ゲーム名 : Wind -a breath of heart- 発売一周年限定パッケージ
メーカー : アルケミスト
ジャンル : 恋愛アドベンチャー
10点満点中 : 7点 (★★★★★★★☆☆☆)

〜コメント〜

個人的にお気に入りだけど非常〜に微妙な作品。
のっけからアレな出だしで申し訳ないのですが、ちょっと評価の難しい内容でして。

今作は学園生活の第一部とおったまげる程急展開を迎える第二部に分けられるのですが、第一部はほのぼの コメディー風な学園生活が繰り広げられ、まったりと楽しめました。このまま恋愛がらみの話に移行してい くのかなと思っていただけに、二部の唐突な展開にはそりゃもうビックリしましたよ。ましてや最初に見た エンディングがメインヒロインの鳴風みなもだったので。
(※ここから先はおもいっきりネタバレになりますのでカモフラージュさせて致します。 お手数ですがご覧になりたい方はマウスをドラッグしてご覧下さい。)
だっていきなりみなもの父が殺されるは、望と彩が真剣で戦い始め、彩を庇ってみなもは死んじゃうし、そ の後戦いをけしかけた彩が身代わりとなって死に、みなもが生き返ってめでたしめでたしだもんなぁ…。余 りに急展開過ぎて完全にプレイヤー置いてきぼりです。なんじゃこりゃ、と、この時はあきれ果ててしまい ました。

さて、突然ですがここでストーリーについて補足しておきます。
このゲームの舞台となる街の住民のほとんどが不思議な力をもっており、それはほんの些細な事にしか役に 立たない力です。一見非現実的ですが、この不思議な力自体の存在はそんなことはなかったんですよ。問題 はその扱い方。
激しくネタバレになってしまいますが、この街は大昔に人がこの街を住みやすくする為、人外な者と不思議 な力を手に入れる代わりに力の大きい者を生贄にする、と言った契約がされ、それが今でも続いています。
その生贄を探し差し出す役目を負っているのが真のヒロインの彩で、彼女自体は江戸時代よりももっと前の 時代の人。自らそんな役目を望んでいなかったが自分がその生贄を捧げる家系に生まれてしまい、本来その 役目を負っていた兄が生贄を捧げるところを見てしまい乱心。兄を殺害してしまい、さらに今度は自分がそ の役目を負っていかなくなり、呪いの為現代まで役目を続けてきました。
しかし現代の街の力が弱まってきてしまった為、力の強い者を探し出し、主人公の両親、みなもの母を殺害、 またみなもの父がその真相に気づいていた為第二部冒頭で殺害されます。そしてそれでも生贄が足りないの でヒロインたちを目に付けそれを実行しようとする、これが第二部となります。

話を戻しますが、実は学園モノではなかったんだよ、と意外性なテーマを持ってきたのは別に問題 ありません。先も言いましたがその扱い方が非常にまずい。みなもエンドだと第二部の真相がさっぱりわか らないまま終わってしまう為、なんだこの電波シナリオは、と言う印象になってしまいます。
これがみなも以外にもひなた、わかば、望にも当てはまります。各ヒロイン単独で見ると安っぽい自己犠牲 な話へと片付いてしまいます。人の死と言う、ある意味究極の禁じ手をこうもホイホイ使うのは最悪です。 (望エンドは強烈な印象があるので良いですが。)
彩は物語の鍵を握る人物なので良いとして、おまけ的な位置付けとはいえ紫光院ルートは、わかば、望のコ ピー話なのも問題。
また、ヒロインの攻略の順番を間違うと隠しエピソードが出てこなかったりして中途半端に終わって混乱し てしまいます。恐らく彩ルートを見ずに手放してしまった人もいる事でしょう。

さてさて色々と書きましたが、「じゃあ何でお気に入りなの?点数高いの?」と疑問に思われるかもしれま せん。
それは、偶然にでしたが「正しいルート」で進められたから。確かに各ヒロインのエンディングは大抵 が「?」や「…」な内容ですが、順を追って見れば全てが一つの線に繋がり、感動し、余韻まで残してくれ る素晴らしい物語へと変貌しました。
また、キャラクターやストーリー演出、舞台設定の独自性などばかりが目立ちましたが、ハイレベルなムー ビー、心地よい綺麗な音楽、高画質な画像、システム面ではオプション環境の豊富さやレスポンスの反応の良 さなども高評価の理由です。
それらのおかげで全ての物語を見終えた後心の奥底から感動し、自分にとってギャルゲーと呼ばれるジャン ル内での評価に留まらず、一ゲームとして心に残る作品となりました。

ですがレビューと言う形にする以上、やはり伏線の張り方や第二部の扱い方のミスがどうしても評価を下げ ざるを得ない原因となってしまいます。残念な事に世間ではそれが露骨に評価されてしまった。第二部の扱 い方の改善や、もしくは、あえてパッケージや説明書等に正しいルートを説明しておけば評判は変わってい たのかもしれません。
ほか欠点を挙げるとすると、主人公が悪い意味で無個性気味で、不必要に同じ台詞が使い回されることぐら いかな。

万人におすすめできるゲームではありませんが、全体的に丁重に作られており、完成度の高い作品になって いると思います。そして心に残してくれる輝きを持った作品だと言う事を最後に付け加えさせていただきま す。

ちなみに、発売一周年限定パッケージにはドラマCDが同梱されています。


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