64話 ブリッグズの北壁
まず最初は、エルリック兄弟とブラッドレイ大総統の養子のセリムくん、ご対面〜。
「なんの勉強をしているんですか?」
無邪気そうな少年の質問に、アルフォンスくんは答えます。
「練丹術だよ。シンの国の錬金術」
…ああああああ、アルフォンスくんちょっと待ってー!その子のおとーさんブラッドレイ大総統だから!
下手に喋っちゃメーなのよー!
そう焦りつつも、弟の胡散臭い説明っぷりに注意が行くシーンです。
弟くん。素直ないい子は間違いないのに、ああいうことを喋らせるとうそ臭くなるのは正論を吐くのが照れくさい年代だからでしょうか。
兄弟の年代って大人が思うほど子供じゃないけど、大人扱いするには地力が足りない微妙な時期ですものね。
兄さんは悪いことは悪いこと、正しいことは正しいことと。下手な誤魔化しを持たないストレートな物言いをします。それも小気味よいことですが、ほんの少しだけ人より視野が広い少年は『ちょっと待って』と、考えることも多いのではないかと思います。
正論を吐く兄さんは格好いいけど照れくさい。だって、それか通らないことも世の中には多いし。
アルフォンスくんの茶化しっぷりはそんな初々しさが透けて見えるようで。
14歳(もう15歳かな?)だなあとしみじみします。
語尾がカタカナなのはシンを意識してますか。でも大仏は本気でどうかと思いますヨ。
そんな可愛い弟に、駆け寄ってくる兄さん。こちらもなんかもう、本気で愛くるしいです。
ああ、心を許しているんだなあっていうような兄さんの表情がたまりません。
ウフフ。牛様ったら!のっけからジョブをかましてくれますね。
しかしセリムくん。可愛がられて育ったお子は強いです。
「小さい錬金術師」
仕入れた情報のままに堂々と禁句を口にし、最っ高に危険な地球外生物的顔となった兄さん相手にキラキラした目を向けられるその胆力。
あの子は大物になりますよ…!
それはさておき。
憧れのエルリック兄弟に会えたセリムくんは「帰ったら義父さんに自慢しよう!」なーんて、言ってくれるものだから、読者はドキドキしちゃいます。
やっぱり、大総統にはエルリック兄弟が何を調べているのか情報が伝わることになるんですよね。きっと。
これが伏線だってことは分かるけど。それがどんな料理になって出てくるのかは、さっぱりわかりませんね!
まあ、それはいつものことですので素直に楽しみにしています。
傷の男とドクター・マルコーを追うキンブリー氏。
軍人さんたちが目撃情報をキンブリー氏に報告します。スカーらしき男の同行者は黒髪の中年の男。
ここで読者は「あー…(生温い微笑み)」と思うところですね。
登場シーンからして偉そうで、スタイリッシュ。あくまで二の線のキンブリー氏。
「ドクター・マルコーですね?」
獲物を追い詰めようとする姿は、さながらマフィア映画のヒットマン。
「お迎えにあがりました。もう逃げられませんよ」
悪役としては文句なしの格好よさですよね? 痺れますよね?
で・も。
「往生際が悪い…。逃げられないといったでしょう」
…って、言っても。
読者たちは知っています。
先月号はイーストシティ。
メイ嬢がフード姿の男と一緒に居るのことを。
皆さんも覚えておられますよねっ?(だってグラマンのお爺さまが強烈でしたし!)
だとしたらスカーさんの同行者は一人しか居ません。
「誰?」
A,ヨキです。
いや、お約束ー!って嬉しいんですよね!来るぞ!来るぞ!って分かるぶん、期待感が煽られます!
やっぱり、こう来たか!思っても、それは失望じゃないんですよ。秘密を分かち合うのも楽しみです。
それが見事に決まるものだから、なんかもう嬉しくて!
通常でしたら、シリアスに戻る前にもひとつ何かオチがあってもよさそうですが。ううん、キンブリー氏は崩れませんねー。彼は最後までこのラインを保ったままで行くのでしょうか。
同じハンサムさんでも焔さんなんて「焔の錬金術師だ。覚えておきたまえ」と、颯爽と登場した以降、愛されるツッコミどころがそりゃあもう、ボロボロ出てきたものですが。
雪山エルリック兄弟。
オートメイルは、暑さにも弱いが寒さにも弱い(その前フリで出てきたウィンリイちゃん、ガーフールーさんが嬉しい〜。またガーフールーさんのお召し物がおステキなこと!)。
これから寒くなる時期だっていうのに、よりによって北国。しかも山。
物語の進行上、致し方ないとはいえ主人公の行く道は総てにおいて過酷ですねv
そして雪山に来たからには、吹雪かれなくてはいけないのもお約束ですか。
兄さんファー付コートなのに寒そう!寒そう!もっと厚着しないと凍えちゃうよ!
下に着込んでいる服がどうなっているんでしょうか?
ワタクシ良い男は着込ませてナンボが信条ですが、下のお洋服(インナーじゃないですよ)も気になります。
でもインナーといえば、弟さんは兄さんがラクダのモモヒキを履くことを許してくれるでしょうか。心配。
問答無用にブリッグズの方々に拿捕される兄弟は、イズミ師匠の修行時代の話を思い出しますね。師匠もスパイと見なされて連行されそうになっていましたっけ。
ブリッグズは北の天険。強国ドラクマとの国境。
国々がひしめき合う広大な大陸での国境は、簡単に越えられるものではないというイメージがあります。
日本でも江戸時代には関の検問はありましたよね。アレです、「入り鉄砲と出女」。
とおりゃ、とおりゃんせ。怖いながらの、とおりゃんせ。
こちらと、あちらはたとえ地面で繋がっていても別の世界。
境界を守る兵隊さんは、強い以上に畏怖されないといけないだろうと思いまし…た、が!
それは、それ。これは、これです!
だって、期待しちゃいますよ!国境を守るのは、我らが愛しのアームストロング少佐のお姉さまであらせられると聞いていては!
登場されるのが、もう楽しみで楽しみで仕方がありませんでしたね!
辮髪リボンさんが問答無用に兄弟に襲い掛かるのも全然オッケー!(兄弟と親しくなる人は大抵が出会い頭になにかしら問題起こしてくれたものですし!パニーニャしかり、リンさまご一行しかり、焔さんしかり!)
お姉さまの部下の方。その目の前にある事実だけで彼の高感度はうなぎ登りです。私の目は節穴でしょうか、そうですか。
ところで、バッカニア大尉(辮髪リボンさんですよ)はオートメイルでしたが、兄さんの、スカーさん譲りの機械鎧破壊が通じないということは、肘から腕の素材がプラスチックとか特殊セラミックとかそういうことでしょーか。むう?
そして、待っていました。お姉さま。オリヴィエ・ミラ・アームストロング少将!
三段ブチ抜きでご登場です。美人!
ですが肩に乗せた軍用サーベルが鉄パイプに見えるのは気のせいですか?
アームストロング家の血にしてはなんか無頼者臭が漂っておりませんか?
……いいですね!グッジョブ!
初めて会ったときから愛してましたー!(先月号最終ページ)
直感は正しかったようです。オラ、ワクワクしてきたぞ(ドラゴンボールはピッコロ大魔王が出てくるあたりまでが特に好きです)。
来月号からの楽しみがまたひとつ増えました。
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