないと成立しません(吾郎)

梅雨曇る今日は父の誕生日   三太
■そうですか(等)■ハッピ・バースデイ・ディア・ダディ。おめでとう(烏鷺坊)■という日常(裕)

梅雨空や戦争映画三本立て   栞
◎由季
■きょう那覇の国際通りにある古い円形の映画館をみて感動したところ(由季)■一本目は独立愚連隊系、佐藤允の顔の皺。二本目は大脱走、自転車で行くジェイムス・コバーンが爽快。三本目は絶対「十六歳の戦争」デビューしたばかりの秋吉久美子の全裸シーン、あのお尻が目に焼きつく(烏鷺坊)■すげえヒマ人。ワカル自分が情けないけど愛おしい(裕)■そうですか(等)■「地獄の黙示録」がその一本(留守番)

父の忌の夏藤は濃し風は濃し   亞子
◎烏鷺坊
■南無(烏鷺坊)■巧いんだけど、こういう巧さは停滞する(裕)■そうですか(等)

爆睡の子に稲光届くなり   菊野
◎裕
■切れ味よろし。いい俳句(裕)■俗と聖。逆転可能(烏鷺坊)■ウワー、コメントはばかります(等)

時計止まっている梅雨が始まっている   栞
◎唖々砂◎烏鷺坊◎吾郎
■よさそう(烏鷺坊)■サイフがなくなっているとつづく(裕)■そうなんです(等)■失われた土曜の午後がフラッシュバックした(吾郎)

雨帽子かぶる似合わない6月   十四郎
■そう、本当は九月のほうが雨量は多い。「九月の雨」はぜひジョージ・シアリングで(烏鷺坊)■顔見てないから分りません(等)■ゴムガッパと言うあぶない趣味もありき。これは山崎惇氏に教えてもらった。十歳年上の女と結婚した桜美林大学教授のカトー君どーしてることか(裕)

おだやかな暮し汚血のバラ咲けり   唖々砂
■漢字の読みに工夫がある、と思う(烏鷺坊)■汚血は「お尻」。その「おだやかな暮し」ぶりを見てみたい、うらやましい(等)■すぐ肛門科へ(裕)■あまりにもベタな対照(規夫)

黒い藪お月さまにも顔がある   白玉
◎裕
■お月様の明るさがみえるようです(裕)■大発見だ、と思う(烏鷺坊)■そう思います(等)

西瓜のポカンと丸い無期懲役かな   等
◎由季◎規夫
■変なリズム〜。「かな」が変なんだな。でも、この「変」は認める(規夫)■オウムの井上くんですか?(由季)■友人の無期懲の子はいま獄中手記の出版を狙って元気です。ちょっと原稿内容が二十年ほどずれているのが痛い(烏鷺坊)■バスに乗らず、八百屋に行くほうがよかったと、やはり思う(裕)

梅雨空に零細企業雨後の筍   三太
■はい、ボクもそうです(等)■荒川区と北区から賛意。実際は結構きびしい。雨後の蝦蟇のように軒並み潰れています(烏鷺坊)■またあ、高いところからみちゃったりしてえ(裕)

臓物を捨て冷蔵庫透き通る   菊野
◎珠子
■梅雨に入った。私も冷蔵庫の掃除をする気になった(珠子)■比喩に読めてしまう(規夫)■アップルのi冷透庫かあ?(裕)■座布団一枚!!(留守番)■保健所からのお知らせです(等)■いい仕事しましたね。気持ちいい(烏鷺坊)

蔓薔薇の石段でぐでぐ凡教師   珠子
◎亞子◎菊野
■非凡な教師はぐでぐで?(亞子)■私のことかな(菊野)■昔は貧教師がはやり当節は凡教師がはやる、「でぐでぐ」はつきすぎ(等)■うん、非凡教師じゃあぶないものね(裕)■私もよくでぐでぐと場外馬券売り場に行く事があります。もちろん凡博徒としてです(烏鷺坊)

ハガキ書く日々や5月を過ぎてから   十四郎
■アダモニオテガミヲ書キマショウ(裕)■そうしなさい(等)■詫び状、お礼状。私の場合ひっきりなしの一年です(烏鷺坊)

黴雨の入り仕込んだ奴はよく眠る   烏鷺坊
■梅雨の入りではないなら、醸造モノ?自分のことじゃないなら間延びしちゃう(等)■「奴」を「豆腐」にしたい(裕)■仕込み杖(烏鷺坊)

島のふららこ地球はゆっくり廻る   規夫
◎唖々砂◎栞◎珠子◎吾郎
■地球がもう少しゆっくり廻ったら、みんなのストレスも減るんだろうなあ(珠子)■のんびりと、ね(裕)■いいなあ、こういう余暇を過ごしたい(烏鷺坊)■同感です(等)■私このブランコに乗ったんです。すごかった。知り合いの男の子が沖縄の離島に移り住んでいてテント生活。訪ねましたね。その子が作ったブランコが小高いところにあって、海に向かって飛び出していく感じ。人生観変わる(由季)

盆の翳幾年月を綱渡り   白玉
■サーカスの感じがまったく伝わらない句(規夫)■サーカスであったのか。いや、人生がサーカスなのか(裕)■その人生観に敬服致します(等)■あの芸だけはやりたくない(烏鷺坊)

越後湯沢駅構内の桐の花   珠子
■じつに素晴らしい桐の花なんだと想像致します(等)■上善水の如し、とはこのこと。でもあの湯沢の酒はちと飽きた(烏鷺坊)■西武矢木沢じゃダメ?東武練馬は?都立家政は?東武動物公園は?玉ノ井は?聖跡桜ケ丘は?しつこいなあ。ゴメン。ついでに祐天寺は?(裕)■そこはそれダメなんじゃないかと思います(留守番)

そのビーチの犬の真暗な目   規夫
■そのビーチってどのビーチ(等)▼やっぱ「ザ・ビーチ」(留守の当番)■海青ければ真っ暗。空青ければ真っ暗。だから、こういう余暇をぼくにもおくれーっ(烏鷺坊)■オキナワの少年(裕)■私その犬、見ました。前出の男の子の住んでいる島に捨てられたらしく、一生懸命人間に媚びを売る痛々しい姿。きっと仲間の犬たちのようにいずれ保健所に連れて行かれる運命を知っているのでしょう。涙(由季)■全部、バラすやっちゃなあ(規夫)■島の保健所かぁ(留守番)

ホテルニュージャパン跡ビアガーデンなし   吾郎
◎三太
■どうということのない句のようで、かつての赤坂界隈を知るものにとっては感慨深い。ホテルニュージャパン跡というのは、外堀通りに接道していて永田町と赤坂の境界に位置している。…▼『散歩の達人』のリード文のようなご親切な解説、ありがとうございます(留守の当番)…いいかえるといまや政治的混乱と経済的低迷の狭間であるといっていいような場所に、かつてニュージャパンというホテルはあった。最初で最後の日本公演のために来日した、ザ・ビートルズが泊まったのもこのホテルだった(三太)■ご報告有り難うございます、これで行かなくて済みます(等)■おい!「なし」かい!?あったら面白かったのに(規夫)■あったかもしんない(吾郎)■あそこで知人のモデルが焼け死んだ。天涯孤独だったので、誰も賠償請求刷る人がいなかった。してもあの横井おやじじゃどうしようもなかったけど(烏鷺坊)■東京の中年(裕)

ナターシャと名のりてヒラメ煮てをりぬ   唖々砂
◎菊野◎栞
■なんか悲しいな、逞しいな(菊野)■ナターシャは「なんじゃもんじゃ」にしちゃいますボクなら(等)■なんだか訳が分からない物語で、おもしろかったのですが(市橋くんもオススメでした)、いただく寸前にあざとさのようなものを感じてしまいました(規夫)■ぼくが「郵便馬車の御者だった」頃、この人を見たことがある。ぼくにはちょっと大味だった(烏鷺坊)■沿海州の熟女(裕)

ビザンチン帝国蝙蝠が俺の真上に   等
◎規夫
■訳がわからないから、いただくわ(規夫)■ドキドキするほどかっこいい、と思う(烏鷺坊)■糞に気を付けよ(裕)

心という部品の重さ濃紫陽花   烏鷺坊
■アトムの部品は原子炉、本当は一人救うために二百人が被爆して死んだ(等)■う〜ん、笑いをとりにいった句ではないんですよね、これ、きっと。「心」という言葉を使って笑えない句は凡人にはきつい(規夫)■鉄板アタマ(淀川さんぽ)を思い出した(裕)■なんかスケベ(烏鷺坊)

祭礼の町曳く子供ウルトラマン   栞
■さすがウルトラマン。子供でも怪力(裕)■町のアマチュアカメラマンの特選写真には勝てません(等)■山車は町会交通部の担当です(烏鷺坊)

白玉や女の難を山垂らし   裕
■回文詩の最高傑作の一つに数えるべき秀句である。ただし、白玉を夏の季語である団子ではなく、女性の名であると仮定すれば、であるが。白玉なる女の難は山をも垂らしてしまう。すなわち泰山鳴動させてしまうというわけで、これはすごいことである。究極のドラマにはダイナミズムがある(三太)■節をつけて唄えとおっしゃるのでしょうか(等)■これは大森工房だと思うんだけどなあ(烏鷺坊)■はずれぇ(留守番)■くっ、苦しい。すいません師匠。汗垂らしつつ(裕)

臨終や生霊と悪霊の謝肉祭   白玉
■死んだら穴という穴に綿を詰め込むだけです。なにをおっしゃるのですか(等)■国分寺の神父さまかい(裕)■はっずれぇ(留守番)■オブジェクション!(烏鷺坊)

肉の砂喰らい老いらく茄子の国   裕
◎等◎唖々砂◎三太
■ウマイ、でも他があるので止めようと思ったが採ります。「陶器の犬」オッコチ(等)■砂の惑星デューンでもタトゥーインでもなく、安部公房の「砂の女」の世界なのだろう。エロスとタナトスのせめぎあいが、凝縮されて織り込まれている手技は見事である。茄子の国がちょっとダサイが、シュールでもありけっして悪くはない(三太)■この作風は師匠じゃないよーな気がする。でも自信ないよ、もうっ(烏鷺坊)■あったぁりぃ(留守番)■ゴメンね、師匠じゃないのよ(裕)■回文って作る人で違ってくるんですね。当たり前だけどいや驚いた。勉強になりました(吾郎)

銀色の多恨駄菓子屋「みはる」に梅雨   等
■おもしろかったのですが、「銀色」がどうにも邪魔で(規夫)■ノタコンという響きに共感(烏鷺坊)■勝之の犠牲者ここにまた一人(裕)

夏館笑っているのは陶器の犬   亞子
◎菊野◎珠子
■陶器の人形はひんやりとしていて快感だ(菊野)■私もつられて笑った。でも彼は、ヒトを笑わせることに疲れきっているんだろうな。時にはむっつり顔にしてリラックスさせてやりたいね(珠子)■「いるのは」にひっかかった。惜しいなあ(等)■いずれにせよ不気味な館だ(裕)■笑わないのは磁器の猫ってな磁器を、出光美術館で見たような気がする(烏鷺坊)

晒し場か張り出すダリは蚊柱さ   吾郎
◎等◎白玉
■これまたウマイ、絶好調(等)■いかさまなさかさま世界を覗き見する愉悦がある(白玉)■奇才天才にもの申すのは恐縮ですが「場か」→「墓」では?(十四郎)■検討させてください(吾郎)■張り出すダリって何かリアルダリ(裕)■だから、これ誰よ。教えてっ(烏鷺坊)■だからそうなんだって(留守番)

寺の戸を放ち梅の実揺らしおり   菊野
◎亞子
■「戸を放ち」なんてカッコイイじゃん(亞子)■ホッとする。実に端正。こういうの大好きです(烏鷺坊)■省略がないから跳べない(等)■おおっ、俳句だあ。ただし、西念寺ではない。だって根岸はカルシウムたっぷり夏みかんだもの(裕)

〔以上39句〕

〔総評・近況集〕
▼クチナシに続き、小さな鉢植の夾竹桃(白色)の花が咲いた。可憐!(亞子)
▼沖縄のアメリカ村のようなところで作って投句させていただきました。今回はカリブモノでなくてゴメンね、勝之さん(由季)
▼今回、回文が5つ?吾郎さんが5つ出しているなら何も言わない。栞さんが2つ出していたとしても何も言わない。だが、そうでないとしたら…。烏鷺坊さんも私も回文は試作しているが、それをオクンチには絶対ださない。なぜかというとオトナだから。それはそうと、沖縄の小学生のTシャツに「けいさつのあほえ わしらつかまえてみい」の文字。カッコよかった(規夫)
〔当番より〕
▼謎の覆面回文作家の登場が、やや地域的混乱を招いたようですが、こういう刺激もたまにはよいやね。にしても、一番プレッシャーを感じたのは実は回文在庫無し状態で留守番をあずかった〔吾郎〕。投句メールを前にして深夜3時からのデスマッチでありました。謎の覆面作家からは「いずれ回文しばりでやるって企画もありかと」というメッセージがありましたが、それはどーしまひょ。規夫当番の判断にお任せします。
▼そうそう、今回規夫&由季チームは沖縄からの投句。一気に夏の色彩が飛び込んできたように思います。そう、「おくんち」友の会のみなさま、旅行&出張先からも投句は可能です。9の付く日をお忘れなく。で、次回は井口家の当番。20日朝7時まで大口開けて待ってます。(留守番)
▼「今回の三句」は、留守の当番(規夫)が選びました。十四郎さんの三句は、高点句、上級者しか取らなかった句、一点句。ベテラン(選を取れる句と選をはずす句)とドシロウト(作句6作目)の組み合わせ。おもしろい選だと思いました。あ、次回から井口家、遠慮せずに選んでね。ここは当番が演出できるとこ。私の場合、回によっていろんな選び方してます。(規夫)
▼次回の当番は井口家。

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九の付く日のFAX句会 オクンチ 第63回 2000年6月19日
〔今回の一句〕
結果的には滝も好き噴水も好きってなこと    烏鷺坊
◎規夫◎唖々砂◎吾郎
■好きな言葉に「おいら子供でゴザル。エッヘン」てのがあるんだけど、これも好き好き(唖々砂)■ひゃあ、おもしろい、おもしろい。こういうの大好きってなこと(規夫)■滝は好きだけど噴水は嫌いよ(勝之)■まいふぇばりっとしんぐす、ネ(等)■ツボにはまるとこんなにもすごい(吾郎)■失礼。俳句とコメントの順番を間違えました。なにいってやがると跳ねて夏野かな(烏鷺坊)■開き直ったか(裕)

〔以下順不同〕
黒人やサーモンの舌巻く熱いヨ    唖々砂
◎勝之◎十四郎◎吾郎
■なんかエッチ、すごくエッチ(勝之)■切れ字の「や」の使い方が面白い。最後の「ヨ」は「かな」などと同様の切れ字に見える。とすれば二度切れ(あるいはもっと切れ)、の心配があるが、そんな心配を超え、季感は既に思い切り夏。作者はいずれおそらく俳句の王道を行く人になる(烏鷺坊)■そう思います(等)■弱気なあたし、なんか黒人の人々に悪いような気が(裕)■チャイナタウンのシェフがつぶやいた(吾郎)

烏啼く草茫茫の桜桃忌    三太
■実際、桜桃忌に行ってみると、驚くなかれ、学生服に下駄とか、絣の着物に書生袴とかの、髪の長い青白い美青年が一冊の本を片手に、大樹に隠れてそっと遥拝しているではないか。その意味で太宰感覚をよくとらえていると思う(烏鷺坊)■人様々ですが、そう思います(等)■屋上屋の感あり(裕)

ひとこぶらくだふたこぶらくだと梅雨はじまる    等
■きっぱりと意味を捨象し言葉を擬音としてのみ使う強い決断力に感服(烏鷺坊)■巧いだけに1の次が2というのは気になる(裕)■良いのですが、「ひとつ」「ふたつ」→「はじまる」の真っ当さはやはり長くは遊べないゲーム。しかし、今回、おもしろい句が多い。寝坊して滑り込みで参加できてラッキー(規夫)

靴下剥けば踵出てくる梅雨の晴れ    亞子
◎等◎吾郎
■巧いっ、それに何とも匂うがごとくに美しい(烏鷺坊)■感じいい。季語がハズレ?(規夫)■踵より牛が出たほうがボクの好みです(等)■ちょっとエロティック。踵フェチという手もあったか(男だったらやだ)。四番目の句(裕)■剥くってのがえっち(吾郎)

じゃあどんな人生なんだ夏の雲    烏鷺坊
◎唖々砂◎裕
■わかりました、こんど5時間以内でご説明します(規夫)■んなこたぁ、自分で考えなさい(勝之)■そんな言い方しなくてもいいぢゃん(唖々砂)■いわれてそっぽ向く僕と犬(烏鷺坊)■どうせ阿呆な人生です、ボクは、ハイ(等)■スカッとして明快。夏の空が意外といい(裕)

香港金魚口紅はみ出している雨期    唖々砂
◎邦夫◎等
■麻雀用語における「台湾金魚」との関係が妖しい(烏鷺坊)■おもしろかった。でも「雨期」とくっついたのがどうしても気になって(規夫)■「雨期」は、お猿っぽく読んでね(唖々砂)■香港・金魚・・・・と切るのかと、そう思いました(等)■字数もはみ出しとる(裕)

毛虫焼く石油の匂い嫁入り舟    邦夫
■きっと幸せになるよ、きっと。花嫁さん、うつむかないで。頑張れ(烏鷺坊)■テーマが三つ、バラバラ(等)■嫁入り舟が変だあ(裕)

むかしむかし煙のんのん水蜜桃    裕
◎烏鷺坊◎規夫
■僕が昔Smoke gets in your eyesだった頃、あの子は胸もお尻もSweet Peachだった。とってもキュートでイカしててコロリとイカレたぜ、というわけで一点(烏鷺坊)■質感よし、意味不明、リズムよし(規夫)■甘いリズム、今日はダメです(等)

コノヨノイチバントオクカラクルクルパー    十四郎
◎規夫
■カタカナ書きのコソクさも気にならないおもしろさ(規夫)■自意識過剰!であると思ふ(勝之)■あの世の一番近くから「お利口さん」といわれるより少し安泰(烏鷺坊)■そうですね(等)■トチメンボー(裕)

向暑の候タイガージェットシン様へ    規夫
■「いとしのロビンフットさま」よりは鋭利。ところで私んちの次男坊は知りもしないのにウエダウマノスケそっくりのヘアスタイルに凝っている。誰か助けてやってください(烏鷺坊)■アッサリ系(等)■だんだん判じ物めいてきたぞ(裕)
梅雨晴間幼稚園プールの塩素臭    邦夫
■もうすぐプール開き、それまでは仕方ない。プール開きの前に掃除のボランティアが募集される。ザッ、ザカ、ザッとやって楽しいよ結構(烏鷺坊)■しかし、どうして季語がいるんだろう(等)■確かにある景色。夏らしいひととき(裕)

まひまひも幹に葉に君もひまひま    吾郎
◎邦夫◎亞子◎三太◎裕
■木の幹や葉を這い回る蝸牛の姿を、じっとであれ、ぼうっとであれ観察している君は相当にひまである、という長閑かさのなかに、『梁塵秘抄』の「舞へ舞へ蝸牛、舞はぬものならば、馬の子や牛の子に蹴させてん、踏破させてん、真に美しく舞うたらば、華の園まで遊ばせん」を彷彿とさせる格調が感じられる(三太)■「君もひまひま」がいいなあ〜うらやましいなあ(亞子)■はい、ひまこいてます。誰か仕事くれ〜い!(勝之)■旧カナを気にしだすと回文道は厳しく遠い(烏鷺坊)■「も」かなあ?(規夫)■君もコクリコ我もコクリコ、なんてあったけ(等)■こりゃ久方ぶりの回文の傑作。一押し(裕)

軽やかにダンサー踊る玻璃の中    三太
■ダンサーっていえば中学の頃、SKD派とNDT派に別れてよく論争があった。ぼくはオトナだったので、やっぱフレッド・アステアだろ、といって顰蹙をかった(烏鷺坊)■素敵な光景です(等)■涼しそうなグラス(裕)

皿千枚飛んで蛇苺に侠客    等
◎亞子◎十四郎
■ハデな景色のはずだが、妙にたたずまいが静かなのは、季語が想像以上に強力なせい?千枚飛んだ皿が、蛇苺によって侠客と分断されている。他人事になっている(亞子)■なんだかわからないのだが、なんだかすごいような気にさせられて(十四郎)■よく事態が把握できない。何か大変なことが起きているんでしょうけど(烏鷺坊)■侠客がちょっと馴染めぬ(裕)

ようかんのようにくらがり萼の花    裕
◎烏鷺坊
■「くらがり」はどうしても名詞だから「ような」という直喩の誤記か。あるいは「ように」で切れて「くらがり萼の花」という塊で読ませる意図か。いずれにしろ、この句、凡庸ではない。いただきます(烏鷺坊)■こういう比喩は、飽きてしまいました(等)

しゃがみこむ目に蟻の行列行列    十四郎
◎勝之
■あります!象の行列の時は怖かった!大名行列の時はなぜかホットした(勝之)■蟻って見始めるとずっと見てしまう。動けなくなった作者の童心に乾杯(烏鷺坊)■うちの家もそうです(等)■二回言わなくても(裕)

梅雨の闇黄金虫がブンと鳴る    勝之
■あれっていきなり耳元をかすめるんだよね。ぶつかってくる奴もいる。「おおっ」と思うけど向こうのほうがもっと慌ててるんだ。だから可哀相なんだよね(烏鷺坊)■ウーン、「ブンと鳴る」が単純(等)■闇の中の質量。実感(裕)
かわはぎや富士揺らめいて桜桃忌    三太
■美味そう。富士には月見草や桜桃忌、旅にはかわはぎとか追いはぎがよく似合う(烏鷺坊)

真夏日の大魔術から鳩一羽    邦夫
◎三太
■ひと月ほどまえ、「フランツ・ハラーレイ・メガ・イリュージョン」を見にいったときのことだ。目の前で切り刻まれたはずの美女が生きていたり、巨大なミサイルがハラーレイの腹の中に呑み込まれてしまったり、という大魔術を見終ったあとで、実は仕掛けが大がかりなだけで、シルクハットから鳩一羽と本質は同じなのではないか?そんな想いをめぐらせながら、会場の代々木公園をあとにしたのである(三太)■恋愛と結婚の比喩か。痛いぜ(烏鷺坊)■大魔術は余計(等)■鳩より烏はいかが(裕)

機械的に機械は動く風鈴鳴る    亞子
◎邦夫
■日常は小発見の積み重ね。いずれ当たればいい句ができる〔これ57577〕(烏鷺坊)■またまたどうして季語なんだろう(等)■巧い。ちょっと淡白かあ(裕)

カルピスの黒んぼ氷カラと鳴り    唖々砂
■カルピスは僕の高校の昔の校長だった人が名付けた仏教語。だからってわけじゃなく愛着がわきます(烏鷺坊)■こりゃまた広がりませんでしたね。「カルピス」と4文字ですむような(規夫)■ニューヨーク発の小柳ユキのデスクジョッキーで、彼女、黒人は怖いと言っていた。アブナイ発言、歌以外は子供(等)■あのデザインは秀逸であった。差別とは思えないのに企業の自粛は惜しいことです(裕)

紫水晶に栖んだら汗も紫だろう    裕
■あたりまえじゃないですか(等)■いや違うと思う(規夫)■そうだろうと思うけど、実際住んだら汗なんか出ないような気がする(烏鷺坊)

蚊柱へ特売日の豚肉は球体    等
■漢語四つがゴツゴツとぶつかり合って緊張感が漲る。気合溢れていてなんか凄いって感じ(烏鷺坊)■おもしろいのですが、「へ」がわからない(規夫)■夕食のおかずは肉団子にしたってことか?(裕)

枇杷の実か木のみ神の木神の侘    吾郎
◎烏鷺坊◎勝之
■メチャオモ。「神の侘」なんておそらく回文でしか思いつかない言葉。それをこの世に出した功績の大きさははかり知れない、と思う(烏鷺坊)■おみごと!スゴイ!(勝之)■阿部完には火傷する(等)■これもいいが、ひまひまのほうがもっといいので(裕)

黒南風に打ち棄てられし傘の舞ふ    三太
■文語の屹立性に礼儀正しく挑戦している精神がとてもいい感じ(烏鷺坊)■偶然のこうもり傘が落ちていた?でしたっけ赤黄男の句は(等)■傘が百ぐらいあれば壮観だ(裕)
議事堂の角度じわり緑湧く    吾郎
■中六の字足らずが奇妙な効果をあげている。「じわりと」とか「じんわり」とかしておさめてしまうと「議事堂の角度」が生きない。作句上の苦心を感じます。好感度A(烏鷺坊)■なんで絵はがきになっちゃうのだろう(等)■あのへんはつまらないところだ。蝉も鳴くのだろうか(裕)■前回に続いて溜池山王俳句(吾郎)

そっちから先に燃えだす烏蝶    烏鷺坊
◎唖々砂◎等
■全然わからない(唖々砂)■うーん、好きな句。でもドラマありすぎ(勝之)■いまになってしまえば、そりゃもうどっちでもいいだろう(烏鷺坊)■「そっちから」は不満(等)■烏蝶ってあるの?〔・勝之〕(裕)

はじけそうな封筒を閉じる空梅雨    十四郎
◎裕
■空梅雨と封筒のぎっしりの対比。切手の分量を間違えないようにしないと受取人にご迷惑(烏鷺坊)■たくさん手紙を書きました(等)■リアルな感触。さりげなさがいい(裕)

郁子の蔓窓いっぱいの裸体かな    勝之
◎三太
■アムステルダムの飾り窓よりは、「ストリーヴィル・ポートレイト」と名付けられた一連の少女写真を想起させられた。かつてスコーピオンズのデビューアルバムのジャケットを飾った、あの写真のイメージである。淫靡ななかにも甘酸っぱい爽やかさの漂う、不思議なエロティシズムの世界である(三太)■ウィーン幻想派の絵画みたい。銀座青木画廊の御主人と久しぶりに一杯飲みたくなった(烏鷺坊)■自分の句もよく分かりませんが、この句も(等)■巧いだけに少々、大仰かと(裕)■ヴァージョン2で大化け(吾郎)

田水沸くジェームズ・ブラウン下手へと    天気
◎亞子◎十四郎
■J.B.も、こういう上五だと東北の畔道に立っていて何ら不思議がない。ねぷたのキャラにだって!(亞子)■J・B付き人とマントはねのけ田水の沸くごとく(十四郎)■なんかこういう絵柄のジグソーパズルがあったら、一日やってるかもしれない。でもきっとピースをいくつもなくしてしまうんだろな。だから決して完成しない(烏鷺坊)■ボクは俳句に季語がなくてもいいと思っている(等)■ツキすぎか(規夫)■すいません。J・ブラウンって誰? 判断不能でした(裕)■げろんぱ、げろーねのおじさんです(当番)

〔総評・近況集〕
▼福島県まで行ってとんぼ返りしたと思ったら、つきみ野、大宮と毎日連続の法務。僧衣で動くから帰りに一杯というわけにもいかず、よい子になって読書三昧、と、思うと、近隣の呑み友達(七十歳)からお誘い。おかげでまたも数10軒開拓。半径1キロ入ったことのない呑み屋は無いんじゃないの。誰か表彰してくれ(烏鷺坊)
▼年四回の定期試験?の最中。寝に帰ってきて久しぶりのオクンチの皆さんの句に力づけられました。(邦夫)
▼あ、暑い。もう5時なのにぃ。今の段階ではせいぜいアジアカップまでとすべきだと、私は思います。(亞子)
▼MAC9500が我家に居候に来てから2週間が立つ。パフォーマーの次世代機?として購入したのだが、ちっとも言うことをきかない。電話線をつないでもウンともスンとも言わん〔言ったらこわいが〕。で、よく見ると、致命的な欠陥があったのだ!!。な〜んと、モデムが内蔵されてないぞう〔なんてな〕(吾郎)
〔当番より〕
▼今回、三太さんが四句投句されたので、追加分として一句後送しました(御本人より、たっての希望がございましたので)。
▼「今回の一句」は、配信係の規夫が選びました。(規夫当番)
▼次回の当番は規夫。

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九の付く日のFAX句会 オクンチ 第65回 2000年7月9日  金曜日
〔今回の一句〕
雲海におしっこすればブロッケン   裕
◎白玉◎等◎三太◎規夫
■このまえの宿題だった?一人だけ、エライ!(等)■前回のお答え。詳しい解説は三太さんにおまかせ。そういやキン肉マンでブロッケンJrっていたよな(吾郎)▼はい、三太さん!(当番)■「蛍の小便を溜めたらこんな色になるだろうかね、などと悪態をつきながら、椀の縁で縁起の悪い声を出したりしていた。椀自体もすっとひとりでに滑って動いていた。何かわめのわからないものが、ひょろひょろっと私の方に近づいて来る」(土方巽『病める舞姫』より)(三太)▼柳生博ばりの朗読、ご苦労様です。(当番)■「梓めがけておしっこすれば、槍と穂高に虹が出るホイ!」のアルプス一万尺じゃあるまいし。しかし、そうでした。「セントエルモの火」と「ブロッケン現象」は四〇年前、小学校の図書館で読んだ「世界の謎」みたいな本に必ず対になって出ていました(烏鷺坊)

〔以下順不同〕
玉蜀黍限りなく食う母であり   邦夫
◎裕◎十四郎◎勝之◎規夫
■単純でいい。玉蜀黍ってそんな感じがするし(裕)■そりゃ、好きなんだろう。いいじゃないか、でも何故「限りなく」か?そのニュアンスがどこかに欲しいぜ(等)■いと恐ろしげな光景(吾郎)■母ちゃんピーピー確定(勝之)▼汚ねえなあ、もう(当番)■やっぱり残った芯ではダシがとれない(十四郎)

赤ペンや天候不順胃潰瘍   白玉
■ま、痛そうっす(裕)■大井ですか?(吾郎)▼大井は赤鉛筆でしょう?ちがう?(当番)■赤ペンがありました。天候は不順です。その天気のように私は胃潰瘍でつらいです、ということか?散文を縮めたのが俳句だとは思わない(等)

台風過ぎまだみぬ丘のまだみぬノ花   十四郎
■ナ・ナンナンダっ!!この「ノ」は(吾郎)■「ノ」は何だよ、この「まだみぬ」の繰り返しは何だよ、灰田勝彦の歌か?(等)■グェッ、そこで白いヒラヒラのドレス着てクルクル踊ったりするわけですか(勝之)■ま、ロマンチックっす(裕)

身の下落歯止めの目処はクラゲのみ   吾郎
■ くらげが歯止めの目処! ここまで凄い下落ぶりを表した記述を私は他に知らない(裕)■クラゲだって目処にされるのは嫌だってよ、なんで意味が通ちゃうのだろう(等)■ク、クルシ〜(勝之)■オレが悪かった(吾郎)

海人や潮目にふぐり冷やしおり   等
◎唖々砂
■なんか水温上がりそう。熱いゼ!(唖々砂)■ま、気持ちよさそうっす(裕)■おしりかと思った(吾郎)▼姿勢的にはそのほうが自然。「ふぐり」を冷やす姿勢を創造すると、かなりオカシイ(当番)■うまいんだろうな。でもなんかリアリティというか、作者の息使いが聞こえてこない(勝之)

黒猫のくるりめくれる夏の草   裕
◎邦夫◎吾郎◎杜◎烏鷺坊
■技巧的ですが、感じのいい技巧です。自分も含めてですが、俳句はこの、あざといくらいのレベルをまずスタートとして、そしてその上で何かを、あるいは何処かをめざしたいものですと思っちょります(烏鷺坊)■摩訶不思議な光景に突然出会った驚き(吾郎)■お総菜売り場の海老天は、ほぼ同じ大きさだよなあ(等)■黒猫というと、むかし海パンの下に付けた簡易フンドシというか、サポーターですか? それが草むらでめくれると? 野糞か青姦か(勝之)▼それ、若狭地方の方言?(当番)

少年の顔近づけて姫あじさい   杜
◎吾郎◎白玉
■雨粒のにほひがするのです(吾郎)■「少年もの」は普通にやってればユルクなっちゃうんだな(等)■俳々凡々(裕)

自然流の友の寓居で蚊に喰はれ   三太
■てらいがなくていい。自然流がいいね(裕)■将棋の中原永世名人は自然流と呼ばれた、おう林葉、「トツゲキー」(等)■中原永世十段と友だちなの? ホント?(烏鷺坊)■で、それから?(吾郎)

緑陰の金魚の眠り空気玉   勝之
◎吾郎
■風物詩。適度な湿度。シエスタ(吾郎)■縁日三点セット(裕)■「金魚の眠り」ねえ。きもい(等)

指の血の鉄くさき味梅雨疲れ   唖々砂
◎邦夫
■ちょっと材料大杉栄(吾郎)■血の味と梅雨のにおいは良く合うと思う(勝之)■でも、「梅雨疲れ」が問題だ(裕)■そりゃ、血は鉄くさい、「味噌疲れ」かと思ったぜ(等)

みどり児よ猥歌に眠れ半夏生   哲郎
■そう、「半夏生」が問題だ(裕)■この作者頭ぶっこわれている(等)■強くなりそう(吾郎)

すててこや愛ひくゼロわる永遠   規夫
◎唖々砂
■ボブ・ディランの「ラブ・マイナス・ゼロ」は性行為のことであるとすれば…。それを∞で割るとは…。すててこの力あなおそろし(十四郎)■ダイキリひく砂糖わるグレープフルーツ果汁でカクテル『パパ』ヘミングウェイの出来上がり。すみません、こんな事しか書けなくて(唖々砂)■何か、無駄な計算のように思われる。しかし、そんなもんなのかもしれない(裕)■すててこと愛のミスキャストがすてき(勝之)■愛ひくゼロは愛。それを永遠で割ると、分母が永遠である分数が生じますが、読み上げると「永遠分の愛」、つまり「すててこや永遠分の愛」。少し気持ちが悪くなってきました(烏鷺坊)■これ百行やってろ(等)■結論のでない数式。すててこの法則(吾郎)

向日葵を閲兵吾も首垂れて   邦夫
◎三太
■閲兵しているにしてはシャンとしない(裕)■おまえ、ひょっとして大正天皇?(等)■そんなぁ、目ぐらいあわせてくださいよぉ(吾郎)■「灼けた皿のように咲いていた向日葵が黝くなっていた。日中の疲れから太い血管を頸筋や手に浮かべて、ほてった花を見ている大人を見つけると、急に悲しくなった」(土方巽『病める舞姫』より)(三太)

児童狂喜快眠空桶部屋   三太
▼最初にお断り。「狂気」は「狂喜」の誤植でした。誠に申し訳ありません(当番)■「カラオケ」の当字としてはサイコーの部類でしょ。座布団3枚!(吾郎)■たしかに箱っぽい(裕)■そりゃ、遊ぶのは否定しない。でも違うんだよなあ(等)■以前バカズはOK・Ya(桶屋)レーベルより金函レコードを出していた(十四郎)■う〜ん、やはりむずかしい世界である(勝之)

串本節すたすた赤子眠るかな   等
◎十四郎
■おもしろい。でも起きそう(吾郎)■すやすやじゃガマン出来ないの?(裕)

なめくじに濃淡ありぬ人の声   裕
■落ちついた雰囲気がよいよいよいやさっと(吾郎)■むぎむぎむきむきかあ、濃淡なんて美しいお言葉、バカ感激致しました(等)

時間割り遠隔操作絶句する   白玉
■遠隔批評者も絶句(裕)■まったくもって意味不明(吾郎)■意味が通っても面白くないが、中心が散漫なのも面白くない(等)

濡れている死体なのです花火の日   哲郎
■花火の日がもったいないような(吾郎)■「なのです」がヤなのです(裕)■なぜ「日」なのか?「花火」でバシッと決めろよ(等)

七倍破天荒コンテはいバナナ   吾郎
◎裕
■壊れているようで壊れていない、その壊れ方がすごい。こうなったら絶品だと思う(裕)■反省(吾郎)■ゴロー師匠のじゃないな(等)▼大ハズレ(当番)■「七倍破天荒コンテ」は笑かしてくれる。バナナ詰め込んで上陸(勝之)▼それは「コンテナ」…といちおう突っ込む当番

遠雷やいちびり上手な女の眉   勝之
■「いちびり上手」っていいましたっけ規夫さん(吾郎)▼まあ言うでしょうけど、「いちびり」に上手も下手もないような気も。あえて「上手」と付けたのがいわゆる俳句用語でいう「手柄」…なわけないか(当番)■「いちびり」だけが、すごく肥大(等)■避けて通らせてくらはい(裕)

ジャンキーや皮膚這う蟻が増えていく   唖々砂
■「増えていく」がまどろっこしくて(等)■やだなあ。蟻ならまだいいが、想像したくない(裕)■アルコール系じゃなかったでしたっけ、これって(吾郎)▼ハイ、どれ系もおまかせの勝之さん(当番)■合法、非合法にかかわらず薬物、酒精の取り扱いにはお互い注意しませう(勝之)

台風の荒れろ荒れろとマンガ読む   十四郎
◎勝之
■子供時代、台風が来るとこうでした。今は「荒れろ荒れろと酒を飲む」です(勝之)■すごい言い切り。ガッコも休みだ(吾郎)■マンガ以外を読みたい(裕)■救えんよ、こういうのって、ヤケだろう(等)

悪女かも花になっても白睡蓮   杜
■なんか中途半端な疑問です(吾郎■睡蓮なんてむりむり。ラフレシアだ(裕)■手に負えぬナルシスト(等)■ナ、ナルシスぅ〜。作者がもし男なら取る。やっぱ気色悪いんで取らない(勝之)▼「俺あ悪女かも」の上なら、なかなかいいのでは?(当番)

風鈴を送るおいらもこわれもの   邦夫
◎裕
■何か、気持ちのいい句。簡潔にこういう句をたのしみたいね(裕)■あぶないところがありますが、好感触。四番目にいただきました。「も」が気になります(烏鷺坊)■よーくご自分がわかってらっしゃる。えっ?繊細だから?またまた〜(吾郎)■理に落ちた(等)

棒グラフのような夜明けだ白さるすべり   等
◎邦夫
■白と白。グラフ・紙、夜明け・白夜、「白さるすべり」と白を強調した字余り。巧さがくどいです(裕)■「よ」と「夜」で追い打ちかけたらここは「白」抜きでしょ……と思ったが、ここまで長いとそれも気にならなくなってくるのは、アタシの体がオクンチに馴染んだから?(吾郎)

麿赤児台風に立つなれば無音   十四郎
◎三太◎唖々砂◎烏鷺坊
■舞踏する麿赤児は戸板のように大きく見えた。飛べ!戸板!(唖々砂)■台風が来ると思い出してしまうのか。アングラ系の人(勝之)▼懐かしいなあ。唖々砂、勝之、規夫のアングラ・ヒッピー論争(当番)■シチュエイションだけで緊迫します。怪優面目躍如(吾郎)■「立つ」で切れて「なれば〜」とくる展開がなんかいい(裕)■あったり×××の縮れっ毛。だけど取っちゃう(烏鷺坊)■彼、讃岐あたりの生まれだっけ、桶のうどん食っている写真みたことがある、演技過剰で嫌だった(等)■まず最初に、麿赤児は五年ほどまえ改名されて現在は麿赤兒です。為念。「だれのいたずらか、空しい風ばかり吹いていてそれが顔にふわりとかかってくる。顔の上で小刻みにふるえて飛んでいく葉っぱの音。急に耳がふさがれたようになり、自分がそこから締め出されたようになり、こうして私は減らされていくのか」(土方巽『病める舞姫』より)(三太)

そっぽ向いちゃってグラジオラス無敵  吾郎
◎勝之
■なんかそんな気がする(勝之)■なんで無敵なんだよう、ここにくるまで粘っていないから、まるで情感が湧かない(等)■きっと「無敵」がいらないんだと思う(裕)■なんでもいいのか(吾郎)

池袋蛇皮サンダルで夏始まる   勝之
◎等◎規夫
▼はじめにお詫び。「皮サンダルで」と「で」が入りました。今回、誤植多し。許してチョンマゲ(当番)■三段切れは気になるなあ、まあいいか、蛇皮サンダルが好きな奴、8さん、おかま、祈祷師(等)■池袋の夏ってこの通り。十年住んだ私としては実感(裕)■IWGPも終わったしなぁ(吾郎)
台風情報ヒロインの顔匿しをり   唖々砂
■たしかにヒロインが誰であるかによって、大きくイメージの変わる句。いろいろ考えてみると楽しい。私としては原節子あたりで俳味を覚える。いいじゃん旧くたって(裕)■フジ系列の27時間テレビとかいうやつか?いや違うか、どうでもいいや、なっちゃん好きだよ(等)■この前の地震の時はすごかった(吾郎)

薔薇の花の薫る丘の那覇の騾馬   三太
◎等◎杜
▼ききわけのないお子さんがいらっしゃいますね。前々回のオクンチの「近況」を読んどいてネ。それと、次回から回文は、オクンチ以外のとこで遊んでネ(当番)■これは名回文だ、熔岩もルビは必要だけどラバと読ませなかったっけ(等)■これもさえてるなあ。師匠は快調(裕)■沖縄三部作!国立方面狙い打ちか?(勝之)■「花と那覇」にはcつけとこかな(吾郎)■活舌の練習になるね(唖々砂)

電線に精霊三羽夏化粧   哲郎
◎杜
■「精霊」がとても私好み(杜)■何羽残ったかって、伊東四朗に聞いてみろ、「情」にも「滑稽」にも届かず(等)■というわけで「夏化粧」が問題だ(裕)■孔子暗黒伝では森の精霊が「ピー」でしたっけ、で霊鳥が「ガルーダ」(吾郎)

夏雲のどかっと落ちてさようなら   杜
◎白玉◎十四郎◎烏鷺坊
■台風一過の空虚。晴天(十四郎)■こいつはいい。余裕でいい(烏鷺坊)■さようなら、さようなら、さようなら(等)■こにちは(裕)■下五の「さようなら」は意外と使い勝手がいい (吾郎)■栞さんひさびさに登場かぁ?(勝之)

あきらめとためいきのテアトロ・カプラニカ!   白玉
■「!」だから、きっとスゴイ句なのだろう(等)■なんのこっちゃい(勝之)■なんでしょ、かなり汗くさい、埃っぽい映画でしょうか。解説よろしく(吾郎)■またまた聞くけど、テアトロ・カプラニカってなあに?(裕)▼またまた説明しますが、例の「!」です(当番)
〔以上34句〕

〔総評・近況集〕
▼ここんとこカレーを食べてない。あれは時々ムショーに食いたくなるのだ。ガマンしてるわけじゃないが、食べた後の汗との戦いは敗色濃厚なんで、ちょっぴり控えてます(吾郎)
〔当番より〕
▼次回の当番は井口家。

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九の付く日のFAX句会 オクンチ 第66回 2000年7月19日  水曜日
〔今回の追試句〕
空き缶に穴一つおまえ元気か          勝之
◎規夫◎菊野◎吾郎◎唖々砂
■ま、いちおう元気ですけど、それがなにか?…ということで、こういう風通しのいい句、スキよ(規夫)■元気だよ(菊野) ■ハーイ、最高でーす。足の裏もきれいでーす(裕)■元気でーす。愛してるよーん(杜) ■ノーバイブレイション、和製英語?グッドバイブレイションという歌あったよねえ(等)■ビーチボーイズ66年暮の大ヒット(当番)

〔以下順不同〕
赤いカンナ六年生がギィと開ける         等
◎裕           
■教科書みたいな清新。一見単純だけど、ちょっと良いなと(裕)■カンナって、あのカンナ?鉋(かんな)ならわかるが(規夫)■大昔子ども会で肝だめしを古い小学校の木造校舎でしました。白いコウモリがいた(杜)■私は五年生担当です(菊野)
いますれ違った自転車無人だったよね      烏鷺坊
■そうだったかな(菊野)■新境地!怪談俳句(勝之) ■で、やっぱり無灯火?(裕)■知るか!!(杜) ■「見てなかった」で終わる会話(規夫)■何で俳句は575であるのか?「切れ」を存分に使って、空白に語らせようとするからだぜ(等)

ヨーヨーの青い方だけ萎む朝          唖々砂
◎烏鷺坊◎勝之◎三太◎吾郎
■ヨーヨーって、あのヨーヨー? あ、風船のね(規夫)■なんかヘンな句ばかり並んでると、こういう句がホッとできるんだなあ(勝之) ■あれはどこか侘びしい。いろいろと(裕)■どうしてか、そうなんだよね(杜) ■「青い」、「朝」がこの句にとって何なんだよ(等)

中年は純粋無垢のうぜん花這う         菊野
■そうかなあ、ドロドロの中年ばっかだぞ、この界隈(規夫) ■そういや、勝ちゃんはいっしょに歩いていて、のうぜんを見るたびに「あ、ハイビ スカス」と言う。そのつど「あれはのうぜんだ」と訂正したが、なおらん(裕)■そう思い込む中年の何と多いこと(杜)■「中年は」なんて、語るのは、どこかの評論家みたいだぜ(等)

漕ぎ出でて星瞬き老犬逝き           白玉
■家の愛猫も今老衰です(菊野)■忙しいこった(規夫) ■映画みたい。時間が均一に流れていくのはちょっと(裕)■うちのボニーちゃんは大往生だった(杜) ■「漕ぎ出でて」が軟弱(等)

ということは絶倫か風鈴か選ぶわけ       烏鷺坊
◎杜
■何か良いなァこの言い方おしゃれ!!(杜)■「りん」で合わせたぶん遊び度が浅くなったと思います(規夫)■夏はやっぱ絶倫より風鈴でしょ(勝之) ■なんか微妙なかんけいみたいっす。長い長いお話のひとこま(裕) ■いいよ、もう、クソ垂れ流せ、但しあんさんの便所だけにしてくれ(等)

柴又ッ子新盆に逝き送り花火          三太
■イロイロカサナリスギ(裕)■送り花火っていいねぇ(杜) ■威勢のいいこった(規夫)■ですからね「1+1=2」れすよふがふが(等)

アズナブールな一重瞼だ青蜥蜴          等
■なんかオシャレなお庭!(規夫) ■青蜥蜴がすこし惜しいかと(裕)■うちのやもりミイラになって消えた(杜)

原子ボンテクノファシズムチェックメイト    白玉
■もともとは何ボンだったけ。あったよなあ。うー、忘れた(裕)■これ、「眉毛ボン」にしましょう(規夫)■ウーンむつかしくてわからん(杜) ■ああ、新種のおまじないね、「いぼころりたこのすいだしちちかえる」(等)

存在の耐えられないのろさ炎昼のチンカタン   唖々砂
◎勝之     
■「チンカタン」って何? 当番頼む(規夫)■広辞苑にはない単語、鎮火譚じゃあ意味ありげな暴走族だし。唖々砂にこっそり聞こうっと(当番)■うふふ、何だろ。チンカタンが好きっす(勝之) ■チンカタンってなんだい?(裕)■存在が耐えられないと言う奴の存在が耐えられない(杜) ■「存在」ですか?「チンタカン」なんて知らないけど、クソをクソーと引き伸ばすのはやめてくれ(等)

海はまっしろ何処かで鳥籠を編んでいる      裕
◎菊野◎勝之◎等◎唖々砂
■う〜ん、メルヘン。弱いんだわメルヘンに(勝之)■そうかもしれない(杜) ■いただきたい句ですが、「何処かで」はやはりダメ(規夫)■「何処かで」が無いほうがいいね(等)

俺のカーに猫がしょんべん月蝕光         規夫
■マイカーと言えばすむものを(裕)■変な味。好きです(勝之)■これは猫を飼う者として一言。猫は必ずしょうべんは土や砂の中でやります(菊野)■くさそう・・・(杜)■うちの猫はフェル君と言います。おぼえてネ。スペイン生まれでフェルナンドが本名です(規夫)■「カー」を「カカア」にしろ(等)

蕗噛んで吐血のつけと殿下寄付           吾郎
■この頃やっと回文の見分けがついてきた(菊野) ■こりゃ、意味なしなさず(裕)■早く病院へ行きましょう(杜) ■苦しいな、とらんぜオレは(等)■★★★(規夫)

ふと気づく乳のしこりや立葵            菊野
◎烏鷺坊
■こういうことは句にするよりも医者に告げたほうがいい。トウチャンが気づいたにしてもね(規夫)■すぐ病院に行きなさいね(勝之) ■もみほぐすしかないなんて言ってる場合じゃない。即、病院へ(裕)■早く病院へ行きましょう(杜) ■本人が深刻な状態かもしれないので、差し控える。一句独立の句としては単調(等)

君なくて天上の涙も涸れてをり           三太
■言われてみたい(菊野)■いいなァ、こんなの書いてみたいな・・・(杜)■・・・・。(勝之) ■古代的ですねえ(裕)■こういうのってなんなのだろう? 中学生の頃、プログレやハードロックの歌詞に大笑いさせられた感じかな(規夫)■すごいね、カーナービーツの愛ちゃん、どうしてる?(等)

てんてんたいようさんはらわたあせも        吾郎
◎菊野         
■根拠はないけど良いと思う(菊野)■・・・・。(勝之)■いちおう面白がるべき句(規夫)■いんきんさらしてかわかしたっと(裕)■幸福とはこういうことか(杜)■それからどうした数え唄(等)

炎天や犀の背中に蓋がある             裕
◎規夫◎烏鷺坊
■なるほど、犀はそんな背中をしている(規夫)■僕も常々そう思ってました。だから意外な発見でもなかった(勝之)■知らなかった(杜) ■「蓋がある」じゃあなくて「蓋」がどうなったかが問題なんだよ(等)

ところてん棒高跳びのスローモーション       等
◎規夫◎三太◎白玉◎唖々砂        
■季語の質感は、中下に付きすぎのような気もしますが、いだだきます(規夫)■なるほど映像は見えるが(裕)■あれ、面白いよね(杜)

月食の傷跡ふうわり赤い雲             杜
◎三太◎白玉              
■あんさんも見はりましたか(勝之)■月食の傷跡ってドラマ天狗すぎ(裕)■月食のあとは月が赤く見える(杜) ■そうでしたか、見なかったな(等)■別の視角への展開が欲しかったですね(規夫)

骨刻み山野を駆け抜け眼を閉じる          白玉
■関東軍か南方戦線か・・・(菊野)■忙しいこった(規夫) ■そういや、宮崎君どうしたかなあとなにげに(裕)■空を飛ぶことを自覚しているヒトだね(杜)■さいならー、いそがしそー(等)

若さまき散らす夏の花もう眠い           杜
■中年なのねえ。だいたい小生の場合は午後2時ぐらいから昼寝することにしとる(裕)■頼むからまき散らさないで! むかし(ちょっと長くなる)高校の2年上の卒業式で、ハンコウテキな先輩が卒業証書を細々と破ってまき散らし、壇上から去った。私の友人(現在ジャスコ勤務)がそれを見て、「ああ惜しいな。撒いてからチリトリとホウキで掃除したら、絶対に笑いが取れた」としみじみ言った(規夫) ■ふふふっ、ばれ句として読んだよ(等)

森首相中国人説くらげくらげ            裕
■面白いです。こういうリフレンは、この界隈の愛すべき財産ですね(規夫)■あいつは阿呆じゃ。ゲラク下落ゲっ楽(杜) ■あのな、藤波孝生しっとるやろ、リクルート株疑惑が発覚したとき「控えめに生きる幸せねぶか汁」という俳句作りおった。今度、禊ぎの後当選したがな、そしたら、「有り難きかな天地に百合溢れ」と作ったんや。どや、しぶといんやでえ、くらげくらげはあんさんや(等)

カッキーン氷イチゴの自縛霊           烏鷺坊
■面白い!(勝之)■こういうのを笑える風土には育たなかった、残念だけど(規夫)■まあ、たしかにそうではあるが(裕)■ウフフ、カワユイ(杜) ■こめかみが痛くなった?(等)

