偽りの 言の葉にのみ ききなれて
 
 人のまことぞ なき世なりける
 


  出典 : 李花集


  作者 : 宗良親王

  
  解説 :
   私が断トツで一番好きな和歌である。宗良親皇は
   御醍醐天皇の第四皇子。世が世なら天皇の皇子
   として何不自由のない生活を送れるはずだった
   のであろうが、時は南北朝時代で宗良親皇が身を
   置く南朝方は劣勢に次ぐ劣勢であった。これゆえに
   宗良親皇は各地を流転し、南朝方の勢力を挽回
   するべく生涯を戦乱の中に身を置くことを余儀なく
   された皇子である。しかし、南風競わずという状況の中、
   風前の灯といった感のある南朝方では、それまで
   親王に媚び諂っていた連中が次々と親王のそばから
   離れていき、それこそ、今日もだまされた、明日も
   裏切られたといったことが続く毎日だったことは想像に
   難くない。この歌は約650年も前につくられた歌とは
   とても思えないほど斬新なもので、まさに現代社会
   にも当てはまる人間の本質が凝縮されている本当に
   素晴らしい歌である。この歌と出合った時の私は心の底
   から感動に打ち振るえ、その感動は今日でも少しも
   色褪せてはいない。結局、人間というのは今も昔も
   何も変わらない罪深いものなんだな…ということが
   よくわかる…。

トップページへ戻る
心を打つ、美しい日本語のトップページへ戻る