Mercenary's sword
Mercenary's sword - マーシナリーズソード

 海外サイトで見つけた剣を3DCG化してみた。「15世紀頃の傭兵が使っていた剣(のレプリカ)」らしいが、具体的なデータは不明。これでは剣の説明文が書けないので、代わりに以前BBSに掲載したコラムを載せることにした。

----武器解説が好評ですので、勢いに乗って第三弾いってみようと思います。
 今回のテーマは「傭兵について」です。

 金と戦いを求めて戦場をさすらう一匹狼。それが傭兵……。
 ってイメージをお持ちの方は多いと思います。さて、この傭兵、実際にはどんな存在だったのでしょうか?
 中世〜バロック時代の傭兵とは「民間の警備会社に所属する警備員」です。民間企業の会社員って所ですね。最も警備員といっても軍隊もかくやという位に武装してますが…。
 欧州では「組合:ギルド」という商工組織が産業を支えていました。ありとあらゆる商売はギルドによって管理・運営され、ギルドに属さずに商売をする事は事実上、不可能でした。
 中には当然、傭兵ギルドというものも存在します。傭兵とは、この傭兵ギルドに所属する「専業戦士の会社員」の事を指す言葉です。

 戦争や内紛が発生した時、その地の領主は傭兵ギルドに警備(出兵)を依頼し、ギルドから派遣されてきた企業(傭兵ギルドに加入する警備会社)と契約を交わします。「国と企業が契約を結んだ」状態ですね。警備会社はその地の師団なり連隊なりに所属して、国軍の指揮下の元に戦います。命令系統も各国のそれに準じます。
 要するに軍隊の外注です。「外注が幾ら死のうが知った事か(byゲーム会社)」状態で前線に回されるので、彼等の損耗率は非常に高く、危険です。
 傭兵の給料は国庫から「傭兵ギルドに向けて」支払われます。当たり前ですが個人に手渡しで金を渡すことは有りません。しっかりとした事務手続きの上、傭兵ギルドに渡され、そこから警備会社に渡り、最後に個人の手元に届きます。
 「一匹狼の傭兵はどうした!」と怒鳴られそうですが「そんなヤツは居ません」。
 普通に考えてみて下さい。信頼も身分の保証も無い一個人と契約する団体が居ますか?
 そもそも、いちいち個人と契約していたら事務手続きだけで膨大な労力が発するじゃないですか。それに個人との契約となれば、金だけ持ってトンズラされたり命令無視をされた時に責任が誰に行くかもハッキリしません。
 個人営業の傭兵なんてギルドや企業から圧力をかけられて商売出来ないか、怪しまれて仕事を取れないかのどちらかです。更に言うなら、何千人と兵力が必要な戦争においてたった一人の傭兵を雇った所で戦力の足しにもなりませんから、基本的に個人の自称傭兵などは門前払いです。
 残念ながら小説やアニメのように、個人で戦争に参加する傭兵は存在しないのです。

 傭兵ギルドは欧州の各地に存在していました。各国に支店を出す巨大なものから、地方の都市でひっそりと店を構えるものまで様々です。
 保有している戦力はまちまちですが一つの隊に大体、百人程度の傭兵が所属していたようです。(この辺、しっかりとした裏付けがとれませんでした)
 彼等はギルドや警備会社から支給された装備を使います。いわば独自の戦力を保有しているのです。規則だった行動を取り、いざ派兵の命令が下れば大人しく命令に従います。
 基本的に国や団体といった大きな組織と契約を結ぶのですが、時には普通の民間人からも依頼があります。その場合は依頼内容に基づいて派遣する人数を決め、傭兵を現地に「出張」させます。もうこの辺は現在の警備会社と代わりませんね。「何日契約、何人拘束、一日幾ら」と契約を交わして、履行するだけです。

 このように傭兵とは「1回幾らで戦う会社員」の事なのです。なんだか夢も希望もありませんが、格好良いのは物語の中だけなのは仕方ありませんね。家のローンを抱えてる傭兵も居れば結婚資金が必要な傭兵も居るでしょう。みんなサラリーマンなんですな。
 これは追記ですが…どうにも戦力が不足している状態ではなりふり構っていられませんから、個人単位だろうが身元が怪しかろうが傭兵を雇います。しかしそういった場合の「傭兵クズレ」は戦況が悪くなると逃げ出していたようで、やはり信頼されていませんでした。傭兵にも質があるという事ですかな。

 もしTRPGで傭兵のキャラを出したければ、こう言いましょう。
 「俺はボヘボヘ傭兵組合所属のボヘーンだ。ボヘミア地方からギルドの契約に基づいて派遣されて来た。契約に従って倉庫を警備している」とかね。