サンダルが痛いのでもう歩けにゃい        唖々砂
◎杜
■「にゃい」が面白い(杜) ■猫がサンダル履いてんのか(等)■私もよく「オレンジジュウジュウ、飲みたいにゃあ」なんて口走ってる純粋無垢の阿呆中年です(規夫)■「にゃい」ってなんやねん。甘えてんじゃねえぞ、ペシペシ(勝之) ■もはや言うことありません。ゆっくりお休みくだされ(裕)

友の魂揺れる揺れる夏金魚           三太
■わざわざ夏ってつけるかあ。出目金ぐらいにしときなさいな(裕)■揺れるは一回でもいいような気がした(杜)■金魚は夏の季語。二重に重なっている(等)■こういうのってなんなのだろう? 中学生の頃、フォークソングの歌詞に大笑いさせられた感じかな(規夫)

ヘビ散歩境界線を引きながら          杜
■林の境界か畑の境界か、どちらかしら(菊野) ■まったくそのとおり。くちなわだからねえ(裕) ■この見立てはあまりにも理屈(等)■ヘビが歩くと、凄い絵。だから中下はいらなくて「ヘビ散歩」だけでいいのでは?(規夫)

蛇だってのけぞって死ぬこの炎昼        菊野
◎白玉◎杜         
■まったくそのとおり。ヘビの蒲焼き(裕)■ダハハ、絵にはなるから好き。少しエロッぽいし(杜)■「だって」と「この」が邪魔くさいから、まず捨てるのかなあ。ついでに「のけぞって」も。すると「蛇が死ぬ炎昼」(規夫)■初めは「死ぬわい」にしたんだけどどっちもダメか(菊野)■これもそう、なんでオクンチは無季より季重なりが多いか、疑問(等)

草いきれガラガラガラ瓦礫遺作         吾郎
◎等
■ガラガラガラなんてやっても回文になるんだあ(裕)■よくできました。回文ってわからないところがすごかった(杜) ■いいのではないでしょうか、ガラガラガラは二つでも成り立つけど(等)■★★★★(規夫)

おまえのぷう銀河のふとんの端つかむ      規夫
◎裕◎吾郎◎等       
■すごい音とにおいか、それともスーと溶けていく感じか(杜)■臭くなさそうなところがいいです。いただき(裕) ■カワイイ(勝之)■絵本にしてみたらいいかも、長新太に描かすか(等)■私の妻はよくオナラをします(規夫)
〔以上31句〕

〔総評・近況集〕
▼ヤッホッホ夏休み。夏休みなので心が解放されてコメントが書ける。(菊野)
▼月蝕の晩、うちの組の若いもんと焼き肉食べてから帰ると、ご近所さんたちが道に椅子出して月蝕見物。私は道に寝る。若いもんのうち1人は、この春から習い始めたピアノの発表会が間近なので、うちのピアノで練習。開けておいたドアから、たどたどしい「月光」が道まで聞こえてきて……オジサン、ちょっとセンチになっちゃった。(規夫)
▼朝から息子と朝食作り。楽しい夏休みが始まる。万華鏡を作ってみたい人は、七月三十日(日)3時半から新小金井駅から歩いて一分のところにある東センターで作ります。是非来てください。あと飲み会もします。来てくださる方は連絡してください。042-385-4613早崎です。(杜)
〔当番より〕
▼次回の当番は規夫。

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九の付く日のFAX句会 オクンチ 第67回 2000年7月29日  土曜日
〔今回は等さんの3句選〕
一瞬の干草の匂い持ち歩く  珠子
◎等◎吾郎
■赤黄男ばりですねえ(等)■そういうヤバイものは持ち歩かないように(勝之)■中米でそういう男の人がバスに乗ってきました。ズボンが草臭い。懐かしいなあ。吟行句だったら、きっと上位にいくと思う(裕)■今回の暑苦し俳句大会の中では好き(吾郎)

避暑地の恋塩基配列三〇億  三太
◎白玉◎等
■兆の単位じゃなかったのかあ、細胞一個一個が欲望ですからねえ、「避暑地」が効いていて、そのあと突き放していますから、パット火花が散る(等)■やはり命は原子生命体。再び配列を繰り返すミステリー(白玉)■なんか、タンパク質とか精子とか、あらぬ方向に考えが向かってしまって(裕)■なにやってんだか(吾郎)■避暑地の恋は遺伝子のなせる業ってか(勝之)

茄子の馬軒に煙草を灯す家  勝之
◎白玉◎等
■亡くなった人はきっと煙草が好きだったのでしょう(等)■何と粋な住人。私だったらテキーラ吊すかも(白玉)■なんのこっちゃら(勝之)■「吊るす」の誤植じゃないの? 燃やしちゃったら商売にならんし。それとも蚊遣代わりに煙草をいぶしてたのかあ? いまはどうか知らんが、専売公社時代は一枚ずつ数えていたとか。以前、飯山の煙草畑で、畦道に落ちていた葉っぱを巻いて吸ったことがあったが、えらく旨かった(裕)■やっと俳句らしく?なってきた(吾郎)

〔以下順不同〕
のうぜん花水道屋が自転しており  等
■おもしろいな。水道屋がくるくる廻りながらバルブを閉めてんのかなあ。今回、好きな句が多い。3句選はツライ(規夫)■うわー、トルクレンチで無理やりひねったような句。ねじれてまんなー。すっきりのびのび、かつインパクトのある句って、昨今、むずかしいかなあ(裕)■うまいんでしょうが「水道屋が自転しており」がテクニック見えすぎかと…(勝之)■下五はもっとやわいほうがいいかなと(吾郎)

夏蝶や狂はず老いてゆく長さ  烏鷺坊
◎勝之◎珠子◎唖々砂
■「狂わず老いてゆく」のは作者でしょう、なら随分大げさな表現だと思いますよ。暗喩か、寓意で表現したほうが読み手に受け入れられるでしょう。最後の「長さ」だって、うるさいですよ(等)■覚悟みたいなものですか(吾郎)■「狂はず」が少し安いかなあ(裕)■耐えているのねっ(唖々砂)■いっそ狂ってしまえ(勝之)

夜の雲だいたらぼっちが穂を揺らす  裕
◎三太◎珠子
■もしもし、もののけ姫か(勝之)■採るかどうか、あとの句次第。なんか違うって気がするんですね。なんだろう、寓意表現だとしても、どこか皮膚が摩擦熱を出すようなリアルさが一点欲しいな。結局、他に好きな句があって落選(等)■タイム感はいいんで、あとはフレージング‥‥なんて、偉そう?(吾郎)

蒸し暑し脳細胞ががさり減る  珠子
◎勝之
■実感。「がさり」が効いてます。こわれセンベイみたいな脳ミソ(勝之)■「がさり」というと、少々がさつかなあ。「ことり」とか「ぽつり」とかのほうが私の趣味。押しつけるワケじゃないけど(裕)■「が」不要論に一票(吾郎)■Don't worry baby脳細胞も量より質だ(規夫)■いっそ全滅しちゃえば、散文だね(等)

さんべんまわってわん肌あわす理由  十四郎
◎裕
■深い理由なんかないと思うが、誰でもそんなもんでしょう。だからさんべんまわってわんなんだろう。いただき(裕)■最近ノースリーブが多すぎ(吾郎)■「理由」は分かりすぎ。「根拠」なら採ったかもしれない(等)■「あなたの犬です」ってか(勝之)
投網打ち波間のスズキ彼岸の花火  白玉
■御当地ソングの演歌はこう並べるよなあ(等)■雰囲気単語集(吾郎)■すべてジャムだけ詰まってる三色パンみたいな句(裕)■なんのこっちゃら(勝之)

テキーラとザッパ胃に浸む夏育児  唖々砂
■知らんもんだからネット上の写真で見たら、幼児誘拐でもやらかしそうな変態のおじさんだった。http://www.geocities.com/Vienna/Strasse/3374/midi.htmlで、いろいろ曲が聞けたよ。いやーおくんちは勉強になる(裕)■テキーラとザッパはミスマッチ。喰い合わせ悪いでしょゲロゲロ(勝之)■ザッパってフランク・ザッパ?取り合わせが作為的に感じる(等)■『you can't do that‥‥』BOX一部入手(吾郎)

夢でもし逢へたらゲバラ好きですか  三太
◎烏鷺坊
■もちろん好きっす(勝之)■うーん、逢ひたくないです。あまり話しても楽しそうな人じゃなさそうだし。たしか骨はハバナまで送り返されたと聞いたが(裕)■感涙。この句の作者と俳句で遊んでもらえる仲間であることを誇りに思います。ありがとう。ほんとにありがとう(烏鷺坊)■チェは舌打ちじゃないのよね(唖々砂)■ポップスにありますなあ、この出だし。こんな(俳)句、面白くありません(等)■大滝詠一2001年春復活予定(吾郎)

冷蔵庫紙漉き住処楮入れ  吾郎
■うまいんだか破綻してんだかよく判らない迷作(勝之)■楮入れと冷蔵庫の関係については私も以前から着目しておりました(近況・参照)。紙漉き、と関連させた点でこっちが巧い。師匠に脱帽です(烏鷺坊)■この回文、苦しい(等)■師匠、夏バテ(裕)■★★☆(規夫)■「つきすぎ承知」(吾郎)

還暦のあした少年花氷  烏鷺坊
■まず、永田耕衣が作りそうだと、そう思います。しかし耕衣ほど虚のエネルギーを感じません、だから採りません(等)■よさげ(吾郎)■中年後期的抒情がちょっと感じられるぜ(裕)

遠雷やあひるの水は濁りたり  裕
◎規夫
■こういうの選ばない人が多いんだろうな。オクンチの悪しき風習(規夫)■実景だとしても、作者が景を切り取る角度のようなものが見えるというところかな、四句◎だったので、残念、この句、◎止めます(等)■だんだんわからなくなってきた(吾郎)

リーマン空間の扇風機なり尋常小学校  等
◎規夫
■まあ、この手のモダニスム、すごく好きなんです(規夫)■なんのこっちゃら(勝之)▼定数 a、b、c、d が複素数で、ad−bc≠0であるとき関数を一次分数関数といい、これより定まる写像を一次分数変換っていいます。もすこし詳しく言うと、これは c≠0のとき−d/c 以外の複素平面 C 上で定義され、c=0のときは複素平面 C 上で定義される。a:b:c:d が一定であれば同じ関数を表すから、ad−bc=1と仮定しても一般性を失わない。c≠0のときはこの一次分数関数は C−(−d/c)から C−(a/c)への1対1上への写像を与えるってわけです。c=0のときは C から C への1対1上への写像を与えます。ところがc≠0だと、 z を−d/c に近づけると、対応する w の絶対値は無限大に発散します。また z の絶対値が無限大に発散するとき wの値は a/c に近づきます。そこで z=−d/c の像を∞と定義して無限遠点∞を考えることにし、∞の像を a/c と定める。c=0のときは∞の像は∞と定める。このようにして、一次分数関数は複素平面に無限遠点をつけ加えたものから、それ自身への同型写像と考えることができます。この写像が一次分数変換です。ちなみに、逆写像も一次分数変換です。また4点 z1、z2、z3、z4の非調和比(z1、z2、z3、z4)=(z1−z3)/(z1−z4):(z2−z3)/(z2−z4)は一次分数変換によって変わらない。この複素平面に無限遠点をつけ加えたものが「リーマン球面」ってわけで、「リーマン空間」って、これのこと? リーマン幾何学がわかる人、この界隈には少ないだろうな、残念ながら(当番)■おかげさまでリーマンがガウスの弟子で、四十歳で死んだ十九世紀ドイツの数学者であることが広辞苑でわかりました。リーマン空間って、クラインの壺とかメビウスの環の親戚? わかんないけど、とりあえずありがとうございます(裕)■「リ−マン」は一応辞書引きましたけどね。非ユークリッド幾何学なんていわれても、あたしゃ困っちまう。それよかサエキケンゾウのリーマンズの方がリアリティがある。ま、どっちもどっちか(吾郎)

夏はさみしいどこを切っても金太郎  十四郎
◎白玉◎三太◎規夫◎珠子◎裕
■共感。このはかなさはいつまで続くのだろう(白玉)■はいはい(勝之)■「どこを切っても」は説明だが、自明を言って面白い場合とそうでない場合がある。この句は後者(等)■『the法然』編集者の一人として、いただかねばならない句(規夫)■「ねじ式」以来、金太郎アメはもうみんなのアイドル。「夏はさみしい」と意外に食い合わせがいいね。いただき(裕)■古典芸能(吾郎)

さざなみに満開提灯走馬燈  白玉
■正月の鏡餅だって、同じ大きさを重ねても、しょうがないですわ(等)■そうですね(勝之)■湘南+夏祭り+縁日かあ?(裕)■雰囲気単語集其の二(吾郎)

炎夏の犀耳立て風を聞いている  勝之
◎裕
■「風を聞いている」なんてふるーいセリフ言うな(等)■言い過ぎ(吾郎)■この句は、ほかの形でもいろいろ組み立てられる。それはモチーフが上質だからだね、きっと。もっと調子を整えてもいいかなと思うが、これでもいいや。いただき(裕)

星は夏ロシヤの一座五千円  唖々砂
◎吾郎
■何見せてくれるんだろ。ちょっと足穂か(吾郎)■「星は夏」がねえ、チョット(等)■なんか、ありていもなく説明しているようで、へんなの(裕)
常夏男舞うまことオツなこと  吾郎
■ああ、いけませんなあ、この回文(等)■師匠、師匠、師匠(裕)■★★★★(規夫)■暑苦しくはないでしょ(吾郎)

南風吹く俺のカカアの青いつむじ  規夫
◎十四郎
■そうですか、としか言えねえ(吾郎)■頭に蒙古斑。それともカアチャン青筋立ててるの(勝之)■ご同情申し上げます。いや、共感っす(裕)■前回、大穴聖人から与えられた宿題ってことで(規夫)■今度は「カカア」より「カー」のほうが良さそう(等)▼う〜ん、課題をこなすのはなかなかむずかしい(当番規夫)

ひたすらに鳩の蛩音ぽーんと月  裕
◎勝之
■いただきたかった句。「ひたすらに」も気にならない。(規夫)■「鳩の跫音のような月がぽーんと」もあるなあ(等)■よさげ(吾郎)

徹夜酩酊議論翌日後遺症  三太
■……(勝之)■二日酔いの眼には蟻が這っているように見えて(裕)■日々之反省夕暮再発症候群(吾郎)■我理解、対中国人筆談(規夫)■自業自得(等)

聖母像どどんとうしろ夕焼ける  烏鷺坊
■いただきたかった句。「聖母像のうしろどどんと」としないところが、やっぱ上手ということでしょうね(規夫)■「どどん」が効いている。映像もしっかり。四番目の句(裕)■好感(吾郎)■「どどんと」で読者をイカセルことはできないよなあ(等)

せみがなくきのうもあすもきょうのとなり  十四郎
◎三太
■そんな感じがするなあ(等)■「せみがなく」じゃ、ちょっとおセンチかな。もらい泣きしながら、いただきそうになった句。(規夫)■暑さはこれから本番ですが、ひらがなづかいにそこはかとなく夏の終わりを感じさせられました(裕)■いろいろ言われるんだろうなぁ。でも好きよ(吾郎)

静けさに揺れる想いの屋形船  白玉
■それからどした(勝之)■スムーズだが、まったくトルクのないエンジンではクルマは走らん(裕)■いろいろ言われないんだろうなぁ(吾郎)

一人居の程よき暗さ天瓜粉  珠子
◎烏鷺坊◎吾郎◎唖々砂
■湿度の低さに一票(吾郎)■程よい(烏鷺坊)■「程よき」に、やはり中年後期的抒情が感じられる(裕)■これもイカン、イカンとキャイーン(等)■誰に一人居をさせるかで色っぽくなったり薄気味悪かったり(唖々砂)▼そ、ディヴァインの天瓜粉。でも、この句はやはり色っぽいよね(当番)

くろんぼさくらんぼ足の裏ピンク  勝之
■「足の裏ピンク」でモロ出し(等)■まんまやないか、ひねんなさい、ひねんなさい(吾郎)■てのひらはどうすんのさ(裕)▼手の内をそこまでは見せないっつうことで……じゅうぶん見せとるわい、と一人ボケツッコミ(当番)

ダバダバズビズビの浄土僧や雨漏り  等
◎烏鷺坊
■とりゃにゃならない挨拶句、ときたこりゃ(烏鷺坊)■アハハ、スキがない。取ろうかと思ってしまった(裕)■「ズビズバ〜」の故左卜全のその次のシングルは全然流行らなかった「拝啓天照さん」。何がすごいって、A面のコーラスが「ズビズバ〜」と同じ少女声、これはいいのだが、同曲のB面が、おばあちゃん声のコーラス(規夫)■おもしろそうな、おもしろくないような(吾郎)

月蝕譚ディヴァインの舌うう嘔吐  唖々砂
◎十四郎
▼誤植、申し訳ありませ〜ん。しかし、ディヴァインの下敷きになった唖々砂さんをアリアリと思い浮かべ、当番、個人的にはかなり楽しめた(当番)■すみません、この方(下)が3倍くらい好きです(吾郎)■「下」でいただきます(十四郎)■はたしてそうなったら嘔吐するかどうか、意外とごっくんだったりして。うー、もうやめよ、やめよ。それはともかく量感がある句だね(裕)■ドモルコフスキーのゲロリンマン(等)

蚊遣ブタあっちむいてほい  吾郎
◎十四郎◎唖々砂
■やるか、アホ、口開けているだけが商売や(等)■蚊遣ブタのもしもし(裕)■手抜きじゃないよ、不要物を省略したらこうなった。ま、それだけのことです。うえ〜〜〜ん(吾郎)■「さんべんまわってわん」とか「どこを切っても金太郎」とか既成の言葉を使う安直に優る愉快があるので(十四郎)■ブヒッ!向けんわ!(唖々砂)
〔以上31句〕

〔総評・近況集〕
(前回の唖々砂さんの句「存在の耐えられないのろさ炎昼のチンカタン」について…)
▼要約すると「炎昼の平参平(タイラサンペイ)」です。チンカタン=バランスの悪い歩き方を擬音化したもの。母信子の造語です。(唖々砂)
▼わけあって少し回文俳句を作りました。師匠筋の大森工房、兄弟弟子のインクス・ホームページには別便で全句送りますが、ここに一部ちょっとだけ開陳。「水戸昼菜お茄子に素直なる眸」「横道の婆さま飲まさばのち巫女よ」「死すや駅軒継ぐ月の消えやすし」「伊賀子の刻忍者人肉この願い」「筒海や色白い闇うつつ」「楮入れ臭みのみ咲く冷蔵庫」「深山荒地を散れ安産師」「煙草消す靴底ぞ突く透け小旗」「カギカッコ付き吹く不吉国家擬歌」「前衛も句会改革も言えんぜ」「冷気凍て確かに貸した定期入れ」「要らば虚子磨かぬ鏡暑気払い」「リアル暇連れ行き揺れつ真昼あり」「片手討ち獄下の覚悟ちうてたか」「調べこのモナミの水面の子減らし」「勘も嘘呑込みこみの相聞歌」てなヤツです。お恥ずかしい極みです。失礼しました(烏鷺坊)
▼兄弟子の烏鷺坊さんにならって私のオソマツも。去年のものですが、「何億個葬列を連れ嘘こく女」「真の言霊いきつつ月いまだ床の間」「気圧は苦しきシルク初秋」「烏賊食はば残るこの場は苦界」「椎の実や野分の際の闇の石」。(規夫)
〔当番より〕
▼お気づきの方もいらっしゃると思いますが、前回、清記リリースでは存在した勝之さんの句が一句、合評リリースではどこにもない。これ、規夫当番のミス。作者の勝之さんに打診したところ、再リリースを希望されなかったので、そのまま訂正はお送りしていません。「マボロシの一句」ということで、ご容赦。
▼次回の当番は規夫。

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九の付く日のFAX句会 オクンチ 第68回 2000年8月9日  水曜日

〔今回の出来事〕
鉄砲玉よけ冷麦すするなり   亞子
◎美智子◎杜
■ハハハ、オモロ(勝之)■日本にも銃撃戦ついに上陸(美智子)■10000メートル上空のB29に怯えたこと、500メートル離れた工場への機銃掃射に震えたこと、現代の鉄砲玉は?(邦夫)■な〜んかカンフー映画みたい。感じいい(規夫)■敗戦記念日にはこんな風景もありそうだ(杜)■四谷の右翼と暴力団の撃ち合い。現場にいましたか(等)■時事ネタざんす(亞子)

〔以下順不同〕
水死体のような男で胡瓜臭し   裕
◎唖々砂
■子供の頃見た、浜に打ち上げられた水死体といったら……。見たことある?(美智子)■カンベンしてよ〜(亞子)■友達にはなりたくないが気になる(唖々砂)■キュウリ臭いのはバッタとかスズムシだけでけっこう(勝之)■ちと胡散臭し(邦夫)■「ような」の難しさ(吾郎)■まあ、面白過ぎるというところ、結局、男だけが在って、あとはフワフワ(等)■今はバイアグラもあるし、そんなに悲観せんでも…(杜)

ふとももに子猫のふるえ生きていろ   唖々砂
◎十四郎
■今日の私は情にもろい(十四郎)■実感、共感。「の」は、連体修飾語を示すか主語を示すか。「ふるえ」は名詞なんだろうな(邦夫)■あ、ダメ! 太股で絞め殺しちゃあ(規夫)■声だけが大きいのは、ちょっと、ご勘弁を・・・・(等)

接続へクリック八月動き出す   珠子
◎烏鷺坊
■「接続へ」がなあ(邦夫)■「接続」、「動き出す」の説明で、句の「切れ」がしょぼくれた(等)

夏は濃し厄年過ぎなお厄続く   勝之
■同情しますとしか言えねえべ(等)

父青く娘思春期花葵   杜
■反対だと面白いのにね(美智子)■今日日思春期がなくなっているような気がしますね(邦夫)■「青く」がひっかかったかな(吾郎)■「父青く」以外は事実だと言われればしょうがない。しぼんじゃったぜ(等)

日記今日も特記事項なし立秋   邦夫
◎烏鷺坊
■一時予選通過組(吾郎)■ウヘー、固い日記でんなあ、定型日記(等)■夏やのにワビシイ毎日や…(勝之)

炎昼の脳がきらいな歌うたう   十四郎
◎珠子
■どんな歌? 聞いてみたいでんな(美智子)■この二三日同じ状況・・・(邦夫)■かかり具合でいろいろ楽しめる(吾郎)■狙っているのはわかるんですが、「歌うたう」は具体的な「○○歌」かと思いますよ(等)■オペラとかカンツォーネだろうね、やっぱ(勝之)

江戸川花火アインシュタインの舌ぺろり   等
■感じいいですよね。二〇世紀が終わるって感じ。見上げる人がみんな、いい表情してそうな花火(規夫)■「花火笛紺野美紗子の首上る」。とても、かないませんね(邦夫)■以前、理科系の学生に就職情報を送る角2封筒全面に蛍光ピンクでアカンベーシュタインの顔を刷ったことがありました。手前味噌(十四郎)■確かにあの写真のインパクトは強い(亞子)■納得したらおもしろくない句なんですよね、きっと(美智子)

慈雨と絹莢いやいや讃岐湯治   吾郎
◎等
■とったのは「ラムネ玉」。いやいやこれも捨て難い(亞子)■すごい出来、大作(等)■うまく作るもんですね(邦夫)■★★★☆(規夫)

二人来るまた二人来る盂蘭盆会   烏鷺坊
◎珠子◎吾郎
■リピートが快感。小津的風景に一票(吾郎)■…そうやってお布施を数えてらっしゃいな(亞子)■なぜか「二人」が多いんだよね(邦夫)■最初は「おすぎとピーコ」、次は「リンリンランラン」(等)

原爆忌ラップでくるむ瓜半身   美智子
◎十四郎
■昔、我が家が九人家族だった頃は・・・(邦夫)■情にもろいので(十四郎)■なんで瓜「半身」まで言わなければならないか、わからないのれす(等)

円周率をうたうくちびる土用波   規夫
◎亞子◎邦夫◎裕
■「うたう」のがイイよ。覚えるときは特に(亞子)■「掛け算九九一人声高合歓の花」。やはりお主の勝ちだ(邦夫)■面白いんですが、「をうたう」が不満(等)

でぐんだぐん車突っ込む大夏野   珠子
◎吾郎
■擬音の勝利宣言(吾郎)■これ、カッコイイ!「俺のカー」句にいただき(規夫)■見たな! 四駆を過信すると危ないのだ(邦夫)■「でぐんだぐん」だけやないかあ、このリズム、以下の語に係わっていないわ(等)
しびれるまで背伸びをしたよ大夏野   亞子
■「しびれる」が強いんだろう、そして、大夏野にみんなついてるんだろうな(等)■それはよござんした(勝之)■はいブリッ子句(亞子)

満天の星むず痒きレタスかな   裕
◎規夫◎杜
■レタスの質感がなんともいえず(規夫)■うーん、面白いのだが、「レタス」がピンとこなかった。「ゴーヤチャンプル」なら採ったかも(等)■「かな」が余計カナ?「かも」がいいカモ(美智子)■八ヶ岳俳句?(亞子)▼当たり〜・・・でしょ?(当番)■プラネタリウムでしか満天の星を見たことないから、入れちゃったァ〜(杜)

青首大根擦っておのれを責めている   邦夫
◎珠子
■さぞや辛いダイコンでせう(亞子)■最近、怖い奴多いからなあ、次はオレを責めてきそう。「擦って」がなければ、別の句になっていたな(等)■小さな罪と罰(勝之)■ウッソ〜!(杜)

宮田仕込む場阻む木下闇   吾郎
■座頭市が作った回文、苦しいぜ、宮田は宮田輝まで言ったら絶対採るよ(等)■回文は難しいという標本か(邦夫)■エッ、これホントに師匠作? またニセモノがまぎれこんだか?(勝之)■★☆(規夫)■いぢめて、もっと(吾郎)

ドナドナを唄っていたり夕寝覚め   勝之
◎美智子
■もの哀しいメロディーと夕寝覚めのあとの風景が重なりますね(美智子)■なんか悲しいネ。でも、甘えてんじゃねえよ、の声も台所から聞こえてきそう(規夫)■身売りされた夢でも…?(亞子)■うん?リタ・クーリッジ? 自分が寝覚めろよ(等)

麦茶煮るやかん底だけたいらかな   十四郎
◎烏鷺坊
■いい感じ。でも、上五はどうなの? あと「かな」もどうなの? 作者はほんとに575にしたかったのかなあ(規夫)■「麦茶煮る」と「やかん」の並記は好みじゃない。やっぱり上五は食い物じゃないよ(等)

ナタデココ舌も筋肉立秋だ   杜
◎亞子
■ハハハ強引な季語も立派。ナタデココはココナツの筋肉だ!(亞子)■上五がどうも納得できないが、「舌も筋肉立秋だ」がものすごく面白い(規夫)■元気ですねぇ(美智子)■「も」が惜しい(吾郎)■「舌も」の「も」が不満。好みなんだけど、「立秋だ」の「だ」が効いていな
いのとちゃう?「も」と「だ」の並記が双方を弱めてるのかな(等)

ジャズの湧く穴ぐらあらかじめ晩夏   烏鷺坊
◎唖々砂
■「どん底」のこと(唖々砂)■「あらかじめ」なんて言うヤツぁーあいつだっ(亞子)▼当たりです(当番)■あのウンコのようなジャズ喫茶? 飯田橋の?(規夫)■ACBによく通いました。スゥイングジャズは秋近い頃がいいですね(邦夫)▼アシベ! 私の世代はビリヤードでしたね。でも懐かしい(当番)■18文字かぁ。「ぐら」はやっぱ要りますかね(吾郎)■「あらかじめ」晩夏じゃ「あらかじめ」が生きてこない。これがテコになってどんでん返し、だと思うんですけどねえ(等)■ジャズと言われて一家言ある人は多いのだゾ(十四郎)

ヒロシマや海豚あきらかに吃音   等
◎規夫
■「広島や」で作ることの難しさを承知で、比較的うまくいった句だと思います(規夫)■「あきらかに」なんて言うヤツぁーあいつだっ(亞子)▼こりゃあハズレ?当たり? やめてよ「あいつ」なんてお茶の濁し方。男らしくズバっと言いなさい(当番)■何故ひろしまか。それもカタカナ。中、下はすきなんだけど(吾郎)■父が広島の生まれで、原爆で子どもをなくした知り合いがいて、いまだにその話が出ると泣くのです(杜)

秋近し人魚を海にかえしてきた   唖々砂
◎勝之
■OH! ブコウスキー、好きっす(勝之)■まあ、なんとも、メルヘン。夏はどうしてたのか、それを匂わせて欲しいところか(等)■どこに返すのなら面白いのだろう?と一瞬考える。「父に」?(規夫)

蝉時雨赤子の首は夜渇く   美智子
■おどろおどろは止めなさいよ、「夜渇く」はチンプだよ、なんで渇くか説得力ないよ。「渇く」は喉が渇くと使う。乾くだろうよ、首なら(等)■いいっすねぇ、4句目の句(勝之)■妊娠おめでとう(杜)

炎昼や老婆の描くあいうえお   裕
■奇妙だが、ねらい過ぎの感も(吾郎)■おぞまし(勝之)■だから、何なんだ、どう感じたかさっぱり言わない。こう言うのを「サルにもできる客観写生」と言おう(等)

カウンターテナー花が虫を食べる   亞子
◎規夫◎等
■いさぎよい句。文句ナシにいただく(規夫)■「食虫花」ね。「カウンターテナー」は何か知らないのだが、雰囲気でいただきました(等)■シャレ?(勝之)■カウンターテナーと言われて一家言ある人は多いのだゾ(十四郎)

完熟のトマト沸点の脳味噌   邦夫
■「沸点」に弱いあなたね(亞子)■この人、どこかで落とせないのね、つらいね(等)■脳インケツ、付きすぎ(勝之)■つぶせ!つぶせ!つぶせ!(杜)

夜のひとりほおづきが宇宙に   唖々砂
◎邦夫◎吾郎◎十四郎
■夜の「ひとりほおづき」が宇宙に・・・。なぜか「やまなし」を連想して・・・(邦夫)■「ほおづきが宇宙に」っていいな。いただきたかった句(勝之)■すいませんひねくれもんで。このまま(ほとり)食べていいですか?(吾郎)■うつくしき誤植の言葉規夫賛(十四郎)■前の「ほとり」の方が良かった。「ひとり」を使うと甘くなっからな(等)▼誤植、すみませ〜ん。前回に続いて、またもや唖々砂さんの句(当番)

トマト冷え切れば真白き人を恋ふ   烏鷺坊
◎美智子
■一行詩として完成していると思う(美智子)■「トマト・・・真白き」か「真白き人」か。いずれにしても好きな句(邦夫)■「れば、れば、れば、れば・・・・」、アバの曲(等)■いくら情にもろくても「人を恋ふ」はなァ(十四郎)

雑踏へ赤子のひとみ原爆忌   珠子
■「雑踏へ」だと視線かな。ヒロシマ・ナガサキが神話になりかかっている時代、赤子の瞳が見ているものは・・・(邦夫)■ゴメン、採れない、なんでや?「赤子」が売り口上にぴったり。「原発事故あり赤ん坊の瞳の奥で/久保周一」を思い出した(等)

夕の雷びっこの犬がついてくる   勝之
◎唖々砂
■「いざり」とか「めくら」とか放送禁止用語に弱い(唖々砂)■人間だったら後ろから見ないでやってほしい(邦夫)■「ついてくる」は余計な説明、そして「夕の雷」の「夕」がピンとこない。「日雷」ではダメなのか?(等)■「ちんばの犬」の方がよかったかなぁ……変わらへんわい(勝之)▼…と、一人ボケツッコミ(当番)
蝉は螺旋ストローのぼるメロンソーダ   等
■力学的にも質感的にも景的にも構造的ですね。螺旋とストローの直線の上昇下降、蝉とソーダの質感の対照。ま、狙いなのかな(規夫)

炎天やたちまち腐る俺のカー   規夫
◎等◎勝之
■ますます日活無国籍アクションになって素敵だわ(吾郎)■こないだから思い出せない。「僕のカー」って歌ってたバンド、なんだっけ?(十四郎)▼「ミーのカー」でしょう? それを十四郎さんから聞いた(当番規夫)■「俺のカー」なんて言える人は限られていますね。このあとに「チャン」つけられる人より(亞子)■頼むから誰か、「ええかげんにせえ!」とツッコんでぇ〜。じゃないと、延々「カー」と「カカア」で作り続けることになる。それはそうと、今回も「カカア」のほうが良かったかな(規夫)■やっぱり「カカア」にしろとお約束通りツッコム(勝之)■ウエーン、いじめちゃってごめんなさい、しかし、しつこいなあ、負けた(等)▼あれれ、奇妙な結末。もっともっといじめてほしかったのにぃ(当番規夫)

線路ぞいの空大きくて稲妻   十四郎
◎裕
■上中は、ほんと、そうですね。しんみりしちゃった。いただきたかった句(規夫)■黙っていても空は大きい(等)

百日紅坂の火葬場喜飢祈棄姫   杜
■「キキキキキ」と読むと何やら背筋が・・・(邦夫)■ありがとう。悲卑秘疲飛(美智子)■梅図かずお、かあ。火葬場とキキキキ姫じゃ、餡子と黄粉だろ(等)

まだ眠らないはずハイなラムネ玉   吾郎
◎亞子◎邦夫◎裕◎勝之◎杜
■極品(亞子)☆これ、回文の傑作ですよ(邦夫)■いいかも(杜)■「まだ」、「はず」の二つはネチネチしていて、もったいないな(等)■★★★★(規夫)■キャー、シビレル!師匠!(勝之)■なんか吹き出しそう(吾郎)

口中の海月が泣いて生体解剖   美智子
■すごいね、オレ、心配しちゃうよ、ほんとに固いクソするんだね(等)■海月の活き造りって美味しそう(杜)
〔以上38句〕

〔総評・近況集〕
▼麻原逮捕の時みたいに、ヘリコプターがうるさいなーと思っていたら、新宿通りに発砲事件。ぶっそうな街だったのだ。(亞子)
▼8月6日(日)SUMMER SONICに行ってきました。にしても河口湖コニファーフォレストは遠い!!往復7時間。ライヴ時間8時間半。何しにいったんだろ、全く。(吾郎)
▼クイズ・リンゴをかじっていたら虫が出た。さあ、どうする?(唖々砂)
〔当番〕びっくりする。 ※皆さんの答えは次回ネ。
〔当番より〕
▼またもや誤植でお騒がせしました。しかしながら、唖々砂さんから「誤植もそれなりに楽しんでるから気にするな。直してほしいときは言うから」とあたたかいお言葉。
▼誤植はchance operation(ジョン・ケージ)の1バリエーション? 誤字と誤植は違うけど、むかしむかし金子兜太がテレビで「誤字のない文章はダメだ!」と言っているのを聞き、俳人とも知らず、エライやつだと、その言葉だけで、このオッサンのことを覚えていた。
▼また、話が変わるけど、間違い(表現がむずかしいな)が、すばらしいものを生む(今回の誤植のことじゃないですよ、くれぐれも)。それがおもしろいとこ。ニューアカデミズム(ナツカシ!)は「差異」っつう言葉を甘美に使いますね。尾崎翠『第七官界彷徨』という小説のなかで一等好きなシーンは、苔の実験に没頭しながら栗だと思って口に入れた丸くて黒いものが実はチョコレートだったこと、その驚きが、実験論文に延々と書き連ねられるとこ。ワンダフルな誤りを積み重ねて、私たちは生きてくんですね、とまとめる。暑い日が続きますが、皆様、お体には気をつけて。
▼次回の当番は井口家。

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九の付く日のFAX句会 オクンチ 第69回 2000年8月19日  土曜日

〔今回は吾郎さん選の3句〕
赤い月上るふくらむ新型パン            栞
◎裕◎吾郎
■「上る」と「ふくらむ」の間が切れにくいのが難点か。今回、やたら赤い月がのぼるなあ(規夫)■バッド・ムーン・ライジング、で新型流線形2000(吾郎) ■ふーん、今の時期パンが気になるのかな2句続いた、盆が終わって食いたいのかな、「月の上る」と「パン」がつきすぎたか(等)

寝そべってつむっても裸と星の距離        唖々砂
◎規夫◎栞◎三太◎十四郎◎吾郎
■前半もたつくが、裸と星の取り合わせに一票(規夫)■モチーフ買い(吾郎)■距離なら「遠い」とくるんだろう、平俗ななかにもドラマ性が欲しいよ、それが笑いであってもいいし(等)

蝉鳴くは食パン一斤の浮力             等
◎規夫◎勝之◎裕◎吾郎◎十四郎
■今回一番。カッチョイイ〜ッ!(勝之)■「は」がかなり不満ですが、「浮力」が意外に嫌みじゃない。こういうのは十四郎さんでしょう?(規夫)■はずれぇ〜(当番)■「は」の研究(吾郎)

〔以下順不同〕
神田川ポイとモバイル棄てられる          白玉
■アハハ、ありそう。そいでオレが拾うの(勝之) ■「笑うセールスマン」来よ(等)
真っ逆さまに墜ちていくもの鳥であった       勝之
■「もの」を「のも」に読んでいた。どっちだっていいけど(規夫) ■人のほうが面白いんじゃないか(等)

プールの底魚の記憶ひと掻きふた掻き       唖々砂
■「魚の記憶」がちょっとなぁ‥‥‥(勝之) ■プールで潜ってばかりはいけません、他人に迷惑になります(等)

蜻蛉が交尾ひょうたん池の口のあたり        等
■こないだ庭の蝉がやたらウルさいのでホウキでポカンとやったら交尾中の蝉二匹落ちてきて、思わず「スンマセンでした」と頭を下げてあやまった(勝之)

朱肉から水の染み出す熱帯夜            裕
◎十四郎
■ちょっと大げさじゃないかい(勝之) ■かほど熱帯夜は暑いという説明に終始(等)
ごきぶりはいつもぺちゃんこ夏の月         規夫
■コンバットを置いたらゴキちゃん激減(勝之) ■四句目の句として注目(等)

美男美女皮肉剥げばみんな骸骨           三太
◎白玉
■剥いでみようとするところまではいいんじゃないでしょうか。しかし答えが骸骨じゃあどうにもこうにも…(規夫) ■「美男美女」は言い過ぎ、それにこの発想、江戸時代から詠まれているので、現代性を入れないと沈没します(等)

新盆や夢の話をとりちがえ            十四郎
◎唖々砂
■とりちがえるぐらいあの世がちらつきました今年の新盆(唖々砂) ■帰郷したひとの句、鳥羽方面か? 急に素直になっちゃうのはしょうがないか(等)
親でなし子でなし赤い月昇る            栞
■なにスネてんのよぉ(勝之) ■「親でなし子でなし」の心情を句にして「赤い月昇る」と、こうやりたい(等)

伸びやかに今日のデイトは鼾の森          白玉
■やなデイトだね(勝之) ■稚拙ネライか?こういうのって年齢80歳と嘘をついて「伊藤園」に投稿すれば、入選、お茶一杯もらえるみたいよ(等)

ハンモックの空飛んでは帰り飛ん         唖々砂
■「かえりとん」って読むの? 変すぎる(規夫)■「帰り飛ん」ってなんだろう(等)■『省略』について考えてみました。エヘヘ(唖々砂)

十六夜ダンサーぼーさん大余罪           吾郎
◎等
■「ぼ」は下記のようなものとも入れ替え可能「だ、と、か、じ、ば、に、ね」(吾郎)■こういうのって居そうだからおもしろいね、うちの田舎じゃ、「ぼーさん」を「おっさん」と言う、「お」にアクセントがあるけど、これも書き言葉にしたらヘンですねえ、不思議な回文(等)

サボテンのままサボテン朝焼けす          裕
■「広島の紅葉饅頭のまま広島の紅葉饅頭朝焼けす」ではダメでっか(等)

熱病の蜥蜴に差すは秋の月             勝之
◎白玉
■現代詩の一行のよう、作者はカッコイイと思っているのかも、俳句はダサイから、「熱病の蜥蜴」なんてフレーズはコソバユイのよ(等)

銀髪が紡ぐ真珠や終戦日              栞
◎等
■物語ありすぎ(勝之) ■鳥羽方面に帰省した人の句か?アーサ嬢かな?とうちゃんに「もっとりっぱなくをつくらないかんおくんちははいくのてんてきや」と言われて改心して出来た句、と勝手に想像(等)■はっずれ〜〜(当番)

涸れ河のがらがら縄の腐りたり           裕
◎規夫◎勝之
■「句」になっているものは選ばないわけにはいかない今日の事情(規夫)■いいリズム(勝之) ■何を言いたいのか、または言いたくないのかさっぱりわからん。「がらがら」と「たり」があれば俳句形式になるという鋳型を後生大事にもっている。ボクだってこの鋳型を使えばすぐできる。「大利根のがらがらキリンの腐りたり」、どうです(等)

鬼灯がぶつかる外車のボンネット          等
◎裕
■なんで外車なんだろう? 戦車、霊柩車……(規夫)

タオル巻いて転がっても毛はみだしてる       勝之
◎三太
■エッ、リカチャン人形に毛があったの、確かめてみよう(等)■由季氏に伝えておきます(規夫)

木の実高く名もなく形見の子            吾郎
◎唖々砂◎栞
■何通りも意味を考えて楽しめるね(唖々砂)■★★☆(規夫)■いいでき!(勝之) ■ばかやろう、まじめくさって・・・・あぶなく回文であることを見逃しそうだったじゃないか 、でもダメ、採らない(等)

夏寝ざめ夢のまま語りはじめる          十四郎
◎唖々砂◎勝之◎栞
■語りはじめるくらいあの世がちらつきました今年の新盆(唖々砂)■よくやります。家人に「はあ?‥‥‥」とか言ってアキレられてます(勝之) ■「夏」は要るんかいな、不満。これ自分の子供の様子を句にしたんだろうか(等)

初秋や昼蝉時雨夕蟋蟀               三太
■天気予報のおねえさんの前振りは「説明」でいいのでしょうが(規夫) ■並べるんなら違うものにしてくれよ、でも季語だらけ、わざとやったな?じゃあ「援交や昼バイアグラ夕まむし源」。アアーッ、穢れた、俳句止めなきゃいけない(等)

金星は西に西に敗戦忌               吾郎
◎三太◎白玉◎等
■フヒューッ、シビレル。ヨッ、日本一!(勝之)■インスタント・カイブン(吾郎) ■この単純さ回文とは思えない。奥が深いでんな(等)

フジヤマハニッポンイチノゴミノヤマ        三太
■伊藤園に作者年齢4歳で応募しても落ちます(等)

洗濯がたのしい夕立がくる            十四郎
■いい雰囲気ですね。好きな句(勝之) ■東南アジアじゃあるまいに、全自動洗濯機だからなあ。昔の洗濯機は2本のゴムの棒に洗濯ものを通して絞った。(等)
〔以上27句〕

〔総評・近況集〕
▼夏合宿に向け、気分はすでに快楽至上主義モードに入りっぱなし。今日も裕さんと買い出しにでて、昼間っからビールでぇ〜〜い(勝之)
▼googleという検索サイトにはまってます。知り合いの名前を入れて検索にかけると、でるわでるわ。ちなみに『おくんち』界隈の方々もかなりヒットしますぜ(吾郎)
〔当番より〕

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九の付く日のFAX句会 オクンチ 第70回 2000年8月29日  火曜日
〔今回の高点句〕
自家製の神社に蜂の巣ができる   烏鷺坊
◎等◎吾郎◎勝之◎杜
■「自家製の」が付くことで風景は一変する。勉強させてもらいました。「自家製のカツラにキノコ生えてくる」(勝之)▼おうっ! この句のほうがいい(当番)■だからどーなのと聞かれても困るのですが(吾郎)■風景の浮かぶ句は好きです。とても説明的でわかりやすいわ(杜)■「自家製」がわざとらしい、屋敷稲荷とかそんなたぐいだろう、自分で神社をつくったのだったらいいけどよお。中七以下を殺している(等)

〔以下順不同〕
蛇の目ミシンきょーっと鳴いた晩夏だった   等
■「蛇の目ミシン」て面白いね。ホントにこの字なの、アノ会社(勝之)■ホームソーイングしてないなァ。子どもが小さいときはよくやったのにね(杜)▼ホームソーイングって言うんですかあ。ソーイングは基本的に工場でするものなのね、いまや(当番)

聞きしにまさる金借る様に子規忌   吾郎
■「様に」がくるしいぜ、回文王の作にしては良くない(等)■うまいっ、ヨッ井口屋ぁ〜ッ(花火ドーンとあがる)(勝之)■★★☆(規夫)■言葉の使い方がわかんない(杜)▼といっている意味がわかんない(当番)

秋暑し幸せと云ふ映画観る   栞
◎三太◎唖々砂
■こんな報告は要らない(等)■私も観ました。けっこう残る映画かな(杜)

東京や一〇〇キロを飛ぶスズメバチ   規夫
◎等
■「100キロを飛ぶスズメバチ」に出くわしたのではないわな、そういう知識を得たのだろう。「100キロ」は知識だろう、弱いんだな(等)■ニュースみたい(杜)■孤独なスピード感がいいっすね(勝之)

秋冷を増して聖なる救急車   菊野
◎規夫
■出来すぎ、というところ。カチンコチン(等)■聖なる‥‥がよーわからん(吾郎)■ホントに「聖」だった? ホントニ、ホントニ(勝之)■聖なるって本当ですか?(杜)

まな板のたかだかサンマ殺人鬼   杜
■サンマを調理している作者は殺人鬼だと、そういうことね。殺人鬼という言葉を選ぶことで、おおざっぱな分類をしただけじゃないか(等)■たかだか殺人鬼(勝之)■名うての殺魚鬼(吾郎)■サンマ十本佃煮にしたのだ(杜)

すずむしさんあなたも一杯いかがです?   白玉
■いいねぇ(杜)■ごっつあんですばい(吾郎)■泥酔状態で作った句。友だちは自販機に酒をすすめてた(勝之)■そんなこと言われて、喜ぶほど鈴虫は馬鹿じゃない(等)

丸窓やあんたの胸で葡萄噛む   唖々砂
■つまり乳首噛んどるわけね。しかも黒チクビ〜!(勝之)■えっち(吾郎)■年齢的は干し葡萄かも(杜)■勝手にやってくれよ(等)

身も心も移ろうだけね兜虫   勝之
◎唖々砂
■今日は、エラク口語調が多いな、それでいてリズムが強いなら、採るんだけど(等)■娘たとが読んでるマンガを私もときどき読ませてもらう。もうそれはそれは…。スゴイ性教育しなくていいよ(杜)

ぶつこ抜き半丁下がり鈴虫の聲   三太
■なんだかとっても威勢がいい鈴虫さんなんですけど(吾郎)■これも口語調説明句(等)■?(勝之)■ちょっとわかんない(杜)

昼の月路地から消えて老夫婦   烏鷺坊
◎菊野
■ぴったりすぎて、どうもねえ(等)■えっ!?渋谷は円山町の実景?(吾郎)■老夫婦って乗り越えた感じがあるよね。サーフィンみたいにさ(杜)

御詠歌の黒い蒲団で昼寝せり   等
◎栞◎勝之
■お盆に帰省した人の句(c等)いい雰囲気。半分あっちの世界(勝之)■なんか辛くないかい、人生(吾郎)■フン、暑そう(杜)

愛欲しとほうばる林檎二つ三つ   菊野
◎規夫
■どうしても「アイヨク」と読んでしまうワタシ(杜)■まさかリンゴ丸ごと?(勝之)■過剰がおもしろい。不可能とは知りつつもいっぺんに頬ばってほしい。「愛欲のモンスター」と呼ばせていただく(規夫)■愛をください不揃いの林檎たち‥‥ってテレビ見過ぎ(吾郎)■ナルちゃんの句、「二つ三つ」は常套。こんな心情は犬も食わない(等)

蜩や大地の腹に納まれり   吾郎
◎烏鷺坊◎吾郎
■けっこうさり気なくて好感。リズムもいいしね(吾郎)■ある意味、着想、文字の選び方ともに平凡ともいえるが、何よりも俳句形式や言葉を大事にしたい、という心意気が感じられる点、貴重な一句に思える。いま、この場所にあってこの遊びをしているのだから「じゃ一肌脱いで、いっちょ苦労してみるか」が、ないと成立しないものもあるのではないか(烏鷺坊)■「腹に納まれリ」じゃあフツーでしょうが(等)■蜩だけじゃないもん(杜)

しりとりのしりきれとんぼ今日の秋   栞
◎烏鷺坊
■この句と「御詠歌」「秋冷」の二句とで迷った。つまり定型に投げ込む言葉選びの苦楽、吟味の努力に敬意を表するか、すらりと口をついて出る一瞬の至福のどちらを今日は採るか、という自分の気分の問題である。結果こちらをいただいたが、但し「今日の秋」には少し疑問。五七のおとぼけあっけらかんに対して、まさに此処でこそ「これだ!」という五音。季語を吟味するちょっとした「苦労」に一種醍醐味があるのではないか(烏鷺坊)■つまんない(杜)■多分類想句かなりあると思います(等)

ズキューンひぐらしの森パタリ   杜
◎吾郎
■同じようなモチーフで作ったけど、こっちのほうがいいや(吾郎)■自解して欲しい(等)

夏疲れ蝉の想いどうでもいい   白玉
◎三太◎菊野
■今年は厳しい暑さで丈夫な猫が夏バテしていた(菊野)■蝉は何も想っていません、時たましょんべんをして鳴いているだけです(等)■ハハ、なげやり(勝之)■ホント、どうでもいいよね(杜)

干し柘榴萎え広東語のブルース   唖々砂
◎等◎勝之◎規夫
■「干し柘榴」なるものを見たことがありませんが、それはきっと萎えているものなのでしょ、「萎え」は要らない(等)■「萎え」までいうと、「ブルース」が狭まってしまうが、「広東語」っつうのがなんかリアル。こんど「北京語のサンバ」でつくろう(規夫)■「干し」「萎え」ってくどいよ。ババアとしてはとってもカチンと来る言葉なんだから(杜)■干したザクロがなお萎える。おまけにBGMはなに言ってんだかわかんない広東語のブルースかあ。もらい(勝之)■しおしおのパァ〜〜(吾郎)


晩夏光錆びた鎖の太くあり   勝之
◎栞◎白玉◎杜
■鎖の太くってトコロが感じてしまった(杜)■だからさあ、全ての語が同質に立派なのよ、ブランド好きには、当方ゲップがでるだけ(等)

なきがらの重さずしりと残暑かな   烏鷺坊
◎栞◎三太
■暑ッ苦しく重ッ苦しく(吾郎)■お悔やみ申し上げます(杜)■「重さずしり」はないでしょう(等)

楢山節考赤松を大蟻がのぼる   等
■材料豊富(吾郎)■「赤松」「大蟻」と単語の使い方がうまいんだな。勉強させてもらひました(勝之)■何か古いなァ(杜)

残暑の候レバニラ炒めが欠かせません   三太
■サンタ、シラタマの両氏はボクの中でごっちゃになっているのです。ということで山白田氏の作としたが、いかが?(等)▼まあ、当たりですが(当番)■うぇ〜、喰えんわ(勝之)■アッそう(杜)

万札は私益に消えし初秋刀魚   吾郎
◎白玉
■すでに名人の域か!次は回文大魔王をめざそう!(勝之)■フーン(杜)■そんな報告は聞きたくないと言っておるだろうが、もう(等)■★★☆(規夫)

寺町に雪駄擦る音博徒の背   三太
◎白玉
■まさに花札の如くぴったり(等)■背中の獅子牡丹が泣いてるぜ(勝之)■任侠映画観てきた後みたい(杜)

風と雲ひとつになって法師蝉   杜
◎烏鷺坊◎唖々砂◎菊野
■美しい(菊野)■掴みは随分と大雑把だがちゃんと雰囲気が出ている。五七五の定型伝統に安心しきって身を投げていくことだってアリ、とつくづく思う今日この頃である(烏鷺坊)■素直な人は嫌いじゃないが、それは句にとって何の面白味もない(等)■お〜〜いお茶(吾郎)

ジミヘンの指恋ういっちょやってみるか   唖々砂
◎杜
■やらいでか(吾郎)■ウン、やってみてェー(杜)■野望、いや無謀か(勝之)■どうぞ、音声を小さくして(等)

