唐辛子 | ![]() | ![]() | |||
焼肉屋って聞くと「キムチ」そして「唐辛子」と連想する方も多いと思います。 「こだわりの唐辛子使用」とか「本場韓国の唐辛子は甘みが違う」などという言葉をよく聞きます。 実際、「唐辛子」というものはどうゆもので、韓国と日本の唐辛子はどうちがうのか、少々興味がわいたので 考察してみました。 | |||||
第二話 | 「唐辛子の歴史」朝鮮の唐辛子は日本から伝来? | ||||
「唐辛子」はその名称から考えると、中国(唐)から日本に伝来したというイメージを持ちます。 当然、朝鮮半島を通ってくるわけですから「韓国から日本に伝わった」と考えられ、 日本の文献でも豊臣秀吉の頃から「唐辛子」が登場します。 「朝鮮出兵」時に加藤清正がもちかえったという説もあり、日本に対しては 唐辛子の「本家、本元」は韓国となり、「本場韓国産唐辛子」という言葉もなっとくです。 私は第一話での「唐辛子専門店」を出た後、現地(ソウル市内)のホテルで面白い 雑誌の記事を見ました。そこには「唐辛子」の歴史の話が載っていて、 朝鮮半島の唐辛子のルーツはどうやら「日本」らしいと言うのです。 朝鮮半島の唐辛子は最も古い産地は半島の南部沿岸地方で当時の名称は「倭芥子(わがらし)」 と言われていて、年代的に考えると、日本の「倭冦(わこう:朝鮮半島から中国南岸一帯で 密貿易や略奪を行っていた海賊)」によって伝えられたのではないか?というのです。 ということは当時、少なくとも北九州にはすでに唐辛子があって、「本場韓国の唐辛子の ルーツは九州」と言うことになってきます。 では、「どこから九州に来たか?」を調べると、唐辛子の原種は「南米大陸の赤道近辺」であり、 歴史上有名な「コロンブス」によってヨーロッパへ持ち込まれ、インド航路でアジアへ持ち込まれて 来たそうです。この時代たしかに「鉄砲の伝来」で始まる「南蛮貿易」があり、この頃日本へ はいったとも考えられます。さらに日本では胡椒(肉食圏のヨーロッパでは大人気)同様、 イマイチ人気がでず、九州どまりで本州まで伝わらなかった。その数十年後、秀吉の「朝鮮出兵」で 逆輸入された。と考えればつじつまがあってきます。 |
コロンブス![]() ![]() | ||||
ところで、チョット話しはそれますが、 「コロンブス」がアメリカ大陸に到達したサン・サルバドル島(現在のキューバの南) 近辺の群島を西インド諸島といいますが、コロンブスはその後数回そこをおとずれ 終生そこをインドだと思っていたそうです。(だからその辺りを「西インド諸島」、 アメリカ原住民を「インディアン」と現在も呼んでいる。) 当然そこには彼の目的の1つであった「胡椒」があるはずだったのですが、 探せど探せど胡椒は見つからず、かわりに手に入れたのが「唐辛子」だったというわけです。 しかし、このへんで「インドじゃない!」とふつう気ずくべきではないかと思うのですが。 ともあれ、「唐辛子」を世界の歴史に登場させたという点ではコロンブスの功績は大きく、 韓国にとっては「キムチの父?」といっても過言ではないとおもいませんか? |
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話しは戻って、コロンブスがヨーロッパに持ち込んだ「唐辛子」は陸路でも各国に伝来していきます。 北は「ハンガリー」あたりまで行ったそうですが、伝わる過程で「唐辛子」は徐々に改良も加わり 皆さんご存知の辛さのない「パプリカ」や「ピーマン」になっていくのです。 一方海路で伝わったインドや東南アジアでは「胡椒」を凌ぐ辛さの「スパイス」として 又、暑い地域の宿命である食品の「腐り」に対抗する「魔法の防腐剤」として重宝され「カレー」や 「トムヤンクン」に代表される「辛い東南アジア料理」を作り出したのです。 もう皆さんもお気ずきの様に「唐辛子」という植物は寒いところで栽培されていくと、辛さを失い、 暑い地域では強烈な辛さを発揮する植物なのではないでしょうか。 そうすると、本文冒頭で私がかいた「本場韓国の唐辛子は甘みがある」の の一言は根拠がないとはいえません。 日本と韓国を比べると「緯度的にみても若干上にあり、韓国全体の平均気温は日本より低め」 です。何百年も栽培されるうちに、日本の「唐辛子」より「甘み」が出てきているのかもしれません。 このように考えてみると「何処にでもある唐辛子」にも波乱万丈な歴史の流れを感じる事ができます。 皆さんも「焼肉屋」で一杯やりながら、「こんな話」を思い出していただければ 一味ちがった「キムチ」をあじわえるかもしれません。 (おわり) |