映画語りの名前を借りた悪あがき



行って参りました映画館。

ぶっちゃけ、なんで兄さんがミュンヘンにいるのかさえさっぱり分かりませんが、(それはテレビを見てないからです)映画、面白かったです。
いえ。本当です。覚悟を決めていた(どんなだ?)以上のデキでした。
ファンとして。とりあえずホッと一安心v
しかし、です。やはり異議申し立てたいこともありました。
アニメ映画であの時代のドイツを舞台立にするのは、脚本と演出と目標を相当絞り込まないとキツいとか。
トゥーレ協会側のポリシーが見えてこない。敵役は確立する美学がないと魅力が少ないとか。
端々で飛ばされるギャグのセンス。ちょっとあれはないだろう、とか。
はい。そんな些細な問題は、咎める気はありません。
そんなことちっちゃい・ちっちゃい。
むしろ管理人は、アルきゅんの笑顔一発で、グッジョブ!鋼映画!と親指を立てたいぐらいです。

ですが、ね?

申し訳ありません。
叫ばせてください。

ハイデリヒー!

何故彼が死ななくちゃいけないんですか!
いや、最初から彼は死にそうだとは思ってましたよ!
ですが殺すにしてももっと演出があるでしょう!
私だったらグラちゃんの猟奇シーンを大きく削って、そっちに割り当てを増やしますね!
そして、エドワードさん。あなたいつからそんな薄情なお子になったのですか!
本当はハイデリヒさん死んでないのですか!あれはお芝居用の赤インクで、実は生きてたりするのですか!だからあっさりスルーして弟のほうに意識がいっちゃったのですね!?(え? 葬式のシーン? そんなもの知りませんよ!)
だったら仕方ありませんね。実はハイデリヒさんが生きているのだったら、その扱いは止むを得ません。とりあえず、緊急時でしたしね!


(ここからは腐女子の叫び)
だって、だって!
ハイデリヒさんには生きていてもらわなくちゃ困ります!
兄さんの右左にアルを侍らせて、両手に花の計画は!?
兄さんが『アルフォンス』と呼びかけて、2人のアルフォンスが同時に振り返っちゃうようなベタなお約束は!?
夢の三角関係(私はこの3人なら書けますよ!)愛の昼メロ劇場は!?
それが全部台無しなんて!
自分のは兎も角、素敵な創作サイトさんがこのネタをどう料理してくれるのかずっと楽しみにしていましたのに!

この癒しきれない鬱憤を満足させるために、しばらく二次創作は花盛りでしょうね!
管理人も、その例外ではありませんよ!
…とっても口惜しいのでハイデリヒは生きている捏造でもぶち上げて、お話書いちゃおうかしらー…。
とか。
…アンニュイです。ウフフ。


ああ、でも。
これで兄さんが姉さんだったら、ハイデリヒさんの扱いにも燃えちゃいそうな自分もいます。
故郷の話ばかりする、ひとつ年上の天才少女。彼女に報われない恋をした、若いロケット工学者の物語…。
それなら悲恋でオッケー・バッチ恋!です。

(さあ、ドリーム入りますよ!)

キスどころか手を握ることすらさせてくれない(でも下宿には転がり込んできた)姉さんに、一途で不器用な愛を抱くアルフォンス青年。
彼女のことをずっと守りたい・振り向いてくれるまで待っていると思っていたが、しかし運命はかくも残酷なもの。
実は彼の体は恐ろしい病魔に蝕まれているのだった。
彼女と離れ離れになるのは辛い。しかし己には時間がない。
どうせ彼女と共に歩けないなら、記憶に残る男で居たい。
胸が引き千切れそうな苦渋の末、決断を下すアルフォンス。
『彼女の望みをかなえる為に…!』
恋の成就はなくてもいい。
せめてボクが居たことは覚えていて…!
青年の切ない望みを載せて、今、ロケットが空を飛ぶ!

…みたいな?
(ありえないぐらいコテコテです。でも、そんな映画でしたよね? 基本は)
あ。その場合、エドワードさんは魔性の女でお願いします。
こんなの↓



 抱きしめた肩は細かった。
 しかし奪おうとした唇は、義手で遮られ、鉄の意志を現している。

「ナイン。…それは駄目だ。アルフォンス。お前は、大切な友人だ」
 胸が痛い。
 こんな情けないこと、言いたくないが。

「それは。ボクがエドワードさんの弟に似ているから?」
 そうだったら、まだマシだった。自分以外の何か、のせいにできるから。
 エドワードさんは面白い冗談を聞いたというように、首を傾げた。
 輝くのは叡智の瞳。その黄金の眼差しに、見詰められるだけでいつもボクは死にそうになる。