ギビギビとヒヨ鵯に連れられ油蝉   勝之
■弱肉強食(杜)■このオノマトペ、感じないなあ(等)
〔以上28句〕

〔総評・近況集〕
▼今年も家族旅行などと平凡な行いはせず、ひたすら家の中で暑さをしのいでいたら、やっぱ太ってしまった。私も子どもも宿題を片づけるべく、残された二日間は徹夜だあ。私の宿題は絵本の文を書くことなのです。誰かー、助けてくれと言ってもそっぽ向かれて、ひたすら絵本のことばかりで頭がいっぱいです。(杜)▼オクンチ人は優等生なのですね。しっかり自分を守って頭で作ってらっしゃる。みんな頭がいいんだろうな。遊んでないんだろうな。今回は、何かに出くわして即興的に出てくる言葉の面白さがないですよ、ボクのコメントもノリが悪かったようです。(等)
▼前々回、酔っぱらってクイズを出してしまった。リンゴをかじっていて虫が出たら「キャア」と言いながら、虫と競って食べすすむ母をみて、小学生の私は「この人とは合わないな」と思った。ゴメン答えがなくて。(唖々砂)

〔当番より〕
〔二周年記念・大「十句選」大会のお知らせ〕
■参加者のお一人のアイデアで、なんかすごい企画があります。オクンチもまる2年を経過しました。そこで、この第七〇回までの全1895句(あるいは1900余り)から「十句選」をしていtだくというものです。そんなもの、だいたいにして、目を通すことができるのかあ!とも思いますが、いかがでしょう。もちろん、結果的に自由参加ということになると思います。
■自作は選ばないという一般規則はここにも適用しますが、まちがって自作を選んじゃう人もいるでしょうね、これだけたくさんだと。自作にしか興味ないという人がいるのかいないのか知らないけど、それだともちろん乗れない企画。
■とりあえず、「紙」がいいか、テキストデータの送信がいいか、お知らせください。

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九の付く日のFAX句会 オクンチ 第71回 2000年9月9日  土曜日
〔今回の一句〕
おにぎりはおかか九月のゆるい風   烏鷺坊
◎等◎勝之◎規夫◎十四郎
■この生ぬるさ、現代的だなあ(等)■ぱらぱらとくずれてしまいそうな力無いおにぎりのはかなさ(勝之)■「おにぎり」か「おむすび」か。握るか結ぶか。ともかく、その行為と「ゆるい」とがツキスギのようでいてそうでもなく気持ちいい。おにぎりが食べたくなる句(規夫)■昆布でも梅干しでもないところには共感です(吾郎)

〔以下順不同〕
秋風に言葉満たざる鳩は座標   等
■イメージが広がらない私が貧困?(吾郎)

秋日和畳の縁から駈けていく   吾郎
◎白玉◎唖々砂
■小さい生き物の幻覚を見た、としてとりました(唖々砂)■わかるんだけど、あまりにそのようなので・・・・(等)■「欠けていく」と文字変換で競いました(吾郎)

精霊蜻蛉そのうちどこぞに浮いて出る   烏鷺坊
■なんか儚い(吾郎)■つきすぎの作り話(等)■そのうちね、そのうち(勝之)

一点凝結万年筆のインクぎれ   十四郎
◎白玉◎吾郎
■その後。怒りがこみ上げてきて、万年筆をボキ折った(等)■事実なんだかどうなんだか、もうそんなことはどうでもいいのだ(吾郎)
セピアいろ上野の森に缶ビール   白玉
■「セピアいろ」ねえ。流行りましたからねえ。なんかしないと(等)■事実なんだろうけど、どうでもいいのだそんなこと(吾郎)

水槽の底にヒトデや豆腐など   規夫
◎烏鷺坊
■不思議な水槽(烏鷺坊)■ヒトデと豆腐の並列はケッコウうるさいかな(等)■「など」の余韻は好きなんだけど(吾郎)■手術台の上の自転車とコウモリ傘か? 古い手や(勝之)▼それを言うなら「ミシンとコウモリ傘」でしょうが! つまり、勝之さんにデュシャン(おフランス)は似合わない(当番)

砂浜に突き立つ車十六夜   勝之
◎等◎規夫◎唖々砂
■車の句が最近多い。カーを含めて。二月に故障した俺のカーはまだ直らない。三咲モータース、いいかげんにしろよ。おっとこの句、取り合わせが面白いねえ。即興的(等)■「オン・ザ・ビーチ」のアルバムジャケット、これじゃなかったっけ? 1枚の写真で2句つくったな。そういう私も、ネタに困って沼田元気の写真(ぼくの伯父さんの東京案内)で2句つくった「(規夫)■猿の惑星のラストシーンみたいなものか(吾郎)■車は黒のデボネアを希望します(唖々砂)

犬の来て月のブランコさようなら   唖々砂
◎白玉
■これ実景かな。犬がこの景でどう効かすか、かあ(等)■メルヘン‥‥の一言で片付けていいのだろう‥‥‥か(吾郎)

朝鮮朝顔少年の喉刺しに行く途中   等
◎吾郎
■バッドトリップ確実。やめなさいってば(勝之)■朝鮮朝顔がよかったかな。フィクション度が増して(吾郎)

アボガドを剥かせる人の隣にいる   十四郎
■‥‥人がアボガドを剥いている(吾郎)■そういう行為を喜んでいるのか、イヤがっているのか不明(勝之)■ややこしい表現だな(等)

ドン惜しむ土間からかまどむし音頭   吾郎
◎等◎烏鷺坊◎唖々砂
■面白い。「かまどむし音頭」なんて作るとはやりそうだ。取りたいのだけど……、松茸の回文を落とすか(等)語呂の面白さを買います。上五は意味不明だけど(烏鷺坊)■ん(唖々砂)■すげえ。でも、かまどむし大嫌いや(勝之)■★★★☆(規夫)■ここは笑うとこです。怒っちゃダメよ(吾郎)

桃が好きなにより屋根の上が好き   烏鷺坊
◎勝之
■あはは、快適。僕も桃と屋根の上好きです(勝之)■キャッチコピーみたい(等)■‥‥だから屋根で桃を食べるのが好き(吾郎)

鶏が地にくっついて鳴く晩夏   等
◎烏鷺坊◎規夫◎十四郎
■定型との緊張関係を感じます。この「字足らず」には意味がある(烏鷺坊)■「にわとり」と読むのか「とり」なのか。「とり」と読んでいただきます。「とりがちに」まで一気に読みたい(規夫)■生き埋めか(吾郎)

朝七時どんと白ビル鰯雲   白玉
■「朝七時」はすごく具体的だけど、伝わらないから結局具体的じゃない(等)■いさぎよさに魅かれたが…。「どんと」が「朝七時」にかかる構造だと面白いのかな。時刻が質感をもつ(規夫)■まんまやんけ(吾郎)

波しぶくオン・ザ・ビーチの百面相   勝之
■変態(吾郎)■一面相だと怖い(等)

梨の傷えぐるナイフやおかえりなさい   唖々砂
■そんなもん、外うろつかせるんじゃない(吾郎)■こわいからやめてよ。サイコホラー俳句(勝之)■「おかえりなさい」が分らない(等)

秋風やサトーの象がつるつると   規夫
◎勝之◎十四郎
■カーネルサンダースとケロンパ?(おめえ、ヘソあるかーが流行った)とサトーの象を並べて回し蹴りを喰らわしたい。勝ちゃん、不二屋のペコちゃん?(ポコちゃん?こっちが男だろう)を犯したいなんて言うなよ(等)■サトちゃんのあおのオレンジ色の象、不気味や。二〇代の頃、酔っぱらって帰った翌朝、枕元に十円入れるとウィウィンて動くサトちゃんが置いてあった(勝之)■‥‥やはりケロヨンへそはなし(吾郎)

松茸や固まる股か妬けた妻   吾郎
■下ネタ回文、いいのですが残念「かまどむし音頭」に行っちゃいました。どちらもゴローさんだろ(等)▼ハイ、当たり…って、こんなこと言わせないでよ(当番)■★★(規夫)■こんなの笑って許すくらいじゃなきゃ、人生は(吾郎)
高い朝丘の家並みこともなし   白玉
■「高い朝」ってなんのことか(等)■「こともなし」は気に入ってます(吾郎)

夜明けの小さな星が僕には見える   十四郎
■ほら、あれが君の星だよ‥‥‥って東宝青春シリーズか!!(吾郎)■実はボクにも見えるのです(等)■そりゃよかった健康優良児(勝之)

いちじくに舌もぐらせる石の上   唖々砂
◎吾郎◎勝之
■「石の上」がピンとこなかったけど、モチーフは好きってことで(吾郎)■これやっぱ、やらしいよ(等)■「石の上」がどうにもわからない。いただきたかったが(規夫)
〔以上22句〕

〔総評・近況集〕
▼前回のオクンチ(70回8/29)の「蜩や大地の腹におさまれり 吾郎」の選とコメントに(◎吾郎)がはいってますが、さすがにオウン・ゴールはしないので、これはお隣の「しりとりのしりきれとんぼ今日の秋」への選とコメントです(吾郎)
▼すみませ〜ん(当番)
〔当番より〕
▼前回お知らせした〔二周年記念・大「十句選」大会〕は、資料の準備が少々手間取っております。なにしろ2000句近くなもんですから。いましばらくお待ちください。オールドファンには懐かしく、比較的新しい参加者にも、それなりの…。ともかく、いっぱいつくったもんです。
▼次回の当番は井口家。

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九の付く日のFAX句会 オクンチ 第72回 2000年9月19日  火曜日
〔今回の一句〕
解禁の蟹食う鉄刻む男と             等
◎唖々砂◎規夫
■リズム良し。雰囲気にステキな古さ(規夫)

〔以下順不同〕
自家製の神社を焼けば蜂ブンブン         烏鷺坊
◎白玉
■これまた来たか?やっぱりダメ(等)■前にありましたよね「自家製」。すこしは趣向を変える手間っつうもんが必要でしょうよ。「イタリア製の」で「蜂オシャレ」とか、「医科生の」で「蜂モリモリ」とか、「縫製の」で「娘ブンブン」とか(規夫)

性欲かな熊野大社に太鼓鳴り           等
◎唖々砂◎吾郎◎規夫
■「や」でなく「かな」というところが気になって気になってしかたなく、いただきます(規夫)

暮れ時の行くひとのかげ一人歩き         白玉
■もっと縮めることができるんじゃない(等)

なまこ壁今も昔も良夜かな            吾郎
◎烏鷺坊
■これって「良夜かな今も昔もなまこ壁」が普通なんだけど、やっぱり普通で、ダメ(等)

ブースカの声高らかに秋日和           唖々砂
◎等◎吾郎
■ブースカ、また来た。なんかかわいいので採るか(等)■「高らか」じゃあ、ダメっしょ? 「ブースカだのみ」に終わった(規夫)

薄紙のなかのストロー秋ゆけり          規夫
◎等◎三太◎吾郎◎烏鷺坊
■出来ている句、ゆるふんだけど(等)■時々こういう俳句が恋しくなります(烏鷺坊)■徹夜明けで「お俳句」をつくってみましたっつうわけで、結果は無残(規夫)

遠い日もいまも変わらぬただサムデイ       三太
■サムライの方が良かったか?(等)■入力ミスで「〜ただサムライ」と発信してしまいました。申し訳ございません(当番)■どんな誤植ならうまくいったのかなあ。むずかしい。「ダラムサライ」?「サモラーノ(チリのサッカー選手・時節柄)」?(規夫)

灯火もほろりと淋しお月さま           白玉
■これ童謡の一節だね(等)

古里や子等と戯れ赤いまま            白玉
■良寛みたい(等)■五〇歳以上の人なら、「共産党が綱領変えるんだって」とコメントすると思う(規夫)

呼び鈴の鳴らぬを聞けり良夜かな         規夫
◎三太
■こういうのってボクにはややこしいのです(等)■徹夜明けで「お俳句」をつくってみましたっつうわけで、結果は無残(規夫)

月見つつ友の屁の素包み来つ           吾郎
◎唖々砂
■回文と直ぐ分かる。飛躍がないので没(等)■これ、4番目に気に入りました。とても良く出来てる回文句だと思います。ちょっと下品だけど・・・(三太)■★★☆。「友の屁の素」はかなり素晴らしいのですが(規夫)
軽き母背負ひて想ふ自がいま           三太
■笹川良一が背負っているブロンズ像知らないの?勝てないよこれじゃ(等)

私家版の一向一揆いぼむしり           烏鷺坊
◎白玉◎規夫
■「私家版」が分からない(等)■疣(いぼ)をむしる行為と一揆がみょおに呼応。「百姓一揆」のほうが良かったと思うけど。あっ、「私家版」は「自家製」でもいいですね(規夫)

稲妻や傘はあるけど濡れて歩く          唖々砂
◎三太
■「傘はあるけど」は要らない(等)■私が疑問に思いましたのは、「あるけど」の省略でむりやり7文字にしておきながら、下は平気で6文字というところです。どうしてでしょう?(規夫)

哭くスサノオ木槿白花が受肉           等
■読みにくぅ〜。カックンカックンする(規夫)

烏賊燻銀杏艱難吟句会              吾郎
◎等
■すごいね、漢字ですべてやるとは(等)■★★☆。ちょっと新趣向ですね。でも、個人的にあんまりというところがあって…。漢字並べる遊びって、ほら、中学くらいで終わるじゃないですか。積恋雪関戸(つもるこいゆきのせきのと)…なんか字が抜けてる気がする。白々先生に聞いてみよう…っつう風がかっこよかったりするのは(規夫)

捨案山子おれバチカンの暗殺者          烏鷺坊
◎白玉
■誰が採るかが興味あり(等)■他人にはわからない物語というものがあるのだろうということしかわからない(規夫)

細く白く揺らぐ線香のけぶり彼岸かな       三太
◎烏鷺坊
■実感(烏鷺坊)■ささいなことでも技巧を殺して感動的に詠うのが定型詩かな?でもこれじゃあ、ツライヨ(等)■私が疑問に思いましたのは、「彼岸の線香」と5文字ですむものが、なんでこんなに字が余るのかということです(規夫)
〔以上19句〕

〔総評・近況集〕
▼仕事で出雲に行って来ました。仕事の後、一日とって産鉄集団(たたら)巡りをしましたが、一国の首相を出した地、さすがに道路の整備は行き届き、りっぱな資料館があちこちにありまた。30句ものにしました(等)
▼今日は彼岸の入り。何事にも一番が好きな人がいるもので、朝七時前から墓参の来襲。十年連続一位の人が今年、タッチの差で二番手になり悔しそうな表情でした。私はといえばオクンチ選句を楽しみながら、溜まっていた秋彼岸供養の塔婆を書いております。そこで一首。「茶髪の子金髪の子も入り混じり彼岸の入りの揺れ木立かな」(烏鷺坊)
▼ハイ、ざぶとん1枚! 短歌はざぶとんじゃないの? それはそうと、私、烏鷺坊先生に短歌を習う予定です。タダにしてネ(規夫当番)
〔規夫・当番より〕
▼「今回の一句」は、井口家ではなく規夫が選びました。
▼前々回お知らせした〔二周年記念・大「十句選」大会〕は、もうすぐです。

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九の付く日のFAX句会 オクンチ 第73回 2000年9月29日  金曜日

〔今回は烏鷺坊さんの三句選〕
たからづか一丁目曼珠沙華あるく   等
◎烏鷺坊◎規夫
■はっはっはオモロ(烏鷺坊)■あるく‥‥‥ってのが(吾郎)■散漫な魅力(規夫)

秋冷や植毛進む弟よ   菊野
◎烏鷺坊
■実は私の弟(48歳・教師)の頭髪も「かなヤバ」しかし心配するだけでもどっか角が立つ(烏鷺坊)■おれも薄くなってきた(等)■他人事とは思えん(吾郎)■『カツラーの秘密』という本を、夢中で読んでいたカミさんは、カツラを見抜く達人を自認。この本で興奮しまくり。ちなみにカミさんはイタリア男好きで、禿げがきらいじゃない(規夫)
一太郎が花子をいじる大伽藍   等
◎烏鷺坊
■行為はエッチだが字面は奇妙な味(烏鷺坊)■すわっ近親相姦!?(吾郎)■一太郎も花子もマイクロソフトに駆逐されたという話? そうするとリナックスOSのことを書いた『伽藍とバザール』につながったりして、そういうパソコン話じゃないのね。こりゃまった失礼しましたと、植木等のハゲチャビン(規夫)

〔以下順不同〕
砂浜に大首ころがり秋暑し   白玉
◎三太◎規夫
■ここ数日、めっきり涼しくなったが、ついこのあいだまで、この句に表現されているような鬱陶しさが実感であった(三太)■面白くない。「ころがり」は要らないだろ、金魚の糞ばかりがデカイ(等)■「ころげ」「まろび」で字あまり解消のほうがいいと思う、この場合やっぱ(規夫)■第一次予選通過。3位決定戦で敗退(吾郎)

薮からし己が首絞む日向かな   吾郎
■「己が」はきどっている、「日向」だから(等)

転がりて月夜のボタン探す人   烏鷺坊
■「転がりて」が蛇足(等)■好きなんだけど〜♪(吾郎)■ボタン恐怖症につき、個人的には「やめて〜」という句(規夫)■ボタンってけっこう高いんです。私も必死で探します(菊野)

不細工な赤児抱かされ今日の月   菊野
◎三太◎規夫
■御愁傷様(吾郎)■にゃはは。こういうの好きですよ(規夫)■じわっとくる面白さがない(等)■良否より不気味さゆえに忘れられない一句(三太)■「不細工な赤児」とは狼男の児なのか?(白玉)■抱いてる私も不細工です。反省(菊野)

馬鹿貝が集団自決する彼岸過   三太
■蛾の自決といいなんといい、もう無茶苦茶でごじゃりますがな(吾郎)■つきすぎ面白すぎ(等)

花カボチャ寝そべる階段の途中っす   唖々砂
■「っす」以外はごく普通(等)

湾岸祝日かもめの飛翔混濁す   規夫
◎菊野◎白玉
■「混濁す」がねえ、この下の五音の安定がダメなんだな、最近(等)

オクンチは亀の子束子末広がり   白玉
◎吾郎
■めでたぁ〜〜い!!(吾郎)■苦しいな、ダメです(等)■オクンチへの挨拶句として、選ではなく、当番がありがたく頂戴します(当番)

河岸裏の郁子ただ食べむ野良牛か   吾郎
■回文といえども、余情は要る(等)■★★。なんだかむずかしい(規夫)

山のからすかわいかわい岐阜提灯   等
■ややこしい引用と稚拙なクリエーションは、文芸における玄人と素人の対照。この句はもちろん前者なのだが、しかし(規夫)

旋律に綴る字母あり夕化粧   烏鷺坊
◎白玉
■豊富な材料しかしてその実体は?(吾郎)■カマトトはぶってもいやや、本心からそうであるやつは疲れる。結局はダメなのだ(等)■夕化粧ってナニよ? なんか饐えてない? ややこしいこと言ってないで、顔洗って運動場十周。で、戻ってきたら、また顔洗ってネ(規夫)

椅子廻る世界が廻る目がまわる   三太
◎等◎白玉
■こいつ、あほやで(等)

爪伸びて髯が濃くなる十三夜   菊野
■チョー、ありきたり(等)■これは狼男のこと?(白玉)
そうよお父さんそうだったのかサンマの腹   唖々砂
■しろい脂肪がぷりぷりついて(吾郎)■ちびまるこの爺さん(ともじろう、か?)だってもっと簡潔だぜ、バカヤロ ウ(等)

旅客機の腹の銀色くるみ割る   規夫
◎等◎菊野
■長ったらしいな、こうくると、銀色から句を出発したくなるよ(等)

鶏頭やはぐれ仏の背に隠れ   吾郎
◎三太
■彼岸に墓参した際、菊中心の仏花に混じって鶏頭の毒々しいまでの赤が印象的だった(三太)■「はぐれ仏」が気にくわぬ、名前付けちゃえよ、自説「いま、ここ、わたし」。 俳句の「ここ」が弱いんだよ(等)

眼を塞ぐ後ろの正面知らぬひと   白玉
◎唖々砂
■はいはい(等)■上五を変えるとおもしろい展開になりそうな…(規夫)
ハ長調ト短調では別人だ   三太
■そうでっしゃろ(等)

縛られし家財の行方秋寂びぬ   唖々砂
◎吾郎
■秋の陽を逆光に浴びた差し押さえ家具。ああ、あしたからどうやって暮らしていけば‥‥(吾郎)■粗大ゴミか、具体的がいいんだな俺には(等)
光源へ光源へ蛾の自決祭   烏鷺坊
◎唖々砂
■えらい気取っちゃって、どうしたの、バカ(等)■自決ばやりか? 一瞬、光源氏と読めて、ちょっと不思議な句だった(規夫)

秋光や運河どこへもつながらず   規夫
◎等◎吾郎◎菊野◎唖々砂
■地元の呑川はそうです‥‥‥たぶん(吾郎)■これは退屈なほどまともな俳句だ(等)■「お俳句」ごっこがまだ抜けきらず。「俳句のようなもの」を最近まったく作っていないが、まあ、そのうちなんとかなるだろお〜おっと、植木等ステップで大通りを小躍りで(規夫)
〔以上24句〕


〔当番より〕
▼〔二周年記念・大「十句選」大会〕の資料が届いて、呆れておられる方もいらっしゃるでしょう。よくもこんなに作ったものです。十句の選び方は、各自工夫されることでしょう。
▼なお、メールでもらったが紙で欲しいという方はご連絡ください。残少部数。
▼それはそうと、今朝(十月一日)になって十四郎さんから三句の投句(!)。忙しくて、日にちも不分明になっておられるのか、あるいはFAX機の不具合か。まだ、本人には連絡していませんが。ちなみに、この三句がまた素晴らしいんですよ……と思わせぶりで締めておく。
▼次回も当番は規夫。

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九の付く日のFAX句会 オクンチ 第74回 2000年10月9日  月曜日

〔今回は高点句4句〕
秋ついり口から錆びる鉄の魚   裕
◎珠子◎吾郎◎等◎十四郎◎勝之◎規夫
■赤錆、鋭い歯、鉄の魚‥‥。口から錆びる〜が利いてるよなぁ。季語は動きそうだけど(吾郎)■俳句として完成度が高いと思います。あとは「口から錆びる鉄の魚」の着想を非凡とみるか平凡とみるか、それだけが評価を決める問題です。私は後者の見方をしてしまいました。自分でもビックリしています(烏鷺坊)■色紙に書いても十分通用する句。色紙に耐える句は、作れない人は一生かかっても作れない(規夫)■うちの鉄の魚(灰皿)も口から錆びてきました(勝之)■これだって「つきすぎ」なんだけど(等)■そうかァ(杜)

秋雨やかつて自転車だったもの   吾郎
◎烏鷺坊◎菊野◎十四郎
■今はなんだろうと考えると、けっこう楽しめた。でもやっぱ鉄クズかな(勝之)■かつてロボットだった者(杜)■そうですよね。私だって、かつて詩人でした。あーあ(烏鷺坊)■読んで吹き出す家人かな(吾郎)

秋の雷いちばん淡い犬と住む   烏鷺坊
◎裕◎等◎勝之
■なんといっても「いちばん淡い犬」がこの句のすべて。「いちばん淡い犬」って、どんな犬だろう。撫でているうちに溶けて、なくなってしまうかもと思わせただけで大成功。「住む」という淡い物語性も、このフレーズをふんわりうまく着地させている。都会的でおいしくいただけます。ごちそうさまでした(裕)■「住む」という物語りはいらん、そして「いちばん」という決して具体的でない形容もいらん(等)■「いちばん淡い犬」がオ・シャ・レっと(勝之)■「いちばん淡い」が淡いよね(吾郎)■犬のゆうれいだったりして……。面白いじゃん(杜)■いまの私なら「秋ついり雑巾に似た犬と住む」と添削します(烏鷺坊)

十月犬の毛が白髪に混じる   十四郎
◎珠子◎裕◎規夫
■十月で切れるのか、いや、ことによったら「十月犬」か。一月犬、二月犬、三月犬〜。たくさんあるなあ。ま、ごくあたりまえに「犬の毛が白髪に混じる十月」としたら、棒球になってしまいそうなので変化球にしたのかも。いずれにせよ、犬の毛が白髪に混じるというのが、そこはかとないさみしさ、微妙な哀しさを覚えさせてくれ、いいね。言葉の質感のバランスが巧みにとれている。このへんは習練のたまもの。ごちそうさま(裕)■一句匂いたつもののなかで、「十月」がそれに参画している、それが短詩形でしょ。ただの日付じゃねえ。季語なんてかならずしも要らない(等)■毛に白髪が混じる‥‥‥じゃないんだ。にしても十月犬って脱毛症かね(吾郎)■いさぎよいリズム(規夫)■文字どおり、句に「発見」がある。しかし如何にも形が。たとえば「陰毛に猫の毛混ざる秋半ば」とかって定型、どーかしら?(烏鷺坊)■だんだん犬化している自分に気付いたってことですか?(勝之)■犬の毛と人の毛の混毛マフラー……何かおそろしい(杜)

〔以下順不同〕
秋高しこうあるべきを疑って   珠子
■心境お察し申し上げます。でも疑っちゃうと言い切ったところが弱いと思う。思い切って「秋深しあああるべきを信じたい」なんちゃって。一種演歌っぽいか。失礼しました(烏鷺坊)■疑っている間はいいよね(杜)■「こうあるべき」の具体性を書いてよ、落語だって、具体的だから落ちるんだよ(等)■すいません『こうべあるべき‥‥』と読んで人体模型の夜を思い出しちゃいました(吾郎)

赤猫のゆっくり生えて葱となる   裕
◎杜
■わからんけど、面白い(杜)■好きな句です。今回は四句目になっちゃった。とれないのがくやしい(烏鷺坊)■不思議な景なんですけど、赤猫じたいが不思議系なんで帳消し(吾郎)■意味がはじけていないから、おもろくない(等)

水時計静かに秋の日がくずれ   勝之
◎三太
■きれい、だと思います(烏鷺坊)■綺麗やねえ(等)■素直やと思う(杜)■「が」は利いてるのかな。「は」じゃダメ?(吾郎)

長雨や隣は見知らぬ人ばかり   白玉
■その通り、だと思います(烏鷺坊)■だから?(吾郎)■「見知らぬ人」に新しさがない(等)■みんな引っ越しちゃったんだね(杜)

眠り銃入れ長き夜のオモチャ箱   唖々砂
◎勝之
■句の性能抜群、催眠効果があることに感心(烏鷺坊)■モチーフはすんげえ好きっす。でもちょいと材料多すぎないすか?あーさ(吾郎)■「眠り銃」が分からなかった。わからないもは、とれない、しょうがない、だれか採るでしょう(等)■麻酔銃と言わず眠り銃というところがミソ。なんだかエロチックでもある……考え過ぎか(勝之)■スズの兵隊の絵本を思い出した。バレリーナのお人形に恋をして、ラストはバレリーナと一緒に火にくべられちゃう物語(杜)

殿様へ乱気流のねこじゃらし   等
◎杜
■わからんけど、面白い(杜)■マキノ映画の『鴛鴦歌合戦』。ディック峰扮するバカ殿が家老を連れ、「♪ぼくは呑気な殿様〜」と歌いつつ、大通りをこちらに向かってのし歩いてくるシーンを思いだした。なんだかふんわか楽しい句(裕)■「ねこじゃらし」だと綺麗に着地しそう。ここは、ほれ、もうひといき遠くへ(吾郎)■難しい。頑張って読み込めば「夫=殿様」に対してなんか「秋波」みたいなモンを送っている、それも分かりにくく送っている寂しい「妻」あるいは「愛人」の句?(烏鷺坊)

IターンがTバックするIT革命   三太
■IフロントのTバック‥‥って昔流行ったよなぁ(吾郎)■論評を拒絶する態度がいっそ清々しい(烏鷺坊)■おもろくない、機知がない、言葉がひかからない、「切れ」がない(等)■隠遁生活にはようわからんのです(杜)

白髪疎まし夜よ島唐辛子   吾郎
■少し苦しいかなあ。真ん中は「ヨヨ」それとも「ヨルヨ」?ま、どちらでも回文的には問題ないけど(烏鷺坊)■だからなんなんだよ、白と赤だけか?(等)■★★☆(規夫)■白髪って素敵だと思う。私なんて早く真白な髪になりたい(杜)■唐辛子は抜け毛予防にいいそうな(吾郎)

名画座や星飛ぶところ老女あり   烏鷺坊
◎白玉
■映画の一場面か?分からないよ、この「老女」のありていが(等)■おばあさんとゴッツンコしちゃったの?(杜)■「名画座や」がなあ。そこを「ざぶとんの」と添削して、まあな、しかしそれでも、な。なんだか、な(烏鷺坊)■う〜〜ん、何の映画でしたっけ‥‥?(吾郎)■なんか怖い。なんだかわからないけれど。妙な夢みたいで印象に残った(裕)

ジェット機の尻あたたかし秋の薔薇   規夫
◎杜
■めっちゃくちゃ熱いんじゃないのかな。触ったことないから知らないけど。触りたくないけど。あ、着陸してうんと時間がたってからか。それだと結構いいかも。「空港の秋薔薇」ってなんかいい。一日一機のアメリカの小さな田舎町みたいでいい。なんて、そんな田舎町の薔薇の生垣のある空港知ってるわけじゃないけど(烏鷺坊)■「尻あたたかし」がとても好き(杜)■逆噴射系か?バラの蕾み。菊では付き過ぎか(吾郎)■「あたたかし」と「秋の薔薇」でを納得させる何かがいるんだろう(等)■ヤケドするくらい熱いべよ! とツッコんで!(規夫)

桐一葉骨の髄より変色す   杜
◎白玉
■鑑賞するのがとても難しいです。しかし人間を枯葉にたとえるのはよくあるけど、枯葉のほうを動物にたとえたのは珍しい。そこはこの句の「手柄」(烏鷺坊)■「変色」が安易(等)■そんなに後悔しなくても(吾郎)

ベクトルが解けぬ教室憂国忌   菊野
◎等
■ジーンとします。思い出すだけでお尻に汗をかいてしまいます。しかし、思えば、毀誉褒貶はあったけど、亡き平岡公威はなんちゅーか、おそるべき秀才だったよね(烏鷺坊)■ベクトルを解こうとしている奴が、「憂国忌」を知っているかよ。でも大学もOB相手の講座があるか(等)■法学科じゃあ無理だったかも(吾郎)■こういう句は捨てましょう(杜)

床の間に花なき花瓶と秋光   十四郎
■ドキッ。来客に見られてしまったか。寺族騒然の問題句です(烏鷺坊)■素直やと思う(杜)■なんか短歌?(吾郎)■ついシャッターを切りたくなる、日本人なら誰でも魅かれる光景。立体的にすなわち影が感じられるからには、おそらくは斜めから射す午後の光(と、思いたくなる情緒)。アラーキーに言わせれば、夕方は光線が情緒的になってしまうので撮らない。ピーカンの真っ昼間、どーんと順光で、ペンタックスの4×5+標準レンズ+ASA100のネオパンSSというセットで、のっぺり平板に撮ることに徹した秋があったとのこと(裕)■「ない」ということは悲しいんです、当たり前なんです、「ある」で作ってから「ない」俳句を作ったら?(等)

決断という難儀や芋の煮転がし   珠子
◎吾郎
■簡単なようで難しい。単純なようで奥が深い‥‥なんて浅い読みじゃ作者にもうしわけがない。で、これやっぱりカタルシスなんすかねぇ(吾郎)■「という」は「の」で代用できるのでは?(烏鷺坊)■居酒屋で左遷を言い渡された場合(杜)■「こうあるべき」とか「決断」とか、うるさい言葉がでるなあ、今回は(等)

木犀につられ長居の朝帰り   吾郎
◎三太
■あのね、朝帰りの「いいわけ」はもっとよく考えたほうがいいです。振り返れば新婚の頃、数回まではこんなんでもいけたかな。どんなバカやっても「あの人って詩人なのね」なんて思ってくれてたあの美しくも安らかな「時」を返してくれー(烏鷺坊)■「長居」が余計(等)■フーン、いいことあったんだ(杜)■せめて下七を「明け烏」くらいにしとけば、チントンシャン系だったのに(吾郎)

飛ぶ夢に疲れて覚めて秋の雨   勝之
◎唖々砂
■どちらかの「て」をトルツメにしたい(唖々砂)■ずいぶん飛んだんだね。ところで「覚めて秋の雨」では自己完結しちゃう、と思います。いっそ「覚めず」がいいのかなあ。それじゃもっと疲れるしなあ(烏鷺坊)■男は夢精というのがあるでしょう。女にもあるんだよ(杜)■古典の言葉を現代語に置き換えただけ(等)■パーマン2号(吾郎)

電脳の俳句くすぐられ満月   等
■電脳俳句かァ。そういえば「脳男」っていう本読んだよ(杜)■下の「くすぐられ満月」というリズム、語感はカッコいい。上が少し重たい気がします(烏鷺坊)■意味趣き内容全て解釈不能(吾郎)

島揺れるウルトラマンはいまいずこ   白玉
■地震ばかり続いて気持ちの悪いこのごろですね。ところでウルトラマンが慎太郎とか蜃気楼のことだったら底の浅い社会批評になってしまいます。あれ? そう読んでいいんですよね(烏鷺坊)■そういやあ島でウルトラマンが活躍したことってあったっけ。多々良島がそうかな(吾郎)■安心した。こういう句をつくってくれる人いたんだァ(杜)

木犀や売家に住む猫二匹   唖々砂
◎烏鷺坊
■リズムくずしの真意や如何にたこに(吾郎)■日曜日、近所のお檀家さんにお参りに行く途中の路地で私も確かに見ました。母猫一匹仔猫三匹。売家の玄関前にミャーゴミャーゴ。はっきり兄弟姉妹とわかる毛色、つまり父親猫(犯人というべきか)がアイツであることがいとも簡単に特定できるのでした(烏鷺坊)■猫つきで買ってくれるといいね(杜)

西日につい頭を垂れる向日性   三太
■着眼はなはだ秀逸。感心しました。つまりあれですね。加山雄三とか森田健作みたいな、ああいう海に向かってバカヤロー系青春スターたちにもいずれ落日のときがくる。向日性なんてものはそんなものだ。頭が高ーいっ! 時代は夜に向かってるんだ。これからはアングラだ。ざまあみろ、とこういうワケでげすな。ふむふむ(烏鷺坊)■コルホーズ系か!?(吾郎)■すみませ〜ん。「西日ついに」は誤植で、「西日につい」でした(当番)

曼珠沙華線路の先は霞かな   杜
◎裕
■雰囲気がある句。井上井月の「何処やらに鶴の声聞く霞かな」を思いだした。詳しくはつげ義春の『無能の人』を読んでくらさい。掛け値なしの傑作マンガです。俳句というやつは、鬼面人を驚かすばかりが能じゃないということもよく判るし。曼珠沙華というと冥界の花というイメージもあり、色彩も鮮やかだけに、霞のかかった奥行きに濃さも感じられる。霞は春、曼珠沙華は秋ではないかなどと、制度的なケチをつけるのは、いまさらヤボというものでしょう。井月の句よりさすがに現代的。ごちそうさまでした(裕)■なんとなく「あの世」を思わせて不思議な一句なのだけれど、つまり狙いはいいのだけれど、付け合わせがどーにもこーにも悪い。「霞」ってのはまずい。だからってストレートに「あの世」じゃ身もふたもないか(烏鷺坊)■ゆるい(吾郎)

脳細胞ただいまテナント募集中   白玉
■おもしろい。頭香港状態もまた楽し(吾郎)■これでさえ「つきすぎ」と言おう。韻律が変われば言葉もかわる。脳細胞だったら季語のほうがはるかに詩的になるのではなかろうか(等)■テナント料、お安うしときまっせ(杜)■あのー「和民」なんですけどいいですか(烏鷺坊)

憂国忌泡だつものが身の内に   菊野
◎唖々砂
■「思想兵の手記」というのを呼んだ後だったんで、なんか、これかな?って(唖々砂)■そーかなあ。共感できないなあ(烏鷺坊)■界面活性剤入りカフェラテを飲んだでしょう(杜)■ビールか、もしくは糖尿の気か。だって憂国忌でこーふんしてどーすんの(吾郎)■消火器屋か、あんたは(等)

長き夜や足首回せばこきと鳴る   珠子
◎菊野
■渋い、寂しい、男臭せーっ。俺の連休見てたんか(烏鷺坊)■知らん(杜)■「や」不要論に一票(吾郎)

メビュースの輪にずんずんと濃霧かな   規夫
◎珠子
■なんか発見なさすぎ。メビウスなんか素材に使うときはドッカーンと笑いをとるか。カックンと脱臼させるか、どっか工夫がいるように思います(烏鷺坊)■きりがないし、先は見えんし、もうくたびれてちょっと休ませてほしい(杜)

海・たったひとつの瓶に月が入る   裕
◎烏鷺坊◎唖々砂
■ちょっとセンチメンタルすぎるかとも思ったけど、詩としても俳句としても半端すぎるかなとも思ったけれど、こういうふうにまるで無警戒に、ど真ん中にぼんやり緩く投げられると、つい振ってしまう私です(烏鷺坊)■めるへん。モチーフは好きなんだけど、状況設定に時間がかかりすぎ(吾郎)

女組伏す古代米の輻射熱   等
■もしどこかでお会いすることがあったら説明してください。まいりました。降参です(烏鷺坊)■まったくぜんぜんとーてい思い付かないモチーフ(吾郎)■サラダが美味やねん(杜)

豆球の灯りの寝間や雨の虫   唖々砂
◎十四郎
■実情はよくわかりました。しかしいまの僕では何のお役にもたてません。残念です(烏鷺坊)■虫の息ってあなたそんな‥‥‥ん?また誤読っちまったい(吾郎)■湿っぽいところで、何してるん?(杜)

蘭燗覧卵婪嵐乱懶襤裸   三太
◎白玉
■ワープロが作った、いわば自動書記の部類。イタコの口寄せみたい(吾郎)■ウガ〜つきあいきれませんわ(勝之)■わからんらん(杜)■つぎはリンリンでお願いします(烏鷺坊)

父の蟹やがて飛び立つ赤とんぼ   烏鷺坊
■「ぶつけもの」多し(吾郎)■「父の喉」と添削したい。それでも0・3くらいか。1点が遠いよー(烏鷺坊)■なんとなく読み手にエロチシズムを感じさせないか(杜)

秋の蝶いつか逐電の訳あれば   杜
◎菊野◎三太
■ええ、訳ありな蝶のシャクメイ、聞かせてもらおやないか(勝之)■そりゃ訳ぐらいあるだろう。あんなに心配させといて(烏鷺坊)■言ってみろ(吾郎)

鳩とべば鳩にぶつかる鳩もいて   規夫
◎吾郎
■複雑怪奇な今回の中で一服の清涼剤(吾郎)■実景なのだろうが、言葉の遊びとしておもしろいと思う。あとは「鳩」でいいかだけ。「鶴」だったら、とか。三羽が全部違う鳥だったら、とか。作者と一晩呑みながら考えてみたい(烏鷺坊)

菊花展芸者の横に父がいる   菊野
◎規夫
■「芸者」に対する語感、「父」に対する語感。おもしろくて好きな句(規夫)■50年も前のことだが、私の母はそれでキイーッとなったらしい。それをいまでも時々話す。向田邦子作品めくが、いまの母の父への甲斐甲斐しい介護の正体は実は「復讐」である。これはオクンチ同人だけに洩らす秘密である(烏鷺坊)■秋桜子に「文藝状の真」があるが、いまさらそれを言うのも疲れる(等)■とんまな風景でいて、ありそうなのが怖い(勝之)■この句もまた叔父のことかと……?(杜)■ふと見かけたその光景から呪われた一家の惨劇が始まる。1970年市川昆作品‥‥‥なんてね(吾郎)
〔以上37句〕

〔総評・近況〕
▼現在「みれにあむオクンチ2000」を絶賛読破中。面白いけど大変。大変だけど変態。ん?(吾郎)
▼東由多加氏が逝去されたことを、最近知りました。学生の頃、ひょんなことから、東氏と会ったことがあります。学校の正門前に十時待ち合わせ。黒ずくめの服装で、黒のセダンに乗ってきた。ちょっとキザに思った。一緒にいた男の人が、タメ口をききながらも、東氏におもねるような感じがしたのを、面白く感じた。午後になって、寺山修司氏が現われた。パリから直行した寺山氏は、毛皮のコートをはおっていた。目が鋭くて、圧倒された。毛皮のコートを着た男性を見たのは初めてだったので、驚いた。
 そのうち、私はつまらない恋をしたので、演劇のことは忘れた。お決まり通りにふられたので、夜中にフォークや演歌を歌って、気を紛らわした。下宿のおばさんに注意された。
 単位取得に忙しくなり、お二人のことも忘れていった。こんなに早く、東氏が亡くなられたこと、大変驚きました。
 目玉焼真っ黒寺山修司の忌     (菊野)
▼2日続けて句会、正直少しバテ気味。現場へ行く時間が迫ってきました。途中でコメントを終えます、残念。では、また(等)
〔当番より〕
▼「2周年記念大10句選」の締め切りが近づいてまいりました。選とコメントは、それぞれ工夫を凝らしても凝らさなくてもかまいません。是非ともよろしく!
▼次回の当番は井口家。

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九の付く日のFAX句会 オクンチ 第75回 2000年10月19日  木曜日

〔今回もとりあえず高点句3句〕
椎の実のみしりと太る呼吸器科   等
◎烏鷺坊◎亞子◎菊野◎吾郎
■長女がこの季節喘息出てしまうので親は心配なのです(杜)■"みしりと太る"は魅力的ですが、椎の実ってほそっこいのよ実は(勝之)

隣人が揺れるラーメン来ない   亞子
◎等◎烏鷺坊◎菊野◎吾郎
■ちょっと面白いんだけど、「隣人が揺れる」が決まりすぎで、あと息切れ(等)■小池さんその後(吾郎)

裏技秋鯖手羽先あざ笑う   吾郎
◎等◎烏鷺坊◎亞子◎三太
■回文、よくわからんが、「裏技」とそれ以降がとてもおかしい(等)■ウグーグー苦しい(杜)■名詞三連発では苦しい(勝之) ■☆★(吾郎)

〔以下順不同〕
チンドンの音解体していく赤トンボ   勝之
◎杜◎白玉
■「解体」が固いなあ(等)■昭和を感じる。チンとドンは芸能だから。芸能と赤トンボは似合うよ(杜)

雑巾に目鼻の犬で仏掌薯   烏鷺坊
◎勝之
■「で」がピンとこない(等)■やっぱ犬に権利はないケド、人をその気にさせる手管はある(杜)■前回の添削の添削の添削ね、いただいときましょ(勝之)

自家製の爆弾破裂百年の恋   三太
◎白玉
■今度は「自家製」の爆弾ですか、破裂するわけですね。「百年の恋」は「醒める」ものでしょ、だから付いているといえば付いている(等)■百年の恋一度に醒めるご用心あれ(杜)■"自家製の爆弾"はフツー。もっとゴキッとヒネらなと(勝之)

中央道ゆらゆらすすきが手を振った   厚子
◎菊野
■「手を振った」は安易だなあ(等)■かわいい(杜)■やっぱユーミンてウマイんだと再確認(勝之)

秋光や海辺のまちに豚車行く   三太
◎杜◎勝之
■・・・という事実(かどうか知らないが)が何なんだよ(等)■自然な感じで気負いのない気持ちのいい句だと思った(杜)■なんやモノクロ映画、昭和30年代って感じやね(勝之)

卒塔婆に筆圧す深夜雁眠る   烏鷺坊
◎三太
■「筆圧す」は「お茶する」があるから、まあいいとは言え、しかし他に言い方がありそう(等)■卒塔婆はやっぱりうしみつ時に書くのがいいんでやんしょや(杜)

木犀夜四歩ごとに占い師   亞子
◎勝之◎吾郎
■「四歩」がどう効いているのだろうか、疑問(等)■あたりそうもない(杜)■そんな道歩きたないわ(勝之)■不気味(吾郎)

風上に固まる野鳥暗殺者   菊野
■こういうのって、滑稽にもっていきたくなるんだけど、これじゃいつものように固いウンコ(等)■ヒッチコックですかい?(杜)

おしゃべりな菊人形は首切りよ   杜
■最初、とったけど止めた。「切れ」がないのは俳句じゃない(等)■アンタはセーラー・ムーンか?!(勝之)

びしょ濡れの水兵帽やカンナ朽ち   等
■なんかホモっぽい物語性があるなぁ(勝之)

秋の蝉疲れにまさるものはなし   烏鷺坊
◎白玉
■「秋の蝉」で「切れ」がないから、「秋の蝉」は歳時記の説明通りの「秋の蝉」でしかない(等)■最近肩こりがひどくって、誰かもんでぇーな(杜)

街角の案山子そっと一歩   吾郎
■逆の意味でつきすぎ、作為が見えるということか(等)■案山子は田んぼのおややでぇ(杜)

満潮や謀議の果ての野鳥飛ぶ   菊野
◎杜◎三太
■すごーいですねえ。「謀議」と言う言葉をまた重くする俳句って何なんだろう(等)■ウンウン、ありそうな光景(杜)

秋光や舟に揺られて六本木   白玉
■六本木というと英国女性が失踪、地下鉄の吊しで見ただけだけど(等)■アル中ヤク中なら相談してください。いい所紹介します(杜)

栗 秋刀魚 梨に悲しみ夏恋し   厚子
■季語の連打、連打(等)■オモロスギル(杜)

筑波山麓そうめん一筋が怒る   等
■食ってんじゃなくて干してるんだ(杜)■夏の流しそうめんの残ガイか、面白い(勝之)

月いでてよく泣く赤児渡される   菊野
◎亞子
■「渡される」が緩い、これだと、つまり困ったわけだ、とこのようにしかとれない(等)■連れといで、私が育ててあげる(杜)■そんなもん渡されても困る(勝之)

ピノキオに術かけたまま秋日   杜
◎等
■「秋日」の感じがよくでていると思った(等)

レニー・ブルースおまえのホラ聞こえてる聖月夜   勝之
■歌詞の一部の本歌取り、いや句取り俳句か?やっぱり「切れ」がある感情を表出するのでなければボクはダメだ(等)

臨霖林凛琳隣輪躙倫理   三太
■このまえもにたようなのがあった(等)■文京区の佐山くんのリクエストにお応えして(吾郎)

棒倒し百発百中はぐらかし   白玉
■「百発・・・・」がわからない(等)

案山子杭眼に風の独り言   杜
■この「杭」がわからない(等)

にしひがし合わせ鏡の恥ずかしさ   白玉
■「にしひがし」と「合わせ鏡」は付いている(等)■えろォー、エローい句でんなァ。好きやねん、こういうん(杜)
〔以上26句〕


〔総評・近況〕
▼お寒うございます。朝六時起床。二人前の弁当を作り文化祭の衣装のアイロンがけを手伝ってバタバタ子供たちと夫を送りだす。自分でも感心するくらいの主婦ぶりで人生をかみしめております。小金井に旧中村邸一日六千円(泉の間・花侵庵) みつけました。ただ駅からメチャメチャ遠いのでハイキングをする気でいねばなりませんがよかったら一度使ってみませんか? 興味のある方は杜まで連絡してください。地図をファックスします。句会にピッタリ!!(杜)
〔規夫・当番より〕
▼厚子さんからの「選」が届きませんでしたので、今回ソレ抜きで。
▼「今回の三句」は、井口家より規夫に投げられたので、とりあえず高点句としました。
▼送信が遅れましたのは、規夫の寝坊のせいです。遅く起きて、予約していた散髪。すっきりして、この作業やっております。自分が投句しないと、なぜかしら皆様の句がいつもより輝いて見えます。参加しとくんだった、と後悔。
▼ところで、「大10句選」。まだの方、そろそろ。
▼次回の当番は規夫。

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九の付く日のFAX句会 オクンチ 第76回 2000年10月29日  日曜日

〔今回の一句〕
にょっきりとばかの大足秋岬   烏鷺坊
◎等◎規夫◎白玉◎菊野
■「秋岬」は「秋の岬」ではだめなのか?(等)■たぶん二番目に高得点(吾郎)▼惜しい。一番高得点でした(当番)

〔以下順不同〕
セイタカアワダチ草立つ我が宅地   菊野
■花粉症のめいわく(吾郎)■そうですか(等)

女歌唄いてみかんの筋を取る   唖々砂
◎烏鷺坊◎三太◎菊野
■やはり中島みゆきなのだろうか。今頃だと、まだハウス蜜柑か?(三太)■しみじみとしてくる(菊野)■えらいチマチマしとんなあ、欲求不満か?(等)■どこかなんかまどろっこしく感じるのは、わたしだけ?(吾郎)■みかんは陰嚢を含意、となぜかシモに行く。『悩み多きペニスの生涯と仕事』(草思社)絶賛発売中(規夫)
旅の宿朧月夜に虫騒ぐ   三太
■明智光秀みたい。ちょっと待て、この後の句に拓郎の歌詞があったので、連作か?でも情景が重なりすぎ、しつこい(等)■書き割りと効果音屋さん頑張る田舎芝居(吾郎)■朧って春だっけ?…そのツッコミ誰かが入れるだろうけど(規夫)
道つづく雨上がりに人がとぶ   白玉
▼すいませ〜ん。「飛ぶ」は「とぶ」の誤植でした(当番)■団地の高層階から飛び降り自殺か?はたまた月光仮面か?ついでに言うと、三宅祐司は子供の頃、月光仮面の衣装(パッチとアンダーシャツでOK)を着て、四つ角にある他人の屋根に上って下界を見下ろしていたとか。有名だったらしいよ。月光仮面でよかった。スーパーマンなら飛ぶから、落っこちていただろう(等)■シュールという一言で片付けちゃ失礼ってもんでしょ(吾郎)▼「とぶ」が「飛ぶ」だとシュールになっちゃうわけですねぇ。「とぶ」だとピチピチチャプチャプとフツーの句なのに、ご迷惑かけました(当番)

胡桃あるかもね姉もカルアミルク   吾郎
◎烏鷺坊◎唖々砂◎泰司
■「カルアミルク」ってあるのか?回文もつらいところがある(等)▼あるある。コーヒー牛乳みたいなアルコール飲料。今度、天狗で頼んでみてください(当番)■久々にバーにて再会の姉妹の絵が浮かびます(泰司)■★★(規夫)■寝ぼけ野郎の修正、当番に感謝(吾郎)▼名匠にも、釘が一本足りなかったりすることがあるんだとわかった(当番)■回文であることが、近頃やっとわかってきた(菊野)

寝たきりの子の長さはかなし   泰司
■これパス(等)■長さ儚し‥‥、長さは哀し‥‥か、どっちにしてもでかいガキ(吾郎)■「かなし」とまでいうかどうか…(規夫)

秋霖や鳥肌つぶつぶ水面のノイズ   烏鷺坊
◎唖々砂
■出雲に行ったら「かしわうどん」がメニューの札にあった。「かしわ」とは 鶏肉。なつかしい(等)■なんか材料過多(吾郎)■目玉が三つあって、どれも別の方向を向いているよう。それにしても気持ち悪い感触(規夫)

隠岐島前鯛の腸ほのかに苦し   等
■「前」は絶対に要るんだ‥‥‥(吾郎)

そっくりの背中夜長のクレゾール   規夫
◎吾郎◎三太◎菊野
■前半でいただきました(吾郎)■「クレゾール」はちょっと怖いな。病院を思い出す。死者はアルコールで拭 くと思うのですが(等)■液体洗剤のボトルデザインって、女性のボディラインと似てる(三太)

赤のハーレーダビットソン蛇穴へ   菊野
◎等◎規夫◎白玉
■省エネ俳句(等)■このテのがよくわからんとよ(吾郎)■サザンソウルが南部牛追い唄になっちまうように、ハーレーが耕耘機のような味わい。「ト」が決め手か(規夫)■「おむすびころりん」にも似たファンタジーの現代版(白玉)

けふまで生きてきました」夜寒かな   三太
■拓郎の歌だな前後は忘れたが、重い歌詞だなあ、これだけ見ると(等)■今日は拓郎日和。♪わたしは今日まで〜〜(吾郎)

