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…ダリ美術館・五色沼へのプチ逃走…
♪夏もち〜かづく八十八夜〜♪
…ってわけで、そろそろ新鮮な空気を吸いに、都会から脱出しようと考えたわけだ。
折り良く、今年はあたしの愛する画家、サルバドール・ダリの生誕百年目。
福島県の諸橋近代美術館(通称ダリ美術館)で企画展をやっているとのダイレクトメールを受け取り、
いそいそとお祝いに馳せ参じることにした。
夕方東京を出て、夜に福島へ到着、次の日はゆっくり美術館を楽しむ、という予定だったんだが、
東京を抜け出すのに予想以上に時間がかかって(渋滞がね…)、
目的地へ着いたのは夜の12:30くらいだった。
素泊まり3500円で予約したペンション「やまびこ」。 東京脱出の際の時間のロスで、 チェックイン予定時刻から大幅に遅れて行ったのに、 少しも嫌な顔をせず、快く対応してくれた。 岩風呂も24時間開放だったので、 座りっぱなしで疲れた手足と腰をぐーんと伸ばして湯に浸かる。 気持ちよかった…。 次の日の朝は、これまた大寝坊してチェックアウト時刻に起きたのに、 「ゆっくり準備して下さい♪」と優しいお言葉…ご主人ありがとう。 |
素泊まりだったので当然朝食は出ない。
近くのコンビニで軽食を買って食べる。むしゃむしゃ。
ついでにカフェラテも買って飲む。ごくごく。
ブランチ完了。
天気はこれでもかってほどの晴天、どこかへ向かうには最高のセッティングだ。
ダリ美術館へ
もともと、美術館に近い場所を選んでペンションを予約したため、わずか数分でダリ美術館に到着した。
美術館遠景 | 入口のレトロな門 | 石造りの素敵な美術館 | 敷地内には小川もある |
自然豊かな土地に作られたせいもあってか、のどかで、爽やかで、広々とした美術館になっている。
美術館のすぐ目の前には大きな池が作られ、その池へ小川がさらさらと流れ込む。
きらきらした青いグラデーションのイトトンボがつーいついと飛びまわり、
池中にはオタマジャクシやタニシ、小魚も沢山泳いでいた。
黄色いあやめ(初めて見た!もしかしたらあやめじゃないのかも…)が池の周りに彩りを添え、
きれいに刈られた芝生の上で、そんな光景を眺めながらのんびりくつろぐ家族もいた。
この池にね、美術館が映って、鏡のように上下対象な像が浮かび上がるんだけど、
それがまた、ダリのシュールな世界観とつながって、とっても素敵なのだ。
もともとこの美術館が創られたコンセプトの根本にダリが存在していたので、
もう全体的にダリの世界を彷彿とさせるつくりになってるわけですね。
←ちなみにダリってこのおっさんね。 宴会で調子こいてるお茶目な部長さんではアリマセン。 シュルレアリスムの代表的画家です。 1904年スペイン生まれ、亡くなったのは1989年。 本名はサルバドール・ドメネク・フェリーぺ・ハシント・ダリ、 彼が生まれるちょっと前に亡くなった兄と同じ名前で、 それが後に彼を苦しめるコンプレックスにもなります。 風雲児であり、異端児であり、先駆者でもあった、 見た目も中身も言動もイッちゃってた天才です。 |
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←館内入口にあるぐにゃぐにゃ時計のブロンズ像。 現実世界の時間の流れから、 ダリの生きる摩訶不思議な時間の流れへアタマを切り替える。 いざないとしては申し分のない一手だ。 館内なのに写真がやたらと明るいのは、 この美術館には窓が沢山あって自然光がさんさんと降り注いでいるから。 普通、美術館て窓とか作らないのにね。 しゃれてやがるぜ。 |
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←トイレの入口にかけられた絵。 思わず笑っちゃうでしょう、トイレ行くのに笑えるなんてそうそう無いよ。 あ、館内は基本的に撮影禁止です、当然だけど。 トイレと上の写真のオブジェは入口にあるから一応禁止はされてない。 あたしの携帯はカメラ起動が0・5秒と無駄に速いので、 ささっと隠し撮りしたり出来てかなり助かっている。 だって、ねぇ、トイレの入口でおもむろにカメラ取り出して構えてたら、 いくらシュルレアリスムでも怪しいことこの上ないでしょう。 「お客様…」と注意されること間違いナシ。 |
この美術館は、ダリに魅せられたある1人の男が、個人的にコレクションした作品をベースに創られている。
考えてみりゃ凄いよな…一体いくらつぎ込んだことやら。
通常展に加え、毎回色んな企画展(ほとんどはアヴァンギャルドな画家の企画)を併設していて、何度来ても飽きない。
