茨城は大子町にある日本三名瀑のひとつ、それが袋田の滝です。 高さは120mあるものの、滝全体が四段に別れているので、「迫力満点」というよりは「優美」な印象。 真冬には何と滝が全面凍結してしまい、そこをロッククライミングするチャレンジャーも出現するらしい。 (そして中には命綱をつけずに登って落下、亡くなる人まで…。) 茨城では割と有名な名所なのです。 水戸の中心地からは約70km、車で行けばすぐの距離。 滝の近くまではローカル単線ですが一応電車も通ってます。 でもでも、ペーパードライバーで貧乏なおいらにとって、1番素直な移動手段、それは、「徒歩」。 夏に一緒に東北を旅したこれまた貧乏な親友と2人、「じゃあ歩いて見に行きますか」って話になりました。 プランとしては、水戸・袋田間のほぼ真ん中、常陸大宮まで歩いて1泊、次の日に袋田まで行くことに。
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国道沿いをてくてくと。 | 主な景色は「畑」「田んぼ」「林」 | 久慈川。 |
普段から体鍛えてる人はどうだかわかりませんが、 なまりまくってる都会の軟弱者には一気に30km歩くってのはなかなかの試練でして。 身軽ならまだしも、5日ぶんくらいの着替えやら何やら背負ってたしね。 しかもアップダウンが激しくて、肩に腰に足に負担がずしずしずし、と。 ナメてかかってたらかなり早い段階でマジ疲れして我ながらショックでした。 でも景色は穏やかで優しくてのどかで、田舎好きには心和む道すがらです。 とんびがくるくる上空旋回してたかと思うと、さぁっと降りてきて川面の魚を捕ったり、 手拭いほっかむったおばあちゃんが畑の手入れしてたり。 途中あんまり休憩入れなかったのに、 中間地点の常陸大宮に着いたのはもう辺りが真っ暗になってからでした。 あたしの祖母の家があるので、そこで一泊。 辿りついた時の安堵感と疲労感といったら! 熱いお風呂とふかふかの布団がめっちゃ気持ちよかった。 ホントは次の日ごろごろして疲れを落として、その次の日に袋田へ向かうって手もあったんだけど、 勢いに乗って翌日袋田へ向かうことにしました。 |
翌日の朝は6時半に起床して朝食を食べ、 意気揚々と出発。 足は全体的にずきずきしてましたが、 歩いてればどうにか治まっちゃうだろうと思って。 (ってこれがとんだ勘違いだったんですけどね。) 2日連日ってのがすぐにひびきだして、 歩き始めてわずか1時間で休憩。 しかも痛みのせいで時速3キロ位でしか歩けていない…。 「袋田の滝まであと25キロ」 「袋田の滝まであと20キロ」なんて、 5キロごとに表示が出てくれるのが ありがたかったりわずらわしかったり…。 (こんだけ歩いてまだ5キロしか進んでないのか、とか。) |
何でわざわざ歩くのかって言われると、答えに困るんですけどね、 多分、自分の足で、一歩一歩大地を踏みしめて、目的地に向かってる感覚が凄く好きなんですよね。 向かう途中で、歩きだからこそ出会える偶然みたいなものも沢山あって。 歩きながら色々な考えを煮詰められるのも魅力かもなぁ。 カフェでコーヒー飲みながら、とか、授業中ボーッとしながら、とかじゃなくて、 ゆっくり移り変わる景色を視覚の片隅で捉えながら、歩く事に専念しつつも頭は静かにフル回転、みたいな。 結局袋田の滝に到着したのは4時ごろでした。 もう、足、棒。比喩でなく棒。 足の裏は焼けるように痛いし、ちょっと休むと逆に痛くて立ち上がれないほど。 疲れてくると、ナチュラル・ハイになってきて、しょーもないことでバカうけして大笑いしてたりします。 でも笑うと力抜けるのよ。頑張って痛い中歩いてるペースが乱されるのよ。 だからお互い「笑わせんな馬鹿!」とか相手を牽制し合うんだけど、あんま効果ナシ…。 死にそうになりながら辿りついた滝だけに、感慨もひとしお。 部分部分はまだ凍結してました。 水量も少ない時期だったから、水しぶきが顔にかかる、なんて事はなかったものの、 滝から流れてくる冷気たるやすさまじかったです。 |
苦労の末辿りついた袋田の滝。真正面より。 | たおやか。 |
滝壺。 | 思い切り逆光。 | 落ちた水は川となり…。 | 観瀑台へ続くトンネル。 |
疲れ果てた友は、 冷気をものともせず観瀑台の石のベンチで 大大爆睡してました。 お疲れ。 楽しかったね♪ |
その日はあわよくば袋田近辺の温泉宿にでも泊まろうと思ってたんですが、 安くて近場って条件を満たす所がなかったので、再び常陸大宮の祖母の家まで帰ることにしました。 いや帰りはさすがに電車で(笑)。 でも、駅までのバスがとうに終わってしまっていたので、 最後のひと踏ん張りで、てくてく袋田駅まで歩いて行くことに。 ところがねぇ、これが、道に迷って散々歩き回るハメになったんですよ…いつものパターンなんですがね…。 1時間半近く歩いても駅が見当たらないので、 さすがにこれは何かが間違ってると思い立ち、 道沿いのガソリンスタンドに立ち寄って聞いてみたんです、袋田駅はどっちですか、って。 そしたら呆れた声で「もうずっと前の方だよ。ここからなら大子駅の方がまだ近い」と従業員さんが…。 絶望しましたね。外は既にまっくらだし、寒いし足はそろそろ限界だし。 そんなあたし達をあわれと思し召してか、従業員の1人が大子駅まで車で送っていってくれました。 後から分かったんだけど、送っていって貰えなかったら間違いなく終電逃してました。 貧乏旅には人の優しさが相当身に染みます。 次はひとり旅で南の方とか行きたいな…。 BACK HOME |