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 一、国家は先祖より子孫へ伝え候(そうろう)
   国家にして、我私すべき物には
   これ無く候(そうろう)


 一、人民は国家に属したる人民にして、
   我私すべき物にはこれ無く候(そうろう)

 一、国家人民の為に立ちたる君にして、
   君の為に立ちたる国家人民には
   これ無く候(そうろう)

  右三条御遺念有るまじく候事
  天明五巳年二月七日 治憲(花押)
    治広殿 机前



  作者 : 上杉治憲(鷹山)
  

  解説 :
   伝国の辞は上杉治憲(鷹山)が天明5年(1785年)世子
   治広に家督を譲る際に与えた藩主の心得である。国家は
   先祖伝来のもの、人民は国家に属するもの、君主は国家・
   人民のために存在するものであるとして、専制君主とならぬ
   ようにとの戒めである。封建時代の当時の大名の中には、
   自分勝手な政治を行い、領民を苦しめた藩主が少なく

   なかった中で、伝国の辞は現在の民主主義の理念にも
   通じる鷹山の政治理念を象徴したもので、封建君主としての
   あるべき理想を示したものであり、何という立派な教えで
   あろうかとただただ感動を禁じえない。これは厳しい改革の
   実践者であった鷹山の教えであるだけに、千金の重みが
   加わっているといえる。この伝国の辞をいただいた治広は、
   終生この教訓を守ることを誓い、以後この書を代替りの
   時に、代々の藩主に伝え、鷹山が国を受け継いだ時の
   和歌と共に上杉家相続の心得とすることが例となった。