今回は、ダリの連作モノや、ラフなスケッチ画などを豊富に揃えた生誕100年記念企画だった。
プラス、印象派の画家の作品数点も展示されている。
そうそう、ルイス・ブニュエルとダリが共同で創った、
17分間の白黒サイレント映画、『アンダルシアの犬』も放映されてた。
イメージの連続から成る、シュルレアリスムの世界観を映像化した大胆な作品で、
眼球を剃刀ですいと切るショッキングな冒頭から、
ピアノと一緒に引きずられる牧師や、掌の小さな穴から沢山湧き出してくる蟻、
揉んでいるうちにお尻へとリンクする胸、道端に落ちている手首など、
幾重ものイメージを喚起させる濃密な映像詩になっている。
それなりにオススメ。
あたしはこのダリ美術館の2年間パスポートを持っていて、 それを提示すると館内のミュージアム・カフェで飲み物1杯が無料になる。 一通りダリの世界に触れたら、ここらで一息入れましょう。 アップルティーと、特製レアチーズケーキを注文した。 どの机にも、造花ではない本物の生花が飾ってあって、美術館の粋を感じる。 ここで使われている食器には、 美術館のトレードマークでもある足のやたら長い(半端なく長い)象が描かれていて、 それもまた粋でかわいい。 |
五色沼へ行こう♪
朝から美術館へ行けたおかげで、午後は少しゆとりが出来た。
まだ帰途へつくには勿体無い時刻。
そこで、美術館の近くにある、五色沼へ足を運ぶことにした。
「五色沼」っていうのは、裏磐梯の辺りにあるいくつかの湖や沼の総称で、
本来は「毘沙門沼」、「赤沼」、「青沼」、「みどろ沼」などなど、8つ位の大小様々な湖沼に分かれている。
ハイキングコースや木道でつながっているけど。
総称からも察しがつく通り、実に不思議で美しい湖沼群なんだな。
明治21年の磐梯山の噴火が原因で出来た湖沼群で、それぞれの沼は、
赤や瑠璃や紫やエメラルドグリーンなど、あたかも入浴剤でも入れたかのように綺麗な色をしている。
しかも、この色、季節や天候、見る時間帯等によっても変わってくるのだ。
と、言うのは、水の色の原因となっているのが、
水中の成分や水草の量、光の射し込む方向や湧き水の流れなどから成っているから。
うーーーん、たまんないね、こういうの大好き。
更に魅力的な点を挙げるとね、この湖沼群のうち、かなり酸度の強い湖沼がいくつかあるのだ。
1番強酸性の沼だと、なんとph3.8!(普通は6.5くらい?)
これは怖いよ〜。噴火で出来た湖沼にはそういった類のものが結構あるんだけどさ。
←例えばこれ、青沼の水面に伸びた木の枝の写真(勝手に借用)なんだけど、 水面に近い枝の先が一部、白くなってるの見えるよね? これ、風に吹かれた際か何かに、枝の先が水に浸かって濡れてしまい、 その後、強酸性の水なもんだから漂白されちゃったんですね、だから白いの。 ひーーー。うっかり手なんて洗ったら大変だわさ。 |
こういう、綺麗なだけでなく、怖さを隠し持ってる自然美って、たまらなく魅力的だよね。
少なくともあたしは興奮しまくりです。
んが、全部の湖沼を見て廻る時間はさすがになかったので、
1番大きい毘沙門沼と赤沼だけ見ていくことにした。
毘沙門沼遠景 | 見てこのエメラルドグリーン! | 切り株の上で踊る私 | 茂みのその先に… |
毘沙門沼はでっかいからボートの貸し出しがあるんだけど、他はありません。
小さい沼だと、うっかり通り過ぎちゃったりするくらいだし。
上の写真は全て毘沙門沼ね。
赤沼は木道からちょっと遠くにあったので、携帯のカメラではいいショットが取れなかった。
鉄成分が多いせいなんだろうね、沼の縁が赤茶色なの。不気味。
そこに倒木なんかがあった日にゃ、不吉な予感でいっぱいさ。
←左は木道の写真。 ここを歩いていくわけです。尾瀬みたいね。 勿論、岩だらけの所や普通の平地もある。 ←右は毘沙門沼のボート乗り場付近にいた鯉。 こいつら、すっごい大きいんだ。 落ちたら食われそう、マジで。 少なくともつつかれるね、絶対。 |
ふらふら2つの沼を見学して、今日は帰ることにした。
次回はもっとじっくり五色沼観察したいなぁ。
しっかし、ほんとに、何してても、気持ちいいプチ逃亡だった。
茨城に住んでた時は福島なんてすぐだったんだけど、横浜からだと相当距離あるからね…。
福島には鍾乳洞とか火山記念館とかもあって、あたしの嗜好的にはまさに絶品だ。
そうそう、次回のダリ美術館の企画展は「ダリと女性」展だそうだ。
当然、彼の妻であり、彼のアートの女神でもあったガラについても沢山紹介されるだろう。
ガラって、明らかに悪女な印象なんだけどな…あたしのなかでは。
楽しみにゃり。
END