弁当にビー玉入れて体育の日   唖々砂
◎吾郎
■お茶目な母。もしくは哀しい父(吾郎)■まあ、これもテーマ主義と言えば、そうなんだろう(等)■食べちゃったらどうするんだろう?(規夫)

分岐点右か左かサブマリン   白玉
■もうひとひねり(吾郎)■サブウェイは地下鉄、サブマリンは潜水艦。サブとは「下」という意味があるのか、そうかあ(等)

門ヌクヌク抜けず   泰司
■おくんち2000の読み過ぎ(吾郎)■門か閂ではないのか、でもこれでは面白くない(等)

鯖雲に臍石仏のぶつぶつ   烏鷺坊
◎唖々砂
■おくんち2000の後遺症(吾郎)■「鳥肌つぶつぶ」、「石仏のぶつぶつ」。共振したか?(等)

待ち合いや木戸銭無料烏瓜   吾郎
■なんとも、リズムがないと、そう思います(等)

割腹の蟹と居る二等船室   等
◎規夫
■痛そうか、旨そうか、どちらかといえば旨そう(吾郎)■「二」はキーワードですね。「二級河川」とかね。「二級」「二等」が好きですよ(規夫)

特記事項ありやありやと鳥渡る   菊野
◎等◎吾郎◎泰司
■そうなんだよ、これ見逃すと怖い(等)■どこかでお見かけしたお顔なんじゃが、どちらさまでしたかのぅ(吾郎)■なんかよくわからんけど、ありやありや(泰司)

ひとけなき街路も濡れて紅葉忌   三太
◎白玉
■絵葉書(等)■説明ありがとね(吾郎)

ひとさらい見世物小屋の軽業師   白玉
◎三太
■軽業師は拐われた子の末路なのか、それとも「人拐い」そのものなのか?というドラマ性がいい(三太)■そりゃ、郷愁だな(等)■三題噺。どどかどかどか近藤がおこるぞ(吾郎)

芋堀りの話聞きつつ芋を食う   唖々砂
◎烏鷺坊
■「・・・の話」は便利だ(等)■たぶん高得点(吾郎)

初冬や仕出し噐の乾きかた   吾郎
■「乾きかた」ではわからんのよ、どう乾いたんだよ、イライラ(等)

キクタカチャカポン松太郎はマドロス姿   等
◎泰司
■固有名詞に力負け(吾郎)■呪文のようなキクタカチャカポン。リズムがアニミズム的だなあ。好きですよ(規夫)■なんかよくわからんけどチャカポン(泰司)

〔以上24句〕

〔総評・近況〕
▼独立した二人の息子が偶然、揃って我が家に現れたので、冷蔵庫にあったイカを焼いて、その一皿で父子三人、一杯呑みました。それぞれ、お互いが珍しいもののように見えて、(烏鷺坊)
▼オクンチ二周年企画、ありがとうございます。慶賀の気持ちで迎えなければならないのに、軽く書いてしまいました。全句にコメントを書いて偉いなあと自画自賛していました。流石、佐山さんや等さん、裕さんは、一段と偉いと思いました。これからもよろしくお願いいたします。
〔規夫・当番より〕
▼「オクンチ2000」(c吾郎)ではお疲れさまでした。次は投句数一覧。データ管理上、抜けた句がないとは言い切れず、その場合、ご容赦です。
吾郎 178/等 177/規夫 147/菊野 138/裕 134/勝之 130/烏鷺坊(哲郎) 128/唖々砂 119/十四郎 116/杜 103/栞 100/亞子 70/邦夫 56/葉子 55/珠子 53/美智子 40/三太 33/テル子 29/白玉 26/厚子 18/芳子 18/泰司 11/由季 8/マスオ 6/仁 5/莞爾 1               (第70回まで)延べ26名・1899句
▼吾郎師匠と等聖人が皆勤かな。
▼それと「番外」でトーナメントというのもあって、その句は今回含めませんでした。トーナメントには白々先生も参加。これを含めると参加人数は延べ27名となります。
▼次回も当番は規夫。

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九の付く日のFAX句会 オクンチ 第76回 2000年11月9日  木曜日
〔今回の一句〕
立冬の夕日すっとん飯が噴く   珠子
◎等◎規夫◎烏鷺坊◎裕◎吾郎◎亞子◎勝之
■初冬の夕暮れ時に、この世で生き死にを続けてきたものだけが抱く、当人ですらそれと気づくことのないほどの淡い感慨が(それはきっと人それぞれ彩色の濃淡が微妙に異なるであろう)軽妙なおとぼけのなかからそくそくと伝わってくるきわめて上質な句(裕)■世界中で最もしあわせな音と匂いのひとつ(亞子)■幸せとはこういったものです(勝之)■巧いですねえ。技巧的だけどイヤらしくない。なにより「夕日すっとん」がいい。絶品(烏鷺坊)■「すっとん」は好きじゃなかったけど「飯が噴く」のナンセンスで採った(等)■「夕日」と「飯」がどうも近いなとは思いましたが、それでいい気もする。「飯が噴く」のさっぱり感が快い(規夫)■RITTOUとSUTTONがいいすね(吾郎)

〔以下順不同〕
下野の躁なりひつじ田を散歩   等
◎菊野
■そうでした。上野は古代から鬱。すなわち両毛線とは精神の細い繊維を繋ぐラインの鉄道化にほかなりません。毎週のように毛の国の古墳をめぐっていた若い日を思い出し、涙ぐみそうになりました(烏鷺坊)

芒原剥がしてビルの無頓着   珠子
◎吾郎
■リズムいいよなぁ(吾郎)■そのままの景だ(等)■剥がすと痛いだろうに無頓着、非凡な着想と思いました(烏鷺坊)

かさぶたがぼとり冬の蛾がぽたり   烏鷺坊
■かさぶたがぽとりと落ちたことなどないなぁ。いつもムリヤリはがしてダーッてまた血ぃ出して「バカ!」とか言われる(勝之)■「かさぶた」と「冬の蝶」じゃあ、シュンとしてしまう(等)■「冬日の蛾がぱたり」としてみてはどうか。やっぱりダメか(烏鷺坊)

無言墓南無阿弥陀仏人恋し   白玉
◎三太
■墓はもとより無言なもの、だからトートロジーなどとはいうまい。おそらく侘びしい墓なのだろう。墓に向かって合掌していると、普段まったく気にも掛けていないのだが、たったいま生ある友がむしょうに懐かしくなったり、己れじしんさえも愛しくなってしまう瞬間というものがたしかに存在する(三太)■そのように思えるが「無言墓」は「人恋し」になるわいな(等)■確かに饒舌な墓もあります。二十二歳の娘さんを今年、突然の死で失った私の女友だちは、墓に「再会」と刻みました。悲しい母親の気持が思い切り込められているように思いました(烏鷺坊)

革命や天から落ちし割れ柘榴   唖々砂
◎烏鷺坊
■「や」を切れ字としてではなく、関西弁の語尾として読めるところが秀逸。お手柄(烏鷺坊)■滑稽になっていない、またマジメだったら面白くない。露人ワシコフが出てきても良さそう、「本歌取り」だったら面白くなりそうだけど(等)■「革命」や「天」が諧謔にならなかったとこがツラい。オチを間違えた?(規夫)■割れ柘榴以外のものを落としていただきたかった。「水枕」とか、うーんダメか(勝之)▼いや、オチとしてはかなりイイ線と思う。「笑点」のお題にしよう(当番)

秋澄むや虎屋の虎が目を剥けり   亞子
◎珠子
■「ペンキ屋の家ペンキだらけ」とか、あるんだよなあ(等)■うまいんだけど技巧見えすぎじゃないでしょか(勝之)■繰り返し(虎)が出てくるだけで減点となりがちな、この界隈の事情。繰り返し多用するだけに身につまされる(規夫)■明治公園から日比谷まで。青山通りのカンパニア系フランス・デモを思い出します。赤坂の交差点から右前方を見ると機動隊の装甲車の向こうにいつも虎屋の大看板が見えました。そしてその上の澄んだ秋の空。カッコいい俳句です(烏鷺坊)■先日虎屋本店に足をはこんだと、それだけです(亞子)

眼の見えぬ父が庭掃く獺祭忌   三太
◎烏鷺坊
■初心者がいきなり大ジャンプ、メチャウマ俳句を作ったような気がします。でしょ、三太ちゃん(烏鷺坊)■こういうのって、コメント、パス。もし本当だったら、アブナイ発言はできない(等)

女運なしセイタカアワダチ草   菊野
■結局季語以外は「女運なし」でっしゃろ、決まってれば面白いんだけどね。「アワダチ草」として、「女運なし」を字余りの上五とすれば中七でもう一つ言えるわけよ。もったいないと思うんだな、ケチなオレは(等)■男運はあるのだろーか。ちょっと心配(烏鷺坊)■わしにどうせいっちゅうんじゃい!(勝之)

あたたかい冬がはじまる石の橋   裕
◎烏鷺坊◎規夫
■「あたたかい」と「石」はとてもよく似合う。彼岸のある日、よく洗ったあとの墓石にじっと手をあてていた茶髪の青年が「石にも体温があるのですね」と掃除していた私に話しかけてきたことを思い出しました。秀句と思います(烏鷺坊)■回文を落として、こちらを採った、けど古いなあ、現代というとオーバーだけど、「今」を感じさせないもの。その後、「うぬぼれ」を採ったので、おっこち(等)

自転車の騒音の主紅黄の葉   厚子
■なるほど景が見えてきます。少しだけ説明的かな。でも感じのいい句と思いました(烏鷺坊)■ガサゴソガサゴソ鳴ったといんだな「紅葉の葉」が(等)

一本道農夫を埋めしゴッホの眼   勝之
◎吾郎◎亞子◎唖々砂
■実風景のファンタジー。いいかも(吾郎)■「農夫を埋めし」ってなんだ。これ、ばらばらな日本語だぜ、「ゴッホの眼」には一本道の農道に農夫が埋まっていると見えたのか?ならば説明だぜ(等)■あの眼ですよね。なんともいえない表情の。この句とりたいよー(烏鷺坊)■わだばゴッホによわい日本人の我(亞子)■「農婦」だったんすけど、ま、どっちでもいいっす(勝之)▼すんませ〜ん。誤植。だけど「農夫」のほうがいいから、これでいかせて(当番)

枯菊や身体なだらかヤク切れか   吾郎
◎唖々砂
■これ相当の成功作なんじゃないの。回文句集作るとき、ぼくならオビにこれを入れる(烏鷺坊)■意外に「付いている」回文(等)■「枯菊」「ヤク切れ」と回文でもツキすぎってあるんですね(勝之)■★★☆(規夫)

葬列や被相続人息白し   菊野
◎厚子◎白玉
■これ、そのままじゃない、五億円払った奴知ってるよ(等)■私の近未来を見るようで共感です(白玉)■不思議なもの、見ましたね。でも被相続っていうのかなあ。相続はされるものじゃなくてするもの、と思うけど。いや間違ってるかもしれないけど。間違ってたらゴメン(烏鷺坊)▼「被相続人」は故人ということになりそうですね。こんど顧問弁護士(笑)かファンドマネジャー(大笑)に聞いておきます(当番)

立冬やアトムの尻から機関銃   規夫
◎等
■そうなんだよ、あいつ意外と暴力的。しかし、胸から放射能をまき散らし、ケツからは機関銃弾か、しょうがない奴だな。アトムは確か2002年に生まれるんだろ。まだなんだよ。オレは鉄人28号のほうが好きだったけど、なんであいつ風邪もひいていないのに年がら年中、マスクしてたのだ、横山光輝、説明しろ(等)▼2001年でした、たしか。描き始められた1951年の50年後という設定(当番)■そうなんだよな。尻から機関銃が出るんだ。でも大昔、少年だったぼくは違和感を感じたなあ。十万馬力の鉄腕アトムに、あんな武器いらないと思った。そのとき初めて手塚オサムシ先生にちょっと変態的な要素があることをはじめて感じた。そのあと男の子だから恥ずかしくて読めなかった「リボンの騎士」を従姉妹の部屋に隠れて読んで、確信した(烏鷺坊)■オットット、カワイイので取りそうになった。アブねぇ、アブねぇ(勝之)

空と睦む下仁田葱と笑えば   等
◎裕◎勝之◎規夫
■抜けるような冬の青空が、大地の黒土を意識させつつ、圧倒的に読む者の頭上に広がってくる。まさしく睦むとはこのことであった。「下仁田葱と笑う」という、いたって率直な健全さが素直に地に根を張りながら、まさしく説得力として機能していることの喜悦。詠んでいる作者の息づかいが聞こえてきそうな佳句(裕)■ブッキラボーで面白い。江戸後期の禅宗系のお坊さんの句みたい(烏鷺坊)■幸せとはこういったことです(勝之)■「下仁田」という固有名詞のほかに、なにかないのかなぁなどと考えつつ(規夫)

天高く野分裾にまといつく   白玉
■「天高く野分」ってのが少し変。ダブル季語だからっていうんじゃなくて、変。「裾にまといつく」にも違和感がある。もっともそこが狙いなのかもしれないけど。その意味では読者を宙ぶらりんにする効果は出てる。面白いといえば面白い(烏鷺坊)■なんか、みえみえ(等)

うぬぼれが肩からずれて凍み豆腐   烏鷺坊
◎等◎珠子◎厚子
■「肩からずれて」が面白いかどうか、分かれる、どうしようか、採る(等)■なんかわかる(厚子)■それまでは「肩」に力が入ってたわけ?というふうに「肩」が含意をもってしまうから、ちょっといやらしいのかなぁ。このへんの自己表出はむずかしい(規夫)■面白いんだけどピンとこないんです(勝之)■ピンがきていない。露出もちょっとアンダー気味。だいたいが広角のもつ被写界深度に頼り過ぎ。望遠を使う事を覚えたほうがいい(烏鷺坊)

隙間風笑い声なぞ連れて来い   吾郎
■北風、小僧のカンタロウを思い出した(等)■ヤセガマンとはこういうことです(勝之)■「みんなの歌」っぽいが、「隙間風」だから四畳半私小説か。「笑い声」が嘲笑でだけはあってほしくない(規夫)■なんか寒いけど、寂しいけど、こんな気分ってあると思うけど、しかし(烏鷺坊)

秋の雨薬瓶から湿りけり   勝之
◎白玉
■そっと静かに暮らすさまが伝わってくる(白玉)■「から」という技巧が失敗か成功か。でも感じはとてもよくわかります(烏鷺坊)■「秋の雨で」ということだから、キレていないことになっちゃうのでは?お俳句作法的なことを言えばネ。ま、そういう例、多いんだけど(規夫)■だ・か・ら・なんなのさ。「ミナトノヨーコヨコハマヨコスカ」(等)

夏蜜柑たわわに実り雁の寺   三太
■実景句(かどうか知らないが)のようなの作ってもしようがない、と思うんです(等)
■落石注意(烏鷺坊)
赤軍の冬手配書の若き顔   唖々砂
■これも説明(等)■ほんとだよなー。見たくなかったよなあ(烏鷺坊)■「冬」は赤軍にかけているのか? でも「冬」と「若き顔」がつながらない気がする(厚子)

石榴こっぱみじん嬰児泣きはじめる   裕
■ガサガサ俳句、声がでかいだけ(等)■強烈な音響俳句ですな。耳ふさぎたくなります(烏鷺坊)

午後の五時灯りをつけて飯支度   厚子
■おい、こら。こら、こら、こら(裕)■なるほど季感あるね。しみじみとした発見。好感もてます(烏鷺坊)■わざと、やってんだろう、タワラマチにはなれんぜ、「飯支度」じゃ(等)

烏瓜何を言うても笑いおり   菊野
◎亞子◎唖々砂
■かる〜い感じがよく出てます(亞子)■「何を言うても」は具体的に言ってこそハイクなんだと(等)■何を言っても笑ってくれた頃が懐かしいです。あの頃が花だったなあ(烏鷺坊)

チュイチューイと鶸終日厨ごと  亞子
■ふーん、いい風景だなあ。こんな暮らしに憧れます(烏鷺坊)■「厨ごと」って死語だろう(等)■隣家の庭の実をべに、来るは来るは鵯、鶸、烏、頬白…(亞子)

フランスパンばりっとちぎる文化の日   珠子
◎菊野
■つきすぎ(等)■「ばりっとちぎる」がカッコいいっ! 季語の選定がどうだったか。もったいないよーな気がします(烏鷺坊)■やはりフランスパンはこの軽さ、淡白さが美味しい。毎日食べるごはんやパンは、すなわちぼくらの凡庸な生活は、かくありたきものなり(裕)■エスプリ(厚子)

アルカリ海岸視神経に小鳥来る   等
■末梢神経な感じ。嫌いではないのですが、詩的動脈がない感じがします(烏鷺坊)

さよならはあっさりがいい冬木立   烏鷺坊
◎裕◎珠子◎菊野◎三太
■重くまとわりつくアクや澱を漉しに漉して、ほとんど舌に残らぬほど薄く、淡く、きわめて上品に仕上げた。しかし、ほんのかすかに残る舌先の味わいに、調理するまえの素材の苦さ、渋さがたしかに感じられる。冬木立が明るい冬日のなかにまばらに生えた疎林に見えてくるのは、この一句に配されたそうした構造のためだろう(裕)■清談風かキライ(等)■どうも別れ際がくどかったり、しつこかったりすることが、現実には多くて困ると思いながら、案外、自分自身もあっさりとはいかないことのほうが多いようである。ちょっと気障な感じも否めないけれども、爽やかな清々しさがこころに残り気持ちがよい(三太)■フレーズが陳腐だと思う。せめて「冬日向」か。ま、ダメでしょう(烏鷺坊)

花みずき見ているそばから枯れていく   勝之
◎厚子
■景オンリーじゃ、つまんないでしょうが(等)■墓地の向こうの通りの「花みずき」という名の花屋さんが潰れてしまいました。きれいな母娘でやってたんだけど、そのお母さんのほうが三回目の結婚というか、とにかく今度の相手の男がヤーさんみたいなことで、まあ、借金の抵当にとられたとか近所の噂。なんかこの句、辛い(烏鷺坊)


鳩の餌を脇から掠める大烏   三太
◎白玉
■何とも情けない光景。烏は烏。もっと凄んだプライドないの?(白玉)■見てると鳩も強いよ。けっこう悪だよ。雀は蹴散らされるけどね(烏鷺坊)■だから、それを見ていたあんたはなんなのさ(等)

小春日を丸めてそっと持ち帰る   吾郎
◎三太
■スゲー、カマトト(等)■かわいい。こういうカマトト系の句好きです(烏鷺坊)■どうしちゃったの? 「そっと」ってアアタ、「丸めて」ってアアタ! で、引き出しになんかしまっとかないでネ。後生だから(規夫)■簡単でシンプル、かつ、平凡だけど何とも美しい句である。この「平凡で美しい」が、実はわたしのような「俳句初心者」にはとても真似のできない芸当で、さりげなさのなかにベテランの味を感じさせる名句であると思う(三太)

残照のあとに来るは秘義の言葉   白玉
■なんや、えらいキバッテハルヤナイノ、明日なんかあるの?(等)■秘儀?でしょ。ま、どっちにしても言葉じゃなくて沈黙がいい。そのほうが狙いがエッチになると思います(烏鷺坊)▼奥義といった意味のesotericaの訳語の「秘義」でしょ? 秘儀とは違うんです(当番)

手品師が創りし歴史秋の土   唖々砂
■神の手、ですね。やってくれるよね(烏鷺坊)■マジメ風(等)■手品師ではない、もっともっと壮大な言葉使ってほしい(厚子)

口あけて笑う顔顔顔もう自由な顔顔顔   裕
■おもしろい(厚子)■手放しの嬉しさが伝わってきます。絵画的というか写真的というか、直球だから翻訳もしやすいよね。「飛びたつも飛び立たずも自由水鳥の身震い」「血管の浮きでる竈自由なる湯気」「笑うたび息吐くたびに舌に載り転がる言葉自由自由自由」あーあ最後は短歌になっちゃった。裕ちゃん、こんなんで許して(烏鷺坊)■「顔」六つも見とうない(等)

〔以上35句〕

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九の付く日のFAX句会 オクンチ 第77回 2000年11月19日  日曜日
〔今回のひらがな〕
あかぎれになにわちえこをすりこみぬ   唖々砂
◎等◎勝之◎吾郎◎烏鷺坊
■国立のあんちゃんか?「アチャコ」「円鏡」などいろいろあったなあ、少し食傷気味だぜ。でも、次回は「竹村健一」をやってくれたまえ。やるよ、たぶん(等)▼はっずれ〜〜〜(当番)■僕としては、あの、その、お尻にすりこみたいです、ハイ(勝之)▼今回なぜかひらがな系が3句。和物なんですかねぇこの季節(当番)■ なによりも季語が絶対動かないところがメチャクチャ凄い。物凄い。しかし、当番先生にお聞きしたい。こんなおバカさんな方向で、おそるべき完成度を誇るっちゅーようなこと続けるなんざ、はたしていかがなものか。回文俳句のことも含めて一度こっそり体育館の裏で教えてちょーだい。ぼくみたいな不良あこがれ系劣等生は、何度カツアゲされても、でも採らされる。毎回採らされる。あーあ(烏鷺坊)▼この件については後日、中央線の当番先生からじっくりと(城南地区当番)

〔以下順不同〕
ライターがカチリと響く紅葉散る   三太
◎烏鷺坊
■うーん、「砂山のお、すうなあをーゆびでほおてたえらあー」が出て来ちゃうんだけど、句が古いのか、わてが古いのか(等)■カッコいい。とてもカッコいいと思います。強いて言えば短歌的抒情が濃いかな。僕もかつて俳句的全域のこと、これでいいのか、とも思っていました。そしたら、二度と来るな、顔も見たくない、短歌なんか散らつかすお前みたいな奴はただ邪魔なだけだ、というレベルで、とある高名な俳人に、とある句会から完全排除抹殺されそうになりました。そのちっぽけな目的のために充全な自民党的根回しもあったとも聞きます。その後、比喩的にではなく右手で強烈にボカンと後頭部を殴られた日の屈辱を僕は一生の誇りにしたいと思って生きています。涙が出るようなトラウマ。だから、というわけでもないのですが、この句をとります(烏鷺坊)

ほおづえの読むとも読まず木の葉髪   唖々砂
■そのまんま(等)■ 竹久夢二の少女絵を見てるみたい。美しい。好感度A(烏鷺坊)

膨らんで林檎は落ちるムイシュキン   等
◎唖々砂
■なんでムイシュキンやねん。白痴∞テンカン∞気違い≠ニしての林檎ならちょっと弱い(勝之)■ 「白痴美」でもいい、美しければいい。この句ちょっといい(烏鷺坊)

霊媒のみなどてら着る稲荷寿司   烏鷺坊
◎等◎勝之◎三太◎吾郎
■怖いなあ、どてら着て「稲荷」食ってるのか、皆んなかあ、怖いなあ(等)■関西方面のイタコでっしゃろか(勝之)■寒さもひとしおの今日この頃、なんと暑苦しい句なのだろうか、と思いつつ採ってしまいまいした。「どてら」と「稲荷」が所謂「つきすぎ」な感じが否定できませんが、でも、イケテル句だなと思いました。作者の力量を感じさせます(三太)■ 青森・浅虫温泉の実景句。イタコが団体で慰安旅行に来ていました。に、してもせめて「着て」だろうが、ヘボ(烏鷺坊)

ノート焼く唯一葉が舞い残る   勝之
■サナトリウム系ね(等)■ 「いちよう」と読ませる命令パワーが凄い。感服(烏鷺坊)

馬は残り香染み淋しがり木の葉舞う   吾郎
◎等◎唖々砂
■採りましたが、最近パワーないよ。意味をもっと混乱のるつぼに放り込んで欲しいよ(等)■回文にしてもいそがしすぎ(勝之)■四番目の句です。なぜ、落としたかといえば、「残り香」を素直に「のこりが」と詠めなかったからなのです。回文句としては、かなり素晴らしいのにちょっと残念です(三太)■19字で作っちゃたよ、これイエローカードね(吾郎)■ 面白い句が多いので回文まで手が回らない、ごめん(烏鷺坊)

海苔巻きの海苔の裏面冬の雲   烏鷺坊
■めんどくさいことを言いやがる。海苔巻きを解体してまで俳句作りたかねえや(等) ■バーカ。「海苔巻の海苔の裏から冬の旅」とかなんとかつまり短歌的にしちゃえばもうちょっとダマせるのに、アホ。にしてもほとんど救いようないよね。つまりまたダメってことか。あーあ。最低(烏鷺坊)

四十六億年後の哺乳瓶テラへ   白玉
■「テラへ」がクソ上品(等)■ 竹宮恵子だっけ、萩尾望都だっけ。ごめんね。思い出せないのに、とりあえず、冬ざれや忘れた頃のテラに住む、と返句しちゃう。だけど、ほんとにごめん(烏鷺坊)▼竹宮っす(当番)

牡蠣のように目覚め幕張へ行く   等
■オモシロイ!ドロッ〜とした眼やね(勝之) ■そんな風に覚醒したことがない。私もなんか薬物使うべき時点に立っているのか、もしかして迷う。俺だってどっか目覚めたいもん(烏鷺坊)

缶ビール開ければ窓より墓並ぶ   勝之
◎三太◎白玉
■そりゃ、そういうことあるだろう。西念寺もそうだし(等)■缶ビールを開けようが開けまいが、窓の外には墓が並んでいるのであろうが、缶ビールを開け、咽越しも爽やかにふと見上げた解きに、その当たり前の事実をあらためて再認識した、ささやかな「驚き」のようなものが伝わってくる(三太)■かってこの光景、実際に経験したことある。とある快晴の日にお墓がぐんぐん迫ってきた。これが毎日だったら、どうなることだろうと思ったことがある(白玉) ■「より」じゃなくて「に」だったら採る。すぐ採る(烏鷺坊)

盲縞畳みてをれば雪女郎   三太
■なんか「雪女郎」が出てきたわりには、大したことないな、「盲縞」は辞書で調べた(等)■ 描写が丁寧すぎるような気がします。一語一語それぞれの素材はとても魅力的なのですが(烏鷺坊)

まんまるのうおのめだまのじゅういちがつ   等
◎吾郎
■こうやっておわっていくのね(吾郎)■ 「じゅうにがつ」のほうがちょっと似合う感じ。つまりとてもいい句だと思います(烏鷺坊)

橙は橙代打は偉大だ   吾郎
■有季定型回文、読者は進歩する、もっと炸裂を(等)■なんかすごいことになってんのか?(勝之)■ だから、回文には手が回らないっていってるでしょーが、とかいっても全句コメントしたことない人にはわからないよね、とかいっても何の意味もないですよね。とかいっても(烏鷺坊)

原生虫瞳は青く空碧し   白玉
■知らん、「青く」、「碧く」なんてガンバっちゃって(等)■ なんだろか、なんだろね。しかしどっか美しい気もする(烏鷺坊)

キラートマトとして冬に入る酒でものむか   唖々砂
■キラートマト?電車の吊しで見たかな、これ何?(等)■呑もう(烏鷺坊)

とどとなるかつていとおしかりしもの   烏鷺坊
◎勝之◎白玉
■よめはん、か?そうだろうよ、それしかないな、そうあるべきだ(等)■ううっ、これ言うたらシマイや。勇気あるなぁ、オレにはとても言えんわ(勝之)■いつまでも愛しく思われている「とど」さん、ご馳走さまです(白玉)■ 地口落ち。オヤジギャグ。最低(烏鷺坊)

女棄て来し底冷えの終着駅   三太
◎白玉
■ほんまにしょうがないやっちゃ、小林旭的抒情、でっかいコートの衿立ててよお(等)■モテたって自慢してんのか!?(勝之)■余りにも切なすぎて、淋しさが喉元に突き刺さる。馬鹿な男の叙情なのかもしれないが(白玉)■ きみはハンフリー・ボガードなのか子役の頃のリチャード・ベイマーなのか。それともエミグレもどきがブルボン朝を見捨てる「山猫」の一場面?あるいは単なる女の決意? 更年期? ホルモンからの自立? 若いころの援助交際? そして公爵は売春婦を買う、ちゅーよーなことか。誰がなんで女を棄てるの? わかんなくて凄くもどかしいよー。まいった。悔しい。にしてもどれにしてもあれにしても意味深すぎてあまりにネオ・リアリズモな気がします(烏鷺坊)

神楽月ひかるハサミと虫封じ   白玉
◎三太
■「神無月」だろうが、「神楽月」だろうが、ダメです。「と」で結んだブツがイメージをまき散らさないから(等)■神楽月というのは、あまり聞き慣れない言葉だけど、れっきとした冬の季語なのですね。支離滅裂ななかにきちんと季語を織り込んでいたりするのが、まんざら悪くないという気がする。字面と言葉の美しさで採ってしまいました(三太)■ 超難解。「西田ひかると虫封じ」なら少しわかるんだけど(烏鷺坊)

大オリオン背中にしょって立ち小便   吾郎
◎唖々砂◎烏鷺坊
■散文で書いたときと、たぶん何も変わらないんじゃないのか(等)■なんかヤケクソ?(勝之)■ ただの酔っぱらいの癖に、高倉健みたいにカッコつけるところが絶品。これ星座の彫り物ですよね絶対。三つ星が、ほら、こんなところに。なんて指で押さえられたりして。というわけでもちろん、完璧にいいんじゃないかな、これで(烏鷺坊)

〔以上20句〕

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九の付く日のFAX句会 オクンチ 第79回 2000年11月29日  水曜日

〔今回は等さんの三句選〕
ちんちんやポールデルボーの男の子   十四郎
◎等
■デルボーは日本人の人気ある。何回かデルボー展、やっているはず。夜、汽車、少年、眼のでっかい裸婦。「ちんちんや」という言い方が、下町のガキ臭くていいねえ(等)■「ちんちん」と「男の子」じゃねェ(杜)

冬の夜背中明るき茶づけかな   唖々砂
◎烏鷺坊◎等◎吾郎◎規夫◎十四郎
■なんかびんぼ臭いんだけど、明るきってのが、竹中直人的で好きかも(吾郎)■お茶漬けは好きだ。しかし十分食ってからのお茶漬けは太るから、最近はやらない。みそ汁をぶっかけるのもたまにはイイ。「背中明るき」がイイ。「冬の夜」だからイイ。しかし、こんな鑑賞は絶対外国人には通じないだろうな(等)■どうせなら「鮭茶づけ」「梅茶づけ」にしてくれたらいっそう明るさを増す(杜)■一生お茶漬けだけで生きていける私としては、いただくしかない(規夫)■大阪土産の塩昆布をもらった。背中まで明るくなるほどうまい(十四郎)

鉛管てらてら水源は竹村健一   規夫
◎烏鷺坊◎等◎吾郎
■オクンチ人は挨拶人。3句も呼応、有り難う。「水源は竹村健一」とは面白い。マクルーハンで売って、その通り演じている。TVでは、だれも内容などに感動していない、ということ。パイプと不遜な体の捻れ(腰が悪いんだろう)と大阪弁、それで売るんだから大したもんだね、キライだけど(等)■イヤダー!(杜)■意地の竹村俳句の中ではこれ。でも三句同一作者とは思えんのだが(吾郎)

〔以下順不同〕
白菜の尻ざっくりと俺の手で   吾郎
■本当は白菜ではなく女の尻とみた。野菜は死体だと、どこかの精神分析医が 言っていた。ということは、あの佐川君、うーん怖い。なんて読むのってアリ かなあ(等)■俺の手になる意味は自己主張なのだろう…(杜)■下五とりけし(吾郎)

運転手に惚れた人造湖の山茶花   等
◎規夫
■山茶花には「運転手」や「人造湖」といった俗がよく似合う。だから「惚れた」は恋情ではなく、「運チャン惚れた!チップはずむ」の世界(規夫)■なんだか説明的(杜)

みなたてになる筆箱のなか不思議   十四郎
◎烏鷺坊◎唖々砂
■すみませ〜ん、誤植。下の「の」は不要でした(当番)■筆箱を立てたら、鉛筆もたった、と言うこと?不思議でもなんでもないのだが(等)■不思議・・ってあーた、そんな安直な(吾郎)■トイストーリーをビデオで観たよん(杜)

陰陽のそもそもおでんだねの店   烏鷺坊
◎十四郎
■そうか陰は油揚げで包んだなにか、陽はウインナーの揚げ物だ(等)■上中は好きです(吾郎)■おでんだねで茶化すのはズルイよ(杜)■日本史をおもしろく思いはじめたのは、そもそも八切止夫だった。このごろは清明神社に若い女性の参拝が絶えぬと聞くが、陰陽道とおでんだねの関係やいかに(十四郎)

冬木立こわいものなどありはせぬ   杜
■と、言われても、どうしようもありません(等)

辛めな白菜も遺作は滑らか   吾郎
■回文だけど、やっぱり最近パワーが足りないと、十七文字では少ないのかなあ(等)■煮れば煮るほど美味しい気持ちが伝わる(杜)■★★★。潔いリズム(規夫)

ホラ貝の娑婆十一月は薄い   等
■ホラ吹きの方が私は好みかも(杜)■材料は揃えたけど(吾郎)
庭先にバサリと柘榴鴉飛ぶ   唖々砂
■「庭先に」がそもそもクソ日常のはじまり(等)■鴉はこういうことをするねん(杜)
懐妊の竹村健一スヌーピー噛む枯野   規夫
■彼野は「枯野」でしょう。「懐妊」は「解任」?訳わからん、題出して文句言って、スイマセン(等)■すみませ〜ん、誤植。枯野です。「懐妊」は「懐妊」です(当番)■イヤダー!(杜)

膝掛けや蠢きやまぬ毘沙門天   烏鷺坊
◎杜
■「蠢きやまぬ」という言い回しにこだわらないでとりました(杜)■これってH俳句?(等)

洗い髪ページをめくるくしゃみかな   杜
◎十四郎
■そういうことあるでしょう、しかし読者をたのしませてほしい(等)■昔ならKYON2でCMになってたシチュエイション(吾郎)

薬喰い竹刀をいなし行くリスク   吾郎
◎唖々砂
■回文ね、出来すぎ(等)■腰痛のリスクかな?(杜)■★★☆(規夫)

冬利根に眼こすり人形劇の情事   等
◎杜◎規夫
■こういう情景のある句は好き(杜)■実と虚がまぶたの皮膜を行き来する(規夫)

ハレルヤ一曲この星の一周   十四郎
◎吾郎◎杜
■簡潔にして、思わせぶりと潔さ野同居がステキよ(吾郎)■第九を思い出した、またあの曲が流れる。ところで、ベートーベンは聖人じゃないんでしょ、本当は(等)■一曲で一周という遊園地的感覚がよかった(杜)■「この星」シリーズはまだ習作が重ねられている段階と、私は見ている。秀作を待望(規夫)

夜泣きの児背おいて細き冬の月  唖々砂
■チャンチャンコ着て、「おどまぼんぎりぼんぎり」的雰囲気(等)■私にもこんな日があったはずなのに、もう忘れてしまった(杜)

枯れ蔦が枯れ木に竹村健一さえも   規夫
◎唖々砂
■これは気取りすぎか(等)■だいたいやねえ、ボクは枯れてませんよ、九一でも(唖々砂)■竹村健一を使って何を画策しているのか(杜)▼「竹村健一のいきさつ」については前回オクンチをお読みください(当番)

片時雨うしろばっかり遊撃手   烏鷺坊
■マトリックスをまたもやビデオで観てしまった(杜)■こういうのって、「ねじ込む」ぐらいの強引さを見たいのだ(等)
〔以上20句〕

〔総評・近況〕
▼まだ十一月だというのに早くも忘年会ラッシュに突入。酒、酒、酒の間に酒。五臓六腑はこぞって悲鳴をあげています。みなさんも体だけは大事にしてくっさい。(烏鷺坊)
▼隣の家に引っ越しました。庭があってバーベキューの道具もあります。あそびに来てね(杜)

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九の付く日のFAX句会 オクンチ 第80回 2000年12月9日  土曜日

〔今回の一句〕
寒冷前線読み切りサザエさん  亞子
◎等
■「読み切り」が不安定。「読み切りの」または「サザエさん読み切る」ならボクにはピタッとくる(等)■サザエさんは全部読み切り、「連続」はないでしょ? 「よりぬきサザエさん」の間違いか?(規夫)

〔以下順不同〕
交差点につったった愛寒鴉  亞子
■「愛」が感動的な一句。七〇年代メロドラマ風(規夫)

不惑からこっちふらふら毛糸玉  烏鷺坊
◎珠子◎規夫◎三太
■俳句的に優れているかどうかは判らないけれど、たぶん、けっしていいことではないのかもしれないが、不惑からこのかた、ふらふらしっぱなしのぼくには実感句として共感できる(三太)■「不惑」なんて恥ずかしいけど、季語の扱いがこなれてる感じがしたりして(規夫)

冬落暉電車に詰まる無表情  珠子
■無表情は状況説明のようで決してそうではない。「鼻」などの具体的な部分の表現でやってくれないと(等)

昼のジャズ蛇口の下に蕪が浮き  規夫
◎珠子◎吾郎◎等◎亞子
■昼ってのがいいな。なんやら居所が悪くて(吾郎)■「蛇口の下」が「昼のジャズ」と「蕪」の超越的結合を消しちゃっていると思います。キレがない(下にの説明)からだと思います(等)

イチゴ味のバリウム飲み干せばレノン忌  勝之
■苺畑よ永遠に(吾郎)

漂うからもっとも太い葱を買う  等
◎吾郎
■漂泊だからって漂白ねぎは買わない(吾郎)

ファンキーな蠅とお茶するセーターチクチク  唖々砂
■なんと忙しいお三時(規夫)■今日は口語調が多いけど、この句に限らず正直うんざりしました(等)

黒し木の蕪並ぶか軒白く  吾郎
◎三太
■まず最初に言いたいのは、「木の蕪」は「木の株」の誤りではないか、ということ。手許の国語事典でも「【蕪】アブラナ科の一、二年草。すずな。かぶら」とある。黒と白の色彩的対比の冴えが、フォビズムの巨匠ブラマンクの作品の如く美しい回文句(三太)■回文、長い療養生活に入っております。リハビリ遠し(吾郎)■★★(規夫)

烏の子そこのけそこのけ仕返しこわい  白玉
■笑えたけどそれだけ(吾郎)

愛してるわなんていうなよ寒椿  三太
■侘助のほうが情緒あり(吾郎)

冬苺ひしめき合って千疋屋  珠子
◎規夫◎烏鷺坊
■「千疋屋」が意外にあざとくない(規夫)

なにもかも雪なかんずく仏教史  烏鷺坊
■「なかんずく」、就中ね。「なにもかも」が怠い。「仏教史」じゃ、緩い(等)■「ほら、ちゃんと遊べてるでしょ?」っつうのはわかるのですが、それで面白いかどうかは別のようで(規夫)

祈祷師が来る十二月の波頭  等
■3つのぶつかり方がうまくいかなかったような(規夫)

このひとつを見て捨てた  十四郎
■言い切ればいいのかよ冬の月(吾郎)■見て捨てたはずなのにここにこうしてある、という言辞の自己言及パラドクス。いつもながら理屈っぽいにゃあ、この作者(規夫)

年惜しむ世間話の婆ふたり  三太
■これじゃ、婆の方が、作者より元気だわさ(等)

老眼鏡じつはただの虫眼鏡ではないか  白玉
◎三太
■これまた、俳句としてどうかはともかく、実感句として共感を否定できなかった。老眼に悩まされて老眼鏡なるものを初めて捜しにいったとき、なんだこれは双眼の虫メガネではないか!と思ったのは偽らざる実感。それまで、近視と乱視が混じりあって検眼にも苦労していたので、何か肩すかしを喰らったような気分だった(三太)■そこから始まって、どこに向かうか、だ(吾郎)■具体性100、抽象度0(等)■「老眼鏡」と「虫眼鏡」を入れ替えればいいのかなあ。そういう問題じゃないか(規夫)

房総のくびれを消して冬の虹  亞子
■大きくて綺麗。大鵬のような句(吾郎)

差し出された手握ればアイラーのサマータイム  勝之
◎吾郎
■そういう瞬間を夢見てる中央線に一票(吾郎)■差し出された手に十円玉のせてあげるドリフのズンドコ節(規夫)

秒針をざくざく刻む枯野なり  規夫
◎等◎亞子
■感じがでている、でも、それってホントに古い基準だ(等)■枯れ野って時間感覚なくさないですか(吾郎)

小春日や歩いても歩いても日本  吾郎
◎珠子◎唖々砂
■バカバカしくって面白い(規夫)■山頭火のもじりにしては「日本」じゃ、ねえ(等)■人生って、くたびれる(唖々砂)

漱石忌だってさオモチャかたづけて  唖々砂
◎規夫◎十四郎
■リズムよし(規夫)

今夜ある声があるたった一度  十四郎
◎勝之
■どうなんでしょ。これはこれで一つの形だとは思うのですが(吾郎)■相田みつおちゃん、あるいはフォーク系Jポップ(規夫)

畳わが死海となりぬ冬の虫  等
◎烏鷺坊◎唖々砂
■死のうと思って飛び込むだらプカプカ浮いて、泳げなかったのにスイスイ泳げて、生きていこうと思った(唖々砂)■なんか、楽しめる予感がする。時間がたつか、違う句になるかで(規夫)

空腹を知らぬ胃袋冬日落つ  珠子
■感じがいい句。「満腹を知らぬ」だと怖いが(規夫)

レノンの忌うんこはいつもあたたかい  規夫
◎亞子◎勝之◎十四郎
■やはり、「家にかえれば飯がでる」の方が好きです(吾郎)■小学生俳壇(規夫)

「狼が来た」あたらしき玉子に血  唖々砂
◎勝之◎十四郎

はじっこのはじ目の下のくつ下  十四郎
◎烏鷺坊

ちんちんと滾る薬罐や閻魔堂  烏鷺坊
■「滾る」が読めなくて調べようかと思ったが、また今度調べることにした。怠惰を反省(規夫)

始めて火を見るようにマッチ擦るおまえが好きだ  勝之
◎等◎唖々砂
■こんな寄り目になるくらい真剣に「好き」とか言われたら、思わず結婚しちゃったりするんだろうなあ(唖々砂)■祝ディラン再来日(吾郎)▼フーちゃん(山本夫人)に電話して、この愛を伝えておこう(当番)■全然キレがない。中塚一碧郎は長くとも、口語調であってもキレがリズム感が天才的なのだ(等)
〔以上30句〕

〔規夫・当番より〕
▼白玉さんは風邪・発熱により選は不参加。くれぐれもお大事に。
▼風邪が流行っておりますね。私もぐずぐずと長引いています。喉に来ているので、タバコをやめりゃあいいんですが。
▼今回、等さんからの「選」のメールは「4句選」。何かの間違いでしょうが、これもアリかと思い、ママで行きます。
▼次回の当番は井口家。

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九の付く日のFAX句会 オクンチ 第80回 2000年12月9日  土曜日

〔今回の一句〕
雪が降る大石おちて穴ふさぐ     白玉
◎吾郎◎十四郎◎三太
■雪は単なる季語なのだろう。雪と大石がおちることとは、何の因果関係もないようだ。ちょっとシュールなのだが、不吉を暗示させる穴を大石が塞いでしまうことで、なぜかホッとさせられる和み感が良かった。(大石=大石内蔵助か?)(三太)■わからない(等)

〔以下順不同〕
ハレルヤ言葉なくとも歌は沸く 十四郎
◎勝之
■ハレルヤ!とわたくしも(勝之)■意味は分かるけど、芯を捉えていない、という感じ(等)

椿に飽きふりさけ見ればソドムかな   等
■ソドム:旧約聖書に記された伝説的な町。ヨルダンの低地にあったが,その罪悪のために天から降る硫黄と火とで焼き滅ぼされたという(《創世記》19)。旧・新約聖書においてゴモラ Gomorrah と組み合わせられて,罪悪と神の処罰の見本としてしばしば引合いに出された。ソドミー sodomy(男色・獣姦)なる語もこの町の名に由来する。ソドムは地震のために死海南部の水中に没したとの推定が行われている。(当番A乱入・お勉強タイム)

北風や牛乳箱の黄色しむ 唖々砂
■これ、見たんだろう。でもこの「黄色」はあんたにとってなんなのさ(等)

おでこからちちんぷいぷい寒椿   烏鷺坊
■「おでこから」以下、幼児そのままみたいだ(等)

火を泳ぐ小者は大物のかげのなか  白玉
■「火を泳ぐ」はチト気取っていないか?(等)

黄落やもすこしお布団かけとくれ   吾郎
◎唖々砂◎十四郎◎烏鷺坊
■こういうのって、面白いんだけど、境涯臭いですしねえ(等)

担々麺ぬくし双子座流星群   三太
■◎等
■「あつし」じゃないところがミソ。ぬるいお茶を今飲んで、アレと思った。作者は意識して「ぬくし」にしたのだろうか?それとも韻律がこの語を呼んだのか?(等)

わしノン気深雪飽きゆ眉間の皺   吾郎
◎烏鷺坊
■途中の「ゆ」が疣ののように気になる。今回もとらない(等)■一発でスンナリ詠めなかったので選外になった。じっくり読み返してみると、「ノン気のわしは深雪という源氏名のゲイと付き合ってみたが、(ノン気だからかどうかは定かでないが)飽きてしまったので、眉間に皺を寄せている」という「風俗ストーリー」になっていて案外おもしろいのだが残念である(三太)■★★(当番A乱入)

黒犬に導かれ走る十二月 勝之
◎唖々砂
■「黒犬」が意味を持ちすぎようとするのかな、「白い牛」というのも今回ある。(等)
廊下まっすぐ冬の溲瓶のうすみどり   烏鷺坊
◎等◎吾郎
■ボクの感覚では「冬の溲瓶」は「冬」と「溲瓶」の二物衝撃でやりたいのだが、それは個人差だから。「廊下まっすぐ」が面白い(等)

深夜虫値引き心が笑わせる 白玉
◎等
■「閑吟集」のようなリズム。でも、これどこで切って読むの?意味が読みとれない、教えて欲しい(等)

やはらかく陽は傾けり冬至祭   三太
◎烏鷺坊◎白玉
■長い時を経て、人々のやさしさが伝わる思いがします(白玉)■こういう句、受け入れることができません(等)

冬の河原真白い牛の腹を割く 等
◎勝之
■"冬の"の"の"はいるのかなぁ、でもいただき。子供の頃はよく川で熊とかイノシシを解体しているのを見た。冬の川に血がドンドコ流れて、内臓がホカホカ湯気あげてた(勝之)

サンタ来てゲバラの旗をおいてゆく   唖々砂
◎十四郎◎三太
■実はコメントすべきことは、ほとんどないのだけど、この句の事件の直接関係者としては「挨拶句」として、採らないわけにはいかない(三太)■一句一章ではないほうがイイと思う(等)

寒凪ぎてゆったり地蔵の風ぐるま   三太
■「やわらかく陽は傾けリ・・・」と同じ作者?「ゆったり」でこの句は終わっている。この感情は読み飽きた(等)

冬の日のレンズ焦点∞で燃え始む    勝之
■切れがないので、ダラダラしてます(等)

酢海鼠のこりっとピタゴラスの定理 等
◎勝之
■音が面白いので、いただきまーす(勝之)

ぷんぷんと陽だまり匂ふ蒲団かな   烏鷺坊
■これはゴク普通の感覚(等)

商店街サンタクロースの地蔵顔 唖々砂
◎白玉
■なんだかんだと、まだ健在なり商店街。人恋しくて、なつかしい(白玉)■景が面白いのであって俳句が面白いのではない(等)

年忘れ終日こんにゃくとして過ごす   勝之
◎吾郎◎唖々砂◎白玉◎三太
■これきっと、こんにゃく男のこと。年中こんにゃくみたい(白玉)■このところ余り体調が良くない。食事をすると吐き気に近い胸焼けが襲ってくるし、とても疲れやすい。なのに、なぜか電話がよく鳴る。いままでさほど忙しくなかったのに、ここ数日間というもの周りが休ませてくれない。本当は終日こんにゃくとして過ごしたいぼくとしては、この句の作者の境地が羨ましい(三太)■作者自身が面白がっている。最初採ったが、「深夜虫」に鞍替えした(等)
〔以上22句〕

〔総評・近況〕
▼俳句の「は」の字も知らなかったぼくが、俳句らしきものを詠めるようになったのは、ひとえに『オクンチ』で鍛えられたお陰です。当番の植田規夫さま、井口家さまには心から感謝しております。来る二一世紀もなにとぞ宜しくお願いいたします。皆さま、良いお年を!っと、まだもう一回『オクンチ』はあるのだった(三太)

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九の付く日のFAX句会 オクンチ 第82回 2000年12月29日  金曜日

〔今回は等さんの三句選〕
小春日やロバにやりたき角砂糖   唖々砂
◎等◎烏鷺坊◎裕◎勝之◎十四郎
■掌の中の角砂糖が輝いてる。まさかLSD入りの紫ってことは、ねぇよな(勝之)■「やりたき」が不満だけど(等)

まんぼうと水爆ごっつん失念す   裕
◎等◎規夫
■「まんぼう」と「水爆」はなぜ親密なのだろう、と一人考えてみる大晦日。でも、「失念」はよくわからなかった(規夫)

木枯らしや猫のうわごと妻のいびき   裕
◎等◎白玉
■妻シリーズというジャンルがオクンチにはある(等)

〔以下順不同〕
慰謝料のずしりとおでん煮えにけり   烏鷺坊
◎菊野◎裕◎規夫
■差し上げた方か、いただいた方か、ちょっとしたリアリズム(菊野)■う〜ん、作者笑ってるな。いい味(勝之)■ツボにはまりすぎ、できているのですが・・・(等)

小春日の照れか浮かれて伸びる箱   吾郎
◎菊野◎白玉◎勝之
■急に「伸びる箱」、なんだろう?(等)■このシュールな味わい好きっす(勝之)■★★☆。「殿下浮かんで」…これもダメか。代替出すのはマナー違反ですが(規夫)
冬菊の荒き命に出会いたり   菊野
■「荒き命」は他の言葉とからんでいないんだな(等)

二千年ごはさんでねがいましては   十四郎
◎吾郎◎三太
■そういきたいもので(勝之)

葱包む死海たゆたう新聞紙   等
■「葱包む」と「新聞紙」が意味で直結するので、私にはピンと来なかった。勝手に語順を入れ替えて「葱たゆたう死海を包む新聞紙」としても、またもや意味が肥大。俳句はときどき面白いけど、いつも難しい(規夫)

霧深しすたすた歩く俺のなか   裕
◎吾郎◎唖々砂

お日さまがポカポカ浮かぶ夜の風   莞爾
◎勝之◎十四郎
■私は作者を知っているので少しズルなのですが、彼の口からこの句が出たとき、私は親バカチャンリンでした。それから彼は俳句らしきものを連発したのでした。おそらく作者を知らなくてもとったと思います(十四郎)■まいりました(勝之)■現象として分からない、心像としても分からない(等)

荒地にて大地つんざく芽が生える   白玉

ふとアジテーション谺するハチ公前   三太
◎烏鷺坊
■カアーッ、暗い奴っちゃ!(勝之)

フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン≠セって裸で歌えるよ、とタオル巻いたおまえは   勝之
◎唖々砂
■「俳句って何だろう」と考えさせられる一句でした(唖々砂)■うへ、なんとも(等)■一行に収まらないのは問題ではないが、「おまえ」じゃどうにもこうにも、と思う。この意見にはフーちゃん(山本夫人)も賛成してくれると思う。「タオル巻いた魚屋は」とか「タオル巻いた水枕は」とか(規夫)

牡蠣殻のへばりつきたる大枯野   規夫

もそもそと凍ててエッチな週刊誌   烏鷺坊
■はいはい、林の中でぶっとくふくらんだやつっすね(勝之)

つい呑み屋避けぬマヌケさ闇の凍つ   吾郎
◎三太◎白玉
■★★(規夫)

冬桜去勢の猫のワンステップ   等
■なんか「玉ナシ」ってのも軽やかでいいっすね(勝之)■うちの去勢猫はフニャフニャである。去勢しのくせして、人間の雌を外観で選んでいるフシがある。このあたりでいちばん幸せな奴だと思う(規夫)

