●コラム4 鳥居峠 ケーブルカーの廃線跡の巻き●

谷底からせり上がる最大勾配58.6%の廃線跡へ


赤城山の利平茶屋‐鳥居峠間にあるケーブルカーの廃線跡を登りました。今から37年前に廃線になった赤城山鋼索鉄道の軌道跡です。

軌道跡に沿って石段があり、そこを歩くことができます。段数は800段以上あり、高低差は300メートル。

最大勾配58.6%、旧山頂駅から見下ろすと谷底からせり上がってくるように見えます。

利平茶屋森林公園からハイキング道を石段の下まで歩き、そこから鳥居峠にある旧山頂駅まで登ってみました。

夏草の茂る石段を行く。


●1 石段登りの前に御神水を口にふくんでみると…●

昔から神として祀られてきた赤城の湧き水。 赤城の御神水(湧水を神様として祀っている場所)まではハイキング道を歩いて行く。利平茶屋のキャンプ場のわきから山道へ。地図には沢を高巻く道とある。道の左下が沢。沢の様子は見えないが、水音はよく聞こえる。

時おり左手の雑木林に、コンクリートの堤のようなものが見える。砂防ダムの堰堤のようにも見えるが、よく見ると、どうやらケーブルカーの軌道跡のようである。苔に覆われて深い緑色をしている。

30分で御神水に。社からパイプが3本。向かって左から美人の水、御神水、智慧の水。いまさら智慧の水を飲んでも手遅れ(この歳では、身に付くのは悪知恵くらいのもの)だし、美人(私は男性です)になってしまっても困るので、無難なところで無病息災の効能があるという御神水を口にふくんでみた。


湧水に手をかざすと冷たくて気持ちが良かった。肝心の水の味はといえば、実は忘れてしまった。あまり印象に残っていない。流れ落ちる湧水が社の前に溜まり、小さな池となっている。水は澄み、底のさい銭が日の光を受けてキラキラ光って見えた。


●2 はるか上空まで続く石段、登りの途中で振り返ると…●

石段をゆっくり登り始めた。最初は先が見えない。目の前に灰色の石の壁が立ちはだかっている。ところどころ夏草が生い茂る。(タイトル下写真) 右にゆるくカーブしていて、一度カーブを過ぎると、はるか上空に旧山頂駅(現在はレストハウス)が見えるようになる。

立ち止まって振り返ると、東毛の山々が望める。登り始めに見えるのは渡良瀬川対岸の大間々あたり山並みか。登るにつれて展望が開けてくる。少し登ってまた振り返ると景色が変わっている。山頂駅の下あたりまで来ると景色は大きく開ける。東毛地域が一望となる。

58%もあると傾斜はやっぱり急。石段部分はそれほどでもないが、直接、コンクリートの斜面に立つと下に転げ落ちそうでこわい。山頂駅に近づくと、足もとには山だけでなく平野部も見えてくる。風が強いのも手伝ってかなりの高度感。ここをケーブルカーが走っていたのかと思うと感慨もひとしお。

振り返ると絶景。山頂駅までもう少し。

●3 峠で景色を堪能した後、山頂駅をのぞいてみると…●

鳥居峠からの眺め。風が強く雲の流れが速い。 峠に到着。峠からの眺めはまさに絶景。車で来た人は最初にこの景色を見ることになる。車で来てしまうと、登りながら、しだいに展望が開けていくのを感じることはできない。下から歩いたほうが峠に立った時の感動が大きいぞ。

峠は広い駐車場になっている。峠らしい雰囲気ではないが、地形図を広げてみると、鳥居峠は駒ケ岳と長七郎山にはさまれた鞍部となっている。駐車場で一度ピークとなり、大沼方面に下る。等高線の配置は典型的な峠。今のように駐車場や広い道路ができる前はどんな感じだったのだろう。


駐車場の西端に立つと覚満渕と大沼が見える。右に目をやると赤城の最高峰、黒檜山がそびえている。峠の東側と同様にこちらの眺めも良い。

旧山頂駅のレストハウスに入る。正式にはサントリーバーべキューホールというらしい。最近、サントリーは天然水使用の生ビールをCMなどで盛んに宣伝しているが、ここでは赤城山水系の天然水で仕込んだ生ビールが飲めるようだ。が、下りのこともあるので、今日は止めておいた。

レストハウスの壁にはケーブルカーの写真や説明パネルの展示があった。それによると昭和32年7月に開通したものの、その後、道路が整備され、乗客減少により10年後の昭和42年に廃線になったという。当時のモノクロ写真が興味深い。特に東武鉄道のボンネットバスなどいい雰囲気だ。

峠から見た覚満渕と大沼。

ただ、「当時の計画では乗用車が積めるようになっていましたが、安全のため人だけを運ぶようになりました」の説明には少しびっくり。あれほどの急斜面を車を積んで登ろうという発想がすごい。道路もつながっていないのに、車を運び上げてどうするつもりだったのか。(訪問日 2004/07/11)


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