激坂についての考察 その2

2 激坂はどこにあるのか?

@ 激坂はどこにあるのか

 あちこちを走ってみた経験から、どんな場所に激坂が多いのか? どこに行けば激坂があるのか? などについて記してみます。激坂がある場所として思い浮かぶのは主に以下の4つでです。
1 ダム沿いの道2 植林地の作業道3 旧い峠道の峠直下4 河岸段丘の傾斜地崖を登る道
それぞれの場所について以下に詳しく説明します。

A その1 ダム沿いの道

 ダム沿いの道とは、ダムの堰堤の下の位置から堰堤の上まで登る、川に沿った道のことです。ダム沿いの道は間違いなく急坂でです。水力発電用の大規模なダムから山間の小規模な砂防ダムに至るまでほとんどのダムにおいて、ほぼ例外なく、ダム沿いの道=急坂の関係が当てはまります。

 ダムという構造物の目的を考えれば、これは当然です。ダムの目的は水をせき止めること、川に堤防を造ってそこに水を蓄えることです。簡単に示せば下の図ようになります。

ダムの図  傾斜地に堰を造るので、当然、堰の下から上に行くには高度差のある場所を登らなければなりません。一定の傾斜で下っている土地に垂直の壁を立てるわけですから、どうしても壁の横の部分の高度差が、他の部分よりも大きくになります。高度差のある場所を一気に登らなければならないので、激坂が多くなるというわけです。

 私がサイクリングに行く地域のダムで、比較的大規模なものは、東村の草木ダム、桐生市の梅田ダム、足利市の松田川ダムの3つです。この3つのダムのダム沿いの道はどれも急坂です。草木ダムは、特に急勾配です。渡良瀬川の左岸(北側)沿いに、神戸(ごうど)の駅の付近から草木ダムの堰堤の上まで登る道はかなりの激坂になっています。

 山間の沢沿いの道をサイクリングしていると、砂防ダムをよく見かけます。砂防ダムとは土砂をせき止めるためのダムです。洪水時に土石流を下流に流さないために造られます。貯水や発電とは目的が違うので、堰の高さはそれほど高くありません。このような小規模なダムでも、堰堤の下にさしかかると、ダム沿いの道は勾配が急になります。ただし、急勾配区間は短く、一気に登りつめる感じです。沢沿いの道で、砂防ダムに出くわすと、「おっ、激坂だ」と感じることがあります。

 以上のように、ダムの規模にかかわらず、ダム沿いの道は急坂が多いようです。そこが激坂になるかどうかはダムの場所や条件にもよりますが、道の勾配が急な方向に変化するのは間違いありません。これを覚えておけば、ツーリングなどで知らない土地に行った時に役立つかもしれません。先にダムがあることがわかれば、行く手には急坂が待ちかまえていると予測することができます。

B その2 植林地の作業道

 「こんな坂どうやって登れというのか?」と言いたくなるような超激坂を植林地の作業道でたまに見かけます。このような激坂は、アスファルトではなく、コンクリート舗装された直線の道に多いようです。一般道とは違うので、登りやすさなどをあまり考えず、目的地までの距離や伐採作業の進捗などを優先して道を作るためでしょうか。急斜面を直登する道が造られていたりします。

 山を越える一般の自動車道路は、急勾配をできるだけ避けて造られるのが普通です。そのため、急斜面は迂回するようにして、くねくねと斜面を登っていきます。地形図を見ると、観光道路や広域の林道など自動車道用の山道の場合、等高線と道路が交わる角度が小さく、等高線と道路が同じような軌跡を描いることがわかります。これは、登る斜面の傾斜に対して、道路の勾配が緩やかなことの表れです。つづら折りの一般道は、急カーブが続き、傾斜もきつそうな感じを受けます。しかし、実際の勾配は意外に緩やかです。

 ところが、植林地の作業道にはこうした配慮はあまりなく、斜面を直登している急勾配の道が多いのです。これには道を造る費用や時間、地形や場所の条件などいろいろな理由があるのでしょう。とにかく、植林地などでコンクリート舗装の道が見えたら、その道が激坂である確率はかなり高いです。

C その3 旧い峠道の峠直下

 峠道の峠直下は激坂であることが多いです。これは以下の理由によります。

 昔からある旧い峠道の多くは沢沿いに造られています。山の斜面や尾根よりも沢沿いに道を造ったほうが傾斜が緩やかで、緩急変化も少なくて済みます。沢に沿えば、起伏もありません。結果的に通行しやすい道になります。そのため、峠道は沢沿いに造られることが多いようです。

 ただし、山では沢の最後の部分(正確には沢の始まりか?)から稜線までの場所は傾斜が急になっています。この急な場所は、山の用語では「ツメ」と言われています。「ツメ」とは沢が稜線やピークに突き上げる部分を意味します。沢沿いに斜面を登ることを「沢を詰め上げる」と言ったりします。

 ツメの部分では短い距離で一気に標高をかせぎます。(『2万5000分の1地図の読み方』平塚昌人著 小学館 2001年を参考)そのため、ツメの部分につけられた道はどうしても急坂になります。ツメは、たいていの峠道ではつづら折りになっています。斜面の傾斜が急なので、直登ではきつすぎて登れないからです。よって、旧い峠道の峠直下は激坂であることが多いのです。

 旧い峠道が車道に変えられると、この急勾配の部分は切り通しにされたり、トンネルが造られたりするようです。ハイキング道や登山道として歩かれている場所以外は、旧い峠道は廃道になっている場所も多いです。

 このような峠道には舗装路は少なく、ロードレーサーでは登れません。MTBで未舗装の峠道を登るのは楽しいものですが、たいていは峠のすぐ下がつづら折りの激坂になっていて、自転車では登れません。いつも押すか担ぐはめになります。逆を言えば、沢沿いの道を登っていて、沢がなくなり、勾配がきつくなったら峠は近いということがわかります。

D その4 河岸段丘の傾斜地崖を登る道

 大きな川の中流から上流で、川の両岸に段丘状の地形が広がっている場所があります。河岸段丘と呼ばれる場所です。この段丘間のがけを傾斜地崖と言います。この部分を登る道は激坂であることが多いです。

 川沿いの道からほぼ直角に分岐する道を曲がると、そこが激坂だったりします。一気に登って、一度平坦になり、少し走ると次の坂が出現するといった具合です。

 桐生市西部や大間々町で、渡良瀬川から延びる道は、だいたいこんな感じです。大間々の「まま」とは切り立った傾斜地崖のことを言うのだそうです。(大間々町のホームページを参考) 渡良瀬川沿いの国道122号から分岐して、黒保根村方面に向かう道は、そのほとんどが登り始めの部分だけ激坂になっています。急勾配を一気に登って、その後平坦な土地に出ます。

 このように川と平行に進む道を外れ、川岸の丘に登るような分岐路はたいていは急坂です。その場所が山間部ならまず激坂です。ただ、ある程度の高台まで登りきると、少し傾斜が緩やかになる傾向があるようです。

激坂についての考察 その1 にもどる

トップページ にもどる