髪変えて全身写す初鏡   菊野
■こんなこと、報告されても、そうですかとしか言えない(等)

歯をみがく二千年末歯をみがく   十四郎
■「歯をみがく」は1度言えばイイ(等)

風と行く木の葉の行方世紀果つ   唖々砂

眠れない夜今から出かけてもよいだろう   莞爾
◎菊野
■お気をつけて(菊野)■「火星でも行って宇宙ステーションのお尻でもさわってこよ」って感じが好きです(唖々砂)■来てもらいたくない(等)

酒醸す婆と眠れ朽ち葉色   白玉
◎三太
■うまいザブトン二枚、山田クン、やっとくれ(勝之)

愛されぬ妻と愛される愛人の冬   三太
■ミもフタもないけど、なんか不思議な味わいがあるなぁ。なんだろ、ちょっと考えとこ。二一世紀への宿題として(勝之)

山茶花の一つは気流一つは砂州   等
◎裕◎十四郎
ずる休み咎めず立つや黄水仙   菊野

直腸に碁盤かちりと鳴りはじむ   烏鷺坊
◎規夫
■「直腸」と「カチリ」がとてもフィット。「鳴りはじむ」はちょうと冗語か(規夫)■これねえ、精神分析学の対象になりそう(等)

年用意メモにかわいいコックさん   唖々砂
◎烏鷺坊
■あらま、カマトトぶっちゃって(勝之)■ここまで口語調でやっていて、なおかつ季語をいれる。なんで? なんか未来がないなあ、と思うのですよ(等)

砂になる悲しみのない国へ   白玉
■すごく柔い(等)

糸の切れた凧のやうに年の夜   三太
■「やうに」は旧かな表記、なぜ?「ように」はこの句ではいただけない(等)
ポカポカ起きたら夢の数   莞爾
■「数」はないでしょう(等)

踊っていましょ二〇世紀が終わっても   十四郎
◎吾郎◎唖々砂
■「二一世紀がはじまる」とではエラク違う(等)
〔以上31句〕

〔当番より〕
▼莞爾さんの選が届きませんでしたので、抜きでリリースします。
▼二〇〇〇年もまた、お疲れさまでした。お世話になりました。
▼次回も当番は規夫。

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九の付く日のFAX句会 オクンチ 第83回 2000年1月9日  火曜日

〔今回は等さんの三句選〕
山一つ消え含包薬に荒星   等
◎吾郎◎規夫
■材料が多いんだけど、キンとした時間に一票(吾郎)■展開がある。成功したスペクタクル(規夫)■意味が全然わからない。なのに魅力的(烏鷺坊)■下七・五が固いんだわ(勝之)

〔以下順不同〕
人魚岬の木造校舎鯨来る   等
■道具立てが多すぎるような気がしますが、馬鹿馬鹿しくてとても面白い。こんな句、好きです(烏鷺坊)■「人魚」と「鯨」がカブるような……。鯨以外が来たのなら、迷わず1点(規夫)■学校の怪談3とかでしたっけ。高橋留美子的伝奇マンガのワンシーン(吾郎)■なんか物語できすぎじゃないですか(勝之)

御焚き上げ両目を剥いたダルマかな   吾郎
◎勝之◎規夫
■片目のダルマもまじってたりするんですよ。あ〜ぁ、ダメだったのかと思ったりして(勝之)■「御焚き上げ」がかなり不満ですが(規夫)■物凄く面白い。炎のなかの達磨、つらいけれど切ない(烏鷺坊)■これ、そのままの景じゃない?(等)

ふくらみてあげる当てなきポチ袋   烏鷺坊
■そういう時はどうぞワタシに電話してクダサイ(勝之)■いっていただければ、よろこんで回収にうかがいますのに。にしても侘びしい正月やね(吾郎)■一方では日常に飽き飽きしているから、この句ちょっとねえ(等)■「あげる」がモタモタ。中は「おりあてのなき」でよいのでは?(規夫)■今回あまりにいい句が多いのでこんな句に語るひまなし(烏鷺坊)

裏方の万両欲しやピイヨロロ   唖々砂
◎等
■ピイヨロロはトンビかい?これは気分が良くなる句です(等)■意味がよくわからんのでなんですが、雰囲気として下五は好きです(吾郎)■ぼくには意味不明。だけど切実な感じがする。とてもする(烏鷺坊)■原句は「裏山の」なんです(唖々砂)▼すみませ〜ん。誤植。年初早々大失態。お詫びに頭を丸めて茶色に染めました(当番規夫)

初雪やたちまちバレるオレの嘘   勝之
◎吾郎
■これをとろうと思う。とりたい思う。しかし、しかし(烏鷺坊)■車が腐ったと思ったら今度は嘘ですか、それも臍が聞いてるって?(吾郎)■雪降って嘘がバレルのはよく言うなあ(等)■そりゃバレるわなあ。嘘つかれて憎からず思うのにも限界があるやろから、ええ加減にしといたほうがええと思うよ(規夫)

蜜柑熟る枝にラジオがぶらさがり   規夫
◎烏鷺坊◎唖々砂
■だからさあ、これは景だけの問題であって、言葉の問題じゃないのよ(等)■なんかまんまの実景に落ち着いちゃった・・・って感じしません?わたしゃ元のままの方がすっきやなあ(吾郎)えーい。これとっちゃう。うまいほうの人の作品だろうけど、また騙される。悔いはない(烏鷺坊)■枝にラジオはな、ちょっと…ガガと鳴いたりして(勝之)

一月は始祖鳥のごと過ぎにけり   等
◎烏鷺坊
■ふーん。ちゃんといいたいことある、それだけでも相当。立派な句。一点(烏鷺坊)■ニ月はトライセラトプス、三月はティラノサウルス、年末あたりにようやく山本星人出現か。いやジョーク、ジョークだってば(吾郎)

六日はや神の好みか矢は皆無   吾郎
◎等
■だんだん調子が上がってきたとみた(等)■★★★(規夫)■少し辛い。回文はいつも物凄く難しい(烏鷺坊)

目ふたつに生かされている恵方かな   烏鷺坊
■生かされている…がなんやらまどろっこしいけど、どこかちょっぴり納得するワタシもいて(吾郎)■恵方ね、早稲田の穴八幡神社の「一陽来復」を思い出した(等)■オオバカチャンリン。蕎麦屋の風鈴(烏鷺坊)

青空に打て初買のマシンガン   唖々砂
◎勝之
■ドドドド、ババババ!個人共産主義者はまだ革命を信じてる(勝之)■アメリカ西部の牧場、はたまた中南米のコカイン密造工場、もしくはタイの大麻畑か。「カ・イ・カ・ン・・」のセリフを思い出さずにいられない(吾郎)■「初買」?はやはり新年の季語?(等)■こういう句が一番わかんない。なにを俳句に求めているんだろ(烏鷺坊)

遠吠えや月欠けるらし寒の雨   勝之
◎唖々砂
■なんかそうだったみたいで、さっき夕刊一面で知りました。平和っていいかも(吾郎)■雨のため、月食が見えない。狼は困った(等)■説明過剰。なのに魅力ある。この句に学ぶべきだと思う(烏鷺坊)■3つに切れるのはやはり違和感(規夫)

胴長のフェリーふわりと朝が来た   規夫
◎吾郎◎唖々砂◎勝之
■朝靄ですか、静々と入港するフェリー。なんかいいよなぁ・・・大林の映画に出てきそうな空気に一票(吾郎)■イタリア映画みたい、しっとりした味わい(勝之)■「実感」や「実景」なんて信用しない(等)■小沢信夫さんというもっとも尊敬している俳人に類句あり。なので少しだけとりにくい。いい句なのにね(烏鷺坊)

わっと泣くこと許されず冬日向   烏鷺坊
◎規夫
■そうかいそうかい、このカマトト、蹴飛ばすぞう(等)■泣いてたまるかよぉ〜〜〜、でも時々涙が出ちゃう。だっておじさんなんだもん(吾郎)■こういう句はいまいちつまらない。でももう少しやっていこうと思う(烏鷺坊)

冬の月岩風呂に足噛まれけり   唖々砂
◎等◎烏鷺坊
■このナンセンスが好きなんですよ(等)■惜しいボケ方。ツッコミにくい(規夫)■これ、そんなに優れているとは思えないのに採っている。どうしてなのかいまの自分には判断できない(烏鷺坊)■おもしろいかぁ?(吾郎)
〔以上15句〕

〔当番より〕
▼みなさん無事に世紀を越されたでしょうか。今回はこぢんまりと6名。紙の上にも、少人数の集まりの感じが出るから不思議です。
▼次回の当番は井口家です。

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九の付く日のFAX句会 オクンチ 第84回 2000年1月19日  金曜日

〔今回の一句〕
冬日向ロボットの部品かも知れぬ        唖々砂
◎等◎吾郎◎栞◎規夫
■よくわからんが面白い(等)■どうせあたしなんかそんなもんですばい(吾郎)■季語がいまいちとは思うが(規夫)

〔以下順不同〕
さんま漁きらきらとアメリカ移民        等
■なんか魅力はあるが、「きらきら」でいいのかなと思ってしまった(規夫)

飛びすぎて海鼠の国をどんぶらこ        唖々砂
◎烏鷺坊
■「どんぶらこ」がみえみえ(等)

女がひとり歩く歩くまたあるく         三太
◎白玉
■だから、何なんだよ、まったく(等)■女はいつも背筋をのばそう(白玉)

くぷくぷ寒鯉遺言かぷくぷく          吾郎
◎烏鷺坊◎規夫
■出来すぎ。回文の写生派的作品(等)■★★★☆。回文というより「くぷくぷ」から「ぷくぷく」へのオチがなんだか可笑しい。延々たる擬音は頭の拍子がずれていくことがある。スティーブ・ライヒの曲のように(規夫)

一月や曇天という魚一尾            規夫
◎等◎三太◎唖々砂◎吾郎◎栞
■ウーン、類想句なんだけど(等)■見事!素敵よ(吾郎)

曲り角転んだままの達磨さん          白玉
◎栞
■笑ったけど、採らない(等)

凍みる街生きているからまんまるだ       栞
◎烏鷺坊◎吾郎
■そのとおり(等)■「まんまるだ」に一票。手触りやよし(吾郎)

お降りや平均律ピアノ曲集NO・6       等
■俳句を読んでいて、よく思うのは、この「NO・6」ってな場合、どう読めばいいのだろうということ(規夫)

水仙花死んだら談志完成す           吾郎
◎等
■これは良いです(等)■正月明けに「談志」の原稿が完成した。オクンチメンバーの助力も仰いだ。感謝。4月刊行予定。で、得点は★★★。「談志が死んだ」は既存フレーズだが、順序をひっくり返したところはさすが(規夫)

きっさきは聖母のうんち初茜          烏鷺坊
■相手にしたくない(等)

夕空晴れて新芽ちいさくまだ辛い        三太
■ややこしい(等)

冬海をマッチで燃やす旅の飢え         規夫
◎三太
■これはうるさい程オーバー、「旅の飢」は、ね(等)

マスクから少し元気な喉仏           吾郎
◎白玉
■ハイ、そういう喉仏も十分あり得ます(等)■喉仏を見ると人の年輪がわかる。粗末に扱わず大切に手入れすべし(白玉)

冬っていいんだよな拒撻六九八○円       白玉
■高いよ(等)

微風の兄冬たんぽぽを踏まぬように       等
◎唖々砂

寒風や友達たくさん握りしめ          栞
◎白玉
■寿司屋ににぎりランチを思い出してしまった(等)■ほのぼのとした幸せが伝わる様(白玉)

どですかでん密会自由福寿草          烏鷺坊
■焦点ボケ(等)

エスプレッソ四五○円サンドヰッチ八○○円   三太
■知ラン(等)

裾からげ白い脚で米を研ぐ           白玉
■「女がひとり歩く」やこの句や「女の臀部」。なんかヘンだぜ(等)■脚で米を研がないでほしい。いくらきれいに洗ったとしても(規夫)

結晶となりし寒さや朝の道           唖々砂
◎三太
■そうだと思う(等)

ひたむきな女の臀部七日粥           烏鷺坊
◎唖々砂◎規夫
■オール電化製品的(等)■「ひたむき」なんてなんだか恥ずかしいが(規夫)
〔以上22句〕

〔総評・近況〕
▼選句の日は朝から雪。都内では10センチくらい積もったとか。お台場エリアから都内に戻ろう(夜10時頃)としたら、なんと、ゆりかもめがダウン。しょーがないので別ルートを使おうと、あれこれ画策して大江戸線に行き着いた。と、なんですか!あのおーえどせんのホームやらコンコースは!。もう昭和40年代の東宝SF映画のセット。誰のデザインだか分からんが、相変わらず東京都は笑かしてくれる。それにしても地底をあんなに歩かせるとは。いや、もうまったくヴァーチャル核シェルター体験ツアー(吾郎)みなさん無事に世紀を越されたでしょうか。今回はこぢんまりと6名。紙の上にも、少人数の集まりの感じが出るから不思議です。
〔当番より〕
▼今回の「今回の一句」は井口家選でした。
▼次回の当番は規夫。

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九の付く日のFAX句会 オクンチ 第85回 2000年1月29日  月曜日

〔今日の一句〕
きさらぎの狐顔なるマツモトキヨシ   等
◎白玉
■「すぐやる課」を作った男、ですね。これ、ポップ! HMVやタワーレコードのインストアライブっぽい。BS放送ぽくない(規夫)

〔以下順不同〕
とおせんぼ風もつかまり春気配   白玉
◎三太

廃墟あり花屋のおかみが雪をかく   勝之
■花屋が廃墟であると持っていってくれたほうが気持ちよかった(規夫)

醒めやすき風邪かよ風邪かキスやめさ   吾郎
◎等
■さ、が抜けているのは誤植とみた、同情して採る(等)▼すんませ〜ん。「醒」の一字が抜け。どうしてかって? メールの文面を尻からドラッグsちえ、最後の一字まで至らなかったというわけです。これには、すこしだけ理由があって、投句メールの句は、なるべく読まないように(作者を頭に入れないように)しているからなんです。っても言い訳にならん(当番)■★★☆(規夫)

ラテンの血ひく少年のちゃんちゃんこ   烏鷺坊
◎規夫◎吾郎
■ステキなリズム(規夫)

横顔がちょっと似ている嫁が君   烏鷺坊
◎等
■オクンチで「嫁が君」という季語がでたのは始めて、ご祝儀、いやいやちょ っと面白い(等)

きんくろはじろ金黒羽白マルコポーロのランプを磨く   等
■コテコテがいくつも並んだ(規夫)

穴をほるどんどんほって又埋める   白玉
◎烏鷺坊
■ごくろうさん!(規夫)

軒氷柱創業明治十二年   吾郎
◎烏鷺坊

昨日から大井三叉雪地蔵   吾郎
◎白玉

首都圏に大雪警報金槐忌   三太
杖ついてて掌からつたわる春隣   白玉

雪が降る降って東京飯茶碗   烏鷺坊
◎勝之◎三太
■ちょんまりした、いい味わいだと思います(勝之)

戦艦を海溝に置く春の雪   規夫
◎勝之◎吾郎
■なんかわかんないけど、カッコイイなあ(勝之)

大寒や民の字両膝突いてをり   三太
◎白玉

払暁のシーフードピザに雪積もる   三太
◎烏鷺坊◎規夫
■上の句にはやや不満ですが、シーフードとひつこくやったのが、あとの「雪」とうまくいったと思う(規夫)

笙ひちりきそして白菜みな笑う   等
◎規夫◎三太
■素敵なリズム。「笙ひちりき」「白菜」はどちらも私にとって素敵な笑いのネタ。それにしても、この二つのガッチンコはかなり来てる(規夫)

パルティータ三番漁師が犬を叩く   規夫
◎等◎勝之◎吾郎
■バッハのバイオリン独奏で知っている、パルティータってどいう意味?(等)▼しようがないですねえ。それじゃ、説明しましょう。変奏曲、組曲、多楽章形式の楽曲などの意味で用いられた音楽用語。イタリア語の〈部分 parte〉という意味から、16世紀末から18世紀初頭にかけて、変奏曲のなかの一つの変奏に対する名称として用いられた。18世紀以後の変奏曲では、とくに〈主題〉と題される第1曲が第1パルティータ、そして第1変奏が第2パルティータというように数えられるのが普通であった。変奏曲全体を指すのには、partite(複数形)なり、partite diverse(〈種々のパルティータ〉の意)が用いられた。その後、多楽章形式の器楽曲、さらには組曲を指すためにも、用いられるようになった。J. S. バッハの作品のなかでは、曲全体が〈partite diverse〉と題されたオルガン用コラール変奏曲(BWV766〜768)と、〈partita〉と題された組曲としての六つのクラビーア曲(BWV825〜830)と、無伴奏バイオリン用の三つのパルティータ(BWV1002、1004、1006)がとくに有名である。っつうことで(当番)■僕の好きな「水星パルティータ」の三番ではハモニカブガブガ唇から血がしたたっております。ハイ(勝之)
〔以上18句〕

〔総評・近況〕
▼今回はいつもの「三句選」がとても辛かった。誤解されると困るが、駄作揃いだといっているのではない。選ぶ愉しみが希薄だったのだ、あまりに投句数が少なすぎて(十八句!)。(三太)
〔当番より〕
▼コメントが最近少なくなってきました。今回、私用でリリーズが遅れたので、入力がさぞかしたいへんなのだろうと、みなさん、「コメントを少なめに」と配慮されるかもしれませんが、それはご遠慮なきよう。
▼次回も当番は規夫。

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九の付く日のFAX句会 オクンチ 第86回 2001年2月9日  土曜日

〔今回の高点句〕
そうなのかここにいたのか春踏めり   吾郎
◎亞子◎三太◎勝之◎規夫◎烏鷺坊
■なにかなぁ、つくしかふきのとうか、ふんでしまったものはしょうがない。洗って食べよう(勝之)■なにげない(規夫)■暦のうえでは春といってもまだ寒い。が、しかし梅も桜も蕾を膨らませ、春は確実にすぐそこに到来している。春の発見の情感が口語体を通して伝わってくる(三太)

白梅呼ぶ猫のふぐりのぷりっぷりっ   等
◎亞子◎白玉◎吾郎◎勝之◎烏鷺坊
■猫続きはこっちに1票。春めいた(発情期か?)ぷりぷりが可愛い。なんか握り潰しそうで恐いけど(吾郎)■ぷりっぷりっがスキよ。うっふん(勝之)

〔今回の回文〕
霜腫れや革命めくかやればもし   吾郎
◎等
■わはは「革命」ですか回文で、オモロイ!(勝之)■★★★☆(規夫)

〔以下順序がありそうでなさそうで〕
デシベルの寝息が甘い暖房車   烏鷺坊
◎白玉◎規夫
■つまりイビキっつうことかぁ(勝之)■おとぼけテクノミュージックっぽいリズム(規夫)

一両に30の咳アイモード   亞子
◎規夫
■「アイモード」はお初。「30」って算用数字が広告代理店ぽいよね。ヒロスエ、タムラマサカズですぅてな感じで。「一」と「30」の数字がなんか不思議な句。うまく収まってないから、気持ちよく不思議なんだろう。「百両」って句があったな(規夫)

メガネずれて知恵の輪遊びうまくなり   白玉
◎吾郎
■老眼ですか?大村昆ですか?(勝之)■理由じゃおもしろくないんだけど、大村昆状態になった情景にくすぐられて1票(吾郎)

ホッコリと雪乗せており冬紅葉   勝之
◎烏鷺坊

鴨の離陸海賊料理が粘っこい   等
◎吾郎
■理由なんかどうでもいいくらい投げてるのが好き。わいるどぎーすに1票(吾郎)

尼寺の梅公定歩合下がる   等
◎三太
■公定歩合引き下げは経済問題である。経済に限らず、政治や世相や社会全般を、俳句に織り込むのは難しい。このような折り込みかたもあるもんだと勉強になった(三太)

予算あり牛肉八〇〇gサラダ無し   白玉
◎等
■うちは1kg買っても親が食べられるのはカルビ1〜2枚だけです(勝之)■だから、どうしてこういうことになるわけ。これでいいの本当に(吾郎)

猫や猫日がな日だまり白き脳   白玉
◎三太
■猫への呼びかけに始まり、日だまりでのんびり寝そべっている猫の情景が目に浮かぶ。それだけではただの情景句で終わってしまうが、一気に「白き脳」に転調することで、しょっと気味が悪いがシュールな雰囲気を醸している(三太)

旧友が懐かしくありシチュー煮る   三太
◎白玉

フリースがお揃い坊主頭かな   烏鷺坊

寒木瓜や妻が紅などさす夜は   勝之
■血気さかんなインテリ爺ィと血気さかんな社交婆ァのような句だなあ(規夫)

軒先にとどけゴジラの息白し   吾郎
■ツララが溶けて落ちたりしてね(勝之)

朝の明るさ洪水は牡蠣より生ず   規夫
◎亞子◎勝之◎等
■中七下五は素敵。なのになんで「朝の明るさ」なんだよぉ(吾郎)

首都のひる頭に獣かぶる人   規夫
■そういえばオウムもゾウさんかぶってたよね(勝之)

昼も夜もひたすら走る安吾の忌   三太

駐停車日独伊なる寒気団   烏鷺坊

百両を抱えて妻の夕まぐれ   勝之
■なんかスキよ。これ。鼠小僧が走る「妻の夕まぐれ」(規夫)
立春過ぎて寒しアルファケンタウリ   三太
■ケンタウルスじゃないんだ。旬のもんですか、けんた瓜って(吾郎)▼アルファケンタウリってえのはなんだなあ、太陽にいちばんちけエ恒星。ケンタウルス座のα星、っつとあれだ、リギルケンタウルス。その伴星。フレア星っつうのかなア、X線やら紫外線、強オく放ってる。実視等級10.7等。距離4.26光年。質量は太陽の0.1倍。直径は太陽の0.09倍。ってワケ。アルファケンタウリCってのは、プロキシマケンタウリってな呼ばわり方もされてる。アルファケンタウリAおよびBからは、天球上で2.2度離れてるってヨ(当番・噺家風に)

祠に千羽鶴真冬の花火師たち   亞子

〔以上22句〕

〔総評・近況など〕
▼春を待つ……。(亞子)
▼勝之先生がご執筆の御原稿をフロッピーに入れて、うちに持ってこられ、わたくしめが替わって出版社にメール送信。「うちも、はよ繋がんとあかんな、インターネットに」とのたまう。時代はIT革命によって大きく変わろうとしています。(規夫)
〔当番より〕
▼前回と今回、掲句(無記名)の順序を、表計算ソフトでランダムに決めています。また、別の並べ方も模索します。
▼次回の当番は井口家です。

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九の付く日のFAX句会 オクンチ 第87回 2001年2月19日  月曜日

〔今回は当番1号と2号がぴったり同じだった三句選〕
熱い麦茶梅林までは水平思考   等
◎規夫◎栞◎吾郎
■なんだか「熱い麦茶」と「梅」がフィット。そういえば、今年は梅も見ていない。去年は、湯河原、梅ヶ丘、湯島、谷保天満宮と、梅ツアーだったような気がする(規夫)■水平だから、こぼれないんだろう(裕)

中空に念仏まろぐ春の闇   栞
◎規夫◎三太◎吾郎
■「まろぐ」は「まるめる」の意を持つガ行下二段活用の他動詞。春の闇の中空に念仏がまるまっている、という仏教に内在するオカルティズムを表徴した春彼岸の心象風景で、奥深いパースペクティブを感じさせる(三太)■「まろぐ」は広辞苑によると「まるめる」「ひとまとめにする」「まとめる」。これ、なんだか惜しいなあと思うのは、「中空」と「春の闇」が場所でカブってるからなんだろう。ていねいに構成すると、きっと気持ちよくなるにちがいない。「念仏をまるめる」というのは、かなりオモシロイと思いました。とすると、「まろぐ」とか気取るんじゃなくて、ブツの感じが出る「まるめる」系の言葉がいいのでは……などと、いろいろと思ってしまったので、これをいただきます(規夫)■「まろぐ」?オレって無知(等)■「まとめる」といえばわかりやすくて、イメージふくらんでずっといいのに(裕)

しうまいのへその豆まで月明かり   裕
◎規夫◎等◎勝之◎栞◎吾郎
■これだと秋の句だけど、まあ、いいかと取る(規夫)■これって通常なら秋になるのかなあ(等)■暗闇の中の食べ物ってボク嫌いやねん。暗いとこで喰う飯ほどまずいものはないよ。一回電気を消して試してみそ(勝之)■昨夜、生まれて始めて焼買を作った。「豆などいらぬ」と豆ぬきで。ところが豆がないと実に形を作りにくい。形成上あの豆はとても重要であったのだ。あなどるなかれ、へその豆(栞)

〔以下順不同〕
あむすてるだむこんせんとらるへぼーはくばい   等
◎勝之
■ひらがなにすることによって不思議な味わいになった。イーノの音楽とか似合いそうですね(勝之)■日本語でしかできませんな、これは(裕)■「白梅」なら取ったかも(規夫)

夜のまち娼婦が消えて春寒し   三太
■いつの時代の句や、まったく(等)■娼婦もレディメイドの服は、うまく着こなすとカッコいいのだが(裕)

海豚みにゆく峠に海からの電波   規夫
◎裕
■わざわざ河豚を見に行くなんて、よっぽど変わった河豚?アンディ・フグの間違いじゃないの(等)▼もしもし、いるかなんですけど(大森当番)■電波じゃなかったら採ってました(勝之)■峠にじゃなくて、脳だと思う。レアルパラノイアです。ちと恐い脳(裕)
卒塔婆の陰に小さき春ゐたり   三太
■「小さき」っすか。別の形容詞ないですかねえ(規夫)■叙情ですなあ、情緒ですなあ、ゲップ(等)■小さい春みいつけたあ〜と(裕)

言葉からすでにはじまる花粉症   吾郎
■「言葉」は最悪。これ以外なら何でも良い。例えば「うな丼」。どうや、あかんか、やっぱり(等)■そうとうな重症なんですね、ごしゅうしょう様(勝之)■しかも一年中。鼻水もたれて(裕)

春というやわらかき文字偏頭痛   吾郎
◎三太
■「やわらかき」かあ。別の形容詞はないのかなあ。偏頭痛への展開で、ある種の句会では好評を得そうな句(規夫)■そのとおりじゃないか、下五になにをもってきてもアカンヤロ(等)■春はケモノだけでなくヒトも獣性が復活するときで、性欲も物欲も想像力も亢進する。そうした猛々しい季節なのに、たしかに春という字面はやわらかい。一方、この時期は何かと物入りが多いのに収入は必ずしも多くなく、収支バランスがとりにくいため欲望を解放できずに溜め込むことになる。偏頭痛が去らない所以である(三太)■「やわらかき偏頭痛」なんてカッコいーかもね(裕)

象語などわからぬ三寒四温かな   規夫
◎等◎勝之◎裕
■象語の句、以前あったが、同じ作者か(等)■あったりまえだけどあっさりして突き放してるのが、まぁいいかと(勝之)■思惟の経過が知りたくなった。量感もあって楽しいゾ(裕)

春近し寒卵に血飯をかっこむ   勝之
◎裕
■ブチ切れかたがいさぎよし。季語よりリアリティだ!(裕)■どう読んでいいのかわからない。血飯(けっぱん)じゃないだろうし。「血(ち)」で切るの? やっぱり三段切れはやめましょうよ(規夫)■ワイルドにやったってダメなのよ。なぜなら「やらせ」だからよ、わざとらしい(等)

春一番吹けり恋愛不等式   三太
◎等
■「恋愛」は最悪。これ以外なら何でも良い。例えば「牛丼」。どうや、あかんか、やっぱり(等)■そりゃ、そういうもんだよ、あんた(裕)■にゃはは、と笑えそうなのですが(規夫)

ビー玉を舐めて冬野を見ていたり   勝之
◎栞
■飲み込むでないぞ。それが心配で俳句にならんわ(等)■甘くないだろ、ダイエットにいいだろ(裕)■舐めたり、見たり……。作者以外のことを伝えて欲しいのですが。たとえばビー玉でも冬野でもいいから(規夫)

人日は埃の匂い瓢鯰図   裕
■「人日(じんじつ)」は旧正月七日のことですか。勉強になります(規夫)■人日と埃はどうなんだろう、ツキスギかな?(等)

紅梅が煙るよアカーシャ年代記   等
■「よ」がステキっぽいが、後半の固有名詞が今ひとつ響いてこない。それは「煙る」がちょい「逃げ」だからだろう(規夫)■う〜ん、なんでシュタイナーなんや(勝之)■アターシャわかりません(裕)

睦る日の永久に埴輪と野蒜摘む   吾郎
◎三太
■これムチャクチャに苦しいんじゃおまへんか(等)■濁点の問題はさておき、「睦る」という言い方はアリなのだろうか? これを「睦む」あるいは古語の「睦ぐ」であると解釈すれば、空前の名句であると思うのだが。フレンドシップからセックスまでを含めて、古代の象徴たる埴輪と時空を超えて交感するイメージと輪廻転生の永久運運動の哲学が交錯して、壮大なスケールの世界が現出しているからだ(三太)■う〜ん、埴輪となんかノビル摘みたくねぇや!!(勝之)■ゴロンゴロンしてるね(裕)■幸薄き句(吾郎)

春の野となり時計屋の白い文字盤   規夫
■だらだらしとるなあ(等)■TVCM屋は、この中古品イメージで、もっとうまくだましてくれるぜ(裕)

ぶた草も枯れ尽くしたり寒月光   裕
■季重なりがひつこい感じ。雰囲気に飲み込まれ過ぎか(規夫)■ツキスギ(等)■ぶた草モチを家人に食わされた日を思い出しウエッ(勝之)
〔以上18句〕

〔総評・近況など〕
▼朝、遅刻してしまったようです。最近、8の付く日まではオクンチのことが頭にあるのですが、気がつくと9のつく日の遅い朝か昼になってしまう。最近、ほとんど句を作っていないので、放り出すようにいっぱい作りたい気分にも、だんだんとなってきました。(規夫)
▼昨夜コメント書いてる最中Macクラッシュ。復旧工事しているうちに忘れてもーた。15分でFAXで送ります。待っててチョー(裕)
▼最近、投句ちょいと遅れ気味ですぜ、皆の衆(大森当番)
〔当番より〕
▼次回の当番は規夫です。

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九の付く日のFAX句会 オクンチ 第88回 2001年3月9日  金曜日

〔今回の一句〕
東京のうずくまりゐて春の雲   裕
◎三太◎規夫
■今回は粒揃いの力作ばかりで。選句に大変苦労したが、この句はアヴァンギャルドな趣の句が多いなかで例外的に、きれいに俳句らしい俳句なので印象に残った。東京は紐育でも巴里でも代入可能で、いまこの時、地球上の先進諸国の都市はみな、うずくまっている(三太)■いい句。ちょっとキュンとなる、田舎者としては(規夫)

〔以下順不同〕
白球が消えて青空因果律   史織
◎烏鷺坊
■春休みなのだろうか。8日、9日、10日と甥の史織が泊まり掛けで遊びに来ていた。生まれて初めて俳句を作ったというので「見せろ」というと、すらすら三句ばかり書き出した。一応の体裁にはなっているようであったので「今日ファックス句会がある、出してみるか」と言った。あんまり点が入らないと可哀相な気もするので一句だけはとることにする(烏鷺坊)▼甥? てっきり女性だと思ってました、コメント読んで(当番)
黄色は春告げる色練り辛子   三太
白梅のシモーヌ・ヴェイユが陰しめる   等

たかだかと言いたしこと雀舞う   白玉
◎史織◎裕
■爽快(裕)■素直で明るい句だから好き(史織)■「言いたき」か? ま、そんなことどうでもいいが(規夫)

春が来る秋山聖徳太子来る   烏鷺坊
◎等
■祐徳太子と記憶しているが……。ボクのリズムじゃないんだが。なんか後ろに行くにしたがって間延びしている(等)■春だし、秋山だし。祐徳かと思ったら聖徳だし。なんだかむずかしい(規夫)

春日向爪切る音の勇ましき   吾郎
■男の人の句だったらむさくていやだが、女の人が爪を切っているところなら、パチンという音が清潔感があっていいかも(史織)

G線をアリアはずれてゆくや東風   規夫
◎三太◎裕
■明快(裕)■「は擦れていくや」なのか「外れていくや」なのか迷った。いま改めてヨハン・セバスチャン・バッハの『管弦楽組曲第三番ニ長調よりアリア』を聴きなおしてみると、たしかに冬の終わりを暗示させる。そこから外れて(擦れて)いった先は、同じバッハの『カンタータ第140番よりコラール目を覚ませと呼ぶ声が聞こえ』なのか、あるいは『カンタータ第147番よりコラール主よ人の望みの喜びよ』であるのか、いずれにしてもまぎれもなく春の調べにちがいない(三太)

校庭の蟻の巣火星年代記   史織
◎白玉
■ちょい惹かれましたが、アリモノが予定どおりに三連発(規夫)

苺つぶすお伊勢参りは途中です   等
◎白玉◎吾郎
■おひさしぶりの伝統芸能。はっぴぃえんど/松本隆に合い通じる「〜です」めたる(笑)。やっぱりぼんは東京の子やねぇ。(吾郎)▼烏鷺坊さんチックですよね、この「です」は(当番)

大川の合わせ鏡や枝垂梅   吾郎
◎等
■対岸同士が似ているということか?(等)

ぬくもりてふくらむ石に尻ぬくもる   裕
◎吾郎
■いなたいくり返しの妙に電気びりびりしびれました(吾郎)■誤読して尻がふくらむ感がした(史織)■「尻の作家」の句。「冬すみれ尻の隣に尻を置く」(1998)が思い出される(規夫)

クローン鼠の悪夢に起こされる   三太

にらめっこ蝋燭の脂汗   白玉

股ぐらのとりとめもなき春炬燵   烏鷺坊
◎史織◎三太
■口ずさんでも字面を見てもきれいで覚えやすい(史織)■ヒトは生きていくだけでも大変なのに、「股ぐら」の煩悩な属性ゆえに悩みの種は尽きない。といって、ただ労苦だけかといえば、その属性が生きる糧として作用することもあるから尚更厄介なのである。ふだん忘れてかけている、そんな「股ぐら」のとりとめなさを、思い出させてくれる生活アイテムは「炬燵」をおいてほかにない(三太)■いじっちゃだめよ、つい手がいく、閑だとね(等)

三寒四温犬捕りのハミング   規夫
◎吾郎
■るんるん気分のお仕事、楽しそうですねっ……ってこたあないか。あいろにかるに1票(吾郎)■本歌はご存じ「炎天や犬捕り低く唄いだす」by三鬼。次回は「蛇捕り」で作ります(規夫)

音の無いプラットフォームの味の飴   史織
◎裕◎規夫
■味あり(裕)■「音」から「味」へ、意外にすんなり展開。「プラットフォーム」と「飴」もなんだか気持ちのいい組み合わせ。ガタガタしそうで、そうなってない(規夫)

もくれんの花芽にしがみつき揺れる   裕
◎烏鷺坊
■こういう句、オクンチでは読み過ごされやすい(規夫)

坂の上の阿呆の家のヒヤシンス   等
◎烏鷺坊

春炬燵年齢不詳症候群   三太
◎史織

春一番タッパウェアはいつ返す   烏鷺坊
◎等
■これは面白い。でもなぜか、と考える。「タッパウェア」の響きと、「いつかえす」と、気になっていたことがぽっと出たことの面白さかな、本当に俳句ってヘンでっせ。「タッパウェアはいつ返す」なんて散文で出てきてもちっとも面白くない。「季語」というのは一方でこれは「俳句」でっせ、俳句のリズムと十七文字で終わるんでっせ、と緊張を強いるのかな、やっり散文よりは、短さを覚悟してこちらも読むものね(等)■主婦の生活苦、じゃなかった生活句(規夫)

猫の恋夜もハモる良い子のコネ   吾郎
■★★(規夫)

ツンドラにヒトが生えたる遠霞   規夫
◎白玉

阿呆阿呆阿呆阿呆飛んでいけ   白玉
■何だろう。鬼言(史織)■「飛んでこい」のほうが好き(規夫)
〔以上24句〕

〔総評・近況など〕
▼「オクンチ」はじめて参加します。哲郎おじさんの紹介です。四月から大学四年になります。よろしくお願いします。(史織)
▼今回のオクンチはどうしたら良かったのでしょうか……。ぶっ飛びと吹っ切れの句がゾロゾロと、次々あって、どれもこれも私は大好きで。一体3句選なんて言われても困りました。やはり春のエネルギーでしょうか。(白玉)
〔当番より〕
▼今回の24句をコンピューター俳句診断「赤ペン宗匠」で採点してもらいました(サービス期間無料キャンペーン中!)。別添します。(遊びなんだから、メクジラ立てちゃダメよ)
なお、コンピューターは「蝋燭」を「蝋梅」と誤読しています。
▼次回の当番は井口家。遅刻なきよう。

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九の付く日のFAX句会 オクンチ 第89回 2001年3月19日  月曜日

〔今回の一句〕
おぼろごろこのごろおはぎあまくない   烏鷺坊
◎等◎栞◎十四郎◎吾郎◎裕

〔以下順不同〕
梅満開好きも嫌いもあるものか      勝之

誰かと寝たなしかし菜種と彼だ      吾郎
◎等      
■★★。俳句のリズムにはなっていないような。他のが、なってるとこがすごいんだけどね、親方の場合(規夫)■苦しい(勝之)

桃の日の爬虫類館うっすら暗い      等
■「まんま」だけど、「うっすら暗い」は意外に気持ちのいい収まり方(規夫)

春の雲路面電車はすぐ停まる       規夫
◎烏鷺坊◎裕
■こういう句が好きです(烏鷺坊)
空腹という仕組みあり春日向       栞

ロンは犬の名火をはなてたてがみ     十四郎

らっぱ水仙おかしな人の大きな字     裕
◎規夫◎烏鷺坊◎十四郎
■なんということなしにふわっとしたいい気分になれる句(規夫)/■ぼくの敬愛する俳人笠井亞子に「祖父は大きな字を書いた」があります。その句を見たとき涙がこぼれて困ったことを思い出します(烏鷺坊)■おかしな人がちょっと(吾郎)

恋猫は金属である枯山水         等
◎勝之
■なんか固いけど恋猫は金属っぽくもあるなあ、水銀とか(勝之)

風塵に紛れて去るや脳半分        勝之
◎栞

木蓮のへらへらくたくたもう昔      裕

犬が歩くスキップをする         十四郎
◎規夫◎吾郎
■「をする」というリズムがおもしろい(規夫)■なんでかな、やっぱりリズムですか(吾郎)

彼岸から影しくしくと石畳        烏鷺坊
◎勝之◎裕

掌に海星夢の覚めかた知らぬかな     等
◎烏鷺坊
■少し甘いのかもしれない。でもこのくらいの甘さ、あっていい(烏鷺坊)

ほーほけきょ鳴くあさっての春と春と春  十四郎

嘘こく屍死ね馬鹿枸杞草         吾郎
■かなり苦しい(勝之)■★★☆。やはり俳句のリズムになってないような…(規夫)
白木蓮かきわけかきわけ骨でござる    裕
◎栞◎十四郎◎吾郎

エモケンが駈けて転んで春の空      規夫
◎勝之
■エノケンじゃなくてエモケンですか。ワハハ、おもろ(勝之) ■急いでワープロ打ったら、「ノ」が「モ」になっちゃった。もちろん「エノケン」です。これは、作ってからどっかで聞いたことがある文句のような気がして仕方ない句(規夫)

野仏や分別くさき耕耘機         烏鷺坊
◎等

菜畑や次の一手で俺決まる        吾郎
〔以上20句〕

〔総評・近況など〕
▼今日はお彼岸お中日。朝早くから墓参のお檀家さんがひっきりなし。お墓の供花が一斉にきれいになって壮観です。法事を二つ終えて総代さんのお家に読経に行きます。例年どおり浅草の「徳太郎」のおはぎを頂いて寺に戻ると、家人が「麻布更科総本店」から頂いた蕎麦を茹でて待っていました。もり蕎麦で軽い昼食。それでも熱いお茶とおはぎ、で充分満腹。午後,築地魚河岸の仲買人をしている檀家が来て、こうなごの干したのを「酒の肴にゃ絶品です。カルシウムもあるし」などと言って、どっさり置いていきました。やはり到来ものの純米吟醸がいま本堂に七本。これはちょっと弱ったことです。夕方、墓地を掃いていると、どこの檀家か金髪と茶髪の高校生の兄弟二人が一所懸命お墓をたわしで洗っています。「お墓ってあったかいですね」と一人が話し掛けてきました。「お墓の体温か」なるほど「石の体温とは面白いことに気づいたね」と褒めると、にこにこ。とてもいい笑顔になりました。「今日は暗くなってしまったので、また明
日、朝出直して来て洗います」といって帰っていきました。なんだか、うららかな、気持ちのいい春のお彼岸です(烏鷺坊)
▼今回も冷や汗ものだった。朝の段階でファックスが1まい、メール1本のみ。ったくもう、月半ばのおくんちはどーも忘れられがちやね、ほんまちよこ(当番2号)
〔当番より〕
▼「今回の一句」は、井口家(吾郎師匠)から委託を受け、規夫が選ばせていただきました。コメントが1つもない「今回の一句」は、オクンチ史上初。
▼次回の当番は規夫。前回、「遅刻なきよう」と書いておきながら、今回、私めが大遅刻。あいすみません。それでは、次回、よろしく。

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九の付く日のFAX句会 オクンチ 第90回 2001年3月29日  金曜日

〔今回は当番がいただいた三句〕
奇蹄目偶蹄目いてしゃぼん玉   珠子
◎三太◎烏鷺坊◎規夫
■いい空気(規夫)■奇蹄目は四肢のうち少なくとも後肢の指が一本、または三本の蹄のある草食性ほ乳類で馬や犀、偶蹄目は四肢の指が二本または四本で蹄のある、多くは草食性のほ乳類で牛や豚。これに羊蹄目を加えれば草食性哺乳類がほとんど出揃うことになるが、思えばその大半が食用として人間に食べられる運命にある。そのはかなさを季語=しゃぼん玉で美しく締め括っている(三太)

カスタネット菜の花がくすぶっている   等
◎亞子◎吾郎◎規夫
■うまく説明できないが、コントラストってことでしょうか?(亞子)■たいがいがその華やかさを愛でるのに、どーよこの句。ス・テ・キ(吾郎)■カスタネットと切り出したシャープさ。後半のリズムの温度の低さ。お気に入りです。なんだかわからないというネックは残るが(規夫)

花冷えや薄き映画のプログラム   烏鷺坊
◎菊野◎珠子◎規夫
■もうちょい言い回しを変えていけそうな句。「薄き」が変わっていくんだろな(規夫)
〔以下順不同〕
烏の子ボイストレーナーはコケコッコ  白玉
■なんで烏と鶏のサンドイッチなんだろう。上五が変わればオモシロイのに(規夫)

光りから雲雀生まるる一宮   等
◎白玉
■「から」の口語と「るる」の文語の混在が気になってしまう、些細な私(規夫)

コンピュータ毀れて脚ぶむ花吹雪   三太

夏蜜柑六年生がもいでおり   菊野

年度末ブルース流れ風光る   三太
◎白玉

人揺れし鉄塔工事柳の芽   菊野
◎白玉

桜散る言葉に詰まる右翼カー   吾郎

桜気負いがち気狂いお気楽さ   吾郎
◎三太◎亞子◎等
■少子・高齢化、慢性的不況、環境破壊など、ひたすら混迷しつづける現代社会にあって(差別語のきらいはあるが)たしかに「気狂いお気楽さ」である。そこに「桜」を取り込んで回文でありながら有季定型としたのは見事である(三太)■★★。(規夫)■四谷の土手でも気負っています(亞子)■このちょっと不出来(蒲田の名人にしてはですよ)な回文でもとってしまうのは、他の句が面白くないから。なぜって、文法が勝手に作ってるような俳句だもの。ヴィトゲンシュタインをちょっとカジッテもわかる。もしやるなら、日常の感情を強く言って昇華させる(サンダー杉山のヒップドロップ句法)か、非日常を日常のものに落とし込む(カールゴッチ句法)か、ではないでしょうか。( )の命名はちょっと自分でも混乱してます(等)

春のかぜ誰かが俺を呼んでいる   三太

ハバロフスク胸板薄き桜かな   等
◎亞子
■異国で見るサクラ…(亞子)

知らんふりして輪廻上の桜花   亞子
◎珠子

寝転びて空を見上げる宇宙時代   白玉
■「宇宙時代」ってすごいすごい! まだ、俳句では使われていないかもしれない大発見。こういう「おバカ」は好きです。でも、ほかが宇宙時代の連想でしかないのはなぜ? これは「宇宙時代」と字足らずで行きたい(規夫)

派出所に桜餅2こ乾きゆく   亞子
◎烏鷺坊

福祉課に手話通訳者チューリップ   珠子
◎等
■この様な句はワンパターンの手法で、他にイッパイある。あなたが作らなくとも、誰かが作ってくれる(等)
迷い犬それは私です顔々々   白玉

花冷えや墓地の小径のゆきどまり   規夫
◎三太◎菊野◎烏鷺坊◎等
■季語=花冷えがまったく何の違和感もなく、見事に溶け込んで美しい情景を生み出している。今回、「花冷え」を使った句が多く、いずれも秀作なので選に迷ったが、美的完成度から(あくまでぼくの私見ですが)この句を採ることにした(三太)■感情の退化現象、そりゃ上手いよ、それがどうした(等)■苦し紛れのお俳句ごっこ(規夫)

つくしんぼ話せば長くなる話   珠子
◎吾郎
■シンプル・イズ・ベスト(吾郎)

花の下友の幸せ聞いており   菊野

花冷えやぽつり呟くぽつり落つ   吾郎
◎珠子

シートのみ敷かれて花は咲きにけり   烏鷺坊
◎菊野
■モチーフがわかるだけにおしい(吾郎)■町内句会で「うなずきの連発」(昼のTV収録の観客)を獲得できる句。ちょっと遅れてわかったオバチャンのうなずき声も聞こえる(規夫)

袴穿く娘ぎっちり総武線   烏鷺坊
◎吾郎
■ぎっちり、だけ(吾郎)
〔以上24句〕

〔総評・近況など〕
▼東中野の「桜まつり」は来週末。げに「読み」はムヅカシイ。(亞子)
▼今日三十日午後、仕事で神保町に出た。妻の勤め先が近いこともあって待ち合わせ、夕刻から千鳥が淵に花見に行った。異様なほどの完璧さで桜が咲いていた。凄絶、が素直な印象であった。堀脇の花見道を抜け、ぶらりと靖国通りに出た。軽い食事でもしようと思って歩いていると、蔦のびっしり絡んだ「イタリア文化会館」という建物の中に十五人ほどのイタリア人と日本人が並んでいる。人が並んでいると妻はほとんど無意識に並ぶ。何かイベントがあるようであった。「入場無料って書いてあるわ」と妻は歌うように言った。イタリア古楽器の夕べ、ということであるらしい。腹の減った私は不満だったが、並んだ。十分ほどで開場し、中へ入ると、小さなホールがあった。私の顔はそのときからイタリア文化にはこの三十年、薀蓄を傾けてきた、たったひとりのアジア人の顔になった。
 結論からいうと、実に面白かった。私たちは一気に十五世紀イタリアに運ばれた。木のフルート、手持ちハープ、リュート、どの楽器も素晴らしい音を奏でた。特にチャルメラときたら。
 演奏は気持ちいいものだった。演奏者はみな大学教授のような顔、髭、髭、髭。若い女性奏者はとびきり美しかった。実に荘重な演奏だったが、私の印象は「なんだか可憐」というものであった。私は隣の妻に、説明をしながら、気持ちよく聴いた。周囲の人間も私の説明に耳を傾けているようであった。終わって質疑応答があった。通訳を交わさずイタリア語が飛び交った。そのときになってはじめて違和感を覚えた。そういえば、顔を見たことのある音楽家、文学者、有名人がぞっくりといる。しかもホールの後ろにはワインとローストビーフが白いテーブルクロスの上に用意されている。クックック。では日本とイタリアの文化のためにちょっと一杯。しかしそのとき妻もまた正気を取り戻していた。「呑んじゃだめ」。(烏鷺坊)
〔当番より〕
▼今回の掲句は、表計算ソフトによるランダム化の手順でした。
▼次回も当番はノリオです。

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九の付く日のFAX句会 オクンチ 第91回 2001年4月9日  月曜日
〔今回の一句〕

なし

〔以下順不同〕
桜貝意地で素で自慰胃が楽さ   吾郎
■素で自慰かぁ、やっぱオカズは必要だと思う(勝之)■こっちの方がよかった・・・ってどっちもダメダメ(吾郎)■★★(規夫)

紅翠菊咲きつづけよと時鳥   白玉
◎三太
■正岡子規の画いた翠菊(エゾギク)のスケッチは、病ゆえであろうか、毒々しいまでに黒ずんだ、血の色に近い紅色なのである。その翠菊に己の生命を重ね合わせてみていたに違いない子規への、見事なオマージュになっている。あえて子規を使わず、さりげなく時鳥としたのもいいと思う(三太)

しじみ船片目閉めたか値踏み獅子   吾郎
■なんか民謡にありそうなことになってきたぞっと(勝之)■★★(規夫)

ひきだしのピルケース開けたら花の種   唖々砂
■子種が出てきたのか?(勝之)

雲雀の子も真似をする五七五   白玉

桜の空だハズレくじにぎっている   唖々砂
◎勝之
■ドアップのくやしそうな顔が桜をバックに(勝之)

プアゾンの残り香のある御忌の空   三太

逢ひたくてでも逢へなくて桜草   三太
◎烏鷺坊◎白玉
■ステキ!ロマンチック(白玉)■「オクンチ」に十代の少女会員なんていましたっけ? のケッ!(勝之)

花祭り子羊の肉を2キロ買う   勝之

落花いま身の潔白を激しうす   烏鷺坊
◎唖々砂
■切腹しそうなほど激しい感じだ(唖々砂)■なんか時代劇めいてきたぞっと(勝之)

無垢ゆえに春の筍先尖る   吾郎
◎白玉◎三太
■う〜ん、無垢かぁ、他に何かありそうなんだよなぁ(勝之)■品種改良・ハウス栽培・養殖・冷凍技術等々の発達によって、農林水産物から「季」を感じ取ることが困難になって久しい。何でも一年中流通しているのが当たり前という状況にあって、「筍」だけは春の風物の王座を頑なに守っている。その強靱さのようなものは、果たして「無垢」ゆえに生まれてくる力なのであろうか、と改めて考えさせられた句である(三太)

墨汁に桜散り込む高濱家   等
◎唖々砂◎烏鷺坊
■そーゆーこともある(勝之)

屋上に遊具のきしみ遅日なり   規夫
◎吾郎
■蒲田ゆざわや屋上の景(吾郎)

蝙蝠が飛ぶ一ダースの黄帝液   等
◎唖々砂◎三太
■コウモリって季節的にはまだ早いんで、これ、コウモリ傘か? でも、なんで一ダースの黄帝液、子作りにでもはげむつもりか、ガンバレよっと(勝之)■最近はなるべく徹夜で仕事をすることを避けているが、以前はずいぶん「黄帝液」のお世話になったものだ。たしかに一本で四十八時間はもつのだが、その後のリバウンドがすごくて、この効能は覚醒剤にも近いものがあるのではと怪しんだこともある。ひとがあたかも蝙蝠に化してしまったかのような時をもたらしてくれる薬剤であることは間違いないが、もし蝙蝠が飲んでしまったら大変なことになりそうだ(三太)

漢方薬局店穿山甲の目はガラス   勝之
◎規夫◎吾郎
■方程式はあるんだろうけど、古びた薬局のガラスの引き戸が浮かぶゆえに◎(吾郎)

ローン集落桜走りて脱水   等
◎白玉
■何やらよくわからないが、息切れがするようでおもしろい(白玉)

春の野を駆け抜けるロダンかな   白玉

笹鳴きや脳の皺まで届きけり   勝之

野の花や脱いだ背広に蝶とまる   烏鷺坊
◎勝之◎規夫◎吾郎
■定年かリストラか儚き中高年の哀歌(吾郎)■塩を舐めに来た、この背広は長い間洗ってないな(勝之)

