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 咲きかけし たけき心の ひと房は
 
 散りての後ぞ 世に匂ひける



  作者 : 井伊直弼


  意訳 :
   国を想ってきた熱い自分の気持ちは、自分の
   死後、きっと後世に理解されるだろう。



  解説 :
   井伊直弼は幕末の彦根藩主で、嘉永6年(1853年)の
   ペリー来航時には開国を主張した。安政元年(1854年)の
   ペリー再来航時には攘夷を主張する水戸の徳川斉昭と
   激論し、さらに十三代将軍・徳川家定の継嗣問題では、
   血統論から紀州の徳川慶福(のちの家茂)を推し、一橋
   慶喜を擁した斉昭や松平春嶽らと対立した。安政5年
   (1858年)には大老に就任し、慶福の将軍継嗣を決定
   した。また勅許を得ずに日米修好通商条約を締結、これに
   反対する斉昭ら一橋派や尊攘派を弾圧(安政の大獄)
   したが、万延元年(1860年)3月3日の登城時に水戸・
   薩摩浪士らに暗殺された。(桜田門外の変)この歌は、
   死の前日に求められて詠んだもので、はからずも結果的に
   辞世の句となった。無念の最後を遂げた直弼だが開国の
   正義を信じた自分の信念は必ずのちの世に理解される
   はずだとの強い自負の念が込められている。(尚、余談
   ではあるが、直弼は禅・国学・和歌など諸学芸に通じ、
   茶人としても知られている。)

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