「アルフォンス。オレは惚れた男が相手なら、それが例え悪魔や兄弟でもプロポーズには『ヤ−』と答える。万難すべて、蹴倒して。だ」

 お前は愛していないから結婚できない。
 彼女は残酷にそう告げた。



最初の男が最高の男。アルフォンス(弟)しか眼中にない姉さん。
他の野郎どもはバッサリ切り捨てる、潔くも酷い姉さんは少しトキメキます。
男を狂わすのは、運命の女っていうことで。

しかーし、兄さんはダメです。

もっとお友だちは大切にしないといけません!
あんなええ子は滅多にいないよ!兄さん当たりクジを引いてたんだよ!
そう肩を掴んでガタガタ揺さぶりたくなるので、エド兄さんバージョンのハイデリヒさんはワタシ脳の中で生きてらっしゃいます。
病気? …そんなのエルリック兄弟が何とかしてくれます。
核爆弾の処理の前に、そっちを優先させますよ!
やだなあ、そんなの当たり前じゃないですか!もうっ!

……はー。

鋼映画は、暑さに溶けていた脳みそにカンフルでした。
なんか(無駄に)ヤル気が出ましたよ!



叫んでスッキリしたところで、真面目に感想いきましょう。

まず初っ端から鎧アルが出てきて管理人の頭は( ? )マークが飛びました。
あれー? おかしい。生アルを拝みに来たはずなのに…?
と思ってたら冒頭のシーンは兄さんの昔語りだったとこの後、判明。
車を運転しつつ、ハイデリヒさんに弟との愛の生活を語るエドワード・エルリック氏(18)。のろけてますね。嬉しいです。
ここのハイデリヒさんやエド兄さんは妙に可愛らしい。そ・し・て、お約束。弟語りに夢中になって運転をあやまるエド兄さん。車はコースアウトして大破です。
しかし乗っていた2人は怪我ひとつない模様。運動神経いいですね兄さん、ハイデリヒさん。しかし…ハイデリヒさん、あなた病弱じゃなかったのですか。すごく健康的に見えますよ?
ささやかな疑問を抱かせつつ。2人はキレイなお姐さんを山積みして、通りがかったトラックに乗せてもらいます。
女の人たちは流浪の民。ジプシー(の呼び名が通りがいいでしょう)の方々です。皆さまホントに美人。眼福です。
ここで占い師の女の子・ノーアちゃんと出会います。彼女は千里眼と呼ばれてましたね。接触テレパスの力をお持ちのようです。
ここで場面は切り替わり、お姐さんたちとはお別れです。
ハイデリヒさんはカーニバルの出し物にロケットの打ち上げ準備をしてました。兄さんはサボりで手伝いません。
一方その頃。ノーアちゃんは千里眼の力に目を付けられて、悪そうな人に売られてしまった様子。ノーアちゃんは逃げました。そりゃそうですね。当然です。で、再び掴まりそうになったところをエド兄さんに助けられます。
そこで錬金術を使えない兄さんが『パン!』と手を打ち鳴らすわけです。そこら辺の演出は上手くてニヤリ。(ここら辺は劇場でお確かめ下さいv)
んで、兄さんたちは無事脱出。ハイデリヒさんもロケット打ち上げてました。
ここら辺から場面の切り替え多くなって、どうも記憶がウロなんですけど。

私的見所・疑問・感想・箇条書き出しで、いっきまーす(タイムテーブルは多少の上下がついています)。

・ 砂漠の中、井戸錬成(地下水脈を繋げたのか?)で水飛沫を浴びる・アイドルショット13歳・生アル。

・ ダメな子ほど可愛くて仕方がないご様子。ノーアちゃんにエド語りをしちゃうハイデリヒさん(セキ付き)。

・ 夏空に浮かぶ師匠の面影(…え…。お亡くなりになっていたんですか? …しょんぼり)。

・ マブゼの人。別に大総統のそっくりにしなくても…いいのに、な…(同ヒューズさん)。

・ ドラゴン・エンヴィー。鉛玉しこたま喰らった後に槍でブスブス突き刺されて。聖なる槍なんぞ使わなくても、あれだけ刺されれば弱ります。今回の可哀想大賞。

・ アームストロングさん。出てくるだけで癒し系。でもあのピンクのキラキラはなあに? んでもって、彼の錬成物はもっと趣味がいいと思うの…!原作でロアさんと戦った時に錬成したアレは紳士のジョークだったと思うの!ああああ、いやあ…! あんな迷惑そうなキャラにしなくても…!

・ キレイなお姉さんは好きですか。成長したウィンリイちゃん。シェスカさんとの女同士の会話がv(再会したエドを抱きしめるシーン。あれも良かった。甘酸っぱくて初々しいぞっ!)

