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名称

薬師寺三重塔(東塔)
総高 33.63m 文化財指定 国宝
所在地 奈良県奈良市西ノ京町457
建立年 天平2年
(730年)
建築様式 和様
構造形式 三間三重塔姿。本瓦葺。各層裳階付き
塔の外観
塔の歴史
薬師寺は天武天皇が皇后(のちの持統天皇)の
病気平癒を祈念して飛鳥・藤原京に建立
されたが、平城遷都とともに現在の地に
移された。伽藍は薬師寺式伽藍配置と呼ばれ、
中央に金堂・講堂を、その両脇に東西両塔を
持つ壮大な寺院であったが、天延元(973)年の
火災で金堂・東西両塔以外の建築物を焼失し、
享禄元(1528)年の兵火では東塔をのぞく
ほとんどの伽藍を失ってしまった。東塔は天平2
(730)年に建てられた創建当時の姿をとどめる
唯一のもので、外観は一見すると六重塔に
見えるが、これは各層の屋根の下に裳階が
付いているからであり、裳階は屋根に数えない
ため、実際には六重塔ではなく三重塔という
ことになる。他にも法隆寺五重塔などのように
初層に裳階を付けている塔もあるが、各層に
裳階を付けているのは薬師寺の三重塔のみ
であり、このため大小三組の軒が交互に出入り
する極めて独特な姿をしている。この他には
例を見ない卓抜した律動的な美しさから古代
建築の最高峰と絶賛され、日本最美の塔と
讃えられている。また、明治時代にアメリカの
東洋美術評論家であったフェノロサもこの塔を
「凍れる音楽」と大絶賛したと伝えられている。

俺の感想
コメント

薬師寺の三重塔は日本の古代建築の最高峰と
絶賛されている塔である。確かにその姿は
各層の屋根の下に裳階を付けるという他には
例のない極めて独特なものであり、後にも先にも
この薬師寺の三重塔のみのことである。
また薬師寺の三重塔は法起寺の三重塔
次いで日本で2番目に古い三重塔であり、
そういった意味からもこの塔の持つ価値は
計り知れない(私は基本的に五重塔・三重塔は
古ければ古いほどその価値が高いと思って
いる。)はずである。がしかし、頭ではそう
理解していてもなぜか薬師寺に行ってみようと
いう気は一向に起こらなかった。もちろん
薬師寺を訪ねるチャンスは何度もあったにも
関わらずである。しかしながら、ようやく2010年
2月17日に私は重い腰を上げてついに薬師寺を
訪ねてみることにした。が、肝心の東塔は
約1世紀ぶりの解体修理のための事前調査に
入っているとのことで周囲には足場が掛けられ
塔の様子は伺い知ることができなかった。
お寺の方にお聞きしたところ、今年(2010年)
は平城遷都1300年祭が行われるので足場が
一度撤去され、それ以降に10年の歳月を
掛けて本格的な解体修理を行うとのことだった。
ということは2010年度中に東塔との対面を
果たしておかなければ、今後日本に現存する
すべての三重塔との対面を果たそうとするの
ならば、それはどんなに早くても10数年後と
いうことになってしまう。事ここに至っては
もはや訪ねないわけにはいくまい。そこで
改めて東塔の足場が撤去されたことを確認
した上で、薬師寺を訪ねた。そして私はなぜ
これまで薬師寺を訪ねる気にならなかったのか
という、昔から薬師寺に対して抱いていた
違和感を今一度はっきりとした形で認識した。
それは薬師寺が完全な観光地と化した寺院
だったからである。事実、薬師寺は奈良の
最大の観光地の一つであるため、観光客が
常に絶えず、落ち着いて観ることが残念ながら
できない。また、現在の薬師寺は昭和51年に
金堂が、昭和56年に西塔が、昭和59年に
中門が、平成3年に回廊が、平成15年に
大講堂が復興され、往時の白鳳伽藍が
よみがえっているのだが、「古きに価値を
求め、近年再建されたものには何の価値も
感じない」私にとって、いくら白鳳時代の
伽藍配置をよみがえらせたといわれても
それに価値を見出すことができなかったわけ
である。こうした観光客が次から次へと絶え間
なく押し寄せる寺院で、周囲のピッカピカの
建造物の中に建つ東塔に対してはやはり
どうしても違和感を抱かざるを得なかった。
仮にこれが朝の早い時間などで他には誰も
いない状況で心行くまで塔と対面することが
できたのならば、感想もまた違ったものに
なるのかも知れない。しかしこれは個人の
わがままなので、私は可能な限りそれに近い
状況で拝観をするために最大限の努力を
した。それは平日の拝観開始時間に一番
最初に薬師寺を訪ねるというものだった。
何だかんだといっても一度解体修理工事が
始まってしまったら、もう10年間はお目に
かかれないわけである。仏塔を愛するもの
として日本の古代建築の最高傑作と言われて
いるその本当の理由を見付け出さないわけ
にはいかない。例えそのために何時間の時間を
費やそうとも。。。という強い決意をもって臨んだ。
そして、この塔は日本で最大の三重塔という
こともあり、間近で観ると何となく平べったい
印象を受けバランスが悪い不恰好な塔の
ように観えてしまうので、少し距離を離れて
(30m〜50mくらい)観た方が良いということに
気が付いた。私はそのことに気付くのに
小一時間程の時間を要してしまったが、正直に
いってそのことに気付くまでは一体この塔の
どこが古代建築の最高傑作なんだ?とずっと
不信に思っていた。が、完全に盲点だった。
また私は塔は真っ正面から観るのが王道で
その姿こそが一番美しいと思っていたが、
この塔に限っていえば少し角度をつけたところ
からの方が美しいと思えた。俗に日本で一番
美しい塔とも言われる理由が、おぼろげ
ながらも一応わかったような気がした。