駐在の名前は桜・桜かな   唖々砂
◎規夫
■桜金造か?(勝之)

海に散る花はらはらと御殿山   烏鷺坊

何ひとつ証拠はないがおらが春   三太
◎勝之◎烏鷺坊
■それにつけてもオヤツはカールとくらあ(勝之)■これも定型化しているがおもろいのでコメントどまり(吾郎)
〔以上22句〕

〔当番より〕
▼今回の掲句も、表計算ソフトによるランダム化の手順でした。
▼大穴聖人(等さん)からの選が届かず、それ抜きでのリリースです。
▼次回の当番は井口家です。

センザンコウ(穿山甲)
体が角質のうろこでおおわれた有鱗目センザンコウ科 Manidae に属する哺乳類の総称。アリとシロアリを常食とする。ラーリ(聞鯉)ともいう。頭は小さく,吻(ふん)が長くとがり,四肢は短い。うろこで体がおおわれているため,一見爬虫類のように見えるが,腹部,四肢の内側などには毛が生えている。インド,ネパール,東南アジア,中国,台湾に3種,アフリカに4種が分布する。松ぼっくりの鱗片に似たうろこは,毛が変化したもので,黄褐色から暗褐色。ふつう白色から淡褐色の毛の生えた腹部,四肢の内側などを除く全身をおおう。体長30〜88cm,尾長35〜88cm,体重4.5〜39kg。貧歯目のアルマジロと同様に,敵に襲われると体を丸めて柔らかな腹部を守るが,両者に類縁関係はなく,吻がとがるなどの類似は同じアリ食への特殊化の結果である。体を丸める際には,鋭い縁をもつうろこが立てられ武器とされる。前肢のつめはとくによく発達し,木登り,穴掘り,シロアリの塚を壊すなどの用途に使われる。細長い舌は,一部の種では長さ40cmに達し,アリやシロアリの巣内に差し込んで虫をなめるのに使われ,胃は2l のアリを収容できる。あごは細く,歯も退化,消失しているが,その代わり厚い筋肉の層をもつ胃がアリやシロアリの体をすりつぶす働きをする。 森林から草原まで,さまざまな環境にすみ,大部分の種は夜行性。オオセンザンコウ Manis(=Phataginus) gigantea,サバンナセンザンコウM. temmincki,ミミセンザンコウ M. pentadactylaなどの地上生の種と,オナガセンザンコウ M.longicaudata,キノボリセンザンコウ M. tricuspisなどの樹上生の種があり,後者は尾を木の枝などに巻きつけて体を支えることができる。地上生の種は地下に掘った穴を,樹上生の種は木の洞を巣とする。地下の巣穴は,一部の種では長さ40mにも達することが知られている。ふつう単独,ときに雌雄のつがいで生活し,特定の繁殖期はなく,雌は1産1子,ときに2〜3子を生む。子のうろこは誕生直後は柔らかく,生後2日目に入って堅くなる。移動時は,親の背あるいは尾に乗って運ばれる。寿命は最長のもので13年。肉は美味とされ,中国ではうろこが薬として売買されてきた。また,近年では,アメリカでうろこを取り去った後に残る三角模様付きの皮にカウボーイ・ブーツとしての人気が高まり,大量に捕獲,輸出され,絶滅の危険も出てきている。

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九の付く日のFAX句会 オクンチ 第92回 2001年4月19日

〔今回は等さんの三句選〕
亀鳴くや日比谷高校は日比谷にない       吾郎
◎裕◎等
■どっちも馬鹿馬鹿しい字余りがトボケタ味をだしている(等)■うーむ。確かにそう。三太に乾杯(裕)■もしもし?(吾郎)

筍飯茶碗の中のジャズダンス          國人
◎三太◎等
■醤油っぽいジャズダンスかあ(等)■何か、元気そ(裕)

春昼のデパート猿は首を吊り          裕
◎等
■わからんけど、面白い、「ギターラサラダ」をやめにした(等)


〔以下順不同〕
中間子はトレモロ基調松の蕊          等
■いやはや、物理、音楽、俳句と知識がいっぱい。優等生は不格好(裕)

ネクタイにもらってまいる大あなご       國人
■なんかおかしいよ、これ(規夫)■最初からこれだもの(吾郎)■なんかうまそうではあるが。味に芯がない(裕)■「もらってまいる」ってなんかあやふやな口語調(等)

花吹雪ゆうれいだから抱けないよ        裕
■これは「抱く」べきなのだ。だって、この句じゃ常識に落ちているではないか(等)

まいどばかばかしいおはなしで春うらら     吾郎
■外してる。微妙に。かつ完全に(裕)■悪く言えば新しい発想がない、というか角度とか、加速度とか、そういうものがないから足についた飯粒のよう。つまりとってもとらなくともどっちでもいい(等)■「春うらら」と来てほしくない(規夫)■やはり「亀鳴けり」か(吾郎)

華麗なる修辞形容矛盾の初夏         三太
■暗記ことばでろでろ(裕)■これは何も言ってはいないのだ。フットワークが単調だから。カシアス・クレイの「蝶のように舞い、蜂のように刺す」の具体性がいるのだな。観念お化け(等)

なんとなく揉んでいるなり花のくれ       裕
◎栞
■これね、頭から「場の共同性」を信じている人の句だ。江戸俳諧なんかの大部はそうでしょ。「なんとなく」は気味が悪い、すいません文句が多くて(等)

穀雨なり酒樽がててん転がる         等
◎栞◎國人
■「ててん転がる」のが酒樽である点がこの句の妙。穀物の芽吹きを促す雨の中、空の酒樽がててんと転がっていく。雨の強さや生命観と酒をこよなく愛し、新酒を待ちこがれる作者の姿が浮かぶようだ。自由律の響きも、この句では、面白いものであった(國人)■ちょっとしゃれてる。「がててん」が偶然イー(裕)

ヒゲオヤジという春愁を叩けば埃        規夫
◎裕◎吾郎
■伴さん。あなたほど背広がにあう人はいなかった。『大洪水時代』の悪役ぶり最高です。笠智衆、志村喬よりカッコいいです。この句、絶品なり(裕)■「という」が絶対矛盾の自己同一性をなくしている。つまり説明しようと、弁解しよとしているのだ。ボクもやるけど(等)

春の朝耳たぶフリルフルフララ         栞
◎吾郎◎國人
■心地よい弾力感とリズム、で、いーんじゃないの(吾郎)■「フリルフルフララ」という擬音が妙な響きを持って、こちらの耳に響いてくる。春の朝の気怠い生暖かさを耳たぶでかつ「フリルフルフララ」と表現したところが、新しい感性の発露だと感じた(國人)■あー、面倒(裕)■そうなんだよ、実に。だからフツー(等)

遠霞遙か盛るは御簾が音            吾郎
◎三太
■★★★(規夫)■なんか、出来てる(裕)■苦しい(等)■ご懐妊前のご乱交(吾郎)
老ひらくの恋うとましく暮れかねる       三太
■そりゃけっこう。うらやましい(裕)■かつての昼のメロドラマ、おふくろがよくみていた(等)

春の昼ギターラサラダ傾ぐ家          栞
◎規夫
■ちょっと3つ別の方向を向いているような気もしますが(規夫)■言葉遊びだけど、洒落ではなく、オシャレになっているのが不満。洒脱が最高(等)■テキーラ! サパータ エス アミーゴ。チンガ トウ マードレ(ファック ユア マザー)。おっとと(裕)

明日という半透明の風薫る           國人
■昭和二〇年代の東宝映画のようです(裕)■だから「という」はよっぽどインパクトがないとウルサイのだ(等)

密航の鴉はびしょぬれ花大根          等
◎規夫◎栞◎吾郎◎國人
■なんで花大根へと展開するのだろう?(規夫)■アウトコース低めいっぱいいっぱいのストライク。打てそうで打てない(吾郎)■私の住む、南房総では、大根が野生化した「浜大根」の花が現在満開である。故に身近にこの句を理解できた。密航の鴉とは外国産の鴉かそれとも黒い雨合羽でも着た本当の密航者か!!そんな想像をかき立てる句。花大根の薄紫色が、その様子に詩的ロマンを与えている。ただ、残念だと思ったのは、「鴉は」と「は」の字を入れたので少し、説明臭くなった感じがする。「は」はいらないのではないか(國人)■カッコー、カッコーっと(裕)

春の夜内耳にカオスぐるうん          栞
■うるせいなあ。内耳とかカオスとか。ぐるうんなんてすり寄っても、知ってることなんて余計なだけなんだって(裕)■今回、「耳」やら「ぐるうん」やら、同じ様な用語が多いけどオクンチ調かな(等)

朧夜のベティーブープの跫の音         規夫
◎三太◎裕
■「跫の音」=あしおとのおと、と読むことを初めて知った。うちのOASYSだと変換できたけど、MACのことえりは討ち死に(吾郎)■BSで見ました。『お熱いのがお好き』。ジャック・レモンが「おれは男だ。結婚できない」と言うのに応じて、大口マーフィーが、「誰だって欠点のひとつぐらいはあるさ」とめげずに応じるのが、「完璧な人間はいない」に変わっていた。前のほうが好きだなあ(裕)■ベチィーなんとかがわからないので(等)
〔以上20句〕

〔総評・近況など〕
■分譲マンションの設計なんか、クソ面白くない。それでも子供の授業料のためにとった。理科系と専門学校は授業料は高い。一つのヤマが前のオクンチ。二日徹夜、危機一発の状態。コメント出せずに、国立偏向組合から叱られた。(等)
▼叱ってない、叱ってない。「次からはよろしく」と冷たく言っただけ(国立当番)
〔当番より〕
■今回、東 國人(アズマ クニト)さん初参加。実は数日前、当番二号の家に「オクンチはFAXを使ってやる句会で、三句を送って・・・」という謎のメールが届いておりまして、その暗号を解析した結果ご参加されるのは知ってましたのよ〜〜ん。だから送り先間違えたんだってば等さん、そう等さんの御紹介です。國人さん、またのご参加お待ちしておりま〜〜す。
■あの元気もんの三太さんより「本日、寝不足と日射病気味のためコメント、パスさせてください」というメッセージが。そんなに今日は暑かったんだ・・・と一応納得。でも春の季語じゃあねえな日射病って(当番二号)
■次回の当番は国立当番・規夫

中間子
メソンともいう。強い相互作用をする素粒子(ハドロン)のうち,バリオン数0で,一般に整数のスピンをもつものの総称。歴史的には陽子,中性子より軽く,電子より重いものを呼んだこともある。理論的には1935年湯川秀樹によって核子(陽子,中性子の総称)の間に働く核力を媒介する素粒子として導入された。核力は,陽子と電気的に中性の中性子の間にも働く,非常に短い距離(〜10−13cm)では非常に強いが,少し離れると非常に弱くなるという性質がある。クーロン力が,荷電粒子間にフォトン(光子)を交換することによって生ずることの類推から,湯川は,陽子と中性子が質量が電子の約200倍くらいのボース粒子,すなわち中間子と呼ばれる粒子を交換することにより,上記の性質をもつ核力が導けることを理論的に示した。この中間子は48年に加速器を使って人工的につくり出されて湯川理論が確かめられ,現在では π 中間子と呼ばれている。π 中間子はスピン0,約140MeV の質量をもつ。π 中間子のほかにも,ストレンジネスをもった K 中間子,チャームをもった D 中間子,ボトムをもった B 中間子なども見つ
かっており,また現在では中間子は単一の粒子ではなく,クォークと反クォークの結合系と考えられている。なお,1936‐38年,C. D. アンダーソンによって,宇宙線中に湯川の予言した中間子と思われる粒子が発見され,当初 μ 中間子と呼ばれたが,その後この粒子は中間子の仲間でないことが明らかとなり,現在では μ 粒子,あるいはミューオンと呼ばれている。

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九の付く日のFAX句会 オクンチ 第93回 2001年4月29日  日曜日

〔今回の一句〕
春の蝉読まれたことのない書物   烏鷺坊
◎國人◎等◎三太◎規夫
■かわいそうに(吾郎)■春蝉は、夏の蝉と違いその声も控えめで目立たない。そのように私を含め皆の家々には読まれることなくひっそりと積んで置かれている本がある。その取り合わせが見事。作者の実生活・人生観もそこに感じられるような気がした。完成度の高い作品ではないか(國人)■こんど、鳴ったことのない音楽をテーマに(規夫)

〔以下順不同〕
狂いっぱなしのタイムマシーンや亀をは食め   等
■この後に続く「時間と亀」シリーズのエピソード1。同じ作者の3部作じゃなかったら、これは恐い(吾郎)

桜草バレてモテれば嘘楽さ   吾郎
◎等
■延々とよくできるなあ、ちょっと理に落ちていますが今回は採ります。というのは他があまりにも常套的だから(等)■★★☆(規夫)

あやめ橋子亀が時間を食っており   等
◎國人◎吾郎
■といったところで、「時間亀」シリーズではこちらをいただきます。子亀ってのがいい(吾郎)■子亀が時間を食っているとは大胆な発想、大胆な表現、大変面白かった。長い時を生きるといわれる亀は時間を食って育っているのかとそんな空想もした。面白い句。ただ、「あやめ橋」は橋の名かあやめが咲く所の橋かその点が、少々気になったが、着想でカバーしている(國人)

タイムトンネル亀の蒸気の出エジプト   等
◎規夫
■「時間亀」シリーズのフィナーレを飾る文句なしの意味なし句(吾郎)■タイムトンネル(オクンチお誘いFAX)への返句。当番としていただきます。素敵なリズムだし、好きな感触の句(規夫)

ドラえもん赤く塗りますみどりの日   國人
■おもしろい、おもしろい、だけ(吾郎)■つきすぎ。色と色(等)

緑の日から変わる目と便の色   烏鷺坊
■なんか並べ方に意図ありきの今回(吾郎)

遅日なりブリキの腕をこう曲げる   規夫
◎烏鷺坊◎吾郎
■C-3POか。非力な腕の曲がり方(吾郎)■「こう曲げる」とはどう曲げる(等)

猫の恋はらりと散りてミルフィーユ   三太
■オッシャレ〜〜。だけど猫ってもっと激しくないかい(吾郎)■ミルフィーユが分からない(等)

落し文アルツハイマー進行中   國人
■何書いたかわすれないように(吾郎)

山桜ちじょうのやからにめでられて   杜
■痴情の輩? なんでわざわざ平仮名に(吾郎)

ふてぶてし春の匂いは詐欺師なり   杜
◎三太
■「ふてぶてし」がどーも。他は好きよ(吾郎)■「ふてぶてし」はじゃまでしょう。詐欺師 だもの(等)

春霖や苦界の澱を吹き流せ   三太
■さっぱりわからん。陰謀の暗号か(吾郎)

鳥籠の裸体の女亀鳴く夜   國人
◎等
■にしても今日の亀づくし攻撃にはまいった。これ、どんな解釈せーちゅうねん団鬼六(吾郎)■これはエロッチクですねえ(等)

風薫るユニクロ仲間は目をそらす   吾郎
◎烏鷺坊
■こんなこと、短く言ってもしょうがありません。他に言いたいことあるでしょ(等)

八十八夜地下道に菓子の香の濃度   規夫
■敢えてクドクしたとしか思えんが・・(吾郎)

春の恋大雨洪水注意報   三太
■そんなに濡れてるのか、可哀想に(吾郎)

辻褄のあはぬ泣き顔暮の春   烏鷺坊
◎三太
■江戸時代か(吾郎)■あまりにも、あまりにも当たり前(等)

夏羽織くるり透かして女物   吾郎
◎烏鷺坊
■リメイク、もしくはリミックス(吾郎)

あらよっとはまったところ春が濃い   杜
◎國人◎吾郎◎規夫
■春が濃いところとは一体どんなところだろうと考えさせられてしまう、そんなユニークな句。表現も「あらよっと」と擬人化された春の表現に楽しさを感じる句(國人)■おっ、お兄さん! 粋だねイナセだね。このくらいわけわかんない方が素敵よ(吾郎)■春の湯という風呂屋であった(等)
〔以上20句〕

〔当番より〕
■今回、杜さんの選は抜き。久々という事情からかFAXが不達?
■次回も当番は国立当番・規夫です。

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九の付く日のFAX句会 オクンチ 第94回 2001年5月9日  日曜日
〔今回の一句〕
なし

〔以下順不同〕
緑蔭に顔を失う人人人   國人
■やや当たり前か(吾郎)

発声はあくびの形立夏かな   珠子
◎勝之◎唖々砂◎規夫
■なんかイイ声が出そう「ア〜〜ッ」とオペラぽく(勝之)■「かな」の句は、21世紀には不要!好かない。「立夏の夜」の方がいいのでは(國人)■悪くない。あまりドキドキしないだけ(吾郎)

梅干せば元祖綿飴屋の昇天   等
◎規夫
■本家の綿飴屋の立場がないではないか?でも面白い!(國人)■季語らしきもの不要。中下でじゅうぶんです私にゃ(吾郎)

ひと房のバナナが看取る午睡かな   吾郎
◎珠子
■「かな」が好かない!「深午睡」か何かに変えては?(國人)■下五が気に食わん(吾郎)

はつなつの空に失ふ乳母車   烏鷺坊
◎勝之◎唖々砂◎等
■ホロ苦い風味が、タラの芽のテンプラのようで好きっす(勝之)■どこかで同じようなフレーズの句を見たことがある様な…(國人)■失ふ・・・かい、ふふふ(吾郎)
馬の耳シャレた念仏唱えてみよか   杜
■おもしろいけれど、川柳っぽい(國人)■わざわざどーも(吾郎)

雲と地がキスするあたり春の雷   勝之
◎珠子◎吾郎
■甘いといわれようが、支持します。ポップのどこが悪い(吾郎)■雷は雲と地とのキスなんですね!洒落ている(國人)

五月闇使わぬ部屋に天使飛ぶ   唖々砂
◎勝之
■広いおうちに住んでる住んでるのね、ウラヤマシイわあ(勝之)■発想の意外性では大変面白いのだが、「天使」が唐突すぎてついていけなかった(國人)■とはいっても甘過ぎはいかん(吾郎)

眠ればくらげ水母まいにち曇っている   規夫
◎唖々砂◎吾郎
■ぷかぷかの人生って素敵よ(吾郎)■水母は眠っている様な曇っているようねそんな存在感である(國人)

石頭ぞろぞろ憲法記念の日   國人
◎杜◎烏鷺坊
■石頭ぞろぞろって憲法記念日にピッタリじゃん(杜)■とんかつの方が好きかも(吾郎)

はつなつや息子がパーマかけたとさ   珠子
■初夏の一日の光景か?(國人)■で、どうしました、井戸端会議(吾郎)

陰暦四月コーランはナフタリンのいびき   等
◎國人◎吾郎◎規夫
■コーランは、ナフタリンのいびきだったのですか。大変勉強になりました。思わず吹き出してしまいましたが…(國人)■なんかとっても凄いことになってそうで。全然情景の想像がつかないだけに不気味悪くて好き(吾郎)

亀の子にはにかむ蟹は二個の目か   吾郎
◎等
■そうでしょう。目は二個だと思います(國人)■★★★★。なぜ、蟹の眼は2個なんだろう? 人間もふつうは2個。なぜ?と考え出して夜も眠れない。この謎を解くために僕は生まれてきたのかもしれない、な〜んてね(小泉首相フレーズ)。この回文、久々好きです(規夫)■もうちょっとなんとかしないとな(吾郎)

転々と福祉の部屋の柏餅   烏鷺坊
◎杜
■わたしゃどうも最近、入れ歯の具合が悪くてねェ(杜)■「福祉の部屋」が解らない(國人)■すんまそん。モチーフ食わず嫌いで(吾郎)

サンカの血騒ぎたてるな深緑   杜
■カタカナのサンカは、何か特別なアフリカ的何かがあるのだろうか?(國人)■それほどのことなんでしょうか(吾郎)

秒針が刻むあちらの花時計   勝之
■秒針がいろいろな時計の時刻を刻んでいるのですね、大変!(國人)■こちらはどうなの(吾郎)

がま蝦蟇の足延びて飛びのく我の足   唖々砂
◎珠子
■おもしろいんで、もう少し推敲すると・・・なんて偉そうに!(吾郎)

エイコサペンタエン酸きゅうに夏ばむ   規夫
■暗号のようで、解読不能。頭の回路がショートしそうである(國人)■ピロリ菌のほうが愛嬌があったよな(吾郎)▼すんまそん(規夫)

冷蔵庫扉の中のシンフォニー   國人
■ナショナルのCMか(吾郎)

とんかつを山ほど憲法記念の日   珠子
◎杜◎烏鷺坊
■喰って喰って喰いまくれ(杜)■日本は平和ですね(國人)■石頭よりは好き。でもやや食傷気味(吾郎)

イシスの神よ釜揚げ豆腐なら食える   等
■うどんも食えるのでは?(國人)■問題句、釜揚げうどん、汲み上げ豆腐なら好きだ。だが釜揚げ豆腐って何よ。そったら熱い豆腐1丁食えっていわれてもなぁ。しかしてその実体は? 乞う解答当番先生さまぁ(吾郎)▼ええっとお……ま、このサイトでいろいろ閲覧してみてください。http://www.google.com/search?q=%8A%98%97g%82%B0%93%A4%95%85&hl=ja&lr=(当番)

しがなき笛吹きよき笛吹流し   吾郎
◎國人◎等
■笛吹が吹流しに、流れる様になっていくこの句は、わけが分からないが不思議な魅力を感じさせる句(國人)■★★(規夫)■これも推敲の後が見えん(吾郎)

六月の俺から出でて水道水   烏鷺坊
■六月が動く様に感じる。梅雨だから「六月」としたなら安易(國人)■一度はいただいたんですけど、もうちっとひねくれてもらわないと…(吾郎)
やりてえよピアスにうなづく背広かな   杜
■やはり「かな」俳句には抵抗がある(國人)■高校生相手のおっちゃんみたい。で、なんでここに(吾郎)

死にかけの羽蟻活字のゐ≠指せり   唖々砂
◎國人◎烏鷺坊
■羽蟻も「ゐ」も、使命を終えたもの、お互い死にゆく宿命を負っているのか(國人)■これも次点。やや理屈(吾郎)

霞む日の時計動きだすかも知れず   規夫
■「の」は「は」のほうが、インパクトが強いのではないか(國人)■頭はなんでも合うかも。う〜〜んコンビニエント(吾郎)

〔以上26句〕

〔総評・近況など〕
■この間、一人、日帰りで足柄まで行って、雨の中ヒッチハイクをした。とてもやさしい若い女の子が車に乗せてくれた。それだけでもう疲れもぶっ飛ぶほど、いい気持ち(人の情に触れるのははありがたいこと)になれた。帰りは、男の人が声かけてくれたけど、断った。私でも断れるんだ。まだまだいけるぞ!と思ったが、それはどうもまちがいであった。どうもオババの一人歩きは放っとけない気持ちにさせるらしい(杜)
〔当番より〕■次回の当番は井口家。

イシス
古代エジプトの女神。起源は玉座の神格化とみられるが,ここから王権の神オシリスと結びつき,オシリスの妹にして妻,ホルスの母とされた。オシリス神話では,ばらばらにされた夫の遺骸をつなぎ合わせてミイラとし,復活させたとされ,オシリス信仰の普及と共に,死者の守護女神,死者を復活させる呪力の所有者,母神,忠実な妻の典型として最も親しまれる神となる。末期王朝時代にはさまざまな女神と習合して,エジプト各地で信仰され,ギリシア・ローマ時代にはアレクサンドリアの港の守護女神から航海の守護女神となり,女神を宇宙神とする秘儀宗教的な信仰がローマ帝国全体にひろまった。その聖所はローマ,ケルンなど西ヨーロッパ各地で発見されている。エジプト国内ではプトレマイオス朝に造営されたフィラエ島のイシス神殿が最もよく保存されており,アスワン・ハイ・ダムの建設による水没のため,1980年に近くのエジョリカ(アギルキア)島に解体移転された。玉座を頭上に頂く女性として表されるが,死者の守護女神としてはしばしばハゲワシもしくは有翼の女性として表現され,その翼が生命のいぶきを与えるとされた。また天の女神ハトホルと同じく,日輪と牝牛の角を頂く女性としても描かれる。母神として膝上に王や幼いホルスを抱き,時には授乳させている姿は,聖母像との関連が指摘されている。ギリシア人はデメテル女神と同一視した。

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九の付く日のFAX句会 オクンチ 第95回 2001年5月19日  土曜日

〔今回は國人さんの三句選〕
ふるるるるるるクローバーに溺れてる   亞子
◎國人◎勝之
■クローバーの草原の様を「ふるるるるるる」とは、恐れ入りました(國人)■「てる」の口語は甘い、スイートすぎる。最低限「溺れけり」でしょう、前半がこうなら(規夫)■"ふるるるるるる"にちょっとダマされてみようかなっと(勝之)

錦鯉餌ほど喜んではくれず   吾郎
◎國人
■じっと見ていても、餌をやる人やらない人のは何となく冷めている。今の現代人も鯉も、、、、(國人)■錦鯉に何をしたんだろうね。おべんちゃら言ったのか、プレゼントでもしたのか(規夫)■原宿表参道徒歩3分の"新潟産業館?"で丸々と太った錦鯉が数匹狭いプールに押し込まれてた。ストレスで赤や金になってた・・って小学生の作文か(吾郎)

五月闇ぼくに手足が生えてきた   規夫
◎白玉◎亞子◎國人◎吾郎
■そんなこというと『五体不満足』の人にオコられるよぉ(勝之)■すんまそん(規夫)■おたまじゃくしの心境か。今の10代の若者の心理にも通じるものがあるのではないか。大人になりきれない子供の…!(國人)■自我の目覚めか・・アキラ覚醒!の五月闇(吾郎)

〔以下順不同〕
短夜や極楽までのもう一歩   勝之
■断じてバレ句ではありません(勝之)■ぜんぶ比喩と抽象。具体と諧謔と俗と直接、それが俳句の面白さだと思っているので(規夫)

指先の塩の湿り気夏に入る   唖々砂
◎白玉
■説明(規夫)

居酒屋に軒燈点る雷雨過   三太
■報告。他人の日記を読まされてもなあ(規夫)

水と空夜間飛行の魚あり   白玉
◎三太◎勝之          
■少女っぽい"ロマンティシズム"にちょっとダマされてみようかなっと(勝之)■ガッツは買うが、上五の対照が、飛行と魚の対照と相同になっちゃった。計らずもの失敗(規夫)

音楽をどうぞ捨田に蒲太る   等
◎規夫
■よく分からないし、私にとっては感触も足りないのですが、いただきます(規夫)

東京湾に少女の化粧くらげ浮く   規夫
◎唖々砂◎勝之       
■サラリとした感じがよろし。そのかわり少女は薄化粧にしといてね、ヤマンバメイクはイヤよ(勝之)■コレ、語の順番を入れ替えるつもりで、締め切りを過ぎちゃった。どうにもならない句ですが。午前中にお台場で撮影。モデルはくらげのように眠い顔(規夫)
防人は西へ西へと青時雨   國人
■物語にしては平板(規夫)

五月病プチリと割れしあくび玉   唖々砂
◎亞子
■説明(規夫)

行き違い雀の涙でスットント   白玉
■なんか伝えたいことがあるのだろう。伝えたいことをなくすことからスタートする。コレ、自戒を込めて(規夫)

六○億の苦悩あつめて馬酔木咲く   三太
◎白玉◎唖々砂      
■なにやらありがたいお経のような(規夫)■うあ〜〜、そんな大げさなアシビ見たないわ(勝之)

夏霧のとらや謹製羊羹かな   等
■投げていて、好感。でも後半3段重ねっぽい。重ねて言わずに、どこかに飛べばいいのに(規夫)■"かな"がちょっとひっかかっちゃったかな(勝之)

青時雨斜線斜線の出席簿   國人
■欠席ってことですか?(規夫)■ボクの高校時代の出席簿や・・(勝之)

給食の釜光りおり燕来る   等
◎規夫◎亞子◎吾郎
■季語との距離とバランスが納得いく(規夫)■"給食の釜"ってあんた、給食センターのオバちゃん?(勝之)

囲碁棋士に快感開花錦鯉   吾郎
◎三太◎唖々砂
■★★★(規夫)

台風一号生まれ皇位継承図
■中切れは、中が7文字でないと収まりが悪いんですね。そのことがわかった(規夫)■時事ネタ?ボクTVであのマサコ姫たらゆうのが出てくると、急いでTV消すねん(勝之)

リラ匂うあやまらないのはフランス人   亞子
◎規夫◎吾郎
■諧謔に一歩足りずにリラ匂う。「リ」が「ハノ」に読める悪筆ぶりに一票。悪筆フェチです(規夫)■ほんとにハノラに読めたんですってば、サッカー用語かと思ったりして。でも、マジ、リラなら好きよこの句(吾郎)

たった三句重いなあ   白玉
■一句でもいいんでないの?(規夫)

夜半から雨降り止まず木蓮忌   三太
■他人の日記を読まされてもなあ(規夫)

草取りの寸志寄進す祝詞册   吾郎
■農村俳句。新聞の俳句欄行きですな(勝之)■読売と朝日なら、朝日的か? にしてもわっかるかな〜〜(吾郎)■★★☆(規夫)

青時雨決意の「ん」を語尾につけ   國人
◎三太
■読んでいて不足感のようなものを感じるのは、ブツがないからだろうなあ。この場合「青時雨」にブツ感があるべきなのか(規夫)■季語"青時雨"シリーズの三作目。中ではこれが好き(吾郎)
〔以上23句〕

〔総評・近況など〕
▼今回は、大変佳句が多く選句に困りました。全部に選評を送りたいのですが、今日は今から千葉市の出張で企業を訪問し、四月に入社して、今月辞めてしまった本校卒業生のことで、お詫びと来年度の求人依頼の為に出掛けます。でも、何であんなに苦労して、求人先を探し、入ったのにすぐ辞めてしまうのですかねえ、、、、、、、、?最近、若者の心理が解らなくなって来ました。自分が年寄りになったのか?世の中が、訳の分からない方へ動いているのか?(國人)

〔当番より〕
▼亞子さんごめんなさい。最初各位にお送りした選句用紙で誤植がありました。×ハノラ→○リラです。そんなもんなんで間違えたかって?、いや、ですから、あの…すんません(大森当番)
▼今回、等さんからなぜか選がとどかず。それ抜きで。
▼次回の当番は規夫 

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九の付く日のFAX句会 オクンチ 第96回 2001年5月29日  火曜日
〔今回の一句〕
どくだみの写真を撮りぬ下駄の音   裕
◎勝之◎吾郎
■「ぬ」が気になるけど、いい風景。庭生活者万歳。そこには生命が満ちあふれてる。そんな実感もいいもんだ(吾郎)■「ぬ」が気になるなぁ、でも不思議な味わいに一選(勝之)■ちと気に入って○(裕)

〔以下順不同〕
原爆忌歌丸蝶丸福竜丸   國人
◎勝之
■笑点昇天焦点商店みたいなもんだ、まあ。にしてもなんで今頃(吾郎)■このバチ当たりテイスト、好きよ(勝之)■原爆−福龍丸→×(裕)

八咫鳥時のしぶきを駆けめぐる   白玉
◎勝之
■上五がもすこしなんとかならんかったかと…でも、いただきます(勝之)■壮大なうそつき(吾郎)■「時のしぶき」が伝わるなら○(裕)

遠雷や生娘確定申告書   烏鷺坊
◎國人
■おもしろそうで腹が立った(吾郎)■季語+思いつき→×(裕)

都市の美化端切れ晴着は黴の使徒   吾郎
◎國人
■いぢめて(吾郎)■イイデキ!(勝之)■端切れてしまうのは回文の宿命?(裕)

緑陰や函から洩れる人の声   裕
◎吾郎◎國人◎烏鷺坊◎唖々砂
■物語なれど情景、臭い、湿度、暗さ、かすれ具合など五感を刺激してくれるお話しは好きよ。京極風ね(吾郎)■箱男、はたまた花輪和一描くところの箱入り娘か(勝之)■使い古されたパターンで△(裕)

届くかこの手五月の闇に蝦蟇つかむ   勝之
◎裕
■距離感に◎(裕)■物語(吾郎)

ヂキタリス血の道病みし天気雨   唖々砂
◎白玉
■不快(吾郎)■ヂキタリス−血の道→×(裕)

走り梅雨右ならえする国語辞典   國人
■「右ならえする」→×(裕)■最近では「エタ」「びっこ」などはみんな載ってないんだろうか(吾郎)

大海の空をつらぬき鯨泣く   白玉
◎裕
■舌頭にのせやすいのが◎(裕)■大海に鯨。役者がそろいすぎましたのぉ(吾郎)■リアリティなし(勝之)

携帯の冥府夏めくストラップ   烏鷺坊
■携帯電話不携帯者のため全然ワカンネェッス・・ってふててるだけか(吾郎)■携帯−ストラップ→×(裕)

蚊帳開きモスラ硝子はきらびやか   吾郎
■そりゃ出来のよくない子だってのはわかりますよ。でも、どこか憎めないんですよ。作ってる最中クククっと思わずわらっちまった私の負け。ええ、どうにでも言ってやってください(吾郎)■こちらも「モスラ硝子」というワケのわからんシロモノがイイ味。「は」は「も」ね(勝之)■誤植あり。モスラが×(裕)

嵩蓋を剥がして血が出て五月尽   勝之
◎唖々砂◎裕
■こういう当たり前はもういいんじゃないだろうか(吾郎)■わざわざ俳句にしなくてもいいことをくどくどと言っているところがおもしろい(唖々砂)■いまいち淡泊だけれども○(裕)

走り梅雨黒人霊歌に羽虫舞う   唖々砂
■材料豊富故味混在(吾郎)■「黒人霊歌」ねぇ、なんか今の時代にもっとも似合わないっすね(勝之)■走り梅雨−羽虫舞う→×(裕)

朝焼けは頬杖作るためにある   國人
◎烏鷺坊
■モチーフは好きです。美しくもアンニュイです。だから頬杖以降なんとかしてけろ(吾郎)■雰囲気はわかるけど、大甘(勝之)■そう納得させることができれば○(裕)

ひとすじの溝がゆらいで山割れる   白玉
■みえない(吾郎)■大げさ(勝之)■わかるようなわからぬようなは×(裕)

梅酒はや汝自身を癒すのみ   烏鷺坊
◎白玉
■浸け過ぎると美味しくなくなるんでしたっけ(吾郎)■そう納得させてくれれば○(裕)

自販機のかすかに呻る木下闇   裕
◎吾郎◎烏鷺坊◎唖々砂◎白玉
■絶対に明治屋のオレンジジュース果汁10%未満が50円で出てくるぞ。もちろんプルトップ缶のわけはなく、付属のミニ飲み口開けで二ケ所ぐいっと開けるやつさ。さあ恐いぞ恐いぞ〜〜〜でろでろでろ〜〜ん(吾郎)■使い古されたパターンで×(裕)

草刈ればワウワウギターの昼下がり   唖々砂
■農家でジミヘンとくれば、入植した元・ヒッピーてことですか?(勝之)■テリー・キャス(シカゴ/故人)が腰曲げて田圃に入ってるのは結構似合う(吾郎)「れば「たら」「て」→×(裕(
〔以上19句〕

〔当番より〕
▼早朝から、犬のように働かされます。家に帰れば、丸太のようにソファーで眠る(like a dog, like a log …吾郎さん以外にはわからない?) 人民はいつまで苦しみの中で喘ぐのでしょうか? それがオクンチ遅れの言い訳にはなりませんが……。で、来週は沖縄に遊びにゆきます! オクンチには間に合うように帰ってきますから、みなさん、どうぞ投句よろしく!
▼「今回の一句」は当番・規夫がいただきました。選んだ吾郎さんと勝之さんは、共通して「ぬ」が気になるとのコメントですが、当番は不参加ながら、「ぬ」でスッキリしました。
▼次回も当番は規夫
黒人霊歌でも聞きに行くべえかと黒人さんたち

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九の付く日のFAX句会 オクンチ 第97回 2001年6月9日  土曜日

〔今回は裕さんの3句選〕
限りなき腹の中からまた魚   白玉
◎裕◎唖々砂
■上五が限定しすぎ(吾郎)■タラの産卵かあ? いや胎生のメダカとかグッピーか(勝之)

自転車のスピードスピードからっぽのプール   唖々砂
◎裕◎吾郎
■ヌーべルバーグ・フィルムのモンタージュ手法。お見事(吾郎)

男声と女声の受胎蝌蚪進化   國人
◎裕
■イメージ湧かない(吾郎)■ん〜、わかりたくない(勝之)

〔以下順不同〕
炎天下金のエンゼル出ていった   國人
◎吾郎◎烏鷺坊
■森永のチョコレート関係か。意味なし法一って好きよ(吾郎)■ああっ、オシイ!オモチャの缶詰もらえたのに(勝之)

夕立ちを浴びて自転車生き返る   吾郎
■実話(吾郎)

曇天やごはんを飲んで骨を取る   裕
◎規夫◎烏鷺坊◎勝之
■意外と高点句か(吾郎)■これがなかなか取れないんだわ、ごはん飲むのも二度三度となるとシンドイし(勝之)

ポンとぬくラムネあふれし夕微熱   唖々砂
◎勝之
■そうですね、カゼひいたときラムネなんか飲ましてもらうと嬉しかったな(勝之)■もっとすっきりしゃっきりしてくんろ(吾郎)

郭公の悪事を終えて美声かな   勝之
■おもわせぶり(吾郎)

位牌から文字ころげ落ち梅雨に入る   烏鷺坊
◎白玉
■シュールのわりに普通(吾郎)

薄暑なり車体のへこみアタマ大   規夫
◎烏鷺坊
■誰ぶつけたんだ?(吾郎)■人をハネたんだ、ひき逃げでしょ!(勝之)

倭の国の長き汚き紙魚のシミ    國人
■そんな大袈裟な(吾郎)

夏布団学ある悪ガンとぶつな   吾郎
■できそこないの暗号(吾郎)■★☆。苦しそ〜(規夫)

照門のなかに照星バナナ剥く   裕
◎吾郎◎唖々砂
■沖縄いかがでした? 空気感が好き(吾郎)▼沖縄は良かったあ! でも、この句は違います(規夫)■ん〜、わからん(勝之)

ピシと鳴り電球切れて梅雨に入る   勝之
◎白玉
■長い(吾郎)

大酒に流されずとも糸つかむ   白玉
■いっそ落ちるとこまで落ちてみれば(吾郎)

熱砂にてビールのごとき誤植かな   烏鷺坊
◎白玉◎規夫
■あわあわあわ・・・ってか(吾郎)▼すみませ〜ん! 「ビール」は「ルビー」の誤植でした! 昨晩気がついたけど、まあビールもなかなかかと…。すんませんでした。誤植の句に誤植があるというのは、なかなか凝って……ないか(当番)

革靴並べつ靴べら夏桑か   吾郎
■ぼけぼけ頭で15分(吾郎)■★☆。ひぇー、またまた苦しい(規夫)

街路樹のひとつ枯れたり午の鐘   裕
■そうですか(吾郎)

悪食の鯉の口から羊草   唖々砂
◎勝之
■羊草ってどんな草か知らんけど、そんなもんが口から生えてくる鯉も因果なやっちゃ(勝之)■それほど驚かない(吾郎)

壁の虫胸先三寸初夏の風   白玉
■ミドルエイトが常套句(吾郎)

表札ののっぺらぼーと梅雨に入る   烏鷺坊
◎規夫◎唖々砂
■本日梅雨入り三部作のラストちょいとひねり(吾郎)
〔以上21句〕

〔近況・総評など〕
▼どれもだらだらとした感慨、解説を5・7・5のなかに、なんとか詰め込もうとしている。だから遅くて、つまらない。面倒臭い。
 俳句は期せずして訪れたある瞬間の提示がおもしろいわけで、この時間の超越さえあれば、べつに十七文字である必要はない。たとえ十二文字だって、遅いのものは遅いし、三十文字だってはっと思わされるのだ。
 みんな、十七文字映画を撮ろうとしているが、それは勘違いだ。映画と写真はまったく違うではないか。俳句はこちらから表現するのではなく、夕立のように、いきなり訪れる。その瞬間をキャッチすべく、二十四時間、受け入れ体制を磨いておくべきだ。自戒もこめて、泥縄では俳句は作れない。(裕)
〔当番より〕
▼今回、國人さんからの選が届かず、それ抜きでのリリースです。みなさん、お忙しいでしょうが、「選」も……というか、「選こそ」よろしく!
▼次回の当番は井口家です。

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九の付く日のFAX句会 オクンチ 第98回 2001年6月19日  火曜日

〔今回は吾郎当番の3句選〕
新聞にくるむ紫陽花ねんころろ   唖々砂
◎國人◎吾郎◎栞◎烏鷺坊
■紫陽花は花が大きく、赤ん坊を包んでいるよう!(國人)■美しい。梅雨最中の一瞬の光景。いただきます(吾郎)■質感、温もりが伝わってくる。暖かいよい句(栞)

坂道のあじさいの果てどどど海   栞
◎規夫◎吾郎◎唖々砂
■「どどど」につきます。こういった擬音系に異常な才を示す作者。同じ情景を観た者としては一本とられた気分(吾郎)

二十世紀はポパイの額夏の草   規夫
◎國人◎吾郎
■ポパイの額は意外に狭い。自然もポパイの額ほどの狭さになってしまったのか?(國人)■ぱっくす・あめりかーな時代の終演と、老人を描いた「夏の庭」が交錯しました(吾郎)

〔以下順不同〕
対岸の家の背中に青あらし   規夫
◎白玉
■つまりは見えないところに背負うものの大きさってことよ(吾郎)

金魚玉溜息吐息更年期   白玉
◎栞
■本当のところ金魚玉ってよくわからないんだけど、なんか更年期の雰囲気にあってる。きっと中国系婦人の作だろう(栞)■今回漢文ニ句のうちまず一句。語呂合わせはおもろい(吾郎)

六月や天使ひとやま二千円   國人
■安いのか高いのか、一瞬躊躇する(買う気か?)(吾郎)

またひとつ皺の増えたり白日傘   吾郎
◎國人
■日傘の皺は、作者の皺の数か?歳はとりたくないものだ!都会は病んでいる! 皆、健全な自然の中へ回帰せよ!ルソーみたいだ(國人)■宗匠の夏目雅子句への御挨拶(吾郎)

友が病む女の指で煙草くゆらす   白玉
■横座りで、なんとなく女っぽいから?(吾郎)

草市は季語の戒名新世紀   國人
■なんか凄いことを断言されたみたいで(吾郎)

梅雨晴間路辺的野花不要採   唖々砂
■漢民族二号。こちらのほうが想像力を喚起してくれる(吾郎)

地熱深く濡らされてゐる車輌かな   烏鷺坊
◎規夫
■構造主義の赤旗が振られそうですな(吾郎)

甲か乙か惑う土間鰹買う子   吾郎
◎規夫◎烏鷺坊
■★★★★。復活! これ、いいですね。禁を破っていただきます(規夫)■抽象句が多いため仕方なく三句目を回文句にしたのですが、乙=おつ、鰹=かつを、で私のような旧カナ過敏症からすると、完全無欠とはいいがたいところがあります。でもそんなことをいったら、甲=かふ、動詞語尾も、惑ふ、買ふ、で最初から回文にも何にもならない。辛い病気です(烏鷺坊)

にわとりの眼玉まっすぐに雨が降る   規夫
◎白玉◎唖々砂◎栞◎烏鷺坊
■面白い。にわとりの眼玉がやっぱりすごいね(栞)■今回一番俳句らしい俳句(吾郎)
歌姫のうすものの色パリで死んだ   唖々砂
■フランシーヌ、ダリダ、あとは?(吾郎)

小判草のたかり方農村箱   吾郎
■なんか農村箱ってありそうでおかしい(栞)■りはびり12号(吾郎)

蛍三つ四つ猩猩殿の泣きたまふ   國人
◎唖々砂
■絵が浮かばなかった(吾郎)

人に棲む病だれの悪夢かな   白玉
■まったくもって(吾郎)

チェロの音かすかに狂れり小判草   栞
◎白玉
■小判草があんなにおもしろいとは思わなかった(吾郎)
〔以上18句〕

〔近況・総評など〕
▼蒸しますね。最近テレサ・テンの唄にはまっています。日本語の唄は覚えられないのに中国語の唄はすぐ覚えるある。不思議のことある(唖々砂)
▼今回が九十八回目のオクンチ。九十九、百回記念はなんかやるんでしょうか、国立当番?(吾郎)
▼考えときます。あ、それと、次回の当番は規夫です。(国立当番)

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九の付く日のFAX句会 オクンチ 第99回 2001年6月29日  金曜日
〔今回の一句〕
充たされてまた水壜となりにけり   烏鷺坊
◎規夫
■イリュージョン系では、これがいいナ。「生まれも育ちも魔法瓶」の続編。「なりにけり」なのはもちろん「私」(規夫)

〔以下順不同〕
朝焼や燃えてスルメになりました   國人
◎唖々砂◎規夫
■さらにスルメが燃えて日教組になったの?(唖々砂)■今回の「朝焼け」シリーズは同一作者なのか?の謎解き。私は最後だけ違うに500点(吾郎)▼500点没収(当番)■さて、何が燃えたのかであるが、「私」と読んで、いただきました。スルメへの変身というのは、かなり魅力的にも思えてきた(規夫)

見ず知らず蚯蚓まず耳ずらし済み   吾郎
◎烏鷺坊
■ややツラ。★★☆(規夫)

ユウウツは書類の山と食パンのカビ   唖々砂
■なんでわざわざ字余りにしたんだろ(吾郎)■散文は、語順を入れ替えてみる。「カビ類と山崎パンにウツと書く」などなど(規夫)

窓に蛾を貼り濃紺の部屋となる   烏鷺坊
◎唖々砂◎國人
■ドラマチック。俳句向きではないたぐいの(規夫)■蛾まで、部屋の装飾のように見ている点を評価(國人)
マニキュアからこぼれ落ちる砂のあと   白玉

人ひとり見え七月の滑走路   規夫
◎烏鷺坊◎吾郎◎唖々砂◎白玉◎國人
■構図がきれい。立ち姿が美しい。毒はないけど好きよ(吾郎)■名句! 映画のワンシーンみたい(唖々砂)■本来人のいそうも無いところに、人を発見した驚き!(國人)

朝焼や燃えて燃え尽き日教組   國人
■何が燃えるかが問題なのだが、やはり「私」だろうか(規夫)

紫陽花のわれもわれもと顔見世   吾郎
■下の字足らずが大森流(規夫)

酔うまでの水羊羹の闇といる   唖々砂
◎白玉◎規夫
■上が不満。「といる」が不満。なのにいただくのは、「水羊羹の闇」というフレーズが、いかにもありそうでいて、そうでもないのかなと思ったからです、ハイ(規夫)

夏草や埋めたところに俺の首   烏鷺坊
◎吾郎
■これもかの「俺の〜」シリーズの中の一作でしょうか。付き過ぎな気もするが、滑稽度合いに一点(吾郎)■イリュージョン系(と、いま命名)。「夏草や」が、今ひとつ煮詰まってないのかな。ずんずん面白く変化していくことに期待(規夫)

恋しくて夏の香りがあふれ出す   白玉
◎烏鷺坊
■甘くてべとべと(吾郎)

朝焼やデュフィの空の江戸紫   國人

タイヒラメワカメの踊り夏布団   唖々砂
◎吾郎◎白玉
■池袋サンシャイン水族館へ行った。最低最悪なとこだった。イヒラメワカメ観たかったなぁ〜〜って、そんなもんいるんか本当に!(吾郎)▼ひぇ〜! すみません! 当番の誤植、というか貼り込みのときに頭の1字が抜けちゃった(当番)■正しくは「タイヒラメ」でした(唖々砂)▼再度、スミマセン!(当番)

夏満月珊瑚の産卵無限大   白玉
◎國人
■確かに神秘的だそうです。「の」がない方がもっと良い!■「月」と来て「産卵」、おまけに「無限大」ではではアリモノ過ぎるのでは? でも、読みたいモチーフ。バリエーションに期待(規夫)
〔以上15句〕

〔当番より〕
▼次回は第一〇〇回。こんなこと、よくも一〇〇回も続けている。大森当番に感謝・感謝の国立当番です。(ちなみに、私がシノギでやっている所作事(仕事と世間では呼ぶらしい)の一つ、パチンコ屋さん向けのFAXニュースは、いま一〇五八号。笑える。月二回のニュースレターは、一七七号。これも笑える。
▼そのシノギの話をもうすこしすると、パチンコ機の名前というのは、四〇を過ぎたオッサンが口にしにくいものも多くて、「ラブリーレミ!星空にステップ」とか、「CRフィーバーポヨヨン星人SR」とか、こういうのをお仕事の電話などで、もちろん大真面目な顔で、しゃべってるわけです。「お疲れさまです。アイムエンジェルホワイト2、どうします? リサーチ、どうします? で、導入店は?」などと。でも、シノギというのは、情けないほど、ちょっといいナと思ったりもして。「りっぱなお仕事をしているエライ人」じゃなくて良かったあ、と心底思ってる毎日です。
▼次回も当番は規夫です。一〇〇回っつうことで、よろしくご参加、お願いしますです。
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九の付く日のFAX句会 オクンチ 第100回 2001年7月9日  月曜日

〔今回の一句〕
射的屋の汗をかかないぬいぐるみ   裕
◎亞子◎國人◎烏鷺坊◎等◎吾郎◎白玉◎唖々砂◎三太◎規夫
■汗かくのは「打つ」方ばかり(亞子)■確かに、ぬいぐるみはドライだった(國人)■上手いのだろうけど、素直(等)■おもしろい。汗をかかない=仕事をしないっていう、さびれた温泉歓楽街の風情が浮かび出す(吾郎)■う〜ん、ぬいぐるみが有機の感触を帯びる。おもしろい(規夫)■「ぬいぐるみ」はたしかに汗をかかないが、「ぬいぐるみ」ほど暑苦しいものもなく、見ているこちらは汗のかき通しである。つい、見過ごしてしまいがちな「夏の風物詩」だ(三太)

〔以下順不同〕
雨ふらぬ梅雨においしいビールなり   厚子
■そんな、まんまやないですか(吾郎)■あのねー(亞子)■「空梅雨に美味なビールや」……としかいっていないぜ(裕)

ママの草取り檻と柵のまま   吾郎
◎國人◎裕◎烏鷺坊◎等
■おう、回文健在(等)■苦しいぞ、下半身!(亞子)■世の中のママは看守のように恐い(國人)▼ううむ、なるほど、ママとは看守である、か。勉強ンなった(当番)■最初、気づかせなかった。これは成功しているに(裕)■★★★☆(規夫)■☆☆★(吾郎/自己採点)

精神科医リカがもつれるのうぜんかずら   等
◎亞子◎國人◎裕
■「リカ」の具体性でもった(亞子)■「のう」ぜんかずらですか!御見事!(國人)■香山さんがもつれるってのに、のうぜんはふさわしいです(裕)■これをおもしろがれるかどうか、感覚の問題(吾郎)

青梅の列に青梅並びをり   烏鷺坊
■ソーファット? と言わせる弱さ。たとえば「きゆつきゆつときゆつきゆつきゆつと茄子小振(長谷川櫂)」などと比べて(亞子)■よくある(吾郎)■あたりまえが最善なのは確か。が、あたりまえを演じちゃ最悪(裕)▼これ、「童子」(狂流さん所属)ごっこなんですよ。事情を知っているので(規夫)

もう百とまだ百かとも百日紅   亞子
◎三太
■さるすべりって、なにげに婆アのイメージなのはなぜ? それはともかく面倒な理屈ではある(裕)■上五・中七がきれいな挨拶となりながら、「百」繋がりで不自然でない見事な有喜定型句に仕上がっている(三太)■百日紅に百をかけただけ…なんて言わないでね(吾郎)■100回記念というだけでんがなあ…(亞子)▼挨拶句、謹んで承りました(当番)

体内に異物生まれる半夏生   國人
■活性酸素かあ? 具体性皆無のところへもってきて「異物」と来てはなあ(裕)▼「胎内」でどうですか?(規夫)■「半夏生」のイメージとして凡庸(亞子)■年に2回、尿道結石を排出する身としては、とても痛い句(吾郎)■取りそうになったけど、やめた。「異物」っていう気取りがちょっと気になるんですもの(勝之)

