ゲーム名 : かまいたちの夜2 監獄島のわらべ唄
メーカー : チュンソフト
ジャンル : サウンドノベル
10点満点中 : 4点 (★★★★☆☆☆☆☆☆)

〜コメント〜

ついにチュンソフトまでもがシリーズの安売りをするようになった大問題作。
前作は雪山のペンションで閉ざされた中での連続殺人を推理する、現実的にありそうな舞台設定とリアルな 心理描写が売りで、そこに絶妙のBGMと効果音が加わり、選択肢に寄ってストーリーが幾つも分岐するなど、 サウンドノベルの完成形と言っても過言ではない完成度でした。
そのかまいたちの夜の続編となれば、しかもプロ作家や作曲家等を起用し、大々的にプロモーションし、大 金をつぎ込んで開発したとなれば否が応でも期待が高まります。

…しかし、いざ蓋を開けてみれば予想を裏切る大どんでん返し。
今作の舞台は架空の離島にある物々しい館が舞台。かなり非現実的です。まぁ推理物にはこんな舞台も必 要かなと納得できる、些細な問題です。そんな問題などちっぽけに思える衝撃をゲーム序盤聞かされる事 になりますから。なんと前作はシュプールの泊り客を起用しただけのゲームの中の話、つまり劇中劇だったと、い きなり前作のファンを突き落としてくれる手痛い歓迎。
ゲームが売れたのでお礼にとゲーム登場人物のモデルとなった主人公達を監獄島に招待(これは目的の為の口 実でしたが)。…この時点で今作に対する評価が最低ランクになりました。しかし、しかしですよ。これすら も実は序の口に過ぎず、まだまだやってくれました。
お約束通り館内で殺人事件が次々と起きます。前作では選択肢の結果により殺人を回避できるルートが存 在しましたが今作は完全一直線ルート。間違った選択肢を選ぶと電波掛かったバッドルートに移るだけ。選択肢によっ てストーリーが変わるのが売りじゃなかったのか。何のための選択肢ですか?

…それでもまだ本編ルートがしっかりしていたものなら納得しますよ。肝心の推理物としても無茶苦茶。特 に酷いのが、この島に稀に起こる現象で館の2階か3階まで海水につかる時期があり、それを利用して泳いで 他人の部屋に忍び込んだ、と言う場面。架空だからといってご都合主義ですか?非現実にも程があるぞ。
そんなふざけた推理でいよいよ犯人が突き止められていきます。前作同様犯人を指名するシーンが出てき、 とりえず怪しい人物を選びます。どうやら間違えたようです。…あれ、バッドエンドにならないの?またも 犯人選択画面が出てきます。どうも犯人を当てるまで何度でも選択できるようです。総当りすれば誰 でも犯人突き止められるなんて推理でも何でもないではありませんか。それなら選択場面など用意せんでも いいでしょうに。
何故、「かまいたちの夜」をここまでぶち壊す事ができたのか。続編として、推理として最低最悪の本編で した。

さて、チュンソフト製のゲームはことオマケに力が入っており、ゲーム本編以上のボリュームがあります。 今作も同様で、おまけのシナリオ数は前作以上。しかし前作とは違い大半が奇怪で猟奇的 な生理的嫌悪感を感じるものばかり。ゾンビだ虫だ牛の首だ、トチ狂って殺し合い、怨霊に呪い 殺されるは、等など普通の人ならまず引きます。何故ここまでグロティクスに徹する必要があったのか?製 作者は精神が病んでいるのではないかと思えるぐらいでした。
むしろこの傾向は同社のサウンドノベル「弟切草」に近いですし、いっそ「弟切草2」とすればよかったので は?

ものの見事に全てを裏切ってくれた、前作のファンにとっては最低な作品ですが、グラフィックが綺麗な点 と前作脚本の我孫子氏担当のわらび唄編が面白かったのが救いかな。またシステム面での完成度は高いだけ に余計に口惜しく感じます。

軽い推理物が好きな人やグロティクスな表現が大丈夫な人には楽しめる作品だと思います。が、前作のファ ンにはおすすめ出来ません。思い出は綺麗なままの方が良いでしょうから。


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