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 埋もれ木の 花咲くことも なかりしに 
 
 身のなる果てぞ 悲しかりける



  出典 : 平家物語


  作者 : 源頼政
  

  意訳 :
   埋もれ木の花が咲くことがないように、私の生涯も
   時めくこともなく、その身の最期もまた悲しいことだ。


  解説 :
   源頼政の辞世の句。不本意に終わっていく自らの生涯を、
   埋もれ木が咲くこともなく人知れず枯れ果てていく景に
   よそえて詠んだ。歌の中の「埋もれ木」とはそれまでの
   不遇な源氏系の武士の立場を、それに続く「身のなる」と
   いうのは「実のなる」という意味で哀愁をそそる歌である。
   

  解説その二 : 源頼政
   源頼政は保元の乱、平治の乱に際し、いずれも平清盛に
   味方したので、源氏嫡流の悲劇(保元の乱で源為義は
   崇徳上皇に与して敗れ、一族のほとんどが死罪か流罪と
   なった。また保元の乱で唯一、後白河院に味方した嫡男の
   
源義朝も、続く平治の乱で平清盛に敗れて廟堂から姿を
   消した)とは無縁であり、むしろ昇位の推薦も受けた関係に
   あった。頼政の昇進は歌人として認められたゆえで、家集に
   「源三位頼政集」があるが、晩年は官位への不満をもらす
   歌が多く残されている。その後、平家にあらずんば人に
   あらずというような平氏の専横に不満が高まる中、冷遇
   されていた以仁王と結んで平氏打倒の挙兵を計画し、
   諸国の源氏に平氏打倒の令旨を伝えた。しかし計画が
   露見して準備不足のまま挙兵を余儀なくされ、平氏の
   追討を受けて宇治平等院の戦いで敗れ、自害をして
   果てた。このように頼政と以仁王の挙兵は失敗したが、
   以仁王の令旨の効果は大きく、これを奉じて源頼朝
   源義仲をはじめとする諸国の源氏が一斉に蜂起し、
   平家の滅亡につながったことは歴史の知る事実である。