修善寺や水と思えばお湯である   栞
◎厚子
■はい。うん、うん(厚子)■…しかし「修善寺」と言っておいて「水と思う」のはちと思わせぶりっこ?(亞子)■驚いた人には実景句として(吾郎)■綱島やお湯と思えば水である(裕)▼山の手や栗と思えばチョコである(当番)

風呂の排水口のようにカッコよく歌いたい   勝之
◎烏鷺坊◎唖々砂
■真底そう思った?(亞子)■詩的で素敵ですが、切れがないので。惜しい(裕)■♪ゴゴゴ〜風が泣いているゴゴゴ〜ってフルすぎた(吾郎)■髪や毛をからませながら、ごぼごぼと。……でも、これ、リンダリンダ〜の曲の「どぶねずみ」のネタでしょ? あの曲は確かに泣かせるけど(規夫)

片陰やスマートボールに小さな傷   裕
◎規夫
■この界隈で見かけるとこの真っ当さが「得難く」見える。いいんだか悪いんだか(亞子)■なんかちいさい(吾郎)

夕顔や泣く子も黙る握り飯   三太
◎栞◎吾郎◎厚子◎白玉
■ここまで言い切られるとグウの音もでない。力技の一本勝ち(吾郎)■今の子は握り飯じゃ黙らないけど、希望をもって…(厚子)■慣用句を入れるんなら、よっぽど変な取り合わせにしないと足ひっぱられるよね(亞子)■どんな握り飯なのか知りたい。それが肝心なんだから教えちくり。たらこ?(裕)▼時節柄、筋弛緩剤入り(当番)

ニッポンの夏はキンチョー太鼓打つ   唖々砂
◎厚子
■キーッ! 花火も入れてー(厚子)■CMの威力(吾郎)■磐田のジュビロスタジアムの照明塔の足には「タンスにゴンゴン」と書かれています。ふたつとも。私は目頭が熱くなった。(イミフメーな方には失礼)(亞子)■この調子でいくってんなら、一晩二万句ぐらいは作ってほしいね。いや、待て待 て、緊張か? でもやっぱりダメ(裕)
車窓よりみえる山やま 緑緑緑   厚子
■この文字形式はおもしろいとは思うが、うーん(裕)■……(亞子)■伊藤園(吾郎)
蛸のいぼあちこち向けり蛸を喰う   規夫
◎烏鷺坊◎等◎厚子◎勝之
■下五をどうにかしてほしい(亞子)■ここで蛸以外の何かを食いたい。いや「食う」は蛸と重なるから、違う動詞だろうなあ(等)■もっと早く演算できるシンプルな式なら、傑作になったと思うが、惜しい(裕)■下五がふつうだね(吾郎)■う〜ん、蛸ひとつ喰うにも色々と感慨があるようで、アハハ好きっす(規夫)

河内撃てノロマな麿の手団扇か   吾郎
◎等
■回文のほうが飛躍がある。いかに意味にかしずいていることか、と反省(等)■上五の勢いのまま一気に行ってほしかったなー(亞子)■★★★。ちょいサービス点ぶくみ(規夫)■ママの草取りには圧倒的に負ける(裕)■扇を射落とした故事に習って…ってウソツキ(吾郎)

絵葉書のようだねと虫踏む女   等
◎國人◎吾郎◎白玉◎唖々砂◎勝之
■…そういう女がいても一向にかまわんが(亞子)■以前、菊野さんに類似句があったような……しかしこれもいい味(勝之)▼「嬉しさのあまり毛虫を踏みており」ですね(当番)■実存感あり。速度もいい(裕)■遠景に見とれて近景が目に入らなかったんでしょうか、人間の業ですな(吾郎)

空梅雨の壜さかさまに浮揚せり   烏鷺坊
◎白玉◎勝之◎三太◎規夫
■転換がほしい。それがないのは切れが不明確だからでしょう(裕)■「浮揚」なんてムズカシイことばが必要?(亞子)■連日、最高気温三十五度を超える異常気象(ダイポール現象)は、「空梅雨」などという生易しいものではないが、一滴の水をも垂らさぬ、さかさまに浮揚する「壜」が、その凄まじさを象徴している(三太)■川に浮かんでいるんでしょうか、淋しそうでどっか自由(吾郎)■腐ってそうな静かな視線がいいと思いまひた(勝之)■「浮き上がる」ではダメですか?(規夫)

太陽の塔にヒビあり稲光   國人
◎亞子◎烏鷺坊◎規夫
■上五=岡本太郎、中七=岡本太郎、下五=岡本太郎 でいただきます(亞子)■うまくまとまっているが、太陽とか稲光といっているわりにはスケール感に欠ける(裕)■岡本太朗も遠くなりにけり(吾郎)■太陽の塔は、永遠のオトボケだ(規夫)

すきすきが無さそで在りそで今年竹   栞
◎裕◎唖々砂
■何度も読んでいるうちにおもしろくなってきた。なんでしょね、これは(裕)■わっかいむすめ〜じゃないからわっかんない〜(亞子)■ありそでウッフンってやつネ。夏とはすなわちゴールデンハーフであるという原則(規夫)■ラストが不明(吾郎)

もうずいぶん見てないおまえの肩と夕日を   勝之
◎國人◎三太
■同感!(國人)■さいざんすか(亞子)■おまえって誰? こいつにおまえ呼ばわりされる奴って誰?(規夫)■季語も切れもないが、いまどき珍しい、詠まされているこちらのほうが気恥ずかしくなってしまうほどのリリシズムに一票!(三太)■長かろうが、短かろうが、切れがないとしまらねえ(裕)■山本星人に一票……って、作者当てに一票ね(吾郎)▼そりゃ点数になりませんぜ、ダンナ(当番)

水風呂の指のシワシワ見ておりぬ   唖々砂
◎厚子◎勝之
■ふたたび、さいざんすか。(亞子)■見ておりぬではゆるい。やはり切れというか、転換がほしい(裕)■湯と水風呂のふやけ具合の差がこの句のキモ?(吾郎)■こういうダルな視線ももちろん好きよ(勝之)

ラムネ瓶転がるやがて透明に   吾郎
◎唖々砂◎三太◎規夫
■転がるタムネ瓶が、霞がかかったように透明になってしまうのは、蜃気楼のごとき自然現象ゆえか、それとも錯視か、こちらの脳の不具合ゆえか、いずれにせよ、この夏の「炎暑」が美しく表現されている(三太)■何が「透明」になるのか、言わないことによるイメージの広がりがむしろありません(亞子)■「転がり」でいただきます(規夫)■「やがて」も「透明」も駄目。瓶が転がるのも駄目。結局駄目か(吾郎)■もうひと粘り(裕)

ラベンダー畑船焼きし船長が泳ぎ   等
◎裕
■うまい。船焼きし船長の臭みがうまく中和されてる(裕)■ん〜回文かと思った。(亞子)■そんな事件があったのか(吾郎)

夏となる豆粒ほどの山の火事   規夫
◎裕◎栞◎勝之
■小さな赤い色がみえる。夏となると切ったところがよろし(裕)■上五のかかり具合がよくわからん(吾郎)■みたび、さいざんすか(亞子)■こういう大人を気取った視線も今回は良しとしておこう。ううっ、暑いっす。クーラー無いし、扇風機嫌いだし、最近またコルトレーン聴きはじめちゃってブゲブギプハーッ、ブハーッってうるさいったらないしで、ワタシは今から図書館に避難します(勝之)

蟻告げる蟻また告げる喪の太さ   烏鷺坊
◎栞◎吾郎
■下五につきます。意味は不明だが(吾郎)■技巧がナマで臭いすぎ(裕)■「喪の太さ」とはなかなか言えないコトバ。ただ「蟻告げる」のが…(亞子)

えへへへへ踊るいひひひひひ踊る   國人
■危なげなようで、意外と安全(裕)■「反」ナントカは弱いです。(亞子)■狒狒なのね、踊ってるのは(吾郎)

夏の河そば屋のおかみは物知りで   栞
◎等◎白玉
■ここでもう一つアクションが欲しい、が最近のボクの課題。たぶんこの文脈は壊れるだろうが、そこに言葉を滑り込ますと自分も壊れて楽しくなる(等)■そおゆうこともあるだろうが(亞子)■での後が見えてこないのが問題(裕)■答えられない質問をして鍛えてやるべきだったかも(吾郎)

翡翠も魚ももっぱら地球上   裕
◎亞子◎吾郎◎栞
■マングースとへびも地球上だわーもっぱら(亞子)■もっぱらというイイカゲンさが、地球上という大雑把さと呼応して、ますますいい加減(吾郎)

おどけたって駄目だよ犬の息が熱い   勝之
◎栞
■西念寺系の必殺技か(吾郎)■なんかいいかなと思う(裕)■怒られた気になって取れませんでした。(亞子)

〔以上29句〕

「九」

梅雨明ける九州韓国文化圏   吾郎
◎國人
■九州と韓国に季節の違いはないですね。九の句を送るのを忘れてしまいました。「九十九里夢の日本のノルマンデイー 國人」(國人)もうちっと工夫してもバチはあたらないだろうがに

向日葵が固い坂本九のダッチロール   等
■痛々しいかったなあ、あのとき(裕)

ががんぼの九死に一生得しその後   亞子
◎栞◎唖々砂
■そう、その後がどうなったか知りたいのです(裕)■「ががんぼの胸つきあわせたまま落ちる 吾郎」の後日談。ががんぼや心中の片割れ生き残り(規夫)

河鹿鳴く9のつく部屋見つからず   栞
■そうおもしろいあたりまえではないがに(裕)

兎にもやっぱり九穴ある炎天   裕
◎勝之
■くう〜っ、そんな暑くるしいこと考えてんじゃねぇ!生ビールでもおごれ!(勝之)

九十九には花鳥山河美人あり   白玉
◎三太
■九十九(つくも)とは、能登(石川県)の九十九湾のことをいっているのだろう。月並みな単語の羅列のようだが、水上勉の小説を想起させる、この国ならではの美しさが存在している(三太)■文部省になっちゃう(裕)

9ひく7は2宿題のサクランボ   唖々砂
■ほんとうに2かあ。それじゃつまんないだろうに(裕)

くく九九の怪稚児生まれし聖餐日   白玉
■なんか大仰なのよね(裕)

九ピンをカン空梅雨の雲の色   規夫
◎亞子◎裕◎烏鷺坊
■賑やかでエエな〜 KYU-KAN-KARA-KUMOのKを踏み。(亞子)■イーファンアップしていただき。ピンとカンが意外といい取り合わせ(裕)

九面体プラグを抜いて日曜日   白玉
◎吾郎
■そういうプラグってあるのか? 知らなかった。知っていたらとったか? それは 知らない(裕)

くく九九八十一歳以上の俳句結社   三太
◎等◎白玉
■結社の会員が増えれば増えるほど平均年齢が上がる、というのが現実らしい。俳句の興隆なんてウソ(等)■確かになんとかしてほしいよ。結社もこの句も(裕)

九の字に草履が撥ねる朝顔市   三太
◎亞子
■3年前の朝顔市では脛毛にペディキュア、巨大な浴衣の「お姉さん」にぶつかったっけ…。これは子らの草履と見ていただき(亞子)■いや、ほんとうに難解でした。すいません(裕)

九つの桶に九種の蓮の首   烏鷺坊
◎規夫
■なにか深い謂われがあるんでしょうか。判りませんでした。なんか格好いいような 気もするがに(裕)
〔以上12句〕

〔当番より〕
▼というわけで、第一〇〇回でした。多くのご参加をいただきました。やはり、メンツはこのくらいのほうが楽しいですね。次回は、またあらためてお知らせします。

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九の付く日のFAX句会 オクンチ 第101回 2001年7月19日  木曜日

〔今回は回文俳句を〕
子規よ悲しむな舟虫仲良き死   吾郎
■◎等◎裕
■★★★★(規夫)■しかしよく出来るのですねえ(等)■意味になっていて、かつ形になる。しかも、意味がおもろいやん。意味っていたって大事よ。意味を既成の制度だとしか思えないと、意味に単純反発して、粗雑に無意味とか、意味への反発を目指すけれど、それって、自分を差別化したいだけの、つまらない勘違いなのね(裕)

中身夏のネタまたねのTSUNAMIかな   吾郎
■★★★★。完全復活(規夫)■隠れ回文、わりとわからんでしょ(吾郎)

〔以下順不同〕
べったりと座る若者晩夏光   國人
■「若者」と口にした時点で、?では? カギカッコ付きでしか使えない日本語(規夫)

有楽町に月蝕カウボーイを夢みるなよ   規夫
■有楽町に月蝕カウボーイを夢みるなよ。有楽町で夢見ルウ? そんなやつ、いるわきゃねえ(裕)■この句とは関係ないですが、月蝕の日に有楽町に句会に出かけた。「七月」という季語を入れた句で、「七月の必然性がない」と言われ、すごく困ってしまった。俳句には偶然しか見出していなかった私としては…。「年中、使えるんです、月のとこを変えて」とも言えずに。「いま七月なので」としか言えずに(規夫)

熱帯夜そしてカフカの薄笑い   裕
◎國人
■今の都会では、薄笑いが聞こえそう!(國人)■カフカが薄笑いする、のはちっとも飛躍じゃない。ミエミエというところか(等)

ナンバーナインナンバーナインナンバーナイン   十四郎
■おうっ! がんばれーと声かけてしまう。わざわざ書いたところがエライ、FAXまでしたところがエライ。「レノンの忌」とつけて有季にする手も(規夫)

肩書を問われてしばし夏の空   栞
■答えを考えといたほうがいいですよね。私は「街のダニ」という肩書きを気に入っていたが、最近はさすがに使いません。それはそうと、「法然」という雑誌で、皆さんに「ご自分のプロフィールをください」と打診したところ、ヘンなのばっか送ってきた(唖々砂さん、安心してください。他もヘンでした)。結局、全ボツ。みんなちょっとオカしいと思う(規夫)

きみあての手紙がきみを探す夏空   烏鷺坊
◎國人◎栞
■郵便局はそこまで仕事熱心ではない。大事なものは郵便にしないというのが世間の常識になりつつあるので、やはり民営化は必要なのか(規夫)■青春ドラマのような句(國人)

灼熱のバラード止まぬ歯ブラシが痛い   唖々砂
■灼熱のバラードはないだろうよ、ゲップ(等)■血がぼたぼた系統(裕)

かき氷くったくのない膝小僧   珠子
◎白玉
■かき氷と来たら、くったくの「ある」ものが来てほしい(規夫)

二百個の目玉劇場天の川   烏鷺坊
◎吾郎
■「目玉劇場」ってすごく面白いですネ。「二百個」なんてまどろっこしいもの要らないから、「目玉劇場」で一〇句くらい作ると面白いと思う(規夫)

ポンコツで走るじゃり道海どっち?   唖々砂
■「?」はいらないっしょ。細かいことだが(規夫)

夏枯れに「ごめんください」涼はこぶ   白玉
■季重なりのぶん展開できない(規夫)

夏燕隊列の右へ黒鍵叩く   等
■ツバメと黒鍵は感じがよろしいのですが、中が私には入ってこない(規夫)

父の忌やパイナップルの芯がない   裕
■なんかすっきりしていて、いただきたかった句(規夫)■この手はうんざりしています。なぜなら写生圏域にある面白さだからです(等)

炎帝や息災の妻出たっきり   珠子
■「罹病の夫寝たっきり」(あったりまえだろうが、と突っ込む)が対句(規夫)

白ワイン相手は首振る扇風機   國人
◎珠子

干し芋の粉を吹いたる薄暑かな   裕
◎珠子
■もう一声、という感じですかね(規夫)■あたりまえじゃないか、もう。こういう句を模倣律の句という(等)

王冠を拭く真夏のレトロ電車   等
■王冠はビール? なら、隠れ季語。レトロ電車は、台東区・足立区あたりの(烏鷺坊さん、いっしょにしてゴメン)町おこしっぽいモチーフ。悲惨(規夫)

かなぶんの頭突きとなりて帰宅する   烏鷺坊
◎規夫◎國人◎裕◎吾郎◎栞
■目に浮かぶ。人間とかなぶんのあいだの薄い薄い膜。あるいはthin line…sung byクリシー・ハインド、バンド名忘れた(規夫)■酔っぱらいの帰宅か?気を付けよう!(國人)■そのかなぶんの名は「ボボ・金太郎」(等)▼当番2(国立)が解説を試みますと、ボボ・ブラジルと大木金太郎の間に生まれたかなぶん■生活者の実感。量感でいただき(裕)

金魚色の口紅遠き海へ行く   唖々砂
◎規夫◎烏鷺坊◎裕◎白玉
■俳句ならもうちっとやりようがあるとは思いますが(詩をやらなくていいところが俳句の良さと私は思っているのですが、俳句は詩と思っている人も世の中にいらっしゃるようで)、ま、いただきます(規夫)■遠き海へ行っちゃいけないのよ、ロマンチックは嫌いよ(等)■ゆるいのが自由。そこでいただき(裕)

浄土のマンホールばかにまるい   規夫
◎等
■面白いですね(等)■おっとと。「ばかに」でね……(裕)

炎天やぼくらはみんな深海魚   白玉
■「ぼくら」を「枕」と読み違えた(等)■深海魚じゃなくてマッカチンなら……とらないか(裕)■何度も披瀝しているネタですが、夏石番矢が高校の国語の宿題で作った句が、「熱帯魚のように曇り空を見上げる」というモチーフ。もちろんこれを上手につくって、ホトトギスにせっせと投句していた国語教師が絶賛した。戦後、私が街のダニだった頃の話(規夫)

七月や千と一つの夜めぐる   十四郎
◎白玉 
■「千一夜」なら5文字ですむものを(規夫)

羊歯が明るい白骨のハバロフスク   等
◎烏鷺坊
■心ひかれる、後ろ髪引かれる、いただきたかった句(規夫)■なんだこれ。人を恫喝するのはやめちくれい。共同性の規律を強要したってはじまるまいがな(裕)
法師蝉宿題やれやれやれやれやれ   國人
■のほほんな破綻。NHKの深夜、朝日新聞、あるいは五〇代の元フォーク歌手・タウン誌を手がけるペンションオーナー(註・ともに髭付き)(規夫)

四万六千日ソーラン節は放物線   規夫
◎珠子◎等◎吾郎◎栞
■期限が一日延びたのについ乗せられて参加。なんと百回を超えていたのですね。おーおーと思うばかりでコメントの難しい句が多いのですが、この句は好きです。放物線とはなんとすばらしい発見!(珠子)■四万六千日でなければ最高なのに、すべて強すぎる(等)■放物線がどういうことか分からない私はバカです(裕)

炎昼や医師の言うまま舌伸ばす   珠子
◎規夫
■「医師」より「医者」かな、やっぱり(規夫)■これ、よくあります。炎昼と医師と舌はピッタンコ(等)

おろしたてビーチサンダルぺったんこ   吾郎
■「おろしたてのビーチサンダルは扁平だった」と始まる中編小説を、映画化含みで。サザンオールスターズに主題歌打診……やはりそのまま散文になるのなら俳句でなくていいと思うのです(規夫)

赤青黄アロハシャツのダンディズム   白玉
■小林旭を思い出すくらい陳腐(等)

〔以上30句〕

〔井口当番より〕
▼今回、近藤家海水浴のため、十四郎、唖々砂の選句はありません(当番2号)
〔国立当番=FAX送信ががり=より〕
▼今回の二句は、国立当番が選ばせていただきました。夏満喫の二句。
▼次回は、7月29日は、国立の順番ですが、留守の可能性アリ。投句先など、あらためてお知らせします。
▼……ということで、当番2号には無断なのですが、
第一〇二回の当番公募!
どなたか、一度、このアホらしい作業をやってやろうという方、お知らせください(ただし、あくまでテンポラリー、単発の特番扱い)。「マック坊や」を楽しんでいる裕さん、ばりばりにHP運営の等さん、最近ウィンドウズPCで執筆の勝之さん、あと、数あるデザイナー陣。そのほか、いかがです? ぜんぶ手書きでやってやろうという方ももちろんOK。植田までご連絡を。

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九の付く日のFAX句会 オクンチ 第102回 2001年7月29日  日曜日
〔今回の一句〕
下町のみんなこなごな揚花火   國人
◎等◎規夫◎吾郎
■ストレートに理解できる。隅田川の川開きの夜、うちのシーズーのハルちゃんは怯えきっていた。真夜中まで浴衣の若い女がゲーセンとかでウロウロしていた。まったくみんなこなごな(烏鷺坊)■これ伊藤園出すと入賞する。出来そうで出来ない句(等)

〔以下順不同〕
女難とはこれのことかや茹小豆   烏鷺坊
◎等
■この句は前に出なかったか? 後から「女難」だと、フト思う。そして目の前の茹小豆。江戸俳諧の自由さがあるようだ(等)■甘い。これですかいな、とか、女難ってこれのことかよ、とか、もっと悪ぶっていえば、なんとかなるのに。ダメ俳句の典型(烏鷺坊)
白百合隠すデマデスク借り湯らし   吾郎
◎烏鷺坊◎等
■回文の面白さってありますね。それは作者の文脈が壊れること。でも個性(クセ)が出るのだろうな(等)■多少苦しくても回文俳句には救いがある。作者の苦吟が見えてくるからだ。どこまででも、まさに地の果てまでも応援したい(烏鷺坊)■★★☆(規夫)

旱星虚無僧のごと戸を叩く   等
■あれを被ってみたい。すべてを虚無僧のように生きてみたい。メチャ凄い。奔放で面白い句だ(烏鷺坊)

対立軸探して蜻蛉飛び止まる   國人
■ぼくも年中そんな風に飛び、そして止まる。対立軸は大抵自分のなかにある。作者はそれを十全に知っている。深い(烏鷺坊)■「対立軸」だなんて固いね。生煮え(等)

這い上がる這い上がる夏草の思惟   菊野
◎國人
■思索のあり方に共感できる。自己を絶対幻想のなかにいれない透徹がいい。哲学がある。素敵な生き方だと思う(烏鷺坊)■この句は以前あるところで出した句の推敲句らしい。だから作者を分かって言うのだけれでも、端的にいってボクの嫌いな句だ。「嫌い」を説明すると、こうだ。俳句は意味なのだ、という論を書こうとしているのだが、これってあたりまえなのよ。言葉の芸(術)なのだから。だから世の中である言葉がどのように使われ、何を意味しているか、ということに敏感でなければダメなんだ。「夏草の思惟」という言葉が「這い上がる」を二度繰り返すことでスパークするとは思わない。なんか難しいことを書いて作者は喜んでいるのかもしれないが、大きな間違いだ。ダマされるヤツはそいつにも責任があるよ。たとえば「滑稽」というのは、意味の上にあって、意味を逆転させようとする非常に知的なゲームなのだ。こういう作品はつらいね。もったいぶってるだけなのよ(等)

夏草を背後にしたり海は匣   規夫
■背後、がいい。まん前にして後ろが海だったら救えない。詩とはギリギリそういうものだ。カッコいい(烏鷺坊)■「夏草を背後」と「海は匣」は簡単に繋がってしまうのだな。「感情」が閉め出されているような窮屈な感じをもつ。まどろっこしいなあ。もっとはっきり言うと作者によって言葉の意味が変えられていないのよ。ダラダラ(等)

煮冷しの熟女が拗ねる怖さかな   烏鷺坊
◎國人
■あたりまえ。意味無し。煮冷やしの熟女がロケット砲で来る、ならOK(烏鷺坊)■ごちゃごちゃしているのと違いますか(等)■怖さだと、一直線。ここで「翻り」があれば、ドスの利いたと思いますが(規夫)

鰻綯うデブらクラブで鰻綯う   吾郎
◎烏鷺坊
■読み方はよくわからない。でも凄い。百万遍考えた気がする。回文はやっぱり凄い(烏鷺坊)■回文ですね。同じ言葉が二度でるのは失格に近いとおもいますが(等)■★★☆(規夫)

空梅雨や鴉の頭がひこひこする   等
◎吾郎◎菊野
■ぼくの頭も時々ひこひこする。面白い俳句ならではの言い回し。とても好き(烏鷺坊)■「ひこひこ」が危ういなあ、別の時に読んだらすんなり気持ちいいのかもしれないが(規夫)■本当に雨が欲しい(菊野)

愛撫する少年少女八月忌   菊野
◎規夫
■有り体もないというのでしょうか。何かゼツボウ的で、タフでハードな風景(規夫)■これも勘違い、散文に「八月忌」をつけてどうしょうと言うのか、「八月忌」っていうのは何か不明なのだが、それ以前の問題(等)■そういういことだと思う。切に思う。願わくはもう一度ぼくにもあの季節を。絶対いい句です(烏鷺坊)

据膳はひとりにひとつ馬鹿の花   烏鷺坊
◎吾郎
■この句採りたいのだが「馬鹿の花」が何か知らない。普通になにかの花でいいのじゃないかと、そういう戸惑いをもたらし、今回はパス(等)■意味のない御託。もっと真剣に俳句と取り組んでほしい(烏鷺坊)

柿若葉夢冴え冷め湯バカ湧きか   吾郎
◎烏鷺坊
■サと読ませること。エが真中にあること、それらは充分に俳句であることを保障する。回文は投げ出し句を遥かに凌駕する(烏鷺坊)■回文もある程度は整うことが大事だと分かりました(等)■★★☆。今回の回文は僕にはまどろっこしかった。ポンッという感じがない(規夫)

無風の丘紙のようなる盆踊   等
◎國人◎規夫◎菊野
■あれは確かに紙。人形のような盆踊が見えてくる。無風であるからぎりぎり無事。盂蘭盆会そして盆踊りの危うさをよく拾い取っている(烏鷺坊)■タフでハードな景(規夫)■思い出として、盆踊りは紙のようだ(菊野)

揚花火一の夢二の夢さんの夢   國人
◎菊野
■一の夢二がいい。夢二から夢三の連想。がいい、「夢」ということ竹久な感じ。あの叙情画が見えてくる(烏鷺坊)■夢二を折り込んだともとれる。「夢さんの夢」ともとれる。でももう一つ何か仕掛けが要りそう(等)■芥川龍之介作「花火」の俳句版(菊野)

夏野かな野糞をたれに駈けてゆく   菊野
■心境お察し申しあげます。特に異性と一緒の夏野の場合、思い切り駈け出すしかない。いいなあ、青春。この句、大好き(烏鷺坊)■はい、経験があります。父がそうしていた現場も見ました(等)
〔以上十六句〕

〔総評・近況〕
▼涼しいはずの我が家も連日の猛暑で、猫も草木も私もぐったり。冷房なしの学校で働くのもオツなものです(菊野)
〔当番より〕
▼暑い日が続きます。次回は、また連絡します。今度こそ、私、ルスになりそうです。

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九の付く日のFAX句会 オクンチ 第104回 2001年8月19日  日曜日
〔今回の一句〕
塁間にイチローありて原爆忌        烏鷺坊
◎規夫◎菊野◎吾郎
■型どおりで、チャイ(裕)■敵性球技邦人英雄的選手登場拍手嗚呼戦後五十年(吾郎)

〔以下順不同〕

ムスムスと実る稲穂や敗戦日        菊野
◎烏鷺坊
■「ムスムス」に実感あるが、「敗戦日」がよくないのかなあ(裕)
カットアンドペースト冷蔵庫には瓜が冷え  裕
■無理矢理。まずそうな瓜だ(裕)

毒盛ってくれる日傘の薬剤師        規夫
■どういう? 何なの? このストーリー(裕)

大暑かな棒高跳びの棒の反り        烏鷺坊
◎裕◎菊野
■上手く出来ても、適当に巧いというだけでは、楽しめない(裕)

パソコンに穀象湧いてすぐ消える      裕
◎菊野
■パソコン画面を読む俳句というはこれからどんどん出てくるのでしょうね。穀象は比較的、良(規夫)

出産の後に似たるや敗戦日         菊野
◎裕◎烏鷺坊
■いまいち理念的に感じた。もし、56年前、女性が肉体的実感でこれを発句していたら、凄いと思う(裕)■もうひと声、具体。「の後」というのでちょっとボンヤリしてしまうのかなあ。池田某風なら「敗戦日お産の後に似ているわ」(規夫)

歯痛的奇観林火忌来て大破         吾郎
■絶対翻訳不能というところが凄い(裕)■★★☆(海苔夫)■排他的季感、ワープロ的回文(吾郎)

立秋や女子短距離にゲバラ姓        烏鷺坊
■パパドック・シュバリエ姓だったらどうすんのさあ。トルヒーヨだったらあ? ゲバラがいやなのねん(裕)■辻政信、チェ・ゲバラ、懐かしい名(菊野)

ゾウガメが寝ている地球ぼんぎりぼん    吾郎
◎規夫◎烏鷺坊
■ぼんぎりぼんがやすい。惜しい(裕)■「ぼんぎりぼん」の音は強力きわまりない。前に一度、この界隈で使用されたことがあったが…。ゾウガメ、地球の語が強さで負けないバランス(規夫)

蚊が脚を垂れ嫁はんの弾くピアノ      規夫
◎裕◎吾郎
■「蚊が脚を垂れ」がいいのだと思った(裕)

デジカメの首が縮むや晩夏光        裕
◎規夫◎吾郎
■デジカメが「亀」のよう。「首」がいわゆる手柄です(規夫)■お安く俳句ずれしてて、なんだかなあ(裕)

上野山猿百態の暑さかな          菊野
■「上野山」じゃ、せっかくの「猿百態の暑さ」が、身も蓋もない。どうしてこうも誰もが分かっていることを、いまさらながらにくどくど説明してしまうのか。それをこの世じゃ「野暮」という(裕)

颱風直撃新世界語学校           吾郎
■?????????(裕)■池尻大橋にあるんすよぉ、新世界語学校が。まじで何教えてるんだろ(吾郎)
〔以上十六句〕

〔総評・近況〕
▼大風で稲が倒れることだけが心配です(菊野)
〔当番より〕
▼オクンチ史上最小人数でお送りした今回、たまにちゃぶ台囲んだ気分(当番2号)
▼次回の当番は規夫です。

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九の付く日のFAX句会 オクンチ 第105回 2001年8月29日 水曜日
すみません! 一日遅れのリリースです。

〔今回の一句〕
進むとき鉄のようなる盆踊り   等
◎吾郎◎厚子◎規夫
■「紙のようなる」はまえにあったっけ。その続編。こっちのほうがさらに強力(規夫)

〔以下順不同〕
秋暑し人進化して茶の髪に   珠子
◎規夫
■さうかもしれない。白人がエラい人種主義(規夫)

何者かかよわき向日葵食べ尽くし   厚子

半月や夫婦の糊の塗りどころ   烏鷺坊
◎珠子◎吾郎

蕎麦屋にて海老ふつくらと八月尽   三太
■出来ているからとるけど、なんか、そのままという感じ。ただごと俳句という言葉があるけど……(等)

神の地と知りて果てりし橡の実か   吾郎
◎珠子◎烏鷺坊
■回文だけど、やっぱり大げさなテーマに接近していて、なんか分別臭くなっていませんか(等)■★★(規夫)

カシャッとまぶたあく夜中の桃   規夫
◎烏鷺坊◎等
■「カシャッ」は余分だと思います(等)

尽きぬ夏路地に豚足煮詰められ   珠子
◎厚子

嘘泣きの叱られ坊主昼の月   烏鷺坊

夏の恋?夏の初めに占い師   厚子
◎規夫
■なかに「?」が入るとは! ただものではない(規夫)

すざ退るとき紙のようなる盆踊り   等
◎珠子

朝まだき自販機で秋を買ってくる   三太

胡麻塩という亀飼う愛おし孫   吾郎
◎烏鷺坊◎等
■回文は、やはり俳句俳句していないから、面白い(等)■★★★☆(規夫)

秋めくやビタミンC錠噛み砕く   珠子

上弦の月の迷路となりにけり   烏鷺坊
◎等
■俳句俳句しているが、これはとる。迷路が効いている、と思う(等)

候文ではない夏痩せの門左衛門   等
◎吾郎

さうだあれにしようゆくなつのために   三太
◎厚子
〔以上十七句〕

〔当番より〕
▼今回、三太さんからの選が届かず、それ抜きで。
▼次回の当番は規夫です。

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九の付く日のFAX句会 オクンチ 第106回 2001年9月9日 日曜日
〔今回の一句〕
ねっとりと夕暮れて臍アジアかな   烏鷺坊
◎等◎吾郎◎規夫

〔以下順不同〕
友逝きてしゃりんごしゃりんご棗噛む   栞
◎烏鷺坊◎吾郎◎規夫

台風の客なりざぶっと全身で   烏鷺坊
◎吾郎◎栞

アンモナイトの頭さかさま麻布十番   等
◎規夫

喰らう子の側から河馬その黄落   吾郎
◎等◎烏鷺坊
■★★★(規夫)

海の魚の上を颱風すぎゆけり   規夫
◎栞

亡き人の庭に真っ赤な唐がらし   栞

錦木の死と今愛し乃木岸に   吾郎
◎等◎烏鷺坊
■★★(規夫)

きのくにの狐の嫁入り吾はさかさま   等

いまはもう秋わが町の狭きこと   烏鷺坊

烈風や枯れ向日葵は人のかたち   規夫
◎栞

イザナミは腸捻転なり右は伊勢   等
〔以上十二句〕

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九の付く日のFAX句会 オクンチ 第107回 2001年9月19日 水曜日

〔今回の一句〕
龍舌蘭肉食一家の靴並ぶ   等
◎規夫◎亞子◎吾郎◎勝之
■近所の一人暮らしのおばあちゃんが、実に肉食。朝はマクドナルド2ケ。夜はしょっちゅう肉を焼く匂いが道に漂ってくるという。それにしても「肉食一家」はおもしろい表現(規夫)■チャップリンが靴底を食べようとする映画を思い出した(亞子)■龍舌蘭の暑苦しさと肉食一家の暑苦しさと靴並ぶの暑苦しさが渾然一体のオブジェと化してる残暑(吾郎)■肉食一家≠ェいいっすねぇ、なんか恐くて(勝之)

〔以下順不同〕
子規忌かな部屋のどこかで虫が鳴く   十四郎
◎規夫
■こういう晩て、ありますね(規夫)

子規庵に卓袱台のある夕月夜   亞子
◎規夫◎烏鷺坊
■そりゃあるだろうが、「夕月夜」とくると気持ちのよい俳句になっちゃうところが不思議。もちろんいろんなご意見がございましょうが(規夫)

韮の花死ぬ気でやれと言われたか   唖々砂
◎吾郎
■これ、時事ネタで、ビルに突っ込んだにわかパイロットに向けてなら笑える(規夫)■いーや、死んで花実が咲くって言われたのさっ (亞子)

子規の忌のエビセン鼻で喰う特技   規夫
◎亞子◎烏鷺坊◎勝之
■選びたくなかった…やっぱ選びたくはなかった(亞子)■いえ、そんな特技はワタクシありませんけど、初めて規ちゃんにホメられた句なんで、アイサツ句として頬赤らめつついただきます、ハイ(勝之)

コオロギの頭黒々と秋の空   勝之

短夜から夜長へ一息に   三太
◎十四郎
■「夜」の位置が絶妙。時足らず故ではなく、ふたつの「夜」(音としての「ヨ」)によって、五七五感を粉砕していて痛快。それこそ一気に、一行として読むべし(十四郎)▼すいません、一気ではなく一息でした。当番二号の思い込み誤植です(当番二号)■何ヶ月も意識を失っていた?(規夫)

子規忌待つ留守に何する妻聞きし   吾郎
◎唖々砂◎三太      
■★★★★。企画合致性のご祝儀相場(規夫)■ゴイス(唖々砂)

ビルも怪獣も爆破後テロリスト爆睡   唖々砂
◎三太

獺祭忌長く生きてしまいました   吾郎
◎亞子       
■もっと長く生きるかもしれないので、周囲に謝るのはまだ早い(規夫)■子規に比べればまったく、我々はみな…(亞子)

十四五本蚊遣線香残りたり   十四郎
◎等

紫苑をはるかガラス突き抜く大鴉   等

六の字に痩せてぴくぴく窓の虫   烏鷺坊
◎等

初嵐種無し葡萄の種の痕跡   三太
◎勝之
■う〜ん、わかる。種無し≠ニいわれてても、口に含んだ後、歯で種を探ってるんだな、これが(勝之)■ちょっと面白い。形が整うと、いいのに(規夫)■ウマイ!「痕跡」を「アト」としか読ませない句作力に感服(十四郎)

台風なんて僕の鼻で一発だ   唖々砂
■5歳の天才詩人現る!ってな朝日新聞穴埋め記事っぽい(規夫)

昔なら片手果てた唐梨噛む   吾郎
■★★☆。もうひとつがすんばらしいだけに(規夫)

ビル倒壊シュワルツェネッガーがいない  十四郎
◎唖々砂

愛されずとも火星には月二つ   烏鷺坊
◎三太

利根川へカリンぶらさがるは暗鬼   等
◎十四郎
■句創作の意欲に圧倒される(十四郎)■なんだかむ〜ずかしいな〜、これ。でもカタカナでカリンだと、ヤクザが懐から出したサイフがキティちゃんみたいで、ちょい演出ミス(規夫)

写生会に写生はあらず熟柿落つ   亞子
◎烏鷺坊

秋めいて釘付けにされた浚渫船   三太

祖父の辞書ふと匂いた立つ秋の雨   烏鷺坊

芋茄子南瓜ぼた餅食って俳句吐く   亞子
◎等

秋風や厚さの同じ辞書二冊   規夫
■ウマスギ!(正直ほめてます)(十四郎)

ん・でもなと手を出して500円   勝之
◎十四郎◎唖々砂◎吾郎
■何してるんだろう? ニューヨーク市場の株価がこんな状態のときに(規夫)■、(点)ではなく・(中黒)ということは、"ん"一文字とそれ以外とが並列だということ。この力技が泣かせるぜ(十四郎)■深夜(早朝)、どう読んで(書いて)いいやらわからずに、作者に確認FAXを送らざるをえなかった怪作(吾郎)

〔近況・総評など〕
▼今回の一句は、送信業務を受け継いだ国立当番が選ばせていただきました。

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九の付く日のFAX句会 オクンチ 第108回 2001年10月9日 火曜日

〔今回の一句〕
くだものの浮かぶ宇宙よ障子貼る   烏鷺坊
◎等◎規夫
■面白いと思う(等)■これ、かなりおもしろいですね。くだものの質感を浮かべる宇宙というスットンキョウな空間が、貼った障子の向こうに、はっきりとは「見えない」のがポイント。「よ」も効いていると思います。一瞬しかスパークしない虚構も、俳句のおもしろさだと思う――ダラダラ続く虚構は、「どうでもいい私的な物語」、これには辟易ですが(規夫)■どんな障子をはったことやら(吾郎)

〔以下順不同〕
沼白くする秋霖という鳥たち   等
■「という」というのはもどかしいというかなんというか(吾郎)■なんか近頃気分は秋みたいでこういうロマンチシズムにもめっきり弱い(勝之)

大差まんまか阿呆赤まんま咲いた   吾郎
◎等
■★★★(規夫)■当初「阿呆」はなかったんですけどね(吾郎)

ほかならぬあれが脱ぐかや秋灯   烏鷺坊
◎吾郎
■誰やねん!っていろいろ想像しちまいましたがな。やっぱりあれかな、あれもみとうないしなってとこで、おもろいから一票(吾郎)■回文かと思ったが違う、「あれが脱ぐかや」の「あれ」って何?(等)

眠られぬ夜と午睡の秋の日々   三太
■寝てるやんあんた(吾郎)■つまり高脂血症なのよ、この俳句(等)■「九秋や夜ねむられず昼ねむる」ということですね。夜昼逆転も楽しい。そういう暮らしもなつかしかったりする。歳トルとそうはいかなったりするもんで(規夫)

じゃれ合うように生きて蟷螂の秋   勝之
■で、気がついたら食われてると(吾郎)

濁流の急く十月の総武線   規夫
◎烏鷺坊
■よくわからんが、よく止まるんでしたっけ(吾郎)■九月でもよさそう(等)

芒である前に炎であった白い沼   等
◎勝之
■一句目との対句でしょうか。ちょっと材料が多すぎ。カラフルというより、色の特定ができない不安感がつのります(吾郎)■なんか象徴詩みたいですね。欲しい成分は「愛嬌」かな(規夫)

神の死干涸びてビラか菱の実か   吾郎
◎三太
■よっ、井口家!オミゴト!(勝之)■★★(規夫)■「〜の実」の返しがパターン化してる。なんとかせねば(吾郎)

唐辛子たつぷりの牛丼テロルの夜   三太
■キムチを入れて革命を!タマゴを入れて停戦を!(吾郎)■こういうのを「逆付き」というらしい(等)■「空爆やうどんに太い葱が浮く」だっかなぁ、故下村まさるさんの句(規夫)■牛丼には唐辛子よりも紅ショウガ。僕の友人は容器内の3分の1を牛丼に盛り付けるというテロ行為に及び店員に文句言われて大ゲンカになった(勝之)▼世にも情けない大ゲンカですね(当番)

秋雨に打たれ犬の背と行く   勝之
◎吾郎
■情景がリアル。物語りが豊富。そのわりに湿度が低い。見事(吾郎)■「打たれ」「行く」で、感傷日記になってしまう。どっちも、あるいはどっちか一方はぶけばいいのに(規夫)

雨の月皮下の頭骨抱きけり   規夫
◎烏鷺坊◎等◎三太◎勝之
■モチーフは好きだけど「皮下」がウルサイと思う(等)■誰の頭蓋なんだろ。増毛頭皮マッサージか、はたまた彼女の頭を抱え込んでの愛撫か?(吾郎)■下五の字足らずはなんか意味があんのか。誤植か? 「抱きにけり」では(勝之)▼ふつうの人は「いだきけり」と読むが、やはりタダモノではない(当番)

秋霖や銀板の白樺派は奥目   等
◎規夫
■ワハハハハ、わかるその感じ!明治は遠き奥目の中にあり≠竄ヒ(勝之)■こういう落とし方は飽きた(吾郎)■「銀板」ってなんだろう、鉄板じゃなく? と教養のない私。でも、岡八郎を思い出せたことで、すごくいい気分になった(規夫)

芒の穂目指す放物線きらり   吾郎
◎三太
■一番無視されやすい句。で、まったくそのとうり(吾郎)■「きらり」が15秒コマーシャルのよう。こういう茶の間受けする言葉は、ほんと難しいですね(規夫)

やや寒の舌のさきっちょ舌に消ゆ   烏鷺坊
◎吾郎◎勝之
■繰り返しが成功してるような、してないような。誰か大絶賛してください(吾郎)■なんかウマすぎ、やけにウマすぎ(勝之)

銅版画の向うからやつて来る冬   三太
◎規夫
■やってくるのが「冬」ではいわゆる伝統イメージに依拠、とみる向きもありましょうが(規夫)■冷たさのようなモノは感じます。銅をうまく使ったな、と。でもダイナミズムに欠けるんだよなぁ(吾郎)

ビルたかくあかるくうすく神無月   規夫
◎烏鷺坊
■きれいな情景だったんでしょね、実際。で、あなたは?(吾郎)

〔以上十七句〕

〔近況・総評など〕
▼回文俳句もそろそろ転機か?などと思う今日この頃。でも、まだまだ会心の一撃を放ってないし、底なし沼みたいな世界ももうちっと覗いて見たいので、もうちょいおつきあいいただければ幸せです(吾郎)
▼最近のオクンチ、動脈硬化しています。かつて
 塩じぞうにおいけるかな牡丹園
 睡蓮の気化熱母は善福寺へ
 のような句があったオクンチを懐かしく思います(等)
〔近況・総評など〕
▼次回は十一月九日(金曜日)。1カ月後にまたお会いしましょう!

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九の付く日のFAX句会 オクンチ 第109回 2001年11月9日

〔今回の一句〕
牡蠣フライ前傾姿勢の婆   吾郎
◎烏鷺坊◎等
■「牡蠣フライ前傾姿勢の婆並ぶ」とか定型にしないところが味噌。うーむ、うらやましい才能です(烏鷺坊)

〔以下順不同〕
囀りに合いの手入れて今朝の秋   勝之
◎リー
■朝から忙しいなあ、もう(規夫)

この人も椎茸ここだけの話   烏鷺坊
■この手はリズムが崩れたらダメ(規夫)

秋夕焼逆上がりの父を圧す   等
■「圧す」が惜しいと思います。秋夕焼(が)となってしまうので、「逆上がりの父」と「夕焼け」がぶつかる仕掛けが1つあれば、面白い句になったのでは?(規夫)■「圧す」以外になかったか?と。にしても逆上がりと逆上って近似値なんですね(吾郎

十一月ゴムの木が突っ立っている   規夫

俺全部黄落ゐないゐないばあ   烏鷺坊
■「黄落にまぎれこみたるレレレのレ」という吾郎さんの名句があるし(規夫)

つ、つ、月が攻めてくる夜のコビトカバ   リー
◎規夫
■「満月が」としても575にはなるのだが、吃音がやりたかったんでしょう。ま、今回はハマっておきます。で、今回は同一作者に3つともハマることにします(規夫)■これがまたビミョ〜なことになっとりまして、いや、面白い。詳しくは▼参照(大盛り当番)■にしても宗匠はいったいどんな句作法をおせーたのやら(吾郎)

素巻き越し鼬の痴態しごきます   吾郎
◎勝之◎等
■いやあ回文俳句恐るべし、すごい風景が現出するわけね(勝之)■★★☆(規夫)■出来てから自問自答してしまった。「やっぱ、Sだったのね」(吾郎)


舌のるよ牡蠣酢も好きか夜の足し   吾郎
◎等
■★★(規夫)■ダメダメの典型。そうそう、新しくできた大田区の図書館に回文ばかり載ったブ厚い本が入っていた。が、なんと貸し出し禁止。やはり回文は座敷牢送りか(吾郎)

あなたにも秋思を教えます処   烏鷺坊
◎規夫◎吾郎
■声に出して読むと、575がマヌケで面白い(規夫)

ヒステリックな神と団栗廻して頭巾少女の脇腹   等
◎烏鷺坊◎吾郎
■どなたか判然しませんが、力出してきたな、の印象。こうこなくっちゃ(烏鷺坊)■ひゃあ長いなあ、全3巻くらい長い。神話か冒険譚。面白いよ、コレ(規夫)■いやぁブッとんでるなあワケわからしまへん。これが回文だったらスゴイかもしんない(勝之)■こんな回文できたらすごいね。いっぺんやってみっかねぇ(吾郎)

欲望といふ姓ですが名は軟膏   リー
◎勝之
■ワハハハッ、これからは軟膏さんと呼ばせてもらいます(勝之)■オッサン、オッサン。また、この手のだまくらかしを。他のをとる(規夫)■シャム・ソーセージなんですわ、これが▼参照(大盛り当番)■ここまでやらいでも(吾郎)

木枯らし一号うわあごの飴の味   規夫
◎リー

脳に似たキャベツ一枚づつ剥き秋終わる   勝之
◎烏鷺坊
■「脳に似たキャベツ」は、ちと手垢付きすぎの形容。しかし「一枚づつ剥き」の馬鹿正直な字余りが救いとなり、そして、なんとなんと「秋終わる」のまったく大雑把な季語で「やらずぶったくり」の一句に仕上がった。見事(烏鷺坊)■「似た」「一枚づつ」「終わる」で減速・間延び。むしろキャベツに似た脳から展開(規夫)

いまのそれ誤爆ですがな暮の秋   リー
◎勝之◎規夫◎吾郎
■"ですがな"によって、今の爆弾による誤爆ではなく、70年代論争じゃかましいころの言葉による誤爆=カンチガイによる一方的なイチャモン、インネン付けを思い出してなんかホッとした(勝之)■「暮れの秋」はない、と思う。前の句から「キャベツ一枚」を借りてくるか(規夫)■米朝さんに言ってもらいたい台詞(吾郎)

光陰を猫が舐めたる江戸の屋根   等
◎リー
■なんかオドロオドロした浮世絵の題とかになりそうでんな(勝之)
〔以上一六句〕

〔近況・総評など〕
▼西念寺寄宿のコリアナアメリカン(マイケル・リー)が是非オクンチに参加したいということで3句お願いします(烏鷺坊)
▼大型スーパーで、「松坂肉切り落としワンパック580円」を買ったら、店員に思いっきり拍手された。いいことをしたみたいだ(吾郎)
〔近況・総評など〕
▼月一回のオクンチ、なかなか忘れられがちなペースであります。はてさてどうしたものかという秋思(大盛り当番)
▼「今回の一句」は規夫当番が選ばせていただきました。あれと、リリースが大幅に遅れてしまい、たいへん申し訳ありません。
▼次回十二月九日の当番は規夫。よろしくお願いいたします。

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九の付く日のFAX句会 オクンチ 第110回 2002年1月9日 水曜日

〔今回の一句〕
屠蘇の香はすれどアドレス墓の外  吾郎
◎亞子◎三太
■「墓の外のアドレス」がよろしいなー(亞子)■★★★★。墓と屠蘇がベリーナイスな呼応。回文親方健在(規夫)

〔以下順不同〕
相聞の凍て数粒のひととなる  烏鷺坊
■イメージ湧くような湧かないような(吾郎)

さくら喰う年増女に年男  吾郎
◎等◎厚子
■さびれてる感じだけど、なんかいいかな(厚子)

晴着より二の腕伸びて春揺する  亞子
◎厚子◎三太
■やくどう感がいい感じ(厚子)■しおりちゃんはこれがいいと言っておりました(吾郎)

引潮にあり指物師の金歯  等
◎亞子
■キッチュシュールなお味かな(亞子)■この界隈、指物師好きだね、あと金歯も(吾郎)■金歯はインパクトある素材だなあ、俳句においては(規夫)

年一度家族集ひて屠蘇を酌む  三太
■だからどうしたのさ(吾郎)

七草過ぎて誓いの日記まとめ書き  厚子
◎三太
■「誓いの日記」って表紙に書いてあるんだ、スッゲ〜!恥ずかし(吾郎)

死ぬときは一緒など嘘初明かり  烏鷺坊
◎規夫◎厚子
■おやじ臭さムンムンなのに、えらんでしまった(厚子)■最初から嘘に決まっているのだろうが、わざわざ句にすると、ちょっと面白い。正月と死は俳句の中ではよく合う(規夫)■どうぞそのまま(吾郎)

にらめっこえべっさんが笑いよった  吾郎
◎等◎亞子
■おめでとう、オメデタイ(亞子)

小春日を線香もってうろうろす  等
■もうひとひねり(吾郎)

グツグツと河豚鍋うたげ宴愚図愚図と  三太
■そこそこ美味しいけど(吾郎)

七草を言える男や問診表  亞子
◎吾郎◎規夫◎烏鷺坊
■ビミョーな男だなあ。中国の歴代国家なら言えるぜ。夏、殷、周、秦、前漢、新、後漢……。哀しい受験生(規夫)■「問診表」が利いているよでないよで(吾郎)

あと五分ヌクヌクズルズル又寝坊  厚子
■わかるだけにそこまで(吾郎)■どうせなら「あと五十年」とすればいいのに。五百年はやりすぎと思うが(規夫)

亡者らも目の子で数へ鍋奉行  烏鷺坊
■「目の子」がわからん(吾郎)▼こういうときに辞書がある。「ひとつひとつ目で確かめながらする数の数え方」広辞苑。目の子勘定という言葉もあるらしい(当番規夫)

声高き両替商手袋綻びて  亞子
■わからん(吾郎)■両替商というのは銀行員のこと? 彼ら声高ではないしなあ。海外旅行俳句か?(規夫)

非常ベル鳴らないように海鼠噛む  等
◎規夫◎吾郎◎烏鷺坊
■時計仕掛けの海鼠?はたまた腹腹時計。歯茎の感触が好き(吾郎)■うかつに噛むと鳴ってしまうような気分になってきたから不思議だ(規夫)

年降るごとに賀状の束の薄くなり  三太
■知り合いに同境遇がいました。「ことしは年明け早々風邪を引き、吐くは下るはで最低です。年賀状の数も毎年減り、お年玉ももうもらえず、年末ジャンボにも見捨てられ・・・。いい年になりますように」ですと(吾郎)■なげき、のみ(厚子)