・ 衆目を憚らす兄に抱きつく鎧弟。弟に抱きつかれ、いきなりハッチャける兄。状況を弁えない弟。割れ鍋に綴じ蓋。結局は鎧の背中にペッタリ張り付いて窮地を脱出ですか。なんて愛くるしいんだ君たち…。

・ 鎧に付けていた魂の尾が切れて、生身に戻ってきたアルの起き抜けの顔。作画さん渾身のシーン!

・ アルの頭部を持ち帰って想うよすがにしちゃう兄さん。アルコール付き。『弟に会えた!』『帰れるかもしれない…』と、微妙に浮かれている兄さんの様子に、面白くないハイデリヒさん。

・ 血を吐くハイデリヒさん。…結核ですか? それとも咳き込みすぎて咽喉を切っただけ…?

・ エド兄さんを突き飛ばしたハイデリヒさんには、色々と鬱屈がある様子(彼の態度は色眼鏡を装着してくれと言わんばかりで清々しいです)。

・ グラトニー大・暴・走。あの姿は白い悪夢と名付けましょう。ラースくんは知らないお人なのですが、ああビタンビタン叩かれるのは…ちょっと。しかもカプって。カプって…(ガタガタ)。

・ ドラゴンにぱっくんされちゃったパパ(えー!?)。

・ 撃たれて倒れ付したハイデリヒさん(ちょっと待てやー!)。

・ 再会兄弟『お帰り兄さん…』。やっぱ兄さんには錬金術がよく似合います。

・ 兄さんのオマケにとんでもないものがくっ付いて来ちゃってパニックのアル(そりゃ驚くわ)。

・ 軍部のピンチに颯爽と現れ出でた指パッチン伍長(さっきまで落ち込んでいたんじゃないですか。やはりここらはアニメ見てないとよく分かりませんね)。とりあえず管理人は動いている焔さんが指パッチンするのを初めて見ました…!満足v

・ 『お待ちしておりました』潤む眼差し。敬礼ロイアイ…!でもどちらかというとロイ→アイが好きだ。焔さんは鷹の目さんの尻に敷かれるとよい。

・ 『世界はオレが守る』って兄さんそんなやっと戻ってきたのに、殺生な。弟くんが泣いちゃいますよ!『ウィンリイはどうするの!』その通りだアルフォンス!もっと言ってやれ!『これ(機械鎧を掲げて)ありがとなって言っておいて…』って、うわー!そこで引き下がっちゃダメ!焔さんも止めなさい!なんなら拳で、そのわからんちんを黙らせてやれ!…と思いましたが、ダメでした。ちぇーっ。

・ ドイツに帰ってきたエド兄さん。ハイデリヒさんとの愛に生きる事にしたのですね!(違う)

・ 腹から赤いもの出して倒れているハイデリヒさんに動揺の兄さん(でも、一瞬)。

・ ドイツまで付いてきちゃった行動力ありすぎな弟。映画弟は後先考えないタイプと見ました。

・ ハイデリヒさんのお葬式のシーン(だからあれは認めないって!)

・ 一生新婚旅行な予感な兄弟(+ノーアちゃん)の旅立ち。


まだまだ抜けてることもあるでしょうが、ひとまずこんなものでしょうか。
なにせ情報量が多かったので、全部、飲み込めていませんし。

…ええと。おもいっきりフィルターを掛けているので、本物の映画とは別物です。あまり信用なさらないで下さい……って、見た人はわかってますか。むしろそれに甘えて、詳しい描写は避けましたし(でも、もう脚本が出ているらしいので解禁?)……セリフも微妙に間違っていそうです。

結論。鋼映画は愛しさ8割・面憎さ2割。
とりあえずは面白いです。アニメ見てない人も楽しめます。
しかし大きなお友だちで自らの世界観を確立しているかたは、複雑な思いを抱かれるかもしれません。
あと小さなお子さまにも、お勧めは出来ません。この映画にはスプラッタな映像が含まれます。

ほんとはね。映画をとっても褒めたいの。大好きな鋼なんだし、折角の映画だし。色々頑張っているのは、よくわかりますもの。でも素直に『お勧め!』と言えないの。

はー…(息切れ)
感想、勢いと欲望だけで書いたので、とりあえず今日はここまでにしときます。
も一回見に行って(行くんかい!)このモヤモヤをすっきりさせたら、映画感想、書き足したり直したりするかもしれません。

や、その前に『実は生きていたハイデリヒ』妄想を書くと思いますがね!
(どこか、上記の条件のステキ二次創作サイトさんに出会わない限りこのガスは抜けそうもありませんよ)



2005,7,27


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