屋根がみな斜めに眠る去年今年  規夫
◎吾郎◎等◎烏鷺坊
■うまいな・・と。伊藤園かな・・と。ズズッと。(吾郎)
〔以上十八句〕

〔近況・総評など〕
▼今年はオクンチがなくならないよう、ちゃんと投句する→新年の誓い(厚子)
▼久しぶりに参加させていただいて、回文句が有季定型になっているので流石と思いました(三太)
〔当番より〕
▼「オクンチ2002」はいちおう新ブランドで再出発。ちょっとだけだけど体裁変えたぜ。週1回ペースの復活を!という声もあり、月一回はヤメ(頻度が減ると、かえって忘れてしまうとの声も多く)。だから、来週も、あります。当番は井口家。で、実験的にですが、題詠、やります。題詠1句と自由題3句以内。来週のお題は「金歯」。規夫当番は、掲句のなかから題を選ぶつもりですが(次回のお題に採用された句は、「えっへん」してよい)、吾郎当番は吾郎当番で、なんか題をお出しになるでしょう。
▼それでは、次回、1月20日朝7時が〆切。よろしくご参加のほどを。風邪などお引きになりませぬようお体にお気をつけくださいませ。

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九の付く日のFAX句会 オクンチ 第111回 2002年1月19日

〔今回は等さんの3句選〕
朝はだいたいペンギンのようである   勝之  
◎烏鷺坊◎吾郎◎等
■自由律というよりは、口語調無律句か?雰囲気はわかる(等) ■そう断定されると、そんなもんかなぁと思ってしまうほど自我が欠如してる今日この頃(吾郎)

寒ブリが身をよじらせる金歯かな   吾郎
◎烏鷺坊◎勝之◎等
■いろいろ景を想像できるけど、ちょっと不満かな。「身をよじらせる」が説明調。
このことが、書かれなくて表現出来ていれば、ボクの好み(等)■おもしろい。山田
クン座布団二枚やっとくれ!(勝之)■実話にしてぇ〜寒ブリ喰いてぇ〜(吾郎)

ねんねこねんねこねんねこねんね   吾郎
◎等
■コンロンブスの卵のよう。出来そうだが、だれもやらなかった。けど、やっているかもしれない(等)■すみません。次回は必ず。御免なさい(吾郎)

〔以下順不同〕

ドンと鳴ってから雪降りはじむ   勝之
◎淳
■シンプル・イズ・ベスト。「ドン」はリアルな音なんですかね、この場合(吾郎)

木枯の尾が長すぎる複式呼吸   等
■う〜〜んテクニシャン(吾郎)

雪しまくあの世に尻のあるごとく   烏鷺坊
◎勝之◎吾郎
■うまいんです、でもテクニックが鼻につくかとも思ったりなんかして(勝之)■「尻」はこういった判じモノ系によく出てきます、その場合だいたい男の逞しいそれをイメージさせるんですが、なんでかね(吾郎)

大寒やわたし熱海に癒される   吾郎
◎烏鷺坊
■実話になるはずの知り合いの話です(吾郎)

寒林の墓揺れているぼけふうじ   等
◎吾郎
■やや付き過ぎのような気もするのですが、地下で何か起こってるようで、それで「封じ」が利いてるみたいで好きかな(吾郎)

初空へ手紙「わをん」のボタン押す   烏鷺坊
■「 」を使う宣言は聞いておりましたが、こうきましたか。むむむ「わをん」か。携帯の達人か。にしてもメル友が少ないようだ(吾郎)

鼻かわくカブト虫の匂いする女といる   勝之
■やっぱり、リズムが欲しい、別に五、七、五、きっちりというわけではないが(等)■「の」はなかったはずなんですけど・・・ブツブツ(勝之)■「匂いのする」は「匂いする」の間違いでした。勝之さま御免なさい(当番)

初詣ぐるりんめぐりんばすくりん   烏鷺坊  
■意味不明の方のために。「めぐりん」というのは浅草界隈を時計と反対まわりに裏道をとろとろ走るちっちゃなバスの愛称です。1時間ばかり楽しめます。ちなみに烏鷺坊さんちは18番停留所根岸三丁目の近所です(吾郎)

胃カメラがするりと入る年女   吾郎  
◎淳◎勝之
■なんかいい感じです。お友達になりたいようなそうでもないような(勝之)■知り合いの自慢です。実話です。よかったらご紹介しますが(吾郎)

『金歯』

モッキンバードに金歯つつかれ建国日   等
■痛い、でも遺体なら痛くない(吾郎)

金歯ちゅう昔財産ありにけり   勝之  
■金馬ちゅう昔落語家ありにけりってまだ存命中(吾郎)

お通夜の日ばあちゃんの金歯寂しき   淳  
■燃やしても残るのよね(吾郎)

大寒やキスをするたび総金歯   烏鷺坊  
■うちではウケました。よっぽどいただこうかと思ったのですが・・壮観でっせこれ(吾郎)

〔以上十六句〕


〔当番より〕
▼今回初参加「淳(じゅん)」さんは大森当番吾郎の友人。俳句はたぶん初めて?かな。選句は「ふたつ」ということでした(大森当番)
▼今回からのトライアル=題詠、次回もやってみようかな・・ってことで、お題は「熱海」。なはは。ひとつよろしくご参加ください。題詠1句と自由題3句以内。次回は規夫当番です。締めきりは1月30日朝7時。

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九の付く日のFAX句会 オクンチ 第112回 2002年1月19日

〔今回の1句〕
寒満月関東平野にどてら降る   等
◎規夫◎勝之
■悦楽の光景。かなり来る、来る(規夫)■おもしろかった。異様。笑える。そういやカエルが降ってきて大団円の映画もあったな(吾郎)■「寒満月」がちょっと不満だけど、どてら降り積む関東平野の景に一選(勝之)

〔以下順不同〕
水仙はとほほふほほと反省す   吾郎
◎等◎勝之
■上手い!(等)■手抜きっていうなぁ〜(吾郎)■メチャウマ! 回文大魔王は2002年また一段とレベルアップしたようです(勝之)■★★★★。「ふほほ」が最高! いかにも水仙じゃないですか。水仙はどう咲いても「老い」の感じ(規夫)

鱈ちりやおとうもおかあも身を投げる   烏鷺坊
■おもしろいんだけど、今いちつかめない・・・かな。でもけっこう凄そう(吾郎)■「おとんもおかんも」もだったらいただいてたな(勝之)

撃たれては又立ちあがる冬の朝   勝之
◎吾郎◎唖々砂
■たぶん主体が見えない・・って言われるタイプなんだろうね。スキはあるけど、そこも好きよ(吾郎)

三方の灼けて二月のパズル本   規夫
◎吾郎◎烏鷺坊
■うまいんじゃないんですか・・・ってそんな投げやりな。パズル本が利いてるかと(吾郎)■日に灼けた古いパズル本が出てきたわけですか。開いてみると10数年前の書き込みがあったりするわけですね。なかなかいい味(勝之)

荒星や鼻の奥には穴がある   吾郎
◎規夫
■取材に行った研究室でしゃれこうべの実物をはじめて手にした。鼻の奥にはたしかに眼窩とつながる小さな孔が2つある。ああ、ここを牛乳が通って目から流れ、白いギターを持って帰ったのだな、と感慨(規夫)■同工異句多し(吾郎)■コジラみたく両穴からブワーッと白い息がでる冬の夜なんです(勝之)

エントツが傾く河口梅を待つ   等
■風景はわかった(吾郎)

炬燵らの脚のみ残り転がれり   烏鷺坊
◎規夫◎勝之
■脚だけで炬燵とわかりますね、そういえば。ころころと、でもこれって春の景?(規夫)■転居日前日、人ごととは思えまへんわ(勝之)■「ら」ってことは、ほかにも何かあるんだ。ちょっと思わせぶりだけどライムはいいよね(吾郎)

また犬が歌いだすドナドナの流る夕   勝之
■国分寺エリアの風物詩(吾郎)

懐手すくめた首が戻らない   吾郎
■借金か(吾郎)

熱燗や父のサンダル女物   烏鷺坊
◎等◎唖々砂
■この作者も選者もおじさんである(等)■場末のちっちゃい居酒屋で、片足縫いだ親父のサンダル・・。日活やね(吾郎)■元ヤンキーのオヤジか?(勝之)

〔熱海〕

熱燗をことんと置いて熱海かな   吾郎
■オマージュかパクりか/古都の春(吾郎)

先生と呼ばれし男粥熱海   唖々砂
■このモチーフなら熱海じゃなくても(吾郎)

アシッドをキメて熱海の赤い街   勝之
◎唖々砂
■おいおい国分寺(吾郎)

大寒の熱海熱海とうりふたつ   規夫
◎吾郎
■リズムで一票いれちゃおうかなっと(吾郎)

キツネネココママリ熱海芸者の懐手   唖々砂
■リカカツノノリオ?(吾郎)

熱海に行きたしキャラメルが口に溶け   等
◎烏鷺坊
■行けば(吾郎)

熱海に雪老人ふいに万歳という   唖々砂
◎等◎烏鷺坊
■226の生き残り(吾郎)■「ふいに」、「という」を無くせばいいのに(等)■う〜ん、これもとりたい(勝之)

〔以上十八句〕

〔当番より〕
▼次回は吾郎当番。

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九の付く日のFAX句会 オクンチ 第114回 2002年2月9日

〔今回の1句〕
おおいぬのふぐりにごろり波の音   裕
◎厚子◎烏鷺坊◎國人◎等
■もう咲いているのか!?(厚子)■気持ちよさそう(烏鷺坊)■気持ちよさそう(規夫)▼かぶっとる(当番)■日向感覚(吾郎)

〔以下順不同〕
春宵やふところぐあひ目で伝ふ   烏鷺坊
■そんなこと、目で伝えられてもなあ(規夫)■わたしゃ全身で伝へます(勝之)■けっこう懸命(吾郎)

跳び箱失敗の少年梅まつり   等
◎裕
■未練がましい説明排除がよろし(裕)■跳び箱少年・・ってかなり好きかも、寺山っぽくて(吾郎)■言葉は通じるのに意味が伝わらない(厚子)

それぞれに崩るるじぶ煮義父の喜寿    規夫
■金沢地域で一票(吾郎)■じぶ煮がキィてるようなそうでもないような(勝之)

春近し唐辛子から麻の種子   勝之
■今回アシッドシンパシア?不参加のため一票減(吾郎)■えー!!いいのか植えて(厚子)

風の音昨日と違う方角だ   厚子
■いやあ、あんまり素直すぎて伊藤園小学生の部≠チて感じでこまっちまうぜ(勝之)■川崎駅前自転車薙倒突風は壮観(吾郎)■言いきり方が気持ちよい。いただきたかった句(規夫)

涅槃会の雨煙るナポスパのある街に   烏鷺坊
■ナポスパってスパゲッティ・ナポリタンのことけ?(勝之)■ナポスパってスパゲティナポリタンのことなんですね。「街に」が惜しいなあ、とやはり思ってしまう(規夫)■スパナポかよ!(烏鷺坊)■ナポレオン・ソロはアンクルのスパイの略(吾郎)

恐慌あるらしペンギンぞくぞく孵るらし   裕
◎厚子◎勝之◎烏鷺坊
■すごい!そ〜なんだ(厚子)■「らし」がひつこくなければ、ころっとだまされて
いた(規夫)■氷上生活者の恐怖(吾郎)■妙に説得力あるらし(勝之)

ラ・クンンパルシータ毎日が鍋また鍋   規夫
■「ン」がかぶってシンコペーション(規夫)■すすいませ〜ん、クンンパルシータではないっっす(大森店長見習い)▼「ンン」ゲライキで(当番)■ダンゴ鍋(勝之)

白梅や家訓は股引大切に   等
◎規夫
■家訓というのが死に絶えようとしているような昨今、美しい句(規夫)■さりげない一瞬、「東京日和」のワンシーン(吾郎)■こんな家訓はイヤだ(烏鷺坊)■よい家訓だと重います(勝之)

チラチラと何かの気配梅の花   厚子
■「何か」といっちゃあおしまいよ(吾郎)■う〜ん、じれったぁい(勝之)

堅き飴美味し湯島梅飽きたか   吾郎
◎等
■★★★(規夫)■裏型「夜が嫁巧し湯島梅よがる夜」(吾郎)

風船の昇天ちくろ幼稚園   裕
■俳句以外の形式のほうがうまくいくネタ。マンガとかでもうあるんだろうね、こう
いうの(規夫)■いってらっしゃい(吾郎)

猫まんまざばりと春川ますみ論   烏鷺坊
◎規夫◎等
■なんだかわからん、人を押し倒す力。まいったという素直な心が大事と、一票(規夫)■大山デブ子に一票(吾郎)■「春川ますみ論」てのはやってみたい。あの人M男に人気あるんだよね(勝之)

湯沸かしのコトコト刻む日向ぼこ   吾郎
◎厚子
■作り過ぎた(吾郎)

スウェーデン体操がりがりの白梅紅梅   等
■ガキガキしていてよろし(裕)■ネタは良好。握り方が雑、かな?(規夫)■もうひとひねりはん(吾郎)■がりがりでキマリでしょう(勝之)

溶けてなおバレンタインのチョコレート   吾郎
◎國人
■この句、意外と美味(規夫)■意味深(吾郎)

『平野』

冬枯れの関東平野に失神す   厚子
◎吾郎
■「が」じゃなくて「に」? ほんと?(規夫)■大きいようで小さい、しかし大きい(吾郎)

方向音痴の目刺し暴れる平野   等
◎裕
■この無理無体が俳句的(裕)■大きいようで小さい、やはり小さい(吾郎)

茹で蟹の播州平野を南下せり   規夫
◎烏鷺坊
■大河ドラマ(吾郎)

関東平野シクラメンからまず翳る   裕
◎國人
■うまい人の句ですよね(規夫)■たしかに(吾郎)

米とぐ音平野から冴返る   勝
■しおりちゃんも「これ好き」ですと(吾郎)

赤インク垂らしてまいる雪平野   國人
■ひらがなだからいかようにもとれておもしろいぞと(吾郎)

関東平野大の字の凍死体   吾郎
■凍えたはずなのに、というオチ? 笑えますよ。でも、関東平野でいいのかなあ(規夫)■石狩平野だったのね最初(吾郎)
「国民の歴史」平野の中の点   國人
■まんま(吾郎)

最初はグー開けば春の平野かな   烏鷺坊
◎規夫◎吾郎◎勝之
■こういうのはニンマリホンワカしてしまって、ともかく気持ちがいいです(規夫)■いいすね〜、こういう気分に早くなりたい。寒いの嫌い(吾郎)

平野ゆけば大学正門前の冬   國人
■題詠一句ですってば(大森屋亭主)■ぼくもこの平野君を知っている(烏鷺坊)
〔以上二十七句〕

〔近況・総評〕
▼昨日、仕事で重大な見落としを見付け、朝4時まで焦ってました。崖地に建つ教会。三浦ジュンに「崖っぷち大賞」なんてあったけど、崖関係の法規がややこしく、なかなか建物の意匠の向かえない。ああ、こまった。(等)
〔近況・総評〕
▼次回、題詠「グー」で如何かと(大森駐在構成員)
▼それで行きましょう。当番は追って連絡いたします(国立店・店長)

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九の付く日のFAX句会 オクンチ 最終回 2002年3月19日

〔今回の二十四句〕
桜月おできにあたる七分袖   唖々砂
◎規夫◎吾郎◎烏鷺坊
■妙なところにできたおでき。「あたる」ことからしか分からないことがある(規夫)■なんか歩くと痛い時、知らぬところからのSOS、ふと気付く存在、そんな両者の出会い、いいっすね〜(吾郎)■七分袖に実感なし、そんなの今どき着ないっしょ(勝之)

冬逝くやオクンチの暖簾仕舞ひけり   三太
■今度やるときは、暖簾も新調で!(規夫)■分店、暖簾分け、チェーン店、新規開店など、ご用の節は国立本店へ(大盛り営業所/吾郎)

金融の大股開き梅没す   等
■面白い、ような気がする。いつもながら太い!(規夫)■あれって、開く方は本当に気持ちいいらしい。いや、いろんな意味で(吾郎)

緑陰にしゃがんでみたり鬼一匹   勝之
■一匹じゃ寂しいですね。威勢良く百匹くらい、どうですか、タダだし(規夫)■居座ることを望みます。どうかそのままで(吾郎)

春愁初舞台消える哀しさ   三太
■オクンチが初舞台とは、ご愁傷様というか、稀少というか、とぼけたというか、人には言えないだろうなあというか、でも当番としてはすこし嬉しいというか(規夫)■キャバーンがなくなるのと同じか。ま、でも集合ってそういうことです(吾郎)

おすぎからピーコへ花粉注意報   規夫
◎三太◎等
■ワハハ、おもろ(勝之)■前も「おすぎ」、「ピーコ」はあったけど……。「おすぎ」は「杉花粉」だったのか(等)■笑ってポん。テレビ的な絵がいいですね。横並びのコメンテーター。この二人が面と向き合って話す姿が想像できない(吾郎)■芸人シリーズの番外編。旧作でゴメン。でも、自分の代表句となるやも知れぬ自信作(規夫)

桜咲く儚き仲は苦さ楽さ   吾郎
◎亞子◎等
■オクンチ最大の成果である「回文俳句」。最後までレベルの落ちなかった、その熱意と努力に敬意をこめて2句選ばせていただく。「苦さ楽さ」が見事にはまった!(亞子)■この回文は意味が通りすぎてちょっと当たり前かな?でも「儚き」を回文に入れたのはスゴイな(等)■沖縄言葉のようなリズム。★★★(規夫)■むか〜〜〜し、「儚い」が読めなくて大恥かいたことがあった。以降、トラウマのように好きな文字(吾郎)

咲いたから花の気持ちでうがいする   唖々砂
◎規夫◎烏鷺坊
■面白いですね。上5、いかにも投げやり(規夫)■中下はすご〜〜く好きなんです。「から」がなんともどうにも、もったいないと思えるのは私だけ?(吾郎)

花つけぬ桜もありて暗闇坂   亞子
◎勝之
■あっさりと薄味で気取りもあって、いんでないの(勝之)■そう、心配になりますよね。周囲の桜の視線がきついのではないだろうかと。花も実もない人生でも、本人はじゅうぶんに楽しんでるのですが……コメントで境涯やってドースル(規夫)■「同期の桜」へのオマージュか(吾郎)

さようならまた逢う日まで春彼岸   三太
■We will meet again と「博士の異常な愛情」のラストの唄。「また逢おう」といって、それっきりの人のいかに多いことか。愚痴じゃないですよ。それでいいんです。そうでないと、毎日忙しくてたまらんだろう(規夫)■過剰な情緒尾崎紀世彦のもみあげ(吾郎)▼ばだ逢う日ばで〜ってやつネ。ヒットしたなあ。好きだったけど(国立当番)
春の蝶最後の晩餐やめましょう   等
■仰せのとおりに(規夫)■やっぱりひっそり人知れず終わったほうがよかったかな(吾郎)▼国立当番は、自然消滅も狙ったのですが…。連絡がないを別れと桜咲く(国立当番)

冬日向男を知らぬ猫といる   勝之
◎唖々砂
■面白い句ですね。女ばかりの暮らしなのか、と思わないほうが面白い(規夫)■美しきかな一生処女で添い寝する(吾郎)

恋猫の尻銀色にうねる   唖々砂
◎規夫◎亞子◎勝之
■字足らずがなんだか気持ちいい。「うねりけり」としないところに心意気が込められているんだろう。これは大切にしないと(規夫)■「銀色にうねる」がなまめかしくて好きよ(勝之)■銀色とはなかなか言えないもの(亞子)■色っぽいぜ。やっぱ尻かな。うんうん尻だ(吾郎)

目借時ときに兄貴と気取り亀   吾郎
◎亞子◎三太◎等
■蛙と亀はにぎやかだが、回文は意外性が勝負、だから読んでておもしろい(等)■おみごと(勝之)■一度、気取った亀を見たいものです。★★★☆(規夫)■「気取った亀」 ではなく、「兄」を「気取る」亀と読んでも作者が「兄貴」を気取っていたら、亀が見ていたでもオモシロイと思う(亞子)■「兄貴」シリーズ(そんなもんあるんかい?)第3弾。どうして兄はみんなこうなるんだろ(吾郎)▼パチンコ機に「兄貴」というのがあって、マッチョな兄貴たちが「さぶ」的風合いでテンヤワンヤの液晶画面。踏み込んだ内容だったが、長期運用には耐えず(国立当番)

桃の花はやこの世ではない気配   勝之
■「三千世界に桃の花」と出口なお(大本教)は叫んだ(規夫)■この時期、あっちとこっちの世界を行ったり来たりする人が多くて。桃源郷ってとこもありますし(吾郎)

火星なる冷たき星や桜咲く   規夫
◎唖々砂
■火星は冷たい星だ〜〜という一節がエルトン・ジョンの「ロケットマン」にあります。ケイト・ブッシュ版もおすすめ(吾郎)■惑星シリーズ(認知率チョ〜低)の一環でした(規夫)

身の毒にはらりと桜舞い込みて   亞子
◎勝之
■叙情充分ですばい。「はらりと」というのは、どーも梅澤富男のアテブリあたりが頭に広がり、イカンイカンという副詞句なんです、個人的な事情ですが(規夫)■身の毒といえばなんやら帝都物語の「加藤っ〜〜」っぽくて好きよ(吾郎)

啓蟄や酔いては死ぬること何度   等
◎吾郎
■何度そう思ったことか、その最中、またその後も。後者の方が多いな、特に最近。ま、毎回火の鳥のごとく復活するんだけどね、ぜ〜〜んぶ忘れて(吾郎)■またア、自分の世界を展開するウ! 自分に酔っちゃダメよ。自分に酔うのをやめたとたんに他者に酔える。そうすっと愉しさは数万倍。自分つうのは1個だけだからね、なにしろ。すぐに飽きないほうがオカシイ。石ころから友だちまで、他者は無限です(規夫)

春の夜のトランプ待って今の無し   唖々砂
◎三太 
■むずかしくて、回文かと思ってしまいました(支那の舞カードがどーか今の無し)。「待って!いまのナシ」ということね。懲りすぎ(規夫)■中で切って、甘えて読むと「大貧民」で盛り上がったあの夜が蘇る(吾郎)

彼岸会もおねむの宗男燃えんが日   吾郎
■ぎゃ! 最後にコレかい。すごいすごい。★★★★☆(規夫)■時事ネタまで入って、これまたおみごと。オクンチ閉店すると、回文大魔王とはしばらく会えないのかしら(勝之)■おネムにすべきかどうか、些細なとこで少し考えてしまった自分がなさけない(吾郎)

嫁はんが泣くので春の野に坐る   規夫
◎吾郎◎唖々砂◎烏鷺坊
■劇場型確信犯というか、お馴染みのシリーズ。なんかいいな今回のオマージュ。フィルムのエンドロールにラヴソングを!(吾郎)■う〜ん、オレなら春の野で地だんだ踏む(勝之)■「かかあと俺」シリーズの一環でした。……さて、そろそろ今回の演目も最後に近づきました。お約束のようにツッコミは「なに言うてけつかる、このどぶ亀。あんたとはやってられんわ」というわけで、「ほな、サイナラー!」(規夫)


……と、ここで終わると思ったら、まだ最後に付け足しがあった、という映画、よくありますよね。今回は、そこまで用意させていただきました(実は、メールアドレス違いで時間内に届かなかった烏鷺坊さんの句です、すんません)

犬さかるそんな日野市に惚れました   烏鷺坊
亀鳴くやけじめみかじめ離党もの   烏鷺坊
大ファウルねじれて消えて土手青む   烏鷺坊


……いかがでしたか? なかなかのデザートだったでしょ? 当番、日野市には笑ったゾ、ほんと。



FAREWELL

▼大森&国立当番さまのご尽力に心より御礼申し上げます。我々は、ただわがままに遊ばせてもらっただけで本当にお疲れさまでしたと言うほかありません(亞子)
▼おもしろい遊び場をつくってくれた規夫さん、それから当番をしてくれた井口家さん、今までどうもありがとう。オクンチ、バンザイ!(唖々砂)
▼長いあいだ世話人のお勤めご苦労さまでした(三太)
▼オクンチが閉店しちまうと、なんか俳句あんまり作んなくなっちゃいそうだなぁ。生来なまけ者のワタクシにとっては、オクンチは俳句作りのハゲミでありました。句会のほうは、みんなとワイワイ飲むために行ってるようなとこがありまして、ま、それはそれでまた良しなんですけど。それにつけても国立・大森当番様、これまでお世話様でした。お疲れ様でした。次はネット・オクンチですか? でもなー、うちのパソコン、いつネットにつながるのか、今んとこ未定だからなぁ〜、カヤの外になっちゃいそうだなぁ〜、ヤダなぁ〜(勝之)
▼オクンチ閉幕は寂しいですが、しかたがありません。あのメールに書き込む方式はやっぱり味気ない。 規夫さん、井口家ご一同さん、ごくろうさまでした。またの機会をたのしみにしています(等)
▼通算115回になると思います、オクンチ。FAXやワープロが、新しい通信手段として行き渡った頃だった?とこから始まったような気がしてます。なんやら時代の流れを感じますね。インターネットなんてのも、もうすぐに過去の遺物になるんでしょうか。ま、そこはそれハードの哀しさ。でも、ソフトも変わっていくんですよね、それを進化と呼ぶと、これまた違うんだろうけど。というわけで、天寿全うってとこかな、規夫さん、みなさま many many thanx!!(大森当番/吾郎)
▼いろいろとありましたね、というのは、何かが終わるときの常套句ですが、私自身にとっては、とても面白い遊びでした。俳句のようなものを、いまだに作っているわけですが、「オクンチ」がなかったら、続けていなかったでしょう。正直、「いいなあ」と言葉を失ってしまう句がいっぱいありました。▽最後に、当番の愉しさとツラさを分かち合えた井口家に深謝。そして、ほんとうの最後に、皆様に。また、なんかして遊びましょう!(国立店/規夫)





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【オマケ】

オクンチ二周年記念・大一〇句選

佐山烏鷺坊 選

葬果てて宅配ピザを待ちており   菊野
花野にて老婆の頭放たるる   等
神の留守夜中に売れる愛の本   吾郎
レノン忌や家に帰ればメシが出る   規夫
こんにゃくのしびれて歩く桜かな   等
春野にて舌を無限に出す遊び   等
むかし男クラゲの様におはしけむ   等
渚より片桐はいり来て笑う   十四郎
蜃気楼のもしもし   規夫
むかしむかし煙のんのん水蜜桃   裕

選評
膨大な量の句を目の前にして正直たじろぐ思いがした。やれやれ、しんどいことだわい、が最初の気分であった。しかし意を決して読み進むうちにそれぞれの句をはじめて見たときの驚きや笑いがひたひたと蘇り、そのときどきの自分の俳句環境と合わせて、なにか懐かしいような楽しいような感慨がこみあげてきた。
 思えばオクンチという類稀な句会の出現は私にとって望外の喜びであった。なによりも十日に一度というリズムが健康にいいということがある。それにもまして休むときに気兼ねが要らない、というのがいい。忘れたころにひょっこり顔を出しても、言い訳や挨拶の煩わしさがないのがお互いにとっていい。「やあ」と片手だけあげ「しばらく」と微笑で返すことさえ暗黙の了解のうちになされる、のがいい。しかし、それよりもなによりも、選や論評において、互いに顔を合わせず声も聞こえないという条件がこれほど自由と平等を保障することをはじめて知った。参加者それぞれが他者のどの句にも敬意を払う様子がとても好もしく感じられた。コメントは良質のユーモアにあふれ、罵倒や嘲笑のない、いわば同好の士の相互的な「俳句愛」とでもいった精神に満ちていた。つまり博愛まであって、まるでフランスの三色旗みたいだが、それが実感なのだから仕方がない。
 もちろん顔を合わせ肉声で語る句会には別の楽しさがある。打々発止の応酬の面白さがある。しかし、悲しいかな、顔や肉声という属性が生み出す負の面もある。大声での応酬はいつかそれがマンネリ化し見せかけのものとなり、馴れ合いが生じ、やがて腐敗し、意味のない嘲笑罵倒とその裏返しの情けない自己防衛の無限の連鎖が生まれ、そのことについに無自覚なまま、つまらぬ諍いが起こり、嫉妬・盲動の絡んだ陳腐な愛憎劇が展開するといった可能性がある。もちろんその怖さ、いやらしさもまた魅力のひとつであるといった「穿ち」も成立するだろうことについて留保つきの私見といったところではあるが。
 オクンチには見事にそれらが入り込めない。そういう構造になっている。一言でいえば煩わしさ、というものがない。そこがなによりも、いい。
 ところで「選」である。「選」はとる立場によって大きく異なる。
 今回の私はオクンチという希有の句会それ自体を尊重する立場から選んだ。十句を選ぶことでオクンチ句会がグンッと立ち上がる感覚を大事にした。だから秀句、佳句をずいぶんと意識的に落としてしまった。たとえば「ちりとりがさかさま秋の曇り方」「こがらしや俺の嘘聞く俺の臍」「冬海へアラビア糊のはみ出せり」「象舎から象あらわれず二月尽」などなど。
 これらの俳句は、とても水準が高い。「俺の臍」などは見た瞬間、尻から体が宙に浮いたほどの震撼があった。しかし、この句でさえ、ある意味、通常の句会で拝見できる「手練の句」に着地する。せざるをえないともいえる。確かそれぞれ初出のオクンチ例会でも高い得点を得ていたし、自分も絶賛した記憶もある。こうした句を選ばないのは奇妙であるという意見もあるだろう。いい句は何処へ出してもいい句だ、という声も聴こえてくる。しかしすべて承知のうえで私はこの十句を選んだ。後悔はしていない。
 順位はつけなかったが、もしつけるとしたら「片桐はいり」が一位。二位は「レノン忌」、三位は「蜃気楼」というのが自分の内側での心づもりである。
 終わってみれば「選」は楽しかった。何度もいうようだが、私は今回の「選」の作業のなかでも、何度もオクンチに出会えたことに感謝した。
 ありがとう。

長谷川裕 選

鶏頭の視力が尽きて川向こう   等
■硬質な知的抒情。十七音のなかに何枚かのカミソリを隠し持った切れ味のよさが身上。伝統的な俳句の質感を正しい意味で保守している。
てっぺんに幽霊がいる花きゃべつ   規夫
■柔和な知的抒情。平仮名の駆使により、一見、のびやかに見たそのままのようでいて、その実、細部が微妙に屈折して吐かれた(ごく自然に)言葉の現代的説得力。それにしてもなんと酷薄な柔軟さか。
地底ですか地底ですねと火事の客   哲郎
■観念的叙景の飽くことなき強弁。全世界をたったひとつの理論で掌握しようという果てしない野望を諦めぬ日本離れした粘着力こそ、この句の卓抜した味わい。
雑草のふた葉を育ててしまったわ   唖々砂
■一切の虚飾を取り去った瞬間の慨嘆。かならずこういう瞬間が来る。そしてそれはかぎりなく透明である。息をこらしてじっと待機せよという教訓の、このうえなき成功例。
紫陽花に明るく被爆ふらんすぱん   等
■関係がなさそうで実は糸のつながった言葉の組み合わせの愉悦。それによって言葉がまとってきた手垢をふるい落とし、価値を逆転、再生した。片仮名を使ってしまった気弱さが計算外のユーモアを醸しだす。
蜃気楼のもしもし   規夫
■生涯に一回しか使えない必殺技だからこそ可能な意表。最終兵器をあっけらかんとくり出した潔さが全て。俳句へのユナ・ボマー的いやがらせ、あるいはすりよりか。
ガードレールに藁またがせていくや   菊野
■一気呵成の勝利。乾いた叙景を、抒情の暗喩として屹立させたのは、おそらく背後にあるはずの、なんらかの慨嘆を安易に表面に出さなかったが故。
かぼちゃかぼちゃわが癲癇の内と外   十四郎
■孤絶した、ある理路の構築に費やした時間の重さ。そこから滲み出る鉛のような柔らかい重量感と質感。間違いなく世界的に通用する思念だ。
弁当に一匹の魚春近し   亞子
■表現とエゴイズムを混同した、だらしない脂臭さの微塵もないオーソドキシーの勝利。平凡と無名性の強靱さ、爽やかさ。軽さ。それを支えている技量の冴えが見事だ。
春の海のたりオムレツ返そうぞ   等
■しつこくない、しかし確かな隠喩的展開のユーモアに拠る色彩の定立。「オムレツ」も「のたり」のパロディも、どちらも含めて純国産であるがゆえに安定感をもつ。

大畑等 選

ポポンタポポンタタンポポタンポポ   吾郎
■この句は外せなかった。今回、回文だからといって特別視はしなかった。タンポポが延々と続く、そのような景を思い起こさせた。音(オン)というのはすごい喚起力があると思った。
塩じぞうにおいけるかな牡丹園   葉子
■「塩じぞう」の具体性が、この句がどこに行き着くか全く予想させなかった。そういう意味で、ググッと惹きつけた。そして意外やあでやかな牡丹園であったこと、その落差がすこぶる心地良かった。
睡蓮の気化熱母は善福寺へ   杜
■「母は善福寺へ」という、その地名が効いていると思った。「睡蓮の気化熱」のなかで、この母は生者なのか死者なのか、幽明境にボクを誘った。「気化熱」の固い言葉が一句を引き締めていて恐ろしく効いていると思った。作者の感情移入は表面から消されているだけに、イメージがどんどん膨らむ。好きな一句。
梅雨空の胸ぐら掴むバンドネオン   吾郎
■「バンドネオン」の形が梅雨空と照応した。ボクは「梅雨空の胸ぐら」と一気に読みたい。それを作者が掴む。力強い。ここで大きく切って読んだ、ここで大きくボクは呼吸した。風を入れそして吐き出すバンドネオンのように。
炎天やたちまち腐る俺のカー   規夫
■20句から13句、そして10句へ絞る。落とそうか落とそうかと思いながら、落とせなかった。即物的な物言いが現代的だ。情感を交えない、金属的なリズム。ダンディズムも感じてしまった。
遠雷やあひるの水は濁りたり   裕
■ナンセンスな面白さ。浮遊感。たぶんロラン・バルトが喜ぶであろう。「濁りたり」の「たり」が余韻を残して面白い。どんな余韻か言えないところが音楽になっている、と思った。
歯朶しかないのだ飛騨の田舎仕出し   吾郎
■「だ」の連続。強いリズム、この仕出し屋、ぜんぜん困っていないぞ、と、やけくそを思わせて、めちゃめちゃ面白い。回文だからではなく、「だ」の連続が喚起するもの、意味を越えたもの、そして滑稽を感じた。
蛇穴を出て杖の穴骨の穴   美智子
■これ、かなりヘンな俳句。ボクはあれこれ解釈したくない。混沌のユーモア。不気味でもあり、楽しくもあり。表と裏、悲と喜、生と死がトポロジカルに隣り合わせになっている、そのように感じる。無分別の世界といったら、こちらがキザに思ってしまうほど俳諧的。クサーイ俳句。好きです。
操縦不能侘助弐号なごむ   十四郎
■これもヘンな俳句。使い古された筆ペンを思った、けれどそれを起点に「四畳半」やら「ロボット」やら、いろんなことがガラクタ箱から飛び出すように出てきた。最後の「なごむ」、いいですねえ。全部許しちゃったような暖かい湯気が上がっています。
竹揺らす姿見られて秋の空   菊野
■自意識の芯をふと見られてしまった。ハッと思ったが、どうしようもない。「気づいた」ということを相手に気づかれるのは永遠の往復書簡となる。素知らぬ顔で竹を揺らし続ける。「秋の空」が効いていると思った。

笠井亞子 選

春の雲くりぬくブーメラン無音   栞
実際は無音ではありえないと思う。
が最後の「ムオン」。実は、これで我々は引き戻されるのだ。
映像世界から音響世界へ。ブーメランのようにね。
妹の真空管を抜きし朧夜   等
多くを語りたくはありません。妹なので。
花の陰大麻を巻いた外科の名は   吾郎
歯朶しかないのだ飛騨の田舎仕出し   吾郎
馬鹿なるはサイコな恋さ春なかば   吾郎
まひまひも幹に葉に君もひまひま   吾郎
まだ眠らないはずハイなラムネ玉   吾郎
オクンチの最大の成果は、
あらゆるレベルの通信手段をフル活用した
投句→選句→発表のシステムを作りあげたことの他に、
一回文(回俳文?)作家を生みだしたことを上げるのに
何の異論もないことでしょう。
ってゆ〜か〜
麻薬やる医者とかー シダしか出さない仕出し屋とかー
宵っぱりなラムネ玉とかってゆーキョーレツなキャラに勝てる〜?
あんたら普通の句でさっ?
かぼちゃかぼちゃわが癲癇の内と外   十四郎
無駄なく無駄のように、
隠喩のようでいてその実暗喩ですらなく
楽しそうだが単にバカバカしく、
その上かなりセツジツ。
だからどうなのよ勝手にしろっ
と突き放したところで
歌うように成立してしまった。
……こんな句を私は知らない。
作者の身を案ずるばかりである。
円鏡がつぶれて座る桃の花   規夫
豆の花くるくるアチャコの手が泳ぐ   規夫
これは二句で対であると(勝手に)見る。
一句目の下五は後に改訂された(と思われる)
「桃の花」の方を断然いただきたい。
二句とも季語が花であるのは偶然ではないはず。
芸能のあるべき「メデタさ」を、「はなやぎ」を
奥ゆかしく、端的に押さえて間然するところないこの結構。
好きだなあ。

八木邦夫 選

冬近し錆シャッターの長音階   十四郎
流星群来よ大根を煮ておくから   等
寒鯉の鋼色して実朝忌   勝之
花散ると海はいよいよ黔くなる   裕
雲が雲にどんとぶつかる薄暑かな   規夫
老人の口もぐもぐと梅雨の入り   裕
幾億の木の実の一つかつんと海   等
冬落暉ぺらりと街が裏返る   珠子
動輪の悲鳴冬野に直立す   吾郎
横柄な夏やってくるパンプキンパイ   杜

 出張の車内・機内で選句したのですが、1%を選ぶのは至難。パスしようかと思っていたところ再三の声かけがあり滑り込み・・・。ご迷惑をおかけし、申し訳ありません。サンドバッグ状態ですが、元気です。お九日にもまた寄せてください。

秋谷菊野 選

大くしゃみ飛行記録の字がきれい   規夫
■空の美しさまで見えるようだ。
牛乳髭に撃たれて死ぬる花の下   唖々砂
■こういう句を、作ってみたいと今も思う。
悪魔の本ばかり買う母に捨てられてから   勝之
■学校現場にいると、ついうなずいてしまう。
太平洋うがいで始まる一日   栞
■情景が大きくていい。
ラムと月光あいつのんきな亡命者   裕
■陽気なのがいい。
ひやひやと小さき人の腕時計   規夫
■初めて読んだときの気持ちがよみがえる。
鬼やんまより大きい森はあらぬ   等
■この星へ単身赴任の鬼ヤンマ 菊野返歌
夏館笑っているのは陶器の犬   亞子
■陶器のひんやりとした質感が伝わってくる。
水澄みて声かけらるを恐れたり   等
■私は臆病ではないけれど……。
なんと気持のいい朝だろうああのるどしゅわるつねっがあ   等
■たまに口ずさむ。

村田珠子 選

 この量から・・・と思うだけで挫折していました。目が乾燥して猛烈な痛さ。途中でやけになることかぞえきれず・・・。飛ばし読みの中の選句なので、参加はためらわれたのですが・・・。でも、再々催促には負けてしまいました。

赤とんぼ墓にも両の隣あり   哲郎
レノン忌や家に帰ればメシが出る   規夫
ざっくりと包丁たてる白菜の尻   葉子
去年今年電光文字がるで終わる   裕
夕立や湯飲みを包む反古の紙   葉子
ピーマンの赤怒るなよ唐辛子   吾郎
父にして海鼠ほどには悩んでおり   等
弁当に一尾の魚春近し   亞子
島のふらここ地球はゆっくり廻る   規夫
むかしむかし煙のんのん水蜜桃   裕

近藤十四郎 選

秋尽きて箪笥の裏に落ちにけり   栞
夜は長し一人戯けて石を煮る   勝之
地底ですか地底ですねと火事の客   哲郎
男の首絞めたり葱を作ったり   等
ポポンタポポンタタンポポタンポポ   吾郎
ある限り朝日がころんだにわとり朝日ありがとう   莞爾
白玉や死んだ友みなどんぶらこ   哲郎
蜃気楼のもしもし   規夫
ヘリコバクターピロリ   規夫
いずれ何処ぞの灰 I'm your man 勝之

言葉のメタモルフォーセスと、ないからこその郷愁をとり、狂気と里心を捨てた。

井口 栞 選

ちりとりがさかさま秋の曇りかた   裕
らっきょ噛む転生するなら犀などよし   勝之
冬近し錆シャッターの長音階   十四郎
こがらしや俺の嘘聞く俺の臍   等
地底ですか地底ですねと火事の客   哲郎
摂氏五度で始まる一日セロリ噛む   規夫
雑草のふた葉を育ててしまったわ   唖々砂
最高へ妻マンゴーを刻みて積めり   規夫
幾億の木の実の一つかつんと海   等
キスする感じかな家人刈る芒   吾郎

山本勝之 選

短日のそこいら中を計測す   栞
■うーん好きだなぁ、このなんともバカバカしい無駄な行為。まるで誰かさんの人生そのもののようではありませんか。今月の座右の銘として便所に貼っておこう。
冬海へアラビア糊のはみ出せり    等
■バカウマ。こういう俳句が一度作ってみたい。前にも書いたけど『櫻画報』描いてたころの赤瀬川原平さん思い出しちゃうんだわ。ケント紙から糊握った腕が出てて、荒海(北方領土か朝鮮半島)を描いた背景からハミ出してて「おっとっと、いけねぇ!」とか吹き出しに書いてあんの。
植えた芋ウヘヘ芽が出たヒンズースクワット   唖々砂
■喜びの表現がヒンズースクワットであることに感激。しかも、その喜びが、植えた芋に芽が出たことだってんだから感激は倍加する。しかもウヘヘときたもんだ。人生こうありたいものである。
ペダル踏む夜は濡れた服のようだ   十四郎
■映画の予告編の秀逸なコピーのように素晴らしい。男が夜の勝鬨橋を自転車で疾走する。自転車は男が新聞屋の前で盗んだ黒くて重たい業務用。そこへ男のボソボソした声で、この俳句被さる。オレならそれ一発で、映画館に見に行くね。極上の物語の予感。
赤とんぼ縦横に飛び恐くなる   菊野
■「ねぇ、あれって恐いよね…」って言われても、たいがいの事は「あはは、ンなもん恐ないわ!」って笑ってゴマ化せる自信はあるんですけど、これ言われるとちょっと、その自信もグラつく。いや、ほんと、恐いですよ…。
詰めますね壜に朧の駅ふたつ   烏鷺坊
■こういう土産物屋さんに行ってみたい。この世とあの世の境目も不確かなような土産物屋の主人が緑色の壜にそっと詰めて差し出してくれる、今は廃線になってしまった、遠い少年時代の思い出の駅。爺さんはまだ元気で、青いコスモスが風に揺れてたなぁ。
世界は毎日おなじトム・ジョーンズの裸の首   規夫
■中学生の頃、トム・ジョーンズが流行ってねぇ、僕もシングル盤2、3枚買いました。で、二階の自分の部屋で聴いてたら、布団を干しにあがって来たオカンが「ええなぁ、ええ声やなぁ」って部屋にヘタりこんで聞き惚れてた。そのころは未だ世界は、確かに毎日同じだと信じられた。
父くちをあけ虹まちて御座候   規夫
■かって、日本には確かにこんな素晴らしい光景と、父親がいて、それを見つめるヒネずに、真っ直ぐに成長した息子がいた。笠智衆に演らせたかったね。「お父さん、ホラ、虹だよ、虹!」「ほお、虹かぁ…」
黴雨に突っ立っている蜂か虻か    裕
■カッコイイッ! これまた映画の予告編のコピーにいただきたい。雨に濡れていることすら気づかず、立ち尽くす男。オレが女だったら、ちょっとほっとかないね。
まだ眠らないはずハイなラムネ玉   吾郎
■回文大魔王の句は、選を迷いに迷った。でも、やっぱり僕はこれを頂きます。この回文と意識させないサラリとした流れ、口当たりのよさにメロメロよ。

唖々砂 選 「あぶない俳句」

引き出しに仕舞いっぱなしの殺しのライセンス   勝之
[虚言癖]作者が分裂症や多重人格だった場合、もっと話はややこしくなる。
地底ですか地底ですねと火事の客   哲郎
[カルト]この俳人の一連の妄想俳句には笑いながらゾクッとさせられる。
花の陰大麻を巻いた外科の名は   吾郎
[密告]常用者にとって恐いチクリ。下五の下に来る人名が回文だったら、ガセネタっぽい。
花疲れはさみでベロを切りそうだ   菊野
[BAD]セッティングを間違えたか?
とらイシむめクマふねおきん婆さんラムネ研究会   哲郎
[サイケデリック]極彩色の婆さんたちが万華鏡のように次々と現われてくるスリルがたまらない。
乳くらい揉ませろよ桜桃忌   勝之
[ヨッパライ]アルコールは合法だが、立派なハード・ドラッグ!
なんと気持のいい朝だろうああのるどしゅわるつねっがあ   等
[ナチュラル・ハイ]こうありたいものである。
フィメールのビチクがロイク正露丸   泰司
[パツキンのチャンネー]白系ロシア人女性と推察する。
星またたけば私はあなたの犬   十四郎
[マゾ]官能的カミングアウト俳句。
青大将おまえの中で踊り出す   等
[巨根]なったぁなったぁ蛇(じゃ)になった、当家のムコ殿、蛇になった、何蛇になあられた、大蛇になあられた。

北川 杜 選

冷凍の肉そのままに七五三 菊野
■あたふたして出掛ける感じがいい。
小春日や死のうと思うと伯父が来る 菊野
■一句で小説を感じる。
でこぼこの闇にぶつかる火の粉かな 哲郎
■感じ方表現が最高。
賀状より高校二年の空見ゆる 亞子
■この素直さが正しい。
犬連れて機械を連れて春田打ち  菊野
■農村へのあこがれかも。
妹の真空管を抜きし朧夜 等
■すごいテクニック。
花びらが靴先に押し寄せて腰あげる 勝之
■絵本の中にいる人のようで。
手ぶくろの丸まったまま寝言かな 吾郎
■我が子の寝言は特にかわいい。
久しぶりの君太りしにチラと手をみる 三太
■男の視線なのかな。
満天の星むず痒きレタスかな   裕
■レタスの気持ちも人の気持ちもよくわかっている人なんだ。

武田三太 選

長き夜クローン羊に見つめらる    唖々砂
キューピーの腕ぷりぷりと冬ぬくし   裕
ホチキスを空撃ちしている一一一ばかり   勝之
おもちゃ屋の老婆の電池切れて春   吾郎
飾りではないのよ白髪はハッハーン「麦酒!」   哲郎
熱風に香辛料の街尖る   亞子
耳かけばおいでおいでの音がする   勝之
今朝も酒珍句オクンチ袈裟も裂け   吾郎
ソーダ水夜汽車の気配ある街で    烏鷺坊
黒い藪お月さまにも顔がある   白玉

安藤白玉 選

キューピーの腕ぷりぷりと冬ぬくし 裕
木枯らしを路地よりにらむ刃物研ぎ 等
うららかに人体模型吊される   菊野
フリージア若もの狂いしごと笑う 邦夫
白玉や死んだ友みなどんぶらこ   哲郎
水中花ブルースリーの哀しい目    亞子
嘘つくとふくらむ小鼻冬の川   規夫
馬鹿なるはサイコな恋さ春なかば 吾郎
避暑地の恋塩基配列三〇億   三太
君去りて紫大根咲き乱れ   厚子

井口吾郎 選

ちりとりがさかさま秋の曇り方   裕
それよりも深夜南瓜に会うのです   哲郎
秋尽きて箪笥の裏に落ちにけり   栞
こがらしや俺の嘘聞く俺の臍   等
操縦不能侘助二号なごむ   十四郎
アフリカのてのひら蝶は飛んでいるか   裕
踊ろうぜ菫たがいに遠く咲く   規夫
雑草のふた葉を育ててしまったわ   唖々砂
いずれ何処ぞの灰I'm your man   勝之
シャボン玉お先に失礼いたします   栞

植田規夫 選

立夏なり蛸は筋肉で泳ぐ   等
いずれ何処ぞの灰 I'm your man   勝之
嬉しさのあまり毛虫を踏みており   菊野
カウンターテナー花が虫を食べる   亞子
むにゃむにゃと花散るところ地蔵堂   烏鷺坊
ががんぼの胸つきあわせたまま落ちる   吾郎
豆腐屋の九官鳥のバックオーライ   裕
操縦不能侘助弐号なごむ   十四郎
ゴーヤチャンプルー鸚鵡がカアと鳴いた   由季
シャボン玉お先に失礼いたします   栞

 一枚のアルバムを通して音楽を聴くように、この十句を選んだ。私にとって忘れがたく強力で魅惑的なテキストはほかにもたくさんある。いまさら言うまでもない「絶品」をたくさん見いだせる。特に、裕氏、等氏の句については、当然のように多くの句が、私にとって強力で魅惑的なテキストである。場が変わっても高い評価を受ける多くの句を、オクンチの現場で私も、選としていただくことができたことを嬉しく思うとともに(まったくひとりよがりに)矜持をも感じた。また、オクンチをともにする作者たちのつくりだすテキストのそれぞれの輪郭(今風に言えば、キャラの立ち方)をいつも楽しんでいる。だが、それらのことよりも、今回は、一つの気分を重視して選んだ。これらの句を読み、すこし笑ってしまうその瞬間を私は愛しているのだといまさらながら確認した。私は、「俳句のようなもの」を作っているが、作るときも読むときも叙情などまったく無関係の代物である。感動などしたくない。鑑賞などしたくない。ただ、すこし笑いたい。だが、この「すこし笑う」という反応を引き起こしてくれるテキストは、そうざらにはない。それぞれの句について、ひとことずつ。
 一句目。いっぱしのソウルグループならどこももっている、ここ一発踊らせるためのジャンプナンバー。
 二句目。レナード・コーエンのバラード。ただし、フィル・スペクターのプロデュース。大笑いでいただく。断じて、湿っぽくいただくのではない。
 三句目。架空のワールド・ミュージックの歌姫。大笑いを避けられぬ残酷さ。
 四句目。声が途切れて突然ピアノ曲がテンポを上げる植物園。
 五句目。ミディアムテンポで乗るメージャーセブンスの曲すべて。
 六句目。延々と続く天国的な演奏のすべて。
 七句目。カリブ以南+アフリカのすべて。
 八句目。まだ聞いていない大好きな歌のすべて。
 九句目。いますぐには死のうとしない理由のすべて。
 十句目。なぜかこの世に私たちが息していることのすべて。

〔規夫当番から〕
■お疲れさまでしたとしか言いようのないイベントだったようです。締め切りがアバウトで、こちらの作業も思うに任せず、痺れを切らした、あるいはもう忘れていたという方もおおぜいいらっしゃるでしょう。申し訳ありませんでした。
■最近のオクンチファンのために1つ・「哲郎」は「烏鷺坊」さんの昔のリングネーム。ついでにばらすと、烏鷺坊さんの選に「哲郎」作が紛れ込んでいました。そのまま行きたかったのですが、烏鷺坊さんから、「自作を選んでしまったことはバラしていいが、どの句を取ったかは知られたくない」とのたっての頼みで、別の句に差し替えました。
■みなさんの選を眺め、やはり、「どこに出しても恥ずかしくない」句、どう読もうがりっぱにできている句は、意識的にか否かは別として、かなり選から洩れたようです。「どこかに出したら恥ずかしい」句がいっぱい選ばれ、楽しい十句選になったと考えています。
■オクンチももう二年を過ぎ、冗談じゃないというくらいに長く続く冗談になっちゃいましたねぇ。どこまで続くか、当番の私も知りませんが、ともかくこれからもよろしくお願いいたします。